老健(介護老人保健施設)の費用の目安は?料金表から高くなる人の特徴まで解説

在宅介護エキスパート協会 代表
所有資格:AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士,社会福祉士,宅地建物取引士
専門分野:在宅介護,老後資金,介護施設全般

NEC 関連会社(現職)でフルタイム勤務の中、10 年以上に渡り遠距離・在宅介護を担う。両親の介護をきっかけに社会福祉士、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーなど福祉に直接的・間接的に関係する資格を取得。その経験や知識を多くの方に役立てていただけるよう「在宅介護エキスパート協会」を設立、代表を務める。詳しくはこちら

老健(介護老人保健施設)の費用の目安は?料金表から高くなる人の特徴まで解説

老健(介護老人保健施設)でかかる費用は大きく分けて①介護サービス費用の自己負担額②居住費③食費からなっています。相場は介護保険サービスの自己負担額や居室タイプによっても異なりますが、平均すると月額8~14万円程度です。

本記事では老健の費用の内訳から、部屋タイプ・介護度別の費用の利用料金表、費用を抑えるコツまで徹底解説します。

 

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目次

老健(介護老人保健施設)とは

 

介護老人保健施設(老健)の特徴

老健とは、要介護1~5の高齢者が「病院から退院することになったが、まだ家庭に戻って自立するのは難しい」といった場合に入所して在宅復帰を目指すための公的老人ホームです。

特養(特別養護老人ホーム)と同じく公的機関が運営している介護施設です。したがって民間施設が運営している介護施設よりも比較的安価に利用することができます。

老健では、医師による医学的管理の下、栄養管理・食事・入浴などの日常的な介護サービスから、医師による医療ケア、作業療法士や理学療法士によるリハビリを提供します。また、夜間の対応もできる点が老健の特徴と言えるでしょう。

入所の対象となるのは65歳以上で要介護1以上の高齢者です。また、在宅復帰を目的としている施設なので、病状が安定していてかつリハビリテーションを要する方が対象となっています。

老健について詳しく知りたいという方はこちらの記事もご覧ください。

老健(介護老人保健施設)の費用の目安

老健の1カ月あたりの費用の目安は8~14万円です老健は入居金などの初期費用がかからないので、毎月の居住費、食費、介護保険サービスの自己負担額分、その他加算費用などが主な費用となります。

介護老人保健施設(老健)の月額費用

 

費用の仕組み

老健の毎月の費用は①介護サービスの自己負担額②居住費③食費から構成されており、それぞれの費用は施設ごとではなく①本人の介護度②入居する居室③世帯所得および預貯金がいくらかによって異なります。

まず、介護サービスの自己負担額は老健に入所する本人の介護度が要介護1~5のどれにあたるか、さらに居室タイプが多床室と呼ばれる相部屋タイプの居室か個室かどうかによって異なります。また、1ユニット10人以下で生活をして決まったスタッフがケアをするユニット型居室か従来型のケアかによっても異なるのが特徴です。

次に、居住費と食費は特定入所者介護サービス費という費用の減免制度によって本人を含む世帯の年収、さらには預貯金の状況によって第1段階、第2段階、第3段階(1)、第3段階(2)、第4段階(減免無し)の5段階で費用が定められています。

段階 所得の要件 預貯金等の要件
区分 公的年金収入+合計所得金額 単身 配偶者あり
第1段階 生活保護受給者
世帯全員が市町村民税非課税かつ老齢福祉年金を受給している 1000万円以下 2000万円以下
第2段階 世帯全員が市町村民税非課税 80万円以下 650万円以下 1650万円以下
第3(1)段階 80~120万円 550万円以下 1550万円以下
第3(2)段階 120万円超 500万円以下 1500万円以下

したがって、老健の費用は施設ごとに決まっているのではなく、本人の介護度や入居する居室、そして費用の大部分を占める居住費と食費は本人及び世帯の所得・預貯金によって異なるのです。

従来型個室タイプの月額費用

老健の従来型個室タイプの費用は4万3600円~11万8390円となります。施設に支払う費用に加えて日常生活費用として1~2万円を見積もっておきましょう。※介護保険サービスの自己負担額を2万5000円とした場合

費用の幅がある理由としては、老健や特養などの公的施設が所得段階ごとに居住費・食費が変わることが原因です。以下の図のように所得によって4段階に分かれており、それぞれの費用が異なります。

