• 親の介護
  • 【公開日】2023-01-17
  • 【更新日】2026-05-29

親の介護が始まっても、自分の生活は守れる!今からやるべき準備と在宅介護の工夫を徹底解説!

親の介護が始まっても、自分の生活は守れる!今からやるべき準備と在宅介護の工夫を徹底解説!
株式会社アテンド 代表取締役
専門分野:介護全般

旧三菱銀行およびみずほ銀行で10年ほど窓口やローンアドバイザーに従事したのち、 2013年に介護事業を運営する株式会社アテンド設立。 同年6月にリハビリ特化型「あしすとデイサービス」開設。 メディア実績は厚生労働省老健事業「サービス活用販促ガイド」、週刊ダイヤモンド、 経済界、シルバー新報、聖教新聞、ABEMA Rrime など 介護事業経営と父の介護を8年経験したスキルを活かし、現在は講師として著者として介護のノウハウを提供。介護する人とされる人が安心して暮らせる環境つくりに邁進している。詳しくはこちら

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「最近、親が転びやすくなった」「もの忘れが増えてきた」——そんな変化に気づいたとき、多くの方が感じるのが、「介護が始まったら、自分の仕事や生活はどうなるんだろう?」という不安ではないでしょうか。「まだ大丈夫」と思っていても、介護はある日突然、本格化することがあります。

しかし、事前に準備しておくことで、自分の生活を犠牲にせずに介護を進めることは十分に可能です。この記事では、介護が始まるとどんな変化が起きるのかをお金・時間・精神面に分けてわかりやすく解説したうえで、「自分の生活を守るために今からできる準備」「介護が必要になったらすぐやること」「在宅介護で使える工夫」「施設入居を考えるタイミング」まで、順番にご紹介します。

まだ介護が始まっていない方も、すでに介護が始まっている方も、ぜひ参考にしてください。

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親の介護が始まると自分の生活はどう変わる?

介護が始まると、お金・時間・精神面の3つで、自分の生活に大きな変化が生じます。在宅でかかる介護費用は月平均5万円にのぼり、介護を理由に仕事を辞める方は年間約9万人います。何も準備しないまま介護が始まると、生活が急に変わってしまうため、あらかじめ知っておくことが大切です。

お金への影響

在宅介護の場合は、親の年金や貯蓄で賄う方が大半です。しかし、施設介護になると費用がかかるため、親の経済力で賄えない分をご家族が負担するケースも多いです。

在宅介護にかかる費用は、要介護度によって月3〜7万円台と大きく異なります。

要介護度別・在宅介護にかかる月額費用の平均
要介護度 介護サービス費
(介護保険の自己負担分)
サービス以外の費用
(おむつ代・医療費など)
月額合計
要介護1 0.7万円 2.6万円 3.3万円
要介護2 1.4万円 3.0万円 4.4万円
要介護3 2.5万円 3.5万円 6.0万円
要介護4 1.7万円 4.2万円 5.9万円
要介護5 2.1万円 5.3万円 7.4万円

出典:公益財団法人家計経済研究所「在宅介護のお金と負担」2016年調査

表を見ると、介護保険サービスの自己負担(介護サービス費)は月2万円前後にとどまるケースが多いことがわかります。
費用の大部分は、おむつ・尿取りパッド・介護食・医療費といった介護保険が適用されない出費です。

施設種別・月額費用の目安(ざっくり比較)
施設の種類 月額費用の目安 特徴
特養(特別養護老人ホーム) 約4〜15万円 公的施設で最も安い。要介護3以上が対象。入居待ちが長い
老健(介護老人保健施設) 約8〜14万円 在宅復帰をめざすリハビリ施設。長期入所は原則できない
グループホーム 約13万円前後 認知症の方が少人数で共同生活する施設
住宅型有料老人ホーム 平均約17.6万円 介護サービスは外部の事業者を利用。費用は利用量による
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) 平均約17.6万円 賃貸住宅に安否確認・生活相談サービスが付いた形式
介護付き有料老人ホーム 平均約23.6万円 介護・食事・生活支援がセットで提供される。費用は高め

