• 親の介護
  • 【公開日】2023-02-16
  • 【更新日】2023-06-19

親を施設に入れる罪悪感を払拭するには?解決方法や対策について紹介

親を施設に入れる罪悪感を払拭するには?解決方法や対策について紹介

親を施設に入れる時に罪悪感に襲われている方は少なくありません。

介護度や認知症が進んで、施設入所をケアマネジャーや主治医からすすめられて入所を決めても、いざ入所となると後悔や罪悪感を感じるのだとか。介護は症状が進むと自宅での介護が困難になり、介護者への負担も増えます。

介護者の負担を軽減し、設備の整った施設での入所は介護を受ける側にもメリットが大きいように感じますが、なぜ入所に罪悪感を感じるのでしょうか。

本記事では親を施設にいれる罪悪感の理由と、その払拭方法を解説します。

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在宅介護エキスパート協会 代表
所有資格:AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士,社会福祉士,宅地建物取引士
専門分野:在宅介護,老後資金,介護施設全般
職業: 社会福祉士,宅地建物取引士,ファイナンシャルプランナー

NEC 関連会社(現職)でフルタイム勤務の中、10 年以上に渡り遠距離・在宅介護を担う。両親の介護をきっかけに社会福祉士、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーなど福祉に直接的・間接的に関係する資格を取得。その経験や知識を多くの方に役立てていただけるよう「在宅介護エキスパート協会」を設立、代表を務める。詳しくはこちら

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親を施設にいれると罪悪感がある?罪悪感の理由とは

介護施設は専門知識を持った介護スタッフが常駐し、看護師や医師の健康観察もあるため、安全に生活することが可能です。

介護度が上がる程に困難になる入浴も、施設では機械浴でゆっくり楽しめます。しかし、介護施設へ親を入れるのに罪悪感を感じている方がいます。

国が掲げる介護保険法の制度の一つとして提供されている介護施設に、罪悪感を感じる必要は本来ありません

そんな介護施設へ親を入所させるのになぜ罪悪感を感じるのでしょうか。罪悪感を感じる3つの理由について紹介します。

親を捨てる気持ちになる

親を介護施設に入所させる状況が、親を捨てる感覚になり罪悪感を感じる方がいます。

「子どもが親の介護をする」が未だに根強く意識として残ってしまっているのが理由の一つとしてあげられます。

施設へ入れるのが介護放棄のように感じ、親に負い目を感じてしまうのです。

しかし、平均寿命が伸び、要介護の高齢者が増加している一方で、定年も伸びている現在では子どもが親の介護を続けるのは困難です。核家族化も進んでいるので、より一層在宅のみでの介護が難しくなるのではないでしょうか。

参考:厚生労働省「平均寿」と「健康寿

周囲から反対された

自分と親が施設への入所を納得していても、周囲から反対される場合もあります。

「施設に入れられてかわいそう」

「家で過ごさせてあげたらいいのに」

などと言われると施設に入れる自分に非がある感覚になってしまいます。自分の不甲斐なさから、施設に入れるのだと罪悪感を感じてしまうのです。

しかし、このような意見をしている方は主介護者ではありません。介護においては介護をしている方と、介護をされている方の気持ちを優先させるのが大事です。

また、親の介護は子どもがするべきであると思っている方が多くいます。この「親の介護の義務」はあくまで「直系血族間の扶養義務」です。生活のためにお金の支援や保護をする義務であり、生活介護を必ずしもしなければならないわけではありません

親が施設入所を拒否した

内閣府の発表した「高齢者の健康に関する意識調査」によると、自宅で介護を希望している方は、4割以上をしめています。

親が自宅で余生を過ごしたいと希望していると、施設へ入れるのに罪悪感が芽生えてしまいます

介護を受ける親の中には、自分たちの介護は子どもがすべきだと思っている方もいるのです。中には「施設に入れられるなら死ぬ」などと強い言葉で子どもを責める方もいます。

とはいえ、実際に強制的な施設入所は過度なストレスが認知症を悪化させたり、親子の間柄に溝ができたりと問題があります。その際は第三者に入ってもらうとよいでしょう。

参考:厚生労働省「在宅医療・介護の推進について」

内閣府「高齢者の健康に関する意識調査」

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親を施設に入れる罪悪感を軽減させるためには

親を施設に入れる罪悪感はどうしたら軽減できるのでしょうか。まず施設は必要だと理解しなければなりません

在宅介護には限界があり、介護を1人で抱え込むと介護者の心身に重大な影響が出る危険性があるからです。

また、施設へ入れる罪悪感も残り続ければ、自責の念に耐えられず施設を退所して在宅介護に戻ってしまう可能性もあります。在宅介護に戻らずとも精神的ストレスがかかる場合もあります。

