• 親の介護
  • 【公開日】2021-01-12
  • 【更新日】2026-06-17

親の介護、何から始める?役割分担や費用・準備まで一気に解説

親の介護、何から始める?役割分担や費用・準備まで一気に解説

「親が高齢になってきた。でも、介護のことは何も知らない……」そう感じている方は多いのではないでしょうか。

介護は、平均すると約4年7ヶ月続くとされています。突然始まることも少なくないため、事前に基本的な知識を持っておくことが大切です。

この記事では、親の介護に関して多くの方が気になる「役割分担」「時間」「期間」「場所」「費用」「準備」の6つのテーマを、わかりやすくまとめました。

各テーマの詳しい内容は、専用の記事でも解説しています。気になるテーマから読み進めてみてください。

出典:2024(令和6)年度「生命保険に関する全国実態調査」(2025年1月発行) | 生命保険文化センター

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【役割分担編】知っておきたい親の介護

親の介護は、子どもの義務となります。ただし、「できる範囲で助ける」程度の義務であり、すべてを一人で担う必要はありません。

また、誰がどのように介護を担うかについて法律上の決まりはないため、家族で話し合って決めることが大切です。

親の介護は子どもの義務

親の介護は、法律上、子どもの「義務」です。

ただし、自分の生活が成り立つ範囲で助ければよいとされており、無理をして介護を続ける義務はありません。

介護義務の種類
生活保持義務 自分と同じ生活水準を維持させる義務。夫婦・親が未成年の子どもに対して負う
生活扶助義務 成人した子どもが親に対して負うのはこちら。自分の生活が成り立つ範囲で助ける義務

民法の第877条には、「直系血族(親と子)は互いに扶養しなければならない」と定められています。

ただし子どもが親に負う義務は「生活扶助義務」です。自分の生活を犠牲にしてまで介護する義務ではありません。

【チェックポイント】
一人で全部担う義務はない。兄弟・姉妹全員に同等の義務がある
親の介護を断り続けると、家庭裁判所から扶養義務の履行を求められる場合がある
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介護の分担で決まったルールはない

親の介護を「誰が・どのように」担うかについて、法律上の決まりはありません。兄弟や家族で話し合って決めるしかないのが現実です。

「長男が介護するべき」「近くに住んでいる人が担うべき」といった慣習はありますが、こちらも法律上の根拠はありません。

兄弟が遠方にいるといったケースも多いでしょう。この場合も介護が必要になっている状況を伝え、やはりどのように分担していくかを決めていく必要があります。

前北栞里_プロフィール画像
ケアアドバイザー前北
遠方に住んでいる兄弟ができることは、基本的には「情報収集」と「お金を出すこと」の2つくらいです。だからこそ、兄弟間で「誰が何の権限を持つか」「私はこれには口を出さない」といった役割分担を事前にしっかり決めてしまうことが一番大事ですね。
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【時間編】知っておきたい親の介護

1日の介護にかかる時間は、親の要介護度(介護に必要な支援のレベル)によって大きく異なります。

ただし、フルタイムで働きながら介護を続けている方は多く、仕事との両立は介護サービスを活用することで実現できます。

そこで本章では、一日の平均介護時間と仕事との両立についてご紹介していきます。

1日の平均介護時間

1日の介護時間は、基本的に要介護度が上がるほど長くなります。

在宅介護の場合、要介護3以上になると家族だけで対応するのが難しくなるケースが増えるため、施設に任せるのが一般的です。施設に任せることで、介護に使う時間を大きく減らすことができます。

以下は要介護度別の介護時間の目安です。

要介護度別の介護の目安
要介護1〜2 日常的な見守りや部分的な介助(食事・入浴のサポートなど)。在宅での介護サービス利用で対応しやすい
要介護3〜4 ほぼ全面的な介助が必要。在宅の場合はデイサービスや訪問介護など複数のサービス活用が現実的
要介護5 全面的な介助が必要。施設への入居を検討するケースが多い

長期間にわたって介護を続けるためには、最初から一人で抱え込まず、介護サービスや親族での分担を考えることが大切です。

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仕事との両立は可能か

仕事と介護の両立は可能です

国の制度として、介護をしながら仕事している方向けの制度が多くあります。これらの制度を活用するほか、有給休暇などを使いながら介護の時間を確保している方も多いです。

親の介護のおける休み方・働き方

仕事と介護を両立するための主な制度
介護休暇 対象家族1人につき年5日(2人以上は年10日)取得できる休暇
介護休業 対象家族1人につき最大93日間取得可能。3回まで分割して取得できる
介護休業給付金 介護休業中は、休業前の給与の約67%が支給される

