• 親の介護
  • 【公開日】2023-01-18
  • 【更新日】2026-10-19

親の介護でお金をもらうのはあり?妥当な金額の目安と注意点を解説

親の介護でお金をもらうのはあり?妥当な金額の目安と注意点を解説
この記事でわかること
Q1. 親の介護でお金をもらうのは問題ありませんか?

A. 問題ありません。民法第877条の扶養義務は生活を経済的に支える義務で、子が無償で介護労働を提供する義務ではありません。介護を担った子が対価を受け取ることを禁じる条文は、民法にも他の法律にも置かれていません。▶ 該当箇所へ移動する

Q2. 親の介護でお金をもらってよい理由は何ですか?

A. 理由は3つです。同居の主な介護者の15.8%が「ほとんど終日」を費やす重い労働であること、同じ内容をプロに頼めば身体介護1回387単位(約3,870円)の有償であること、負担の偏りが家族関係を壊しやすいことです。▶ 該当箇所へ移動する

Q3. 一人っ子でも兄弟がいても対価をもらえますか?

A. もらえます。2025年国民生活基礎調査では「ほとんど終日」介護している人の28.9%が子でした。一人っ子なら担い手はほかにおらず、兄弟がいても実際に手を動かしている人に対価がつくのは自然な考え方です。▶ 該当箇所へ移動する

Q4. 親の介護でもらうお金はいくらが妥当ですか?

A. 立て替えた実費が下限、外部委託した月額が上限です。上限は通院送迎だけなら月約2万円、週2回の家事で約1万8,000円、週4回の身体介助込みで約6万2,000円、同居で終日なら約39万円です。▶ 該当箇所へ移動する

Q5. 金額の根拠はどう示せばよいですか?

A. 介護保険の公定価格が根拠になります。身体介護30分以上1時間未満が387単位(約3,870円)、生活援助45分以上が220単位(約2,200円)、通院等乗降介助が片道97単位(約970円)です。▶ 該当箇所へ移動する

Q6. 自分がもらう金額はどう決めればよいですか?

A. 3ステップで決めます。担った介護を回数と時間で書き出し、単価表で月額に換算し、親の年金から無理なく出せる額まで下げます。老齢基礎年金の満額は月7万608円で、年金額が渡せる金額の天井になります。▶ 該当箇所へ移動する

Q7. 親の介護の日当や時給の目安はいくらですか?

A. 時給は身体介護の387単位から約3,900円、家事だけなら2,790〜3,190円が目安です。日当は1日6時間で1,305単位(約1万3,000円)。夜間・早朝は25%増、深夜は50%増で計算します。▶ 該当箇所へ移動する

Q8. 親の介護でお金をもらうと贈与税はかかりますか?

A. 生活費として必要な都度直接充てる分にはかかりません。ただし受け取ったお金を預金したり株式や不動産の購入資金に充てると課税されます。暦年課税の基礎控除は年110万円です。▶ 該当箇所へ移動する

Q9. 親の預貯金から引き出して受け取ってもよいですか?

A. 必ず親の同意を得てください。刑法第244条により直系血族間の窃盗は刑が免除されますが、無断で引き出した分には民事上の返還義務が生じ、相続では使途不明金として争いになります。▶ 該当箇所へ移動する

Q10. 相続トラブルを防ぐには何を残せばよいですか?

A. レシートと領収書、受け取った金額と日付の出納メモ、担った介護の内容と時間、家族と合意した内容の4つを残します。記録は民法第904条の2の寄与分を主張する証拠にもなります。▶ 該当箇所へ移動する

親の通院に付き添い、買い物や掃除を引き受けていると、ガソリン代や立て替えた日用品費が積み重なります。

実費を返してもらうだけでよいのか、介護という労働の分も対価として受け取ってよいのかで迷う人は少なくありません。

結論として、実費も労働の対価も、親から受け取ることに法律上の問題はありません。

この記事では、担っている介護が月いくらに換算できるのかを早見表で示し、金額の決め方と受け取るときの注意点まで説明します。

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ケアスル 介護 ケアアドバイザー部門マネージャー
専門分野:介護施設紹介
職業: 介護施設紹介業
出身組織: 株式会社Speee

