認知症の家族をサ高住に入居させたいものの、その自由な雰囲気のなかで受け入れ体制やケアの内容不安を感じる方は少なくありません。
そこで本記事では、サ高住における認知症の方のを受け入可否や実際の受け入れ割合、入った場合に起こりうるリスクなどについて詳しくご紹介していきます。
サ高住がご家族に合った選択肢なのかを見極め、後悔しない施設選びの判断材料としてご活用ください。
サ高住は認知症でも入居できる!
結論からお伝えすると、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は認知症の方でも入居可能です。
「ケアスル 介護」に掲載されているサ高住のデータによると、認知症の方の入居が可能な施設は全体の約9割(1,860施設)(※)に上ります。
また、相談可能なサ高住は5%(99施設)、入居不可はわずか0.4%(7施設)となっており、多くのサ高住で認知症の方を受け入れていることがわかります。(※ケアスル 介護で掲載中のサ高住8,550件のうち、受け入れ可否が判明している1,966件対象)

もともとサ高住は、自立〜軽度の要介護状態の高齢者を対象とした賃貸住宅です。
そのため、すべてのサ高住で認知症の方を無条件で受け入れるわけではありませんが、近年の介護ニーズの高まりに伴い、認知症の方でも入れるサ高住は多くなっています。
一口にサ高住といっても環境やサービス内容は様々ですので、どのようなケアやサービスが受けられるかについては各施設ごとに確認しましょう。
一方で、実際にサ高住に入居している方のうち、認知症の方はどのくらいいるのでしょうか。

「ケアスル 介護」を通じてサ高住に入居された方のデータでは、認知症の方はおよそ1割にとどまることが分かりました。
認知症の方が入れるサ高住は多く存在しますが、基本的には自立した生活ができる方がメインとなるため、実際に認知症でサ高住に入居されている方は多くありません。
施設のなかでも、グループホームは認知症の方をメインで受け入れているため、受け入れ割合は他の施設と比べて多くなります。
認知症の進行度合いや必要なケアによっては、サ高住以外の施設もあわせての検討がおすすめです。
認知症の方がサ高住に入った時に起こりうるトラブル
認知症の方がサ高住に入ったときに起こりうるトラブルとしては、以下の3つがあります。
- 暴力・暴言・大声によるトラブル
- 徘徊・他室への侵入トラブル
- 金銭・盗難トラブル
サ高住への入居前には、これらのリスクを想定し施設側のサポート体制をしっかりと確認しておくことが重要です。
サ高住における各トラブルについて詳しく解説していきます。
暴力・暴言・大声によるトラブル
サ高住は個室での生活が中心であり、レクリエーションなどの集団生活を通じた入居者同士の交流は、住宅型有料老人ホームなどと比較して少ない傾向にあります。そのため、入居者同士のトラブルは他の施設よりも低いと言えるでしょう。
ただし、「大声」に関しては注意が必要です。個室であっても、認知症の進行などにより自室で昼夜問わず大声を出してしまうと「騒音トラブル」になるリスクがあります。
大声が見られる場合は、各部屋の防音がどれくらいなのかについても確認しておくと良いでしょう。
徘徊・他室への侵入トラブル
サ高住は賃貸住宅のように個室でプライバシーが守られている一方で、徘徊によって自分の部屋がわからなくなる、誤って他の入居者の部屋に入ってしまうといったトラブルが起こりやすいです。
サ高住は「住宅」としての性質が強いことから、特養やグループホームなどのようにスタッフが頻繁に見回りなどを行っているわけではありません。
そのため、他の施設に比べると徘徊や他の部屋に入ってしまうというトラブルは多くなるでしょう。
元看護師であり様々な介護施設で高齢者ケアに携わってきた菅原さんにお話を伺いました。


金銭・盗難トラブル
サ高住は自分の部屋に鍵をかけられるため、しっかりと施錠して自己管理を行っていれば、他の入居者が勝手に入ってくることはありません。
そのため、他の施設と比較して金銭の紛失や盗難トラブルのリスクは低い(防ぎやすい)環境だと言えます。
しかし、認知症が進行して鍵をかけ忘れてしまうことで、他の入居者が間違って入ってしまいトラブルになる可能性はあります。
また、外部の訪問介護スタッフが自室に出入りしている場合、自分が失くしたものであっても「物を盗まれた」と勘違いしてしまうケースもあるでしょう。
認知症の方がサ高住に入る際には、多額の現金を自室に置かない、貴重品は鍵のかかる引き出しに保管するなど、ご家族を含めた管理体制を整えておくことが大切です。
認知症でサ高住から追い出されてしまうケースは?
認知症の方でサ高住に入っても追い出されてしまう可能性が高いケースは以下の2つです。
- 身体状況の変化により対応しきれなくなった
- 認知症進行によって介護費用などが払えなくなった
サ高住は「賃貸住宅」としての性質が強く、自立した共同生活ができる方をメインに受け入れる施設です。
そのため、特に一般型のサ高住で認知症の症状により精神・身体状況が悪化すると、サポートの限界を超え退去を求められてしまう可能性があります。
各ケースについて、それぞれ詳しく解説していきます。
サ高住をはじめとした老人ホームにおいて、認知症の方が退去を促されてしまうケースについては以下の記事で詳しく解説しています。
身体状況の変化により対応しきれなくなった
サ高住はバリアフリー化された高齢者向けの「住宅」であり、介護や医療サービスを施設ですべて受けられるわけではありません。
元看護師であり様々な介護施設で高齢者ケアに携わってきた菅原さんにお話を伺いました。

