老人ホームの費用が払えなくなっても、強制退去に直結するとは限りません。 利用できる制度や支援策があります。
本記事では老人ホーム費用が払えない場合の対処法や解決ステップなどを解説していきます。
各種老人ホームの初期費用や月額費用の相場については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。

老人ホームの費用が払えない場合どうなる?
老人ホームの費用が払えなくても、すぐに強制退去になるわけではありません。 ただし、滞納が続いた場合は契約解除に進む可能性があります。
老人ホームの月額利用料は、原則として入居者本人の負担です。支払いが難しくなった場合は、契約時に定めた身元引受人(連帯保証人)へ連絡が入ります。
費用を滞納した場合の一般的な流れは、次のとおりです。
- 入居者本人へ支払い確認の連絡
- 身元引受人(連帯保証人)へ請求
- 1〜3か月程度の猶予期間の設定
- 支払いがない場合は契約解除の予告
- 退去手続きへ進行
猶予期間の長さや具体的な対応は施設ごとに異なります。契約書や重要事項説明書に記載されているため、事前に確認しておくことが重要です。
支払いが困難な場合、「公的施設(特別養護老人ホーム・軽費老人ホーム)の検討」と「生活保護の活用」が選択肢となります。
いずれの内容について、株式会社ケアリサーチ代表の桐島さんに解説いただきました。
【公的施設の検討について】

特別養護老人ホームは、比較的費用を抑えやすい施設です。ただし、待機期間が長期化する傾向にあります。
そのため、入所までの間は費用を抑えた民間施設で待機するケースも少なくありません。
【生活保護の活用について】

年金額が著しく少ない場合には、市区町村の福祉窓口と協議し、生活保護の申請を検討しましょう。
受給者を受け入れている施設も一定数存在するため、まずは相談してみることが大切です。
老人ホームの費用が払えない場合の4つの対処法

老人ホームの費用が払えない場合でも、取れる対処法は大きく4つあります。
早めに行動することで、退去を避けられる可能性が高まるでしょう。
- 施設スタッフへ相談する
- 費用が安い施設へ転居する
- 減免制度・助成制度を活用する
- 生活保護の申請を検討する
いずれも状況に応じて選択肢が異なります。現在の介護度や収入、資産状況を整理したうえで検討することが重要です。
①施設スタッフへ相談する
まず施設のスタッフへ相談することが重要です。
支払いができなくなったからといって、すぐに退去を求められるわけではありません。多くの施設では、事情を確認したうえで対応を検討します。
具体的には、以下のような調整が行われることが多いです。
- 支払い期限の延長
- 分割での支払い対応
施設側も継続入居を前提に対応を考えるため、滞納が長期化する前に相談することが、今の生活を守るための最善の策となります。
②費用が安い老人ホームに転居する
現在の施設で支払いが難しい場合は、費用が安い施設へ転居する方法があります。
以下のグラフは【ケアスル 介護 独自調査レポート 2026】より抜粋した予算15万円以下の方の入居先施設種別です。48.7%の方が住宅型有料老人ホームに入居していることが読み取れます。

