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  • 【公開日】2022-10-04
  • 【更新日】2023-02-24

親の介護による退職の実情は?メリット・デメリットから体験談まで解説

親の介護による退職の実情は?メリット・デメリットから体験談まで解説

親の介護をしている人の中には現在仕事をしながら介護をしているという人も少なくないと思います。在宅介護をしているという場合も施設に入所している場合も介護をしていると突然の尾田氏があったり、突然の入院があるなど仕事との両立が難しく感じる人も少なくないと思います。

そこで考えるのが介護を理由とした退職です。いわゆる介護離職と呼ばれている退職の理由は一般的には「するべきではない」という人が多くいますが、本当に親の介護を理由とした退職はしないほうが良いのでしょうか。

本記事では親の介護を理由に退職する人の実情やメリット・デメリット、実際に退職した人の体験談から親の介護を理由に退職するのは良いのかどうかについて検討していきます。

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親の介護による退職の実情

まずは現在親の介護をしている人がどの程度退職しているのか、親の介護を理由に退職した人が仕事をやめた理由など、親の介護を原因とした退職の実情について探っていきます。

介護離職者は10年間で2倍に増えている

厚生労働省の調査によると「介護・看護」を理由に退職している人の数は2017年には約9万人に増えており、2007年と比較すると数が二倍に増えていることがわかっています。(参考:厚生労働省「雇用動向調査」)

2017年時点で2倍に数が増えているため、高齢化が進行している2022年現在はこの傾向がさらに広がっていることが推察されています。

また、株式会社 大和総研「介護離職の現状と課題」の調査によると、「以前はパートタイム労働者(非正規)の介護離職が一般労働者(≒正規)よりも多かったが 、2010年頃からその差が縮小し、近年では正規の離職者の方が多い。」とされていて、近年の傾向として正規社員の退職者数が増えていることがわかっています。

以上からわかるように、近年の高齢化の影響によって介護施設の定員以上に高齢者が増えた結果在宅介護の必要性が増え、結果として子供が世話をしなくてはならないことによる介護離職が増えていることが推察できます。

介護離職で最も押い理由は「両立が難しい」ため

厚生労働省の「仕事と介護の両立等に関する実態把握のための調査研究事業」によると、親の介護を理由に退職する人の退職理由として最も多いのは「仕事と介護の両立が難しい職場だったため」が59.4%となっています。

次に多いものは「介護をする家族・親族が自分しかいなかったため」が17.6%、「自分の心身の健康状態が悪化したため」が17.3%になっていることから、総括すると介護と仕事の両立が難しくて退職したという人がほとんどであることがわかります。

上述したように介護をしている場合はケアマネージャーからの連絡や病院や入所している施設から頻繁に連絡が来ることがあり、仕事に集中できないということも容易に推察することが出来ます。

また、在宅介護をしている場合は介護による精神的・身体的ストレスによって仕事との両立が難しいのも理由の一つとして考えられるでしょう。

親の介護をしたくないという人はこちらの記事についてもご覧ください。

退職するまでに1年以上働く人が大半

最後に、厚生労働省の「令和元年度仕事と介護の両立等に関する実態把握のための調査研究事業報告書」によると、退職するまでの仕事と親の介護の両立機関として最も多いのは1年以上であることがわかっています

「⼿助・介護」が必要になってから「⼿助・介護」のために仕事を辞めた時までの期間

以上より多くの方は介護と仕事を両立して1年以上続けてきているが、それでも介護との両立が難しくて退職しているということがわかっています。

やはり親の介護で退職するまでには多くの方が葛藤し決断していることからも、難しい選択となることは言うまでもないでしょう。そこで、施設に入所してもらうことも検討している方はケアスル介護がおすすめです。

入居相談員にその場で条件に合った施設してもらえるので、初めてでもあなたにピッタリの施設を探すことが出来ます。

初めての施設探しで何から始めればよいかわからないという方はぜひ利用してみてください。

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親の介護で退職するメリット・デメリット

続いて親の介護で退職するメリット・デメリットについて紹介していきます。

親の介護で退職するメリット

精神的に楽になる

介護離職をすることで仕事の負担がなくなり、介護のみに集中できます。そのため、精神的に楽になりやすく、仕事のことを考えなくて済む分、ストレスは少ないでしょう。もちろん、介護だけでも心身ともに大変ではありますが、仕事と両立する場合と比較すると、少しでも楽になることは確かです。

また、介護に専念できることで、親や家族をほったらかしするといった罪悪感からも逃れられます。仕事に専念して介護をしていないと、介護に時間を割けないことに罪悪感を覚えてしまう人も多いです。

また、介護される側もほったらかしにされているという実感を持ち、家族で不仲になってしまうこともあるでしょう。離職して介護に専念できることで、お互いにコミュニケーションを取りやすくなり、見放していない、見放されていないといった点で精神的な負担が減るというメリットもあります。

介護にかかる費用を削減できる

介護は家族で行うだけではなく、介護サービスを利用することも可能です。しかし、介護サービスの利用には費用がかかり、介護離職をすることでコスト負担を削減できることは大きなメリットです。

