老人ホームの費用相場はいくら?内訳から全国平均、施設ごとの費用を解説!

老人ホームの費用相場はいくら?内訳から全国平均、施設ごとの費用を解説!

老人ホームを利用するには費用がかかり、この内訳にはさまざまなものが含まれます。入居期間中支払う月額の利用料はもちろん、場合によっては入居時にまとまった一時金を支払わなければならないこともあります。

コスト負担が大きくなってしまうこともあるため、実際にどれくらいの費用がかかるのか、事前に把握しておくことが大切です。老人ホームの利用にかかる費用の相場から内訳、またコスト負担を軽減する方法などを知り、将来の介護について考えていきましょう。

 

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在宅介護エキスパート協会 代表
所有資格:AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士,社会福祉士,宅地建物取引士
専門分野:在宅介護,老後資金,介護施設全般
職業: 社会福祉士,宅地建物取引士,ファイナンシャルプランナー

NEC 関連会社(現職)でフルタイム勤務の中、10 年以上に渡り遠距離・在宅介護を担う。両親の介護をきっかけに社会福祉士、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーなど福祉に直接的・間接的に関係する資格を取得。その経験や知識を多くの方に役立てていただけるよう「在宅介護エキスパート協会」を設立、代表を務める。詳しくはこちら

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老人ホームの費用相場はいくら?

株式会社野村総合研究所の「高齢者向け住まいの実態調査」によると、老人ホームの入居時にかかる費用は平均175.3万円、毎月かかる費用の平均は18.4~22.5万円であることがわかっています。

ただし、初期費用や月額費用は老人ホームの施設種別によって大きく変わります。本章では施設種別ごとの老人ホームの費用相場について解説していきます。

介護付き施設の費用相場

老人ホームには24時間体制で介護が提供されている「介護付き有料老人ホーム」といった要介護の方が入所する施設と比較的自立した方が入居する施設で費用は大きく変わります。

以下の図は介護や医療の必要性と利用料金の施設ごとのポジショニングマップです。24時間体制で介護が提供されている施設でも介護医療院や特養(特別養護老人ホーム)といった公的施設と民間施設(有料老人ホームなど)で大きく異なりますが、公的施設の場合は5~15万円、民間施設の場合は15~20万円が相場と言えるでしょう。

老人ホームの費用と種類

名称【運営】 初期費用(入居一時金・敷金) 月額利用料 参考コラム
特養(特別養護老人ホーム)【公的】 なし 5~15万円 特養(特別養護老人ホーム)の費用はいくら?費用診断ツールでいくらかかるか計算しよう!
老健(介護老人保健施設)【公的】 なし 6~17万円 老健(介護老人保健施設)の費用の目安は?料金表から高くなる人の特徴まで解説
介護療養型医療施設【公的】 なし 6~17万円 療養型病院でかかる費用を解説!他施設との比較も紹介
介護医療院【公的】 なし 6~17万円 介護医療院の費用目安・内訳から高くなる人の特徴まで紹介!
介護付き有料老人ホーム【民間】 0~数億円 15~40万円 介護付き有料老人ホームの費用はいくら?費用シミュレーションや高くて払えない場合の対処法も紹介
グループホーム【民間】 0~100万円 12~18万円 グループホームの費用はいくら?47都道府県の相場から内訳、軽減制度について紹介

自立型施設の費用相場

老人ホームはすべての施設が24時間体制で介護サービスを提供しているわけではなく、自立した生活ができる高齢者専用の賃貸住宅のような老人ホームもあります。

代表的な施設として、「サービス付き高齢者向け住宅」や「ケアハウス」などの必要に応じて介護サービスを利用できる高齢者向けの賃貸住宅があります。介護が不要な方の場合は、月額10~12万円から利用することが出来るのが特徴です。