ただし、安い老人ホームを探したとしても、月額15万円以下で入居できる施設は多くありません。立地や人員体制、居室タイプなどの条件によって費用は大きく異なるためです。
また条件を整理したうえで優先順位を決めることが必要です。
予算内で入居できる施設を探す際は、担当ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談しましょう。
とはいえ、条件に合う安い民間施設や特養の空きを自分たちだけで探すのは大変です。 「なるべく早く予算に合った転居先を見つけたい」という方は、ケアスル 介護にお任せください。
ネットには載っていないリアルな空き状況の確認やご希望に合わせた施設のご提案を無料でサポートいたします。
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③減免制度・助成制度を活用する
介護費用の負担が重い場合は、公的な減免・助成制度を活用することで自己負担額を抑えられます。
介護サービスの自己負担額は、所得区分や利用額によって上限が定められているため、現在の介護度や利用状況でいくらになるのかを確認することが重要です。
▶ 介護サービスの概算料金は、厚生労働省「介護サービス情報公表システム」で確認できます。
高額介護サービス費
1か月の自己負担額が上限を超えた場合、超過分が払い戻される制度です。
上限額は所得区分ごとに定められています。対象は介護保険サービスの自己負担分であり、居住費や食費は原則含まれません。申請は市区町村で行います。
高額医療・高額介護合算療養費制度
医療費と介護費の自己負担を1年間で合算し、基準を超えた分が払い戻される制度です。
医療機関の受診が多い世帯では必ず確認しておきましょう。計算期間は毎年8月から翌年7月までの1年間です。
利用者負担軽減制度
低所得で要件を満たす場合に、利用者負担を軽減する制度です。
社会福祉法人が実施する仕組みであり、すべての施設が対象ではありません。まずは、現在利用している施設が制度に対応しているかどうかを確認してみましょう。
特定入所者介護サービス費
施設入所時の食費・居住費を軽減する制度です。
対象となるのは、次の施設です。
- 特別養護老人ホーム
- 介護老人保健施設
- 介護医療院
所得や預貯金の要件があるため、該当をしているかきちんと確認しておくことが大切です。
医療費控除
1年間の医療費が一定額を超えた場合、確定申告で税負担を軽減できる制度です。
介護サービス費の一部が対象になる場合もあります。即時の月額軽減ではなく、年単位で家計を整える制度です。
自治体独自の助成制度
市区町村によっては、独自の介護助成制度が設けられています。
おむつ代助成や利用料補助などが代表例ですが、内容は地域によって異なるため、相談時に確認をしましょう。詳細は自治体窓口で確認します。
④生活保護の申請
生活保護を受給している場合でも一定の要件を満たせば老人ホームを利用できます。
経済的に支払いが難しい場合は生活保護の申請も検討しましょう。

独自の調査では、ケアスル 介護相談者のうち生活保護を受給している・受給申請予定の方は6.8%です。制度を活用して入居生活を送る方も一定数存在します。

生活保護受給者の受け入れについては、施設種別ごとに受け入れ方針に大きな開きが見られます。民間施設である住宅型有料老人ホームは受け入れ割合が比較的高い傾向です。
特別養護老人ホームなどの公的施設でも生活保護受給者の入居は不可能ではありません。ただし入居条件や空室状況は施設ごとに異なるため事前の確認が必要です。
「どのような施設なら受け入れてもらえるのか」と不安な方は以下の記事もあわせてご確認ください。生活保護の方でも入居できる老人ホームの種類や具体的な探し方を詳しく解説しています。
老人ホームの費用が払えない場合の解決ステップ

老人ホームの費用が払えない場合は、まず相談し、段階的に制度や選択肢を検討します。
費用の問題は突然発生することがありますが、焦って判断する必要はなく、施設やケアマネジャーへの相談をしてから、状況に応じた対応を進めます。
解決までの基本的な流れは次のとおりです。
- 施設・ケアマネジャーに相談する
- 減免制度の活用を検討する
- 現在の資産や収入を整理する
- 費用が安い施設への転居を検討する
- 生活保護の申請を検討する
施設・ケアマネージャーへの相談内容をもとに優先順位を決め、自身の状況に合った方法を選びます。
ご家族だけで状況を整理し、最適な選択肢を見つけるのは大変です。費用についての相談や悩みは少なくないため、一人で抱え込まず、まずは相談することを意識してみてください。
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老人ホームの費用が払えず、強制退去になった場合の解決策
費用が払えず退去することになっても、入れる施設がなくなるわけではありません。
同じ種類の施設でも、条件を絞り込むと月々の負担は下がります。
具体的には、次の7つの選び方があります。
- 入居一時金がゼロの施設を選ぶ
- 相部屋(多床室)のある施設を選ぶ
- 地方・郊外の施設にうつる
- 開設から年数が経過した施設を選ぶ
- 満床率の低い施設に価格交渉をかける
- キャンペーン中の施設を選ぶ
- 広さを抑えた部屋を選ぶ
①入居一時金がゼロの施設を選ぶ
入居時にまとまったお金を用意できない場合は、入居一時金(前払金)がゼロの施設を選びます。
入居一時金は、これから住む期間の家賃を先にまとめて払うお金です。
先に払った分だけ毎月の家賃は下がりますが、支払う総額が減るわけではありません。
つまり入居一時金は「値引き」ではなく「前払い」です。
費用が払えない状況では、数百万円を先に用意することはできません。
一時金がゼロの施設なら、手元にお金がなくても入居できます。
しかも一時金がゼロだと月額が高くなる、というわけでもありません。
一時金を求める施設と求めない施設では、そもそもの家賃の水準が違うためです。
ケアスル 介護の掲載プラン34,943件のうち、一時金が0円のプランは12,508件でした。
全体の35.8%にあたります。
出典:ケアスル 介護 掲載施設データベース(2026年9月25日時点)
3種類とも、一時金が0円のプランのほうが月額も安い結果です。
初期費用と毎月の支払いを、同時に抑えられます。