介護サービスにはさまざまなものがあり、例えば訪問介護からデイケアやデイサービスなどの通所サービス、有料老人ホームへの入居サービスなどがあげられます。これらを利用することで介護の負担は減りますが、その分費用がかかることは理解しておきましょう。

利用するサービスによって費用は異なりますが、数十万円から数百万円程度の費用がかかることは多く、コスト負担は大きいです。介護離職をする場合でも、外部のサービスを利用するケースはありますが、家族が中心となって介護ができることで、利用できるサービスは最低限に抑えられます。

出費が抑えられることで精神的な余裕を持ちやすく、介護にも集中しやすいです。また、要介護度や要支援度次第では介護保険も利用でき、これを併用することで、さらに介護費用は削減できます。

親の介護費用について気になっている方はこちらの記事もご覧ください。

親の介護を理由に退職するデメリット

収入源を失う

親の介護を理由に退職するデメリットとしては、収入源が減ることや再就職が難しいなど経済的なダメージが大きいことが言えるでしょう。

退職した場合はそれまでの貯蓄や親の年金に頼ることになるので、将来的に生活人困窮する可能性があります。

介護離職後の復職率については、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社の「仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査(2012年)」を参考にすることが出来ます。調査によると、介護離職後に離職前と同様に正社員として再就職できている人は半数にも満たない49.8%となっており、無職の人は24.5%にも上っています。

したがって、介護離職後の経済的なダメージだけではなく、介護が終わった後の復職率などの観点で見ても経済的なダメージが大きいことがデメリットとして上げることが出来るでしょう。

築いてきたキャリアを失う

離職することで、これまでに築いてきたキャリアを失うというデメリットもあります。親の介護が終わり、仕事に復帰しようと考えた場合でも、以前と同様のキャリアを築けるとは限りません。

ブランクの期間が長くなることで、仮に同じ会社に戻ることができても、役職が下がったり、年収が低くなったりすることはあるでしょう。つまり、収入が減少することで介護後の生活が苦しくなることも多く、やりたい仕事ができなくなって不満を抱えてしまうこともあります。

復職してから新たにキャリアを築くことは不可能ではありませんが、年齢次第では思い描いていたキャリアに到達できない可能性は高いです。やりたい仕事ができず、これまでの努力が実らなくなり、介護後の仕事に不満を覚えてしまうケースがあることは理解しておきましょう。

特に仕事にやりがいを感じていた人は、復職してからのデメリットは大きく、キャリアを手放すことで介護後の仕事に支障が出る可能性があることは頭に入れておく必要があります。

将来への不安から精神的なダメージを負いやすい

介護に集中できるからといって不安がすべて消えるわけではなく、むしろ将来への不安が精神的なダメージにつながりやすい点は介護離職のデメリットです。介護は長期間化することも多く、先の見えない生活に不安を覚える人は少なくありません。

特に離職して収入源がなくなると、資金がいつまで持つのか、介護を終えた後の自分の生活がどのようなものになるのかなどを不安に思い、精神的な負担になってしまうこともあります。

また、介護そのものによる精神的な負担も大きく、介護につきっきりになることがストレスになることも少なくありません。将来への不安や介護による精神的な疲労から、介護者自身がメンタル疾患を発症してしまうこともあります。

将来への不安でメンタルが不安定になると、介護する人とされる人の共倒れが起きてしまうこともあります。特に仕事を辞めて社会的なつながりが薄くなると、メンタル面での問題を抱えてしまうこともあるため、この点には注意しなければなりません。

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親の介護で退職した人の体験談

次に実際に親の介護で退職をした人の体験談について紹介していきます。ここでは、良かった人と退職して後悔した人の二つの側面から介護離職の実情について理解を深めていきます。

退職してよかった人の声

まずは親の介護で退職してよかったという人の体験談について紹介していきます。

・「良かったことは、私の意向で、介護、御葬式と財産分与の方針を進めました。
自宅で最後までなのか、施設にいれるのかで、金銭面も精神面も随分、変わってきますから。」(yahoo知恵袋より引用)
・「正直、仕事は大好きでしたので、「辞めたくないな」と一瞬思いました。しかし、今は、「自分の選択は間違ってなかった」と思っています。…これからも(生きている)母をたいせつにしたいと思って、私ができる限りのサポートをしているつもりです。」(yahoo知恵袋より引用)

以上からわかることは、介護離職をして介護に専念したことによって精神的にも身体的にも大変だったが、それでも最期まで親の面倒を見ることが出来たというメリットや財産分与等についてすべて本人で決めることが出来るというメリットがあることです。

介護離職によって収入が減ることは間違いありませんが、親の財産の管理等の権限を介護をメインにしている子供が担うことも少なくなく財産管理の観点でメリットがあるようです。

