• 親の介護
  • 【公開日】2023-02-17
  • 【更新日】2023-03-28

親の介護費用は誰が出す?家族で話し合うべき内容や役立つ制度を解説

親の介護費用は誰が出す?家族で話し合うべき内容や役立つ制度を解説

介護で悩ましいのがお金の問題です。これから介護がはじまる方は、どれくらい費用が必要か不安になっているのではないでしょうか。

この記事では、親の介護費用の平均額、介護費用は誰が出すべきなのか、兄妹間で決めておくべき内容、費用を軽減する制度を紹介します。

本記事が、お金の問題を解決するきっかけになるでしょう。親の介護費用でお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。

シニアライフ・コンサルタント
所有資格:福祉住環境コーディネーター、宅地建物取引士
専門分野:介護全般
職業: 介護全般をテーマに、フリーでセミナー講師、ライター、コメンテーター等

これまで、高齢者住宅の入居相談アドバイザーとして約20,000件以上の高齢者の住まい選びについての相談を受け、日経BP社より共著にて「これで失敗しない!有料老人ホーム賢い選び方」を出版。 また、医療・介護・福祉業界に特化した人材紹介会社にて、介護士や看護師、リハビリ職などの転職支援キャリアアドバイザーにも従事。 利用者・家族・介護従事者の視点を持ち合わせ、「高齢者住宅の選び方」「介護と仕事の両立」など介護全般をテーマとしたセミナーの講師をする傍ら、テレビ・新聞・雑誌などでコメンテーターとして活躍。詳しくはこちら

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親の介護費用は誰が払うのか?

親の介護費用は、親の資産でまかなうのが基本です。またそれが難しい場合でも、兄妹の中で誰かひとりが無理をして負担する必要もありません。

理由を詳しく見ていきましょう。

親の介護費用は親のお金で負担するのが基本

高齢者世帯は、老後のために一定金額以上を貯蓄しているケースが多いです。

「2019年国民生活基礎調査」によると、高齢者世帯で「貯蓄がある」と回答したのは80.1%で、70代以上の平均貯蓄額は1,233万円となっています。

一方で生命保険会社の調査では、親と離れて暮らしている男女の76.8%が​​「自分の両親が老後の介護費用を目的に対策を行っているか知らない」とするデータがあります。

多くの家庭では親の貯蓄状況を把握していません。ご自身が知らないだけで、親が介護費用や老後のために貯蓄している可能性は高いです。

親に貯金や資産がある場合は、まずはそのお金を介護費用に回しましょう。子どもも自分の生活を守り、自身の老後のために蓄える必要があるからです。各家庭の事情にもよりますが、親に貯金があるのに子どもが介護費用を負担する必要はありません。

介護費用は、親の資産・貯蓄から負担するのが基本といえるでしょう。

介護費用が不足する場合は話し合いが必要

親の介護負担・扶養について、法律上では民法877条で「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養する義務がある」と規定されています。

つまり、兄妹全員に親を扶養する義務があるといえます。

介護費用については親の自己資金でまかないながら、不足分や主な介護方針などは、親や兄妹で話し合いながら進めていきましょう。

予算内で施設を選びたい方は、ケアスル介護で検索してはいかがでしょうか。ケアスル介護では全国約5万件の施設情報を掲載しており、条件に合った施設が見つかります。

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親の介護費用はどれくらいかかるのか?

「生命保険に関する全国実態調査」によると月にかかる親の介護費用は8.3万円で、平均の介護期間は約5年1ヶ月、総額は580万円とされています。

また同調査では、介護度別にかかる平均介護費用も算出しています。

介護度 月ごとの介護費用
要支援1 4.1万円
要支援2 7.2万円
要介護1 5.3万円
要介護2 6.6万円
要介護3 9.2万円
要介護4 9.7万円
要介護5 10.6万円

