• 親の介護
  • 【公開日】2022-10-04
  • 【更新日】2026-06-24

【体験談】親の介護で退職するな│介護退職後の現実と仕事を続けるための全対策

【体験談】親の介護で退職するな│介護退職後の現実と仕事を続けるための全対策
この記事でわかること
A. まず「自分一人で全部やる」をやめることが先決です。ケアマネジャーへの相談・介護サービスの活用・会社制度の申請を同時に動かすことで、状況は変えられます。
A. 年収の大幅低下・社会保険の喪失・キャリアブランク・再就職の困難化に加え、「退職すれば楽になれる」と思っていたのに精神的消耗が続くケースも少なくありません。経済的不安が新たに加わることで、かえって追い詰められる方もいます。
A. 再就職後の年収は男性で約4割・女性で約5割下がるというデータがあります(総務省)。一度失った収入水準を取り戻すのは非常に困難です。
A. 再就職自体は可能ですが、40〜50代では介護ブランクがある状態での正社員復帰は難しく、条件が大幅に下がるケースがほとんどです。
A. ①介護サービスをフル活用しているか、②会社の法定制度(介護休業・短時間勤務など)を申請したか、③上司・人事に相談したか——の3点を必ず確認してください。まとめのチェックリストもご活用ください。
A. 訪問介護・デイサービス・ショートステイなどで「介護の外注」を進めながら、会社の介護休業・残業免除などの制度を組み合わせるのが基本です。まずケアマネジャーへの相談から始めてください。要介護度別の具体的なサービス活用例はこちらの要介護度別モデルケースもあわせてご覧ください。
A. 対象家族1人につき通算93日間(3回まで分割)取得でき、雇用保険から休業前賃金の67%が給付されます。退職前にまず介護体制を整える準備期間として活用してください。
A. 介護休業は最大93日の長期休暇、介護休暇は通院付き添いなど突発的な対応用で年5日(家族2人以上は10日)です。どちらも法律上の権利で、会社は拒否できません。
A. 介護休業や短時間勤務は法律上の権利であり、会社は拒否できません。まず人事部門に「使える制度の確認」として相談するだけでも選択肢が広がります。「迷惑をかける」と我慢して退職する方が、長期的なリスクははるかに大きいです。
A. 介護に使える時間が増える・仕事との板挟みストレスが一時的に減るという面はあります。ただし同じことは、介護サービスの活用や会社制度の申請でも実現できます。収入とキャリアを失ってまで得るメリットかどうか、退職前に一度立ち止まって考えてください。

「親の介護をしながらこのまま仕事を続けられるのか」――そう感じているあなたへ。
結論から言うと、退職は最終手段です。
日本では年間約10万人(出典:総務省「令和4年就業構造基本調査」)が介護を理由に仕事を辞めていますが、退職した方の多くが後に「辞めなければよかった」と後悔しています。

退職は取り消せません。
再就職後の年収は男性で約4割・女性で約5割( 総務省統計局「令和4年就業構造基本調査」参照)も下がり、介護が終わった後もキャリアと収入を取り戻すことは容易ではありません。

この記事では、実際に退職して後悔した方・仕事と介護を両立し続けた方のインタビューをもとに、退職のメリット・デメリット退職前に試みるべきこと・使える制度・サービスをすべて解説します。

ケアスル 介護 ケアアドバイザー部門マネージャー
専門分野:介護施設紹介
職業: 介護施設紹介業
出身組織: 株式会社Speee

私自身母親が介護で苦労していた様子を間近で見ていたため、ご家族の心情に寄り添うことを心がけています。母も祖母を介護施設に入れることに非常に葛藤を抱えていましたが、結果入居した後は母も祖母も穏やかに過ごしていました。こうした自分の経験から介護施設への入居がポジティブに伝わるといいなと思い日々ご家族とお話ししています。詳しくはこちら

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親の介護で退職を決める前に知っておくべきメリット・デメリット

退職を選ぶ前に、退職後の現実を知っておく必要があります。

退職を決める前に、メリットとデメリットを事実として整理することが重要です。

多くの場合、退職しなくても状況を改善できる方法があります。

親の介護による退職のメリット

「辞めてよかった」と感じる方に共通するのは、退職前に生活費・介護費用の見通しを立てていたことです。

退職するメリット(強いて挙げるなら)
メリット①
介護に専念できる
親の細かい変化に気づけるようになり、適切なタイミングでケアマネージャーに相談しやすくなる
メリット②
一時的に精神的余裕が生まれる
「仕事の案件を家でも考え続ける」という仕事と介護の板挟みがなくなり、介護に向き合う気持ちの余裕が生まれる

