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  • 更新日:2022-08-10 15:02

特別養護老人ホーム(特養)の費用はいくら?月額費用の内訳から費用例まで解説

特別養護老人ホーム(特養)の費用はいくら?月額費用の内訳から費用例まで解説

特別養護老人ホームの費用は入居一時金などの初期費用が0円月額費用は要介護度や入居する居室タイプによっても異なりますが9~15万円が相場です。民間の有料老人ホームは入居金が0~数千万円、月額費用も12~50万円程度が相場なので、民間よりも安く住むのが特徴です。

本記事では、特別養護老人ホームでかかる費用の内訳から毎月の費用を減免する制度まで解説していきます。

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特別養護老人ホーム(特養)とは?

特別養護老人ホームでかかる費用

特別養護老人ホーム(特養)とは、介護保険が適用される公的施設の一種で、在宅での介護が難しい要介護3以上の高齢者が24時間介護を受けることができる施設です。

特別養護老人ホームの正式名称は「介護老人福祉施設」と呼ばれ、民間運営の有料老人ホームと比較して低料金で利用できることが特徴となっています。

また、特養は終身に渡って利用することができるので退去の心配もありません。ただし、原則として要介護3以上の方しか入居することができないことに注意しましょう。

費用の安さから人気の施設で、長い場合は数年渡って入居待ちをしなくてはならないケースもあります。

特別養護老人ホームのメリット 特別養護老人ホームのデメリット
費用が安い 要介護3以上しか入居できない※
24時間体制で介護を受けられる 施設によって医療体制が整っていないことがある
終身に渡って利用できる(看取りに対応している) 入居待ちに時間がかかる

※ 要介護1,2の場合でも、認知症や知的障害、精神障害によって日常生活に支障をきたす場合や家族からの虐待がある、家族が遠方に住んでいて在宅介護ができないなどの事情があれば特例入居できることがあります。

特別養護老人ホームについて詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

特別養護老人ホーム(特養)でかかる入居金と月額費用

特別養護老人ホームでかかる費用の外観は以下の図のようになっています。まずは特別養護老人ホームでかかる費用の全体観を把握しましょう。

特別養護老人ホーム費用

入居一時金はかからない

特別養護老人ホームでは入居一時金はかかりません。そのため、特別養護老人ホームでかかる費用は入居後に毎月かかる月額費用のみとなります。

月額利用料

特別養護老人ホーム(特養)の費用は多床室タイプかユニット型かによって大きく変わり、多床室タイプの場合は毎月4.4万~約12万円、ユニット型の場合は毎月6.8万~約15万円が費用の目安となっています。

多床室とユニット型で費用が異なる理由や所得によって費用がいくらになるのかについて解説しきます。

多床室タイプの特養の費用

多床室(相部屋)タイプの特養は病院と同じような作りで、大部屋に4つのベッドが置かれパーテーションで仕切られている居室です。食事や入浴も決まった時間に流れ作業のように入るので、一人当たりの運営コストが低くその分人件費を抑えられるので費用も安くなります。

下図のように、特養の費用は所得段階によって変わりますが多床室の場合は毎月2万4000円(+生活費1~2万円)~約10万円(生活費1~2)程度の費用で利用することが出来ます。また、特養では毎月の介護サービスの自己負担額は介護度ごとに定額でかかることに注意しましょう。

多床室タイプの特養の費用

所得段階 費用
第1段階 3万4000円+生活費(1~2万円)
第2段階 4万7800円+生活費(1~2万円)
第3段階 6万5200円+生活費(1~2万円)
第4段階 約11万円+生活費(1~2万円)

※赤字部分の毎月の費用は、介護保険サービスの自己負担額を2万5000円として計算しています。

ユニット型特養の費用

ユニット型は老人ホームを1ユニット10人程度のグループに分割し、それぞれのユニットごとに食事や入浴などの対応をしていきます。集団ケアとは違って個別ケアを実現できる一方で、多くの介護職員が必要になるため運営コストがかかります。結果的に、多床室型よりも費用が高くなるのです。