老健個室費用

※赤字部分の毎月の費用は、介護保険サービスの自己負担額を2万5000円として計算しています。

所得段階 費用
第1段階 4万3600円+生活費(1~2万円)
第2段階 4万9300円+生活費(1~2万円)
第3段階 6万9100円+生活費(1~2万円)
第4段階 11万8390円+生活費(1~2万円)

多床室タイプの月額費用

多床室タイプの老健の費用は3万4000円から7万9810円※となります。多床室の場合も施設に払う費用以外にも日常生活費用として1~2万円を見積もっておきましょう。※介護保険サービスの自己負担額を2万5000円として計算

個室タイプと同じように所得段階によって居住費と食費が変わるため、以下の図のように4段階で費用がわかれています。

老健多床室費用

※赤字部分の毎月の費用は、介護保険サービスの自己負担額を2万5000円として計算しています。

所得段階 費用
第1段階 3万4000円+生活費(1~2万円)
第2段階 4万7800円+生活費(1~2万円)
第3段階 5万5600円+生活費(1~2万円)
第4段階 7万9810円+生活費(1~2万円)

費用例

次に、老健に入所した場合の費用例について紹介していきます。実際の例をもとに費用について理解していきましょう。今回の例では要介護3で従来型個室タイプに入所した場合の費用について検討していきます。

【設定条件】
介護度:要介護3
入所する居室:従来型個室タイプ
介護サービスの自己負担割合:1割
所得状況:年金収入が年間100万円ある
入所する特養:デンマークイン新宿(東京都)

まず今回の例では年金収入が年間100万円あるので、第3段階の所得にあたります。したがって、従来型個室タイプの場合の居住費は24,600円、食費は19,500円となります。

次に老健では介護サービス費用は毎月定額で介護度・居室タイプごとに異なる費用が掛かります。要介護3で個室タイプに入居した場合は毎月介護サービスの自己負担額として24,630円かかります。

最後に、デンマークイン新宿では「日常生活費A」として石鹸、おしぼり、タオル、入れ歯洗浄剤、保湿剤、歯ブラシ、歯磨き粉がセットで500円で利用することが出来ます。他にもおやつ代が157円×利用回数分かかるなどの特別な費用が掛かります。

これらを合計すると毎月の費用として6万8730円日常生活費用が掛かることがわかります。

老健の居室タイプ・介護度ごとの費用一覧を知りたい方は「老健の居室タイプごとの費用」をご覧ください。

老健(介護老人保健施設)の費用をシミュレーターで計算

老健(介護老人保健施設)の費用は、①希望する居室タイプ②入居者の介護度③介護保険の自己負担割合④負担限度額段階の4つの要素によって決まっています。

自分がいくらになるのか知りたい人は以下のシミュレーターで計算してみましょう。

介護老人保健施設(老健)の
費用シミュレーター
1ヶ月ご利用料金(30日を基準とした概算)
0
1日あたり(①+②+③)
0
①介護保険自己負担額
0
②食費
0
③居住費
0
※「食費+居住費+介護サービス費用」×30日で算出した金額となります。
※ 1単位10円として計算しています。
※ 加算項目は含まれていません。
※ 日数や端数の処理によって誤差が出ることがございます。
※ 出典:厚生労働省「介護報酬の算定構造」「利用者負担の軽減について

老健(介護老人保健施設)の費用が高くなる人の特徴

特養などと同じく公的施設である老健ですが、人によっては「民間じゃないから安いと持っていたら意外と費用が高くて驚いた」「どうして自分は費用が高くなるのか知りたい」という人も少なくないと思います。

そこで本章では老健の費用が高くなる人の特徴について紹介していきます。

市区町村民税課税世帯の人

老健の費用が高くなる人として最初に挙げられる特徴は、入居者本人または世帯員が市区町村民税課税世帯であることです。

というのも、上述したように老健の費用は特定入所者介護サービス費という制度によって市区町村民税非課税世帯の方は費用の減免を受けることが出来ますが、市区町村民税課税世帯の方で減免が受けられない方は施設の定めた額を支払わなくてはなりません。

国によって基準費用額が定められているので、法外な価格となっていることは多くはありませんがあくまでも施設と個人の契約となるので施設が定めた金額を支払うこととなるのです。

