• 親の介護
  • 【公開日】2023-01-18
  • 【更新日】2023-07-18

親の介護で家族からお金をもらうのは普通?家族で話し合うポイントや申請でもらえる補助金についても詳しく解説

親の介護で家族からお金をもらうのは普通?家族で話し合うポイントや申請でもらえる補助金についても詳しく解説

高齢化社会が進む昨今では、在宅で親の介護をしているという方も少なくありません。

日ごろから介護を行う方にとっては自分の時間が取れなかったり、介助によって体に負荷が掛かったりと、負担となることも多いでしょう。

なおかつ他に頼りにできる兄弟はいなかったり、兄弟はいるけど遠方に住んでいて物理的に自分が介護を行うしかないという方もいらっしゃいます。

そんなときに「介護をしている報酬として、親本人や家族からお金をもらっても良いのでは?」と思う方も少なくないのではでしょうか。

そこで今回は、親の介護に関して家族からお金をもらうのは普通なのか、介護でお金をもらう注意点はあるのか、そのほか自治体による介護の補助金制度についてまで詳しく解説していきます。

関連記事
【完全版】親の介護で知っておきたいポイントは?介護に義務にあるのか、兄弟との付き合い方まで詳しく解説
【完全版】親の介護で知っておきたいポイントは?介護に義務にあるのか、兄弟との付き合い方まで詳しく解説
在宅介護エキスパート協会 代表
所有資格:AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士,社会福祉士,宅地建物取引士
専門分野:在宅介護,老後資金,介護施設全般
職業: 社会福祉士,宅地建物取引士,ファイナンシャルプランナー

NEC 関連会社(現職)でフルタイム勤務の中、10 年以上に渡り遠距離・在宅介護を担う。両親の介護をきっかけに社会福祉士、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーなど福祉に直接的・間接的に関係する資格を取得。その経験や知識を多くの方に役立てていただけるよう「在宅介護エキスパート協会」を設立、代表を務める。詳しくはこちら

5問の質問でわかる!
ピッタリの施設を提案します
STEP
step1
1
step2
2
step3
3
step4
4

親の介護で家族からお金をもらうのは普通?

親の介護をほとんど子が1人で引き受けている場合は、本人もしくは他の兄弟からお金をもらうことは普通であると言えます。

そもそも介護は自分の時間が取れないなどの精神的な負担や、介助での身体的な負担、サービスの利用などで経済的な負担などのさまざまな負担が掛かるものです。

「自分の親なのだから…」「近くに住んでいるのだから…」と言って「無償で親の介護をするのは当たり前」と思っている方も一定数いるものですが、このような片寄った考えを鵜呑みにする必要はありません。

もちろん実際に日常生活で介護に要する時間と労力にもよりますが、介護は本来介護士やケアマネジャーなどの専門職が存在する立派な仕事です。

たとえ親であっても自分の時間や体力を削って捧げている介護に対して、お金をもらうことは何らおかしくはないのです。

したがって、親の介護をほとんど子が1人で引き受けている場合は、本人もしくは他の兄弟からお金をもらうことは普通であると言えるでしょう。

ここからは介護が必要な親本人からお金をもらう場合と、ほかの兄弟からお金をもらう場合について解説して行きます。

親からお金をもらうケース

親の介護の報酬としてお金をもらう場合、親本人からもらうケースは多いです。

日常生活の世話をしてくれる子供への感謝の気持ちとして、定期的にいくらかのお金を渡すことがあるようです。

金額については家庭状況や親本人の貯金や年金収入によって変わりますが、介護の報酬として親本人からお金をもらっている家庭は存在することを覚えておきましょう。

また余談ですが、一般的に親の介護にかかる費用は親本人の資産から捻出するものです。

高齢者のなかには「子が介護費用を払うのは当たり前」「自分だってそうしてきたから」と主張する方もいますが、このような言い分も鵜呑みにする必要はありません。

実際親からお金をもらえるかは家庭状況次第ですが、間違っても「無料で親の介護をするのは当たり前」なのではなく、本来であれば子は感謝されるべき行いをしているのです。

関連記事
【体験談あり】親の介護を私ばかりしている… 兄弟と分担するためにはどうすればいい?
【体験談あり】親の介護を私ばかりしている… 兄弟と分担するためにはどうすればいい?

