親の介護を考える際、多くの人が「本当に自分が介護をしなければならないのか?」という疑問を抱えています。
特に、親との関係が良好でない場合や経済的・体力的な理由から介護が難しいと感じる場合、この疑問はより深くなることでしょう。
本記事では、親の介護放棄の背景や法的な側面、そして別居していても介護の義務があるのかについて詳しく解説していきます。
【この記事のまとめ】
- 親の介護放棄が起こる原因は、金銭的・体力的な問題や家族との関係性などが考えられる。
- 親の介護については法的に義務があるため、原則として放棄できないが、過去に虐待や暴力をされていたケースなどでは介護の放棄が認められる場合もある。
- 別居している場合でも介護の義務はあるが、別居状態では日常的なサポートが難しいため、介護保険サービスを利用するのが一般的。
親の介護放棄が起こる原因は?
親の介護放棄が起こる背景には、さまざまな要因が考えられます。以下では、主な原因を3つの観点から詳しく見ていきます。
金銭的な問題
介護には多くの費用がかかります。特に、介護施設や定期的に訪問介護やデイサービスなどを利用する場合、月々の費用が高額になることが少なくありません。
また、介護に時間を取られてしまうことで介護者の働く時間が減少し、収入が減るケースも考えられます。このような金銭的な負担が重くなると介護を続けることが難しくなるため、放棄を考える人もいるでしょう。
さらに、経済的な困難が続くと、親の医療費や生活費のサポートも難しくなり、家族全体の生活が困窮する可能性もあります。
このような状況下での介護は、精神的なストレスも大きく、放棄を考える家族が増えるのも無理はないと言えるでしょう。
体力的な問題
介護は体力的にも精神的にも大きな負担となります。特に高齢の親の介護をする場合、介護者自身も高齢であることが多く、体力的な限界を感じることがあります。
また、夜間のトイレの介助や食事・入浴のサポートなど、24時間体制での介助が求められることも少なくありません。このような体力的な負担が続くと、介護放棄を考えることもあるでしょう。
さらに、介護者自身が病気になった場合や持病の悪化などで体調を崩すことも考えられます。このような状況では、介護を続けることが困難となり、放棄を選択する家族も少なくありません。
家族との関係性
親との関係が良好でない場合、介護に対する意欲が低くなることが考えられます。過去のトラウマや長年の確執など、家族間の複雑な関係性が介護放棄の一因となることもあります。
また、兄弟間で介護負担の分担がうまくいかない場合も、一部の特定の家族が過度な負担を感じ、介護放棄を考えることがあるでしょう。
さらに、親との関係が悪化することで、介護の質が低下するリスクも考えられます。このような状況では、家族全体の関係性の修復やサポートが必要となります。
施設への入居を検討しているという方は、ケアスル介護がおすすめです。
ケアスル介護では、全国約5万件の施設から相談者様のご希望条件に合った施設を紹介することが可能です。
施設入居を検討している方は、まずはケアスル介護の無料相談を利用してみましょう。
ピッタリの施設を提案します
親の介護は放棄できる?
親の介護を放棄することは、多くの人にとって大きな決断となります。しかし、実際に放棄することは可能なのでしょうか。
以下では、法的な側面や実際のケースをもとに、介護放棄の可能性について詳しく解説していきます。
法的には放棄することはできない
日本の法律上、親の介護を放棄することは原則として認められていません。親子の法的な義務として、親の生活を支える責任が子供にはあります。このため、経済的な理由や体力的な理由だけで介護を放棄することは難しいでしょう。
扶養義務があるのにも関わらず、親の介護を放棄した場合は保護責任者遺棄罪に該当し3カ月以上5年以下の懲役に科される可能性があります。
また、介護放棄をしたことによって親が死亡したりケガをした場合には保護責任者遺棄致死罪、保護責任者遺棄致傷罪に該当し、それぞれ3年以上20年以下、3カ月以上15年以下の懲役に科される可能性があります。
場合によっては放棄できる
一方で、親が過去に子供に対して虐待や暴力を振るっていた場合など、特別な事情がある場合には介護の放棄が認められるケースもあります。
このような場合、家庭裁判所に申し立てを行い、申し立ての妥当性が認められた際に、介護の放棄を正式に認めてもらうことが可能です。
しかし、このような手続きを行うためには、弁護士や専門家のサポートが必要となることが多いです。
別居していても介護をする必要がある?
多くの人が疑問に思うのが、別居している場合でも親の介護の義務があるのかという点です。
実際には、別居していても法的な親子の関係が続いている限り、介護の義務は存在します。ただ、別居している場合には、日常的な介護のサポートが難しいことも多く、専門の介護施設や訪問介護のサポートを利用することが一般的です。
「介護施設に親を入れることが、介護放棄である」という意見があるかもしれませんが、これは間違いです。
親に生活する場を提供できているため放棄とは異なります。施設入所を含め、介護サービスを十分に活用するのは当然ともいえます。すべて自分が介護しなければという想いが強いほど、介護放棄になりやすいともいえるのです。
施設への入居を検討しているという方は、ケアスル介護がおすすめです。
ケアスル介護では、全国約5万件の施設から相談者様のご希望条件に合った施設を紹介することが可能です。
施設入居を検討している方は、まずはケアスル介護の無料相談を利用してみましょう。
ピッタリの施設を提案します
まとめ
親の介護に関する問題は、多くの家族が直面する難しい課題の一つです。介護放棄の背景や原因、法的な側面などを理解することで、より適切な判断や対応ができるようになります。
子どもには親の生活を支える義務があるため、法的には親の介護を放棄することは認められていません。ただ、過去に虐待や暴力などを受けている場合には介護放棄が認められるケースもあります。詳しくはこちらをご覧ください。
別居している場合でも、親子の関係が続いている場合には介護の義務があるため、原則として介護放棄はできないでしょう。ただ、実際には距離的な問題もあり日常的にサポートするのが難しいため、介護保険サービスを利用するのが一般的となっています。詳しくはこちらをご覧ください。