生活保護などの第1段階の方の毎月の費用は4万8600円(+生活費1~2万円)、第4段階の方の毎月の費用は14~16万円と多床室よりも比較的高くなっていることに注意しましょう。

ユニット型特養の毎月の費用

所得段階 費用
第1段階 5万8600円+生活費(1~2万円)
第2段階 6万1300円+生活費(1~2万円)
第3段階 9万3400円+生活費(1~2万円)
第4段階 約15~17万円+生活費(1~2万円)

※赤字部分の毎月の費用は、介護保険サービスの自己負担額を2万5000円として計算しています。

特別養護老人ホーム(特養)の月額費用の内訳

特別養護老人ホームでかかる月額費用は主に以下の5つです。

  1. 居住費
  2. 食費
  3. 日常生活費
  4. 施設介護サービス費
  5. 介護サービス加算

以下にてそれぞれの費用項目について解説していきます。

居住費

特別養護老人ホームでかかる居住費は、いわゆる「家賃」のことを指します。

特養の居住費は、国が定めている「基準費用額」に基づいて全国一律で定められています。入居者本人と扶養義務者の負担能力に加えて、多床室(相部屋)や個室などの居室タイプによって変わることに注意しましょう。

また、特養では介護ベッドや家具などは備え付けのものを利用することができるので追加費用は必要ありません。

食費

特別養護老人ホームでかかる食費は原則として1日3食分かかります。そのため、外泊などで施設で食事をとらなかった場合でも3食分の費用が掛かります。

ただし、事前に外泊することがわかっている場合は食事の提供をストップすることができるので、その場合は欠食分の食費はかかりません。

居住費と同じく、本人及び扶養義務者の負担能力に応じて食費は変わることに注意しましょう。

日常生活費

特別養護老人ホームでかかる日常生活費は、理美容代や病院に通院した場合の医療費・薬代、また外部でレクリエーションに参加した場合の費用が掛かります。

食費や日常生活費用などの介護保険適用外の費用は、施設によって利用料金の差が出ないように「基準費用額」が決まっています。以下の表はこれらの日常生活費用で、介護保険の適用が無く実費負担となる費用の一覧となります。

費用項目 具体例
理美容代 散髪やパーマなど
日常生活費用 石鹸、歯ブラシ、歯磨き粉、髭剃り、クリーニング代など
娯楽費 絵画、書道、華道、茶道など
交通費 遠方の病院に通院する際の費用

なお、例外としてオムツや尿取りパッドは入居者ではなく施設側の負担となります。

介護サービス費用

特別養護老人ホームでかかる介護サービス費用は、要介護度、入居している居室のタイプによって毎月定額でかかります。

要介護度が高くなればなるほど介護サービス費用も高額になります。また、介護保険の自己負担割合によっても大きく変わります。

サービス加算費用

特別養護老人ホームのサービス加算費用は、職員の配置や体制、対応する医療サービスに応じて介護サービスの基本料金に加算されていく費用です。したがって、手厚い介護サービスをしている施設ほど加算額も増えていく仕組みとなっています。

例えば、夜間職員配置加算は夜間帯に人員配置の最低基準+1名以上の介護職員、看護職員の配置又は見守りセンサーを入所者の10%以上に設置するなどの配置基準を満たした施設で加算される費用です。これによって施設の人数によっても変わりますが1カ月当たり390円~810円加算されます。

施設によって加算額は変わりますが、他の特養と比較して手厚い人員配置や介護サービスを提供している施設であればあるほど介護サービスの加算額は増えていきます。具体的な加算の項目については次の章で解説していきます。