施設によって費用の幅が大きく、月4万円台の特養から平均24万円近い介護付き有料老人ホームまであります。在宅介護の平均5万円と比べると、施設入居は費用が増えるケースがほとんどです。親の貯蓄や年金でどこまで賄えるかを、施設を選ぶ前に確認しておきましょう。

【費用に関するチェックポイント】
介護保険の自己負担額は実際に使ったサービスの量によって変わります
・介護費用の中でも、おむつ費などのサービス外費用が大きい割合を占めます
費用を抑える制度(高額介護サービス費など)もあります(H2-4で詳しく説明します)

時間への影響(パターン別生活スケジュール付き)

介護が始まると、自分の自由な時間は確実に減ります。要介護度が上がるほど必要なサポートの量が増えるため、介護に使う時間も長くなります。厚生労働省の調査によると、「半日以上を介護に費やしている人」の割合は、要介護度1、3、5と高くなるにつれ、1割、5割、6.5割と高くなっていきます。

以下の3つの例で、状況によって生活の変わり方がどう違うかを確認してみましょう。

事例① 【介護者】正社員/別居 【要介護者】要介護度2

デイサービスに預けていない時間以外は、ネットカメラと緊急通報システムで見守りを行っている状況。デイサービスに預けていない日でも、1日2回の訪問介護によって、人の目が入るようにしています。

週末1日は帰省し、洗濯や掃除、買い物を代行しています。自分の時間は就寝前のわずかな時間になるため、日曜日は自宅に帰って、自分の休息にあてています。

事例② 【介護者】専業主婦/同居 【要介護者】要介護度2(認知症)

母親がデイサービスを利用している間になるべく自分の時間を持つようにしています。デイサービスにいかない週末は、介護の時間が長く、自分の時間が限られています。

事例③ 【介護者】正社員/同居 【要介護者】要介護度3

平日は仕事のため、ショートステイに預けています。金曜日の帰宅後は、自分が中心に介護をしていますが、トイレ介助や通院など、負担が大きいため、訪問介護を1日3回いれて、自分の時間をとるようにしています。

このように、要介護度が上がるほどサービスだけでは補いきれない時間が増えていくことがわかります。特に仕事をしながら同居で介護をしている場合は、両立が難しくなりやすいです。ある調査では、介護経験者の約2割(21.6%)が介護を理由に仕事を辞めており、年間約9万人が介護離職しています(内閣府調査)。そのため、訪問介護やデイサービス、ショートステイなどのサービスをうまく活用していく必要があります。

【時間への影響チェックポイント】
介護サービスをうまく使うことで、自分の時間をある程度確保できます
「サービスに頼るのは申し訳ない」という気持ちは不要です。サービスを使うことが、介護を長く続けるコツです
要介護度が高くなると、夜間の対応が必要になる場合があります
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精神面への影響

介護が始まると、精神的な負担も大きくなります。介護をしている方の6割以上が精神的なつらさを感じているという調査結果があります。「自分だけが頑張らなければ」という気持ちが続くと、心も体も限界に達してしまうことがあります。

介護経験者が感じた負担・悩み(複数回答)
介護疲れ・疲労(1位) 45.7%
被介護者の状態・症状への不安(2位) 44.3%
介護費用・お金のこと(3位) 31.0%
プライベート時間への影響(4位) 24.7%
仕事への影響(5位) 19.0%

ケアスル 介護の調査では、介護経験者の約半数(45.7%)が「介護疲れ・疲労」を最も大きな悩みとして挙げています(アンケートVer.2、n=300、2023年)。また、「相談しても悩みが解消しなかった」と感じた方が58.3%にのぼっており、周囲に頼れない孤独な介護の実態が浮かび上がっています。一人で抱え込まず、ケアマネジャーや相談窓口につながることが、自分を守る第一歩です。

