老健(介護老人保健施設)の費用の目安は?料金表から高くなる人の特徴まで解説

老健(介護老人保健施設)の費用の目安は?料金表から高くなる人の特徴まで解説

老健(介護老人保健施設)でかかる費用は大きく分けて①介護サービス費用の自己負担額②居住費③食費からなっています。相場は介護保険サービスの自己負担額や居室タイプによっても異なりますが、平均すると月額8~14万円程度です。

本記事では部屋タイプ・介護度別の費用の利用料金表、費用を抑えるコツまで徹底解説します。

 

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在宅介護エキスパート協会 代表
所有資格:AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士,社会福祉士,宅地建物取引士
専門分野:在宅介護,老後資金,介護施設全般
職業: 社会福祉士,宅地建物取引士,ファイナンシャルプランナー

NEC 関連会社(現職)でフルタイム勤務の中、10 年以上に渡り遠距離・在宅介護を担う。両親の介護をきっかけに社会福祉士、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーなど福祉に直接的・間接的に関係する資格を取得。その経験や知識を多くの方に役立てていただけるよう「在宅介護エキスパート協会」を設立、代表を務める。詳しくはこちら

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老健(介護老人保健施設)とは

老健(介護老人保健施設)とは

老健とは、要介護1~5の高齢者が「病院から退院することになったが、まだ家庭に戻って自立するのは難しい」といった場合に入所して在宅復帰を目指すための公的老人ホームです。

特養(特別養護老人ホーム)と同じく公的機関が運営している介護施設です。したがって民間施設が運営している介護施設よりも比較的安価に利用することができます。

老健では、医師による医学的管理の下、栄養管理・食事・入浴などの日常的な介護サービスから、医師による医療ケア、作業療法士や理学療法士によるリハビリを提供します。また、夜間の対応もできる点が老健の特徴と言えるでしょう。

入所の対象となるのは65歳以上で要介護1以上の高齢者です。また、在宅復帰を目的としている施設なので、病状が安定していてかつリハビリテーションを要する方が対象となっています。

老健について詳しく知りたいという方はこちらの記事もご覧ください。

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老健(介護老人保健施設)の費用の目安

老健の1カ月あたりの費用の目安は8~14万円です老健は入居金などの初期費用がかからないので、毎月の居住費、食費、介護保険サービスの自己負担額分、その他加算費用などが主な費用となります。

老健(介護老人保健施設)の月額費用の内訳

費用の仕組み

老健の毎月の費用は①介護サービスの自己負担額②居住費③食費から構成されており、それぞれの費用は施設ごとではなく本人の介護度・入居する居室・世帯所得および預貯金がいくらかによって異なります。

まず、介護サービスの自己負担額は老健に入所する本人の介護度が要介護1~5のどれにあたるか、さらに居室タイプが多床室と呼ばれる相部屋タイプの居室か個室かどうかによって異なります。また、1ユニット10人以下で生活をして決まったスタッフがケアをするユニット型居室か従来型のケアかによっても異なるのが特徴です。

次に、居住費と食費は特定入所者介護サービス費という費用の減免制度によって本人を含む世帯の年収、さらには預貯金の状況によって第1段階、第2段階、第3段階(1)、第3段階(2)、第4段階(減免無し)の5段階で費用が定められています。

段階 所得の要件 預貯金等の要件
区分 公的年金収入+合計所得金額 単身 配偶者あり
第1段階 生活保護受給者
世帯全員が市町村民税非課税かつ老齢福祉年金を受給している 1000万円以下 2000万円以下
第2段階 世帯全員が市町村民税非課税 80万円以下 650万円以下 1650万円以下
第3(1)段階 80~120万円 550万円以下 1550万円以下
第3(2)段階 120万円超 500万円以下 1500万円以下
第4段階
上記以外の人

したがって、老健の費用は施設ごとに決まっているのではなく、本人の介護度や入居する居室、そして費用の大部分を占める居住費と食費は本人及び世帯の所得・預貯金によって異なるのです。