親の介護を一人っ子で行っている方はこちらの記事もご覧ください。

退職して後悔している人の声

次に親の介護で退職して後悔している人の声について紹介していきます。

・「悪かったことは、キャリアが1度途切れてしまったことです。実父の介護のために、余計な夫婦げんかが増えたことです。」(yahoo知恵袋より引用)
・「正社員はむり。派遣も年齢的に限られます。時給生活で社会保障もないです。介護は、日をおうにつれ拘束され寝られなくなりやりたいことも出来ず精神的にも辛いです。」(yahoo知恵袋より引用)

以上からわかることは、親の介護によって退職をするとやはりキャリアに傷がつくという点が大きいことです。特に40~50代以降の転職となると、明確なスキル等が無いと転職するのもなかなか難しく、アルバイトや派遣も年齢的に厳しいという状況に直面することがわかります。

従って親の介護を理由に退職した人で後悔している理由として一番大きいのはやはり将来のキャリア観点でのデメリットが大きいことであることがわかります。

親の介護で退職する前に利用したい制度

親の介護で退職する前に利用したい主な制度としては以下の2つの制度があります。

  1. 介護休業
  2. 介護休暇

それぞれの制度の概要について説明していきます。

介護休業

介護休業とは、「労働者が要介護状態(負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にある対象家族を介護するための休業」とされており、介護と仕事を両立するための制度です。(出典:厚生労働省「介護休業とは」)

介護休業を利用することによって、休業期間中に親の要介護認定の申請を行ったりケアマネージャーとの連絡、介護サービスの手配や施設に入所する際の見学など様々な介護の下準備を整えることが出来ます。

利用できる労働者は対象家族を介護する男女の労働者となっており、対象家族は、配偶者 (事実婚を含む) 、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫となっています。

対象家族1人につき3回まで通算93日まで休業することが出来、休業開始予定日の2週間前までに書面等によって事業主に通知することによって利用することが出来ます。

介護休暇

介護休暇とは「労働者が要介護状態(負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、
2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にある対象家族の介護や世話をするための休暇」とされています。(出典:厚生労働省「介護休暇とは」)

対象となる労働者や対象家族は介護休業と同じとなっており、取得できる日数は対象家族が1人の場合は年5日まで、対象家族が2人以上の場合は年10日までとなっています。

手続き方法は書面の提出に限定されていないので、口頭での申し出も可能となっています。

参考:介護休暇中に給与はもらえない?

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親の介護で退職前にしておきたいこと

親の介護で退職する前に最後にチェックしておきたいことについて紹介していきます。両立にあたってまだ利用していないサービス等があれば利用を検討してみてはいかがでしょうか。

介護保険外サービスの利用

介護サービスには介護保険が適用されるサービスと、全額自己負担で利用する介護保険外サービスの2種類あります。

介護保険外サービスとは、訪問介護や訪問看護などの介護保険サービスでは適用できない部分を補う介護サービスです。家事代行サービスから旅行や外出支援サービスなど趣味の範疇に及ぶサービスまで存在します。

介護保険サービスが課税所得に応じて自己負担額が1~3割となるのに対して、保険適用対象外となるので10割自己負担となるものが一般的ですが、最近では自治体が独自に運営しているものもあり場合によっては介護保険適用サービスと同じく1~3割の自己負担額で収まるケースもあります。

具体的には旅行の付き添いサービスや趣味の付き添いサービスなど、公的な介護保険サービスではカバーできない範囲をカバーすることが出来るので利用していない方は利用を検討してみてはいかがでしょうか。

公的な相談窓口を利用する

介護における問題は自分1人で抱えず、さまざまな人に相談することが大切です。周囲の人に相談することが難しいなら、公的な相談窓口を利用すると良いでしょう。介護に関する相談先は多数あり、主なものとしては次の施設や機関があげられます。

  • 地域包括支援センター
  • 社会福祉協議会
  • 保健所
  • 国民健康保険団体連合会

公的な相談窓口を利用することで、介護に関する問題は解消しやすくなります。利用者の状態に合ったサービスを紹介してもらえるだけではなく、利用できる制度を教えてもらえたり、介護サービス事業者に対する不満やクレームなどを受け付けてもらえたりもします。

初めての施設探しで何から始めればよいかわからないという方はケアスル介護がおすすめです。

入居相談員にその場で条件に合った施設を提案してもらえるので、初めてでも安心して施設探しをすることが出来ます。

スムーズに探したいという方はぜひ利用してみてください。

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親の介護で退職する際は慎重に動こう

ここまで親の介護による退職について解説してきましたが、親の介護による退職は介護に専念することが出来るというメリットだけではなく、収入源を失ったり場合によってはキャリアパスを失うなどのデメリットがあります。

近年増えてきている介護離職ですが、退職する場合は事前に退職するメリット・デメリットについて吟味したうえで慎重に動くようにしましょう。

親の介護で退職する理由は?

厚生労働省の調査によると、親の介護を理由に退職する人の退職理由として最も多いのは「仕事と介護の両立が難しい職場だったため」が59.4%となっています。詳しくはこちらをご覧ください。

親の介護を退職せずに行う方法はないの?

親の介護で退職する前に利用したい主な制度としては以下の2つの制度があります。①介護休業 ②介護休暇詳しくはこちらをご覧ください。

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