• 認知症
  • 【公開日】2021-01-12
  • 【更新日】2023-06-12

認知症対応型通所介護について|サービス内容やメリットを徹底解説

認知症対応型通所介護について|サービス内容やメリットを徹底解説

介護を自宅で行うにあたっては、日帰りで施設に通い、介護サービスを受けるという選択肢もあります。

例えば、通所介護(デイサービス)の場合、日中は自宅から施設に通い、リハビリやレクリエーション、排泄や入浴などの介助を受けられます。通所介護は目的や対象者によって、一般型、認知症対応型、リハビリ特化型、療養型などに大別されます。

認知症があっても、一般的なデイサービスは利用可能です。ただし、認知症対応型通所介護は認知症の方の利用を前提とした、小規模な通所介護サービスであり、認知症に特化したプログラムが用意されています。

認知症対応型通所介護とはどのようなサービスなのか、基本的な特徴から利用するメリット、利用までの流れなどを知っていきましょう。

 

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一般社団法人マリーゴールド 理事
所有資格:ジェロントロジー・マイスター,介護離職防止対策アドバイザー
専門分野:介護施設の選び方、在宅介護
職業: フリーランスのライター・編集者

1973年、宮城県仙台市生まれ。フリーランスのライター・編集として働く傍ら、国内で唯一「老年学研究科」がある桜美林大学大学院に社会人入学した矢先に、夫の両親の認知症が立て続けに発覚。離れて暮らす80代義父母の認知症介護にキーパーソンとして関わり、仕事と介護、研究の三つ巴生活が送る。詳しくはこちら

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認知症対応型通所介護とは

まずは認知症対応型通所介護とはどのようなサービスなのか、基本的な理解を深めていきましょう。そもそも通所介護とは介護施設などに通って受けられるサービスであり、自宅に住みながら利用できます。

介護施設への送迎はもちろん、施設での食事や入浴のサポート、レクリエーションやリハビリの実施などさまざまなサービスを受けられることが特徴です。また、認知症対応型通所介護には次の3つのタイプがあります。

  • 単独型
  • 併設型
  • 共用型

単独型は認知症の人に向けた通所介護施設を単独で運営しているものであり、通所サービスに特化したものといえるでしょう。併設型は介護施設と併設されたものであり、例えば介護施設を運営している事業者が、認知症対応型の通所サービスも提供しているという事業形態があげられます。

共用型は入居サービスなどを提供している介護施設の一部を利用して、通所サービスを提供するものです。それぞれで特徴は異なりますが、認知症の人でも通所サービスを利用できる点は共通しています。

利用できる条件

認知症対応型通所介護を利用するには条件があり、次の2つを満たす必要があります。

  • 認知症で要介護度1以上の人
  • サービス事業所と同一の自治体に住民票を持つこと

認知症対応型通所介護は名称の通り、医師から認知症と診断されていることサービスを利用できる条件です。また、介護サービスであるため、要介護認定が必要であり、要介護1以上の人が利用できることも覚えておきましょう。

認知症対応型通所介護は介護保険サービスの中でも「地域密着型サービス」に該当します。サービス事業所と同じ自治体に住民票を持っていることが利用条件になります。

要支援1~2の場合

認知症で要介護1以上の人しか認知症対応型通所介護は利用できませんが、要支援1~2と要介護度が軽度な人でも利用できるサービスはあります。要支援1~2の場合は、予防介護認知症対応型通所介護のサービスが利用可能です。

軽度の認知症の方に対して、要介護状態になることを出来る限り防ぎ、発症を予防する、または状態がそれ以上悪化しないようにすることを目的としています。その他にも外出機会が減り自宅にこもることが増えていくことで生じる社会的孤立の解消や心身機能の維持・回復、家族の介護の負担軽減なども目的としています。

いわば、状態が悪くなる前に予防するためのサービスであり、利用することで心身ともの健康を維持しやすくなります。

また、サービスを利用している途中で要介護1以上に身体状況が悪化した場合は、予防介護の対象外となるため、認知症対応型通所介護を利用することになります。予防介護でも食事や排せつなどのサポートを受けることができ、家族の介護負担を軽減できる点が魅力です。

利用した際の費用

サービスを利用した際にかかる費用は、利用する時間や要介護度、運営元の事業形態によって異なります。利用する時間が長い、要介護度が高いなどの場合は、費用が高くなることは覚えておきましょう。

