親の介護をしている人の中には、
- せっかく自分が介護しているのに、なんでいちいち文句を言われなくてはならないの…
- 介護をしていない親族から、介護のことに口を挟まれてイライラする…
- 介護のために自分の時間を割かれてもううんざり…
と、モヤモヤしたストレスを抱えている方も少なくないと思います。
そのストレスの正体は、「身体的」「人間関係」「経済的」「孤独感・報われなさ」の4つのタイプに分けて考えると、原因と対処法が見えやすくなります。
本記事では、タイプ別の原因と対処法から、罪悪感との向き合い方、限界を感じたときの施設入所のタイミングまで、順を追って解説します。
まずはご自身がどのタイプに近いか、確認しながら読み進めてみてください。

親の介護のストレスパターン①:身体的負担タイプ
身体的負担タイプは、日々の介助による体力の消耗や睡眠不足が積み重なり、心身の限界に近づいている状態です。
こんな症状があれば身体的負担タイプ
・夜中に何度も起きて排せつの介助をする
・入浴や着替えの介助で腰や肩に痛みを感じる
・休日でも体を休められず疲労が抜けない
夜間の排せつ介助や中腰での介助動作が続くと、慢性的な睡眠不足や体の痛みとして現れます。
こうした負担は、要介護度が上がるほど重くなる傾向があります。
例えば要介護3の方の在宅介護では、食事・入浴・排せつの介助に加えて、身体機能の低下により階段の昇り降りの介助まで必要になることがあります。

身体的負担が重なると、介護者自身が体調を崩したり、入院が必要になったりするケースも珍しくありません。
早めに次の対処法を試し、負担を軽くしていきましょう。
身体的負担を軽くする対処法
身体的負担を軽くするには、介護保険サービスを使って体を休める時間を確保することが有効です。
・ショートステイで数日間、介護から離れる
・主治医に相談し、薬の内容や量を見直してもらう
・介護保険外サービスで自費の休息時間を作る
ショートステイとは、介護施設に短期入所できる介護保険サービスです。連続利用は最大30日までとされており、要介護認定の有効期間によってはこれより短くなる場合があります。利用したい場合は、ケアマネジャーに相談すると手続きを進めてもらえます。
主治医に相談し、親の状態に合わせて服用薬の内容や量を調整してもらうことも、身体的な負担を軽くする方法の一つです。
介護保険外サービスは、旅行の付き添いや趣味の外出など、完全自費で利用できる民間サービスです。市区町村が同居する介護者向けのサービスを提供していることもあるため、選択肢の一つとして検討する価値があります。
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親の介護ストレスパターン②:人間関係負担タイプ
人間関係負担タイプは、兄弟姉妹や親族とのやり取りの中で「なんで私ばかり」という不公平感を抱えている状態です。
こんな症状があれば人間関係負担タイプ
・兄弟や親族から口だけ出されて実際には手伝ってもらえない
・良かれと思ったアドバイスを押し付けのように感じてしまう
・自分ばかりが負担していると感じて連絡を取るのも億劫になる
「なんで私ばかり」と感じる場面が増え、親族への不満が積み重なっている状態です。
親の介護が始まると、親戚や兄弟姉妹との関係が変化し、ストレスが重なることがあります。
良かれと思って伝えられたアドバイスが、介護をしている本人にとっては大きなプレッシャーや批判として受け取られることも少なくありません。
一方で、一人っ子だからといって気楽なわけではなく、兄弟が多ければ多いなりの、一人っ子には一人っ子なりの悩みが生じます。一人っ子で親の介護をしている方は、以下の記事も参考にしてください。

人間関係の負担を軽くする対処法
人間関係の負担は、介護の分担や気持ちを言葉にして伝えることで軽くできます。
・兄弟間で役割分担や費用の負担割合を話し合う
・ケアマネジャーなど第三者を交えて相談する
・話しやすい相手に悩みを聞いてもらう
兄弟姉妹がいる場合は、誰が何を担当するか、費用をどう分担するかを一度話し合っておくと、後々の不公平感を減らせます。
家族だけで話し合うのが難しいときは、ケアマネジャーなど第三者に間に入ってもらうことで、感情的な対立を避けやすくなります。
親の介護ストレスパターン③:経済的負担タイプ
経済的負担タイプは、介護費用や仕事との両立による収入面の不安を抱えている状態です。
こんな症状があれば経済的負担タイプ
・介護保険サービスの利用明細を見るたびに支出が気になる
・親の年金や貯蓄だけで今後も足りるか計算してしまう
・施設入所したくても費用が心配で踏み切れない
介護費用や将来の生活費について、具体的な不安が消えない状態です。
介護が必要になると、これまでの生活費に加えて、公的介護保険サービスを利用した場合の自己負担額がかかります。
在宅介護に限界を感じ、施設入所を希望していても、親の年金や預貯金が乏しく、やむを得ず在宅介護を続けているケースもあります。
親の介護がいつまで続くのか見通しが立てづらく、年金や預貯金で賄い続けられるのか不安に感じる方も少なくありません。
親を施設に入れたいがお金が無い時の対処法について詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。
経済的負担を軽くする対処法
経済的負担は、公的な制度を正しく知ることで見え方が変わります。
介護保険サービスや、生活保護制度(厚生労働省)など、収入や資産の状況に応じて使える公的な制度があります。