名称【運営】 初期費用(入居一時金・敷金) 月額利用料 参考コラム
軽費老人ホーム【公的】 原則なし 4~20万円+介護費用 軽費老人ホームの費用はいくら?A型・B型・C型それぞれの費用を解説
ケアハウス【公的】 0~数百万円 7~20万円+介護費用 ケアハウスの費用はいくら?初期費用・月額費用の平均額も紹介
住宅型有料老人ホーム【民間】 0~数億円 10~40万円+介護費用 住宅型有料老人ホームの費用相場は?47都道府県別に費用相場を紹介
サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)【民間】 0~数千万円 8~20万円+介護費用 サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)の費用はいくら?費用相場から内訳まで解説
シニア向け分譲マンション【民間】 数千万~数億円 10~30万円+介護費用 シニア向け分譲マンションの費用はいくら?平均費用からエリア別相場まで解説!

エリアごとの費用相場

老人ホームの費用は都道府県別のエリアごとにも大きく異なります

以下のグラフは、ケアスル介護に掲載されている民間施設約1万施設分のデータを統合して独自に作成した都道府県別の月額費用の平均を表したグラフとなります。

都道府県別の老人ホーム月額平均費用

※ケアスル介護に掲載されている、住宅型有料老人ホーム・介護付き有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅の月額平均費用を独自に算出して作成

また、47都道府県で最も月額費用が高い3県と低い3県の一覧表は以下の通りです。

費用が高い都道府県TOP3

入居一時金 月額費用
平均値 中央値 平均値 中央値
東京都 ¥11,094,947 ¥4,300,000 ¥362,729 ¥289,000
神奈川県 ¥5,574,282 ¥645,000 ¥279,679 ¥232,000
兵庫県 ¥5,703,543 ¥486,000 ¥257,732 ¥221,300

費用が安い都道府県TOP3

入居一時金 月額費用
平均値 中央値 平均値 中央値
宮崎県 ¥27,134 ¥0 ¥84,880 ¥75,000
青森県 ¥36,508 ¥0 ¥104,329 ¥89,000
佐賀県 ¥24,380 ¥0 ¥107,880 ¥106,000

老人ホームの費用を占める家賃は不動産賃貸住宅と同様にエリアによって相場が変わる傾向にある他、人件費なども同様にエリアごとに代わるので都心部の費用は高くなっていることがわかります。

費用の安い老人ホームを探しているという方はケアスル介護で探すのがおすすめです。

全国で5万件をこえる施設情報を掲載しているので、入居一時金が0円の施設から月額費用が10万円以下の施設まで、予算に合った施設を探すことが出来ます。

入居相談員にピッタリの施設を提案してもらうこともできるので、初めての老人ホーム探しという方はぜひ利用してみてください。

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老人ホームの費用は誰が・いつまで・総額いくら払う?

老人ホームの費用は親の年金や貯金から切り崩していくのが基本です。また、厚生労働省の調査によると有料老人ホームの平均入居期間は960日となっており2.6年間(32カ月)が平均的な期間となっています。

介護付き有料老人ホームに入居した場合を例にとると、入居費用と月額費用を合わせると総額1,179万円程度がかかることが見込まれます。

親の費用なら親のお金で負担するのが基本

老人ホームの費用は親が施設に入居する時にかかる費用であれば親の年金や貯蓄から切り崩して払っていくのが基本です。

厚生労働省の「2019年国民生活基礎調査」によると、「介護を要するもの(本人)」が負担しているという世帯が全体の87.1%です。つまり、ほとんどの世帯では本人が支払っていることがわかります。

介護を要するもの(あるいは配偶者)の収入 介護を要するもの(あるいは配偶者)の貯蓄 介護を要するもの(あるいは配偶者)以外の収入・貯蓄
総数 年金・恩給の収入 そのほかの収入
73.60% 72.20% 7.10% 13.50% 9.10%

老人ホームの費用を親の年金や貯蓄で払えない時は兄弟や親せき等で話し合いを行って費用負担を分担することが考えられます。

一般的にはこれまで在宅介護を行ってきた方や施設とのやり取りを今後になっていくキーパーソンの費用負担が少なく、それ以外の兄妹や親せきが多く払ってバランスをとるというケースが多くなっています。

いつまで払う?