上記は、介護度別に見る介護にかかる平均費用であり、「在宅で介護するか」「施設入所するか」でも費用が異なります。そちらも詳しく見ていきましょう。

参照:生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」/2021(令和3)年度

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在宅のケース

在宅介護を行う場合の平均介護費用は月4.8万円です。この介護費用の内訳は下記の通りです。

  • 介護サービス費
  • 医療費
  • おむつなどの雑費

「家計経済研究所」より、介護度別に詳細な金額が出ているのでそちらも確認しておきましょう。

介護度 介護にかかる月の平均費用
要介護1 3.4万円
要介護2 4.4万円
要介護3 6万円
要介護4 5.9万円
要介護5 7.4万円

また初期費用として、住宅改修や介護用ベッドの購入費がかかるケースがあり、平均額は74万円とされています。

参照:家計経済研究所​ 在宅介護にかかる費用

施設のケース

施設の平均月額は、12.2万円です。施設の種類によっては、「入居一時金」と呼ばれる、賃貸でいう「敷金」がかかるケースもあります。

施設の種類ごとに平均額をまとめました。

施設別 平均入居一時金 月額費用
特養(特別養護老人ホーム) なし ​​多床室:​​90,360円
ユニット:127,320円
老健(介護老人保健施設) なし 多床室:79,740円
ユニット:128,760円
ケアハウス 506,800円 115,576円
​​介護付き有料老人ホーム 7,930,604円 299,388円
サ高住(サービス付き高齢者向き住宅) 529,039円 180,460円
​​グループホーム 95,055円 126,687円

特養、老健は入居一時金などの初期費用はありません。また、月額費用も安い傾向にあり、それに比べると有料老人ホームは費用が高いと言えます。また同じ種類でも、施設により金額は異なります。

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親の介護費用について話し合う5つの手順

介護費用の平均額が分かったところで、「介護費用の負担について話し合う手順」をみておきましょう。お金の問題は生活に直結するため、コツを押さえておかないと兄妹間で揉める原因になります。

要点は下記の5点です。

  1. 親の資産状況を理解する
  2. 介護する場所を決める
  3. キーパーソンを決める
  4. 介護費用の分担を決める
  5. 資産は誰が管理するか決める

それぞれ見ていきましょう。

1.親の資産状況を理解する

最初は、親の資産状況を把握しましょう。

資産とは、一般的に下記を指します。

  • 保有している銀行口座
  • 具体的な収入(年金、不動産収入など)
  • 株式などの投資有価証券
  • 生命保険の契約有無
  • 所有不動産
  • 負債の状況

親にお金について聞きにくい場合は「エンディングノート」の利用を検討しましょう。エンディングノートとは、人生の振り返りや自分の資産・死後についてを記載するノートです。遺書とは異なり、法的な効力はありません。

認知症や病気により会話できなくなった時のため、「資産状況」「緊急時の医療的な方針について」など、事前に重要な事柄の記載をお願いしておくのもよいでしょう。一緒に話し合いながら記入していくことをお勧めします。親の気持ちをより深く理解することができるでしょう。

2.介護する場所を決める

次に大切なのが「介護方針」です。中でも「どこで介護を受けるか」によって、今後の介護方針が大きく変わります。

  • 自宅で過ごしたいのか
  • 施設で暮らすか
  • 子どもと同居したいか
  • 誰と同居するか

親が誰と同居するかで家族間での介護の役割や、介護費用も大きく変わるでしょう。親の意向と子どものそれぞれの状況を話し合い、すり合わせが大切です。

3.キーパーソンを決める

キーパーソンとは、「主な介護者」を指します。

役割として、介護サービス利用時に介護を担う中心人物として、緊急時の連絡やサービスの相談先・医療的な判断を担う重要なポジションです。

連絡が取りやすいよう、同居の家族や本人の近くに住む人物を立てるのが理想です。なお、キーパーソンがすべての介護費用を出すということではありません

4.介護費用の分担を決める

介護費用の負担は親の貯蓄から出すのが基本ですが、足りない部分は費用を分担して負担します。費用に関する取り決めは、事前に家族間で決めておきましょう。

費用に関する取り決め例は、下記のとおりです。

  • 不足分の費用を均等に割る
  • 同居する家族は負担が大きいのでお金は出さない
  • 介護サービス費は〇〇が出す/生活費は〇〇が出す

あとでトラブルにならないように、最初の段階で具体的なパーセンテージや金額まで話し合っておきましょう。

5.資産は誰が管理するか決める

親が認知症や寝たきりとなった時に備えて、介護がはじまる段階で「親の資産管理」についても話し合っておきましょう。

家族内で決められない場合は、成年後見人制度を利用するのもいいでしょう。成年後見人制度とは、認知症や障害により​​判断能力が不十分となった方の財産を法的に保護する制度です。財産管理に不安があるときに第三者が監督できます。