収入や資産の状況によって使える制度が異なるため、まずはケアマネジャーや自治体の窓口に相談し、自分の状況ではどの制度が使えるかを確認することが大切です。
親の介護ストレスパターン④:孤独感・報われなさタイプ
孤独感・報われなさタイプは、頑張りを誰にも認めてもらえず、一人で抱え込んでいる状態です。
こんな症状があれば孤独感・報われなさタイプ
・誰にも共感してもらえないと感じる
・自分の頑張りを認めてもらえていないと感じる
・気がかりを一人で抱え込んでしまっている
誰にも共感してもらえず、自分の頑張りが伝わっていないと感じている状態です。
親の介護が始まると、同居していてもしていなくても、親のことが気になる状態が続きます。日常的に気がかりを抱えていると、自分でも気づかないうちにストレスが溜まることがあります。
とくに同居している場合は、日々親の困りごとに向き合う中で、自分のことを後回しにしてしまいがちです。頑張っているのに、誰からもねぎらってもらえないと感じると、孤独感が強まっていきます。
孤独感を和らげる対処法
孤独感は、話しやすい相手に悩みを話すことで和らげられます。
・話しやすい相手に愚痴や悩みを聞いてもらう
・地域の「介護者の会」に参加する
・同じ境遇の人がいるコミュニティを探す
介護の困りごとは一朝一夕で解決できないことがほとんどです。悩みを打ち明けても、すぐに解決策が見つかるとは限りませんが、心を許せる相手に話を聞いてもらうだけで気持ちが楽になることがあります。
お住まいの地域にある「介護者の会」や介護のコミュニティに参加し、介護仲間を見つけるという方法もあります。
例えば東京都港区では、介護家族の会として、日頃の悩みを安心して話せる場が設けられています。
ただし、同じ介護者同士でも状況や家族関係は人それぞれです。「介護者ならわかりあえるはず」と過剰な期待をせず、気負わずに参加してみましょう。
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親の介護でストレスから解放される考え方・行動
一時的な対処だけでなく、日常的にストレスを溜めない仕組みを作ることが、継続的な解放につながります。
完璧を目指さない考え方
介護に完璧を求めすぎないことが、ストレスを溜め込まないための第一歩です。
家族だけですべてに完璧に対応しようとすると、ストレスが重なり、共倒れになりかねません。「できる範囲でやればいい」と考え方を切り替えることが、長く介護を続けるうえで大切です。
専門家のアドバイスや支援をうまく取り入れることも、完璧を目指さないための一つの方法です。
定期的に息抜きの時間を作る仕組みづくり
息抜きの時間は、あらかじめスケジュールに組み込んでおくことが続けるコツです。
【インタビュー情報】
・お名前:須川さん
・性別:男性
・年齢:50代
・職業:介護福祉士
・状況:介護福祉士として、在宅で親を介護する家族への相談支援に携わる
須川さん:「しんどくなったら休もう」ではなく、あらかじめ「この週はショートステイに預けて旅行に行く、休む」といった、外部サービスを利用した息抜き日を生活スケジュールに仕組みとして組み込んでおくべきです。介護から物理的に離れて初めて、自分自身の平穏を取り戻すことができます。
疲れを感じてから休もうとすると、休むタイミングを逃してしまいがちです。月に一度など、あらかじめ息抜きの予定を組み込んでおくことで、無理なく続けられます。
「親の面倒を見ない」罪悪感とどう向き合うか
介護を続ける中で、「親の面倒を見ない」自分を責めてしまう罪悪感を抱える方も少なくありません。
罪悪感を感じてしまう理由
親を大切に思う気持ちがあるからこそ、介護から距離を置くことに罪悪感を覚えます。
「もっとできることがあるのではないか」「親を見捨てているのではないか」という気持ちは、親を大切に思っているからこそ生まれるものです。しかし、その気持ちに縛られすぎると、自分自身を追い詰めてしまいます。
罪悪感と上手に付き合う考え方
罪悪感を完全になくす必要はなく、自分と親、双方にとって無理のない関わり方を探すことが大切です。
介護を外部サービスや施設に任せることは、親を見捨てることではありません。「介護はプロに任せる」と割り切ることも、親子双方にとって良い選択肢の一つです。
介護ストレスが限界?施設入所を検討するタイミング
ここまで紹介したタイプ別の対処法を試してもストレスが減らない、あるいは限界を感じている場合は、施設入所を検討するタイミングです。
・自分の心身に限界を感じたとき(体調不良・不眠など)
・介護度が上がり、在宅での対応が難しくなったとき
・仕事や自分の生活との両立が困難になったとき
・家族の協力が得られず、一人に負担が集中しているとき詳しくは、こちらの記事で解説しています。
親の介護のストレスとの向き合い方のまとめ
親の介護をしている際のストレスとの向きあい方についてまとめてきましたが、いかがでしたでしょうか。
親の介護をしている際のストレスの原因は主に以下の4つのタイプに分けられます。
- 身体的負担タイプ
- 人間関係負担タイプ
- 経済的負担タイプ
- 孤独感・報われなさタイプ
これらの原因からくるストレスに対して一時的にストレスを解消する方法でメンタルや体調を整えるようにしましょう。親の介護を乗り切るには、親と子がお互いにほどよい距離をとることも大切です。
いくら仲の良い親子であっても、家族だけですべて対応しようとすると、ストレスが重なり、共倒れにもなりかねません。そうならないためにも、専門家のアドバイスや支援をうまく取り入れることが欠かせません。また「介護はプロに任せる」と振り切って施設への入所を検討するのも一つの選択肢でしょう。
そのほか親の介護について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。


親の介護でストレスがたまる原因としては主に4つのタイプが考えられます。①身体的負担タイプ ②人間関係負担タイプ ③経済的負担タイプ ④孤独感・報われなさタイプ 詳しくはこちらをご覧ください。
親の介護のストレスを解消する方法を4つ紹介します。①同じ境遇の人に共感してもらう ②主治医に相談する ③ショートステイを利用する ④介護施設・老人ホームに入居してもらう 詳しくはこちらをご覧ください。