「もう限界」と感じる前に、相談窓口やサービスに頼ることが大切です。介護をしている本人が元気でいることが、親のためにもなります。
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【この章のまとめ:「共倒れ」を防ぐために今から動こう】
介護が始まると、お金・時間・精神の3つが同時に影響を受けます
準備がない状態で介護が始まると、介護をする側が先に倒れてしまう「共倒れ」になるリスクがあります
「いざとなったら考えよう」ではなく、今から準備しておくことが自分と親の両方を守ります

親の介護が始まる前、自分の生活を守るためにできる準備

介護は「自分が全部やらなければ」と考えると、すぐに限界が来てしまいます。介護をマネジメントする意識を持ち、家族・制度・サービスをうまく使うことが自分の生活を守るカギです。実際に介護休業などの支援制度を利用している方はわずか約10%にすぎず、多くの方が使える支援を知らずに一人で抱えています。
介護が本格化する前に、介護にかかる費用の把握・試算、親の資産の把握、家族で介護方針の話し合い、使える制度の把握の4つを準備しておきましょう。

介護にかかる費用を把握・試算する

介護はいつ始まるかわかりません。費用の目安を先に知っておくことで、「お金が足りなくて介護できない」という最悪の事態を防げます。まずは在宅介護・施設入居それぞれの費用総額をざっくり試算してみましょう。

介護費用を考えるときに押さえる項目
① 介護が何年続くか 平均は約4年7ヶ月。ただし10年以上になるケースも珍しくない
② 在宅介護の月額費用 要介護度により月3〜7万円台。全体平均は月5万円
③ 施設に移ったときの月額費用 施設の種類により異なる(特養:月4〜15万円、介護付き有料:月20〜40万円など)
④ 施設に入居している期間 特養の平均は約3.5年、介護付き有料老人ホームは約3.2年
⑤ 住宅改修(一時費用) 手すり設置・段差解消などのリフォーム費用。介護保険で最大20万円まで補助あり

介護期間は平均55ヶ月(約4年7ヶ月)続きます(生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」2024年度)。
ずっと在宅で続けるケースもあれば、途中から施設に移るケースもあります。施設に入居した場合の平均滞在期間は、特養で約3.5年、介護付き有料老人ホームで約3.2年です(厚生労働省調査)。親の貯蓄や年金でどこまで賄えるかを把握しておくと、自分がどれだけ負担するかの目処が立ちます。

【費用把握のチェックポイント】
「在宅でどのくらい、施設でどのくらいかかるか」を大まかに把握するだけでも安心感が違います
正確な試算はケアマネジャー(介護の専門相談員)に相談するのが一番確実です
試算をもとに、今から少しずつ介護費用を積み立てておくと安心です

親のお金の状況を確認する

介護が始まってから「親の通帳がどこにあるかわからない」「保険に入っていたかどうか不明」という状況に陥ると、手続きが大幅に遅れます。親が元気なうちに、お金に関する情報を一緒に整理しておきましょう

確認しておきたい親のお金の情報
貯金・預金 銀行名・支店名・おおよその残高
年金の受給額 毎月いくら受け取っているか(「ねんきん定期便」で確認可)
生命保険・医療保険 加入保険会社・保険証券番号・入院給付金の有無
不動産 持ち家か賃貸か・住宅ローンの残高の有無
借金・ローン 消費者金融・カードローン等の有無と残高

「親にお金の話を切り出しにくい」と感じる方は多いです。いきなり「財産を教えて」と言うと警戒されるため、話題の切り出し方を工夫しましょう。

【切り出し方の例文】
NG:「最近ボケてきたからさ〜」→ 親が傷つき、話し合いが難しくなります
OK:「友達の親が急に入院して、お金のことで困ったって言ってたんだよね。うちも一回整理しておこうかなと思って」
OK:「ネットで記事を読んでたんだけど、介護が始まる前に親のお金を把握しておくといいって書いてあって。一緒に確認させてほしいんだけど」