厚生労働省の調査※によると、有料老人ホームの平均入居期間は960日となっており2.6年間(32カ月)が平均的な期間となっています。(厚生労働省:「高齢者向け住まい及び住まい事業者の運営実態に関する調査研究」)

また、介護付き有料老人ホームは平均1,164日で3.1年(38カ月)、住宅型有料老人ホームは713日間で1.9年間(23カ月)、サービス付き高齢者向け住宅は545日間で1.5年間(18カ月)となっており、介護付き有料老人ホームが特に長くなっていることがわかります。

住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅が自立の方が入居しているケースも少なくなく、介護付き有料老人ホームへの転居が理由で入居期間が短くなっている可能性もあるので、住宅型・サ高住に入居している方もトータルの入居期間は介護付き有料老人ホームと同等程度あるいはそれ以上と考えるのが妥当でしょう。

総額いくら払う?

介護付き有料老人ホームに入居した場合を例にとると、入居費用はケアスル介護掲載施設の中央値より245.5万円、月額費用は同じく24.6万円×38カ月となり、934万円かかることが予想されます。したがって、総額1,179万円程度がかかることがわかります。

老人ホームに入居している際にかかる費用は施設に払う費用以外にも入院した場合の入院費や薬代なども別途かかることが予想されるため、1300万円近く総額でかかることを見込んでおくとよいでしょう。

老人ホームの費用は年金だけで払える?

老人ホームは特養(特別養護老人ホーム)や老健(介護老人保健施設)などの公的施設であれば年金だけで入れる可能性あります。

厚生年金を合わせて払えることもある

年金には国民年金と厚生年金の2種類ありますが、国民年金と厚生年金を合わせれば特養(特別養護老人ホーム)や老健(介護老人保健施設)などの公的な介護施設に入れることもあります。

また、2種類を満額受け取っている場合は約20万円毎月受け取ることが出来るので公的施設だけではなく費用の安い民間施設であれば入れると言えるでしょう。

以下の表は各年度の平均受給額です。

厚生年金 国民年金
2016年度 14万5638円 5万5373円
2017年度 14万4903円 5万5518円
2018年度 14万3761円 5万5708円
2019年度 14万4268円 5万5946円
2020年度 14万4366円 5万6252円

(出典:厚生労働省年金局「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」)

公的な介護施設である特別養護老人ホームに入居する場合、多床室タイプの場合は毎月4.4万~約12万円、ユニット型の場合は毎月6.8万~約15万円が費用の目安となるので、場合によっては年金だけで老人ホームに入ることはできるのです。

年金で入れる老人ホームの種類

年金で入れる老人ホームの種類の種類としては以下の3種類の施設が考えられます。

  • 特養(特別養護老人ホーム)
  • 老健(介護老人保健施設)
  • 介護医療院

それぞれの施設の特徴を一覧表で紹介していきます。

名称 特徴
特養(特別養護老人ホーム) 要介護3以上の方を対象とした公的な介護施設で主に食事や入浴、排せつなどの生活介助を中心とした介護サービスを受けることが出来ます。