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特別養護老人ホーム(特養)の月額費用例

特別養護老人ホームでかかる月額費用の内訳について解説しましたが、本章では介護度・入居する居室タイプ別の費用例についてシミュレーションしていきます。

今回は以下の設定条件にて要介護3の方が特別養護老人ホーム(特養)に入居した場合の費用例を紹介します。

【設定条件】
介護度:要介護3
入居する居室:多床室タイプ
介護サービスの自己負担割合:1割
入居する特別養護老人ホーム:すぎなみ正吉苑(東京都)
まず、特別養護老人ホームでは入居金は全国一律で一切かからないので初期費用は0円です。
次に毎月固定でかかる居住費と食費です。今回例に挙げたすぎなみ正吉苑では多床室を利用した場合の居住費は一日1210円かかります。また、食費は1日1,500円(朝食360円・昼食720円・夕食420円)とされています。
次に要介護3で多床室を利用した場合の介護サービス費用は2万1,360円です。こちらもサービス加算として、人員配置や設備が充実している施設は上乗せされることがあります。居室タイプごとの介護費用について知りたい方は「特別養護老人ホーム(特養)の居室タイプ別の月額利用料」をご覧ください。
最後に、施設に払う費用とは別に日常生活費用として理美容代や嗜好品代などが掛かります。すぎなみ正吉苑では、嗜好の水分料(ジュース類・コーヒー・紅茶・スポーツドリンク等)の希望があれば日/150円、身寄りのない方等で預金通帳の管理を委任する場合、管理料として月/2000円などの費用が掛かります。また、業者によって変わりますが月一回の理容室を利用した場合は理美容代もかかります。
今回の費用例では、日常生活費用として嗜好品代を月12回分、管理料として2000円、月一回の理美容代3000円に、その他薬代や日常生活費用10000円分を加味した毎月の日常生活費16,800円として費用例を計算しました。
費用項目 費用額
居住費 36,300円
食費 45,000円
介護サービス費用 21,360円
日常生活費用 16,800円
毎月の合計費用 119,460円

特別養護老人ホームの費用は全国一律?

特別養護老人ホームの居住費や食費は厚生労働省によって基準額が定められているため全国一律と思われがちですが、地域区分によって不動産価格と同じように都市部であればあるほど費用が3~20%まで基準額に上乗せされます。
また、介護サービス費用も厳密には地域によって単価が上がることに注意しましょう。

特別養護老人ホーム(特養)のサービス加算費用

特別養護老人ホームでは、毎月定額でかかる介護サービス費用に対して人員配置や医療体制に応じてサービス加算費用が発生します。

ここでは具体的にどのようなサービス加算の種類があるのかについて解説していきます。

個別機能訓練加算

機能訓練を行う理学療法士、作業療法士、言語聴覚士を1名以上配置して、入居者一人一人に合った個別機能訓練計画に基づいたリハビリをおkのあっている施設に対して加算されるものです。

個別機能訓練加算は、リハビリに力を入れたい入居者にとってリハビリサービスの充実度を測るための一つの加算となります。

夜間職員配置加算

夜間職員配置加算とは、夜間の人員基準よりも多い介護職員等を配置して、安心して生活ができる環境を構築している施設を評価するための加算です。

厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準」に加えて、夜勤を行う介護職員又は看護職員を1名以上配置していることなどが条件とされています。また、看取りを行うための看取り機器を利用者の10%以上設置していることなど、看取りに対応するための基準なども満たしておく必要があります。

看取り介護加算

看取り介護加算とは、医師が海部君見込みがないと判断した入居者に対して、本人またはその家族が看取り介護を希望した場合にのみ医師・看護師及び介護施設が連携して看取り介護を実施する場合にかかる加算費用です。

看取り介護加算は逝去する45日前から適用され、逝去した日、逝去した前日・前々日、それより4日前から30日前、31日前から45日前で加算される費用が異なります。

経口維持加算

経口維持加算とは、入居者が認知機能や摂食、えんげ機能の低下によって食事の傾向摂食が困難になった場合でも医師又は歯科医師、栄養管理士、看護師、介護支援専門員などの職種が共同して介護を行う加算です。

主なサービス加算と費用の一覧

上述したサービス加算項目以外にも、特別養護老人ホームでは様々なサービス加算の種類があります。それぞれの1日あたりの費用と30日あたりの自己負担額を一覧で紹介します。