②相部屋(多床室)のある施設を選ぶ
居室を個室から相部屋(多床室)に変えると、月々の負担は大きく下がります。
ケアスル 介護の掲載プランでは、個室の月額中央値が16.4万円、相部屋が10.6万円です。
差額は月5.8万円になります。
介護保険施設でも同じ傾向があります。
介護保険施設とは、特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院の3種類を指します。
3種類の施設の食費と居住費には、厚生労働省が定める基準費用額(標準的な費用の額)があります。
出典:厚生労働省令和8年8月からの特定入所者介護(予防)サービス費の見直し等に係る周知への協力依頼について
介護老人保健施設と介護医療院の多床室は金額が分かれ、室料を徴収する場合が697円(月2.1万円)、徴収しない場合が437円(月1.3万円)となります。
ユニット型個室と多床室では、居住費だけで月3.5万円の差が生まれます。
※居住費・食費の基準費用額は2026年8月1日時点の金額です。

③地方・郊外の施設にうつる
同じ種類の施設であっても、都市部から地方・郊外へ移ると、月々の負担は大きく下がります。
ケアスル 介護の掲載プラン(個室)を都道府県別に集計しました。

最も高い東京都が25.8万円、最も安い青森県が7.5万円です。
同じ東京都の中でも差があります。
23区が27.8万円、市部・郡部が22.1万円で、都心から郊外へ移るだけで月5.7万円下がります。

④開設から年数が経過した施設を選ぶ
開設から年数が経過した施設は、新しい施設と比較し、費用が下がる傾向があります。
東京都における、介護付き有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅の築年数別の費用を集計しました。

出典:ケアスル 介護 掲載施設データベース(2026年9月25日時点)
どちらの種類でも、築年数が経つほど月額は下がります。
介護付き有料老人ホームは築10年未満と築20年以上で月2.1万円、サ高住は築10年未満と築10〜19年で月2.4万円の差です。
入居一時金の差はさらに大きく、介護付き有料老人ホームでは580万円と460万円になります。
ただし下がり幅は月2万円台です。
①〜③と組み合わせて使う条件と考えてください。

⑤満床率の低い施設に価格交渉をかける
空室を抱えている施設では、費用の相談に応じてもらえる場合があります。
ケアスル 介護が空室情報を把握している施設は15,602件です。
うち満室は7,804件で、残る7,798件には空室があります(2026年9月23日時点)。
・候補の施設に空室があるか、入居相談の窓口で確認する
・入居できる時期に幅を持たせられることを伝える
・減額プランやキャンペーンを実施していないか尋ねる
・担当ケアマネジャーや紹介事業者に間へ入ってもらう
料金は重要事項説明書に記載された内容が基本となります。
値引きに応じるかどうかは施設ごとに異なるため、個別の交渉が必ず通るわけではありません。
⑥キャンペーン中の施設を選ぶ
入居金や月額を一定期間だけ下げる、キャンペーンを実施している施設を選ぶ方法もあります。
2026年9月25日時点で、ケアスル 介護の掲載施設が実施中のキャンペーンは676件です。
629施設が対象になっています。
出典:ケアスル 介護 掲載施設データベース(2026年9月25日時点)
入居金の減額と月額利用料の減額が、内容の中心です。
家賃と管理費を一定期間無料にするキャンペーンもあります。
⑦広さを抑えた部屋を選ぶ
居室の広さを抑えると、同じ施設の種類でも月額は8万円ほど変わります。
ケアスル 介護の掲載プラン(個室)を、広さ別に集計しました。