費用が安いこと、入居待ちが多いのが特徴です。

老健(介護老人保健施設) 入院していた要介護の認定を受けた高齢者が在宅復帰するための主にリハビリを行う施設です。

在宅復帰を目的としているので、3~6か月で退所判断が行われ、在宅復帰が出来ると判断された人は退所しなくてはなりません。

介護医療院 医療ケアが充実していて日常生活上の介助だけではなく長期にわたる医療的管理下における療養が必要な方が入居する介護施設です。

日常生活上の身体介護に加えて、医療ケアや看取りまで行うことが出来る介護施設となっています。

3つのうちの一つである特別養護老人ホーム(特養)の費用シミュレーターで自分の場合はどの程度の費用になるのか、計算してみましょう。

特別養護老人ホーム(特養)の
費用シミュレーター
1ヶ月ご利用料金(30日を基準とした概算)
0
1日あたり(①+②+③)
0
①介護保険自己負担額
0
②食費
0
③居住費
0
※「食費+居住費+介護サービス費用」×30日で算出した金額となります。
※ 1単位10円として計算しています。
※ 加算項目は含まれていません。
※ 日数や端数の処理によって誤差が出ることがございます。
※ 出典:厚生労働省「介護報酬の算定構造」「利用者負担の軽減について
「負担限度額段階」とは?
特別養護老人ホーム(特養)などの公的施設は、入居する本人を含む世帯の年収、さらに預貯金の状況によって段階別で費用が定められています。各段階は以下の表の要件で定められています。
段階 所得の要件 預貯金の要件
区分 年金収入+合計所得金額 単身 配偶者あり
第1段階 生活保護者等または世帯全員が老齢福祉年金受給者 1000万円以下 2000万円以下
第2段階 世帯全員が市町村民税非課税 80万円以下 650万円以下 1650万円以下
第3(1)段階 80~120万円 550万円以下 1550万円以下
第3(2)段階 120万円超 500万円以下 1500万円以下

老人ホームの入居一時金

老人ホームの費用には大きく分けて初期費用と月額費用の2種類の費用があります。本章では初期費用である入居一時金について説明していきます。

入居一時金とは

入居一時金とは、家賃・サービス費の前払い金で施設側に預ける費用となります。したがって、権利金・礼金などの形で支払う費用ではなく、将来の家賃・サービス費として毎月充てていく(償却)するための費用となります。

したがって、入居一時金を支払った場合毎月の月額費用の一部が入居一時金から払われていくので、入居一時金を多く支払った場合月々の費用がその分安くなっているのです。

入居一時金は平均で163.7万円かかります。ただし、入居一時金は0円の施設も少なくなく、調査によると全体の80.4%が0円となっていることからも必ずしも高額な費用が必要ないことがわかります。(出典:株式会社野村総合研究所の「高齢者向け住まいの実態調査」)

というのも、入居一時金とは家賃に相当する費用を前もって支払う分なので、老人ホームによって入居一時金を高くして毎月の家賃を低く見せるのか入居一時金を0円にして入居のハードルを下げているかで方針が異なっているのです。そのため、「入居一時金が0円=トータルの費用が安い施設」ではありませんし、入居一時金を0円にしても家賃が高くなることに注意しましょう。

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償却されなかった費用は返還金として戻ってくる

入居一時金は入居後の家賃・サービス費用として少しずつ償却されていく費用ですが、施設ごとに定められている償却期間に満たないうちに退去した場合は余った入居一時金は返還されることとなっています。

例えば以下のグラフは、入居一時金が300万円で初期償却25%、償却期間5年で償却する場合の償却額および未償却額のグラフとなります。

入居一時金の返還金シミュレーション

この場合に3年目に入った時点で退去した場合未償却額が90万円となるので、90万円が返還金として戻ってくることとなります。

また、初期償却とは入居時に施設側に納める費用となっており、こちらは入居後の家賃として償却されない費用で完全に施設側に納める費用となっております。初期償却額は施設側が自由に定めてよいこととなっていますが、相場としては入居金の10~30%となっています。

初期償却分が返還されないのは違法ではないの?
…初期償却分が返還されないことに対して「権利金などとして徴収するのは禁止されているのではないの?」と考える人も少なくないと思います。これについては都道府県によって扱いが異なっており、例えば東京都は「初期償却は不適切」としながらも罰則などは設けていないのが現状です。また埼玉県などでは同様に不適切としながらも、新規事業者に対しては一切認めない一方法改正前に開設された施設には認めているのです。したがって、都道府県によってあいまいなのが現状です。

敷金・保証金がかかることもある

老人ホームでは入居一時金とは別に敷金・保証金がかかる場合があります。敷金・保証金は一般的な不動産賃貸住宅における「敷金」と同じ役割の費用で、退去する時に部屋の修繕やクリーニング代などに充てられる費用です。