以下の表は1単位当たり10円で計算し、自己負担割合は1割の場合を想定しています。自己負担割合や1単位当たりいくらかは地域によってもサービス加算費用は異なります。

加算項目 自己負担額
30日あたり 1日あたり
ターミナルケア加算※死亡日以前31日~45日 80円
ターミナルケア加算※死亡日以前4日~30日 160円
ターミナルケア加算※死亡日前日~前々日 820円
ターミナルケア加算※死亡日 1650円
再入所時栄養連携加算 200円
退所前連携加算 500円
試行的退所時指導加算 400円
かかりつけ医連携薬剤調整加算(Ⅰ) 100円
かかりつけ医連携薬剤調整加算(Ⅱ) 240円
かかりつけ医連携薬剤調整加算(Ⅲ) 100円
退所時情報提供加算 500円
地域連携診療計画情報提供加算 300円
入退所前連携加算(I) 600円
入退所前連携加算(Ⅱ) 400円
認知症情報提供加算 350円
緊急時施設療養費 511円
訪問看護指示加算 300円
入所前後訪問指導加算(Ⅰ) 450円
入所前後訪問指導加算(Ⅱ) 480円
所定疾患施設療養費(Ⅰ) 235円
所定疾患施設療養費(Ⅱ) 475円
口腔衛生管理加算(Ⅰ) 90円
口腔衛生管理加算(Ⅱ) 110円
経口維持加算(Ⅰ) 400円
経口維持加算(Ⅱ) 100円
口腔衛生管理体制加算 30円
排せつ支援加算(Ⅰ) 10円
排せつ支援加算(Ⅱ) 15円
排せつ支援加算(Ⅲ) 20円
排せつ支援加算(Ⅳ) 100円
褥瘡マネジメント加算(Ⅰ) 3円
褥瘡マネジメント加算(Ⅱ) 13円
褥瘡マネジメント加算(Ⅲ)※令和4年3月31日まで算定加算可能 10円
療養体制維持特別加算(Ⅰ) 810円 27円
療養体制維持特別加算(Ⅱ) 1710円 57円
在宅復帰在宅療養支援機能加算(Ⅰ)(基本型のみ) 1020円 34円
在宅復帰在宅療養支援機能加算(Ⅱ)(在宅強化型のみ) 1380円 46円
認知症専門ケア加算(Ⅰ) 90円 3円
認知症専門ケア加算(Ⅱ) 120円 4円
サービス提供体制強化加算(Ⅰ) 660円 22円
サービス提供体制強化加算(Ⅱ) 540円 18円
サービス提供体制強化加算(Ⅲ) 180円 6円
栄養マネジメント強化加算 330円 11円
経口移行加算 840円 28円
療養食加算 180円 6円
認知症行動・心理症状緊急対応加算 6000円 200円

出典:介護報酬の算定構造(令和3年4月施行版)

特別養護老人ホーム(特養)の居室タイプ別の月額利用料

特別養護老人ホームでは居室のタイプと要介護度によって居住費、介護サービス費用が異なります。

それぞれの居室のタイプごとの居住費、介護サービス費用、食費の合計金額がいくらになるのかの一覧表を紹介していきます。

なお、以下の一覧表は介護保険料の自己負担割合は1割、一単位10円で計算した金額です。また、サービス加算費用を抜いた介護サービス費用の基本料となるので実際にはもう少し高い場合が多くなっています。

従来型個室 9.6万~10.4万円

特別養護老人ホームの従来型個室は、一室を一名で利用するタイプの個室です。個室には洗面台、トイレなどが備わっていることが多いです。

要介護度 賃料 食費 介護保険
1割負担額
合計
要介護1 3万5,130円 4万3,350円 1万7,190円 9万5,670円
要介護2 1万9,230円 9万7,710円
要介護3 2万1,360円 9万9,840円
要介護4 2万3,400円 10万1,880円
要介護5 2万5,410円 10万3,890円

出典:介護報酬の算定構造(令和3年4月施行版)