したがって、公的施設であっても世帯所得が多い場合や預貯金が多い場合は減免を受けることが出来ず費用が高くなることがあるのです。

介護度が高い方

老健の費用が高くなる人の特徴として、介護度が高い方が挙げられます。というのも、介護度が高い方の方がより高い頻度で日常生活介助等が必要になるからです。

具体的には居室タイプ・介護度ごとに以下のように介護サービス費用が定められています。

従来型個室 従来型多床室 ユニット型 ユニット型個室的多床室
要介護1 22,680円 25,080円 25,230円 25,230円
要介護2 24,840円 27,330円 27,450円 27,450円
要介護3 26,700円 29,220円 29,340円 29,340円
要介護4 28,380円 30,900円 31,050円 31,050円
要介護5 30,090円 32,550円 32,700円 32,700円

※1単位=10円、自己負担割合1割で計算しています。
※出典:厚生労働省「介護老人保健施設

公的施設である老健ですが、やはり要介護度が上がると費用も高くなってしまうことには注意しましょう。

費用が高くなってしまう老健(介護老人保健施設)の特徴

続いて、費用が高くなる老健(介護老人保健施設)の特徴について紹介していきます。

ユニット型または在宅強化型の施設

老健の費用が高くなる施設の特徴として、ユニット型または在宅強化型の老健に入所しているということがあります。

ユニット型とは、10名程度をユニットという少人数のグループに分けて介護サービスを提供している施設で従来型と比較すると個別ケアに重点を置いているので、人件費がかかることから費用も高くなっています。

また、老健は平成30年度介護報酬改定によって、「超強化型老健」「在宅強化型老健)」「加算型老健」「基本型老健」「その他」の5種類に分けられており※、強化型の施設は在宅復帰率やベッドの回転率、重度の介護者の利用割合などの基準を満たしていることから充実したサービスを提供しています。その結果、従来型の老健と比較すると費用が高く設定されているので負担額が多くなってしまうのです。

以上より、ユニット型または在宅強化型の老健に入所している方は費用が高くなる傾向にあるのです。

※参考:厚生労働省「介護老人保健施設の報酬・基準について

老健(介護老人保健施設)のユニット型とは?ユニットケアや従来型との違いについても紹介

都心部に位置している老健

費用が高くなる老健の特徴として、東京都23区(特別区)などの都心部に位置しているという点があります。

というのも、老健でかかる介護保険サービス費用は正確には居室タイプ・介護度ごとに単位で定められており、単位はエリアによって1単位当たりの円換算額が異なります。地域ごとの人件費や土地代などの差額を調整するためです。

さらに、人件費の割合がどの程度かによっても単位当たりの単価は変わってきており、例えば、東京都23区(特別区)は1単位当たり11.4円、東京都の町田市・狛江市・多摩市、神奈川県横浜市・川崎市、大阪府大阪市は11.12円などの差額が生まれます。
※人件費割合7割の場合
※参考:厚生労働省「地域区分について

地域区分について

したがって、都心部で老健を探しているという方は費用が高くなることに注意しましょう。

サービス加算がされている施設

老健(介護老人保健施設)の費用が高くなる施設の特徴として、費用にサービス加算がされている点があります。

介護保険サービス費用は職員の配置や体制、対応する医療サービスなどに応じて介護サービス加算をされることがあります。老健での介護サービス加算としては、食事サービスに付随する療養食加算や、在宅復帰への支援が充実したサービスを受けることによる在宅復帰・在宅療養支援機能加算などがあげられます。

具体的な加算費用としては以下のような加算があります。

夜間職員配置加算

夜間職員配置加算とは、夜間の人員配置基準を満たした介護職員等を配置して、安心して生活ができる環境を構築している施設を評価するための加算です。

厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準」に加えて、夜勤を行う介護職員又は看護職員を規定より1を加えた数以上であることや、見守り機器を、入所者の数の十分の一以上の数設置し安全かつ有効に活用するための委員会を設置しているかなどが要件となっています。

在宅復帰・在宅療養支援機能加算

在宅復帰・在宅療養支援機能加算とは、老健が担っている在宅復帰という役割に対しての取り組みを実施している施設を評価するための加算です。

入所者の家族との連絡調整を行っていること、リハビリが計画的に行われ適切なタイミングで評価していること、退所後の居宅サービスの利用に関する調整を行っていることなどを満たし、指定期間のなかで在宅復帰が20%を超えている施設に加算されます。

短期集中リハビリテーション実施加算

短期集中リハビリテーション実施加算とは、入居者の方の身体機能を回復するための集中的なリハビリテーションを実施していることを評価する加算です。

医師又は医師の指示を受けた理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が、20分以上の個別リハを1週に月概ね3日以上行った場合(所定の要件を満たす例外を除き、入所の日から起算して3月以内に限る)

