「両親が高齢になってきた。もし老老介護になったとき、何から動けばいいのか分からない」「すでに始まってしまっているが、どう対応すればいいのか見えない」——そうした不安を抱える方は少なくありません。
老老介護は特殊なケースではなく、今や在宅介護の標準的な姿になっています。
体力・判断力がともに低下した状態での介護は、一般的な介護以上に深刻なリスクを伴います。
この記事では、老老介護が始まったときの初動対応(相談窓口・介護サービス・施設入居の考え方)を整理したうえで、実際に起きやすい状況パターン別の具体的な解決策、そして離れて暮らす子どもが今すぐ実践できることを体験談も交えながら解説します。
老老介護がはじまったときの解決策
老老介護が始まったら、最初の一手は「専門家への相談」です。
介護者自身も高齢であるため、家族だけで抱え込むと介護者・被介護者ともに追い詰められる「共倒れ」のリスクが生じます。
地域包括支援センター・民生委員・介護保険サービス・施設入居と、段階的に活用できるリソースは複数あります。
まず動き出すことが、状況を改善する出発点になります。
地域包括支援センター・民生委員に相談する
老老介護が始まったとき、最初に連絡すべき窓口は地域包括支援センターです。
市区町村が設置した公的機関であり、介護に関するあらゆる相談を無料で受け付けています。
地域包括支援センターの場所は、市区町村のウェブサイトや介護担当窓口への電話で確認できます。
「老老介護が始まった」と電話一本伝えるだけで、担当スタッフが状況をヒアリングし、次のステップを案内してくれます。
民生委員は地域に密着したボランティアです。専門的な介護知識はありませんが、「定期的に様子を見てほしい」「近所の高齢者が気になる」といった日常的な見守りの依頼に向いています。
民生委員の連絡先は、市区町村の担当窓口または地域包括支援センターで確認できます。

ケアマネジャーとの信頼関係を早めに築いておくことが、その後の介護を円滑に進める大きなカギになります。
・お住まいの地区の地域包括支援センターの電話番号を調べておく
・要介護認定をまだ受けていない場合は、申請を検討する
・近所の民生委員の連絡先を市区町村に問い合わせる
介護保険サービスを利用する
老老介護の負担を具体的に減らすために最も直接的な方法が、介護保険サービスの導入です。
要介護認定を受けることで、費用の1〜3割の自己負担で利用できます。
介護保険サービスを利用するには、まず要介護認定を受ける必要があります。
申請は本人または家族が市区町村の介護担当窓口か地域包括支援センターで行います。
認定調査から結果通知まで、通常30日程度かかります。
認定を受けると担当ケアマネジャーが決まり、生活状況に合わせたケアプランを作成します。
どのサービスをどの頻度で使うかは、ケアマネジャーと相談しながら決めていきます。
まずケアマネジャーに状況を伝え、本人が受け入れやすいサービスの導入方法を一緒に考えることが突破口になります。
地域住民との交流を活かす
介護保険サービスだけでは補いきれない「日常的な見守り」を担うのが、地域コミュニティとのつながりです。
近所との関係が薄いと、異変があっても誰にも気づいてもらえないリスクがあります。
地域とのつながりは一朝一夕には作れません。
老老介護が始まる前の段階から、日頃のあいさつや自治会活動への参加を通じて顔の見える関係を作っておくと、いざというときに動きやすくなります。
徘徊が心配な場合は、近隣の商店・住民に本人の写真を持参して「外出していたら声をかけてほしい」と伝えておく方法が有効です。
市区町村が提供する「徘徊SOSネットワーク」への事前登録も、多くの自治体で無料で行っています。
・地域包括支援センターに「地域の見守り活動を知りたい」と相談する
・近隣数軒に「高齢の2人暮らし」であることを伝えておく
・市区町村の「徘徊SOSネットワーク」への登録を検討する
施設入居を早めに検討しておく
老老介護が長期化するにつれ、在宅での介護が立ちゆかなくなる場面が訪れます。
施設入居の検討は「限界になってから」ではなく、余裕のある段階で情報収集を始めておくことが、選択肢を広げるうえで有効です。