私自身母親が介護で苦労していた様子を間近で見ていたため、ご家族の心情に寄り添うことを心がけています。母も祖母を介護施設に入れることに非常に葛藤を抱えていましたが、結果入居した後は母も祖母も穏やかに過ごしていました。こうした自分の経験から介護施設への入居がポジティブに伝わるといいなと思い日々ご家族とお話ししています。詳しくはこちら。

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親の介護でお金をもらうのは問題ない

親の介護をしてお金を受け取ることは、法律でも道義でも認められています。

理由は以下の3つです。

  • 民法に、介護を担った子が対価を受け取ることを禁じる規定がない
  • 同じ介護をプロに頼めば有償であり、家族がやる場合だけ無償になる根拠がない
  • 主に介護を担っている人に負担が偏ったまま放置するほうが、家族関係を壊しやすい

実際、介護保険では食事や排泄の介助に1回あたり387単位(約3,870円)という公定価格がついています。

結論:法的にも道義的にも問題ない

親子のあいだにあるのは扶養義務です。

民法第877条第1項は「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と定めています。

ここでいう扶養は、生活を経済的に支える義務です。

子が無償で介護労働を提供しなければならない、という意味ではありません。

親の介護を担った子がその対価を受け取ることを禁じる条文は、民法にも他の法律にも置かれていません。

国税庁も、扶養義務者どうしが生活費をやり取りすることを前提に非課税の取り扱いを設けています。

やり取り自体が制度上想定されている、ということです。

もらってよい3つの理由

「法律上は問題ない」と言われても、気持ちの面で引っかかる人は少なくありません。

受け取ってよい理由を、負担の実態から3つに整理します。

【親の介護でお金をもらってよい3つの理由】
・介護は時間と労力を大きく奪う労働で、同居の主な介護者の15.8%が「ほとんど終日」を費やしている
・同じ内容をプロに頼めば有償で、身体介護は1回387単位(約3,870円)の公定価格がついている
・負担とお金の偏りを放置するほうが、あとから家族間の不満や相続トラブルにつながりやすい

1つめは、介護が実際に重い労働だという事実です。

厚生労働省の2025(令和7)年国民生活基礎調査によると、要介護度が上がるほど介護時間は長くなります。

要介護度別|同居の主な介護者が「ほとんど終日」介護している割合
要介護度ほとんど終日必要なときに手をかす程度
要介護110.6%57.7%
要介護215.1%49.1%
要介護329.5%26.3%
要介護448.5%15.1%
要介護554.2%11.2%
総数15.8%49.3%

出典:厚生労働省「2025(令和7)年国民生活基礎調査の概況」図27をもとに作成

2つめは、同じ仕事に値段がついているという事実です。

介護保険では身体介護30分以上1時間未満が387単位、生活援助45分以上が220単位と決められています。

プロがやれば有償の作業を、家族がやったときだけ0円と評価する理由はありません。

3つめは、偏りを放置するリスクです。

出ていくお金を1人が抱えたままにすると、あとから不満や相続の争いに発展しやすくなります。

兄弟間の不公平感については、以下の記事で詳しく解説しています。

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主に介護を担うなら対価は自然

介護は、家族のなかの誰か1人に集中しやすい仕事です。

2025年国民生活基礎調査では、「ほとんど終日」介護している人の28.9%が要介護者の子でした。

配偶者が64.6%で最も多く、次に多いのが子という構造です。

つまり、親を終日介護している子が全国に一定数いる、という前提で制度も統計もできあがっています。

一人っ子であれば、担い手はほかにいません。

兄弟がいる場合でも、実際に手を動かしているのが自分なら、その労力に対価がつくのは自然な考え方です。

誰がどれだけ費用を負担するかという分担の話や、一人っ子で介護を抱えている場合の考え方は、以下の記事で整理しています。

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親の介護でもらうお金はいくらが妥当?目安と決め方

介護の対価には、公的に定められた相場がありません。

そこでこの記事では、「同じ介護を外部に頼んだらいくらか」を計算根拠に金額を決めます。

具体的には以下の順で進めます。

  • 担っている介護の内容と回数から、外部委託した場合の月額を早見表で確認する
  • 換算のもとになる介護保険と家事代行の実際の料金を押さえる
  • 立て替えた実費を下限、換算額を上限として、親の家計に収まる額に調整する
  • 単発の送迎や泊まり込みは、日当・時給の考え方で単価を出す