ほかの兄弟などからお金をもらう

親の介護の報酬としてお金をもらう場合、ほかの兄弟からもらうケースも多いです。

というのもほかの兄弟がいる場合は分担して親の介護を行うのが一般的ですが、仕事の都合などで遠方に住んでおり、物理的に介護ができないということがあります。

そのため「介護が手伝えないなら、ほかの部分で援助を」という思いのもと、ほかの兄弟からお金をもらう場合があるのです。

このように兄弟間でしっかりと話し合い、親の介護において納得のいく役割分担ができていることは非常に理想的であると言えます。

一般的には親の介護は、兄弟間で不公平を感じトラブルに発展することもあるため、前もってしっかりと相談しておくことが大切と言えるでしょう。

「遠方に住んでいるから…」「子供の世話があって忙しい…」「私は長男・長女じゃないから…」といって、親の介護を誰か1人に丸投げしてよい理由にはならないのです。

関連記事
「親の介護を兄弟が手伝わない…」不公平を感じた時の対処法や実際の体験談まで詳しく解説
「親の介護を兄弟が手伝わない…」不公平を感じた時の対処法や実際の体験談まで詳しく解説
5問の質問でわかる!
ピッタリの施設を提案します
STEP
step1
1
step2
2
step3
3
step4
4

親の介護で家族からお金をもらう際に話し合うポイント

ここまでは「介護の報酬としてお金をもらうことは普通か」について解説してきました。

本章では家族から介護の報酬としてお金をもらえるとして、金額などについて家族とどうやって話し合えばよいのかについて解説します。

介護に要する時間や労力を具体的に説明する

親の介護でお金をもらうポイントとして何より大切なのは、日ごろの介護にどれくらいの時間や労力がかかるのかを具体的に説明することです。

介護をしたことがない人は実際の大変さが分からず「ここまで育ててもらった親からお金を貰おうとするなんて…」などと言われることもあります。

しかし実際のところ介護で夜中に何度も起こされたり、認知症が進行していると暴言を吐かれたり、介助をしようにも抵抗されることもあったりと負担は想像を絶するものです。

したがって現状で負担が集中しているのであれば、自分がどれだけの時間を介護に割かなければならないか、主にどんなことで精神的にまいってしまうのかを具体的に伝えましょう。

それに応じて周りの兄弟や家族はおのずと「何かしらの援助をしなければ」と思うようになりますし、場合によっては金銭的な援助という形になることがあります。

前述のとおり具体的にもらえる金額は話し合いで決めるしかありませんが、あまりに軽い援助しか受けられそうにない場合は異議を唱えることも大切でしょう。

親の経済状況を把握・管理できるようにする

親の介護でお金をもらうポイントとして2つ目は、親の経済状況を確認しておくことです。

というのも仮に親が認知症を発症したことが銀行にわかると、親の口座が凍結され、お金を引き出すことが困難になってしまうためです。

親から感謝の気持ちとしてお金をもらうにしても具体的なタイミングを設けているわけではなく、「気づいたときに一定のお金をもらっている」という方もいます。

しかし認知症が進行してしまったり、寝たきりになって意思疎通が難しくなってしまった場合は、それ以降の金銭を受け取りたくても受け取ることが難しくなります。

したがって、親の経済状況や資産は前もって把握・管理できるようにしておきましょう。

  • 貯金額
  • 収入
  • ローン
  • 通帳や印鑑などの保管場所

貯金や資産にまつわる話はシビアで、話すきっかけやタイミングが難しいものでしょう。

しかし認知症状がでた後では確認が難しいこともあります。「親に安心の老後を過ごしてもらうため」と少しずつ本人・家族と話を進めることが大切です。

兄弟間の役割分担を整理する

親の介護でお金をもらうポイントとして3つ目は、兄弟間の役割分担を整理することです。

というのも、ほかの兄弟が全く介護をしておらず自分ばかりに負担が掛かっている場合、家族から報酬としてお金をもらっても筋が通るためです。

「物理的に距離が遠いから」「金銭的に余裕がないから」「自分は長男ではないから」と兄弟の言い分はさまざまですが、本来親の介護の負担は兄弟で分担する必要があります。

一般的に「役割も責任もなく、何もしていない」という人がいることは望ましくないのです。

遠距離に住んでいるが仕事をフルタイムで行っている兄弟に対しては経済的援助を求めたり、金銭的な余裕がない兄弟には家に顔を出して介助を手伝ってもらいましょう。

また、高齢者の介護は急な入院などイレギュラーな事態が起こることも多いです。緊急時の対応についても話しておき、慢性的に誰かの負担が増えることも予防しておくことが大切です。