上述した野村総合研究所の調査によると、老人ホームでかかる敷金・保証金は11.6万円が平均値となっています。賃貸住宅と同じようにクリーニング費用などに充てて余った分は返金されることが特徴です。

老人ホームの月額費用の内訳

老人ホームでかかる月額費用は食費、居住費・管理費、介護サービスの自己負担額、全額自己負担のオプションサービス費などがあります。

月額費用の内訳について解説していきます。

居住費(家賃)

まず老人ホームでは居住費(家賃)が当然かかります。老人ホームの家賃は一般的な不動産賃貸住宅と同じように立地が良いとその分高くなる他、築年数などの影響も受けることが多くなっています。

また、設備が充実している施設であればあるほど家賃が高くなります。施設による違いが大きく影響するため費用の安い老人ホームはここと指定は難しいのですが、駅から遠い、職員数が規定ギリギリの老人ホームの場合は家賃が安くなる傾向にあります。

なお、特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)などの公的施設の居住費は、「特定入所者介護サービス費」という減免制度を利用することで本人を含む世帯の年収、預貯金の状況で定められた段階ごとに異なります。

また、多床室(相部屋タイプ)か個室タイプかによっても費用が異なることに注意しましょう。

管理費・共益費

老人ホームでは、事務管理部門の人件費や施設の管理費用として管理費・共益費が掛かります。一般の不動産賃貸住宅などと比較すると、人件費などに充てられる費用であるため高額となっています。

したがって、職員を最低基準以上に配置している施設の場合は管理費・共益費が高くなっている他、ジムや温泉などの設備が充実している高級老人ホームは家賃だけではなく管理費・共益費も高くなっているのです。

食費

老人ホームでは基本的に朝・昼・晩の3食分の食費・調理費用として平均して月4.4万円の食費が掛かります。

老人ホームの食事は施設の調理師が行っていることもありますが、給食会社に委託しているケースも少なくありません。委託会社で調理されたものを運び込んでいる場合や、材料だけ調達し施設で調理していることもあります。

食費も居住費と同様に特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)、介護医療院などの公的施設では段階ごとに定められています。

水道・光熱費

一般的な賃貸住宅と同様に老人ホームでも水道・光熱費が掛かります

なお、老人ホームによって管理費・共益費に水道光熱費が含まれているケースや居室分は直接契約するケースなど契約形態はさまざまです。

介護サービス費用の自己負担分費用

老人ホームでかかる介護保険の自己負担分費用は入居する施設・本人の要介護度によって変わりますが、介護保険の自己負担額が1割であればおおよそ0.5~3.0万円が相場といえるでしょう。

老人ホームでは食事や入浴、排せつなどの生活介護から医師・看護師の常駐が定められている施設においては医療・看護ケアが行われます。老人ホームで行われる介護サービスは介護保険が適用され、基本的には自己負担額1割で利用することが出来ます。

例えば、特養(特別養護老人ホーム)という公的な介護施設の場合は、多床室という相部屋タイプの居室で介護を受けた場合は要介護5の認定を受けている場合でも2万5410円でおさめることが出来ます。

要介護度や入居する施設によって受ける介護サービスが異なるので一概には言えませんが、自己負担割合が1割の場合は0.5~3.0万円が相場といえるでしょう。

サービス加算費用

介護保険サービス費用は職員の配置や体制、対応する医療サービスなどに応じて介護サービス加算をされることがあります。

老人ホームにおける介護サービス加算としては、食事サービスに付随する療養食加算や、在宅復帰への支援が充実したサービスを受けることによる在宅復帰・在宅療養支援機能加算などがあげられます。