特別養護老人ホーム(特養)や介護付き有料老人ホームのように、施設専属のスタッフが24時間体制で包括的な介護を提供する仕組みではありません。また、訪問介護を利用していても、頻繁なケアが必要な場合(10分に1回トイレに行きたい方など)は対応しきれない可能性が高いです。
そのため、入居後に身体状況が悪化してしまうと、施設側で安全な生活を支えきれなくなり、他の施設への住み替えを求められるリスクは、他の施設よりも起こりやすいと言えます。
認知症進行によって介護費用などが払えなくなった
特に一般型のサ高住において、介護サービスは利用した分だけ個別に費用が発生します。
特養や介護付き有料老人ホームのように、どれだけ介護を受けても介護費用が定額である施設とは異なり、サ高住では必要なケアが増えれば増えるほど費用が膨らんでしまいます。
そのため、費用を払えなくなり退去せざるを得ないケースは、他の施設よりも起こりやすいと言えます。
認知症なら介護型サ高住への入居が一般的
認知症の方がサービス付き高齢者向け住宅に入居する場合、「介護型」の施設に入るのが一般的です。
一般型サ高住と介護型サ高住の主な違いについて詳しく解説します。
一般型サ高住とは
一般型サ高住は、バリアフリーの賃貸住宅で見回りや生活相談などのサービスを受けられる施設です。主に自立して生活できる方を対象としており、認知症の方であっても症状が軽度であれば入居できる場合もあります。
介護が必要になった際は、外部の訪問介護サービスなどを契約して利用します。そのため、介護施設というよりは賃貸住宅の性質が強いといえるでしょう。
ただし、夜間は安否確認のみで緊急時の対応が限定的となるため、認知症が進行して常にサポートが必要になると退去を求められる可能性があります。
介護型サ高住とは
介護型サ高住は、都道府県から「特定施設入居者生活介護」の認定を受けた施設です。一般型と大きく異なる点は、施設の専属スタッフが24時間体制で常駐し、施設内で手厚い介護サービスを提供している点になります。
夜間も介護スタッフによる手厚い見守りや対応が受けられるため、徘徊や昼夜逆転といった症状がある中度から重度の認知症の方でも入居しやすくなります。
一般型のように症状の進行によって退去を求められるリスクも少なく、看取りまで対応可能な施設もあるため、将来にわたって長期的な安心感のある施設形態といえます。
厚生労働省の基準を満たし、都道府県から認定を受けた施設のみが提供できる介護サービスです。認定を受けた施設は「介護型」と名乗ることができます。
サ高住の認知症ケア①:見守り・声掛け
サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)では、スタッフによる「安否確認(見守り)」と「生活相談」が義務付けられています。
認知症の方にとって、定期的にスタッフが顔を出して声掛けをしてくれることは、孤独感を和らげ、体調の変化にいち早く気づいてもらえる安心感につながるでしょう。
しかし、あくまで「安否確認」がメインであるため、常にスタッフがそばで見守ってくれるわけではない点には注意が必要です。
弊社のケアアドバイザーである前北に、サ高住の見守りや声掛け体制について話を聞きました。

ただ、お部屋にはナースコールが大体ついているので、人員が多いサ高住であれば呼んだらすぐに来てくれますが、人員が少ないと来てくれるまでに時間がかかってしまうという差はあると思います。
このように、施設に配置されているスタッフの人数によって、緊急時の対応スピードには差が出ます。
認知症による不安感が強く、頻繁にスタッフを呼んでしまう可能性がある場合は、人員配置に余裕がある施設を選ぶことが大切です。
サ高住の認知症ケア②:生活援助
一般的なサ高住(一般型)では、掃除や買い物代行などのの生活援助サービスを利用可能です。
たとえば、認知症の方にある症状として「同じものを何度も買ってしまう」「部屋の掃除が難しい」「薬の飲み忘れがある」といった場合には、スタッフによるサポートをお願いできます。
ただし、施設によっては外部の訪問介護サービスを利用する必要があるケースもありますのでご注意ください。また、施設スタッフによるサポートの場合でもオプション料金となる可能性があります。
とはいえ、サ高住は基本的に「自分のことは自分で行う(自立・自由)」がコンセプトの住まいです。手取り足取りのサポートを期待すると、入居後にギャップを感じてしまうかもしれません。

