• 認知症
  • 【公開日】2022-09-20
  • 【更新日】2023-10-11

認知症の方を施設に入れるタイミングは?進行度・きっかけなどを解説

認知症の方を施設に入れるタイミングは?進行度・きっかけなどを解説

親や親族の介護をしている人の中には本人に物忘れやせん妄など認知症の症状が出始めているという方も少なくないと思います。

認知症は進行性の病気のため、現代医学ではケガなどと違って完全には治りきれない場合が多いです。したがって、認知症の症状、特に幻覚・妄想や徘徊などの問題行動がある方はどのタイミングで施設に入れるべきか迷ってしまう方も少なくないと思います。

認知症の介護は進行するごとに介護者に対して暴言や暴力などの物理的な負荷がかかるだけではなく、精神的な負荷も多くかかります。

したがって本記事では認知症の症状が出ている方を介護している介護者向けに認知症の方を施設に入れるタイミングについて徹底解説していきます。

 

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横浜鶴見リハビリテーション病院 院長
所有資格:医師,精神保健指定医,精神科専門医,日本老年精神医学会認定専門医,音楽療法士,日本医師会認定産業医
専門分野:精神科
職業: 医師

1982年金沢医科大学医学部卒業後、東京医科大学大学院医学研究科入学。国立がんセンター(現・国立がん研究センター)病理部での研修を経て、1988年同大学院修了。大学院在学中から東京医科大学病院や地方の病院で経験を積み、1988年上尾中央総合病院救命救急部門および呼吸器科に勤務。 1993年横浜相原病院開院と同時に病院長に就任する。 2021年より現職。詳しくはこちら

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認知症の方を施設に入れるタイミング:介護者の状況から考える

認知症の方を施設に入れるタイミングは、認知症の方本人にあたってしまう・イライラすることが多くなる・介護うつを発症している時などが挙げられます。

認知症の方ご本人の症状だけでなく、介護をする方の状況から施設へ入れることを検討するべきか考えることが大切です。

認知症の方本人にあたってしまう

まず最初に挙げられる認知症の方を施設に入れるタイミングとしては、介護者が本人にあたってしまっている場合などです。

認知症の方の介護をしていると、一度注意したことを何度も繰り返し失敗してしまったり介護者が本人からの「ご飯がおいしくない」「オムツを履きたくない」「施設に行きたくない」などのたくさんの発言を受け止めなくてはならないことがあります。

例えば、毎日認知症の親の介護をしていて毎食ごとに「ご飯がおいしくない」などの文句を言われ続けているとさすがに介護者もストレスが溜まってきてしまいます。そこで本人に対して暴言を言ってしまったり、場合によっては暴力をふるってしまうということも少なくありません。

したがって、認知症の方を施設に入れるタイミングとして本人の状況が以外にも、介護者が本人にあたってしまう場合などは施設に入れるタイミングと言えるでしょう。

介護うつを発症している

次に介護者の状況から認知症の方を施設に入れるタイミングと言えるのは、介護者本人が介護うつを発症している場合などが考えられます。

介護うつとは、介護をしている本人が身体的な疲れやストレスでうつ病を発症している状態のことで、介護に対する意欲や判断力が低下するため本人だけではなく認知所の方本人にも悪い影響を及ぼしてしまう可能性があります。

例えば、認知症の介護をしている介護者本人が介護うつを発症している場合であれば、認知症の方の介護に手が回らず帰って認知症が進行してしまったり、徘徊などでトラブルが起きてしまう場合があります。

したがって、認知症の方を施設に入れるタイミングとしては介護者本人が介護うつになっている状態などが挙げられるでしょう。

親の介護のストレスに対処する方法について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

介護放棄が発生している

最期に、上記で説明したような負担が重なることで、介護が必要な人に対する生活の支援を放棄してしまう「介護放棄」が発生している場合は、すぐに施設への入居の検討と自治体などの公的機関や専門機関に相談しましょう。

介護に対する負担や不安から、認知症の方を置いて家をでてしまう・長期間入浴をさせないなどの状態に陥っている場合は、すぐに施設への入居を検討するタイミングと言えるでしょう。

認知症の方を施設に入れるタイミング:きっかけから考える

認知症の方を施設に入れたいと考えるタイミングとしては、トイレに失敗してしまったり徘徊が見られるタイミング、さらに情緒が不安定になり始める時期などがあります。

認知症の方の介護をしている方には精神的に「もう限界だ」と感じたタイミングで施設への入所に向けて動き出す方も少なくないと思います。ここでは、具体的にどのような瞬間に施設への入所を考えるのかについて解説していきます。

