老人ホームへの入居には、入居一時金や月々の生活費など、将来を見据えたまとまった予算の確保が必要です。

【ケアスル 介護 独自調査レポート 2026】によれば、老人ホームの月額費用のイメージとして10~15万円程度であると考えている方が、26.8%と最多となっています。
本記事では、専用のシミュレーターを活用して費用の目安を算出する方法や、実際の請求書に基づいた詳細な内訳を解説します。
あわせて、月額費用のイメージと実情に乖離がないかも解説します。
【自立単身】老人ホームの費用シミュレーション
自立した単身の高齢者が老人ホームに入居する場合、月々の支払いは施設利用料が中心となり、介護保険の自己負担はほとんど発生しません。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、安否確認や生活相談サービスを受けながら、賃貸住宅のように自由に暮らせる住まいです。
自立した単身者向けの費用シミュレーション例は、以下のとおりです。
自立した状態であれば介護サービスの契約が不要なため、施設に支払う基本料金の範囲で毎月の支出を把握しやすい点が特徴です。
【介護が必要】老人ホームの費用シミュレーション
要介護認定を受けている場合、施設利用料に加えて介護保険の自己負担分が上乗せされます。
要介護度が上がるほど月額費用も高くなる傾向があります。
要介護度別の費用シミュレーション例は、以下のとおりです。
- 要介護1:老健で目安8万〜14万円、外部サービス契約の住まいで目安約19万円
- 要介護2:老健の実例で約9.7万円、介護付き有料老人ホームの実例で約14.6万円
- 要介護3:特養で目安4.4万〜15万円、介護付き有料老人ホームで目安23.6万円
- 要介護4:特養で目安4.4万〜15万円、サ高住の実例で約15.9万円
- 要介護5:特養で目安4.4万〜15万円、介護付き有料老人ホームで目安23.6万円
それぞれの内訳を、施設タイプ別に詳しく見ていきましょう。
要介護1の場合①
要介護1で介護老人保健施設(老健)に入居する場合、月額費用の目安は8万〜14万円です。
老健は要介護1から入所でき、在宅復帰に向けたリハビリを中心に行う公的施設です。
月額費用には、食費・居住費・日用品費と、介護保険の自己負担分がまとめて含まれます。
要介護1の場合②
要介護1でサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に入居する場合、施設利用料に加えて訪問介護などの自己負担分が別途かかります。
サ高住は住宅型有料老人ホームと同様に、介護が必要な場合は外部の訪問介護と個別に契約する仕組みです。
実際の利用額は契約したサービス量によって変わるため、上記の自己負担額はあくまで上限の目安です。
要介護2の場合①
要介護2で老健に入居した方の実際の請求書では、月額合計が96,836円でした。
内訳の詳細は、後述の「老人ホーム利用者の実際の請求書」で解説しています。
要介護2の場合②
要介護2で介護付き有料老人ホームに入居した方の実際の請求書では、月額合計が145,870円でした。
介護付き有料老人ホームは介護費用が月額料金に含まれる定額制のため、要介護度が上がっても急な負担増になりにくい仕組みです。
要介護3の場合①
要介護3は、特別養護老人ホーム(特養)が原則の対象となる要介護度です。
特養に入居する場合、入居一時金は原則不要で、月額費用の目安は4.4万〜15万円です。
月額費用には、食費・居住費と介護保険の自己負担分がまとめて含まれます。
要介護3の場合②
要介護3で介護付き有料老人ホームに入居する場合、月額費用の目安は23.6万円です。
介護費用が定額制に含まれるため、要介護3以降も月額費用の変動が小さい傾向があります。
要介護4の場合①
要介護4で特養に入居する場合も、月額費用の目安は4.4万〜15万円です。
重度の要介護状態でも、所得に応じた軽減制度が適用されるため負担を抑えやすい施設です。
要介護4の場合②
要介護4でサ高住に入居した方の実際の請求書では、月額合計が159,382円でした。
外部の訪問介護などを多く利用するほど、介護サービス利用料が増える仕組みです。
要介護5の場合①
要介護5で特養に入居する場合も、月額費用の目安は4.4万〜15万円です。
要介護度が上がっても入居一時金が発生しないため、長期の資金計画を立てやすい施設です。
要介護5の場合②
要介護5で介護付き有料老人ホームに入居する場合も、月額費用の目安は23.6万円です。
24時間体制の介護スタッフが常駐するため、重度の要介護状態でも継続して入居しやすい施設です。
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【夫婦】老人ホームの費用シミュレーション
夫婦で同じ施設に入居する場合、2人部屋を選ぶと1人あたりの負担額を抑えられるケースがあります。
自立の場合と介護が必要な場合に分けて、費用の目安を見ていきましょう。
【自立夫婦】老人ホーム費用シミュレーション
自立した夫婦がそれぞれ個室に入居する場合と、2人部屋に入居する場合とでは、2人部屋のほうが1人あたりの費用を抑えやすくなります。
2人部屋は光熱費や生活支援費が共有される分、割安になる場合があります。
【介護が必要な夫婦】老人ホーム費用シミュレーション
夫婦の一方だけに介護が必要な場合、要介護のある方にだけ介護サービス利用料が上乗せされます。
介護サービス利用料は、実際に利用した訪問介護や通所介護の量によって変動します。
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老人ホーム利用者の実際の請求書
老人ホームの月額費用を正確に把握するには、実際に支払われている請求書の内訳を確認するとよりイメージがしやすくなります。
基本料金以外に発生する医療費や消耗品代といった細かな実費を含めた総額を知ることで、より現実的な資金計画を立てられるためです。
入居後の支払いにギャップを生まないためにも、施設タイプ別の支払い実例を確認していきましょう。
特別養護老人ホーム(特養)の実際の請求書
特別養護老人ホームの実際の請求書に記載された内容は、以下のとおりです。
【要介護2・特別養護老人ホーム(特養)へ入居】