従来型個室タイプの月額料金表

従来型個室は1つの部屋にシングルベッドが1つ設置されている個室タイプの部屋です。

施設に支払う費用に加えて日常生活費用として1~2万円を見積もっておきましょう。

※多くの人が対象となる自己負担額1割、第4段階で算出しています。

従来型の1ヶ月にかかる費用
介護度 住居費 食費 介護保険自己負担額(1割) 合計
要介護1 50,040円 43,350円  21,420円  114,810円
要介護2  22,770円  116,160円
要介護3  24,630円  118,020円
要介護4  26,220円  119,610円
要介護5  27,750円  121,140円

多床室タイプの月額料金表

多床室は複数名の入居者が1つの部屋で過ごすタイプの部屋で、病院に近い形の部屋になっています。

個室タイプと同じように所得段階によって居住費と食費が変わるため、以下の図のように4段階で費用がわかれています。

※多くの人が対象となる自己負担額1割、第4段階で算出しています。

多床
介護度 住居費 食費 介護保険自己負担額(1割) 合計
要介護1 11,310円 43,350円 23,640円 78,300円
要介護2 25,080円 79,740円
要介護3 26,940円 81,600円
要介護4 28,470円 83,130円
要介護5 30,090円 84,750円

参照元:厚生労働省「介護報酬の算定構造」

月額費用の内訳

老健の月額費用の内訳は下記の通りです。

  • 居住費
  • 食費
  • 日常生活費
  • 介護サービスの自己負担額
  • 介護サービス加算費用

では、これまでをふまえて介護度や、施設のタイプ別に「介護老人保健施設を利用した際に月額でどれくらいの料金がかかるのか」を計算してみました。

【介護度4、ユニット型個室、在宅強化型、負担額1割】

項目 金額
居住費 60,180円
食費 43,350円
日常生活費 10,000円
施設サービス費 30,420円
合計 143,950円

【介護度3、従来型多床室、基本型、負担額1割】

項目 金額
居住費 11,300円
食費 43,350円
日常生活費 10,000円
施設サービス費 26,400円
合計 91,500円

老健の費用内訳について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

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老健(介護老人保健施設)の費用をシミュレーターで計算

老健(介護老人保健施設)の費用は、①希望する居室タイプ②入居者の介護度③介護保険の自己負担割合④負担限度額段階の4つの要素によって決まっています。

自分がいくらになるのか知りたい人は以下のシミュレーターで計算してみましょう。

介護老人保健施設(老健)の
費用シミュレーター
1ヶ月ご利用料金(30日を基準とした概算)
0
1日あたり(①+②+③)
0
①介護保険自己負担額
0
②食費
0
③居住費
0
※「食費+居住費+介護サービス費用」×30日で算出した金額となります。
※ 1単位10円として計算しています。
※ 加算項目は含まれていません。
※ 日数や端数の処理によって誤差が出ることがございます。
※ 出典:厚生労働省「介護報酬の算定構造」「利用者負担の軽減について

老健(介護老人保健施設)の費用の居室タイプ料金表

老健の費用は居室タイプおよび介護度、特定入所者介護サービス費の段階によって大きく異なります。さらに、在宅復帰率やベッド回転率、重度の介護者の利用割合などが一定の基準を満たすと「在宅強化型」と指定され充実したサービス受けるため、費用が高くなります。

そこで本章では4つの居室タイプと基本型・在宅強化型のかけ合わせの料金表を紹介していきます。

居室タイプ

ユニット型個室【基本型】 5.7万~13.3万

ユニット型個室は9人程度のユニットを組み、中央に共同生活室を置いた完全個室型の部屋です。基本型の老健の介護度別の利用料金表は以下の通りです。

介護度 第1段階 第2段階 第3段階(1) 第3段階(2) 第4段階
要介護1 57,480円 60,180円 82,680円 103,980円 127,410円
要介護2 58,830円 61,530円 84,030円 105,330円 128,760円
要介護3 60,690円 63,390円 85,890円 107,190円 130,620円
要介護4 62,280円 64,980円 87,480円 108,780円 132,210円
要介護5 63,870円 66,570円 89,070円 110,370円 133,800円