その他日常生活費用

老人ホームでは入居後にかかる費用として、理美容代や病院に通院した場合の医療費、また介護施設内で実施される外部講師のレクリエーションなどの費用が入居後にかかります

また、買い物代行や外出の付き添い、行政手続きの代行など介護保険適用外のサービスを利用した場合もこれらの費用が掛かります。

そのほかにも、交通費や娯楽費などを合計して毎月1~2万円の日常生活費用が掛かることを見越しておきましょう。

出来るだけ費用を抑えて老人ホームに入りたいという方はケアスル介護で探すのがおすすめです。

ケアスル介護では全国で約5万件の施設情報を掲載しているので、自分に合った施設を探すことが出来ます。

後悔しない老人ホームがしたいという方はぜひ利用してみてください。

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老人ホームの費用例

ここまで老人ホームの施設ごとの費用や支払い方式について説明してきましたが、イメージがつかない方も少なくないと思います。ここでは、ケース別に老人ホームの費用の毎月の支払額をシミュレーションしていきます。

自分と近い事例を探して費用のイメージをつかみましょう。

要介護3の方が特養に入居した場合

【設定条件】
要介護度:要介護3
所得や資産:住民税非課税で年収が90万円の人
介護保険の自己負担割合:1割
入居する居室:従来型個室

要介護3で特養に入所した場合にかかる費用は、食費・居住費・介護サービス費用、最後に日常生活費用などです。

特別養護老人ホームは公的施設であるため、食費と居住費は本人を含む世帯の年収、預貯金の状況によって定められた段階ごとに支払います。

詳細は後ほど解説する「老人ホームの費用を安くする方法はある?」の章で解説しますが、今回は住民税非課税世帯で年収が90万円の人で第3段階(1)に該当するため居住費は24,600円、食費は19,500円となります。

また、従来型個室に入居する場合の介護サービス費用は要介護3は21,360円となります。その他、日常生活費用として歯ブラシ代やオムツ代、買い物代行などの費用で月に1~2万円見積もっておきましょう。

種別 費用項目 費用
入居一時金 0円
月額費用 居住費 2万4,600円
管理費・水道光熱費 -万円
介護サービス費用 2万1,360円
生活費用 食費 1万9,500円
携帯等日用品費 -万円
理美容代 5千円
その他費用 1~2万円
毎月の合計費用 8万460円~9万460円

要介護3で介護付き有料老人ホームに入所した場合

次に、要介護3で介護付き有料老人ホームで前払い型の施設の費用について紹介していきます。ここでは、実際の施設を例に紹介していきます。

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【設定条件】
要介護度:要介護3
介護保険の自己負担割合:1割
施設名:ツクイ・サンシャイン町田東館
介護度:要介護5

要介護3で介護付き有料老人ホームに入った場合の費用としては、食費・居住費・管理費、介護サービス費用に加えて入居一時金が掛かります。

今回の費用例で挙げた施設では入居一時金が850万円となっており、毎月の家賃・サービス費用として償却されていきます。

居住費および食費は以下の表のとおりですが、介護サービス費用は介護度ごとに毎月一律の費用を支払うことになります。要介護3の場合は20,220円※となります。(※1単位10円として計算)

種別 費用項目 費用
入居一時金 850万円
月額費用 居住費 0円
管理費・水道光熱費 13万2,000円
介護サービス費用 2万220円
生活費用 食費 2万9000円
携帯等日用品費 -万円
理美容代 5千円
その他費用 -万円
毎月の合計費用 18万6220円

認知症の方がグループホームに入所した場合

認知症グループホームは毎月定額で介護保険サービスの自己負担が額を支払います。地域密着型サービスと呼ばれており、公的施設の色合いが強いため比較的安い費用で利用することが出来るのが特徴です。

【設定条件】
要介護度:要介護3
介護保険の自己負担割合:1割
施設名:クローバーハウス駒沢

認知症グループホームでは他の老人ホームと同様に以下の費用が掛かります。

種別 費用項目 費用
入居一時金 15万円
月額費用 居住費 7万7000円
管理費・水道光熱費 2万8,000円
介護サービス費用 2万4690円
生活費用 食費 5万5000円
携帯等日用品費 -万円
理美容代 5千円
その他費用 2万円
毎月の合計費用 19万6220円

