老人ホーム入居の不安を解決!身元引受人の役割やいない場合の対応方法を解説

老人ホーム入居の不安を解決!身元引受人の役割やいない場合の対応方法を解説

ほとんどの老人ホームでは、入居時に施設側から身元引受人が求められます。「子どもや親戚とも疎遠で、身元引受人を頼める人がいない」「身元引受人の条件や役割、責任がよくわからない」「身元引受人と保証人の違いがよくわからない」などの不安を抱いている方は多いのではないでしょうか。

身元引受人の条件や役割はとてもシンプルです。また頼める方がいない場合でも、老人ホームへ入居できる方法があります。

ここでは、身元引受人になるための条件や役割、責任、頼める人がいない場合の対応方法をまとめました。さらに、よく似た役割である保証人との違いについても解説しています。この記事を読んで、身元引受人を求められても焦らないよう備えておきましょう。

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株式会社アテンド 代表取締役
専門分野:介護全般

旧三菱銀行およびみずほ銀行で10年ほど窓口やローンアドバイザーに従事したのち、 2013年に介護事業を運営する株式会社アテンド設立。 同年6月にリハビリ特化型「あしすとデイサービス」開設。 メディア実績は厚生労働省老健事業「サービス活用販促ガイド」、週刊ダイヤモンド、 経済界、シルバー新報、聖教新聞、ABEMA Rrime など 介護事業経営と父の介護を8年経験したスキルを活かし、現在は講師として著者として介護のノウハウを提供。介護する人とされる人が安心して暮らせる環境つくりに邁進している。詳しくはこちら

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身元引受人は老人ホームに入居するために必要?身元引受人の定義とは

身元引受人とは、老人ホーム入居者の死亡後、身元引取りや各種行政手続きなどの役割を担う方です。身元引受人は、老人ホーム側が責任を負えなかったり、運営に支障をきたしてしまったりする事態のリスクマネジメントとして設置されるようになりました。

近年、ほとんどの介護施設では入居時に身元引受人の指定を求められます。では身元引受人にはどのような役割や責任が求められるのでしょうか。似ている言葉である保証人とは何が違うのかを含め、解説していきます。

身元引受人と保証人は同じ立場を意味するのか?それぞれの役割や責任を紹介

身元引受人と似ている言葉として、よく耳にするのが保証人です。老人ホームに入居する際には、一般的に身元引受人と保証人を1人ずつ求められます。

身元引受人と保証人では、求められる役割と責任が違い、どちらも重要な役割を担っています。ここからは身元引受人と保証人それぞれに求められる役割と責任の違いについて、具体的に解説していきましょう。

身元引受人とは何をする役割か?どんな責任を背負う?

身元引受人とは文字通り、老人ホームの入居者が死亡してしまった場合の身元の引き取りや、各種手続きを実施する方を指します。以下の5つが身元引受人に求められる主な役割です。

身元引受人に求められる役割 説明
入居者の意思決定の代行 判断能力の低下によって、入居者による意思決定が難しいと判断される場合に、身元引受人が意思決定を代行する。
入居者が死亡した場合の
身元の受取り
入居者が死亡した場合に、身元引受人が入居者の身元を受け取る。
入居者が死亡した場合の
各種対応
入居者が死亡した場合に、老人ホームの退去手続きや荷物の受け取りを実施する。
入居者の各種手続きの代行 入居者の代わりに、市区町村などの行政に対して必要な各種手続きを実施する。
緊急連絡先として登録 入居者に何らかの緊急事態が起きた場合の緊急連絡先として登録して、連絡があれば対応する。

身元引受人は、入居者に何かが起こった場合の対応や責任を幅広く担う役割をもっています。

身元引受人の役割の一つに「事実行為」を行うというのがあります。事実行為とは、行っても法的な効果がないもの、つまり買い物や通院の付添いなどが該当します。逆に、それらを保証人や後見人が行うことができないため、身元引受人が行います。

緊急時の対応や各種手続きの代行を行うため、老人ホームに短時間で駆けつけられる方が望ましいです。身元引受人を決める際は、なるべく老人ホームの近くに居住しており、何かあった際には短時間で駆けつけられる方を選ぶようにしましょう。

保証人とは何をする役割か?どんな責任を背負う?

保証人とは入居者の債務に対する責任を持ち、老人ホーム側の金銭面での危機管理を担う方です。

以下に身元引受人が求められる主な役割を2つ列挙します。

保証人が求められる役割 説明
入居者が利用料金を払えなくなった場合の対応 入居者が施設の月額利用料や公共料金の支払いができなくなった場合に、身元保証人が入居者に代わって支払いを実施する。
入居者が死亡した場合の利用料金の清算 入居者が死亡して、未払いの施設利用料金が存在していた場合に、身元保証人が入居者に代わって料金の清算を実施する。

保証人は、老人ホーム入居者の金銭面での保証を担っています。保証人の依頼は、最低限の支払い能力をもった方にお願いするようにしましょう。

身元引受人の条件は?家族でなくても大丈夫?