【インタビュー情報】

・実施日:2026年5月
・お名前:佐藤さん(仮名)
・性別:女性
・年齢:58歳
・職業:元会社員(正規職員)
・状況:90歳超の父を在宅介護中。仕事・介護・娘の出産サポートが重なり退職を決断

佐藤さん:「退職してからデイサービスの送り出しが自分でできるようになって、職員さんとも話せるようになりました。
父の歩き方がゆっくりになってきたことや、物忘れが増えてきたことにも気づいて、ケアマネージャーさんに相談できるようになったのは大きかったです。
働いていたときは、そこまで気が回りませんでした。」

【メリットを活かすために必要な前提】
退職後の生活費・介護費用の見通しが立っていること
配偶者・兄弟など、家族全体での役割分担が決まっていること
「介護が終わった後の自分の人生」についても考えておくこと

親の介護による退職のデメリット

退職にはメリットがある一方で、取り消しのきかないリスクが伴います。

「辞めて後悔した」と感じる方の多くは、収入・キャリア・人間関係への影響を、退職前に具体的に想定できていませんでした。

退職するデメリット 4つ
デメリット①
収入・経済的自立の喪失
毎月の収入がなくなる。貯蓄・配偶者の収入・親の年金に頼る生活になり、自由に使えるお金が減る
デメリット②
家庭内の立場・関係の変化
配偶者に収入を依存するようになることで、夫婦間の力関係が変わるケースがある。言いたいことが言いにくくなる
デメリット③
復職・再就職の困難
介護が終わった後に再就職しようとしても、ブランク期間が長いほど年収・雇用形態が下がりやすい
デメリット④
社会的孤立・精神的消耗
仕事という社会との接点がなくなる。介護が長期化すると、孤独感・燃え尽き感が強くなるリスクがある

特に深刻なのが、デメリット①②が同時に発生するケースです。
収入がなくなることで家庭内の発言力が下がり、介護の苦労を誰にも相談できない状況に陥ることがあります。

実際にこの状況を体験した方の声を紹介します。

【インタビュー情報】

・実施日:2026年5月
・お名前:姫乃さん(仮名)
・性別:女性
・年齢:40代
・職業:ネイリスト(自宅サロン)+障害者施設パート(退職前・週2〜3)
・状況:父(78歳)が転倒をきっかけに要介護3〜4の状態に。育児・仕事・介護の三重苦が続いたことで退職を決断

姫乃さん:「収入がなくなったことで、なんか昭和の初期の家族に戻ったみたいな感じになってしまって。美容院行きたいなって言ったら、夫に『今働いてないのに行けるの?』ってさらっと言われたんです。子供の塾代は私が出してたので、それが1番大変でした。貯金を切り崩してでも続けたかったけど、旦那に頼まないといけなくなるのが嫌で、本当にしんどかったです。」

退職のデメリットは、介護が「終わった後」にも続きます。
だからこそ、退職を決断する前に、後述する会社の制度・介護サービスを先に試してください。
退職はいつでもできますが、一度辞めたキャリアと収入は簡単には戻りません。
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【体験談】親の介護で退職し、「後悔している」人の話

退職に後悔している方の多くは、「収入がなくなることの影響」を甘く見ていたと語ります。

お金の問題は、介護の大変さとは別のストレスを生み出します。
特に、配偶者がいる場合は夫婦間の関係にも影響が出ることがあります。

事例:「家庭内での立場はなくなり、精神的負担が大きくなった」

父親の介護をきっかけに退職した姫乃さん

【インタビュー情報】

・実施日:2026年5月
・お名前:姫乃さん
・性別:女性
・年齢:40代
・職業:ネイリスト(自宅サロン)+障害者施設パート(退職前)
・状況:父(78歳)が転倒をきっかけに要介護3〜4の状態になり退職。中学1年の息子の育児と介護が重なった

姫乃さん:1番後悔しているのは、介護認定が出るまでの1ヶ月半の間、自費でもヘルパーさんを早めに入れて、父に他人を受け入れることに慣れさせておけばよかったということです。身体の介護よりも、気持ちの方がしんどかった。父は施設もヘルパーも嫌だと言うし、夫には働いてないのにと言われる。1人で全部抱え込む状況が続いて、本当に気持ちがしんどかったです。


「昭和初期のような家族に─」(もっと読む)

■ 夕方まで元気にジム通いしていた父が、翌朝突然動けなくなった

2年半前、父が自宅でつまずき転倒して。翌朝まったく動けなくなっており救急搬送しました。原因が不明のまま入院。30年以上前の頭部への衝撃が原因で脳内に液体がたまっており、転倒の衝撃で運動機能が一時的に止まったと判明したんです。
前日までスポーツジムに通っていたくらい元気だったんです。だから、まったく準備ができていなかった。


