• 親の介護
  • 【公開日】2022-10-05
  • 【更新日】2026-06-08

親の介護費用を生活保護で賄いたい!│2ケース別に条件・手順を徹底解説!

親の介護費用を生活保護で賄いたい!│2ケース別に条件・手順を徹底解説!
ケアスル 介護 ケアアドバイザー部門マネージャー
専門分野:介護施設紹介
職業: 介護施設紹介業
出身組織: 株式会社Speee

私自身母親が介護で苦労していた様子を間近で見ていたため、ご家族の心情に寄り添うことを心がけています。母も祖母を介護施設に入れることに非常に葛藤を抱えていましたが、結果入居した後は母も祖母も穏やかに過ごしていました。こうした自分の経験から介護施設への入居がポジティブに伝わるといいなと思い日々ご家族とお話ししています。詳しくはこちら

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「親の介護費用が払えない」「自分も生活保護を受けており、親の介護費用まで出せない」——介護費用の問題は、生活保護や公的制度を正しく活用することで解決できます。

この記事では、「①親に生活保護を受けさせたい」「②自分が生活保護受給中に親の介護をしたい」という2つのケースに分けて解説します。
申請条件・手続きの流れ・利用できる公的制度を整理しているので、ご自身の状況に合った対処法にお役立てください。

記事の最後には、生活保護以外にも、介護費用を大きく抑えられる公的制度の紹介をしています。

まず確認|あなたはどっちのケース?

親の介護費用の問題を解決する手順は、「親にお金がない」のか「自分もお金がない」のかによってまったく異なります。

まず以下の2つのケースから、自分に当てはまるものを確認してください。

【ケース①】親にお金がなく、親に生活保護を受けさせたい

親の収入・貯金が生活保護の基準を下回っており、介護費用を支払えない状況です。子供自身に収入があっても申請できるケースがあります。

【ケース①に当てはまる方】
親の年金・貯金だけでは介護費用をまかなえない
親に生活保護を受けさせて介護費用を0円にしたい

【ケース②】自分もお金がなく生活保護を受けている

自分自身が生活保護を受給しており、そのうえで親の介護もしなければならない状況です。

【ケース②に当てはまる方】
自分が生活保護受給中で、親の介護をどうすればよいかわからない
介護離職や親との同居を検討している
※ケース②の解説はこちら(ケース②を見る)

【ケース①】親に生活保護を受けさせて介護費用をまかなうには?

生活保護には「介護扶助」という仕組みがあり、要介護認定を受けた生活保護受給者の介護サービス費は、自己負担0円でカバーされます。
ただし、すべての費用が対象になるわけではなく、カバーされる範囲を正確に理解したうえで申請することが必要です。

生活保護の「介護扶助」とは

介護扶助とは、生活保護法に定められた8種類の扶助のひとつで、要介護認定を受けた生活保護受給者が介護サービスを利用する際の費用を公費で全額まかなう制度です。
介護保険の自己負担分(所得に応じて1〜3割。生活保護受給者は原則1割)も含めて、費用の支払いは発生しません。

介護扶助の基本情報

制度の位置づけ 生活保護法に基づく8種類の扶助のひとつ
対象者 生活保護受給者のうち、要介護(要支援)認定を受けた方
自己負担額 0円(介護保険の自己負担分も含めて公費負担)
介護保険との関係 65歳以上(第1号被保険者)は介護保険が優先適用され、残りの自己負担分を介護扶助がカバー。40〜64歳の生活保護受給者の多くは国民健康保険を脱退するため「みなし2号」として介護扶助のみで全額負担。40歳未満は介護扶助のみで全額負担
手続き窓口 親の住所を管轄する福祉事務所(担当ケースワーカーが対応)


40歳以上65歳未満の生活保護受給者のうち、医療保険(健康保険など)に加入している場合は介護保険の第2号被保険者として介護保険が一次適用され、残りの自己負担分を介護扶助がカバーします
ただし、生活保護の受給開始に伴い国民健康保険を脱退するケースが多く、その場合は介護保険が適用されない「みなし2号」として、介護扶助のみで費用全額がまかなわれる仕組みです。
一方、40歳未満の方は介護保険の対象外となるため、介護扶助のみで費用全額がまかなわれます。