そうならないために、ここからは罪悪感を軽減させる以下の方法を紹介します。

  • ケアマネジャーに相談
  • 介護に適した施設の方が快適に過ごせると前向きに捉える
  • 家族関係が良好になっていると認識する。

親を施設に入れたいけど、罪悪感があるという方はぜひ参考にしてください。

ケアマネジャーに相談

罪悪感を軽減させるために、ずは「親を施設に入れる罪悪感を感じている」悩みについて相談しましょう

相談相手は、信頼できる身内にするのもよいですが、介護のプロであるケアマネジャーへの相談がおすすめです。ケアマネや地域包括支援センターの職員であれば、同じように罪悪感に苛まれている方の相談を受けた事例があるかもしれません。

プロ目線から見た介護の方向性や、施設入所の重要性を解説して貰えば罪悪感の軽減になるのではないでしょうか。

兄弟や親戚に施設入所を否定されている方がいても、ケアマネジャー経由で説明をしてもらうと理解を得られる可能性があります。

介護に適した施設の方が快適に過ごせると前向きに捉える

介護施設の方が設備が充実しているので、介護を受ける方にとっても快適に過ごせると前向きに捉えましょう。

自宅において介護に適した環境にするのは難しいです。介護リフォームは、部分のみなら補助金で補填が効きますが、全面改装となると補助の対象外のものも多く、膨大な費用がかかります。

一方で介護施設は介護のために作られた施設なので、当然ではありますが手すりやフラットな床、介護ベッドや機械浴など介護に適した安全な環境です。

24時間体制でプロのスタッフがいるので、自宅で過ごすよりも安全で手厚い介護を受けられます。

在宅介護では趣味の提供や外出が難しいケースも多く、自宅でテレビをみて一日が終わる方も多いです。施設ではレクリエーションが随時行われていて、季節のイベントや遠出もときにはしてもらえます。

自宅で過ごすよりはるかに充実した生活ができると思えば施設入所の罪悪感も晴れるのではないでしょうか。

家族関係が良好になっていると認識する

親を施設に入れると家族関係が良くなった方が多くいます。(参考:ベネッセの実際のエピソード

在宅で介護をしていると、介護を受けている親は自由にならないストレスから子どもに当たってしまったり、逆に介護をさせている罪悪感から塞ぎ込んでしまいます。

介護者は親からのストレスと、介護による精神的、肉体的ストレスから親にキツく当たってしまうなど親子関係を悪化させてしまうケースがあります。

施設に入所すると適度な距離が生まれ、お互いのストレスが緩和されて、ストレスフリーで良好な親子関係を築けるのです。施設に入所していても、外出や面会はできるので、ストレスのない状態で、時折親子で外出に行く方が在宅よりはるかに健康的でよい気分転換になると考えれば罪悪感も薄れるのではないでしょうか。

親を施設に入れてから家族にできること

施設に入所してしまえば、介護の責任がすべて施設にいくと思いがちですが、実際は保護者は家族になります

入所後も家族のできることは多いので、介護に参加しているといえます。

家族に出来るのは、定期的なケアプランの見直しの確認や施設利用料の管理、日用品の買い出し(施設が代行してくれる場合もある)や差し入れなどです。

生活のケアをプロにお願いしているだけで、保護責任の義務は果たされていると感じれば罪悪感も感じにくいのではないでしょうか。ここからは施設入所後に家族に出来る以下のことを紹介します。