■ 介護認定が出るまでの1ヶ月半──サービスが一切使えなかった

転倒直後に市役所へ相談しましたが、「介護認定が出ない限りサービスは使えない」と言われ、申請から認定まで1ヶ月半かかりました。その間、使えたのは自費の介護タクシー(往復3万円程度)のみ。訪問介護もデイサービスも使えないまま、私1人で対応する日々が続きました。

夜中も2時間おきにトイレに呼ばれるんです。朝起こしてトイレに連れて行って、息子を駅まで送って、昼ご飯を食べさせに仕事の合間に帰って、また仕事に行って。それを毎日繰り返していました。

この状況が限界になり、障害者施設のパートを退職しました。


■ 収入が減って、家庭内の「立場」が変わってしまった

生活費は夫の収入で成り立っており、父の年金・貯金もしっかりあったため、介護費用そのものには困りませんでした。ただ、自分の収入がなくなったことで、家庭内での関係性が変わっていきました。

夫が『働いてないのに美容院行けるの?』とさらっと言うようになって。今までは自分で出せたお金が、夫に頼まないといけなくなる。これまで子供の塾代は私が払っていたがそれも払えなくなり、塾通いを反対する夫にお金を出してもらうまでが大変でした。昭和の初期の家族に戻ったみたいな感じになってしまって。」

身体の介護より、気持ちの方がしんどかった。父は施設もヘルパーも嫌だと言うし、夫にも何か言われる。1人で全部抱え込む状況が一番つらかったです。


■ あの1ヶ月半に自費でヘルパーを入れていれば──最大の後悔

1番後悔しているのは、介護認定が出るまでの1ヶ月半に、自費でもヘルパーさんを入れて、父に他人を受け入れることに早めに慣れさせておけばよかったということです。認定が出てからヘルパーを頼もうとしても、もう父は嫌だって言うから。最初から他人に慣れていれば、全部が違っていたと思います。


■ これから突然介護が始まった方へ

同じ状況の方に伝えたいことは、自分だけでしなきゃと思わないでほしいということです。身体の介護よりも気持ちの消耗の方が大きい。兄弟がいるなら遠くてもいいから声をかけて、実際に動けない人にはお金で誰かに助けてもらい、自分を大事にする形を考えてほしいです。

「退職して後悔した」体験談から見えてくること
収入喪失の影響 収入喪失は家庭内の関係性にも影響する
サービス導入の遅れ 介護認定が出るまで待っていた結果、介護サービスが使えない期間に退職を決断してしまった
精神的孤立 社会との接点がなくなり、介護の苦労を1人で抱え込む状態になった。身体より気持ちの消耗が大きかった
【退職する前に自分に問いかけてほしいこと】
退職後、毎月の生活費と介護費用はどこから出すか具体的に答えられるか?
配偶者・兄弟など家族との役割分担・金銭的な合意は取れているか?
介護が終わった後(5年後・10年後)の自分の生活をイメージできているか?

介護退職前に、会社に申請できる制度6つ

退職を考える前に、法律で定められた会社の制度を使い切ることが先決です。

介護休業・介護休暇・労働時間の制限を組み合わせれば、仕事を辞めずに介護と両立できるケースも多くあります。

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親の介護で仕事を休むには?経験者500人の声や公的制度について解説
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①介護休業

介護休業は、要介護状態の家族1人につき最大93日・3回まで分割して取得できる制度です。

一括で取るより分割して使うほうが、長期にわたる介護に対応しやすくなります。

介護休業の概要
取得日数 対象家族1人につき最大93日(3回まで分割可)
給付金 休業中の賃金の67%を介護休業給付金として支給(上限あり)
対象者 雇用保険加入・勤続1年以上(有期雇用は取得開始日から93日後以降も契約が残っていること)
申請先 会社の人事・総務(給付金はハローワークへ会社経由で申請)

介護休業は「介護のための準備期間」として位置づけられています。

ケアマネジャーの手配・施設探し・サービス開始の調整に充てる制度であり、「介護のために丸ごと休む」ためのものではありません

休業中に外部サービスの体制を整えることが重要です。

介護休業給付金は「退職を決めていない人」が対象です。退職を決めた状態で取得しても給付金を受け取れません。退職を決める前に必ず申請してください。

②介護休暇

介護休暇は、年間5日(対象家族が2人以上なら年10日)取得できるスポット対応向けの短期休暇です。

1日または半日単位で取れるため、通院付き添いや急な呼び出しに対応できます。

介護休暇の概要
取得日数 年5日(対象家族2人以上は年10日)。1日または半日単位で取得可
有給・無給 法律上は無給(会社の就業規則で有給としている場合もある)
対象者 雇用保険加入者(日雇いを除く)
主な利用場面 通院付き添い・ケアマネジャーとの面談・施設見学・急な体調変化への対応
取得時に「介護が必要な理由」の証明書類提出は不要(口頭または書面で申し出るだけでよい)
自社の就業規則を確認すると、法定より日数が多い場合がある