前の章でも説明したように、身元引受人は老人ホーム入居者が死亡した場合の身柄の受け取りや行政に対する各種手続きを代行する非常に重要な責任を担っています。

では、この身元引受人になるにはどのような条件があるのでしょうか。実は身元引受人となるための条件を規定した法律は存在しないため、老人ホーム側が求めた条件をクリアすれば友人や知人でも引き受けられます。なお、身元引受人になれるのは原則入居者の親族です。とはいえ高齢の保証人は入居者の責任を負えない可能性があるとして否認される場合があるため、注意しておきましょう。

多くの老人ホームでは、身元引受人になるための審査を実施しており、年齢や職歴、資産状況やその時の収入がチェックされます。審査の際には、収入を証明するための源泉徴収票や確定申告書を求められることが一般的です。

老人ホームに入居後に身元引受人を変更することはできる?

入居者にとっても、老人ホーム側にとっても身元引受人は重要な役割を担っています。ではもし身元引受人を承諾した方が、その役割を果たせなくなった場合はどうすればよいのでしょうか。

身元引受人が役割を果たせなくなった場合、老人ホームに申告すれば変更が可能です。新しく身元引受人になってくれる方が見つかり次第、再度老人ホーム側の審査をうける流れになります。身元引受人になってくれる方は、審査のために収入を証明するための書類を用意しておきましょう。

身元引受人と保証人がいない場合は?いなくても入居するための方法を解説

老人ホームでは入居時に、身元引受人を求められることが一般的です。しかし、老人ホームへの入居を検討してる方の中には家族や親せきと疎遠であったり、身内が存命でないために、身元引受人を頼めるあてがない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

実は身元引受人を頼める方がいない場合でも、老人ホームへ入居できる方法はいくつか存在しています。次の章では身元引受人を頼める方がいない場合でも、老人ホームへ入居するための具体的な方法を3点解説していきます。

保証会社を利用する

1つ目の方法は保証会社の利用です。保証会社とは、本来保証人や身元引受人が担うべき役割や責任を代行してくれる事業所です。保証会社は企業やNPO法人が行政書士や弁護士、司法書士などの法律のプロフェッショナルと提携して運営しています。

保証会社が提供する保証の内容は以下の通りです。

保証会社のサービス内容 説明
入居者が死亡した場合の、

身柄の受取り・葬儀・納骨

入居者に代わって老人ホームへの入居退去時の手続きを実施する。

また入居者が死亡した際の、身柄の受け取りや葬儀、納骨なども担当する。

入居者の金銭の管理 入居者に代わって、生活費や年金などの財産全般の管理を実施する。
入居者の暮らしのサポート 入居者に代わって市区町村に対する各種手続きを代行する。
老人ホームに入居するための

各種手続きの代行

入居者に代わって入居退去時の手続きをしたり、老人ホームに対する各種手続きを代行したりする。
入居者が利用料金を払えなくなった場合の保証 入居者が老人ホームの月額費用や公共料金を払えなくなった場合に、入居者に代わって支払いを実施する。
入居者が死亡した場合の利用料金の清算 入居者が死亡して、未払いの施設利用料金が存在していた場合に、入居者に代わって料金の清算を実施する。

保証会社の依頼料はサービス手厚さや企業によっても違いますが、利用料の相場は100万円前後と言われています。

保証会社を選ぶ際の注意点を2点紹介!

数ある保証会社の中からどれを選べばいいのか、悩む方もいらっしゃるのではないでしょうか。家族に負担をかけたくない想いで保証会社に依頼したのに、サービス内容が不十分で結局家族の助けを借りることになっては、元も子もありません。

ここからは保証会社のどのような点に注意して選べばいいのか、具体的なポイントを2点紹介していきます。

1つ目の注意点は、必ず2、3社で相見積もりをとることです。保証会社の相場を知らず1社のみに申し込みをした場合、金額面で大幅に損してしまう可能性があります。保証会社に勤めていたり、介護業界で働いていたりしない限り、保証会社に依頼するときの相場がいくらか把握している方の方が少ないのではないでしょうか。

2、3社で相見積もりをとることで大体の相場がわかるため、適切な選択ができるようになります。複数の会社で見積もりをとり、適切な価格を提示してくれる保証会社に依頼するようにしましょう。

2つ目の注意点は、依頼者の財産管理を信託口座でおこなっているかどうか確認することです。保証会社が入居者の財産を信託口座で管理している場合、財産が法律で保護されるため、保証会社は勝手に入居者の財産を使用できなくなります。保証会社が自社で入居者の財産を管理する場合、横領されたらどうしようと考える方は、大切な財産を守るためにも、契約前に財産管理を信託口座で行っているのかどうかを確認しておきましょう。