そのほかの主なサービス加算は以下の表をご覧ください。

加算項目 1日あたり 30日間あたり
夜勤職員配置加算 24円 720円
短期集中リハビリテーション実施 加算 240円 7200円
認知症短期集中リハビリテーションン実施加算 240円 7200円
認知症ケア加算 76円 2280円
若年性認知症 入所者受入加算 120円 3600円
在宅復帰・在宅療養支援機能 加算 27円 810円
ターミナルケア加算 160円 4800円
療養体制維持特別加算 27円 810円
初期加算 30円 900円
入所前後訪問指導加算 450円※1回を限度
退所前訪問指導加算 460円※1回を限度
退所後訪問指導加算 460円※1回を限度
退所時指導加算 400円※1回を限度
退所時情報提供加算 500円※1回を限度
退所前連携加算 500円※1回を限度
老人訪問看護指示加算 300円※1回を限度
栄養マネジメント加算 14円 420円
経口移行加算 28円 840円
経口維持加算 (Ⅰ) 400円※ひと月につき
経口維持加算 (Ⅱ) 100円※ひと月につき
口腔衛生管理体制加算 30円※ひと月につき
口腔衛生管理加算 110円※ひと月につき
療養食加算 18円 540円
在宅復帰支援機能加算 5円 150円
認知症専門ケア加算 3円 90円
認知症行動・心理症状 緊急対応加算 200円 6000円
認知症情報提供加算 350円※ひと月につき
地域連携診療計画情報提供加算 300円※ひと月につき
サービス提供体制強化加算 18円 540円

※厚生労働省 社保審-介護給付費分科会「老健(参考資料)」より抜粋

老健(介護老人保健施設)の費用を安くする方法

老健は公的施設であるため比較的料金が安く設定されていますが、様々な加算費用があるため場合によっては特養などよりも高い金額になることがあります。

そこで老健の費用を抑える方法としては、

  • 負担限度額認定
  • 高額介護サービス費支給制度
  • 高額医療・高額介護合算療養費制度

などの減税制度を利用して抑えることができます。それぞれの減免制度について紹介していきます。

減免制度①負担限度額認定

制度の内容

負担限度額認定とは、住民税非課税で介護保険施設(特養・老人保健施設・介護療養型医療施設・介護医療院・地域密着型特養に入所・入居又は短期入所(ショートステイ)を利用した時の食費及び居住費について減額をする制度です。

もう少しわかりやすく説明すると、ある要件を満たせば介護保険施設を利用する際の食費と居住費が安くなる制度です。利用者の負担は所得に応じて4段階に分かれており、それぞれ所得によって負担額が異なるのです。段階別の食費と居住費の負担限度額の一覧表はそれぞれ以下の表のとおりです。居室のタイプによって異なることに注意しましょう。

要件 居住費 食費
ユニット型個室 ユニット型個室的多床室 従来型個室 多床室
1 24,600円 14,700 14,700

0円 9,000円
2 14,700

11,100円 11,700円
3(1) 39,300円 39,300

19,500円
3(2) 40,800円

出典:厚生労働省「介護保険施設における負担限度額が変わります」令和3年8月

対象者と支給額

負担限度額認定を受けるには所得の要件と預貯金等の要件を満たしておく必要があります。

まず所得の要件は本人を含む世帯全員が住民税非課税である必要があります。本人の配偶者が別世帯になっていることもありますが、この場合でも配偶者も住民税非課税であれば該当します。

次に預貯金の要件は、配偶者がいる場合は2,000万円以下であることが要件となっています。配偶者がいない方の場合は、預貯金額などが1,000万円以下であることが要件です。また、ここで言う預貯金とはもちろん現金だけではなく、有価証券や金・銀などの貴金属類も含んだものとなりますので注意が必要です。

段階別の負担限度額は以下の通りです。

段階 適用条件 預貯金の合計
区分 年金収入+合計所得金額 単身 配偶者あり
1 生活保護者等または世帯全員が老齢福祉年金受給者 1000万円以下 2000万円以下
2 世帯全員が市町村民税非課税 80万円以下 650万円以下 1650万円以下
3(1) 80~120万円 550万円以下 1550万円以下
3(2) 120万円超 500万円以下 1500万円以下

出典:厚生労働省「介護保険施設における負担限度額が変わります」令和3年8月

申請方法

負担限度額を申請するには、各市区町村の介護保険課の窓口に所定の書類を郵送または持ち込みで持参しましょう。基本的には申請後1週間程度で結果が通知されます。第一段階~第三段階に該当した場合は介護保険負担限度額認定証が交付されます。