ユニット型個室【在宅強化型】 5.8万~13.6万円

ユニット型個室で在宅強化型の老健の介護度別の利用料金表は以下の通りです。

在宅復帰率やベッド回転率、重度の介護者の利用割合などの判断基準が一定水準を満たしたところが在宅強化型と認定されるため、基本型よりもサービス内容が充実している施設となるため費用が高くなっています。

介護度 第1段階 第2段階 第3段階(1) 第3段階(2) 第4段階
要介護1 58,830円 61,530円 84,030円 105,330円 128,760円
要介護2 61,050円 63,750円 86,250円 107,550円 130,980円
要介護3 62,940円 65,640円 88,140円 109,440円 132,870円
要介護4 64,650円 67,350円 89,850円 111,150円 134,580円
要介護5 66,300円 69,000円 91,500円 112,800円 136,230円

ユニット型個室的多床室【基本型】4.7万~12.3万円

ユニット型個室的多床室は、9人程度のユニットを組み中央に共同生活室を置いている居室となります。部屋は大部屋を簡易的な壁で仕切っているので、完全個室ではないのが特徴です。

基本型の老健の介護度別の利用料金表は以下の通りです。

介護度 第1段階 第2段階 第3段階(1) 第3段階(2) 第4段階
要介護1 47,580円 50,280円 58,080円 79,380円 117,270円
要介護2 48,930円 51,630円 59,430円 80,730円 118,620円
要介護3 50,790円 53,490円 61,290円 82,590円 120,480円
要介護4 52380円 55,080円 62,880円 84,180円 122,070円
要介護5 53,970円 56,670円 64,470円 85,770円 123,660円

ユニット型個室的多床室【在宅強化型】 4.8~12.6万円

ユニット型個室的多床室で在宅強化型の老健の介護度別の利用料金表は以下の通りです。

介護度 第1段階 第2段階 第3段階(1) 第3段階(2) 第4段階
要介護1 48,930円 51,630円 59,430円 80,730円 11,8620円
要介護2 51,150円 53,850円 61,650円 82,950円 12,0840円
要介護3 53,040円 55,740円 63,540円 84,840円 12,2730円
要介護4 54,750円 57,450円 65,250円 86,550円 12,4440円
要介護5 56,400円 59,100円 66,900円 88,200円 12,6090円

従来型個室【基本型】4.0万~12.1万円

従来型個室はユニット型の介護を取り入れておらず、壁で区切られた完全個室のタイプの部屋です。基本型の老健の介護度別の利用料金表は以下の通りです。

介護度 第1段階 第2段階 第3段階(1) 第3段階(2) 第4段階
要介護1 40,020円 45,720円 65,520円 86,820円 114,810円
要介護2 41,370円 47,070円 66,870円 88,170円 116,160円
要介護3 43,230円 48,930円 68,730円 90,030円 118,020円
要介護4 44,820円 50,520円 70,320円 91,620円 119,610円
要介護5 46,350円 52,050円 71,850円 93,150円 121,140円

従来型個室【在宅強化型】 4.1万~12.3万円

従来型個室で在宅強化型の老健の介護度別の利用料金表は以下の通りです。

介護度 第1段階 第2段階 第3段階(1) 第3段階(2) 第4段階
要介護1 41,280円 46,980円 66,780円 88,080円 116,070円
要介護2 43,440円 49,140円 68,940円 90,240円 118,230円
要介護3 45,300円 51,000円 70,800円 92,100円 120,090円
要介護4 46,980円 52,680円 72,480円 93,780円 121,770円
要介護5 48,690円 54,390円 74,190円 95,490円 123,480円