家族で介護方針を話し合う

介護が始まってから家族間でもめるケースは非常に多いです。「誰が・いつ・どんな形で介護を担うか」を介護が始まる前に話し合っておくことが、家族全員の生活を守ります。話し合いが難しいと感じる場合も、まず「介護についていつか話したい」と伝えるだけで十分です。

家族で話し合っておきたいこと
親の希望 在宅で介護してほしいか・施設でも構わないか。延命治療の希望
役割分担 誰が主に介護を担うか・近くに住む兄弟が対応するか・遠方の兄弟は費用を負担するかなど
費用の負担割合 親の資産でどこまで賄うか・不足分を兄弟で分担するか
もめやすいポイント 「同居している兄弟だけが介護をしている」「お金を出す・出さない」「施設に入れるかどうか」の3点がトラブルになりやすい

ケアスル 介護の調査では、介護経験者の40.8%が「家族間で揉めた経験がある」と回答しています(アンケートVer.17、n=250、2023年)。最も多かったトラブルは「役割分担の不公平」で、次いで「費用負担の意見相違」「施設入居をめぐる対立」でした。こうした揉め事の多くは、介護が始まる前に話し合いをしておけば防げたものです。後悔する前に、早めに家族で方針を共有しておきましょう。

家族間で意見がまとまらない場合は、ケアマネジャー(介護の専門相談員)や地域包括支援センター(地域の介護相談窓口)に間に入ってもらうことも選択肢です。第三者が入ることで、話し合いがスムーズに進む場合があります。
前北栞里_プロフィール画像
ケアアドバイザー前北
家族会議は「介護について話し合う場」と構えず、食事や帰省のタイミングに「最近こういう記事を読んでさ」と軽く話題にするだけでも十分です。大切なのは、親の意向を早めに確認しておくこと。介護が始まってから親に意思確認ができなくなるケースも多く、「親がどうしたかったのか」でもめるご家族を何組も見てきました。介護が本格化する前に、「介護形態はどうするか」を話しておきましょう。

使える制度を事前に知っておく

介護に関わる制度を知っておくと、いざというときに慌てずに動けます。特に仕事をしている方は、職場の介護休業・介護休暇制度を把握しておくと、介護が始まったときに行動がスムーズです。

事前に知っておきたい介護の制度
介護保険制度 40歳以上が毎月保険料を払い、65歳以上(または40〜64歳で特定の病気がある方)が介護サービスを安く使える制度。自己負担は原則1割
要介護認定 介護保険サービスを使うために必要な申請。市区町村の窓口または地域包括支援センターで申請でき、判定まで約1ヶ月かかる
介護休暇(職場の制度) 介護が必要な家族1人につき年5日(2人以上なら年10日)取得できる。1日または半日単位で取得可能
介護休業(職場の制度) 家族1人につき通算93日まで・最大3回に分けて休める。休業中は賃金の67%が給付金として支給される
地域包括支援センター 介護に関するあらゆる相談を無料で受け付ける地域の窓口。要介護認定の申請代行もしてもらえる

制度は知らないと使えません。実際に介護休業などの制度を利用した介護経験者はわずか約7%にとどまり、22%以上が「制度の存在を知らなかった」と回答しています(ケアスル 介護 独自調査)。まずは「こういう制度がある」と知っておくだけで、いざというときの選択肢が増えます。

【制度活用のチェックポイント】
介護休業・介護休暇は法律で定められた権利です。遠慮なく使いましょう
職場の制度は、会社の就業規則や人事部門で確認できます
地域包括支援センターは市区町村ごとに設置されています。親の住む市区町村の窓口に問い合わせましょう

親の介護が本格化する前に、自分の生活を守るためにすぐやるべきこと

「様子を見よう」と後回しにすると、実際にサービスを使い始めるまでに数ヶ月かかることがあります。介護が必要だと気づいたら、まず動き出すことが最優先です。要介護認定(介護保険サービスを使うために必要な手続き)の申請から判定まで約1ヶ月かかるため、気になる兆候があったらすぐに行動することが、自分の生活を守ることにもつながります。