③短時間勤務等の措置

介護のために、1日の所定労働時間を6時間に短縮することを会社に申し出ることができます。

フレックスタイム制・始業終業時刻の繰上げ下げなども選択肢に含まれます。

短時間勤務等の措置の種類
短時間勤務 1日の所定労働時間を6時間に短縮(例:8時間勤務→6時間勤務)
フレックスタイム制 出退勤時刻を自分で調整できる。通院付き添い後に出勤するなど柔軟な対応が可能
時差出勤 始業・終業時刻を繰り上げ・繰り下げ。デイサービスの送り出し後に出勤するなどに活用
取得期間 3年以上の間で2回以上取得できる措置を設けることが会社に義務付けられている
短時間勤務にした場合、給与はその分減るため、介護休業給付金との組み合わせを検討する
3種類の措置のうちどれを利用するかは労働者が選べる(会社が一方的に決めることはできない)

④所定外労働の制限(残業免除)

「残業できないから辞めるしかない」は誤りです。

所定外労働の制限を申し出ることで、定時を超える残業を完全に免除できます。

所定外労働の制限の概要
内容 所定労働時間(定時)を超えるすべての残業を免除できる
取得期間 1回の申出につき1か月以上1年以内
対象者 要介護状態の家族を介護する労働者(日雇い・勤続1年未満・週2日以下の労働者を除く)
申請先 会社の人事・総務(開始日の2週間前までに書面で申し出る)

⑤時間外労働の制限

所定外労働の制限とは別に、法定時間外労働を月24時間・年150時間以内に抑える制度があります。

残業ゼロまでは難しい職種でも、上限を設けることで介護との両立がしやすくなります。

時間外労働の制限の概要
上限時間 月24時間・年150時間以内に法定時間外労働を制限できる
取得期間 1回の申出につき1か月以上1年以内
対象者 要介護状態の家族を介護する労働者(日雇い・勤続1年未満・週2日以下の労働者を除く)
申請先 会社の人事・総務(開始日の2週間前までに書面で申し出る)

⑥深夜業の制限

深夜(午後10時〜翌午前5時)の勤務について、免除を請求できる制度があります。

夜間に介護が必要な場合や、深夜勤務が多い職種の方に特に重要です。

深夜業の制限の概要
対象時間帯 午後10時〜翌午前5時の深夜勤務を免除できる
取得期間 1回の申出につき1か月以上6か月以内
対象者 要介護状態の家族を介護する労働者。深夜に家族を介護できる他の人がいない場合に限る
申請先 会社の人事・総務(開始日の1か月前までに書面で申し出る)

番外:会社の制度が使いにくい環境にいる方へ

法律で権利が保障されていても、「申請しにくい雰囲気」「上司が認めてくれない」という現実がある職場も存在します。

そのような場合の対処法を整理します。

制度を使いにくい場合の対処法
人事・総務部門に直接相談する 直属の上司が難色を示しても、人事・総務は法令対応の観点から協力的なケースが多いです。直接相談することで状況が変わることがあります。
都道府県労働局に相談する 会社が法定制度の利用を拒否することは違法です。都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に無料で相談できます。
テレワーク・フレックスのある会社への転職を検討する 現職での制度利用が難しい場合、柔軟な働き方ができる会社への転職が退職よりも現実的な選択肢です。転職については次のH2-4で詳しく解説します。
制度を申請したことを理由とした不利益な取り扱い(降格・解雇・減給など)は法律で禁止されています。「申請したら気まずくなる」という不安から諦める前に、まず人事部門や外部機関に相談してください。

介護退職前に試した方がよいこと

退職を決める前に、制度利用に併せて「介護サービスの活用」「職場での対策」「家族との連携」という3方向から対処を試みてください。

介護サービスの活用

仕事中の「親の居場所と安全」を確保することが、両立の大前提です。
介護サービスを使えば、日中に親を1人にせず仕事を続けられます。

まだ介護保険サービスを使っていない方は、今すぐ手続きを始めてください。

①訪問介護

ホームヘルパーが自宅を訪問し、食事・入浴・排泄などの身体介護や、掃除・洗濯・料理などの生活援助を行います。

仕事中に自宅でのケアを代行してもらえるため、日中に親を1人にする不安を減らせます。

訪問介護の概要
サービス内容 身体介護(入浴・排泄・食事の介助)・生活援助(掃除・洗濯・料理)
利用条件 要介護1以上の認定が必要(要支援1〜2は訪問型サービスを利用)
自己負担 介護保険適用で1〜3割負担(所得により異なる)