週4回・1回45分の身体介護を担っている場合、外部委託すると月およそ6万2,000円になります。

【早見表】介護内容・頻度別の金額目安

下の早見表は、介護保険の訪問介護の公定価格と家事代行の料金をもとに、担っている介護を月額へ換算したものです。

実費だけを返してもらうなら下限、労働の分まで対価として受け取るなら上限に近づきます。

実際の金額は、その幅のなかで親の家計に合わせて決めます。

介護内容・頻度別|受け取る金額の下限と上限の目安
担っている介護月あたりの目安下限=立て替えている実費上限=外部委託した月額
通院の送迎と付き添いだけ月2回・1回3時間ガソリン代・駐車場代・高速代約2万円
買い物・掃除・洗濯などの家事週2回・月8回立て替えた食費・日用品費約1万8,000円
家事に加えて食事・排泄の介助週4回・1回45分上記+おむつ代などの介護用品費約6万2,000円
同居してほぼ終日の介護1日6時間×30日上記+光熱費の増加分約39万円

上限額の内訳は次のとおりです。

通院の送迎は、通院等乗降介助97単位の往復分に、付き添い3時間分を家事代行の時間単価で足しています。

家事は生活援助45分以上の220単位、食事や排泄の介助は身体介護30分以上1時間未満の387単位で換算しました。

終日の介護は、身体介護1時間以上1時間30分未満の567単位に30分ごと82単位を加える計算で、1日6時間なら1,305単位です。

終日の介護をすべて外注すると月39万円規模になります。

親の年金だけで払える額ではないため、実際には親の家計に収まる範囲へ落とし込みます。

早見表の上限額は「同じ介護を外部に頼んだ場合の価格」であり、家族が受け取るべき金額として公的に定められたものではありません。実際の金額は親の資産や収入、他の家族の状況によって変わるため、担当のケアマネジャーにも家計の状況を共有したうえで決めてください。

根拠はプロに頼んだ場合の料金

早見表の換算に使った単価をまとめます。

介護保険のサービスには国が決めた公定価格があり、保険を使わない家事代行にも各社の公表料金があります。

介護を外部に頼んだ場合の料金(全額)
頼む内容サービス区分料金
食事・排泄・入浴の介助訪問介護「身体介護」30分以上1時間未満387単位=約3,870円/回
短時間の身体介助訪問介護「身体介護」20分以上30分未満244単位=約2,440円/回
買い物・調理・掃除・洗濯訪問介護「生活援助」45分以上220単位=約2,200円/回
通院の乗り降りの介助訪問介護「通院等乗降介助」97単位=約970円/片道1回
掃除・洗濯(保険外)家事代行 CaSy お掃除代行・定期2,790〜3,190円/時+交通費880円/回
掃除・片付け・買い物(保険外)ダスキン メリーメイド 家事おてつだい・定期2時間8,800〜1万1,000円/回

出典:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」、CaSy公式サイト、ダスキン メリーメイド公式サイト(いずれも2026年9月確認)

単位数に地域ごとの単価を掛けたものが実際の料金です。

訪問介護の1単位は10円が基本で、都市部では最大11.40円まで上がります。

ここで押さえておきたいのは、上の金額が1割負担後の自己負担額ではなく、サービスの全額だという点です。

利用者が窓口で払うのは1割から3割ですが、残りは介護保険から事業者へ支払われます。

つまり387円ではなく3,870円が、その介護の社会的な値段ということになります。

訪問介護の料金の詳しい仕組みは、以下の記事で解説しています。

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自分の金額を決める3ステップ

早見表はあくまで平均的なケースです。

自分の場合の金額は、次の3ステップで出します。

【自分がもらう金額を決める3ステップ】
・ステップ1:直近1か月に担った介護を、内容と回数と所要時間で書き出す
・ステップ2:書き出した内容を前項の単価表に当てはめ、月額に換算する
・ステップ3:親の年金と預貯金から無理なく出せる額まで下げ、実費との幅で決める