動き出すタイミングを見極める

介護が必要なサインは、身体・認知・生活の3つの変化に現れます。「もしかして?」と感じたら、以下のチェックリストで確認してみましょう。いくつか当てはまる場合は、早めに専門家に相談することをおすすめします。

【介護が必要なサイン チェックリスト】

▼ 身体の変化
転倒や転びそうになることが増えた
歩き方がふらついている・小股になっている
体重が急に減った・食事量が明らかに減っている
入浴や着替えを嫌がるようになった

▼ 認知の変化
同じことを何度も聞いてくる
日付や曜日・季節がわからなくなってきた
物の置き忘れが増えた・探し物が多くなった
料理を焦がす・火を消し忘れるようになった

▼ 生活の変化
家の中が以前より散らかっている
冷蔵庫に同じものが大量に入っている
薬の飲み忘れが増えた・薬が余っている
光熱費の請求書が未払いになっていた

遠方に住んでいる場合の確認ポイント
帰省時に確認すること 冷蔵庫の中身・部屋の散らかり具合・体つきや顔色・歩き方・郵便物(未開封が多くないか)
電話でわかること 会話が噛み合わない・同じ話を繰り返す・声のトーンが暗い・電話に出るまで時間がかかるようになった
自治体のサービスを活用 親が住む市区町村の「見守りサービス」や「安否確認訪問」を利用すると、遠くにいても状況を把握しやすくなります

「なんとなく心配」という段階でも、地域包括支援センター(介護の無料相談窓口)に相談するだけでよいです。何も決めなくて構いません。早めに相談しておくと、いざというときに動きやすくなります。

チェックリストに複数当てはまる場合でも、「まだ大丈夫かな」と思いがちです。しかし、要介護認定の申請から認定まで約1ヶ月かかります。サインに気づいたら、早めに動き始めることが重要です。

介護開始直後にやること。スムーズに動くための環境・仕組みを整える

「何から手をつければいいかわからない」という方のために、やるべきことを順番にまとめました。すべてを一度にやる必要はありません。まず①と②だけでも動き出すことが大切です。

介護が必要になったときのTODOリスト
順番 やること なぜやるか
地域包括支援センターに相談する 無料で何でも相談できる。次に何をすればよいかを教えてもらえる。親の住む市区町村の窓口に電話一本でOK
要介護認定を早めに申請する 認定が下りるまで約1ヶ月かかる。認定前は介護保険サービスを使えないため、一刻も早く申請する
かかりつけ医に相談・診断書を準備する 要介護認定の審査に主治医意見書が必要。かかりつけ医がいない場合は、地域包括支援センターに相談すると紹介してもらえる
ケアマネジャーを探して契約する ケアマネジャー(介護サービスを組み立ててくれる専門家)は、認定後に必要なサービスを手配してくれる。早めに探しておくとスムーズ
兄弟・家族に状況を共有する 一人で抱え込まないために、早めに状況を共有する。H2-2で話し合った役割分担をこの段階で改めて確認する
職場に報告・介護休業制度を確認する 早めに職場に伝えることで、業務調整や制度利用がしやすくなる。介護休暇(年5日)は申請すればすぐ取得できる

特に②の要介護認定の申請は、最優先で動く必要があります。申請していない間は、デイサービス(通いの介護サービス)や訪問介護(自宅に来てくれる介護サービス)などの介護保険サービスが使えません。「まだそこまでじゃないかも」と思っていても、申請だけは早めにしておくことをおすすめします。

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ケアアドバイザー前北
介護相談に来られる方の多くが、「もっと早く相談すればよかった」とおっしゃいます。特に要介護認定の申請は、迷っているうちに時間が過ぎてしまうケースが非常に多いです。「地域包括支援センターに電話する」というたった一歩が、その後の介護生活をずっと楽にしてくれます。
【すぐやること チェックポイント】
まず①地域包括支援センターへの相談と、②要介護認定の申請だけでも動き始めましょう
要介護認定は申請から約1ヶ月かかります。認定が下りるまでの間、介護保険サービスは使えません
一人で全部やろうとしなくてよいです。ケアマネジャーが手配を手伝ってくれます