  • 施設に入所後、面会や外出の機会を多く設ける
  • 施設との橋渡し役

施設入所後も家族に出来ることはたくさんあります。

施設に入所後、面会や外出の機会を多く設ける

施設では介護スタッフが常時生活介護をしたり、レクリエーションなどで盛り上げたりしてもらえます。楽しい時間ももちろん提供されますし、寄り添った介護も受けられますが、スタッフはあくまで仕事です。

入所している高齢者にとっては、時に家族とのふれあいが何より重要な場合があります。

入所した親のためには、定期的に面会に来て一緒に過ごしたり、時折外出に連れ出して親子の時間をゆっくり過ごす時がなによりのケアに繋がります。

施設との橋渡し役

施設で介護を受けていると、不満や希望が出てきます。しかし、介護を受けている方にとっては生活の場なので、生活の世話を受けている以上不満を出せない方も多いです。

そこで家族が親の相談にのり、家族経由で施設に意見相談をする必要があります。

家族が間に入るので、円滑に施設と入所者の意見や希望の交換がしやすくなります。

親もより安心して施設での生活を送れるのではないでしょうか。

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親を施設に入れずに無理して在宅介護を続けるリスク。

親を施設に入れる罪悪感があるからといって、在宅で介護を続けると、時には取り返しのつかない事態になる場合があります。

ここからは無理をして在宅介護を続けた時に起こる3つのリスクについて解説します。どれも重大なリスクにつながるので、実際に起こってしまう前に対処する必要があります。

  • 介護を受ける側が罪悪感でうつになるケース
  • 介護疲れによる介護うつになるケース
  • 介護離職による経済的不安

介護は一人で抱え込むにはたくさんのリスクがあります。

介護を受ける側が罪悪感でうつになるケース

親を施設に入れると介護を放棄した感覚になり、罪悪感から自分を責めてしまう方もいます。

一方で、子どもに介護をさせて負担をしいている状態に介護を受けている側が罪悪感を感じているケースがあります。

自分のせいで子どもの自由を奪っていると自分を責め、自由にならない自分の状態にふさぎ込み、結果うつを発症してしまう可能性があるのです。

うつは認知症の要因の一つともされており、認知症を発症して介護者のさらなる負担になってしまう負の連鎖がおこる危険性があります。認知症が進行すると夜中に叫ぶ方や、徘徊で外に当てもなく出かけてしまう方、口になんでも入れる方と目が離せなくなってしまうのです。

参考:健康長寿ネット「認知症とうつ」

介護疲れによる介護うつになるケース

介護は心身共に負担がかかります。排泄や食事、服薬に入浴と力仕事も多く、それが休みなく続いていくのです。寝たきりや進行した認知症だと、その分ケアの内容や、危険なもの、不安な状態も多くなり、しっかり睡眠や食事もとれない方もいます。

疲れが取れないまま自由に買い物や休息を取れないストレスが蓄積し続けると、うつに発展してしまう危険性があります。介護うつをそのまま放置すると、介護をしている親を攻撃する方もいるのです。虐待にまで発展し、事件にまでなってしまうケースもあります。