ステップ1では、感覚ではなく事実を並べます。

「通院の送迎が月2回」「買い物が週2回で1回1時間」のように、回数と時間を数字で書き出してください。

ステップ2は単価を掛けるだけの作業です。

食事や排泄の介助が入るなら身体介護の387単位、家事だけなら生活援助の220単位を使います。

ステップ3が、実際の金額を決める工程です。

親の年金月額が、渡せる金額の天井になります。

厚生労働省の「令和8年度の年金額改定について」によると、老齢基礎年金の満額は1人分で月7万608円です。

厚生年金の加入期間が20年以上ある男性の平均は月17万6,793円、女性の平均は月13万4,640円でした。

親の年金から、親自身の生活費と医療費、介護保険サービスの自己負担を引いた残りが原資になります。

換算額をそのまま請求できる家庭は多くありません。

日当・時給で決める場合の考え方

毎月定額ではなく、単発の送迎や泊まり込みごとに受け取る方法もあります。

この場合は時給と日当に換算して単価を決めると、根拠を示しやすくなります。

時給の目安は、身体介護30分以上1時間未満の387単位から約3,900円です。

家事だけなら家事代行の定期料金にならって1時間2,790〜3,190円が目安になります。

日当は、身体介護の時間区分を積み上げて計算します。

1時間以上1時間30分未満が567単位で、以降は30分ごとに82単位が加わる仕組みです。

この計算で1日6時間なら1,305単位、金額にして約1万3,000円が上限の目安になります。

泊まり込みで夜間の対応がある場合、介護報酬では夜間・早朝が25%増、深夜が50%増と設定されています。

単発の通院送迎だけなら、乗り降りの介助が片道970円、往復で約1,940円です。

往復1,940円に付き添い時間分とガソリン代などの実費を足した額が、1回あたりの目安になります。

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親の介護でお金をもらうときの注意点

金額が決まったら、受け取り方でつまずかないように3点を確認します。

押さえるべき注意点は以下のとおりです。

  • 生活費として必要な都度受け取る分には贈与税がかからないが、貯金に回すと課税されうる
  • 親の同意なく預貯金を引き出すと、刑事罰は免れても民事上の返還義務や相続トラブルが残る
  • 受け取った記録を残しておくと、相続で寄与分を主張するときの材料になる

特に贈与税は、年間110万円の基礎控除と「都度直接充てる」という条件の2つを押さえれば判断できます。

贈与税は基本かからない

親からお金を受け取っても、生活費として使う分には贈与税がかかりません。

国税庁のタックスアンサーNo.4405「贈与税がかからない場合」に定めがあります。

非課税になるのは、扶養義務者から生活費や教育費として受け取る財産のうち「通常必要と認められるもの」です。

ここでいう生活費には、治療費や養育費など日常生活に必要な費用が含まれます。

ただし条件があります。

「生活費や教育費として必要な都度直接これらに充てるためのもの」に限られるという点です。

贈与税がかからない場合とかかる場合
かからない親の食費や日用品の立て替え分を、その都度精算して受け取る/通院の交通費をその都度受け取る/親の治療費をその都度受け取る
かかりうる受け取ったお金を使わずに預金する/株式や不動産の購入資金に充てる/年間の受取額が基礎控除の110万円を超える

出典:国税庁タックスアンサーNo.4405、No.4402(いずれも令和7年4月1日現在法令等)

謝礼として受け取る分についても、暦年課税の基礎控除があります。

国税庁のタックスアンサーNo.4402によると、1月1日から12月31日までの1年間に受け取った財産の合計額から110万円を差し引きます。

月3万円なら年36万円、月9万円でも年108万円で基礎控除の範囲に収まります。

月10万円を超える設定にする場合は、年間の合計額を確認してください。

受け取る金額が年110万円を超える場合や、生活費と謝礼の線引きが判断しづらい場合は、自己判断せず税務署または税理士に確認してください。国税庁の見解は個別の事情によって変わります。

