特別養護老人ホーム(特養)とは、介護が必要になった高齢者の方に対して介護サービスを提供している公的な老人ホームの一つです。
老人ホームには民間企業が営利目的で運営している施設もありますが、特別養護老人ホーム(特養)は介護保険サービスとして利用できる介護保険施設の一つで費用が安いのが一番の特徴です。
特別養護老人ホーム(特養)は費用が安いことから人気も高く、最大で1~2年程度の待ち時間が発生するのも特徴です。
特別養護老人ホーム(特養)への入所を考えるなら、これがどのような施設なのか、基本的な特徴を理解しておくことが大切です。特別養護老人ホームとは何かを詳細まで知ることで、利用者に合った施設かどうかを見極めましょう。
◎特別養護老人ホーム(特養)って何ですか?
特養は特別養護老人ホームの略称で、介護が必要になった高齢者の方に介護サービスを提供している公的な老人ホームです。
◎特別養護老人ホーム(特養)はどんな人が入れるの?
特別養護老人ホーム(特養)は65歳以上で要介護3以上の認定を受けている人が入れます。ただし、特例として要介護1~2の人でも利用対象となる場合があります。(「要介護1~2の方の場合も特例入所できることがある」を参照)
◎特別養護老人ホーム(特養)の費用はいくら?
特別養護老人ホームでかかる月額費用は5~15万円です。公的な施設なので、入居一時金等の初期費用は掛からないのが特徴です。
特別養護老人ホーム(特養)とは
特別養護老人ホーム(特養)とは、要介護3以上の方を受け入れている公的な介護保険施設です。在宅での生活が難しくなった要介護の高齢者を受け入れていることが特徴で、正式名称は「介護老人福祉施設」とされています。
特別養護老人ホームの提供サービスは、食事・入浴・排泄の介助や生活支援、リハビリ、レクリエーションとなっており、全体の約73%の施設で看取りの対応をしているのが特徴です。※厚生労働省「施設、在宅での看取りの状況に関するデータ」
また、公的な施設である特別養護老人ホームは他の介護施設よりも比較的安価で入所できることが特徴です。
ただし、安価で人気の高い施設であることから、地域によっては入所待ちが発生していることもあります。細かい状況はエリアごとに異なりますが、入所までに待機期間を要する場合もあることは理解しておきましょう。
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メリット・デメリット
続いて特別養護老人ホームのメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット |
---|---|
費用が安い | 入居待ちが発生することがある |
終身に渡って利用できる | 医療体制が整っていない場合がある |
24時間体制で介護を受けられる | ー |
メリット
特別養護老人ホームのメリットとしては以下の3つあります。
- 費用が安い
- 終身に渡って利用できる
- 24時間体制で介護を受けられる
まず、特別養護老人ホームのメリットとして最も大きいのは毎月の自己負担額費用が安い点です。民間施設と異なり入居一時金が不要であることや、日常生活費などを除いて施設サービスに対する支払いの自己負担額には医療費控除が適用されます。
また、特別養護老人ホームは原則として終身に渡って利用できるのがメリットです。長期入所することを前提としているので、入所期間に限りがありません。高度な医療ケアが必要になった場合や他の入所者に対して迷惑をかける可能性が高くなってきた場合を除いて、他の介護施設に移る必要が無い点がメリットと言えるでしょう
特別養護老人ホームでは、厚生労働省の基準に基づいて介護スタッフが24時間体制で常駐しています。そのため、要介護度が高い場合でも安心して入所することが出来ます。介護職員の配置基準は入所者3人に対して1人が義務付けられており、施設によってはさらに多くの人員を配置していることもあるので入所前に確認してみましょう。
デメリット
特別養護老人ホーム(特養)のデメリットは以下の2つです。
- 入所待ちが発生することもある
- 医療体制が整っていない場合がある
利用希望者が多い特別養護老人ホームは、申請しても入所待ちとなることも少なくありません。そのため、申請するなら入所待ちの期間も考慮しておくことが大切であり、その間は別の施設を利用するなど、代替案も考えておきましょう。
特別養護老人ホームでは上述したように看護師が24時間体制で配置されていません。そのため、夜間、特別な医療ケアが必要な場合は十分な医療体制が整っていない場合があります。
したがって、常時医療ケアが必要な方は特別養護老人ホーム以外の施設を検討する必要があるでしょう。


費用