多床室(相部屋) 8.6~9.4万円

特別養護老人ホームの多床室は、一室に複数のベッドを設置している相部屋で通常四人で利用する居室タイプとなります。

個室タイプと比較して料金が安いことが特徴です。

要介護度 賃料 食費 介護保険
1割負担額
合計
要介護1 2万5,650円 4万3,350円 1万7,190円 8万6,190円
要介護2 1万9,230円 8万8,230円
要介護3 2万1,360円 9万360円
要介護4 2万3,400円 9万2,400円
要介護5 2万,5410円 9万4,410円

出典:介護報酬の算定構造(令和3年4月施行版)

ユニット型個室 12.3万~13.1万円

特別養護老人ホームのユニット型個室とは、10名以下でユニットという単位を組み、ロビーやテレビなどが置いてあるリビング、浴室などを共有して共同生活を送るタイプの個室です。

それぞれの個室の中心にリビングやダイニングがあり、共有スペースを持っている個室タイプとなります。

要介護度 賃料 食費 介護保険
1割負担額
合計
要介護1 6万180円 4万3,350円 1万9,560円 12万3,090円
要介護2 2万1,600円 12万5,130円
要介護3 2万3,790円 12万7,320円
要介護4 2万5,860円 12万9,390円
要介護5 2万7,870円 13万1,400円

出典:介護報酬の算定構造(令和3年4月施行版)

ユニット型個室的多床室 11.3万~12.1万円

特別養護老人ホームのユニット型個室的多床室とは、大部屋をパーテーションで区切り個人スペースを確保している多床室で、かつ中心に共有スペースとしてリビング、ダイニングなどを設置している部屋のタイプです。

要介護度 賃料 食費 介護保険1割負担額 合計
要介護1 6万180円 4万3,350円 1万9,560円 12万3,090円
要介護2 2万1,600円 12万5,130円
要介護3 2万3,790円 12万7,320円
要介護4 2万5,860円 12万9,390円
要介護5 2万7,870円 13万1,400円

出典:介護報酬の算定構造(令和3年4月施行版)

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特別養護老人ホーム(特養)の費用を軽減できる制度

特別養護老人ホームの費用は公的な軽減制度を用いることで軽減することができます。具体的には以下の5種類の軽減制度を利用することができます。

  1. 特定入所者介護サービス費用(負担限度額認定)
  2. 社会福祉法人の利用者負担軽減制度
  3. 高額介護サービス費
  4. 高額医療・高額介護合算療養費制度
  5. 控除制度

それぞれの項目について解説していきます。

負担限度額認定

負担限度額認定とは、市民税非課税で介護保険施設(特別養護老人ホーム・老人保健施設・介護療養型医療施設・介護医療院・地域密着型特別養護老人ホーム)に入所・入居又は短期入所(ショートステイ)を利用した時の食費及び居住費について減額をする制度です。

もう少しわかりやすく説明すると、ある要件を満たせば介護保険施設を利用する際の食費と居住費が安くなる制度です。利用者の負担は所得に応じて4段階に分かれており、それぞれ所得によって負担額が異なるのです。

認定の条件

負担限度額認定を受けるには所得の要件と預貯金等の要件を満たしておく必要があります。

まず所得の要件は本人を含む世帯全員が住民税非課税である必要があります。本人の配偶者が別世帯になっていることもありますが、この場合でも配偶者も住民税非課税であれば該当します。

次に預貯金の要件は、配偶者がいる場合は2,000万円以下であることが要件となっています。配偶者がいない方の場合は、預貯金額などが1,000万円以下であることが要件です。また、ここで言う預貯金とはもちろん現金だけではなく、有価証券や金・銀などの貴金属類も含んだものとなりますので注意が必要です。

第一段階から第四段階までのそれぞれの要件は以下の表のとおりです。

段階 適用条件 預貯金の合計
区分 年金収入+合計所得金額 単身 配偶者あり
1 生活保護者等または世帯全員が老齢福祉年金受給者 1000万円以下 2000万円以下
2 世帯全員が市町村民税非課税 80万円以下 650万円以下 1650万円以下
3(1) 80~120万円 550万円以下 1550万円以下
3(2) 120万円超 500万円以下 1500万円以下

