「親が高齢になってきた。でも、介護のことは何も知らない……」そう感じている方は多いのではないでしょうか。
介護は、平均すると約4年7ヶ月続くとされています。突然始まることも少なくないため、事前に基本的な知識を持っておくことが大切です。
この記事では、親の介護に関して多くの方が気になる「役割分担」「時間」「期間」「場所」「費用」「準備」の6つのテーマを、わかりやすくまとめました。
各テーマの詳しい内容は、専用の記事でも解説しています。気になるテーマから読み進めてみてください。
出典:2024(令和6)年度「生命保険に関する全国実態調査」(2025年1月発行) | 生命保険文化センター
【役割分担編】知っておきたい親の介護
親の介護は、子どもの義務となります。ただし、「できる範囲で助ける」程度の義務であり、すべてを一人で担う必要はありません。
また、誰がどのように介護を担うかについて法律上の決まりはないため、家族で話し合って決めることが大切です。
親の介護は子どもの義務
親の介護は、法律上、子どもの「義務」です。
ただし、自分の生活が成り立つ範囲で助ければよいとされており、無理をして介護を続ける義務はありません。
民法の第877条には、「直系血族(親と子)は互いに扶養しなければならない」と定められています。
ただし子どもが親に負う義務は「生活扶助義務」です。自分の生活を犠牲にしてまで介護する義務ではありません。
・一人で全部担う義務はない。兄弟・姉妹全員に同等の義務がある
・親の介護を断り続けると、家庭裁判所から扶養義務の履行を求められる場合がある
介護の分担で決まったルールはない
親の介護を「誰が・どのように」担うかについて、法律上の決まりはありません。兄弟や家族で話し合って決めるしかないのが現実です。
「長男が介護するべき」「近くに住んでいる人が担うべき」といった慣習はありますが、こちらも法律上の根拠はありません。
兄弟が遠方にいるといったケースも多いでしょう。この場合も介護が必要になっている状況を伝え、やはりどのように分担していくかを決めていく必要があります。

【時間編】知っておきたい親の介護
1日の介護にかかる時間は、親の要介護度(介護に必要な支援のレベル)によって大きく異なります。
ただし、フルタイムで働きながら介護を続けている方は多く、仕事との両立は介護サービスを活用することで実現できます。
そこで本章では、一日の平均介護時間と仕事との両立についてご紹介していきます。
1日の平均介護時間
1日の介護時間は、基本的に要介護度が上がるほど長くなります。
在宅介護の場合、要介護3以上になると家族だけで対応するのが難しくなるケースが増えるため、施設に任せるのが一般的です。施設に任せることで、介護に使う時間を大きく減らすことができます。
以下は要介護度別の介護時間の目安です。
長期間にわたって介護を続けるためには、最初から一人で抱え込まず、介護サービスや親族での分担を考えることが大切です。
仕事との両立は可能か
仕事と介護の両立は可能です。
国の制度として、介護をしながら仕事している方向けの制度が多くあります。これらの制度を活用するほか、有給休暇などを使いながら介護の時間を確保している方も多いです。

一度退職すると再就職が難しくなるケースも多いため、「仕事も続けたい」という方は介護サービスのほか、国や職場の制度を活用していきましょう。
【期間編】知っておきたい親の介護
親の介護が続く期間は、平均で4年7ヶ月とされています。ただしこれはあくまでも平均値であり、10年以上にわたるケースも珍しくありません。
介護期間に影響する主な要因は、次の通りです。
介護期間が長くなるほど、費用・体力・精神面で大きな負担がきてしまいます。
「いつ終わるかわからない」という不安を感じやすいからこそ、早い段階から介護サービスや施設の利用を視野に入れておくことが大切です。
【場所編】知っておきたい親の介護
介護は「自宅で行う(在宅介護)」か「施設に入居する」かの大きく2つの選択肢があります。
どちらが合うかは、親の要介護度と家族の状況によって異なります。
要介護度を目安に、それぞれの特徴を確認しておきましょう。
自宅で介護
要介護1〜2であれば、在宅の介護サービスを活用しながら自宅で介護を続けることが可能です。
介護保険を使ったサービスを組み合わせることで、家族の負担を減らしながら自宅での生活を支えられます。
遠方に住んでいる場合は「遠距離介護」という選択肢もあります。担当のケアマネジャー(介護の専門家)に連絡を取りながら、現地のサービスに任せる方法です。
ケアマネージャーであり社会福祉士でもある桐島さんにお話を伺いました。