条件の良い施設ほど、待機期間が半年~数年と長く、限界になって慌てて探すと希望の施設に入れないケースが大半です。
仮に施設への入居条件を満たしていなくても「将来的に見ておきたい」と早めに見学を開始し、待機リストに入れてもらうことで、状況の急変に備えることができます。
介護保険サービスを使いはじめたタイミングを目安に、早めに申し込みだけ済ませておくことをおすすめします。
施設入居に対して「まだ早い」「かわいそう」と感じる家族は多いのが実態です。
ただし、専門家によるサポートが受けられる施設へ移ることで、本人の生活の質(QOL)が向上するケースも多くあります。
・介護者が「このままでは続けられない」と感じ始めた
・被介護者の要介護度が3以上になった
・夜間の徘徊・転倒が繰り返し起きている
・医療ケアが常時必要な状態になってきた
ピッタリの施設を提案します
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老々介護のパターン別解決策
老老介護で生じる問題は、介護する側・される側の状態によってパターンが異なります。
状況を正確に把握しないまま対応を続けると、問題が長期化・深刻化するリスクがあります。
ここでは実際の体験談をもとに3つのパターンと、それぞれで有効だった解決策を紹介します。
老老介護①:2人とも認知症が進み、在宅での介護が回らなくなった
介護する側の高齢者にも認知症が進行すると、誰が誰を介護しているのか分からない「認認介護」の状態に陥ります。
こうなると家族だけでの対応は困難になり、専門家の介入が不可欠になります。
このパターンで最初に有効な一手が、認知症を専門とするかかりつけ医(精神科・神経内科・物忘れ外来)への相談です。
医師経由でケアマネジャーにつながると、地域の福祉サービスとの連携がスムーズになるケースがあります。
介護サービスへの拒否が強い場合は、「2人で一緒に行く」「主治医から勧めてもらう」など、本人が受け入れやすい入り口を探ることが突破口になります。
ケアマネジャーに状況を詳しく伝え、段取りを一緒に考えてもらうことが先決です。
【インタビュー情報】
・お名前:hikayuさん
・性別:女性
・年齢:非公開
・職業:精神保健福祉士
・居住地:非公開(祖父母宅と別居、年数回帰省)
・状況:認知症の祖母を祖父が介護していたが、祖父も認知症が進み認認介護に。孫として遠方からサポートし、最終的に祖父は病院で逝去(要介護5)、祖母は現在特養に入居中(要介護5)。
hikayuさん:「家族内で解決しようとしないで欲しい。恥ずかしくないことだから。外は敵じゃなくて味方。使えるものを使って、家族しかできないことのために余力を残して欲しい。」
「精神科病院への相談が、全ての入口になった──認認介護10年の記録」(もっと読む)
■ 孫として年に数回帰るだけ──それでも変化は届いてきた
私が家を出て結婚したのは15年以上前で、年に数回帰省する程度で、日常的に関わっていたわけじゃなかったんですよ。祖母が先に認知症を発症して、趣味が多彩で外出が多い祖父が介護を担うようになっていきました。
■ 交番と民生委員──祖母の徘徊の中で自然に生まれた地域連携
祖母が外を歩いているのを通行人が見て警察に通報されることが続いた頃、ちょうど徒歩5分以内に交番が新設されたんですね。あと、隣の家に民生委員が住んでいることも分かって。「こういう状態の人がいます」っていう話が自然に広まって、行方不明になった際は警察がパトカーで家まで送り届けてくれるようになりました。
■「もうダメだ」──メモの散乱、車の事故、鍵が開いたまま外出
祖父の変化も少しずつ積み重なっていきました。几帳面だった人がメモを散乱させて、服も汚れるようになって、車で事故を起こしていたことが後から発覚したりして。祖母が外に出ても祖父が気づかない場面も増えて、鍵が開いたまま外出してしまうことが続いて。「これはもうダメだ、やっと介入できるタイミングが来た」って感じでした。
■ 要介護認定は取れたが、サービス拒否の壁に何度もはじかれた