親の介護でお金をもらうポイントとして3つ目は、兄弟間の役割分担を整理することが挙げられます。

5問の質問でわかる!
ピッタリの施設を提案します
STEP
step1
1
step2
2
step3
3
step4
4

親の介護でお金をもらう場合の注意点

本章では親の介護でお金をもらう場合の注意点を紹介します。

思わぬ家族間や法律的なトラブルを避けるため、以下の要点を押さえておきましょう。

  • 認知症の親のお金を勝手に引き出すのは違法
  • 親からもらったお金で相続の際に揉める可能性がある

それぞれについて詳しく解説して行きます。

認知症の親のお金を勝手に引き出すのは違法

親の介護でお金をもらう場合の注意点として、認知症の親のお金を勝手に引き出すのは違法となるため覚えておきましょう。

というのも認知症の方は法律的には「判断意思能力がない」とされているため、たとえ子供であっても自分が報酬として受け取る目的で勝手にお金の出し入れを行うことはNGなのです。

また最近では銀行でも本人確認がシビアになってきており、「定期預金の解約」「大きな金額の引き出し」の際にも本人確認を求められることがあります。

一般的な金額であれば、キャッシュカードなどでお金をおろせてしまいますが、このように違法とされていることを行った場合、罪に問われることがあるほか相続トラブルの原因となります。

親の認知症の進行が危ぶまれる場合は、「成年後見制度」などを利用して前もって財産を管理することが大切です。

以上のことから、認知症の親のお金を勝手に引き出すことは違法であると覚えておきましょう。

親からもらったお金で相続の際に揉める可能性がある

親の介護でお金をもらう場合の注意点として、親からもらったお金が原因で相続の際に揉める可能性があることが挙げられます。

相続に関して兄弟間のトラブルは非常に多く「認知症の親を言いくるめてお金をもらったのではないか」「勝手に貯金を使い込んだのではないか」と難癖をつけられることさえあります。

そのようなトラブルを未然に防ぐためにも、介護に関わるお金の支出や感謝の気持ちとしてもらったお金については情報をオープンにしておくことが大切です。

例えば親の生活や介護に必要な領収書を記録に残しておいたり、感謝の気持ちとして定期的にお金をもらうようになったのならば経緯を家族などに共有しておくなどが有効でしょう。

悲しいことですが、相続の時に初めてお金を受け取っていた実態が分かると、他の兄弟は不審に思うことも少なくありません。

したがって、親の介護でお金をもらう場合の注意点として、親からもらったお金が原因で相続の際に揉める可能性が挙げられます。

申請すれば親の介護でもらえるお金

ここまでは親の介護をすることによって、家族からお金をもらうことについて解説してきました。

本章では、介護を行う人向けに国や自治体が行っている補助制度を解説していきます。

金銭的な負担の軽減につながる可能性がありますので、ぜひ参考にしてください。

  • 介護保険の住宅改修費
  • 介護休業給付金
  • 家族介護慰労

介護保険の住宅改修費

介護保険では自宅のバリアフリー化を行う方を対象に、「住宅改修費」として最大20万円の補助金を給付しています。

金銭的な補助を受けながら、手すりの取り付けや段差の解消、扉を引き戸に取り換えるなどの工事を行うことができ、介護への負担を軽減できるでしょう。

また、この「住宅改修費」は介護保険が適用される限度である区分支給限度額には含まれません。

つまり毎月の区分支給限度額をオーバーすることを気にすることなく、自宅のバリアフリー化を行うことができるのです。

補助金を受けるには、工事の前にお住いの自治体で「住宅改修費」の申請が必要なため、ケアマネジャーに相談または窓口を訪ねてみましょう。

また工事の金額が20万円を超えた場合は自己負担となることや、補助金の支給は要介護者1人につき1度きりとなるため、注意が必要です。ただし、工事が少額で済んだ場合など、上限20万円に達するまでは複数回利用できます。

介護休業給付金

介護休業給付金とは、親などの介護によって十分に働くことが難しくなって休業する場合、休業期間中も給料の67%を保障される制度のことです。

対象家族(※)の介護のために2週間以上休まなければならないときに取得可能で、最大家族1人につき93日まで取得が認められています。

※対象家族の範囲

配偶者(事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)