②デイサービス(通所介護)

日中に施設へ通い、食事・入浴・レクリエーションなどのサービスを受けます。
「仕事中に親が安全な場所にいる」という状態をつくれるのが最大のメリットです。

職場からの呼び出しを心配しながら仕事をする状況を解消できます。

デイサービスの概要
サービス内容 食事・入浴・排泄介助・機能訓練・レクリエーション。送迎サービスあり
利用頻度 週1〜5日程度(要介護度とケアプランにより異なる)
利用条件 要介護1以上の認定が必要

③ショートステイ(短期入所生活介護)

数日〜数週間、施設に泊まりながら介護サービスを受けます。

仕事の繁忙期・出張・急な残業が必要なときに活用することで、「介護があるから残業できない」という状況を改善できます。

ショートステイの概要
利用期間 1泊〜30日以内(原則。要介護度により上限あり)
主な活用場面 仕事の繁忙期・出張・介護者自身の休養・冠婚葬祭など
注意点 人気施設は予約が取りにくい。繁忙期の直前ではなく早めに予約する

④ケアマネジャーへの相談

ケアマネジャー(介護支援専門員)は、介護サービス計画(ケアプラン)を無料で作成してくれる専門職です。
どのサービスをどう組み合わせるかを一緒に考えてくれるため、まず相談することが介護サービス活用の第一歩です。

【ケアマネジャーへの相談窓口】
地域包括支援センター(65歳以上の親の初回相談はここへ)
居宅介護支援事業所(要介護認定後の担当ケアマネ探しはここへ)
ケアプランの作成・サービス調整はすべて無料
前北栞里_プロフィール画像
ケアアドバイザー前北
介護サービスを使うことに罪悪感を感じる方は多いのですが、プロに任せることが親にとっても良いケアにつながります。退職を考える前に、まずケアマネジャーに「仕事を続けながら介護したい」と伝えてみてください。そこから選択肢が広がります。

職場・キャリア面での対策

介護サービスの体制が整っても、職場の理解がなければ両立は難しくなります。
「介護していることを隠す」のではなく、早めに職場に共有することが両立の鍵です。

①上司・人事への早期相談

介護が始まったら、できるだけ早く上司または人事に状況を共有してください。

早期に伝えることで、業務調整・制度利用・人員配置の選択肢が広がります。
限界になってから相談すると、退職しか選択肢が残らなくなるケースがあります。

【相談時のポイント】
「辞めたい」ではなく「続けながら介護したい」という意思を最初に伝える
介護の状況(頻度・必要なサポート内容)を具体的に説明する
希望する働き方(時短・テレワーク・異動など)をあわせて提案する

②職種・部署の異動希望

残業が多い・出張が多い・夜勤がある部署にいる場合、介護と両立しやすい職種・部署への異動を申し出ることができます。
育児・介護休業法では、会社は介護中の労働者への配慮措置を講じる努力義務を負っています。

③仕事の可視化・引継ぎ準備

自分が急に休んでも業務が回るよう、業務マニュアルや引継ぎ体制を整えておくことが、介護による急な対応を可能にします。

「自分がいないと仕事が回らない」という状況が、休みを取りにくくする最大の原因になります。

④転職

現職での制度利用や環境改善が難しい場合、収入を維持しながら働き方を変える「転職」は、退職よりも現実的な選択肢です。
テレワーク可・フレックス制度あり・介護休業取得実績ありの会社を軸に検討してください。

【転職活動時に確認すべき点】
テレワーク・フレックスタイム制度の有無
介護休業・介護休暇の取得実績(制度があっても使われていない会社もある)
面接時に「介護中であること」を伝えて反応を見る