親の預貯金を勝手に使うのはNG

親の口座からお金を引き出すときは、必ず親の同意を得てください。

同意のない引き出しは、後から「使い込み」として問題になります。

刑事罰の面では、親族間に特例があります。

刑法第244条第1項は、配偶者・直系血族・同居の親族との間の窃盗について「その刑を免除する」と定めています。

ただし刑が免除されるだけで、問題が消えるわけではありません。

無断で引き出した分には民事上の返還義務が生じ、相続の場面では使途不明金として争いになります。

親の判断能力が下がってきた場合、口頭の同意だけでは後から立証できません。

成年後見制度や任意後見契約など、正式に代理権を得る方法をケアマネジャーや専門家に相談してください。

認知症などで親の判断能力に不安がある状態では、親名義の預貯金の管理方法を家族だけで決めないでください。地域包括支援センターや司法書士など、成年後見制度を扱う窓口に相談したうえで進める必要があります。

記録を残して相続トラブルを防ぐ

受け取った記録は、将来の自分を守る材料になります。

記録がないと、相続のときに「いくら受け取ったのか」を説明できません。

【残しておく4つの記録】
・立て替えた費用のレシートと領収書(日付・金額・用途がわかるもの)
・親から受け取った金額と日付を記した出納メモ、または振込履歴
・担った介護の内容と時間の記録(月ごとの回数と所要時間)
・金額の決め方について家族と合意した内容のメモ

記録は相続で寄与分を主張するときの証拠にもなります。

民法第904条の2は、被相続人の療養看護で財産の維持や増加に特別の寄与をした相続人の寄与分を定めています。

相続人でない親族には、民法第1050条の特別寄与料という制度があります。

被相続人に対して無償で療養看護をした親族が、相続人に金銭を請求できる仕組みです。

特別寄与料には期限があります。

相続の開始と相続人を知った時から6か月、または相続開始から1年を過ぎると請求できません。

親以外から介護のお金をもらう方法はある?【体験談あり】

親の介護の対価は、親以外からも受け取れます。手段は以下の2つです。

  • 介護を担っている対価を、兄弟にも分担して払ってもらう
  • 介護休業給付金や家族介護慰労金など、公的制度でお金を受け取る

たとえば会社を休んで介護する場合、介護休業給付金で休業前の賃金の67%(上限あり)を受け取れます。

兄弟に求める分担額【関わり方別】

兄弟に求める額の基本は、介護にかかった実費と介護の対価を、兄弟の人数で按分した額です。

兄弟の関わり方別|兄弟1人に求める額の決め方
兄弟の関わり方求める額の決め方計算例
介護もお金も何もしていない実費と介護の対価を兄弟の人数で按分する実費1万円+介護の対価3万円=4万円
たまに介護を手伝う程度何もしていない場合の額から、兄弟が手伝った分を差し引く4万円−手伝い分1万円相当=3万円
介護はしないがお金だけ出している何もしていない場合の額から、すでに出している額を差し引く4万円−すでに出している2万円=2万円

表の「関わり方」は、お金を払ってもらう側の兄弟が、親の介護にどれだけ関わっているかを指します。

介護の対価と兄弟が手伝った分は、前の章の早見表と同じ「同じ介護を外部に頼んだ場合の料金」で計算します。

親を経済的に支える扶養義務は、子である兄弟全員にあります。

ひとりで母親を介護し、近所に住む兄からお金を受け取るようになった女性は、次のように振り返っています。

「要介護1で認知症のある母は、父が亡くなってから一人で暮らしています。
私は毎日お弁当を作って母のところに通い、夕方は近所を一緒に散歩しています。
通院の付き添いも、役所の手続きも私がしています。母の通院や入院が増えたため、3年前に仕事はやめました。
兄も近所に住んでいますが、介護には全く協力してくれませんでした。
あまりうるさく責めたために、半年ごとに20万円を振り込んでくれるようになり、4回で80万円になりました。」

※Yahoo!知恵袋の投稿(2024年4月)をもとに、投稿者の言葉として再構成

半年ごとの20万円は、月にすると約3万3,000円です。

ただ、投稿者は兄弟の不公平をなくすためにさらにお金を求めるべきか、悩んでいました。

上の表のように実費と介護の対価から額を計算しておくと、兄弟に金額の根拠を示して求められます。

出典:Yahoo!知恵袋「親の介護に対する兄弟の役割についてご相談させて下さい」(2024年4月20日投稿)

