サ高住とは、基本的に自立度が高く、食事や入浴などの日常生活を問題なく送れる高齢者を入居対象者とするサービス付きの住宅型施設です。
対して老人ホームとは、自立度が高い人だけでなく、介護や医療が必要な人や認知症の症状がある高齢者などを幅広く受け入れる、介護や医療サービスを受けながら生活をするための施設です。
この記事では、老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅(通称:サ高住)それぞれの違いはどこにあるのか、徹底解説していきます。
- この記事のまとめ
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- サ高住と老人ホームの最大の違いは、施設内で介護サービスが提供されているか提供されていないかという点にある。
- サ高住は老人ホームに比べて比較的まだ元気な高齢者向けの施設であり、好きな時間に外出ができたりと生活の自由度が高い。
- サ高住と老人ホームはどちらも施設によって金額が異なり、一概にどちらの方が高い・安いということはない。
サ高住と老人ホームの違いを6つの項目で詳しく解説
サ高住と老人ホームの最大の違いは、施設内で介護サービスが提供されているか提供されていないかという点にあります。
一般的に老人ホームは日常的な介護を要する方向けの施設であるため、施設内で食事や入浴などの介護が提供されてます。
一方でサ高住はまだ比較的元気な方向けの賃貸住宅であるため、住宅内で介護サービスの提供がされていないことが大きな違いと言えるでしょう。
本章では、サ高住と老人ホームの違いを細かく項目別に紹介していきます。以下の表の通り、介護施設に入居する際に気になる6つの視点で違いを紹介していきます。それぞれの違いを見ていきましょう。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) | 老人ホーム | |
特徴 | バリアフリー設計がされた住宅。支援・援助は少なく、自立した方に向けて一部生活補助等を行っている施設 | 健康を維持しながら暮らすことを目的にした
施設。 介護サービスや生活支援、レクリエーション などを受けながら住むことができる施設 |
入居条件 | 60歳以上、もしくは要介護要支援認定を受けている60歳未満・自立~要介護5
※要介護度の指定は施設によって異なるが、身の回りのことは自分でできる方のみ原則入居可能 |
60歳もしくは65歳以上・自立~要介護5
※要介護度の指定は施設によって異なる |
契約方式 | 賃貸借契約方式 | 利用権方式 |
費用 | 入居金・敷金:0~1,000万円
月額費用(賃料):8~20万円 |
入居金:0~1,000万円
月額費用:5~50万円 |
サービス内容 | 生活相談、安否確認など | ・買い物、掃除、食事などの生活援助
・入浴介助、リハビリなどの介護サービス ・レクリエーションや娯楽 |
介護サービスの提供有無 | 一般型サ高住×
介護型サ高住では提供されている |
介護付き有料老人ホームでは提供されている |
生活様式 | 個人生活がメイン | 集団生活がメイン |
生活の自由度 | 〇 | △ |
施設・設備 | 居室面積25㎡以上 | 居室面積13㎡以上 |
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ポイント①:入居条件
入居条件は、どちらも基本的に60歳もしくは65歳以上・自立~要介護5で同じですが、施設によって大きく異なります。自立している方しか受け入れていない施設もあれば、要介護1以上の方しか受け入れていない施設もあり、一概にどちらの方が条件が良いということはありません。
ただ、一般型サ高住は自立した生活をできる方を想定しているため、たとえ要介護度が低くても身の回りのことが自分でできない場合は入居が難しくなります。一方、有料老人ホームは施設側が生活援助・生活介助サービスを提供しており、寝たきりの方でも入居できるところはあります。
ポイント②:契約方式
サービスを利用する際の契約方式が、それぞれで異なります。有料老人ホームは施設を利用する権利を購入して利用する「利用権方式」であるのに対して、サービス付き高齢者向け住宅は主に「賃貸借契約方式」である点が異なります。
有料老人ホームは、施設を利用する権利に合わせて食事・清掃・生活介助などのサービス利用費用も含まれており、施設全体を利用する権利として購入します。一方サ高住の場合は、住居の賃貸借契約のみを結ぶため、必要に応じて食事などの住居サービスを自身で選択し、契約する必要があります。
建物賃貸借契約の場合は相続可能
サービス付き高齢者向け住宅の契約方式は、「建物賃貸借契約」と「終身建物賃貸借契約」があります。建物貸借契約の場合は、契約者が死亡した場合でも、借地権が同居する配偶者や親族に相続されれば契約は継続されて、住み続けることができる場合もあります。終身建物賃貸借契約は、契約期間がなく、契約者が終身住み続けることができるものです。
ポイント③:費用
サ高住と有料老人ホームの費用は、月額でトータルするとそんなに大きく変わりません。どちらも施設によって金額が異なるため、一概にどちらの方が高い・安いということはないと思ってよいでしょう。