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在宅介護で自分の生活を守るためにできる工夫

在宅介護が始まったら、「全部自分でやらなければ」と思わないことが最初のルールです。一人で抱え込むと、精神的・身体的な限界がすぐに来てしまいます。在宅介護と仕事・育児が重なる「ダブルケア」の状態にある方は全国で約25万人おり(内閣府調査)、お金・時間・精神面それぞれの工夫を組み合わせることが、自分の生活を守るカギになります。

お金に余裕がない場合

介護費用が家計を圧迫していると感じたら、費用を軽減できる制度が複数あります。難しく考える必要はなく、「こういう制度がある」と知っておくだけで、いざというときの選択肢が増えます。

介護費用を抑えるための主な制度
高額介護サービス費 1ヶ月に支払った介護サービスの費用が一定額を超えると、超えた分が返ってくる制度。申請すれば後から口座に振り込まれる
負担限度額認定 収入・資産が一定以下の方が施設に入居する場合、食費・居住費が安くなる制度。市区町村に申請が必要
社会福祉法人による軽減 低所得の方を対象に、特定の介護サービス事業所が費用を最大25%軽減してくれる制度
自治体独自の補助 紙おむつの費用補助・配食サービスの補助など、市区町村ごとに異なる補助が存在する。住んでいる自治体の窓口で確認を

これらの制度を活用することで、デイサービスの利用頻度を増やしたり、紙おむつなどの日用品の費用を抑えたりすることができます。使える制度は自治体によって異なるため、まず自分で調べてから、市区町村の窓口またはケアマネジャーに「使える制度があるか確認してほしい」と伝えましょう。

【お金の工夫 チェックポイント】
高額介護サービス費は申請しないと返ってきません。ケアマネジャーに「申請が必要な制度はありますか?」と確認しましょう
自治体の独自補助は、市区町村の介護担当窓口またはケアマネジャーに相談すると教えてもらえます
制度の内容は定期的に変わるため、最新情報は窓口で確認することが大切です

仕事・育児と介護が重なっている場合

仕事や育児と介護が重なると、自分の時間は急激に減ります。デイサービス・ショートステイをうまく組み合わせることで、まとまった自分の時間を確保できます

上記からもわかるように、サービスの利用頻度を増やすほど、仕事・育児・自分の時間を守りやすくなります。土日のどちらかは自分の時間が欲しい場合は、デイサービスなども組み合わせましょう

サービス活用パターンと自分の時間の変化(同居・要介護2〜3の場合)
サービスの活用状況 介護の拘束時間 仕事・育児・自分の時間
サービスなし ほぼ終日・目が離せない 非常に少ない。仕事の継続が困難になりやすい
デイサービス週3回 週3日の日中は施設にいるため在宅介護不要 平日昼間の時間を3日分確保できる。仕事のパフォーマンスが安定しやすい
デイサービス週5回 平日の日中はほぼ施設。朝送り出し・夕方迎えのみ フルタイム勤務との両立がしやすくなる
デイサービス週5回+ショートステイ月5回 ショートステイ中は完全に介護から離れられる 月5日分のまとまった休息・育児・仕事の時間を確保できる

また、職場の介護休業制度(通算93日まで取得可能)は、「長期で休む」だけでなく、ケアマネジャーや施設を探す時間を確保するために短期間使うこともできます。介護休業で一時的に休むことで自分の体と心を守ることが、結果として長く働き続けることにつながります。テレワークや時短勤務への変更が可能かどうかも、早めに職場に確認しておきましょう。

【仕事・育児と介護の両立 チェックポイント】
デイサービスの利用日数を増やすほど、自分の自由な時間が増えます
ショートステイはまとまった休息・旅行・入院時の緊急対応としても活用できます
介護休業は「仕事を完全に辞める前に使う制度」です。離職の前に必ず検討しましょう