出典:厚生労働省「介護保険施設における負担限度額が変わります」令和3年8月

負担限度額

段階別の食費と居住費の負担限度額の一覧表はそれぞれ以下の表のとおりです。居室のタイプによって異なることに注意しましょう。

要件 居住費の負担限度額 食費
ユニット型個室 ユニット型個室的多床室 従来型個室 多床室
1 24,600円 147,00円 9,600円 0円 9,000円
2 12,600円 11,100円 11,700円
3(1) 39,300円 24,600円 19,500円
3(2) 40,800円

出典:厚生労働省「介護保険施設における負担限度額が変わります」令和3年8月

申請方法

負担限度額を申請するには、各市区町村の介護保険課の窓口に所定の書類を郵送または持ち込みで持参しましょう。基本的には申請後1週間程度で結果が通知されます。第一段階~第三段階に該当した場合は介護保険負担限度額認定証が交付されます。

申請に必要な書類は以下の通りです

  • 介護保険負担限度額認定申請書
  • 同意書
  • 預貯金等の証明のための添付書類

預貯金等の照明のための添付書類は預貯金等の種類によって異なりますので、お住いの市区町村の担当窓口に確認してみましょう。

社会福祉法人の利用者負担軽減制度

特別養護老人ホームで利用できる軽減制度の二つ目は社会福祉法人の利用者負担軽減制度です。

利用者負担軽減制度は、一定の低所得者に対して社会福祉法人が運営する特別養護老人ホームへの入所や、訪問介護・訪問看護・ショートステイなどにおける利用者負担額が軽減される制度です。

原則として、介護サービスの自己負担額、食費、居住費の4分の1または2分の1が軽減されます。

社会福祉法人の利用者負担軽減制度

認定条件

社会福祉法人の利用者負担軽減制度を利用するには以下の条件を満たしている必要があります。

  1. 年間収入が単身世帯で150万円、世帯員が一人増えるごとに50万円を加算した額以下であること。
  2. 預貯金等の額が単身世帯で350万円、世帯員が一人増えるごとに100万円を加算した額以下であること。
  3. 日常生活に供する資産以外に活用できる資産がないこと。
  4. 負担能力のある親族等に扶養されていないこと。
  5. 介護保険料を滞納していないこと。

申請方法

社会福祉法人の利用者負担軽減制度を利用するには以下の手順で申請を行うことができます。

  1. 自治体の担当窓口に連絡し、申請書類を請求する
  2. 申請書類を記入し、郵送または直接自治体の担当窓口に提出する
  3. 対象者に該当すれば「社会福祉法人の利用者負担軽減確認証」が郵送にて自治体より届きます
  4. 「社会福祉法人の利用者負担軽減確認証」が届いたら、事業者に必ず提示しましょう。提示しないと、軽減は受けられません。

高額介護サービス費

特別養護老人ホームで利用できる費用の軽減制度の3つ目は「高額介護サービス費」と呼ばれる軽減制度です。

高額介護サービス費とは、介護保険の対象となる介護保険サービスの1カ月の自己負担額が負担限度額を超過した場合に、その超過分が支給される制度です。

高額介護サービス費の仕組み

対象者と支給額

高額介護サービス費の支給限度額は所得による区分によって上限額が変わってきています。また、2021年8月から負担能力に応じた負担を図る観点から、一定年収以上の高所得者世帯については負担限度額認定の見直しが実施され、以下のように整理されています。

区分 負担の上限額(月額)
市町村民税課税世帯 課税所得690万円(年収約1160万円) 140,100円(世帯)
課税所得380万円(年収約770万円)~課税所得690万円(年収約1160万円)未満 93,000円(世帯)
市町村民税課税~課税所得380万円(年収約770万円)未満 44,400円(世帯)
市町村民税非課税世帯 合計所得金額と課税年金収入額の合計が80万円を超える方 24,600円(世帯)
・合計所得金額と課税年金収入額の合計が80万円以下の方・老齢福祉年金を受給している方 24,600円(世帯)
15,000円(個人)
生活保護を受給している方 15,000円(世帯)