申請に必要な書類は以下の通りです

  • 介護保険負担限度額認定申請書
  • 同意書
  • 預貯金等の証明のための添付書類

預貯金等の証明のための添付書類は預貯金等の種類によって異なりますので、お住いの市区町村の担当窓口に確認してみましょう。

減免制度②高額介護サービス費支給制度

高額介護サービス費の仕組み

制度の内容

高額介護サービス費支給制度とは、介護サービスを利用して支払った自己負担が高額になった時、負担上限額を超えた分が返還される制度です。介護サービス費用は通常所得によって1~3割の自己負担額が定められていますが、それらの自己負担額の上限を超えた分を申請することで還付されるのです。

対象者と支給額

高額介護サービス費の支給限度額は所得による区分によって上限額が変わってきています。また、2021年8月から負担能力に応じた負担を図る観点から、一定年収以上の高所得者世帯については負担限度額認定の見直しが実施され、以下のように整理されています。

区分 区分 負担の上限額(月額)
市町村民税課税世帯 課税所得690万円(年収約1160万円)以上 140,100円(世帯)
課税所得380万円(年収約770万円)~課税所得690万円(年収約1160万円)未満 93,000円(世帯)
市町村民税課税~課税所得380万円(年収約770万円)未満 44,400円(世帯)
市町村民税非課税世帯 合計所得金額と課税年金収入額の合計が80万円を超える方 24,600円(世帯)
  • 合計所得金額と課税年金収入額の合計が80万円以下の方
  • 老齢福祉年金を受給している方
24,600円(世帯)15,000円(個人)
生活保護を受給している方 15,000円(世帯)

(出典:厚生労働省の資料より抜粋 )

申請方法

高額介護サービス費の支給制度では、利用料が自己負担額を超えている場合は自治体から通知書が届くため、自分から手続きを進める必要はありません。

ただし、申請には期限があるので忘れないように申請を進めましょう。(翌月1日から2年以内)

減免制度③高額医療・高額介護合算療養費制度

高額医療・高額介護合算療養費制度の仕組み

制度の内容

高額医療・高額介護合算療養費制度とは、医療保険と介護保険における1年間(毎年8月1日から始まり翌年7月31日まで)の医療保険と介護保険の自己負担の合算額が著しく高額であった場合に自己負担額を軽減する制度のことを言います。

高額になった自己負担額は申請をすることで負担額の一部が払い戻されます。70歳以上の一般世帯の限度額は年額56万円を基本としており、医療保険制度や被保険者の所得・年齢区分ごとの自己負担限度額を踏まえて限度額が細かく設定されています。

対象者と支給額

高額医療・高額介護合算療養費制度の対象者は以下の条件に該当する人となります。

  • 国民健康保険、被用者保険、後期高齢者医療制度の各医療保険における世帯内であること
  • 1年間の医療保険と介護保険の自己負担合算額が、各所得区分に設定された限度額を超えた世帯であること

また、医療保険各制度(被用者保険、国保、後期高齢者医療制度)の世帯に介護保険の受給者が存在する場合に、被保険者からの申請に基づき、高額療養費の算定対象となる世帯単位で、医療保険と介護保険の自己負担を合算した額が、新たに設定する自己負担限度額を超えた場合に支給の対象となっています。

後期高齢者医療制度 +介護保険 被用者保険又は国保 +介護保険 (70歳~74歳がいる世帯(※1)) 被用者保険又は国保 +介護保険 (70歳未満がいる世帯(※2))
現役並み所得者 (上位所得者) 67万円 67万円 126万円
一般 56万円 62万円(※3) 67万円
低所得者Ⅱ 31万円 31万円 34万円
低所得者Ⅰ 19万円 19万円 34万円

出典:厚生労働省「高額医療・高額介護合算療養費制度について

(※1・2) 対象となる世帯に、70歳~74歳の者と70歳未満の者が混在する場合には、①まずは70歳~74歳の者に係る自己負担の合算額に、(※1)の区分の自己負担限度額が適用された後、②なお残る負担額と、70歳未満の者に係る自己負担の合算額とを合算した額に、(※2)の区分の自己負担限度額が適用される。

(※3) 平成22年7月までは56万円。

(※4) 初年度の限度額は別途設定(平成20年4月~平成21年7月の16ヶ月分)。

申請方法

高額医療・高額介護合算療養費制度を利用するには、介護保険者である市区町村の窓口で申請を行う必要があります。申請が受理されると、市区町村から介護自己負担額証明書が送られてくるので、介護自己負担証明書を添えて医療保険者に申請書を提出しましょう。