まず要介護認定の申請を進めました。祖母は当初「要介護2」レベルで。祖父は調査員に2回来てもらって、家族が介護実態を詳しく伝えて、頼み込んだ感じで要介護1を取れたんですけど。2人とも拒否がすごく強くて、訪問介護はゼロから入れることができない状態が長く続きました。施設見学に連れて行ったこともあったんですが、直前で拒否されて帰宅してしまって。
■ 精神科病院への相談が、全ての転換点になった
私、精神保健福祉士なので、「認知症だけの対応より精神科からのアプローチの方が話が早い」と思って。実家の裏手にある、認知症も診る大きな精神科病院に相談に行ったんですよ。そこに所属するケアマネジャーが地域で非常に力のある方で、訪問看護ステーションとの連携も、担当医への段取りも、全部その方が動いてくださって。1番最初に連携が取れたのが精神科病院だったのが、本当に大きかったと思います。
■「実の息子が一緒なら」──ケアマネジャーが見つけた突破口
ケアマネジャーが気づいてくれたのが、祖父母は実の息子、つまり私の父のことをすごく信頼しているっていう点で。アドバイスに従って、父も一緒にいる場で先生に話してもらうっていう形を取るようにしました。家族だけで介入するんじゃなくて、父を経由して段取りを整えると2人の態度が少しずつ変わっていって。粘り強く交渉した末に「2人で行くなら」という条件が引き出せて、デイサービスの半日利用がやっと実現しました。
■「介護疲れた」──祖父の言葉と、検査入院という名目
デイサービスが始まって在宅が少し安定したんですけど、祖父は長年の介護で少しずつ消耗していて。「介護疲れた」という言葉が出るようになったとき、ケアマネジャーが動いてくれて。精神科病院に「検査入院」という名目で祖母を医療保護入院させる手続きを整えてくれたんですね。祖母が入院したら、今度は祖父がどっと崩れて、長年要介護1だったのが一気に3、4と進みました。
■ なぜ施設入居を検討したか──「在宅は無理」という判断
入院を経て、祖母の認知機能・身体機能は大きく落ちていきました。入院中も出てってしまうことがあって、閉鎖病棟にいながら病院を点々とする状況が続いて。要介護度が4から5に上がっていく中で、病院側から「在宅は無理」という判断が出たんですね。そのまま特養への入居につながりました。祖父は要介護5のまま病院で亡くなりました(3〜4年前)。祖母は要介護5で今も特養に入居中です。
■「外は敵じゃなくて味方」──家族の外に話せる場所ができること
1番大変だったのはサービスがゼロの状態から入れること。でも1番助かったのは、その話を誰かとできる場所ができたことでした。外部の人とつながることで、良い話も悪い話も家族だけで閉じなくなって。家族しかできないことのために余力を残してほしいです。そのために周りを頼って、使えるものを使って。外は敵じゃなくて味方って伝えたいです。
老老介護②:久しぶりに実家を訪ねたら、家が荒れ果てていた
「お姉ちゃんが見ているから大丈夫」「電話でいつも話しているから問題ない」と安心している間に、実家の状況が急速に悪化するケースがあります。
電話では分からない実態が、家の中に入って初めて明らかになることは少なくありません。
認知症が進んだ方は、電話口では「大丈夫」と答えることが珍しくありません。
会話が成立しているように見えても、実際の生活状況とは大きな乖離がある場合があります。
年に数回でも、必ず家の中に入る形での訪問が状況把握の唯一の手段になります。
財産管理については、認知症が進んでからでは手続きが困難になります。
判断能力がある段階で家族信託や任意後見の手続きを進めておくと、後の対応がスムーズです。
【インタビュー情報】
・お名前:絢香さん
・性別:女性
・年齢:非公開
・職業:フリーライター
・居住地:非公開(実家から2時間以上)
・状況:父(認知症中期・要介護1→3)と母(認知症初期・要介護1)の2人暮らし。3姉妹の末子として長年姉に任せきりにしていたが、ケアマネジャーに促されて初めて家に入ると想像を絶する状態だった。3か月かけて体制を整えた。父はその後施設入居前日に逝去。母は現在週5日デイサービスで1人暮らし継続中。
絢香さん:「電話では全くわからなかった。親のところには少なくとも1回は家の中に入って確認しておくべきでした。玄関を開けた瞬間に、全部分かりましたよ。」
「ドアを直すことから、全部始まった──実態把握1か月、調整2か月の格闘記」(もっと読む)