要支援2でサ高住に入所した場合

最後に、主に自立している方向けの施設であるサ高住の費用例について紹介していきます。

【設定条件】
要介護度:要支援1
介護保険の自己負担割合:1割
施設名:リリィパワーズレジデンス三鷹北野【けやき館】

サ高住では利用した分だけ介護保険サービス費用の自己負担額を支払うほかに、施設が提供している生活相談サービスと見守りサービス費用を支払います。

種別 費用項目 費用
入居一時金 15万円
月額費用 居住費 7万5000円
管理費・水道光熱費 2万8,000円
介護サービス費用 5000円
生活費用 食費 4万8000円
携帯等日用品費 -万円
理美容代 5千円
その他費用 2万円
毎月の合計費用 19万5000円

老人ホームの費用を払えない時はどうする?

介護サービスを利用するには高額な費用がかかることも多く、この費用負担に困る人は少なくありません。

しかし、制度を活用することで、介護費用の負担は軽減することも可能です。費用負担が軽減できる公的な減免制度は5つあるため、それぞれの特徴を知り、シーンに応じて活用しましょう。

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高額介護サービス費支給制度

高額介護サービス費とは、1か月に支払った介護サービス費の自己負担額の合計が、所得によって定められた負担限度額を超えた場合は超えた分が払い戻される制度です。(参考:厚生労働省「令和3年8月利用分から高額介護サービス費の負担限度額が見直されます」)

高額介護サービス費は、すべての所得に応じた6つの区分で利用者負担の上限額を設定しています。

例えば、生活保護を受給している方は負担限度額が15,000円と定められているので、特別養護老人ホームの介護サービス費の利用者負担額が1か月25,000円だった場合は10,000円が払い戻されます。具体的な区分については以下の表のとおりです。

区分 負担の上限額(月額)
市町村民税課税世帯 課税所得690万円(年収約1,160万円)以上 140,100円(世帯)
課税所得380万円(年収約770万円)~課税所得690万円(年収約1,160万円)未満 93,000円(世帯)
市町村民税課税~課税所得380万円(年収約770万円)未満 44,400円(世帯)
市町村民税非課税世帯 合計所得金額と公的年金等収入額の合計が80万円を超える方 24,600円(世帯)
合計所得金額と公的年金等収入額の合計が80万円以下の方 24,600円(世帯)15,000円(個人)
生活保護を受給している方 15,000円(世帯)

なお、特定入所者介護サービス費を利用するには所定の書類を用意してお住いの各自治体の介護担当窓口に提出する必要があります。

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特定入所者介護サービス費

特定入所者介護サービス費とは、特別養護老人ホームなどの介護保険施設における居住費と食費の負担限度額が、所得や預貯金等の資産に応じて4段階で定められており、これを超えた分が介護保険から給付される制度です。

つまり、所得が低い方から順に多くの介護保険の給付がされていくので、自己負担額も所得の低いから方順に少なくなっていきます。言い換えれば、所得や預貯金による4段階ごとに居住費と食費が定められている制度ともいえます。

所得および預貯金等の要件ごとの段階は以下のとおりです。

段階 所得の要件 預貯金等の要件
区分 公的年金収入+合計所得金額 単身 配偶者あり
第1段階 生活保護受給者
世帯全員が市町村民税非課税かつ老齢福祉年金を受給している 1000万円以下 2000万円以下
第2段階 世帯全員が市町村民税非課税 80万円以下 650万円以下 1650万円以下
第3(1)段階 80~120万円 550万円以下 1550万円以下
第3(2)段階 120万円超 500万円以下 1500万円以下

特定入所者介護サービス費を利用するには所定の書類を用意してお住いの各自治体の介護担当窓口に提出する必要があるので注意しましょう。

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特定入所者介護サービス費とは?対象・要件・申請方法をわかりやすく解説!