老健(介護老人保健施設)の自己負担額は医療費控除の対象となる

老健の施設サービスの対価(介護費、食費および居住費)に係る自己負担額として支払った金額は医療費控除の対象ともなります。医療費控除の申請には確定申告が必要ですので、忘れずに申請するようにしましょう。

そもそも医療費控除とは、1年間に10万円以上の医療費を支払った場合に受けられる控除です。治療を目的とした医療行為に支払った費用が所得税から控除されるため、美容整形手術などの費用は控除の対象とはなりません。

また、高額介護サービス費(1カ月に支払った利用者負担の合計が負担限度額を超えた際に超えた分が払い戻される制度)として払い戻しを受けた際は、医療費の金額から差し引いて医療費控除の計算をします。なお、特養のサービス費に対する高額介護サービス費については2分の1に相当する金額を医療費の金額から差し引いて医療費の金額から計算します。

また「制度を利用した上で、実際にいくらの金額を払うのか分からない…」という方は、ケアスル介護で相談してみることがおすすめです。

ケアスル介護では、専門の相談員が上記で紹介した制度の利用方法についても分かりやすく解説しながら、後悔しない施設選びをサポートしています。

「分からないことを相談して、安心して入居する施設を決めたい」という方も、まずは無料相談からご利用ください。

質問に答えるだけで
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老健(介護老人保健施設)の費用を料金表で紹介

老健の費用は居室タイプおよび介護度、特定入所者介護サービス費の段階によって大きく異なります。さらに、在宅復帰率やベッド回転率、重度の介護者の利用割合などが一定の基準を満たすと「在宅強化型」と指定され充実したサービス受けるため、費用が高くなります。

そこで本章では4つの居室タイプと基本型・在宅強化型のかけ合わせの料金表を紹介していきます。

老人ホームの4つの居室タイプ

ユニット型個室【基本型】 5.7万~13.3万

ユニット型個室は9人程度のユニットを組み、中央に共同生活室を置いた完全個室型の部屋です。基本型の老健の介護度別の利用料金表は以下の通りです。

介護度 第1段階 第2段階 第3段階(1) 第3段階(2) 第4段階
要介護1 57,480円 60,180円 82,680円 103,980円 127,410円
要介護2 58,830円 61,530円 84,030円 105,330円 128,760円
要介護3 60,690円 63,390円 85,890円 107,190円 130,620円
要介護4 62,280円 64,980円 87,480円 108,780円 132,210円
要介護5 63,870円 66,570円 89,070円 110,370円 133,800円

ユニット型個室【在宅強化型】 5.8万~13.6万円

ユニット型個室で在宅強化型の老健の介護度別の利用料金表は以下の通りです。

在宅復帰率やベッド回転率、重度の介護者の利用割合などの判断基準が一定水準を満たしたところが在宅強化型と認定されるため、基本型よりもサービス内容が充実している施設となるため費用が高くなっています。

介護度 第1段階 第2段階 第3段階(1) 第3段階(2) 第4段階
要介護1 58,830円 61,530円 84,030円 105,330円 128,760円
要介護2 61,050円 63,750円 86,250円 107,550円 130,980円
要介護3 62,940円 65,640円 88,140円 109,440円 132,870円
要介護4 64,650円 67,350円 89,850円 111,150円 134,580円
要介護5 66,300円 69,000円 91,500円 112,800円 136,230円

ユニット型個室的多床室【基本型】4.7万~12.3万円

ユニット型個室的多床室は、9人程度のユニットを組み中央に共同生活室を置いている居室となります。部屋は大部屋を簡易的な壁で仕切っているので、完全個室ではないのが特徴です。

基本型の老健の介護度別の利用料金表は以下の通りです。

介護度 第1段階 第2段階 第3段階(1) 第3段階(2) 第4段階
要介護1 47,580円 50,280円 58,080円 79,380円 117,270円
要介護2 48,930円 51,630円 59,430円 80,730円 118,620円
要介護3 50,790円 53,490円 61,290円 82,590円 120,480円
要介護4 52380円 55,080円 62,880円 84,180円 122,070円
要介護5 53,970円 56,670円 64,470円 85,770円 123,660円