逆に自分への自傷行為や、自死に至ってしまうパターンもあります。介護うつは深刻な問題なので、発症しないためにも施設を利用する必要性はとても高いのです。

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介護離職による経済的不安

要介護度が高く、付きっ切りで介護をしなければならない場合は仕事との両立が難しくなりますまた、介護による離職の増加は厚生労働省も警鐘を鳴らしている社会問題です。

離職すると仕事と介護の両立による負担とストレスから解放されますが、経済的な不安が付きまといます。

また仕事を理由に介護から離れていたものが、ほぼ1日中、親に関わる状態の方が、逃げ場がなくなるという方もいらっしゃいます。

親の介護に自分の貯金を使ったために、自分の老後に十分な貯蓄を用意できないケースや、経済不安から離婚に至る可能性もあるのです。

介護離職や介護離婚を防ぐためにも施設への入所を検討する必要性はあるといえます。

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施設を利用する必要性とは

限界を超えての在宅介護の危険性を紹介しました。施設の中には介護医療院などのように、在宅介護では難しい専門的なケアを受けられる施設もあります

主治医やケアマネジャーから施設の利用を奨められる場合もあるのです。ここからは施設を利用する必要性について以下4つ紹介します。

  • 介護者の負担軽減につながる
  • 機能訓練による症状の改善が見込める
  • 介護のプロから介護を受けられる
  • レクリエーションによる楽しみができる

施設の入所は、時には必要な場合があるのです。

介護者の負担軽減につながる

核家族化の増加により、介護者の孤独化も進んでいます。介護は1人きりで抱え込むには負担が大きく、介護疲れからうつ病を発症するケースも珍しくありません

肉体的負担も大きく、寝たきりの方だと、体位交換、排泄介助、食事介助などの力仕事が必須になります。認知症の進行で夜中に叫ぶ方や、暴力行為、せん妄などで介護者が精神的に疲弊してしまう場合もあります。

施設を利用すると、介護者の負担が軽減され、結果的に介護者と要介護者の双方を保護できるのです。

機能訓練による症状の改善が見込める

介護施設では機能訓練を受けられるので、在宅介護より認知症や他症状の進行が緩やかになったり、症状が改善されるケースもあります

在宅介護では親子間の交流となり、刺激が少ない日常になりますが、施設だと同世代との共同生活を送れるのでコミュニケーションをとれます。昔話をすると回想法のリハビリとなり、認知症の予防になる刺激を得られるのです。

新しい出会いやコミュニケーションのよい刺激を受けると、認知症の改善や抑うつの改善に効果が見込まれます。

介護のプロから介護を受けられる

介護度が上がると在宅での介護はケア不足になってしまいます。半身まひや寝たきりの場合は、自宅の浴室で充分な入浴が出来ません。

また、車いすからベッドへの移乗も部屋の構造によっては移乗が難しく、介護者にも要介護者にも負担が掛かってしまいます。

介護施設では、寝たきりでも入浴できる機械浴や、麻痺している側に合わせた手すりを利用できるので、安心して生活ができます。

嚥下機能が低下していても、プロの介護サービスを受けられるので、流動食や食事介助によって食事をしっかりとれます。

レクリエーションによる楽しみができる

認知症や手足の麻痺などで本来の趣味を諦める方もいます。とはいえ、在宅介護では趣味を新しく見つけるのはとても難しいです。

日々の介護に忙しく、趣味の提供や外出まで心身ともに追いつかない場合があり、親子そろって引きこもって生活する状況があります。

介護施設では絵画や将棋などの趣味も、利用者のレベルに合わせて提供されます。麻痺などで満足に動けない時は、スタッフが付き添ってくれるので趣味を楽しむのもスムーズです。

施設の中で新しい趣味を見つける方もおり、充実した生活を送れます。

レクリエーションが充実した施設を検討するのも、親を施設へ入れて良かったと思えるきっかけになるのではないでしょうか。

ケアスル介護では、約5万件の施設情報の中から条件に合った施設を探せます。

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親への罪悪感は大事にしている証拠!自分の人生も同じように大事にしよう

親を施設に入所させる罪悪感が強いのは、親をそれだけ大事におもっている証拠です。とても素晴らしいですが、親と同じように自分も大事にする必要があります。

また、施設への入所は時に在宅での介護以上に必要な場合があります。施設を利用するのは親を間接的に守れるのです。

親とのかけがえのない残りの時間を、お互いに気持ちよく、穏やかにすごしてはいかがでしょうか。

第三者を挟んでも施設への入所を拒否された。その場合はどう進めたらいいでしょうか。

ショートステイなどから徐々に施設利用に慣れていく進め方もあります。時間がかかり、一進一退となる可能性もあります。親の同意なく施設の入所の決定もできますが、施設だけでなく子どもへの不信感を持たれる危険性があるので注意が必要です。強制入所は最終手段にしましょう。詳しくはこちらをご覧ください。

罪悪感を払しょくできずに施設を退所して在宅介護に戻るケースはありますか。

罪悪感から施設を退所してしまう方もいるにはいます。しかし、一度退所して、やはり介護疲れからもう一度入所となると空きがあるか分からず、入所できないケースもあります。不安に思ったら一度施設のスタッフやケアマネジャーに相談しましょう。詳しくはこちらをご覧ください。

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