15㎡未満が13.9万円、25㎡以上が21.9万円で、差は月8.1万円です。
広さを1段階下げるだけでも、毎月の支払いは変わります。
居室で過ごす時間が短い方なら、共用部分の広さを優先する選び方もあります。

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老人ホームの費用が払えない場合のQ&A
老人ホームの費用が払えない場合によくある疑問に簡潔に回答します。
費用の滞納や支払い義務、生活保護の利用可否など、不安に感じやすいポイントを整理しました。
すぐに「強制退去」になってしまう?
すぐに強制退去になることはありません。
多くの施設では、支払いが遅れた場合でも一定の猶予期間が設けられています。数か月の滞納で即退去になるケースはほとんどありません。
まずは入居者本人へ連絡が入り、その後、契約時に定めた身元引受人(連帯保証人)へ請求が行われます。それでも支払いが確認できない場合には、契約解除の予告へと移行するのが通例です。
支払いの見通しが立たない状態が続くと、最終的には退去手続きを避けられない場合もあります。滞納が長期化する前に、施設側へ早急に相談することが大切です。
支払いが滞った場合の具体的な流れや退去条件については、以下の記事で詳しく解説しています。

親が支払っていた場合、「子供」に支払い義務は発生する?
原則として子供が自動的に支払い義務を負うわけではありません。
老人ホームの月額利用料は、契約を結んだ本人が負担する費用だからです。そのため、親が契約者であれば基本的には親自身の資産から支払いが行われます。
しかし、入居時に子供が連帯保証人(身元引受人)になっている場合は話が変わります。。契約内容に基づき、本人の支払いが滞った際には保証人へ請求が届き、対応を求められるためです。
民法上の「扶養義務」についても正しく理解しておく必要があります。この義務はあくまで可能な範囲での援助を指すもので、必ずしも施設費用の全額負担を強いるものではないからです。
最終的には支払い能力や生活状況に照らして判断されるため、一律に「子供が全責任を負う」と決まっているわけではありません。まずは契約書を読み返し、保証人の有無を改めて確認しましょう。
老人ホームの費用が払えなくなった場合、何からすればいいですか?
まずは施設の生活相談員やケアマネジャーへ早めに相談することが最優先です。
支払いが難しくなりそうな段階で相談すれば、分割払いの調整や減免制度の活用、費用を抑えた施設への転居など、具体的な選択肢を整理できます。
滞納してからではなく、見通しが立たなくなった時点で動くことが重要です。
相談後は、次のような流れで検討を進めます。
- 減免制度の対象になるか確認する
- 現在の収入・資産状況を整理する
- 転居や生活保護の可能性を検討する
生活保護を受けても施設に入居できますか?
生活保護を受給していても、条件を満たせば老人ホームへの入居は可能です。
特別養護老人ホーム(特養)などの公的施設はもちろん、生活保護の受け入れを行っている民間施設もあります。
ただし、すべての施設が対応しているわけではなく、受け入れ人数に制限を設けている場合や、介護度によって入居可否が変わるケースもあります。
また、費用についても生活保護の扶助内で収まることが前提となるため、施設選びには一定の条件整理が必要です。福祉課やケアマネジャーと連携しながら探してみてください。
生活保護を受けていても入れる老人ホームの種類や費用、具体的な探し方については、こちらの記事で詳しく解説しています。

老人ホームの費用が払えない場合のまとめ

老人ホームの費用が払えない場合は一人で抱え込まず、早め*ケアスル 介護の「入居相談員」や、お住まいの地域の地域包括支援センターなど、専門の窓口へ相談しましょう。
多くの施設は、すぐに強制退去にはならず、一定の猶予期間が存在します。しかし滞納が続くと、退去を求められてしまいます。 支払いが厳しくなった場合は、本記事で解説した4つの対処法を検討してください。
- 施設のスタッフへ早めに相談する
- 費用が安い別の施設への転居を検討する
- 高額介護サービス費などの減免制度を活用する
- 生活保護の申請を検討する
施設などへの相談は、支払えなくなってからではなく、見通しが立たない段階で動くことがポイントです。
まずは、相談することで払えない状況の打破が始まります。
施設選びでお悩みなら、いつでもケアスル 介護を頼ってください。 ご予算に合わせた施設探しや空き状況の確認など、無料でサポートいたします。