⑤副業・フリーランス化

時間の融通が利く働き方への移行も選択肢の一つです。

収入源を複数持つことで、介護期間中の経済的リスクを分散できます。

完全フリーランスへの移行が難しい場合でも、副業から始めることで徐々に収入の柱を増やせます。

家族・周囲との連携

介護を1人で抱えることが、退職の引き金になるケースは多くあります。

仕事を続けながら介護を続けるには、家族・地域・専門機関との連携が不可欠です。

①兄弟姉妹や親族で介護の役割分担を明確化

介護は「近くに住んでいる人が担う」という暗黙の了解が生まれやすいですが、「誰が何をするか」を話し合いで明文化することで、特定の人への負担集中を防げます。

遠方の兄弟・姉妹には、金銭的サポートや情報収集、月1回の帰省などで協力してもらうよう依頼してください。

【役割分担の例】
近くに住む人:日常的なケア・通院付き添い
遠方に住む人:介護費用の一部負担・緊急時の帰省
経済的に余裕がある人:介護サービス費用の補助

②介護者どうしのコミュニティ・支援団体の活用

同じ境遇の介護者と情報共有・精神的サポートを受けられる場が各地にあります。

孤独な介護が続くと精神的に消耗し、退職の判断に追い込まれるケースがあります。

「介護者サロン」「認知症カフェ」などを活用し、一人で抱え込まない環境をつくってください。

③地域包括支援センターに相談

地域包括支援センターは、介護全般を無料で相談できる公的機関です。

ケアマネジャーの紹介・介護保険の申請サポート・地域のサービス情報提供など、介護の入口として活用できます。

市区町村に必ず1か所以上設置されています。

退職を決める前に、ここで紹介した対策を1つでも試してみてください。退職はいつでもできますが、一度辞めたキャリアと収入を取り戻すことは容易ではありません。
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要介護度別|外部サービスの組み合わせと両立モデルケース

会社の制度だけでは限界があります。

介護保険サービス(ヘルパー・デイサービス・ショートステイなど)を組み合わせることで、仕事を続けながら在宅介護が可能になります

要介護度別|仕事と介護を両立するためのサービス組み合わせ例
サービス組み合わせ例 月額費用目安(自己負担)
要介護1〜2 ・デイサービス 週2〜3回
・ヘルパー訪問 週数回(生活援助)
・宅配弁当
月2〜4万円程度
要介護3〜4 ・ヘルパー毎日(朝・夕)
・デイサービス 週3〜4回
・ショートステイ 月数日
・宅配弁当
月4〜6万円程度
要介護5 ・訪問看護+ヘルパー複数回/日
・ショートステイ積極活用
または
・施設入居(特養・老健等)
在宅:月5〜7万円程度
施設入居:月8〜15万円程度

ショートステイ(短期入所生活介護)とは、親を数日〜数週間、施設に泊まってもらえるサービスです。

「親に申し訳ない」と感じる方も多いですが、介護者が倒れれば在宅介護自体が成り立たなくなります

前北栞里_プロフィール画像
ケアアドバイザー前北
在宅介護では、ヘルパー・デイサービス・ショートステイを組み合わせて「介護者が休める時間」を意図的に設計することが、両立の鍵です。サービスの組み合わせ方は、ケアマネジャーに相談することで、介護保険の限度額内で最も効果的な組み合わせを提案してもらえます。仕事を辞める前に、まず地域包括支援センターに行くことを強くお勧めします。相談は無料です。

【体験談】退職せず、試行錯誤で両親の介護と正社員を両立した人の話

子育て中(小学生・中学生)に父(要介護4・入院中)と母(要介護1・認知症)の2人同時介護が重なった、いわゆる「トリプルケア」の状況で就業を継続している長谷川さん(仮名)の事例です。

「退職しかない」と追い詰められた状況から、地域包括支援センターへの相談でサービス体制が整い、子育てと仕事と介護の3つを両立できるようになりました

【インタビュー情報】

・お名前:長谷川さん(仮名)
・性別:女性
・年齢:40代
・職業:正社員(在宅勤務あり)
・子供:小学生・中学生(複数)
・きょうだい:一人っ子
・状況:子育て中に父(要介護4・入院中・特養待ち)と母(要介護1・認知症)の2人を同時に介護しながら就業継続中

長谷川さん:地域包括支援センターに行ったのがきっかけで、ケアマネジャーさんがついてくれて、ヘルパーは週7日、リハビリは週2日、宅配弁当、そしてショートステイと、サービスをフルに組み合わせてもらえました。子供たちもお金のかかる時期ですし、収入が途絶えたら家庭が立ち行かなくなる。仕事はやっぱり続けた方がいいと強く思います。


「親の前で泣いた日も─」(もっと読む)

■ 子育て・仕事・介護が同時に重なった日々

子供たちが小学生・中学生の時期に、父の転倒・入院と母の体調不良が重なりました。きょうだいはおらず、頼れる人がいない中で、育ち盛りの子供の世話、正社員の仕事、そして両親2人の介護を1人で抱える状態になったんです。子供達の親でもあり、仕事もあり、でも年老いた両親の面倒をみないといけない状況に、これからどうしたら良いのだろうと途方に暮れて、両親の前で泣いた日もありました。最もしんどかった時期は毎日高速で往復2時間かけて実家に日帰りし、それが1週間続いたこともありました。


■ 転機となった地域包括支援センターへの相談

ネットで調べて地域包括支援センターに相談しに行ったことが転機になりました。ケアマネジャーがつき、介護認定を取り直しながらサービスを整備していき、ヘルパー週7日・リハビリ週2日・宅配弁当・ショートステイをフルに組み合わせた体制ができあがりました。現在は母が平日5日間ショートステイを利用し、土日に私が実家に戻って一緒に過ごすという形で安定しています。誰かしらの目が入っているというだけで、私もちょっと安心して生活ができました