従来型多床室【基本型】 3.2万~8.4万円

従来型多床室は病院のようなイメージで、カーテンなどで区切られた相部屋タイプの部屋です。基本型の老健の介護度別の利用料金表は以下の通りです。

介護度 第1段階 第2段階 第3段階(1) 第3段階(2) 第4段階
要介護1 32,640円 46,440円 54,240円 75,540円 78,300円
要介護2 34,080円 47,880円 55,680円 76,980円 79,740円
要介護3 35,940円 49,740円 57,540円 78,840円 81,600円
要介護4 37,470円 51,270円 59,070円 80,370円 83,130円
要介護5 39,090円 52,890円 60,690円 81,990円 84,750円

従来型多床室【在宅強化型】 3.4万~8.7万

従来型多床室で在宅強化型の老健の介護度別の利用料金表は以下の通りです。

介護度 第1段階 第2段階 第3段階(1) 第3段階(2) 第4段階
要介護1 34,080円 47,880円 55,680円 76,980円 79,740円
要介護2 36,300円 50,100円 57,900円 79,200円 81,960円
要介護3 38,220円 52,020円 59,820円 81,120円 83,880円
要介護4 39,900円 53,700円 61,500円 82,800円 85,560円
要介護5 41,550円 55,350円 63,150円 84,450円 87,210円

※なお、上記の費用は次の出典より独自に作成したものです。出典 厚生労働省「介護報酬の算定構造
※第4段階の負担額は施設における平均費用を鑑みて国が定めた基準費用額です。具体的な費用負担は施設の基準によって異なるので注意してください。

また「予算内で安心して暮らせる施設を選びたい」という方は、ケアスル介護で相談してみることがおすすめです。

ケアスル介護では、入居相談員が施設ごとに実施するサービスや予算感、施設の設備などをしっかりと把握した上で、ご本人様に最適な施設をご紹介しています。

「介護サービスと生活環境に納得できる施設を選びたい」という方も、まずは無料相談からご利用ください。

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老健(介護老人保健施設)の費用が高くなる人の特徴

特養などと同じく公的施設である老健ですが、人によっては「民間じゃないから安いと持っていたら意外と費用が高くて驚いた」「どうして自分は費用が高くなるのか知りたい」という人も少なくないと思います。

そこで本章では老健の費用が高くなる人の特徴について紹介していきます。

市区町村民税課税世帯の人

老健の費用が高くなる人として最初に挙げられる特徴は、入居者本人または世帯員が市区町村民税課税世帯であることです。

というのも、上述したように老健の費用は特定入所者介護サービス費という制度によって市区町村民税非課税世帯の方は費用の減免を受けることが出来ますが、市区町村民税課税世帯の方で減免が受けられない方は施設の定めた額を支払わなくてはなりません。

国によって基準費用額が定められているので、法外な価格となっていることは多くはありませんがあくまでも施設と個人の契約となるので施設が定めた金額を支払うこととなるのです。

したがって、公的施設であっても世帯所得が多い場合や預貯金が多い場合は減免を受けることが出来ず費用が高くなることがあるのです。

介護度が高い方

老健の費用が高くなる人の特徴として、介護度が高い方が挙げられます。というのも、介護度が高い方の方がより高い頻度で日常生活介助等が必要になるからです。

具体的には居室タイプ・介護度ごとに以下のように介護サービス費用が定められています。

従来型個室 従来型多床室 ユニット型 ユニット型個室的多床室
要介護1 22,680円 25,080円 25,230円 25,230円
要介護2 24,840円 27,330円 27,450円 27,450円
要介護3 26,700円 29,220円 29,340円 29,340円
要介護4 28,380円 30,900円 31,050円 31,050円
要介護5 30,090円 32,550円 32,700円 32,700円

※1単位=10円、自己負担割合1割で計算しています。
※出典:厚生労働省「介護老人保健施設

公的施設である老健ですが、やはり要介護度が上がると費用も高くなってしまうことには注意しましょう。

サービス加算がされている場合がある

介護保険サービス費用は職員の配置や体制、対応する医療サービスなどに応じて介護サービス加算をされることがあります。老健での介護サービス加算としては、食事サービスに付随する療養食加算や、在宅復帰への支援が充実したサービスを受けることによる在宅復帰・在宅療養支援機能加算などがあげられます。