もし「予算内で納得のいく介護施設を探したい」という方は、ケアスル介護で相談してみることがおすすめです。ケアスル介護では入居相談員が感や施設ごとに実施するサービス、立地情報などをしっかりと把握した上で、ご本人様に最適な施設をご紹介しています。

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親の介護費用を抑えるために役立つ制度6選

介護期間によっては、前述した平均額よりも費用がかかる可能性があります。ここからは、介護費用を抑えるために活用すべき制度を紹介していきます。

どれも「知らないと損をする」ものなので、内容を確認しながら当てはまるものは利用してください。

  • 医療費控除
  • 高額療養費制度
  • 高額介護(予防)サービス費
  • 高額介護合算療養費制度
  • 特定入所者介護サービス費
  • 自治体の助成制度

それぞれ見ていきましょう。

1.医療費控除

医療費控除は、1月〜12月までに支払った医療費が一定額を超えると、自己負担額10万円を上限に還付される制度です。

対象となる「医療費」の例は下記の通りです。

  • 病院での診療費・治療費
  • 入院費、医師等の送迎
  • 入院の際の部屋代や食事代の費用
  • 医師の処方箋をもとに購入した医薬品の費用
  • 医療器具の購入費用
  • 通院に必要な交通費
  • 介護保険の対象となる一部の介護費用

申請時期は​​​​2月16日〜3月15日で、専用書類を記載し確定申告書類と一緒に​​所轄税務署へ提出します。

参照:国税庁 医療費控除の対象となる医療費

2.高額療養費制度

高額療養費制度は、医療機関、薬局の窓口で支払った額が一定の上限額を超えた場合に払い戻される制度です。

対象となるのは「保険適用される診療に対して患者が支払った自己負担額」です。自由診療や、入院中の食費などは対象とならないので注意しましょう。

対象となる費用 対象とならない費用
  • 点滴の投与
  • 内服薬の処方
  • CT、レントゲンなどの検査
  • 医師による診察
  • ​​入院中の食費
  • 入院中のベッド代
  • 入院にかかる雑費
  • レーシックやインプラントなどの自由診療

なお、金額は1日から末日で計算され、所得によって負担限度額が異なります。

詳細は下記の通りです。

適用区分 負担上限額(世帯ごと)
年収約1,160万円~ 252,600円+(医療費-842,000)×1%
年収約770万円~約1,160万円 167,400円+(医療費-558,000)×1%
年収約370万円~約770万円 80,100円+(医療費-267,000)×1%
年収156万~約370万円 57,600円
Ⅱ住民税非課税世帯 24,600円
Ⅰ住民税非課税世帯(年金収入80万円以下等) 15,000円

なお、表は70歳以上を対象にした例です。

参照:厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ

3.高額介護(予防)サービス費

高額介護サービス費とは、介護保険の利用時に自己負担額の合計が限度額を超えた場合に、超えた分の金額が戻ってくる制度です

月の負担限度額は下記の通りとなっています。

適用区分 負担上限額
年収1160万円以上 140,100円(世帯)
年収770万円〜年収1160万円 93,000円(世帯)
年収770万円未満 44,400円(世帯)
世帯の全員が市町村民税非課税 24,600円(世帯)
  • 世帯の全員が市町村民税非課税
  • 前年の公的年金等収入金額+そのほかの合計所得が金額が80万円以下
24,600円(世帯)

15,000円(個人)

生活保護受給者 15,000円(世帯)

対象者は、要介護(要支援)認定を受けて、介護保険を利用している方です。

なお、介護サービスの中にも対象にならないものもあるので注意しましょう。

  • 特定福祉用具購入や住宅改修にかかる負担
  • 施設における居住費(短期入所の場合は滞在費)および食費
  • 理美容代などの日常生活に要する実費

上記は高額介護サービス制度の対象外の一例です。

参照:厚生労働省 高額介護サービス費について

4.高額介護合算療養費制度

高額療養費制度や高額介護(予防)サービス費を利用しても年間を通して、高額になるケースがあります。そういった場合は、高額医療・高額介護合算療養費制度を利用しましょう。