特別養護老人ホームは公的施設であるため入居一時金が掛かりません。月額費用の目安は自己負担5~15万円です。「特定入所者介護サービス費」という軽減制度を利用することで、本人を含む世帯所得・預貯金額によっては費用を大幅に抑えることが出来るのが特徴です。
特別養護老人ホームでかかる月額費用は5~15万円です。費用は入所する居室タイプが多床室(相部屋タイプ)か個室かによっても異なります。また、特定入所者介護サービス費という軽減制度が利用できるので、入居する本人を含む世帯の年収・預貯金の状況によって段階別に費用が定められています。
段階 | 所得の要件 | 預貯金の要件 | ||
---|---|---|---|---|
区分 | 年金収入+合計所得金額 | 単身 | 配偶者あり | |
第1段階 | 生活保護者等または世帯全員が老齢福祉年金受給者 | – | 1000万円以下 | 2000万円以下 |
第2段階 | 世帯全員が市町村民税非課税 | 80万円以下 | 650万円以下 | 1650万円以下 |
第3(1)段階 | 80~120万円 | 550万円以下 | 1550万円以下 | |
第3(2)段階 | 120万円超 | 500万円以下 | 1500万円以下 |
例えば、介護保険の自己負担額が1割、要介護3で多床室タイプの特養に入居する方の場合、第1段階の方の場合は食費・居住費・介護保険サービスの自己負担額を合わせて30,360円、第4段階(負担軽減無し)の方の場合90,360円と大きく費用が異なることがわかります。
食費・居住費・介護保険サービスの自己負担額に合わせて、生活費として1~2万円が加わることも覚えておきましょう。
費用シミュレーター
- 1ヶ月ご利用料金(30日を基準とした概算)
- 0円
- 1日あたり(①+②+③)
- 0円
- ①介護保険自己負担額
- 0円
- ②食費
- 0円
- ③居住費
- 0円
※ 1単位10円として計算しています。
※ 加算項目は含まれていません。
※ 日数や端数の処理によって誤差が出ることがございます。
※ 出典:厚生労働省「介護報酬の算定構造」「利用者負担の軽減について」
特別養護老人ホームの費用について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
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入所条件
特別養護老人ホームの入所条件は65歳以上で要介護3以上の認定を受けている人です。ただし、特定疾病のある要介護3以上の方であれば40~64歳の方でも入所することが出来ます。
特別養護老人ホームでは終身に渡って利用できることを前提としているので寝たきりの方などの受け入れも行っていますが、看護師の24時間体制での配置は義務付けられていないので医療行為が必要な寝たきりの方の入所などは難しい場合があります。
また、認知症や暴力行為などで周囲に迷惑をかける可能性があるときは入所を断られる場合もあります。

要介護1~2の方の場合も特例入所できることがある
基本的には要介護3以上の人が特別養護老人ホームの入所対象となりますが、特例として要介護1~2の人でも利用対象となる場合があります。要介護1~2のうち、認知症や知的障害、精神障害などによって、日常生活がスムーズに送れない人は特別養護老人ホームの利用対象です。
具体的には以下のような要件を満たしている場合に特例入所の対象となるとされています。
- 認知症であることにより、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ、在宅生活が困難な状態であるか否か。
- 知的障害・精神障害等を伴い、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さ等が頻繁に見られ、在宅生活が困難な状態であるか否か。
- 家族等による深刻な虐待が疑われる等により、心身の安全・安心の確保が困難な状態であるか否か。
- 単身世帯である、同居家族が高齢又は病弱である等により、家族等による支援が期待できず、かつ、地域での介護サービスや生活支援の供給が十分に認められないことにより、在宅生活が困難な状態であるか否か。
基本的には要介護3以上の人が対象となりますが、特別な事情を持つ人に限っては要介護1~2でも入所対象になる場合があることは理解しておきましょう。
特別養護老人ホーム(特養)のまとめ
特別養護老人ホームは、要介護3以上の高齢者の方を対象としている公的な施設です。提供サービスは食事・入浴・排泄の介助や生活支援、リハビリやレクリエーションとなっています。
世帯所得によっても費用は変わりますが、月額費用は自己負担9~15万円が相場となっています。施設によって居室タイプが異なるので入居後の生活を見据えて施設を選ぶようにしましょう。