月額約9.4万円の支払いのうち、約6割が食費と居住費によって構成されていることが確認できました。
特別養護老人ホームの費用は所得に応じた軽減制度の適用状況により、食費や居住費の単価が変動する仕組みとなっています。
介護老人保健施設(老健)の実際の請求書
介護老人保健施設の実際の請求書に記載された内容は、以下のとおりです。
【要介護2・介護老人保健施設へ入居】

介護老人保健施設はリハビリ体制が充実しているため、機能訓練に関する各種加算が介護保険分に含まれている点が特徴です。
介護保険料以外に食費や日用品費などの実費が約6.4万円発生しており、総額の約3分の2を占めていることがわかります。
多床室(相部屋)を利用することで居住費を抑えられますが、個室を選択した場合はさらに月額費用が増加する点に留意してください。
介護付き有料老人ホームの実際の請求書
介護付き有料老人ホームの実際の請求書に記載された内容は、以下のとおりです。
【要介護2・介護付き有料老人ホームへ入居】

家賃や管理費などの固定費以外に、おむつ代や受診料などの変動費が約1.2万円発生していることがわかります。
介護付き有料老人ホームは生活全般のサポートが充実している反面、個別の医療費や日用品代は別途自己負担になるケースが一般的です。
月々の固定費だけでなく、生活スタイルに合わせた予備費をあらかじめ資金計画に組み込んでおくことが重要です。
住宅型有料老人ホームの実際の請求書
住宅型有料老人ホームの実際の請求書に記載された内容は、以下のとおりです。
【住宅型有料老人ホームへ入居】

住居費と管理費、食費を合わせた基本料金に加え、理美容代などの個別サービス費用が発生していることがわかります。
住宅型有料老人ホームは、入居者の希望に合わせて外部の介護サービスを別途契約して利用する仕組みが一般的です。
請求書に含まれる施設利用料以外に、訪問介護などの「介護保険自己負担分」が別途必要になる点に注意して資金計画を立ててください。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の実際の請求書
サービス付き高齢者向け住宅の実際の請求書に記載された内容は、以下のとおりです。
【要介護4・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)へ入居】