施設で介護
要介護3以上になると、在宅での介護が難しくなるケースが増えます。
『ケアスル介護 独自調査レポート 2026』によると「在宅介護が難しくなったこと」が施設探しのきっかけとして最多(30%)という調査結果もあります。
人気の施設は待機者が多くいるケースもあるため、施設入居を検討しているのであれば早めの相談・申し込みが必要です。
なお、同調査によると、施設入居を経験した方の約半数(51%)が「入居後に後悔を感じた」という結果があります。
後悔を減らすためには、元気なうちから複数の施設を見学し、親の希望を確認しておくことが重要です。
【費用編】知っておきたい親の介護
介護費用は、在宅か施設かによって大きく異なります。『ケアスル介護 独自調査レポート 2026』によると、約55%の家庭では、親の年金や貯蓄で費用を賄えています。
ただし不足する場合は子どもが補う必要があるため、事前に費用の目安を把握しておくことが大切です。
自宅で介護する費用
在宅介護にかかる費用の月額目安は、生命保険文化センターの調査によると約5万円とされています。
在宅介護でかかる主な費用を以下にまとめました。また、介護費用には負担軽減制度もありますので、活用できるものがあれば積極的に申請しましょう。
出典:介護にはどれくらいの費用・期間がかかる? | 生命保険文化センター
老人ホームなどの施設で介護する費用
老人ホームなどの施設で介護する場合の月額費用の目安は、生命保険文化センターの調査によると約14万円とされています。
なお、施設介護の月額費用は施設の種類によって大きく異なるためご注意ください。高級老人ホームなどでは、入居金で1000万円、月額費用で50万円以上といったところもあります。
公的施設である特養などは比較的安価ですが、入居待ちになっているケースが多いです。

出典:介護にはどれくらいの費用・期間がかかる? | 生命保険文化センター
親の介護に向けて準備しておくとよいこと
介護は突然始まることが多く、準備なく介護が始まると費用・役割分担・施設選びで家族間のトラブルが起きやすくなります。
親が元気なうちに、以下の4つを確認・話し合っておくことが重要です。
親の経済状況を把握しておく
親の介護が始まると、費用をどう工面するかが大きな課題になります。
厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況」によると、70代以上の平均貯蓄額は1,233万円とされています。
介護費用は、基本的に親自身の年金や収入で賄うものです。しかし、足りない場合は生活に影響がない程度に子が工面しなければなりません。
そのため、親自身の年金や資産で介護費用は足りるのかどうかを前もって把握しておくことが大切です。

将来の希望を親と話し合っておく
「自宅で介護を受けたいか」「施設に入ってもよいか」など、親の希望を元気なうちに確認しておくことが、後悔しない介護につながります。
・自宅で介護を受けたいか、施設に入ってもよいか
・介護費用は誰がどう負担するか
・介護が必要になったとき、最初に誰に連絡するか
・延命治療に関する希望

兄弟がいる場合は分担について話し合っておく
兄弟がいる場合、介護が始まる前に役割分担を決めておくことで、「自分ばかりが負担している」という不公平感やトラブルを防げます。
・誰が「主たる介護者」になるか
・遠方の兄弟は「情報収集」「費用の分担」などの役割を担う
・介護費用を子どもが補う場合、誰がいくら出すか
・重要な決断(施設入居・手術など)は誰が最終決定権を持つか
介護に関する相談先を確認しておく
介護に関する悩みや手続きは、一人で抱え込まず専門の窓口に相談することが大切です。
相談は無料でできる窓口が多くあります。
まとめ
親の介護は、事前の準備と正しい知識があれば、一人で抱え込まずに乗り越えられます。
この記事で解説した6つのポイントを振り返っておきましょう。
・【役割分担】子どもには「できる範囲で助ける」義務がある。分担方法は家族で話し合って決める
・【時間】介護期間の平均は約4年7ヶ月。フルタイム勤務を続けながら介護している人は多い
・【期間】長期化に備え、介護サービスの活用・費用の準備を早めに始める
・【場所】要介護1〜2は在宅、要介護3以上になると施設入居を本格的に検討する
・【費用】在宅介護の月額目安は約5万円、施設介護は約14万円
・【準備】親が元気なうちに経済状況・将来の希望・兄弟の分担を話し合っておく
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