■ 見守りサービスが繋いだ、地域のネットワーク

地域包括支援センターへの相談時に、市の見守りサービスへの登録も案内してもらいました。登録したことで民生委員さんの定期的な訪問が始まり、自分では気づけなかった実家の状況を教えてもらえる人ができました。

民生委員さんから「お母さんが別の曜日にゴミ出しをしていて、近所の方からクレームが来ている」と知らされたのも、そのつながりがあったからこそでした。すぐに市の無料ごみ収集サービスを申し込み、ごみの仕分けはヘルパーさんに対応してもらうことで問題が解決しました。見守りサービスに登録するだけで、こんなに地域のネットワークが広がるとは思っていなかったです。


■ サービスが整って、子供や夫との時間が戻ってきた

サービスを導入してから最も変わったのは「メリハリができたこと」です。介護もしながら、自分の家族、子供たちと主人との生活も大事に過ごせるようになりました。ショートステイで母が施設にいる時間を使って、大好きな音楽フェスに行けたときは本当にうれしかったです。「また好きなアーティストのライブに行けたらいいな」という楽しみが、しんどい時も頑張れる原動力になっています。


■ 退職を踏みとどまった理由──子供の将来と両親の生活を守るため

両親の介護が必要になったとき、退職も少し迷いましたが、すぐに「ない」と判断しました。「子供たちも小学生・中学生でお金のかかる時期ですし、両親も年金暮らしで先が見えない状況なので、私からある程度援助が必要になると思うと、やっぱりやめられないと思いました。収入を守ることが、自分だけでなく子供たちと両親全員を支えることだと感じたんです。


■「相談できる人が多くいることが大事」──1人で抱えないためにできること

一番大事なのは、相談できる人を多く持つことだと思います。ケアマネジャー、ヘルパー、民生委員、そして職場の同僚にも同じく介護中の人が何人かいて、「最近どう?」と話せる関係があることが息抜きになっています。自分1人じゃないんだなって、相談できる人がいっぱいいるというのがすごくありがたいんです

【両立成功のポイント】
最初の一歩は「地域包括支援センター」への相談。ケアマネジャーをつけてもらうことがすべての起点になる
見守りサービスに登録すると民生委員と繋がれる。自分が知らない実家の状況を教えてもらえる「目」が増える
サービスは1つではなく複数を組み合わせる。ヘルパー・デイ・ショートステイで「介護者の空き時間」を設計する
在宅勤務・フレックスタイムを活用し、通院介助・急な呼び出しへの対応コストを下げる
職場・ケアマネ・民生委員・同じ立場の同僚など「相談できる人」を複数持つことが精神的な支えになる

介護で退職する人が使える制度と相談先

退職を選んだ後も、お金・キャリア・精神面のそれぞれに使える制度と相談先があります。
退職直後に何も手を打たないと、経済的な消耗と孤立が同時に進みます。

退職が決まったら、まずこの3つの軸で動いてください。

金銭面|退職後に使える給付・軽減制度

介護を理由に退職した場合、「特定理由離職者」として認定されると、雇用保険の失業給付における3ヶ月の給付制限が免除される場合があります

退職したらすぐにハローワークへ行き、介護退職であることを申告してください。申告しないと、通常の自己都合退職と同じ扱いになります。

加えて、国民健康保険料・国民年金の負担軽減制度も合わせて申請することで、退職直後の支出を抑えられます。

退職後の状況別|使える金銭的支援制度一覧
状況 制度名 内容 申請先
退職直後・収入ゼロ 雇用保険(失業給付) 退職前の給与の50〜80%を所定日数支給。特定理由離職者は給付制限なし(認定が必要) ハローワーク
国保料が払えない 国民健康保険料の軽減 前年所得に応じ7割・5割・2割軽減。非自発的離職者(特定受給資格者等)は前年所得の30%として計算する特例あり 市区町村窓口
国民年金が払えない 国民年金保険料の免除・猶予 全額〜4分の1免除(所得審査あり)。免除期間も年金受給資格期間に算入される 年金事務所・市区町村
介護費用が毎月高い 高額介護サービス費 月の介護サービス自己負担額が所得別の上限を超えた分が払い戻し(非課税世帯は月15,000円が上限目安) 市区町村窓口
生活が本当に苦しい 生活保護 最低生活費に不足する額を支給。介護費用・医療費も別途保護の対象 福祉事務所(市区町村)
【退職直後にやること(優先順)】
退職後14日以内に市区町村窓口で国民健康保険への切り替え手続きを行う
ハローワークに介護退職であることを申告し、「特定理由離職者」の認定を受ける
国民年金の免除・猶予申請を年金事務所に行う(退職後、所得が下がったタイミングで申請)