いずれの場合も、介護扶助を利用するには要介護(要支援)認定を受けることが前提条件す。

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【介護扶助の前提条件】
生活保護を受給していること(または受給申請と同時に手続き可能)
要介護認定(要支援1〜要介護5)を受けていること
担当のケースワーカーを通じて介護扶助の申請を行うこと

介護扶助でカバーできるサービス一覧

介護扶助では、訪問介護から特別養護老人ホームへの入居まで、介護保険と同等の幅広いサービスをカバーしています。
いずれのサービスも、指定を受けた事業者が提供するものに限られます

介護扶助でカバーできるサービス一覧

訪問系サービス 訪問介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導
通所系サービス 通所介護(デイサービス)、通所リハビリテーション(デイケア)
短期入所サービス 短期入所生活介護・療養

介護・療養介護(ショートステイ)

施設サービス 特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院への入居(介護サービス費のみ)。グループホーム(認知症対応型共同生活介護)なども対象
福祉用具・住宅改修 福祉用具の貸与・購入費、住宅改修費(介護保険と同等の範囲)
ケアプラン作成 居宅介護支援(ケアプランの作成費用)


介護扶助でカバーできるサービスは、原則として介護保険の指定を受けた事業者が提供するものに限られます。
ケアプランの作成も必要で、担当のケースワーカーが調整した介護支援専門員(ケアマネジャー)が担当するケースが多くあります。

施設入居の場合、特別養護老人ホームは一般的に生活保護受給者を受け入れているところが多い一方、民間の有料老人ホームでは受け入れ不可の施設もあるため、事前に確認が必要です。

前北栞里_プロフィール画像
ケアアドバイザー前北
介護扶助で利用できるサービスは介護保険と同等の範囲ですが、ケアプランは生活保護受給者向けに福祉事務所が調整した担当者が作成するケースが多い点を覚えておいてください。利用したいサービスや希望する施設がある場合は、担当のケースワーカーに早めに相談することをおすすめします。
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【施設入居を希望する場合の注意点】
特別養護老人ホームは生活保護受給者の受け入れ実績が多い
民間の有料老人ホームは生活保護受給者を受け入れない施設も多い
入居前に施設側へ生活保護受給者であることを伝え、受け入れ可否を確認する

介護扶助でカバーできないもの

介護扶助は介護サービス費のみを対象とする制度です。
施設に入居した場合の食費・居住費・日常生活費は介護扶助の対象外になりますが、それぞれ別の仕組みで対応することができます。

介護扶助でカバーできない費用と対応する扶助

費用の種類 内容 代わりに使える扶助
食費 施設入居時・在宅時の食事代 生活扶助
居住費(部屋代) 施設の居室利用料 介護保険施設は補足給付(第1段階)/有料老人ホーム等は住宅扶助
日常生活費 理美容代・衣料費・娯楽費など 生活扶助
介護保険対象外の独自サービス 施設独自の特別サービス・有料の付帯サービス 対象外(自己負担)
医療費 病院受診・処方薬代 医療扶助


介護扶助は介護サービス費のみを対象とするため、施設入居時の食費・居住費は別の仕組みで対応されます。
食費は「生活扶助」が充てられる一方、居住費については、特別養護老人ホームなど介護保険施設に入所した場合は住宅扶助が停止され、介護保険の「補足給付(特定入所者介護サービス費)」が優先的に適用されます。

生活保護受給者(第1段階)は居住費の負担限度額(0〜855円/日)が設定されており、実質的な自己負担は最小限に抑えられるのがポイントです。
有料老人ホームなど介護保険施設以外への入居では「住宅扶助」が適用されますが、地域ごとの上限額があるため、室料が上限を超える場合は入居が難しいケースもあります。
事前に福祉事務所のケースワーカーへ相談し、各扶助の適用範囲を確認することが必要です。

 