具体的な加算費用としては以下のような加算があります。

夜間職員配置加算

夜間職員配置加算とは、夜間の人員配置基準を満たした介護職員等を配置して、安心して生活ができる環境を構築している施設を評価するための加算です。

厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準」に加えて、夜勤を行う介護職員又は看護職員を規定より1を加えた数以上であることや、見守り機器を、入所者の数の十分の一以上の数設置し安全かつ有効に活用するための委員会を設置しているかなどが要件となっています。

短期集中リハビリテーション実施加算

短期集中リハビリテーション実施加算とは、入居者の方の身体機能を回復するための集中的なリハビリテーションを実施していることを評価する加算です。

医師又は医師の指示を受けた理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が、20分以上の個別リハを1週に月概ね3日以上行った場合(所定の要件を満たす例外を除き、入所の日から起算して3月以内に限る)

そのほかの主なサービス加算は以下の表をご覧ください。

加算項目 1日あたり 30日間あたり
夜勤職員配置加算 24円 720円
短期集中リハビリテーション実施 加算 240円 7200円
認知症短期集中リハビリテーションン実施加算 240円 7200円
認知症ケア加算 76円 2280円
若年性認知症 入所者受入加算 120円 3600円
在宅復帰・在宅療養支援機能 加算 27円 810円
ターミナルケア加算 160円 4800円
療養体制維持特別加算 27円 810円
初期加算 30円 900円
入所前後訪問指導加算 450円※1回を限度
退所前訪問指導加算 460円※1回を限度
退所後訪問指導加算 460円※1回を限度
退所時指導加算 400円※1回を限度
退所時情報提供加算 500円※1回を限度
退所前連携加算 500円※1回を限度
老人訪問看護指示加算 300円※1回を限度
栄養マネジメント加算 14円 420円
経口移行加算 28円 840円
経口維持加算 (Ⅰ) 400円※ひと月につき
経口維持加算 (Ⅱ) 100円※ひと月につき
口腔衛生管理体制加算 30円※ひと月につき
口腔衛生管理加算 110円※ひと月につき
療養食加算 18円 540円
在宅復帰支援機能加算 5円 150円
認知症専門ケア加算 3円 90円
認知症行動・心理症状 緊急対応加算 200円 6000円
認知症情報提供加算 350円※ひと月につき
地域連携診療計画情報提供加算 300円※ひと月につき
サービス提供体制強化加算 18円 540円

※厚生労働省 社保審-介護給付費分科会「老健(参考資料)」より抜粋

老健(介護老人保健施設)の費用を安くする方法

老健は公的施設であるため比較的料金が安く設定されていますが、様々な加算費用があるため場合によっては特養などよりも高い金額になることがあります。

そこで老健の費用を抑える方法としては、

  • 負担限度額認定
  • 高額介護サービス費支給制度
  • 高額医療・高額介護合算療養費制度

などの減税制度を利用して抑えることができます。それぞれの減免制度について紹介していきます。

減免制度①負担限度額認定

制度の内容

負担限度額認定とは、住民税非課税で介護保険施設(特養・老人保健施設・介護療養型医療施設・介護医療院・地域密着型特養に入所・入居又は短期入所(ショートステイ)を利用した時の食費及び居住費について減額をする制度です。

もう少しわかりやすく説明すると、ある要件を満たせば介護保険施設を利用する際の食費と居住費が安くなる制度です。利用者の負担は所得に応じて4段階に分かれており、それぞれ所得によって負担額が異なるのです。段階別の食費と居住費の負担限度額の一覧表はそれぞれ以下の表のとおりです。居室のタイプによって異なることに注意しましょう。

要件 居住費 食費
ユニット型個室 ユニット型個室的多床室 従来型個室 多床室
1 24,600円 14,700 14,700

0円 9,000円
2 14,700

11,100円 11,700円
3(1) 39,300円 39,300

19,500円
3(2) 40,800円

出典:厚生労働省「介護保険施設における負担限度額が変わります」令和3年8月

対象者と支給額

負担限度額認定を受けるには所得の要件と預貯金等の要件を満たしておく必要があります。

まず所得の要件は本人を含む世帯全員が住民税非課税である必要があります。本人の配偶者が別世帯になっていることもありますが、この場合でも配偶者も住民税非課税であれば該当します。