キャリア面|退職後の状況に応じてできること

「介護が終わったら再就職すればいい」という考えは、準備なしでは成立しません。

失業給付を受けながら、介護の合間でできることからスキルと選択肢を広げることが重要です。

退職後のキャリア状況別|やれること・活用できる制度
状況・目標 やれること ポイント
介護が落ち着いたらすぐ再就職 ハローワーク登録・求職活動 退職後すぐに登録し、失業給付の受給期間中に活動。特定理由離職者は給付制限なし
スキルを上げてから再就職 ハロートレーニング(公的職業訓練)の受講 受講中も失業給付が継続。介護の合間に受講できるeラーニングコースもある
介護しながら在宅で収入を得たい テレワーク・在宅可求人に絞って就活。フリーランス・副業の検討 失業給付受給中は週20時間以上の就業で給付が停止するため、就業時間に注意
介護職へのキャリアチェンジを検討 介護職員初任者研修の取得(ハロートレーニングで無料取得できるコースあり) 介護経験をそのまま職歴に転換できる。将来の介護支援専門員(ケアマネ)資格へのステップにもなる
【キャリアを止めないための最低限のアクション】
退職後すぐにハローワークへ登録し、特定理由離職者の認定を受ける
失業給付の受給期間中に、受講できるハロートレーニングを調べておく
在宅可・短時間可の求人を「介護中の自分でも働ける条件」として把握しておく

精神面|心の健康を保つ方法と相談先

退職して介護に専念するほど、介護者自身が孤立・燃え尽きに陥るリスクが高まります。
「仕事をしていないのだから頑張れるはず」という思い込みが、無理をさせ続けます。

介護は感情労働です。

1人で抱え込まずに相談することが介護を続けるための行動です。

介護者の精神的サポート|相談先一覧
相談窓口 対象・特徴 費用 連絡方法
地域包括支援センター 介護全般の相談。精神的な疲れの相談も可。ケアマネ紹介や地域の支援サービス情報を提供 無料 電話・来所
家族介護者交流事業 市区町村が実施。同じ介護経験を持つ方との交流・情報交換の場。孤立を防ぐ場として機能 無料 市区町村窓口
こころの健康相談統一ダイヤル 精神的な悩みや不安を話せる電話相談。介護者のうつ・燃え尽きの悩みにも対応 無料 電話
0570-064-556
精神科・心療内科 眠れない・気力がない・涙が止まらないなど、うつ症状・燃え尽き症候群の診断と治療 保険適用 予約・来院

「相談するほどのことではない」と感じる段階が、最も相談するべきタイミングです。

身近な人に話せない場合は、匿名で話せる電話相談から始めることで構いません。

【精神的なサインに気づいたらすぐ動く】
眠れない・食欲がない・涙が出る:心療内科・精神科へ。早期受診が回復を早める
誰とも話していない・外に出ていない:地域包括や家族介護者交流会へ。1人でも行ける
親に怒鳴ってしまう・消えてしまいたいと思う:こころの健康相談ダイヤルへ。匿名で話せる

まとめ

仕事と介護の両立は簡単ではありません。

それでも退職は、選択肢を使い切った後の最後の手段であるべきです。

この記事のポイントまとめ
退職のデメリット 再就職後の年収は男性で約4割・女性で約5割減少。キャリアの断絶・家庭内の立場変化・社会的孤立のリスクもある
退職前に使える制度 介護休業(最大93日)・介護休暇(年5〜10日)・短時間勤務・残業免除・時間外労働制限・深夜業制限の6つが法律で保障されている
退職前に試みること 訪問介護・デイサービス・ショートステイの活用/上司への早期相談/家族との役割分担/地域包括支援センターへの相談
後悔しないために 退職後の生活費・介護費用の見通しを立てる。「介護が終わった後の自分の生活」まで具体的にイメージしてから判断する

退職して後悔した方に共通するのは、「使える選択肢を知らないまま、追い詰められて決断した」ことです。
介護は突然始まります。

しかし、準備と知識があれば、退職せずに乗り越えられるケースは多くあります。

【退職を決める前の最終チェック】
介護休業・介護休暇・残業免除の申請を会社に伝えたか?
ケアマネジャーに相談し、ケアプランを作成したか?
デイサービス・訪問介護・ショートステイを組み合わせて試したか?
兄弟姉妹や家族と介護の役割分担について話し合ったか?
退職後の毎月の生活費と介護費用の見通しが立っているか?

これらをすべて試したうえで、それでも退職が必要だと判断した場合は、退職後に使える給付・制度・相談先を把握した状態で決断してください。

上記「介護で退職する人が使える制度と相談先」を参考にしてください。

 

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