■ 3年間、電話も訪問もしていなかった
私は3姉妹の末子で、実家から2時間以上離れた場所に住んでいたんですよ。姉が2週間に1回訪問して毎日電話していると知っていたので、「任せておけば大丈夫」って思い込んでいて。電話も訪問も一切しておらず、行ったとき本当に久々でした。
■ ケアマネジャーの一言で動き、玄関を開けて見た光景
転機は、もともと父についていたケアマネジャーから「最近家に入れてくれなくなってきた。一度入った方がいい」という連絡が来て。強行突破するのが私の性格なので、実家に向かいました。開けたら、リビングのドアが壊れて開かない。ゴミ屋敷。家の中が排泄物だらけ。玄関には大量の壺(詐欺の証拠)。姉も家に入れてもらっていなくて、誰も知らなかったんですよ。電話でペラペラ喋っていた母の認知症も、直接話してみて初めて分かりました。何を聞いてもはっきり答えられなかったから。
■ まずドアを直し、1か月かけてゴミ屋敷を片付けた
ドアが壊れたままでは部屋に入れないし、訪問介護も入れられないので、まず修繕して動線を作ることが最初の一手でした。その後はもうゴミ屋敷との戦いで、ヘルパーが通れる通路を確保するまでに約1か月かかって。「実態把握に1か月」はそこに全部費やされました。
■ 介護認定を受け直し、本を読んでケアマネジャーに交渉した
もともとのケアマネジャーが全く機能していなくて。実態を把握してから、介護の本を5冊以上読んで、「こういうことはできないか、ああいうことはできないか」とひたすら交渉し続けました。その結果、父は要介護1から3に、母は新規で要介護1を取得できました。
■ 訪問介護週3回+デイ週1回+弁当7個の体制を組んだ
父は身体的に具合が悪くてデイサービスには行けなかったので、訪問介護を週3回(入浴・見守り)に切り替えました。訪問介護が来ている間に母をデイサービスに送り出す仕組みを週1回作って、弁当配達も週7個入れました。
■ 週4日勤務に変え、3か月間通い続けた
週5日勤務から週4日に交渉して変えてもらって、水曜と土日を実家通いに充てました。最初の3か月は泊まり込む日もあったし、自分が具合悪くなることもあって。調整に2か月かかって、軌道に乗ってからも父が亡くなるまで週1は必ず通い続けました。
■ 詐欺との戦いと家族信託──「法律で武装」するしかなかった
週1で現金を渡してもお金がなくなる速度が速くて、詐欺被害が続いていて。私フリーライターなので、業者に「取材したいので応じてほしい」って連絡したらピタッと止まったんですよ。内容証明郵便も有効でした。財産管理は家族信託を選んで、本を3冊読んで自分で手続きを進めました。成年後見は家族の意向が通らない上に費用もかかるので、それで判断しました。
■ 特養から有料老人ホームへ──準備を整えた翌朝に逝去
父の状態が少しずつ悪化してきたので、施設入居の検討を並行して進めました。特養を希望したんですけどケアマネジャーが乗り気でなくて(要介護3という介護度が影響していたのかもしれません)、有料老人ホームへ切り替えました。施設を見学して、診断書などの書類をすべてそろえて、入居準備が整った翌日の朝、父は亡くなりました。明日施設という日に逝ってしまって。全く想定していなかったので、本当に突然でした。
■ 今度は母の施設を──「大丈夫よ」と言うけれど
父が亡くなって、母は週5日デイサービスで1人暮らしを続けています。でも「1人暮らしが厳しくなってきているな」という感触が積み重なってきていて、もうすでに多数の施設を見学して候補を絞っています。母は「大丈夫よ、全然なんとかなってるし」って言うんですけど、なんとかなっていないんですよ。今は一番母と仲良く近くに住む姉に任せていて、姉が見切れないとなったら、また私が動くという構えです。
■ 1番助かったのは訪問介護と「いざとなれば使える」安心感
一番安心感を得られたのは訪問介護でしたね。来てくれている時に私も行って、いない時の様子を聞けたので。介護保険外の自費サービスも使える事業所だったので、「いざとなれば使える」っていう選択肢が精神的な余裕を生んでくれました。諦めずに調べれば、助けてくれるサービスや人は必ず見つかります。