 

最後に、保証会社を選ぶ際に絶対に確認しておくべき内容を1点紹介致します。それは保証会社が万が一破綻した場合の対応です。

保証会社と契約する場合、利用者は最初に預託金を支払います。預託金とは、利用者が死亡した場合に葬儀や納骨を行うための前払い金です。

万が一保証会社が破綻した場合に、この預託金は全額返金されるのか必ず確認しておきましょう。その対応に納得できた場合のみ契約することをおすすめします。

成年後見制度を使用する

成年後見制度とは、認知症や知的障害などの理由で判断能力が低い方に対して、財産管理や諸契約のサポートを行う制度です。このサポートを行う方を成年後見人といいます。もし親族や知人に身元引受人を頼める方がいなくても、成年後見人を立てれば入居できる施設も多く存在しています。

成年後見人は、身元引受人や保証人に求められる役割である老人ホーム入退去時の手続きの代行や入居者の財産管理、施設の月額費用の支払い、行政に対する各種手続きの代行などを実施可能です。しかし、身元引受人や保証人に求められているすべての役割や責任を担えるわけではありません。

成年後見人が実施できない主な役割は2点あります。

  • 治療方針の決定
  • 身元の受け取り

成年後見人は入居者が患っていた疾患が悪化して、終末期に入った際の治療方針の決定ができません。また入居者が死亡した場合の、身柄の受け取りや施設からの退去作業、葬儀、納骨を実施することもできません。

もし老人ホーム入居のために成年後見人を立てる場合は、この2点をどのように対応するか決定しておきましょう。

成年後見人が選任するまでの期間は、1ヶ月から半年かかると言われています。期間が長いだけでなく、成年後見人の選任には多くの手間を要します。具体的には、申し立てを行うための資料集めや家庭裁判所での手続き、判断能力を確認するための面談など様々なステップを踏まなければなりません。

このようなことから、後見人の選任を望む場合は、余裕をもったスケジュールで動くようにしましょう。

参照:法務省「成年後見制度について

身元引受人不要の施設を選ぶ

数は少ないものの、老人ホームの中には身元引受人や保証人がいなくても入居可能な施設があります。ただこのような施設では、未払いや入居者が死亡してしまうような事態に備えて、預り金や保証金を求めることが一般的です。

預り金や保証金は100万円前後の所が多いと言われています。またオプションで、死亡後の葬儀の実施や納骨方法の選択をできる施設も存在しています。

身元引受人不要の老人ホームを選ぶ場合に注意すべきポイント

数は少ないものの、身元引受人不要の老人ホームの中には自分たちの利益や都合のよさを重視して、入居者から高い金額を得ようとする悪徳な施設も存在しています。身元引受人不要の老人ホームを選ぶ際には、金銭面でのトラブルに注意しておきましょう。

中でも以下に上げる2つの特徴が見られる老人ホームには注意が必要です。

・特定の保証会社への加入が義務付けられている場合

・成年後見制度が進められ、老人ホームの顧問弁護士などが成年後見人になる場合

もしこの2つの特徴が見られた場合には、前の章でも紹介したように自分で保証会社の相見積もりをとってみて、価格が適正か調べるなどをしたうえで判断するようにしましょう。

身元引受人は利用者の代わりを担う

いかがでしたでしょうか。今回の記事では、老人ホームの入居を考えている方や家族が老人ホームに入居する方にむけて、身元引受人の役割や責任、もし頼める人がいない場合の対応方法について解説してきました。記事の終盤では、保証会社や身元引受人不要の老人ホームを選ぶ際の注意点も紹介しました。ぜひ自分が入居する際に活用して、間違った選択による損をしないよう準備しておきましょう。

もし頼める家族がいなかったり、親族には極力負担をかけたくなかったりする場合には、今回紹介した3つの対応方法を検討してはいかがでしょうか。特に保証会社は、今回紹介したポイントに注意して選ぶようにしましょう。

身元引受人がいない場合のことや、保証人についてさらに知りたい方はこちらもご覧ください。


成年後見人は、探せばすぐ見つかる?
成年後見人を見つけるには、後見制度の申し立てから早くて1ヶ月ほど、長いと半年ほど期間が必要となります。もし身元引受人を依頼できる方がおらず、成年後見制度を使用する場合は、余裕をもって早めに動き出しましょう。詳しくはこちらをご覧ください。

身元引受人は複数人で引き受けても大丈夫ですか?
身元引受人は一般的に1人とされています。ただ施設によっては2人以上を求められる場合もあります。詳しくはこちらをご覧ください。
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