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ケアアドバイザー前北
食費・居住費は介護扶助の対象外ですが、特養などでは補足給付により、有料老人ホームなどでは生活扶助・住宅扶助との組み合わせにより、実質的な自己負担を大幅に抑えることができます。「介護扶助だけでは足りない」と諦めずに、まず福祉事務所で各扶助の適用可否を確認することが重要です。複数の制度を組み合わせることで、施設入居も現実的な選択肢になります。
介護扶助は、指定を受けた介護事業者のサービスのみが対象です。施設独自の「特別室料」や「特別な食事代」などの上乗せサービスは介護扶助・補足給付いずれの対象にもならず、自己負担が発生します。入居前に費用内訳を必ず確認してください。
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親が生活保護を受けるための条件

親が生活保護を受けるには、「資産要件」と「収入要件」の両方を満たすことが必要です。
生活保護は、換金できる資産や収入を活用してもなお生活できない場合に適用される制度のため、「資産があるから申請できない」と思い込まずに、まず福祉事務所へ相談することが重要です。
例外が認められるケースも少なくありません。

資産要件

生活保護の申請には、預貯金・不動産・自動車など換金できる資産を生活費に充てることが原則として求められます。
ただし、資産の種類によって扱いが異なり、すべての資産が申請の障壁になるわけではありません

資産の種類別の扱い

資産の種類 原則的な扱い 例外・注意点
預貯金・現金 生活保護基準額の概ね半月分程度を超える場合は生活費に充てることが必要(福祉事務所が個別に判断) 少額の預貯金は認められるケースがある
持ち家(居住用) 居住用として利用中の場合は原則保有を容認。ただし処分価値が利用価値に比して著しく大きい場合は売却が求められることがある 高齢者が居住中の場合、住み続けながら申請できるケースがある(要保護者向け不動産担保型生活資金の活用等)
土地・居住用以外の不動産 原則売却して生活費に充てることが必要 活用困難な農地等は例外的に保有が認められる場合がある
自動車 原則処分が必要 通院・通勤で真に必要な場合など、例外的に保有が認められるケースがある
生命保険(解約返戻金あり) 解約して生活費に充てることが求められる 解約返戻金がない掛け捨て保険は、保険料が最低生活費の一定範囲内であるなど条件を満たせば継続が認められるケースがある

資産要件では、現金・預貯金だけでなく不動産・自動車・保険など、換金できる資産すべてが対象になります。
ただし持ち家があるから申請できない」と一概には言えません
居住用の持ち家は原則として保有を容認されており、高齢者が実際に居住している場合、そのまま住み続けながら申請を受理されるケースが多くあります。
評価額が高い場合は要保護者向け不動産担保型生活資金(リバースモーゲージ)の活用が先に求められることもあります。

資産の状況を福祉事務所に正直に申告し、個別の判断を仰ぐことが正しい対応です。

【資産要件で「NG」にならないための確認ポイント】
「資産がある=申請不可」ではない。内容・状況によって例外がある
親が居住している持ち家は、原則として保有が認められるケースが多い
資産の扱いは自治体・福祉事務所によって判断が異なる場合がある

収入要件

年金・仕送り・各種手当などすべての収入を合算した額が、地域・世帯構成に応じて定められた「最低生活費」を下回る場合に、生活保護の受給対象となります
差額分が保護費として支給されます。

収入として計算されるもの・されないもの
収入として計算されるもの 国民年金・厚生年金、障害年金・遺族年金、子供からの仕送り・定期的な援助金、パート・アルバイト収入、雇用保険給付金、各種手当
控除が認められるもの 就労に伴う必要経費(交通費等)、勤労控除(就労収入のうち一定額)
収入と扱われないもの(例) 一時的な贈り物・慶弔費など(継続性がない場合)
受給の判定 収入認定額 < 最低生活費 → 差額分が保護費として支給される


最低生活費は、地域・世帯構成・年齢によって異なります。
例えば東京都23区では、65歳以上の高齢単身世帯の場合、生活保護基準額(生活扶助+住宅扶助の合計)は月約13万円程度が目安とされています(医療費は医療扶助として別途現物給付)。
年金収入がこれを下回る場合、その差額分が保護費として支給される仕組みです。