老老介護③:徘徊が繰り返され、目が離せなくなった
徘徊が始まると、介護者は24時間目が離せない状態になります。
1人で抱え込まず、地域・行政・介護サービスを組み合わせた見守り体制を早期に作ることが解決の柱になります。
徘徊は、認知症の本人が「家に帰りたい」「用事がある」という感覚から外出してしまう症状です。
無理に引き止めたり叱ったりすることは逆効果になる場合があるため、本人が安心して過ごせる環境を整えることが、徘徊の頻度を下げる根本的なアプローチになります。

【インタビュー情報】
・お名前:さきちゃんさん
・性別:女性
・年齢:60代
・職業:正社員(介護当時)
・居住地:関東地方
・状況:認知症のおばあ様(80前後)とお母様(癌罹患)の老老介護を約3年経験。その後もお母様の在宅看取り、叔父叔母(ともに80代)の見守り、現在は義母(要介護2)の同居介護と、長年にわたり複数の介護に携わってきた。
さきちゃんさん:「母と一緒に、写真とお詫びを持って近所を1軒1軒頭を下げながら回りました。そうやって顔なじみになってもらったことが、一番の見守り体制になっていきました。意図して作ったというより、頭を下げ続けていたら自然につながりができていった感じで。」
「近所に頭を下げ続けたら、自然と見守り網ができていた──長年の介護経験から学んだこと」(もっと読む)
■ 二重鍵を覚えられて、夜中にひとりで出て行った
私は近所に住んでいたので、仕事帰りに毎日立ち寄っておばあちゃんの様子を確認していました。出入口に二重鍵をつけたんですけど、開け方を覚えてしまって。夜中にひとりで出て、お金を持ってタクシーに乗り、遠くへ行ってしまうことも何度かあって。離れていたらだいぶ大変だっただろうなというのは、周りを見ていて感じていましたね。
■ 写真とお詫びを持って、近所を1軒ずつ頭を下げて回った
近所のスーパーや個人店でおばあちゃんが物を持ち帰ってしまって、あるとき警察に通報される場面があって。これはまずいってことで、お母さんと一緒に1軒ずつ回って、写真を渡しながら頭を下げました。お願いしたことはひとつで、「警察に電話する前に、まず声をかけてほしい」って。そのお店でなるべく買い物して顔を覚えてもらうようにしたら、「今日来ましたよ」「これ持って行っちゃいましたよ」って連絡が入るようになっていって。「意図して地域連携を作ったというより、頭を下げ続けていたら自然に見守りが生まれた感じでした。」
■「慌てて探したら、都内に空きがなかった」──施設情報は早めに集める
おばあちゃんが亡くなった後年、叔父と叔母(ともに80代・要介護2と3)の見守りも経験したんですよ。叔父が先に亡くなって、叔母がひとりになったとき慌てて施設を探したんですけど、都内に条件の合う施設が見つからなくて、遠方の施設への入居になってしまって。慌てて探したことを一番後悔しています。ネットが1番早いです。でも必ず現地を見てほしい。施設だけじゃなくて、お金・不動産の問題も含めて、慌てる前に整理しておいてほしいと思います。
・市区町村の「徘徊SOSネットワーク」に登録する(地域包括支援センターで手続き可)
・GPS端末を本人の服や持ち物に取り付ける
・近隣・よく行く商店に写真と連絡先を渡しておく
・「何かあれば警察より先に家族に連絡してほしい」と事前にお願いしておく
・施設情報の収集は、入居が必要になる前から始めておく
ピッタリの施設を提案します
ピッタリの施設を提案します
ピッタリの施設を提案します
老老介護の親に、子供にできること
老老介護を放置すると状況が深刻化します。
親と別居している子どもでも、関わり方次第で介護者の負担を軽減できます。
ここでは、介護者の負担を軽減するために子どもが実践できる7つの行動を具体的に紹介します。
情報収集と連絡体制を整える
老老介護の実態は電話で把握できません。
深刻化を防ぐには、実際に自宅を訪問して状況を確認する必要があります。
兄弟姉妹がいる場合は、役割を分担して定期的に訪問する体制を構築してください。
認知症が進んだ方は、電話口では「大丈夫」と答えることが珍しくありません。
会話が成立していても、生活の実態とは大きなギャップがある場合があります。