介護施設の費用は、入居前に支払う入居一時金と、入居中に支払う月額費用の2種類に分かれます。ここでは、サ高住と有料老人ホームの入居一時金・月額費用を比較して紹介します。
サ高住の費用はこちらの記事で、有料老人ホームの費用はこちらの記事で詳しく解説しています。
サ高住にかかる費用
サービス付き高齢者向け住宅を利用するには、入居の際に入居一時金と、月々の月額利用料がかかります。賃貸借契約であるサービス付き高齢者向け住宅では、入居の際の一時金は敷金や礼金という扱いになる場合もあります。
そのため、途中で解約して退去する場合は、原状回復費などを差し引いて敷金が残るなら、残金を返金してもらえる点が特徴です。月額利用料はいわば家賃であり、これには居住費だけではなく、管理費がかかる場合もあります。
入居の際にかかる費用は全国で見ると52.9万円が平均であり、中央値は12.5万円です。月額利用料は平均が18万円であり、中央値は16.2万円です。施設によってばらつきが多いため、費用は平均ではなく中央値を参考にすると良いでしょう。
有料老人ホームにかかる費用
有料老人ホームもサービス付き高齢者向け住宅と同じで、初期費用として入居一時金が、月々の費用として月額利用料がかかります。入居一時金は家賃の前払いの扱いであり、施設の運営のために使用されます。
介護付き有料老人ホームの例では、入居一時金の全国平均は793万円、中央値は355.5万円です。地方では数万円から数十万円というところもありますが、都心部では数百万から数千万の入居一時金が必要となる場合もあります。入居一時金が不要だと初期費用は安く済みますが、その分前払いの家賃がないために、月々の利用料が高くなることもあります。
また、入居一時金は償却されるものであり、施設によって償却率や償却期間が異なることは覚えておきましょう。そのため、高額な費用を支払ったとしても、退去までに償却できなかった場合は基本その残金の払い戻しを受けられます。
月額利用料は全国平均が29.9万円であり、中央値は25.7万円です。月額利用料には家賃に該当する居住費だけではなく、施設の管理費や食費が含まれます。その他日常生活にかかるおむつ代や理美容の費用などがかかります。
ポイント④:居室の広さ(面積)
サービス付き高齢者向け住宅は、居室の広さが規定されており、基本的には25平方メートル以上となります。ただし、キッチンやリビングといったスペースが併設されている場合は、18平方メートル以上となり、居室の要件は変動します。
また、サービス付き高齢者向け住宅は1人暮らしだけではなく、夫婦など世帯で入居することも可能であり、世帯での利用の場合は、規定よりもさらに居室は広くなることが一般的です。
一方有料老人ホームは、個室が原則となります。床面積が13平方メートル以上と規定されています。居室面積はサ高住の方が広いと言えるでしょう。
ポイント⑤:提供サービス
一般型のサ高住は生活相談・安否確認サービスにとどまるのに対して、有料老人ホームは生活支援・食事・清掃・生活介助など、さまざまなサービスを提供しています。
また、有料老人ホームの場合はレクリエーションやイベントなどの娯楽も豊富です。サービス付き高齢者向け住宅でもレクリエーションなどがないわけではありませんが、有料老人ホームよりは少ないと考えましょう。
そのため、提供しているサービスの幅広さや多さという観点で見ると、有料老人ホームの方に軍配が上がります。ただ、これは有料老人ホームの方が優れているというわけではなく、サ高住は「高齢者が自立して生活することを支援する」ことが目的なので、サービスを提供しすぎず、入居者自身の自立した生活を支えているのです。
ポイント⑥:生活様式・生活の自由度
日常生活における自由度は、サービス付き高齢者向け住宅のほうが高いです。賃貸借契約であるサービス付き高齢者向け住宅は、通常の賃貸住宅と同じ扱いであるため、自由に外出できます。また、外泊などにも許可は不要であり、日常生活における選択は、すべて個人の自由で行える点が特徴です。
一方有料老人ホームでも外出はできますが、その都度届け出が必要です。個人の健康状態によっては高頻度で外出もできますが、届け出が必要であることからサービス付き高齢者向け住宅に比べると自由度はやや低いといえます。
また、有料老人ホームは食事や清掃、レクリエーションなどの時間が施設ごとに定められており、比較的集団での生活が多くなります。その点からも自由度は低いと言えるでしょう。
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サ高住と老人ホームの違いのまとめ
サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームにはさまざまな違いがあり、介護度や目的に応じて使いわけることが大切です。どのような違いがあるのかを把握しておくことで、どちらを利用すると良いのかが判断しやすくなります。
高齢者にとって自立した生活を送ることや、豊かなシニアライフを送ることは人生を楽しむために重要です。老後の生活を存分に楽しむためにも、それぞれの違いを正しく把握して、最適なサービスを選びましょう。
サ高住と老人ホームの最大の違いは、施設内で介護サービスが提供されているか提供されていないかという点にあります。
サ高住は日常生活を問題なく送れる高齢者向けの賃貸住宅であるため、利用時間や各種サービスの利用時間といった縛りがなく、自由に生活できるという特徴があります。