兄弟の話し合いで分担が決まらない場合は、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに家計の状況を共有し、第三者を交えて話し合ってください。

公的制度で受け取れるお金【一覧】

公的制度には、介護する子が受け取るもの・子の税金が軽くなるもの・親本人が受け取るものがあります。

親本人が受け取るお金で親の家計に余裕ができれば、子に渡す介護の対価の原資が増えます。

親の介護で受け取れる主な公的制度
制度名対象・条件金額の目安申請先
介護休業給付金(子が受け取る)雇用保険に加入している子が、2週間以上常に介護が必要な親のために介護休業を取る休業前の賃金の67%(上限あり・通算93日まで・3回まで分割可)勤務先を管轄するハローワーク
家族介護慰労金(家族が受け取る)要介護4・5の親を、介護保険サービスを1年間使わずに在宅で介護している。親・家族とも住民税非課税年10万円が多い(実施していない自治体もある)市区町村
障害者控除(子の税金が軽くなる)親を扶養親族にしていて、親が市区町村から障害者控除の対象と認定済み所得から27万円を控除(特別障害者は40万円、同居なら75万円)認定は市区町村・控除は年末調整か確定申告
特別障害者手当(親が受け取る)在宅で、著しく重い障害のため日常生活で常に特別な介護が必要。所得制限あり月3万450円市区町村
高額介護サービス費(親が受け取る)1か月の介護保険サービスの自己負担が上限額を超えた一般的な課税世帯は月4万4,400円を超えた分が払い戻し市区町村
高額医療・高額介護合算療養費(親が受け取る)同じ医療保険の世帯で、医療と介護の自己負担の1年間(8月〜翌年7月)の合計が上限額を超えた上限額を超えた分が払い戻し(上限額は年齢・所得で異なる)加入している医療保険
住宅改修費(親が受け取る)手すりの取り付けや段差の解消など、介護のための住宅改修をした工事費20万円までの7〜9割市区町村
特定福祉用具購入費(親が受け取る)入浴用のいすやポータブルトイレなど、レンタルできない福祉用具を買った年10万円までの購入費の7〜9割市区町村

出典:厚生労働省「介護休業給付の内容及び支給申請手続について」「特別障害者手当について」、国税庁タックスアンサーNo.1160、介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」、静岡県「住宅改修・福祉用具」、新宿区「家族介護慰労金について」(いずれも2026年10月確認)

子が受け取れる代表的な制度は、仕事を休んで介護するときの介護休業給付金です。

ただし休業中の収入を補うお金で、介護の対価として支払われるものではありません。

家族介護慰労金は、介護保険サービスを1年間使わないことが条件のため、対象になる家庭は限られます。

※特別障害者手当の月額は2026年4月以降の額で、毎年度改定されます。

まとめ:親の介護でもらうお金は堂々と受け取ろう

親の介護でお金をもらうことに、法律上の問題はありません。

迷いの本体は金額のほうで、公的な相場が存在しないぶん、自分で根拠を作る必要があります。

この記事の要点
もらってよいか問題ない。民法の扶養義務は経済的に支える義務で、無償で介護する義務ではない
金額の決め方立て替えた実費を下限、外部委託した場合の月額を上限として、親の年金で払える額に調整する
換算の単価身体介護30分以上1時間未満が約3,870円、生活援助45分以上が約2,200円、通院等乗降介助が片道約970円
贈与税生活費として都度直接充てる分は非課税。貯金に回すと課税され、暦年課税の基礎控除は年110万円
やっておくこと親の同意を得たうえで、レシート・出納メモ・介護時間の記録を残す

まずは直近1か月に担った介護を、回数と時間で書き出すところから始めてください。

数字にすると、親に切り出すときも担っている介護の量を事実で説明できます。

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※本記事の介護報酬の単位数は令和6年度改定後のもの、年金額は令和8年度のものです。制度改定により変更される場合があります。

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