子供から月々の仕送りを受け取っている場合、その金額も収入として計算されます。仕送りがあっても合計収入が最低生活費を下回る場合は、受給対象となります。

仕送りや援助金は収入として計算されます。
子供が親に「毎月5万円送っているから大丈夫」と思っていても、その金額を合算した収入が最低生活費を下回る場合は受給対象です。
また、仕送りをしていた場合でも、後述の「扶養照会」による扶養義務の判断とは別の問題です。

子供の収入・同居があっても親は生活保護を申請できる?

子供に収入があっても、「世帯分離」を行うことで親だけが生活保護を申請できる場合があります。
生活保護は世帯単位で審査されるため、子供と親が別世帯であれば子供の収入は審査対象外となります。
ただし、申請時に福祉事務所から子供への「扶養照会」が行われるため、その仕組みを事前に理解しておくことが必要です。

扶養照会とは何か

扶養照会とは、生活保護の申請時に福祉事務所が申請者の親族(子供・兄弟など)に「扶養できるか」を確認する書面照会のことです。
扶養を強制する法的手段は限定的で、断っても親の申請が却下される理由にはなりません。

扶養照会の概要
照会が来る相手 原則として3親等以内の親族(子供・孫・兄弟姉妹など)
照会の方法 福祉事務所からの書面(郵送)
回答後の扱い 「扶養できない」と回答しても、親の生活保護申請が却下される理由にはならない
2021年以降の変化 厚生労働省の通知により、長期疎遠・DV等の事情がある場合は照会を控える方向に見直された

扶養照会は、2021年の厚生労働省通知により照会の範囲が見直され、長期間疎遠の親族やDVなど困難な事情がある場合は照会を控えるよう変更されました。
「扶養照会が嫌だから申請を諦める」必要はありません
子供が回答書に「扶養困難」と記載しても、親の申請が却下される理由にはなりません。
申請前に担当のケースワーカーに照会先についての意向を伝えることも可能です。

【扶養照会が来たときの対応】
「扶養できない理由」を書面に記載して返送する
経済的な余裕がない場合は「扶養困難」と記載して構わない
照会への回答と親の申請の可否は別の問題。回答次第で申請が却下されるわけではない

扶養義務の範囲と断れるケース

民法877条第1項により「直系血族と兄弟姉妹は互いに扶養する義務がある」と定められていますが、扶養義務は自分の生活水準を維持したうえで余裕がある場合にのみ発生するものです。

以下のいずれかに該当する場合は、扶養を断ることができます。

【扶養を断れる主なケース】
自分の収入が少なく、扶養する経済的余裕がない(自分も生活保護受給中など)
長期間(概ね10年以上)音信不通・疎遠である
過去に親から虐待・DV・ハラスメントを受けた経緯がある
精神的に大きな負担があり、関係が著しく悪化している

扶養義務は「生活保持義務」(配偶者・未成年の子に対する強い義務)と「生活扶助義務」(成人の親族に対する緩やかな義務)の2種類に分かれます。
親への扶養義務は「生活扶助義務」にあたり、自分の生活水準を維持したうえで余裕がある場合のみ求められるものです。
「断れるか」というよりも、「経済的余裕がなければ断って構わない」と理解することが正確です。

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扶養義務を断っても、親の生活保護申請への直接的な影響は原則としてありません。「子供が断ったから受給できない」という運用は法律上認められていません。

世帯分離とは何か

世帯分離とは、同じ住所に住んでいても住民票上の世帯を別々に分けることです。
生活保護の審査は世帯単位で行われるため、世帯分離後は親のみの収入・資産を基準に審査が行われます。

【世帯分離の主な効果】
子供の収入・資産が親の生活保護審査の対象から外れる
介護保険の自己負担割合が下がる可能性がある(非課税世帯になる場合)
食費・居住費の負担軽減(補足給付)を受けられる可能性がある
手続きは市区町村の役所窓口で無料でできる