次に預貯金の要件は、配偶者がいる場合は2,000万円以下であることが要件となっています。配偶者がいない方の場合は、預貯金額などが1,000万円以下であることが要件です。また、ここで言う預貯金とはもちろん現金だけではなく、有価証券や金・銀などの貴金属類も含んだものとなりますので注意が必要です。

段階別の負担限度額は以下の通りです。

段階 適用条件 預貯金の合計
区分 年金収入+合計所得金額 単身 配偶者あり
1 生活保護者等または世帯全員が老齢福祉年金受給者 1000万円以下 2000万円以下
2 世帯全員が市町村民税非課税 80万円以下 650万円以下 1650万円以下
3(1) 80~120万円 550万円以下 1550万円以下
3(2) 120万円超 500万円以下 1500万円以下

出典:厚生労働省「介護保険施設における負担限度額が変わります」令和3年8月

申請方法

負担限度額を申請するには、各市区町村の介護保険課の窓口に所定の書類を郵送または持ち込みで持参しましょう。基本的には申請後1週間程度で結果が通知されます。第一段階~第三段階に該当した場合は介護保険負担限度額認定証が交付されます。

申請に必要な書類は以下の通りです

  • 介護保険負担限度額認定申請書
  • 同意書
  • 預貯金等の証明のための添付書類

預貯金等の証明のための添付書類は預貯金等の種類によって異なりますので、お住いの市区町村の担当窓口に確認してみましょう。

減免制度②高額介護サービス費支給制度

高額介護サービス費の仕組み

制度の内容

高額介護サービス費支給制度とは、介護サービスを利用して支払った自己負担が高額になった時、負担上限額を超えた分が返還される制度です。介護サービス費用は通常所得によって1~3割の自己負担額が定められていますが、それらの自己負担額の上限を超えた分を申請することで還付されるのです。

対象者と支給額

高額介護サービス費の支給限度額は所得による区分によって上限額が変わってきています。また、2021年8月から負担能力に応じた負担を図る観点から、一定年収以上の高所得者世帯については負担限度額認定の見直しが実施され、以下のように整理されています。

区分 区分 負担の上限額(月額)
市町村民税課税世帯 課税所得690万円(年収約1160万円)以上 140,100円(世帯)
課税所得380万円(年収約770万円)~課税所得690万円(年収約1160万円)未満 93,000円(世帯)
市町村民税課税~課税所得380万円(年収約770万円)未満 44,400円(世帯)
市町村民税非課税世帯 合計所得金額と課税年金収入額の合計が80万円を超える方 24,600円(世帯)
  • 合計所得金額と課税年金収入額の合計が80万円以下の方
  • 老齢福祉年金を受給している方
24,600円(世帯)15,000円(個人)
生活保護を受給している方 15,000円(世帯)

(出典:厚生労働省の資料より抜粋 )

申請方法

高額介護サービス費の支給制度では、利用料が自己負担額を超えている場合は自治体から通知書が届くため、自分から手続きを進める必要はありません。

ただし、申請には期限があるので忘れないように申請を進めましょう。(翌月1日から2年以内)

減免制度③高額医療・高額介護合算療養費制度

高額医療・高額介護合算療養制度の仕組み

制度の内容

高額医療・高額介護合算療養費制度とは、医療保険と介護保険における1年間(毎年8月1日から始まり翌年7月31日まで)の医療保険と介護保険の自己負担の合算額が著しく高額であった場合に自己負担額を軽減する制度のことを言います。

高額になった自己負担額は申請をすることで負担額の一部が払い戻されます。70歳以上の一般世帯の限度額は年額56万円を基本としており、医療保険制度や被保険者の所得・年齢区分ごとの自己負担限度額を踏まえて限度額が細かく設定されています。