精神的にしんどくなってきた場合

介護が続くと、誰でも精神的につらくなることがあります。「しんどい」と感じたら、それは限界のサインです。一人で抱え込まず、相談窓口・レスパイトケア・介護者コミュニティの3つを活用しましょう。

精神的につらいときに頼れる3つの選択肢
選択肢 内容 始め方
相談窓口に電話する 地域包括支援センター・ケアマネジャー・自治体の介護相談窓口に、気持ちのしんどさも含めて相談できる 無料。電話一本で相談可能
レスパイトケアを使う 介護者が休むために親をショートステイに預け、まとまった時間を確保すること。「レスパイト(休息)」が目的のため、罪悪感を持つ必要はない ケアマネジャーにショートステイの手配を依頼する
介護者コミュニティに参加する 同じ立場の介護者が集まる「介護者サロン」や「家族の会」で、気持ちを話せる場がある 地域包括支援センターや自治体の広報で開催情報を確認できる

ケアスル 介護の調査では、介護で困ったときに最も頼りにされた相手は「ケアマネジャー」(67.5%)で、次いで「病院・医者」(27.9%)、「家族・親族」(24.8%)、「地域包括支援センター」(7.5%)でした(アンケートVer.5、n=5,000、2023年)。「誰かに話す」だけでも気持ちが楽になることは多く、困ったときにすぐ相談できる相手を事前に見つけておくことが大切です。

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【介護アンケートVer.5】介護施設の相談先に関するアンケート
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「親に申し訳ない」「自分が全部やらなければ」という気持ちが強くなりすぎると、介護者自身が倒れてしまいます。レスパイトケアや相談窓口を使うことは、親を見捨てることではなく、介護を長く続けるための賢い選択です。
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施設入居を検討するタイミングと進め方

在宅介護に限界を感じたとき、施設入居は「親を見捨てること」ではありません。施設に預けることは、親も自分も守るための選択肢のひとつです。介護者が無理をして倒れると、その後の介護を誰もできなくなります。「限界が来てから考える」のではなく、余裕があるうちに施設という選択肢を知っておきましょう。

施設入居を考え始めるタイミングは、「親の状態」と「介護者の状態」の両方から判断することが大切です。どちらか一方だけが限界でも、施設を検討するサインになります。

在宅介護の「危険サイン」チェックリスト
▼ 親側のサイン
転倒・骨折のリスクが高い ふらつきが強く、一人で立ち上がれなくなってきた
夜間の対応が必要になった 夜中に起き出す・徘徊(はいかい)する・排泄の介助が必要になった
医療的なケアが増えた 胃ろう・吸引など、在宅では対応が難しい処置が必要になった
▼ 介護者側のサイン
睡眠が取れない日が続く 夜中の対応が続いて慢性的な睡眠不足になっている
「もう嫌だ」と感じる日が増えた 介護への怒り・悲しみ・虚無感が続いている
仕事・育児への影響が大きい 遅刻・早退・欠勤が増え、離職を考え始めている
施設入居を検討したきっかけ(複数回答)
順位 きっかけ 割合
1位 病気や認知症が悪化した 42.4%
2位 在宅介護に限界を迎えた 37.2%
3位 自宅での転倒・骨折などの怪我 22.8%
4位 入院・退院後の在宅復帰が難しかった 18.0%
5位 遠距離介護が困難になった 12.4%

施設入居を検討したきっかけの1位は「病気や認知症の悪化」(42.4%)、2位は「在宅介護の限界」(37.2%)です(ケアスル 介護 アンケートVer.17、n=250、2023年)。「まだ大丈夫」と思っているうちに状態が急変するケースも多く、余裕があるうちから施設の情報を調べておくことが安心につながります。

【施設を検討し始めるタイミングのポイント】
「もう少し様子を見よう」と思いがちですが、人気の施設は入居まで数ヶ月〜1年以上かかる場合があります
「見学だけ」「話を聞くだけ」でも構いません。まず情報収集を始めるだけでよいです
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