世帯分離は同居していても可能ですが、生活保護上の認定には「生計が別々であるという実態」が求められます。
食費・生活費を別々に管理している、家賃相当額を親が自分の口座から支払っているなど、生活の独立性が認められる状況であることが条件になります。

申請前に福祉事務所に相談し、世帯の実態について確認を取ることが確実な対応です。

世帯分離で親だけ申請できるケース

子供が同居していても、世帯分離と生計の独立が認められれば、親のみの収入・資産で生活保護の審査が行われます。
以下に代表的なケースを示します。

世帯分離で親だけ申請できるケース例
状況 条件 申請の可否
子供が正社員で収入あり・同居 家計は別々で管理。親の年金収入のみでは生活できない 世帯分離後に申請可能なケースあり
同一マンションの別室に子供が在住 住民票が元々別世帯になっている 元々別世帯のため申請可能
子供が生活保護を受給中 子供自身に扶養する経済的余力がない 扶養照会で「扶養不能」と回答可能

世帯分離後も子供と同じ屋根の下に住み続けることは問題ありません
重要なのは「生計が別々であること」です。
食費・生活費を別々に管理している、親が自分の口座から家賃相当額を支出しているなど、独立した生活実態が求められます。
申請前に福祉事務所の担当ケースワーカーに状況を説明し、世帯の実態を確認してもらうことが確実な方法です。

世帯分離の手続き方法

世帯分離は住民票のある市区町村の役所で手続きします。
書類の準備は少なく、基本的に即日完了です
生活保護の申請は、世帯分離の手続き完了後に別途行う必要があります。

世帯分離の手続き方法
Step 1:窓口 住民票のある市区町村の役所(住民課・市民課・住民登録窓口)
Step 2:必要書類 届出人の本人確認書類(マイナンバーカード・運転免許証など)、世帯変更届(窓口で入手可能)
Step 3:費用・時間 手続き費用は無料。当日中に完了(住民票への反映は数日後)
Step 4:届出人 同居する世帯員(子供・親のどちらでも可)
Step 5:完了後 住民票を取得して別世帯になっていることを確認してから、生活保護の申請を行う

世帯分離の手続き自体は非常にシンプルで、役所の窓口に本人確認書類を持参し、世帯変更届を記入するだけで完了します。
手続き費用はかかりません
注意が必要なのは、世帯分離だけでは生活保護の申請は始まらない点です。

世帯分離完了後に、別途、親の住所を管轄する福祉事務所へ生活保護の申請を行う必要があります。

【世帯分離〜生活保護申請の順序】
役所窓口で世帯変更届を提出して世帯分離を完了させる
住民票を取得して別世帯であることを確認する
親の住所を管轄する福祉事務所で生活保護を申請する
世帯分離と生活保護申請は窓口が別(役所と福祉事務所)
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親の生活保護申請手続きの流れ

生活保護の申請は、親の住所を管轄する福祉事務所の窓口で行います。
申請から受給開始まで原則14日以内(最長30日)で審査が完了し、受給決定後は申請日に遡って支給される流れです。

よくある却下理由を事前に把握したうえで申請することで、手続きをスムーズに進めることができます。

申請窓口(福祉事務所)と持ち物

申請窓口は親の住所を管轄する「福祉事務所」です。
市区町村の役所内に設置されていることが多く、事前に電話で相談の予約を取ることが推奨されます。
書類が完全に揃っていなくても申請は受け付けられ、後から提出することも認められています。

申請時の持参書類一覧
本人確認書類 マイナンバーカード、運転免許証、健康保険証など
収入証明書類 年金証書・年金振込通知書、給与明細(就労中の場合)
資産関係書類 預貯金通帳(すべての口座)、生命保険証書、不動産の登記事項証明書(不動産がある場合)
居住関係書類 賃貸借契約書(賃貸の場合)、住民票(必要に応じて)
その他 印鑑、自動車検査証(車がある場合)、介護保険証(交付済みの場合)