兄弟姉妹がいる場合は「誰が何月に訪問するか」を事前に決め、交代で家の中を確認する体制をつくることが有効です。
【インタビュー情報】
・お名前:絢香さん
・性別:女性
・年齢:非公開
・職業:フリーライター
・居住地:非公開(実家から2時間以上)
・状況:姉に任せきりにしていたが、帰省して初めて実態を把握。その後3姉妹で情報共有と訪問の体制を整えた。
絢香さん:「3姉妹で役割を分担して、定期的に誰かが家の中に入る仕組みを最初から作っておけばよかった。電話では全く分からなかったので。」
「電話では全く分からなかった──」(もっと読む)
■ 実際に取った行動
帰省して初めて状況を把握した後、3姉妹で「誰がいつ訪問するか」「何を確認するか」の役割分担を決めた。訪問介護スタッフからの情報もケアマネジャー経由で共有してもらう体制を整え、子どもたちが現場の変化をタイムリーに把握できるようにした。
■ そこから得たスタンス・意識
「電話では絶対に分からない。会話が成立していても、生活の実態とはまったく別物だと知りました。任せきりにするのは、見えない不安を積み重ねること。後から気づくより、仕組みを作っておく方がずっと楽です。」
・冷蔵庫の中(賞味期限切れ・腐敗した食品がないか)
・薬の残量と飲み忘れの状況
・ゴミ出しができているか
・郵便物に未開封の請求書・通知がないか
・体重・清潔感の変化
外部の専門家やサービスを活用して介護者の負担を軽減する
老老介護の共倒れを防ぐには、家族だけで抱え込まずに外部の専門家や介護サービスを早期に導入する必要があります。
子どもが主導してケアマネジャーなどと連携し、介護者が孤立しない仕組みを構築することが最優先の行動です。
その場合は子どもが主体となってケアマネジャーに相談し、介護者会やショートステイなどの利用を段階的に進めてください。
介護者が「弱音を吐けない環境」になっていることが、老老介護崩壊の最大のリスクです。
「専門家に頼っていい」という許可を与えることが、子どもにしかできないサポートです。
【インタビュー情報】
・お名前:hikayuさん
・性別:女性
・年齢:非公開
・職業:精神保健福祉士
・居住地:非公開(祖父母宅と別居)
・状況:認認介護状態の祖父母を孫として支援。外部のサービス・専門家とのつなぎ役を担った。
hikayuさん:「外とのつながりができてから、祖父母の安心感がガラっと変わりました。家族の中だけで抱え込むことが、一番消耗します。」
「家族の中だけで抱え込むことが、一番消耗する──」(もっと読む)
■ 実際に取った行動
精神保健福祉士としての知識を活かし、認知症専門病院への相談のつなぎ役を担った。ケアマネジャーと密に連絡を取り、サービス拒否をどう突破するかを一緒に考えた。祖父母の「2人で行くなら」という条件を引き出し、ケアマネジャーに交渉を続けてもらう形でデイサービスへの参加を実現させた。
■ そこから得たスタンス・意識
「介護している側も、されている側も、話題が家族の中だけになると孤立していく。外の世界とつながることで、安心感がまったく違う。地域包括支援センターに相談するだけでいい。まず外に出す、それだけで状況は動き始めます。」
・介護者家族会・介護者カフェへの参加を勧める
・ショートステイを定期利用して「休める日」をつくる
・地域包括支援センターで介護者向け相談窓口を紹介してもらう
・「もう無理」という言葉が続く場合は心療内科・精神科への受診も勧める
医療・受診の管理に関わる
高齢になると複数の病院にかかるケースが増え、薬の管理や医師への情報伝達が難しくなります。
子どもが医療情報を把握して連携することで、見落としを防ぐことができます。
認知症が進むと、医師に症状を正確に伝えられなくなります。
受診に同席できない場合は、「最近の様子と困っていること」をメモして事前にFAXや手紙で医師に送っておくことで、診察の質が上がります。
・かかりつけ医の連絡先を子ども全員が知っている
・現在の処方薬一覧を把握している
・「お薬手帳」の最新状態を確認している
・緊急入院時の対応・同意書署名者を決めてある
介護保険の申請・見直しをサポートする
老老介護世帯では、要介護認定を受けていない・認定区分が実態に追いついていないケースが多くあります。