一度退職すると再就職が難しくなるケースも多いため、「仕事も続けたい」という方は介護サービスのほか、国や職場の制度を活用していきましょう。

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【期間編】知っておきたい親の介護

親の介護が続く期間は、平均で4年7ヶ月とされています。ただしこれはあくまでも平均値であり、10年以上にわたるケースも珍しくありません。

介護期間に影響する主な要因は、次の通りです。

介護期間に影響する主な要因
疾患の種類 認知症は長期化しやすい。骨折や急性疾患は比較的期間が短い傾向がある
要介護度の進行 介護度が上がるほど必要なサポートが増え、在宅での対応が難しくなることがある
介護する場所 在宅か施設かによって、家族が直接介護にかかわる時間や負担の大きさが変わる

介護期間が長くなるほど、費用・体力・精神面で大きな負担がきてしまいます。

「いつ終わるかわからない」という不安を感じやすいからこそ、早い段階から介護サービスや施設の利用を視野に入れておくことが大切です。

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【場所編】知っておきたい親の介護

介護は「自宅で行う(在宅介護)」「施設に入居する」かの大きく2つの選択肢があります。

どちらが合うかは、親の要介護度と家族の状況によって異なります。

要介護度を目安に、それぞれの特徴を確認しておきましょう。

自宅で介護

要介護1〜2であれば、在宅の介護サービスを活用しながら自宅で介護を続けることが可能です。

介護保険を使ったサービスを組み合わせることで、家族の負担を減らしながら自宅での生活を支えられます。

在宅介護で使える主なサービス
訪問介護 ヘルパーが自宅を訪問し、食事・入浴・排せつなどを介助する
デイサービス 日中、施設に通って食事・入浴・リハビリなどを受ける。家族のひとり時間を確保できる
ショートステイ 数日〜数週間、施設に短期入所する。家族が旅行や通院のときに活用できる

遠方に住んでいる場合は「遠距離介護」という選択肢もあります。担当のケアマネジャー(介護の専門家)に連絡を取りながら、現地のサービスに任せる方法です。

ケアマネージャーであり社会福祉士でもある桐島さんにお話を伺いました。

専門家_桐島慎治
ケアマネージャーであり社会福祉士でもある桐島さん
監修者プロフィール_桐島 慎治(きりしま しんじ)_株式会社ケアリサーチ
社会福祉士・元ケアマネージャー 桐島さん
要介護1と2に関しては、身体的な面で言えば在宅介護と施設入居の両方が選択肢になります。一方で、要介護3ぐらいになってくると身体介助の量も増えてくるので、在宅生活が少しずつ難しくなるケースが増え、施設入居を本格的に検討する段階に入ってくるのかなと思います。
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施設で介護

要介護3以上になると、在宅での介護が難しくなるケースが増えます。

『ケアスル介護 独自調査レポート 2026』によると「在宅介護が難しくなったこと」が施設探しのきっかけとして最多(30%)という調査結果もあります。

人気の施設は待機者が多くいるケースもあるため、施設入居を検討しているのであれば早めの相談・申し込みが必要です。

主な介護施設の種類
特別養護老人ホーム(特養) 要介護3以上が対象。公的施設で費用が比較的安い。入居待ちになる場合がある
グループホーム 認知症の方向け。少人数(定員18人以下)で共同生活を送る
有料老人ホーム 介護付き・住宅型など種類が多く、要介護度・予算に合わせて選べる
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) 自立〜軽度の要介護の方向け。見守りサービスが付いた賃貸住宅

なお、同調査によると、施設入居を経験した方の約半数(51%)が「入居後に後悔を感じた」という結果があります。

後悔を減らすためには、元気なうちから複数の施設を見学し、親の希望を確認しておくことが重要です。

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【費用編】知っておきたい親の介護

介護費用は、在宅か施設かによって大きく異なります。『ケアスル介護 独自調査レポート 2026』によると、約55%の家庭では、親の年金や貯蓄で費用を賄えています。

ただし不足する場合は子どもが補う必要があるため、事前に費用の目安を把握しておくことが大切です。

自宅で介護する費用

在宅介護にかかる費用の月額目安は、生命保険文化センターの調査によると約5万円とされています。

在宅介護でかかる主な費用を以下にまとめました。また、介護費用には負担軽減制度もありますので、活用できるものがあれば積極的に申請しましょう。

在宅介護の主な費用項目とその負担軽減制度

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介護保険サービス費 自己負担は原則1割(収入によって2〜3割)。高額介護サービス費制度で上限を超えた分は戻ってくる
医療費 通院・薬代など。高額療養費制度や医療費控除(確定申告)で負担を減らせる
住宅改修費 手すりの設置・段差解消など。介護保険で上限20万円まで補助を受けられる
福祉用具レンタル 車椅子・介護ベッドなど。介護保険を使ってレンタルできる

出典:介護にはどれくらいの費用・期間がかかる? | 生命保険文化センター

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老人ホームなどの施設で介護する費用

老人ホームなどの施設で介護する場合の月額費用の目安は、生命保険文化センターの調査によると約14万円とされています。

なお、施設介護の月額費用は施設の種類によって大きく異なるためご注意ください。高級老人ホームなどでは、入居金で1000万円、月額費用で50万円以上といったところもあります。