事前に電話で相談の予約を取ると、必要書類を具体的に案内してもらえます。窓口で申請を断られた場合は、「申請させてください」と明確に意思表示することが重要です。
書類が完全でなくても申請は受け付けられるため、「書類が揃っていないから」と申請を遅らせる必要はありません。

受給決定後は申請日まで遡って支給されるため、早めに申請することが経済的に有利です。

【申請前の準備チェック】
世帯分離が必要な場合は先に役所で手続きを完了させておく
事前に福祉事務所へ電話相談して必要書類を確認する
書類が一部揃っていなくても申請は可能。後日提出でも受け付けられる

申請から受給開始までの期間

申請から受給決定まで、原則として14日以内に結果が通知されます。
ただし、調査に時間がかかる場合は最長30日まで延長されることも覚えておきましょう。
受給が決定した場合、保護費は申請日に遡って支給されます。

申請から受給開始までの流れ
Step 1:申請 福祉事務所の窓口で申請書を提出。申請日が支給の起算日になる
Step 2:調査 担当ケースワーカーによる家庭訪問・収入調査・資産調査・扶養照会が並行して実施される
Step 3:審査 収集した情報をもとに保護の要否・保護費の額を決定する
Step 4:決定通知 原則14日以内(最長30日以内)に「保護決定通知書」または「却下通知書」が届く
Step 5:受給開始 決定後、申請日に遡って保護費が支給される。介護扶助は福祉事務所が指定する介護事業者への直接支払い

審査期間中は担当ケースワーカーが親の自宅を訪問し、生活実態を確認します。
収入・資産調査や扶養照会も並行して実施されます。
受給決定後は申請日に遡って支給されるため、条件が揃い次第、できる限り早めに申請することが重要です。

よくある却下理由と対策

却下の主な理由は「資産超過」「収入超過」「扶養可能と判断された」「書類の不備」の4つです。
いずれも事前対策が可能で、却下された場合も状況の変化があれば再申請できます。

よくある却下理由と対策
却下理由 内容 対策
資産超過 預貯金や不動産が基準を超えている 資産を処分・活用してから再申請する
収入超過 年金等の収入が最低生活費を超えている 各種控除の適用を確認し、収入認定額を再計算してもらう
扶養可能と判断 子供が扶養できると判断された 扶養困難の理由を書面で詳しく説明し、審査請求(不服申立て)を行う
書類の不備 必要書類が揃っていない・記載が不正確 事前に福祉事務所に相談して必要書類を確認する

却下された場合でも、状況の変化(資産の処分・収入の減少など)があれば再申請が可能です。
また、却下通知を受け取ってから3か月以内であれば「審査請求」(不服申立て)を行うことができます。

申請手続きが不安な場合は、生活保護の支援を行うNPO・弁護士・司法書士に相談することも有効な手段です。
無料相談窓口を利用することもできます。

福祉事務所の窓口で「申請できない」「書類が揃ってから来てください」と言われた場合でも、申請を断る行為は法律上認められていません。
「申請書を受け取ってください」と伝えるか、支援団体・弁護士に相談することを検討してください。

【ケース②】自分が生活保護を受けながら親の介護をするには?

自分が生活保護を受給しながら親の介護をすることは可能です。
ただし、介護を理由に仕事を辞める「介護離職」や親を自宅に引き取る場合は、事前にケースワーカーへ相談し、状況変化を届け出ることが必須です。

無断で状況が変わると不正受給とみなされるリスクがあります。

自分が生活保護受給中でも親の介護を成り立たせるには

自分が生活保護を受給している場合、親の介護費用を自分が負担する必要はありません。
親自身も生活保護(介護扶助)を申請することで、親の介護サービス費は公費でまかなわれます。
自分の生活保護と親の生活保護は、それぞれ独立した申請です。

【費用面で成り立たせるための基本の流れ】
親の住所地の市区町村で要介護認定を申請する
親の住所を管轄する福祉事務所に生活保護(介護扶助)を申請する
介護扶助が認定されれば、親の介護サービス費は自己負担0円になる
自分の生活保護は別途維持したまま、親の介護に関わることができる