徘徊が始まった時

認知症の方を施設に入れるきっかけとしてよくあるタイミングは、認知症の方の徘徊が始まったタイミングなどが一つの事例として言えるでしょう。

というのも、親の介護を一人で行っていて仕事をしている人やそのほかの事情で家を留守にすることがある方にとって徘徊が始まってしまうと周辺住民の方に迷惑をかけたり、場合によっては警察に保護されるなどの騒動になる場合があるからです。

具体的な体験談としては以下があります。

私の父は79歳で認知症です。今はヘルパーさんやデイサービスにお世話になっております。一人の時間も毎日何時間はあります。今はアリセプトも飲んでいて最初の頃は効いてる感じがしてました。
半年して少しずつまたおかしなところが増えてきました。家の中で便をしたり幻覚はひどいです。本日は徘徊して警察に保護されました。(yahoo知恵袋より抜粋)

やはり認知症の代表的な症状として確認されている徘徊などが始まったタイミングで施設への入所を考えることがあると言えるでしょう。

排せつを一人で出来ない

認知症の方で施設への入所を考えるきっかけとしてよくあるのは排便や排尿などの排せつが一人で出来ない時です。

というのも、介護者からすると親の介護をしている場合は親の排せつの世話をしなくてはならないため精神的に負荷がかかるだけではなく、認知症のため何度も同じことを言って聞かせないといけないなどのストレスがかかります。

例えば以下のような体験談があります。

母は数年前、夜間の室内での排尿があり、PTを設置しました。後処理のことで困っています。
・PTに異物を投げ込み、そのままトイレに流しトイレが詰まる
・台所から流す(排水の受けに便がたまっていた)
・玄関横の草むらに投げ捨てる(便もあり)(yahoo知恵袋より抜粋)

以上のように、排せつが出来なくなった後もどのように処理をするべきかわからないという認知症の方も少なくなく、場合によっては掃除のタイミングで押し入れから大量のオムツなどが出てくるという場合も少なくありません。

したがって、認知症の方を施設に入れるきっかけとしてよくあるものとして排せつを一人で処理できないという場合が挙げられると言えるでしょう。

情緒が不安定になってくる

認知症の方を施設に入れることを考えるきっかけとなるタイミングとして次に考えられるのは、認知症の方の情緒が不安定になってくるタイミングと言えるでしょう。

というのも、認知症の症状として介護者に対して怒りっぽくなってしまったり、本人自身も焦燥感や抑うつ的な傾向が出始めることがあります。その結果として暴言や暴力が増えてしまったり、過度に悲観的な発言が増えるなどの症状が出始めるので、介護者が精神的に疲弊するということも少なくありません。

例えば以下のような体験談があります。

80代の認知症祖母のことで質問です。
数年前から認知症を患っております。徘徊などはまだ(?)ありません。

祖母は祖父や私の母と話していて、気に入らないことを言われる(祖母の祖父に対する言葉がキツイので、それを注意したりする)と、すぐ「それなら私、もう死んでしまいます!」「私が死ねばいいんでしょ」と言います。(yahoo知恵袋より抜粋)

以上のように認知症によって怒りっぽくなってしまったり、被害妄想などの症状が出る傾向にあるのでそれによって精神が疲弊することがあります。

したがって認知症の方を施設に入れるきっかけとして情緒が不安定になるというのも一つのタイミングと言えるでしょう。

「認知症かどうか不安だけど、施設に入れていいのか知りたい」「認知症の人の受け入れ態勢が整っている施設を知りたい」という方は、ケアスル介護での相談がおすすめです。

ケアスル介護なら、入居相談員にその場で条件に合った施設を教えてもらうことが可能です。

介護施設・老人ホーム探しに失敗したくない方は、ケアスル介護で無料相談をしてみてはいかがでしょうか。

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ご本人が入居を拒否している場合の説得方法と上手な伝え方

「長年住み慣れた住居から離れたくない」「知らない人に介護されたくない」といった理由で施設への入居を拒む人は少なくありません。

ここでは、施設への入居をご本人が拒否している場合の説得方法についてご紹介します。

なぜ施設への入居を拒否するのか聞いてみる

「施設へ入ったら一人ぼっちになってしまいそう」「老人ホームはなんとなく嫌だ」「まだまだ自分は元気なので施設へ入らなくても良い」など、人によって施設への入居を拒否する理由は様々あります。