対象者と支給額

高額医療・高額介護合算療養費制度の対象者は以下の条件に該当する人となります。

  • 国民健康保険、被用者保険、後期高齢者医療制度の各医療保険における世帯内であること
  • 1年間の医療保険と介護保険の自己負担合算額が、各所得区分に設定された限度額を超えた世帯であること

また、医療保険各制度(被用者保険、国保、後期高齢者医療制度)の世帯に介護保険の受給者が存在する場合に、被保険者からの申請に基づき、高額療養費の算定対象となる世帯単位で、医療保険と介護保険の自己負担を合算した額が、新たに設定する自己負担限度額を超えた場合に支給の対象となっています。

後期高齢者医療制度 +介護保険 被用者保険又は国保 +介護保険 (70歳~74歳がいる世帯(※1)) 被用者保険又は国保 +介護保険 (70歳未満がいる世帯(※2))
現役並み所得者 (上位所得者) 67万円 67万円 126万円
一般 56万円 62万円(※3) 67万円
低所得者Ⅱ 31万円 31万円 34万円
低所得者Ⅰ 19万円 19万円 34万円

出典:厚生労働省「高額医療・高額介護合算療養費制度について

(※1・2) 対象となる世帯に、70歳~74歳の者と70歳未満の者が混在する場合には、①まずは70歳~74歳の者に係る自己負担の合算額に、(※1)の区分の自己負担限度額が適用された後、②なお残る負担額と、70歳未満の者に係る自己負担の合算額とを合算した額に、(※2)の区分の自己負担限度額が適用される。

(※3) 平成22年7月までは56万円。

(※4) 初年度の限度額は別途設定(平成20年4月~平成21年7月の16ヶ月分)。

申請方法

高額医療・高額介護合算療養費制度を利用するには、介護保険者である市区町村の窓口で申請を行う必要があります。申請が受理されると、市区町村から介護自己負担額証明書が送られてくるので、介護自己負担証明書を添えて医療保険者に申請書を提出しましょう。

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自己負担額は医療費控除の対象になる

老健の施設サービスの対価(介護費、食費および居住費)に係る自己負担額として支払った金額は医療費控除の対象ともなります。医療費控除の申請には確定申告が必要ですので、忘れずに申請するようにしましょう。

そもそも医療費控除とは、1年間に10万円以上の医療費を支払った場合に受けられる控除です。治療を目的とした医療行為に支払った費用が所得税から控除されるため、美容整形手術などの費用は控除の対象とはなりません。

また、高額介護サービス費(1カ月に支払った利用者負担の合計が負担限度額を超えた際に超えた分が払い戻される制度)として払い戻しを受けた際は、医療費の金額から差し引いて医療費控除の計算をします。なお、特養のサービス費に対する高額介護サービス費については2分の1に相当する金額を医療費の金額から差し引いて医療費の金額から計算します。

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老健(介護老人保健施設)の資金計画は早めに立てよう

高齢者の増加や介護サービスを利用する人が増えたことにより、老健の利用にかかる費用も増加傾向にあります。そのため、介護資金は現役世代のうちに十分に貯蓄しておくことが大切であり、早めから資金計画を立てておきましょう。

もし資金の捻出が難しい場合は、コスト負担を軽減できないか、あるいはより安く利用できる老健はないかなど、地域包括支援センターの職員に相談してみることがおすすめです。老後の生活では費用面での心配が出やすいため、資金計画は早めに立てて、無理なくコストを捻出できるようにしておきましょう。

老健(介護老人保健施設)の費用の目安はいくら?

老健の1カ月あたりの費用の目安は8~14万円です。老健は入居金などの初期費用がかからないので、毎月の居住費、食費、介護保険サービスの自己負担額分、その他加算費用などが主な費用となります。詳しくはこちらをご覧ください。

老健(介護老人保健施設)の費用が高くなる人の特徴は?

老健の費用が高くなる人として最初に挙げられる特徴は、入居者本人または世帯員が市区町村民税課税世帯であることです。また、ユニット型または在宅強化型の老健に入所している方も高くなる傾向にあります。詳しくはこちらをご覧ください。

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