親の生活保護申請にあたって必要な条件(資産・収入要件、世帯分離など)はケース①(解説はこちら)と同様です。
自分が生活保護を受給していることは、親の申請の妨げになりません
むしろ「扶養照会」が来た際に「扶養困難」と回答できる正当な理由になります。

【ケース②で押さえておくこと】
自分の生活保護と親の生活保護は別々の申請。自分が費用を出す必要はない
親の介護保険サービスを使うには、親自身の要介護認定が必要
親を自宅に引き取る場合は世帯構成が変わるため、事前にケースワーカーに届け出る

自分が生活保護中に介護離職した場合の注意点

生活保護の受給条件には「稼働能力の活用」があり、就労できる状態であれば働くことが求められます。
介護を理由に仕事を辞める場合は、事前にケースワーカーへ相談し、介護が必要な状況であることを書面で示すことが必要です。

介護離職時の主な変化と対応
変化の内容 影響 必要な対応
就労収入がなくなる 最低生活費との差額が増え、支給額が増額される可能性がある 収入の変化をケースワーカーに届け出る
稼働能力の評価が変わる 就労可能と評価されていた場合、介護を理由とした離職の妥当性が問われる 主治医・ケアマネジャーの意見書で介護の必要性を証明する
親を同居させる場合 世帯構成が変わり、支給額が再計算される 同居前に福祉事務所に相談し、世帯分離の要否を確認する
介護状況が改善した場合 親が施設入居するなど介護負担が軽減した場合 就労に向けた活動の再開をケースワーカーと相談する

介護離職が認められるかどうかは、親の要介護度・在宅介護の必要性・代替介護者の有無などによって判断されます。
ケースワーカーへの事前相談と、主治医・介護支援専門員(ケアマネジャー)の意見書を準備することが有効です。

また、介護状況が改善した場合(親が施設に入居するなど)は、就労に向けた活動の再開が求められることになります。

仕事を辞めてから事後報告するのではなく、必ず離職前にケースワーカーへ相談してください。無断で就労状況が変わると、受給内容の見直しや最悪の場合は不正受給とみなされるリスクがあります。

生活保護以外で親の介護費用を抑える公的制度

生活保護の申請を検討するほど介護費用に困っている場合でも、まずは生活保護以外の公的制度で費用を抑えられないかを確認することが重要です。
高額介護サービス費・補足給付など、低収入の方が特に恩恵を受けられる制度が複数あります。
これらを組み合わせることで、生活保護の申請前に費用の問題を解決できるケースもあります。

介護保険の負担軽減制度

介護保険サービスの自己負担額が月額の限度額を超えた場合、超えた分が払い戻される「高額介護サービス費」が利用できます。
住民税非課税世帯では月額15,000円〜24,600円が上限となり、低収入の方ほど負担が小さくなる仕組みです。

高額介護サービス費の月額自己負担限度額(目安)

対象者の区分 月額限度額 適用範囲
生活保護受給者・住民税非課税(低所得) 15,000円 個人単位
住民税非課税世帯(一般) 24,600円 世帯単位
住民税課税世帯(一般) 44,400円 世帯単位
現役並み所得者(2021年8月改正で3段階化) 44,400円〜140,100円 世帯単位

高額介護サービス費は、自動的に払い戻されるわけではなく、市区町村への申請が必要です。
初回のみ申請すれば、翌月以降は自動的に対象月に振り込まれる仕組みになっています。
世帯分離を行うことで住民税非課税世帯に該当するようになった場合、適用区分が変わり負担が大幅に下がることがあります。

世帯分離と高額介護サービス費の申請を組み合わせることが、費用軽減に有効です。

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【高額介護サービス費を申請する際の確認事項】
申請窓口は親の住所地の市区町村の介護保険担当窓口
同じ世帯内に複数の介護サービス利用者がいる場合は、合算して限度額を超えた分が払い戻される
世帯分離後に区分が変わる場合は、変更後に改めて申請が必要