ですので、ケアが手厚いとはちょっと言えないですね。もちろん対応はできますが、基本的には「自己責任」というスタンスになります。
認知症が進み、生活全般に見守りや手助けが必要な状態なら、一般的なサ高住はおすすめできません。最初から介護体制が整ったグループホームなどの方が安心なケースが多いでしょう。
サ高住の認知症ケア③:身体介護(介護型のみ)
サ高住には「一般型」のほかに、施設内に介護スタッフが24時間常駐している「介護型(特定施設に認定された)サ高住」があります。
食事、入浴、排泄の介助といった直接的な「身体介護」が必要な場合は、介護型のサ高住を選ぶのが一般的です。
たとえば、認知症によってお風呂を嫌がってしまったりトイレの失敗が増えてきたりしても、施設のスタッフが日常的にサポートしてくれるでしょう。
介護型のサ高住であれば、認知症によって日常生活が困難になっても手厚いケアに期待できます。

ほぼ「介護付き有料老人ホーム」と一緒の扱いになるので、施設側も認知症の方への対応には結構慣れていると思います。
前北の言葉通り、介護型は「介護付き有料老人ホーム」とサービスの質や体制が非常に似ています。そのため、認知症対応のノウハウを持ったスタッフが多く、安心して身体介護を任せることが可能です。
サ高住の認知症ケア④:レクリエーション
認知症の進行を緩やかにするためには、他者とのコミュニケーションや、脳・身体を動かす刺激がとても重要です。
サ高住の中には、日中に入居者同士で交流できるレクリエーションやイベントを企画しているところもあります。
一般的なサ高住は個室での生活が基本となるため、放っておくと自室に引きこもりがちになってしまう認知症の方も少なくありません。そうした孤立を防ぐため、施設側もさまざまな工夫を凝らしています。

「時間になったから出てきてください」と、半強制的にみんなで遊べる時間を毎日設けているような取り組みですね。
あとは、入居者さんの層に合わせて、男性が多ければ麻雀や将棋など、同じことができる人たちを集めてあげるような工夫をしている施設もあります。
このような取り組みがあるサ高住であれば、認知症の方でも自然と部屋から出る習慣がつきやすく、生活にメリハリを持たせることができます。
見学の際には、「日中、入居者の皆さんはどのように過ごしているか」「どんなレクリエーションがあるか」を確認してみるのがおすすめです。
認知症を受け入れているサ高住の費用相場
ケアスル 介護で掲載中の、認知症を受け入れているサ高住(1,286件)の費用相場(中央値)は、初期費用が158,000円、月額費用が191,000円です。
以下は、サ高住全体と認知症を受け入れているサ高住について、その初期費用と月額費用を比較したグラフとなります。

サ高住全体では、初期費用が160,000円、月額費用は183,330円です。認知症対応では人件費や設備費がかかる分、月額費用はサ高住全体よりも高くなっています。初期費用については、今回の調査では大きな差はありませんでした。
なお、月額費用に食費や光熱費などが含まれているかは施設によって異なります。そのため、最終的に月にいくらかかるのかは事前に確認しておきましょう。
また、サ高住で介護サービスを利用する場合は介護保険が使えます。介護保険を使う場合の負担割合は1~3割で、収入や世帯構成などによって変わりますのでご注意ください。

ピッタリの施設を提案します
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認知症の方が入れるサ高住の探し方

認知症の方が入居できるサ高住を探すときには、予算や必要になるケアや配慮などをもとに候補を絞り込んでいきます。
施設ごとに認知症の受け入れ基準や提供可能なケア内容が大きく異なります。施設探しを進める際は、希望条件を整理した上で複数の施設を比較検討しましょう。
サ高住を検討している場合は、認知症の受け入れ実績が豊富で、将来的な症状の進行にも対応できる「介護型」の施設を中心に探すのがおすすめです。
サ高住の探し方については、以下の記事で詳しく解説しています。
サ高住以外に認知症の方が入れる施設
サ高住以外で認知症の方を受け入れている施設について、本人の要介護度や必要とするサポート体制には主に4つの選択肢があります。
- グループホーム
- 特別養護老人ホーム
- 住宅型有料老人ホーム
- 介護付き有料老人ホーム
まず、認知症ケアに特化した少人数制がよい場合は「グループホーム」がおすすめです。
また、要介護度が高く費用を抑えながら終の棲家として長期的なケアを受けたい場合は公的な「特別養護老人ホーム」が、手厚い介護が必要になった場合は「介護付き有料老人ホーム」や「住宅型有料老人ホーム」が考えられます。
各施設についてはそれぞれ以下の記事で解説しておりますので、ぜひご覧ください。
まとめ
認知症の方が入居できるサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は多数存在します。入居者の症状や予算に合わせた施設選びが重要です。
【本記事の重要なポイント】
- 認知症の方でサ高住を希望する場合は、受け入れ体制が整った介護型サ高住が安心。
- 入居前に、夜間の見守り体制や将来の退去要件を必ず確認する。
- グループホームや特養などの代替施設も同時に比較検討する。
施設探しは、入居希望者の現在の状態と将来の進行リスクを見据えて行います。要介護度や認知症の周辺症状に合致する施設を個人で探し出すことは困難です。
全国の施設データベースを持つケアスル 介護を活用し、専門の相談員とともに最適な入居先を見つけてください。