施設へ支払う基本料金のほかに、外部の介護サービス利用料が約4万円発生していることがわかります。
サービス付き高齢者向け住宅は賃貸住宅と同じ仕組みであるため、介護が必要な場合は別途ケアプランに基づいた自己負担分を支払わなければなりません。
基本の固定費だけでなく、介護保険の自己負担額や医療費を含めた「総額」で月々の予算を組むことが大切です。
グループホームの実際の請求書
グループホームの実際の請求書に記載された内容は、以下のとおりです。
【グループホームへ入居】

グループホームはユニット単位で家庭的な生活を送るため、光熱費や洗濯代などが実費として細かく計上される点が特徴です。
介護保険の自己負担額は約1.7万円にとどまる一方、居室料や管理費などの施設利用料が約19万円を占めていることがわかります。
地域や施設によって家賃設定が異なるため、基本料金に含まれる範囲と別途発生する実費項目を事前によく確認しましょう。
ケアハウスの実際の請求書
ケアハウスの実際の請求書に記載された内容は、以下のとおりです。
【自立・ケアハウスへ入居】

事務費や生活費などの固定的な項目に加え、電気代や設備維持費などが合算されて約8.7万円となっていることがわかります。
ケアハウスは所得に応じて事務費が変動する仕組みであり、民間施設と比較して月々の固定費を抑えられる点が特徴です。
自立した生活を送る中で、食事の欠食による返金制度なども活用しながら、賢く予算を管理できる住まいといえるでしょう。
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【施設別】老人ホームの費用一覧
施設別の老人ホームの初期費用・月額費用は、以下の表のとおりです。
初期費用・月額費用の内訳について、詳しく見ていきましょう。
老人ホームにかかる初期費用
老人ホームの初期費用は、入居時に施設へ支払う費用を指します。表の数値は施設への支払額ですが、実際には入居に伴う実費も別途発生するため、余裕を持った資金計画が必要です。
- 入居一時金(前払い金・敷金):施設を利用するための権利金や、想定居住期間の家賃をあらかじめ支払う費用です。この費用は、将来の家賃負担を軽減する役割や、退去時の居室修繕費に充てられる性質を持っています。
- 入居に伴うその他の実費:施設への支払いとは別に、引っ越し代や不用品の処分費用といった実費が発生します。居室に備え付けがない家具や家電、カーテンなどを新調するための購入費も必要です。
一時金は、早期退去時に未経過分が返還される制度があるかを契約前に必ず確認しましょう。
実費となる引っ越し関連の予算も多めに見積もっておくことが、スムーズな入居につながります。
老人ホームにかかる月額費用
老人ホームの月額費用は、施設へ支払う生活維持費と、介護度に基づき算出される「介護保険の自己負担分」を合計した金額です。
家賃や管理費といった固定費に加え、医療費やおむつ代などの実費も必要になります。
入居後に必要となる主な月額費用の内訳について、項目ごとに解説します。
- 施設利用料:家賃・管理費・食費・光熱水費など、施設で生活を営むための基盤となる費用です。民間施設ではサービスの充実度によって金額が変動しますが、公的施設では所得に応じた減額制度が適用される場合があります。
- 介護サービス自己負担額:ケアプランに基づいて利用した介護サービス料のうち、個人が負担する費用です。所得状況に応じて1割から3割の自己負担が発生し、要介護度が高くなるほど支払額も増加する仕組みです。
- 生活実費:医療費・薬剤費・理美容代・おむつ代・日用品費など、個人の消費に合わせて発生する変動費です。施設への支払いとは別に個別の実費負担となるケースが多いため、予備費として毎月数万円程度の予算を見込んでおく必要があります。
以下に、居宅介護サービス費の支給限度額における自己負担額をまとめました。
施設種別によって介護費が定額制か従量課金制か異なるため、入居前に契約形態を確認する必要があります。
将来の身体状況の変化も見据え、無理なく継続できる計画を立てることが大切です。
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老人ホームの費用をシミュレーション
株式会社野村総合研究所の「高齢者向け住まいの実態調査」によると、老人ホームへの入居には一定の予算が必要です。
入居一時金として平均175万円、月々の生活費として約20万円が目安となっています。
ここまで紹介したパターン別の目安をふまえ、ご自身の条件に近い費用をシミュレーションしてみましょう。
かんたん老人ホーム費用シミュレーション
4つの質問に答えるだけで、あなたの場合の費用目安がわかります
あなたの条件での費用目安
月額費用-
入居一時金-
※本シミュレーションは「年齢」「自立/要介護度」「経済状況」「病状」の4項目から算出した大まかな目安です。算出の基準には本記事内「老人ホームにかかる月額費用」の要介護度別自己負担額表、および「【施設別】老人ホームの費用一覧」表の数値を使用しています。実際の費用は施設の運営形態・地域・居室タイプ・契約内容によって異なるため、正確な金額は個別の施設にご確認ください。
老人ホームの費用についてのQ&A
老人ホームの費用に関するよくある質問について、以下の3つをピックアップして回答していきます。
- 実際にかかる月額費用は事前の説明と差異はあったか?
- 費用を抑えるためにしている工夫は?
- 2人部屋にすると料金は変わる?
実際にかかる月額費用は事前の説明と差異はあったか?