高額医療・高額介護合算療養費制度

高額医療・高額介護合算療養費制度とは、医療保険と介護保険の両方のサービスを利用している世帯に対して1年間に支払った各保険制度の自己負担額の合計額が各所得区分ごとの負担限度額を超えた場合は超えた額が支給される制度です。

基本的な考え方としては高額介護サービス費と似ていますが、高額医療・高額介護合算療養費制度のポイントは1年間で限度額が決められている点と、同じ医療保険制度に加入している家族は合算できる点です。また、高額介護サービス費として支給された分は合算の対象外です。

高額医療・高額介護合算療養費制度は医療保険と介護保険の両方における利用者負担が発生している世帯が対象となっており、70歳未満の人がいる世帯、70歳以上の人がいる世帯でそれぞれ所得区分が定められています

75歳以上 70~74歳 70歳未満
介護保険+後期高齢者医療 介護保険+被用者保険または国民健康保険
年収約1,160万円 212万円
年収約770~約1,160万円 141万円
年収約370~約770万円 67万円
~年収約370万円 56万円 60万円
市町村民税世帯非課税等 31万円 34万円
市町村民税世帯非課税かつ年金収入80万円以下等 本人のみ 19万円
介護利用者が複数 31万円

出典:厚生労働省 介護サービス情報公表システム

なお、高額医療・高額介護合算療養費制度の申請は、後期高齢者医療制度の場合、基準日(7月31日)の翌年2月、3月ごろに対象となる世帯の世帯主宛てに自治体から「 お知らせ」と「支給申請書」が届きます

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社会福祉法人で利用できることがある「利用者負担軽減措置」

施設を運営している社会福祉法人が、地方自治体に利用者負担軽減措置の申告をしている場合は、介護費用を減額できるケースがあります。

制度が活用できると、介護費が25%減となるため、コストの捻出がしやすくなるでしょう。利用している施設でこの制度が受けられるかは、市区町村の役場にて確認しておくことが大切です。

医療費控除

特養や老健では、利用した医療費に応じて、医療費控除が適用できる場合があります。1年間での医療費の支払いが10万円を超えた場合は、200万円を上限として所得の控除が可能です。

控除によって所得が下がることで、所得税や住民税などを減額でき、税負担を抑えられます。医療費控除は実際にかかった医療費から保険金などの支給分と10万円を差し引き、残った分が控除額となります。

また、所得が200万円以下の場合は、差し引きされる10万円分が総所得の5%になるよう減額されることも覚えておきましょう。医療費控除を適用するには、確定申告が必要です。

自治体のその他の独自サポート

住んでいる地域の自治体によっては、独自の制度を実施していることもあります。例えば介護者である家族に対する慰労金や、その他介護サービス利用の負担軽減措置など、実施内容は自治体によって異なります。

まずは自治体のホームページで独自の制度がないか確認したり、地域包括支援センターのケアマネージャーに相談して、活用できる制度がないか調べてもらったりすると良いでしょう。

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ただし自治体によっては独自の軽減制度が無いことも少なくありません。

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老人ホームの費用の準備は計画的にはじめよう

老人ホームは施設によって利用対象者が違っていたり、対象となっていても入居待ちですぐに入れなかったりすることもあります。そのため、コストが安い施設にすぐに入居できるとは限りません。

低コストの施設に入居できるかがわからないからこそ、資金計画は早めに練っておき、資金には余裕を持っておくことが大切です。入居にかかる費用相場を知ることはもちろん、資金捻出の方法や介護費の負担を軽減する制度などは把握しておき、経済的に不安のない老後生活を目指しましょう。

老人ホームの費用相場はいくら?

株式会社野村総合研究所の「高齢者向け住まいの実態調査」によると、老人ホームの入居時にかかる費用は平均175.3万円、毎月かかる費用の平均は18.4~22.5万円であることがわかっています。詳しくはこちらをご覧ください。

老人ホームの入居一時金とはどんな費用ですか?

入居一時金とは、家賃・サービス費の前払い金で施設側に預ける費用となります。したがって、権利金・礼金などの形で支払う費用ではなく、将来の家賃・サービス費として毎月充てていく(償却)するための費用となります。詳しくはこちらをご覧ください。

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