ユニット型個室的多床室【在宅強化型】 4.8~12.6万円

ユニット型個室的多床室で在宅強化型の老健の介護度別の利用料金表は以下の通りです。

介護度 第1段階 第2段階 第3段階(1) 第3段階(2) 第4段階
要介護1 48930円 51630円 59430円 80730円 118620円
要介護2 51150円 53850円 61650円 82950円 120840円
要介護3 53040円 55740円 63540円 84840円 122730円
要介護4 54750円 57450円 65250円 86550円 124440円
要介護5 56400円 59100円 66900円 88200円 126090円

従来型個室【基本型】4.0万~12.1万円

従来型個室はユニット型の介護を取り入れておらず、壁で区切られた完全個室のタイプの部屋です。基本型の老健の介護度別の利用料金表は以下の通りです。

介護度 第1段階 第2段階 第3段階(1) 第3段階(2) 第4段階
要介護1 40,020円 45,720円 65,520円 86,820円 114,810円
要介護2 41,370円 47,070円 66,870円 88,170円 116,160円
要介護3 43,230円 48,930円 68,730円 90,030円 118,020円
要介護4 44,820円 50,520円 70,320円 91,620円 119,610円
要介護5 46,350円 52,050円 71,850円 93,150円 121,140円

従来型個室【在宅強化型】 4.1万~12.3万円

従来型個室で在宅強化型の老健の介護度別の利用料金表は以下の通りです。

介護度 第1段階 第2段階 第3段階(1) 第3段階(2) 第4段階
要介護1 41,280円 46,980円 66,780円 88,080円 116,070円
要介護2 43,440円 49,140円 68,940円 90,240円 118,230円
要介護3 45,300円 51,000円 70,800円 92,100円 120,090円
要介護4 46,980円 52,680円 72,480円 93,780円 121,770円
要介護5 48,690円 54,390円 74,190円 95,490円 123,480円

従来型多床室【基本型】 3.2万~8.4万円

従来型多床室は病院のようなイメージで、カーテンなどで区切られた相部屋タイプの部屋です。基本型の老健の介護度別の利用料金表は以下の通りです。

介護度 第1段階 第2段階 第3段階(1) 第3段階(2) 第4段階
要介護1 32,640円 46,440円 54,240円 75,540円 78,300円
要介護2 34,080円 47,880円 55,680円 76,980円 79,740円
要介護3 35,940円 49,740円 57,540円 78,840円 81,600円
要介護4 37,470円 51,270円 59,070円 80,370円 83,130円
要介護5 39,090円 52,890円 60,690円 81,990円 84,750円

従来型多床室【在宅強化型】 3.4万~8.7万

従来型多床室で在宅強化型の老健の介護度別の利用料金表は以下の通りです。

介護度 第1段階 第2段階 第3段階(1) 第3段階(2) 第4段階
要介護1 34,080円 47,880円 55,680円 76,980円 79,740円
要介護2 36,300円 50,100円 57,900円 79,200円 81,960円
要介護3 38,220円 52,020円 59,820円 81,120円 83,880円
要介護4 39,900円 53,700円 61,500円 82,800円 85,560円
要介護5 41,550円 55,350円 63,150円 84,450円 87,210円

※なお、上記の費用は次の出典より独自に作成したものです。出典 厚生労働省「介護報酬の算定構造
※第4段階の負担額は施設における平均費用を鑑みて国が定めた基準費用額です。具体的な費用負担は施設の基準によって異なるので注意してください。

また「予算内で安心して暮らせる施設を選びたい」という方は、ケアスル介護で相談してみることがおすすめです。

ケアスル介護では、入居相談員が施設ごとに実施するサービスや予算感、施設の設備などをしっかりと把握した上で、ご本人様に最適な施設をご紹介しています。

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老健(介護老人保健施設)の費用の内訳

老健では入居一時金がかからないので、必要なのは毎月かかる①居住費②食費③介護保険サービス費用④日常生活費用⑤介護サービス加算費用です。

ここからは、老健でかかる費用の内訳について解説していきます。

居住費

老健でかかる居住費はいわゆる家賃で、入所者の所得金額や入所する部屋のタイプによって異なります

居室のタイプごとの費用の違いについては「老健の居室タイプごとの費用」にて解説していきます。

食費

老健では食材費や調理費として食費が掛かります

ほとんどの施設では1日3食のうち抜いた食事があればその分の費用を差し引いて請求していますが、施設によっては厨房の維持費・人件費として請求するところもあるので事前に確認しておきましょう。