ご本人にとって何が最も大きなネックとなっているのか、何が解消されれば施設へ入ろうという気持ちになるのかを知ることが大切です。

強引に施設への入居を促すのではなく、まずはご本人になにが嫌なのか聞いてみましょう。

感情的に入居を促さない

介護をする家族が、焦りや不安から強く入居を促してしまうことがありますが、感情的に入居を促すことはかえって逆効果です。

施設へ入居するご本人からすると、「自分は邪魔だと思われているんじゃないか」「追いやりたいと思われているのではないか」と不信感を抱く原因になります。

一緒に入居先の施設を選ぶ

一方的に施設へ入ろうと促すのではなく、施設へ入居する方と「こんな施設はどう?」「ここはレクリエーションがたくさんあって楽しそうだね」など話しながら入居を促してみましょう。

いきなり施設への入居と言われても、生活のイメージが沸かず不安になるのは当然です。

インタネットで写真や施設のパンフレットを見ながら会話してみると良いでしょう。

どうしても拒否されてしまう場合の対処法

ご紹介した方法でも入居を拒否されてしまう場合は、以下の対処法を試してみましょう。

ショートステイを利用する

施設への入居をどうしても拒否されてしまう場合は、いきなり施設への入居を促すのではなく、ショートステイ・お泊りデイなどを検討してみましょう。

施設の疑似入居体験ができるだけでなく、介護をするご家族の方の介護負担を軽減することも期待できます。

地域包括支援センターや自治体を頼る

地域包括支援センターは、高齢者のサポートや福祉サービス・介護支援などの情報提供を行っています。

地域の医療システムとも綿密に連携している自治体も多く、施設への入居ができず在宅介護を継続する際に、万が一のことがあったときの対応を考えてくれる場合があります。

施設入居の拒否に対してどうすればいいかアドバイスをくれることもありますので、相談してみましょう。

第三者に入ってもらう

施設への入居を検討している方が親や兄弟の場合、家族以外の友人やケアマネなど第三者によって入居を促されることで、承諾してくれる場合もあります。

実際に老人ホームへ入居している友人がいる場合は、どんな生活を送っているか・今の生活に満足しているかなど話してもらうのも良いでしょう。

認知症の方を施設に入れる手順

親を施設に入れる手順

認知症の方を施設に入れる手順としては以下の5ステップあります。

  1. 本人・家族で話し合う
  2. 施設の情報を収集する
  3. 条件に合った施設を選ぶ
  4. 施設の見学・体験入居
  5. 契約して入居する

まずは認知症の方も含めて介護している本人の兄弟や親族などとともに施設に入れることを相談しましょう。施設に実際に入居するのは親本人なので親の認知機能が衰えていない場合は本人も含めて話しあうことが重要です。また、金銭的なトラブルにならないためにも他の親族にも話を通しておきましょう。

次に施設の情報を収集します。希望エリアで認知症に対応している施設を探す他、立地や周辺環境、費用、入居条件面でピッタリの施設をリスト化して情報収集しましょう。

施設の情報を収集出来たら条件に合った施設を選んで、施設の見学から体験入居へと進めていきます。施設を選ぶ際は職員や入居者の表情が生き生きとしているかや、施設が周辺の医療機関との提携をしているかなどの観点でチェックしておくことが重要です。

体験入居などがすんだらいよいよ契約となります。契約時には重要事項説明書に退去の条件や費用を滞納した場合の手続きの流れなども書いているので事前に確認しておきましょう。

親を施設に入れる手順について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

 

「認知症の人の受け入れ態勢が整っている施設を知りたい」という方は、ケアスル介護での相談がおすすめです。

ケアスル介護なら、入居相談員にその場で条件に合った施設を教えてもらうことが可能です。

親御さんを説得しつつ介護施設・老人ホームに入居する相談も可能ですので、ケアスル介護で無料相談をしてみてはいかがでしょうか。

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認知症の方を施設に入れるタイミングのまとめ

本記事では認知症の方を施設に入れるタイミングについて解説していきましたがいかがでしたでしょうか。

認知症は進行性の病のため本人の状況からいつ施設に入れるべきかわからなかったという方も少なくないと思いますが、実際には本人だけではなく介護者の状況も加味していつ施設に入れるべきか判断する必要があります。

したがって、本人の状況から施設に入れるべきかだけではなく介護者自身のことも考えていつ入所させるべきか考えましょう

とはいえ、やはり認知症の方をいつ施設に入れるべきかわからないという場合は、ケアスル介護の無料相談窓口を利用するのがおすすめです。質問に答えるだけで相談員からいつ入れるべきかやおすすめの施設、空室状況までまとめて紹介します。

施設を探したいがどこにしたらいいかわからないという方は以下のフォームからお問い合わせください。

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