(出典:厚生労働省の資料より抜粋 )

申請方法

高額介護サービス費の支給制度では、利用料が自己負担額を超えている場合は自治体から通知書が届きます

書類に必要事項を記入し、市区町村窓口に提出すれば申請は完了です。

高額医療・高額介護合算療養費制度

高額医療・高額介護合算療養費制度とは、医療保険と介護保険における1年間(毎年8月1日から始まり翌年7月31日まで)の医療保険と介護保険の自己負担の合算額が著しく高額であった場合に自己負担額を軽減する制度のことを言います。

高額医療・高額介護合算療養費制度の仕組み

高額介護サービス費が月ごとに自己負担限度額を超える分の軽減をしている一方で、高額医療・高額介護合算療養費制度が年単位で軽減している理由は、月当たりの軽減ではカバーできない重い負担があった時に年単位でカバーするためです。

また、理美容代やレクリエーション代などの介護保険の対象となっていない費用は軽減制度の対象とならず、全額自己負担となることに注意しましょう。

対象者と支給額

高額医療・高額介護合算療養費制度の対象者は以下の条件に該当する人となります。

  • 国民健康保険、被用者保険、後期高齢者医療制度の各医療保険における世帯内であること
  • 1年間の医療保険と介護保険の自己負担合算額が、各所得区分に設定された限度額を超えた世帯であること

また、医療保険各制度(被用者保険、国保、後期高齢者医療制度)の世帯に介護保険の受給者が存在する場合に、被保険者からの申請に基づき、高額療養費の算定対象となる世帯単位で、医療保険と介護保険の自己負担を合算した額が、新たに設定する自己負担限度額を超えた場合に支給の対象となっています。

区分 所得 負担限度額
年収 課税所得 70歳未満 70歳以上
現役並み所得者Ⅲ 約1160万円 690万円以上 212万円
現役並み所得者Ⅱ 770~1160万円 380万円以上 141万円
現役並み所得者Ⅰ 370~770万円 145万円以上 67万円
一般 156~370万円 145万円未満 60万円 56万円
低所得Ⅱ 市町村民税世帯非課税 34万円 31万円
低所得Ⅰ 市町村民税世帯非課税

(所得が一定以下)

19万円

出典:厚生労働省「高額医療・高額介護合算療養費制度について

申請方法

高額医療・高額介護合算療養費制度を利用するには、介護保険者である市区町村の窓口で申請を行う必要があります

申請が受理されると、市区町村から介護自己負担額証明書が送られてくるので、介護自己負担証明書を添えて医療保険者に申請書を提出しましょう。

控除制度

特別養護老人ホームに限らず、介護にかかった費用などを控除できる各種制度を用いることで特別養護老人ホームの費用を少しずつ軽減することも可能です。ここでは医療費控除と扶養控除について紹介します。

医療費控除

医療費控除とは、1年間に10万円以上の医療費を支払った場合に、所得控除を受けられる制度です。治療を目的とした医療行為に支払った費用が所得税から控除されるため、美容整形手術などの費用は控除の対象とはなりません。

控除の上限は200万円となっており、控除の対象は前年の1月1日~12月31日までとなっています。毎年2月16日から3月15日までの間に確定申告をする必要があります。

介護保険の医療費控除について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

扶養控除

扶養控除とは、配偶者以外の親族を養っている場合に所得の控除を受けることができる制度です。

控除の対象となるのは、生計を一つにしていてかつ年間の合計所得が38万円以下である16歳以上の親族です。控除額は一般的に扶養対象一人に対して38万円となっていますが、扶養対象が70歳以上であれば48万円、さらに同居しているときは58万円と、より多くの控除を受けることができます。

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特別養護老人ホームのよくある質問

最後に、特別養護老人ホームにまつわるよくある質問についてまとめていきます。

特別養護老人ホーム(特養)の入居待ちはどのくらいある?