日常生活費

老健では洗濯代や理美容代、電話・新聞雑誌代などが「その他の日常生活費用」として必要となります。その他費用の単位項目は施設によっても異なりますが、利用した分だけ実費を負担することとなっています。

おむつ代やおむつカバー代、おむつ洗濯代などのおむつ関連費用はサービス料に含まれているので、別途請求されることはありません。また、薬代は老健の負担となりますが、高額な薬を服用している場合は自己負担となる可能性があることに注意しましょう。

介護サービス費

老健でかかる介護サービス費とは、毎月定額でかかる費用で介護・医療サービスを受ける際にかかる介護保険の自己負担額です。要介護度が高くなるほど費用も高くなることに注意しましょう。

居室と同じように介護サービス費も入所する部屋のタイプによって異なることに注意しましょう。

医療費

老健に入所している際に行う医療ケアや薬代は基本的には施設の持ち出しとなるため、医療費は基本的にはかかりません

ただし、法律によって「不必要に入所者のために往診を求め、または入所者を病院もしくは診療所に通院させてはならない」と定められている※ので、入所中に施設に相談せずに外部の医療機関を受診した場合は全額自己負担となります。

レントゲンやCTなど併設や外部の医療機関でしか受診できないと認められた場合は医療保険を適用することが出来ますが、基本的には老健に入所中は医療保険と介護保険の併用はできないと考えてよいでしょう。(※参考:厚生労働省「介護老人保健施設入所者に係る往診及び通院(対診)について」)

薬代が高額だと入所できないことがある?

老健に入所中にかかる医療費や薬代は施設側が負担することは前に述べた通りですが、逆に薬代が高額な場合は老健への入所を拒否されることもあります。入所前にかかりつけ医に相談して薬を変更してもらったり、ジェネリック医薬品に変更できないか事前に相談しておきましょう。

老健(介護老人保健施設)のよくある質問

最後に、老健の費用にまつわるよくある質問について解説していきます。

老健と他の施設の費用を比較

まず初めに老健の費用と他の介護施設の費用を比較していきます。他の施設との費用の違いで最も大きな違いとしては、公的施設と民間施設による費用の開きです。

以下の表のように特養は老健と同様に所得によって比較的安い費用で利用できますが、民間の場合は入居一時金がかかる他月額費用も比較的高くなっています。

老健 特養 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム
入居条件 要介護1以上 要介護3以上 施設により異なる 自立~軽度の要介護度
介護
医療
月額利用料 8万~14万円 3.4万~11.8万円 15万~35万円 15万~35万円
認知症の受け入れ
終の棲家になるか ×
契約方式 利用権方式 利用権方式 利用権方式 利用権方式

また、老健と他の介護施設では利用できる介護サービスや入居条件も異なるので、自分に合っている施設がどこか確認しておきましょう。

老健(介護老人保健施設)の費用が払えないときはどうする?

老健の費用を払えない場合は、生活保護の受給や公的な費用の軽減制度の利用、さらに費用の安い老人ホームへの転居を検討しましょう。

というのも、民間の老人ホームの場合は費用が払えなくなった場合は施設側に交渉して支払いを待ってもらうことも場合によっては可能ですが、老健の場合は公的施設となるので融通を聞かせるのはなかなか難しい場合もあります。

老健の費用が払えないとどうなる?5つの対処法を解説!

老健(介護老人保健施設)の資金計画は早めに立てよう

高齢者の増加や介護サービスを利用する人が増えたことにより、老健の利用にかかる費用も増加傾向にあります。そのため、介護資金は現役世代のうちに十分に貯蓄しておくことが大切であり、早めから資金計画を立てておきましょう。

もし資金の捻出が難しい場合は、コスト負担を軽減できないか、あるいはより安く利用できる老健はないかなど、地域包括支援センターの職員に相談してみることがおすすめです。老後の生活では費用面での心配が出やすいため、資金計画は早めに立てて、無理なくコストを捻出できるようにしておきましょう。

老健(介護老人保健施設)の費用の目安はいくら?

老健の1カ月あたりの費用の目安は8~14万円です。老健は入居金などの初期費用がかからないので、毎月の居住費、食費、介護保険サービスの自己負担額分、その他加算費用などが主な費用となります。詳しくはこちらをご覧ください。

老健(介護老人保健施設)の費用が高くなる人の特徴は?

老健の費用が高くなる人として最初に挙げられる特徴は、入居者本人または世帯員が市区町村民税課税世帯であることです。また、ユニット型または在宅強化型の老健に入所している方も高くなる傾向にあります。詳しくはこちらをご覧ください。

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