特定入所者介護サービス費

特別養護老人ホームなどの施設に入居する場合、低収入・低資産の方を対象に食費・居住費を軽減する「特定入所者介護サービス費(補足給付)」が利用できます。
第1段階では食費の月額上限が約9,000円(300円×30日)。
居住費は部屋の種類によって異なり、多床室(相部屋)は0円、ユニット型個室では月額約24,600円程度となります。

補足給付の認定段階と負担限度額(目安)

段階 対象者 食費(日額目安) 居住費(日額目安)
第1段階 生活保護受給者・老齢福祉年金受給者 約300円 0円〜820円(多床室は0円)
第2段階 住民税非課税世帯(年金収入80万円以下等) 約390円 約370円〜820円
第3段階 住民税非課税世帯(第2段階以外) 約650円〜1,360円 約370円〜820円
第4段階 住民税課税世帯 制度対象外 制度対象外

補足給付を受けるには「負担限度額認定証」の交付申請が必要です。申請窓口は親の住所地の市区町村の介護保険担当窓口です。
認定を受けると、施設に提示するだけで自動的に軽減後の金額が適用されます。

2021年の制度改正により、認定段階ごとに預貯金の上限額が設定されました(第1段階:単身1,000万円以下、第2段階:650万円以下、第3段階:500〜550万円以下等)。
これを超える場合は対象外となるため、資産状況の確認が必要です。

【補足給付の申請に必要なもの(目安)】
介護保険被保険者証
本人・配偶者の預貯金通帳(すべての口座)
マイナンバーカードまたは通知カード
申請窓口:親の住所地の市区町村の介護保険担当窓口

自治体の生活困窮者支援・緊急小口資金

介護費用が一時的に不足する場合や生活全般が困窮している場合は、自治体の生活困窮者支援制度や緊急小口資金の活用も選択肢のひとつです。
生活保護の申請に至る前に、これらの制度を相談窓口に問い合わせることが有効です。

【生活保護以外で使える支援制度一覧】
①生活困窮者自立支援制度:家計相談・就労支援・住居確保給付金などを提供。市区町村の相談窓口が対応
②緊急小口資金(社会福祉協議会):急な出費や収入減に対応する短期の貸付制度
③社会福祉法人による利用者負担軽減:介護サービス費の自己負担を原則1/4軽減。対象施設に直接確認
④自治体独自の助成制度:市区町村によって給付内容が異なる。自治体の窓口へ問い合わせる

緊急小口資金や生活困窮者自立支援制度は、生活保護を申請する前の「つなぎ」として活用できる場合があります。
これらを利用しながら状況が改善しない場合は、生活保護の申請に進むことが適切な選択肢です。

制度の利用可否や手続き方法は、地域包括支援センターや市区町村の相談窓口で確認することができます。

まとめ|生活保護によって、親の介護を成り立たせるためのステップ

「費用が払えない」と諦める前に、まず相談窓口に問い合わせることが最短ルートです。
自分のケースに合った手順を確認してください。

ケース別│やることリスト

【ケース①:親に生活保護を受けさせたい】
親の資産・収入が生活保護基準を下回るか確認する
同一世帯の場合は役所で世帯分離を行う
福祉事務所に相談・申請する
扶養照会が届いたら「扶養困難」の理由を書面で回答する
受給決定後、高額介護サービス費・補足給付も合わせて申請する
【ケース②:自分が生活保護受給中に親の介護をする】
ケースワーカーに親の介護をすることを報告・相談する
介護離職・親との同居は、必ず事前にケースワーカーへ相談する
親の介護保険サービスを使うには、親自身の要介護認定申請を行う

相談先一覧

【主な相談窓口】
・福祉事務所:生活保護の申請・相談(市区町村役場内)
・地域包括支援センター:介護全般・要介護認定の案内(最初の相談先として最適)
・介護保険担当窓口:高額介護サービス費・補足給付の申請(市区町村役場内)
・社会福祉協議会:緊急小口資金・生活困窮者支援
・法テラス(0120-078374):申請却下時の審査請求・申請同行支援(無料)
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