適切な認定を受けることで、使えるサービスの幅が大きく変わります。
要介護認定の調査では、本人が「できる」と答えてしまい、実態より低い区分が出ることがあります。
家族が同席して「普段の様子」を具体的に補足することが、適切な認定につながります。
調査員への情報提供は権利として積極的に行ってください。
住環境を安全に整える
老老介護世帯での転倒・骨折は、介護する側・される側の両方に起こります。
住環境の整備は一度行えば継続的に効果が出る対策として、費用対効果の高い行動です。
住宅改修(手すりの設置・段差除去など)は、要介護認定を受けていれば介護保険で最大20万円(1割自己負担の場合は2万円)の補助が受けられます。
補助を受けるにはケアマネジャーを通じた事前申請が必須です。
工事後の申請は認められないため、必ず工事前に手続きを進めてください。
・廊下・浴室・トイレに手すりがある
・玄関・部屋の境界に段差がない(またはスロープがある)
・夜間の廊下・トイレに足元を照らす照明がある
・火の管理(IH化・自動消火)が整っている
財産・お金の管理体制をつくる
認知症が進んだ高齢者は、詐欺・不当な高額契約・過剰な引き出しのターゲットになりやすくなります。
判断能力があるうちに管理体制を整えることが、財産を守るうえで最も有効な対策です。
財産管理は「認知症になってから動く」と選択肢が大きく狭まります。
本人の判断能力があるうちに家族信託または任意後見の手続きを進めることが最善策です。司法書士・弁護士・行政書士が相談窓口になります。
【インタビュー情報】
・お名前:絢香さん
・性別:女性
・年齢:非公開
・職業:フリーライター
・居住地:非公開
・状況:帰省して詐欺被害を発見。取り戻しと同時に、家族信託を活用して財産管理の仕組みを整えた。
絢香さん:「詐欺業者に内容証明を送って取り戻しました。お金が流れていくのはとにかく怖かった。まだ判断能力がある段階で動けたことが、唯一の救いでした。」
「認知症が進んでからでは遅い──」(もっと読む)
■ 実際に取った行動
帰省して詐欺被害を発見。フリーライターとして業者に直接連絡し、内容証明郵便を送って購入品を取り戻した。その後、家族信託の手続きを進め、子どもたちが母の財産を管理できる体制を整えた。通帳・カードの保管場所も子どもたちが把握するよう管理を変えた。
■ そこから得たスタンス・意識
「認知症が進んでからでは遅い。家族信託は母にまだ判断能力があったからできた。動けるうちに動く、それが財産管理の絶対条件だと思っています。後から後悔しないために、今できることをやっておくしかない。」
介護サービスの手配と管理に参加する
介護サービスの調整はケアマネジャーが担いますが、状況の変化を伝えるのは家族の役割です。
子どもが定期的にケアマネジャーと情報を共有することで、サービスの見直しがタイムリーに行われます。
ケアマネジャーは複数の担当世帯を持ちます。「受け身で待つ」姿勢では、状態変化が見落とされることがあります。
子どもから定期的に連絡を入れ、「積極的に動く家族がいる」と認識されることが、サービスの質向上にもつながります。
・ケアマネジャーの連絡先を子ども全員が知っている
・月1回以上ケアマネジャーに状況を報告している
・現在のサービス内容(何曜日に何が来ているか)を把握している
・ショートステイを定期利用し、介護者の休息を確保している
老老介護が限界を超えそうなとき、施設への入居が現実的な選択肢となります。
入居を検討するタイミングの目安について詳しくはこちらをご覧ください。
まとめ
老老介護は、一人で抱え込むほど状況が悪化していきます。
「専門家に頼ること」「外とつながること」が、老老介護を長続きさせる最大の解決策です。
この記事のポイントを以下に整理します。
老老介護で在宅の限界を感じたとき、施設への入居も有力な選択肢のひとつです。
「施設に頼ること=諦め」ではなく、介護者と被介護者の両方の生活の質を守るための判断です。
・要介護認定を受けているか(未申請なら申請が先)
・入居を希望する施設の種別(特養・老健・有料老人ホームなど)
・月額費用の目安と支払い可能な上限
・現在のかかりつけ医・服薬内容(施設側に伝える情報として必要)