また、事業形態は共用型がもっとも安く、次に併設型、単独型の順番で高くなります。介護保険サービスであるため、自己負担割合は1~3割であり、この割合は所得によって変動します。所得が高い人ほど自己負担割合は大きくなるため、費用も高くなることが介護保険制度の特徴です。

認知症対応型通所介護では、送迎サービスは料金に含まれますが、食費やおむつ代といった日常生活費は別途支払いが必要です。[sm1] おむつ代などの日常生活費は、利用した分を実費精算します。

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認知症対応型通所介護のサービス内容

実際に認知症対応型通所介護では、どのようなサービスが提供されているのかも知っておくことが大切です。提供されているサービス内容を知ることで、利用者がどのような対応を受けられるのかがわかります。また、サービスの内容を知っておくことで、認知症対応型通所介護サービス自体への理解も深められるでしょう。

利用者に合わせたレクリエーションが可能

認知症対応型通所介護では利用者に合わせた個別のレクリエーションが行われているのも大きな特徴です。

利用者の好みに合うもの、興味を持てる内容でレクリエーションを行うことで、楽しみながら心身の機能維持や向上を目指すことができます。また、レクリエーションそのものが楽しみや生きがいとなり、日々の生活にハリが出る点も、魅力的なポイントです。

利用者に合わせたリハビリが可能

認知症対応型通所介護では、リハビリも受けられます。

歩行訓練や筋トレなど一般的な身体機能のリハビリに加えて、日常的な生活動作をリハビリとしてとらえる「生活リハビリ」も行います。例えば、調理や配膳、棚の修繕、戦車など生活リハビリの内容は多岐に渡ります。

ただ機能回復を目指すだけではなく、できることを利用者自身に任せることで、本人の自信回復にもつながりやすいです。自信の回復が精神的な自立につながり、心身ともに健康を目指しやすいことも、認知症対応型通所介護の特徴といえます。

家族とのかかわりを大切にできる

認知症対応型通所介護では、家族と連携を取ってサービスを提供しています。利用者の家族ともコミュニケーションが取りやすく、日頃の認知症ケアの相談やサポートなどがスムーズに行えます。

介護は利用者本人だけではなく、その家族もかかわるものであり、連携を重要視してサービスを提供していることが、認知症対応型通所介護の特有の魅力でしょう。

一般的な通所介護(デイサービス)との違い

自宅に住みながら受けられる介護保険サービスには、通所介護(デイサービス)もあります。認知症があっても、一般的なデイサービスは利用可能です。

では、一般的なデイサービスと、認知症対応型通所介護はどのように違うのでしょうか。ポイントを解説します。

  • 定員が少人数のため、認知症の方がリラックスできる環境をつくりやすい
  • 認知症ケアの専門性の高いスタッフがいる
  • 住み慣れた地域に通える場所が持てる

これら3つのポイントが、デイサービスとの大きな違いです。

定員が少人数のため、認知症の方がリラックスできる環境をつくりやすい

一般的なデイサービスの場合、1日の定員が10人以下から40名以上まで、規模はさまざまです。他の利用者との交流を目的に通っている人も多く見られます。

一方、認知症対応型通所介護は定員が12人以下と少ない点が特徴です。

認知症対応型通所介護は定員が少ない分、個人の状態や状況に目を向けやすく、利用者ひとりひとりに寄り添った個別ケアを期待できる点が一般的なデイサービスとの違いです。

認知症ケアの専門性の高いスタッフがいる

サービスの管理者は「認知症対応型サービス事業管理者研修」を修了することを義務づけられた認知症対応型通所介護では、より専門的な認知症のケアが期待できます。

認知症の症状やケアの方法をより詳しく理解した人からサービスを受けられることで、症状の進行を抑えたり、症状が悪化した際に素早く対処してもらえたりする点が、認知症対応型通所介護ならではの特徴といえます。

住み慣れた地域に通える場所が持てる

サービス事業所と同一の自治体に住民票を持つ人のみ利用できる認知症対応型通所介護は、地域密着型という特徴があります。これは介護保険制度の改正によってサービスの区分が位置付けられており、住み慣れた地域で環境の変化を抑え、サービスを利用できる点が大きな特徴です。

デイサービスの場合は他の自治体でのサービスを受けられることもありますが、認知症対応型通所介護では他自治体でのサービスは利用できません。利用できる場所が異なる点や、サービスそのものの位置づけが違うことも、それぞれの違いとして覚えておきましょう。