父母(養父母を含む)

子(養子を含む)

配偶者の父母(養父母を含む)

祖父母

兄弟姉妹

また介護休業給付金は、仕事と家庭の両立が目的であるため休業期間が終わると職場に復帰することができます。

一定の手当を受け取りながら、しばらくの間仕事への不安を気にせずに親の介護に専念できることは大きなメリットとなるでしょう。

介護休業給付金を受給するには、介護休業修了翌日から2カ月後の月末までに:必要書類を勤務先、あるいはハローワークへ提出することが必要です。

申請を忘れた場合も2年以内は遡って申請することが可能なため、活用を検討する方はよく覚えておきましょう。

家族介護慰労金

家族介護慰労金とは、介護サービスを利用せずに在宅介護をしている方に対して、年間10万円ほどを支給する制度のことです。

「介護が必要になってもできる限り家族だけで介護をしたい」「本人がよその人が苦手で介護サービスが利用できない」という人には適していると言えます。

しかし、支給されるには住民税非課税世帯であることや、本人が要介護4もしくは5の認定を受けているといった条件を満たすことが必要です。

設定されている支給条件が厳しいほか、一般的に介護保険適用で介護サービスを利用したほうが費用対効果が高いとされているため、「家族介護慰労金を受けるために介護サービスは利用しない」といった判断はおすすめしません。

家族介護慰労金の支給要件は自治体によって異なる場合がありますが、主に以下のようなものが挙げられます。

  • 1年を通じて要介護4または要介護5と認定されている方
  • 要介護認定を受けてから1年間介護保険のサービスを利用していない方(年間1週間程度のショートステイ利用を除く)
  • 高齢者、介護者ともに住民税非課税世帯の方
  • 高齢者と同居、もしくは同居に近い状態で介護をしている方

あくまで何らかの事情で、「介護サービスを利用したくてもできない」といった世帯のための制度であることを理解しておきましょう。

またもし老人ホーム・介護施設をお探しの場合は、ケアスル介護でケアスル介護への相談がおすすめです。

ケアスル介護では全国で約5万もの施設から、入居相談員がご本人様にぴったりの介護施設を紹介しています。

「幅広い選択肢から納得のいく施設を探したい」という方は、まずは無料相談をご利用ください。

5問の質問でわかる!
ピッタリの施設を提案します
STEP
step1
1
step2
2
step3
3
step4
4

まとめ

親の介護をほとんど子が1人で引き受けている場合は、本人もしくは他の兄弟からお金をもらうことは普通であると言えます。

そもそも介護は自分の時間が取れないなどの精神的な負担や、介助での身体的な負担、サービスの利用などで経済的な負担などのさまざまな負担が掛かるものです。

「自分の親なのだから…」「近くに住んでいるのだから…」と言って「無償で親の介護をするのは当たり前」と思っている方も一定数いるものですが、そのような片寄った考えを鵜呑みにする必要はありません。

たとえ親であっても自分の時間や体力を削って捧げている介護に対して、お金をもらうことは何らおかしくはないのです。

家族との話し合いは必要ですが、親本人から感謝の気持ちとしてお金をもらったり、遠くに住んでおり物理的に介護ができない兄弟からの経済的援助としてお金をもらうケースも存在します。

そのほか親の介護によってお金をもらったり親の資産を管理することがある場合は、相続の際に兄弟間で揉めないためにも領収証などでお金の支出を記録しておいたりすることが大切だと言えます。

親の介護で家族からお金をもらうのは普通?

親の介護をほとんど子が1人で引き受けている場合は、本人もしくは他の兄弟からお金をもらうことは普通であると言えます。そもそも介護は自分の時間が取れないなどの精神的な負担や、介助での身体的な負担、サービスの利用などで経済的な負担などのさまざまな負担が掛かるものです。「自分の親なのだから…」「近くに住んでいるのだから…」と言って「無償で親の介護をするのは当たり前」と思っている方も一定数いるものですが、このような片寄った考えを鵜呑みにする必要はありません。詳しくはこちらをご覧ください。

親の介護でお金を貰える制度はある?

①介護保険の住宅改修費 ②介護休業給付金 ③家族介護慰労金などが挙げられます。詳しくはこちらをご覧ください。

5問の質問でわかる!ピッタリの施設をご提案
プロに施設を提案してもらう