高額介護合算容量費制度とは、1年間(毎年8月1日〜翌年7月31日)の「医療保険」と「介護保険」における自己負担の合算額が高額になる場合に、負担を軽減する仕組みです。

年齢や所得に応じて、自己負担の上限金額が変わります。

適用区分 70歳以上
年収1160万円以上 ​​212万円
年収770万円〜年収1160万円 141万円
年収370〜年収770万円 67万円
年収156万~370万円 56万円
世帯の全員が市町村民税非課税 31万円
世帯の全員が市町村民税非課税

(所得が一定以下)

19万円

一部、対象とならない費用もあります。

  • 入所施設における居住費
  • 福祉用具の購入費・住宅改修費
  • 介護保険の支給限度額を超えた自己負担費
  • 入所施設と医療機関における食費や差額ベッド費

上記は自己負担となりますので、注意しましょう。

参照:健康長寿ネット ​​介護保険の高額介護合算療養費制度とは

5.特定入所者介護サービス費

特定入所者介護サービス費とは、住民税非課税世帯の人が、介護保険施設やショートステイなどの利用時に、居住費、食費などの負担限度額を超えた支払い分の支給が得られる制度です。

対象となるサービスは以下の通りです。

  •  介護老人福祉施設(特養)
  •  介護老人保健施設
  •  介護療養型医療施設
  •  介護医療院
  •  地域密着型介護老人福祉施設
  •  短期入所生活介護
  •  短期入所療養介護(ショートステイ)

「特定入所者介護サービス費」の給付を受けるには、住まいのある市区町村に申請し、負担限度額認定証を交付してもらう必要があります

詳細は下記の通りです。

利用負担段階 預貯金等の資産の状況 居住費(日) 食費(日)
ユニット型個室 ユニット型多床室 従来個室
(特養など)
従来個室
(老健など)
多床室 ショートステイ 施設
第1段階 生活保護等を受給している方 単身:1000万円以下

夫婦:2000万円以下

 

820円 490円 320円 490円 0円 300円
第2段階 世帯全員が住民税非課税で

年金収入等(※)が80万円以下の方

単身:650万円以下

夫婦:1650万円以下

420円 370円 600円 390円
第3段階1 世帯全員が住民税非課税で

年金収入等が 80万円超120万円以下の方

単身:550万円以下

夫婦:1550万円以下

1,310円 1,310円 820円 1,310円 370円 1,000円 650円
第3段階2 世帯全員が住民税非課税で

年金収入等が 120万円超の方

単身:500万円以下

夫婦:1500万円以下

1,300円 1,360円

参照:「特定入所者介護サービス費(補足給付)」介護サービス情報公表システム 厚生労働省

6.自治体の助成制度

自治体により、介護をする世帯や介護者を支援する制度もあります。

例えば大阪府では「家族介護支援事業」として、「高齢者を介護する家族」を対象に申請に基づき介護用品と交換できる給付券(1か月あたり6,500円)を交付しています。

自治体ごとに名称や内容が異なりますので、市のホームページなどで確認しましょう。

親の介護費用をひとりで負う義務はない

介護費用は親の資産から捻出するのが基本で、不足分を兄妹の中から誰かひとりが負担する必要はありません。兄妹間で話し合いながら、介護の役割や、費用の負担に関して分配を決めましょう。

なお「介護費用に困っている」「今後は施設も検討したい」方は、ケアスル介護におまかせください。約5万件の施設情報を掲載しており、​​​​入居相談員にその場で条件に合った施設を教えてもらえます。

「自分で探すことができない」「介護施設が多すぎて困っている場合」は、まずは気軽にご相談ください。

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親の介護を家族の中でメインになって担当していますが、自分の貯金だけでは費用が足りません。

親の介護費用は、親の貯金や年金から賄うのが基本です。まずは親の資産を把握し、足りない分を兄弟で分担する形をとるとよいでしょう。一人で背負う必要はありません。詳しくはこちらをご覧ください。

介護費用を少しでもおさえたいけど、なにかよい方法はある?

1年間でかかった医療費や介護費用が一定額を超える場合、医療費控除や高額療養費制度などを利用できる可能性があります。また自治体によっては、助成制度を設けている場合もあります。親のケースで各制度が利用できるのか、一度担当窓口に問い合わせてみるとよいでしょう。詳しくはこちらをご覧ください。

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