現在の特別養護老人ホーム(特養)の入居待ちの状況は地方と都市部で待機時間は大きく違っており、地方であれば申し込みから1~2カ月(申し込みから入居にかかる期間なので実質待ち時間ゼロ)で入居することが出来ます

というのも、特養は費用が安く人気があることから場合によっては数年の入居待ちをしなくてはならないというイメージをお持ちの方も多いと思いますが、入居条件を要介護1から3に引き上げたことによって現在では入居待ちは大幅に減っています。

実際に以下のグラフは特養の待ち時間の割合をグラフ化したものですが、最も多いのは3カ月未満で22.4%、次に6か月~1年で21.9%となっています。特別養護老人ホームの入居待ち期間の割合

(出典:一般財団法人 日本総合研究所「特別養護老人ホームの入所申込者の実態把握に関する調査研究」より独自に作成)

特養=入居待ちのイメージが多い方も少なくないと思いますが、地方などであればほとんど順番待ちなく入居することが出来るのが実情と言えるでしょう。

入居する順番は早い者勝ち?

・・・特別養護老人ホーム(特養)に入居する際の順番は早い者勝ちではなく、介護度や介護者の有無、認知症の進行度などの要素で「入所判定会議」にて優先度が決められます。したがって、申し込みを早くしたからと言ってすぐに入居できるとは限らないことに注意しましょう。

特別養護老人ホーム(特養)の入所する上での裏ワザについて知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

特別養護老人ホーム(特養)の入居待ち期間はどうする?

特別養護老人ホーム(特養)の入居待ちが発生している場合は居宅介護サービスを利用して在宅介護を行うか、提供サービスが特養と近い介護付き有料老人ホームなどへの入居を検討しましょう。

在宅介護を行う場合は、介護保険の範囲内で受けることが出来る居宅サービスを利用するだけではなく、ショートステイなどを利用しながら入居待ちを行う方も少なくありません。

また、特別養護老人ホーム(特養)と同じ公的施設の介護老人保健施設(老健)を入居待ち期間に利用する方も少なくありません。本来の目的は病院から退院したものの直接自宅に帰ることが出来ない方に対してリハビリなどを行い在宅復帰を目指す施設ですが、実情として入居待ちをここで過ごすという方も少なくないのです。

特別養護老人ホーム(特養)は年金だけで入れる?

特別養護老人ホーム(特養)の費用は生活保護を受給していて、多床室タイプの特養に入った場合などであれば国民年金だけで賄うことが出来ると言えるでしょう。

上述したように特養の費用は所得段階によって分かれており、多床室タイプの特養で生活保護を受給していると3万4000円+生活費1~2万円で入居することが出来ます。

そして現在の国民年金及び厚生年金の平均支給額は以下の表のとおりです。

厚生年金 国民年金
2016年度 14万5638円 5万5373円
2017年度 14万4903円 5万5518円
2018年度 14万3761円 5万5708円
2019年度 14万4268円 5万5946円
2020年度 14万4366円 5万6252円

(出典:厚生労働省年金局「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」)

したがって、厚生年金を受け取っているかどうかや入居する特別養護老人ホーム(特養)のタイプが多床室タイプかユニット型かによっても年金だけで入れるかは変わってくるでしょう。

特別養護老人ホーム(特養)の費用のまとめ

特別養護老人ホームは公的施設で介護保険が適用されるので、民間施設と比較すると費用は安く設定されています。また、有料老人ホームのように入居一時金などの初期費用が掛かりません。

月額費用の相場は9~15万円となっており、入居する部屋が多床室(相部屋)か個室かによっても費用が異なります。また、世帯収入によって食費や居住費の軽減制度があるので世帯収入によっても月額費用は異なります。

要介護度が高い高齢者の方にとってはぜひ利用したい施設の一つであるため、入居を検討している場合はできるだけ早めに入居申し込みをするようにしましょう。

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