認知症対応型通所介護のメリット

認知症対応型通所介護サービスを利用することには、さまざまなメリットがあります。これはサービスを利用する本人だけではなく、その家族にもメリットがあることは覚えておきましょう。それぞれのメリットを把握することで、認知症対応型通所介護ならではの魅力を、さらに深く理解できます。

利用者にとってのメリット

認知症がある利用者のメリットとしては、次の3つがあげられます。

  • 専門的なケアが受けられる
  • レクリエーションなどによる交流の楽しみがある
  • 住み慣れた地域でサービスを受けられる

認知症についての豊富な知識を持ったスタッフが対応することで、より専門的なケアが受けられることは大きなメリットです。専門的なケアによって認知症の進行を抑えられ、自立した生活を続けられることが期待できます。

また、レクリエーションなどの活動も一人ひとりに対して必要なサポートを請けながら参加できることでレクリエーションを通じて生きる喜びが見つけられたり、家族以外の人とのコミュニケーションが刺激になって、認知機能の低下予防につながることもあります。

地域密着型である認知症対応型通所介護では、住み慣れた地域でサービスを受けられることも魅力です。高齢者、特に認知症の人は環境の変化が苦手なことも多く、住んだことのない地域でサービスを受けるとなると、大きなストレスになることも少なくありません。

地域密着型のサービスなら環境の変化が少ないため、ストレスもかかりづらく、精神的な負担を軽減してサービスを受けやすいです。

介護者のメリット

家族にとってのメリットとしては、自宅介護における負担が軽減できる点があげられます。通所サービスを利用することで、その間は介護をプロに任せることができ、時間的な余裕が持ちやすいです。

時間や気持ちの余裕ができることで、自宅での介護にも取り組みやすくなり、本人と介護者の共倒れのリスクを回避しやすくなります。また、専門知識を持ったスタッフに相談できることもメリットの1つです。

介護は長期化することも多く、認知症の症状はどんどん進行することも少なくありません。現在だけではなく、未来を見据えて介護の方針を相談できるため、介護に関する将来の不安を解消しやすいでしょう。

認知症でも入居できる施設を探したい方は、ケアスル介護での相談がおすすめです。

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認知症対応型通所介護の選び方

実際にサービスを利用するなら、どれがもっとも利用者やその家族に合っているのかを見極めることが大切です。認知症対応型通所介護を提供しているサービス事業者は多いため、数ある選択肢の中から、適切なものを選ぶためのポイントを知っておきましょう。

利用までの流れ

サービスを利用するまでの大まかな流れは、次の通りです。

  1. 担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに相談する
  2. サービスの見学や体験利用をしてみる
  3. ケアマネジャーにサービス利用の申し込みをしてもらう
  4. サービス事業者と利用契約をする

まずは担当のケアマネジャーに相談して、認知症対応型通所介護を利用したいことを伝えましょう。担当がいない場合は、地域包括支援センターに相談して、サービスの紹介を受けます。

利用を開始する前には、施設の見学をしたり、可能なら体験利用をしたりすることがおすすめです。気に入ったサービスがあれば、ケアマネジャーがケアプランを作成後、サービス事業者と契約して、利用開始となります。

施設見学で雰囲気を確認

サービスの利用を開始するまでには、実際に施設を見学して、雰囲気を確認しておきましょう。施設の雰囲気はもちろん、スタッフや利用者の様子をチェックしておくことがおすすめです。

サービスを快適に利用できそうか、スタッフや利用者と良好な関係を築けそうかを確認してから、利用するサービスを決めましょう。

運営推進会議に参加

サービスの運営推進会議に参加させてもらうこともおすすめです。これは利用者やその家族、地域住民や市区町村の職員が参加しており、実際のサービスに関する生の声を聞くことができます。

会議は誰でも参加できるため、ケアマネージャーや施設のスタッフなどと相談して、参加したいことを伝えましょう。

負担が大きいときは認知症対応型通所介護も視野に入れよう

自宅での介護は家族の負担が大きく、特に認知症だと対応が難しいことも少なくありません。そのため、家族だけでの介護が難しいと感じるなら、外部のサービスを利用することがおすすめです。

認知症対応型通所介護なら、自宅に住みながら通所サービスを受けることができ、家族の負担を軽減できます。また、専門的なケアを受けられることで、利用者にとってのメリットも大きいため、複数のサービスを比較して、本人と家族それぞれの希望を満たせるものを探していきましょう。

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