老人ホーム入居後の月額費用は、アンケート回答者の34.0%が「ほとんど変わらなかった」としており、最も多い割合を占めています。
事前に精緻な試算を行うことで、入居後の支払い額を想定の範囲内に抑えることは十分に可能です。
逆に、半数弱の人は事前の説明よりも高くなってしまったと回答しており、施設側の説明をよく聞いていたとしても、実際の費用との乖離が生まれてしまうケースが少なくないようです。
特に「1万〜3万円高くなった」層が21.7%に上り、中には「11万円以上高くなった」という回答もあります。
想定外の出費を防ぐためにも、おむつ代や医療費といった実費項目をあらかじめ余裕を持って予算に組み込んでおきましょう。
費用を抑えるためにしている工夫は?

【ケアスル 介護 独自調査レポート 2026】によれば、「安い地域や施設の選択」が19.3%と最多で、立地や施設種別の検討が費用抑制の手段として認識されていることがわかります。
次いで「公的制度の活用」が18.0%、「日用品の持ち込み」が17.3%で続いており、自身でコントロールできる範囲で費用を抑えている工夫が読み取れます。
費用について不安がある場合は、まずはグラフの上位の工夫をご自身でも実施できないかを検討してみてください。
2人部屋にすると料金は変わる?

2人部屋を選択した場合、個室と比較して月額費用の平均額は高くなりますが、1人あたりの負担額を抑えられるケースがあります。
【ケアスル 介護 独自調査レポート 2026】によれば、介護付き有料老人ホームでは個室の平均が28.6万円に対し、2人部屋は45.7万円と大きな差が生じています。
住宅型やサ高住でも同様の傾向が見られますが、上記はケアスル 介護で対応可能な民間施設のデータに基づいた傾向である点に注意してください。
2名入居は光熱費や生活支援費が共有され割安になる場合もあるため、施設ごとの料金体系を詳細に比較することが賢明です。
まとめ|老人ホーム費用シミュレーション
老人ホームの費用は施設種別や介護度、所得状況で変動するため、シミュレーターや実際の請求書を参考に資金計画を立てることが重要です。
入居後の金銭トラブルを未然に防ぐためにも、初期費用と月額費用についてきちんと確認しておくことが大切です。また、費用負担を減らすためにも公的制度の活用なども視野に入れておくとよいでしょう。
費用は施設によって変動するため、気になる施設がある場合は必ず見積もりをとって比較検討してみてください。