公的施設である特養などは比較的安価ですが、入居待ちになっているケースが多いです。

主な施設の月額費用の目安
特別養護老人ホーム(特養) 約4万〜15万円
グループホーム 約12万〜18万円
有料老人ホーム 10〜35万円
株式会社ナースビジョン 菅原さん
施設の費用を「高い」とおっしゃる方は多いですが、自宅で暮らしていても家賃や光熱費、食費はかかります。何より施設には24時間介護士さんがいるという「安心感」が含まれていて、その方たちの給料を入居者のみんなでシェアしているんですから、家より高いのは当たり前なんですよね。

出典:介護にはどれくらいの費用・期間がかかる? | 生命保険文化センター

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親の介護に向けて準備しておくとよいこと

介護は突然始まることが多く、準備なく介護が始まると費用・役割分担・施設選びで家族間のトラブルが起きやすくなります。

親が元気なうちに、以下の4つを確認・話し合っておくことが重要です。

親の経済状況を把握しておく

親の介護が始まると、費用をどう工面するかが大きな課題になります。

厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況」によると、70代以上の平均貯蓄額は1,233万円とされています。

介護費用は、基本的に親自身の年金や収入で賄うものです。しかし、足りない場合は生活に影響がない程度に子が工面しなければなりません。

そのため、親自身の年金や資産で介護費用は足りるのかどうかを前もって把握しておくことが大切です。

把握しておくべき情報
年金受給額 毎月いくら受け取っているか。介護費用をどこまで賄えるかの基準になる
貯蓄・資産 預貯金・不動産など。施設入居の費用や医療費の備えになる
保険の内容 民間の介護保険や医療保険に加入しているか。給付条件を確認しておく
前北栞里_プロフィール画像
ケアアドバイザー前北
財産や年金がいくらで、介護度がいくつでといった詳細を夫婦間(老老介護)でしか把握していないことが結構あります。実際に何か起きた時に情報がなさすぎて手遅れになってしまうこともあるので、子世代が早めに踏み込んで状況を把握しに行くことは結構大事です。

出典:2019年 国民生活基礎調査の概況 | 厚生労働省

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将来の希望を親と話し合っておく

「自宅で介護を受けたいか」「施設に入ってもよいか」など、親の希望を元気なうちに確認しておくことが、後悔しない介護につながります。

【話し合っておくべきこと】
自宅で介護を受けたいか、施設に入ってもよいか
介護費用は誰がどう負担するか
介護が必要になったとき、最初に誰に連絡するか
延命治療に関する希望
前北栞里_プロフィール画像
ケアアドバイザー前北
親が「いつでも施設に入れてよ」と軽く言っていても、「じゃあその時のお金って誰が出すの?お母さんの年金全部使ってもいいってことなの?」という具体的なところまで踏み込めていないケースがほとんどです。元気なうちに1回真剣にお金について話すのは大事ですね。切り出しにくい時は「友達の両親が最近施設に入ったらしくて、うちも考えておこうと思うんだけど」と、外の話題をきっかけにすると角が立たなくて話しやすいですよ。
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兄弟がいる場合は分担について話し合っておく

兄弟がいる場合、介護が始まる前に役割分担を決めておくことで、「自分ばかりが負担している」という不公平感やトラブルを防げます。

【兄弟間で決めておくとよいこと】
誰が「主たる介護者」になるか
遠方の兄弟は「情報収集」「費用の分担」などの役割を担う
介護費用を子どもが補う場合、誰がいくら出すか
重要な決断(施設入居・手術など)は誰が最終決定権を持つか
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介護に関する相談先を確認しておく

介護に関する悩みや手続きは、一人で抱え込まず専門の窓口に相談することが大切です。

相談は無料でできる窓口が多くあります。

介護の主な相談窓口
地域包括支援センター 介護に関する総合的な相談窓口。自治体が設置しており、無料で相談できる
市区町村の介護保険窓口 要介護認定(介護サービスを受けるための審査)の申請先
ケアマネジャー 要介護認定を受けたあと、介護サービスの計画を立てる専門家。介護の頼れるパートナー
ケアスル 介護 施設探しの無料相談窓口。ケアアドバイザーが条件に合った施設を提案する
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まとめ

親の介護は、事前の準備と正しい知識があれば、一人で抱え込まずに乗り越えられます。

この記事で解説した6つのポイントを振り返っておきましょう。

【この記事のまとめ】
【役割分担】子どもには「できる範囲で助ける」義務がある。分担方法は家族で話し合って決める
【時間】介護期間の平均は約4年7ヶ月。フルタイム勤務を続けながら介護している人は多い
【期間】長期化に備え、介護サービスの活用・費用の準備を早めに始める
【場所】要介護1〜2は在宅、要介護3以上になると施設入居を本格的に検討する
【費用】在宅介護の月額目安は約5万円、施設介護は約14万円
【準備】親が元気なうちに経済状況・将来の希望・兄弟の分担を話し合っておく

介護施設への入居を検討している方は、ケアスル 介護 の無料相談をご活用ください。条件に合った施設をケアアドバイザーがご提案します。

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