「介護保険を利用したいけど、申請に必要なものが分からない」
突然介護保険を利用しなければならない状況になった人であれば、このような悩みを持つこともあるでしょう。
介護保険を利用するには、要介護認定を受ける必要があり、認定を受けるためにはいくつかの書類を自治体の窓口に提出しなければなりません。事前に知っていればスムーズに申請することができますが、専門的な知識ゆえに知らないという人も少なくないのではないでしょうか。
この記事では、介護保険の申請に必要なものや申請の流れ、申請する際の注意点について紹介します。
参考になれば幸いです。
介護保険の申請に必要なもの
介護保険申請に必要なものは、以下の通りです。
- 介護保険要介護認定・要支援認定申請書
- 介護保険被保険者証(65歳の誕生日前までに郵送されている)
- 主治医の氏名・医療機関名・所在地・電話番号
- 個人番号(マイナンバーの確認ができるもの)
- 身元確認ができるもの(顔写真付きの身分証等)
前述のように、介護保険を利用するには要介護認定を受ける必要があります。
要介護認定とは、介護の度合いを客観的に判断しいくつかの段階に分けたものであり、日常生活を送るうえでどの程度の介護(介助)を必要とするかを表したものになります。
この要介護認定を受けるためには、各自治体が定めた必要書類を提出しなければなりません。
なお、65歳以上の方と40歳~64歳の方では必要書類が異なるため注意が必要です。
以下で、介護保険申請に必要なものについて詳しく紹介していきます。
本人が提出する場合に必要なもの
本人が提出する場合は、以下の書類が必要になります。
65歳以上の方(第1号被保険者)
- 介護保険要介護認定・要支援認定申請書
- 介護保険被保険者証(65歳の誕生日前までに郵送されている)
- 主治医の氏名・医療機関名・所在地・電話番号()
- 個人番号(マイナンバーの確認ができるもの)
- 身元確認ができるもの(顔写真付きの身分証等)
40歳から64歳の方(第2号被保険者)
- 介護保険要介護認定・要支援認定申請書
- 医療保険の被保険者証
- 主治医の氏名・医療機関名・所在地・電話番号
- 個人番号(マイナンバー)の確認ができるもの
- 身元確認ができるもの(顔写真付きの身分証明証等)
出典:豊島区
64歳以下の方の場合は、介護保険被保険者証が発行されていないため、代わりに医療保険被保険者証が必要になります。
また、これらの書類は、豊島区における必要書類になり、各自治体によって必要書類がわずかに異なる可能性があります。
申請を行う際は、事前に自治体のホームページや福祉担当窓口で確認するようにしましょう。
本人以外(ご家族や代行業者)が提出する場合に必要なもの
本人ではなく代理人(家族や居宅介護支援事業者等)が提出する場合は、上記の書類に加え以下の書類の提出が必要になります。
- 代理権の確認ができるもの(委任状等)
- 代理人の身元が確認できるもの(顔写真付きの身分証等)
出典:豊島区
この2点については、各自治体によっては提出を求めないケースもあるため、事前に申請先の自治体の窓口やWebサイトで確認するようにしましょう。
以下では、各必要書類について詳しく紹介していきます。
介護保険要介護認定・要支援認定申請書
介護保険要介護認定・要支援認定申請書(以下、申請書)とは、介護保険サービスを利用するにあたって必要な要介護認定を受けるための申請書です。
なお、65歳以上の方と40歳から64歳の方で記入する内容が異なるため、注意が必要です。自治体によっては、ホームページに記入例を載せているところもあるため、書き方が分からない場合は参考にするといいでしょう。
各自治体の窓口で受け取るか、ホームページからの印刷によって入手できるため、事前に準備しておきましょう。
介護保険被保険者証
介護保険被保険者証は、各自治体が発行するものであり、65歳以上の方全員に交付されます。
交付を受けるために特別な申請をする必要はなく、65歳の誕生日を迎える月に自治体から自動的に交付されます。もし、手元になく紛失してしまったという場合には、自治体の介護課に連絡し再発行してもらうようにしましょう。
なお、40歳から64歳の方は、介護保険被保険者証の代わりに医療保険被保険者証が必要になるため、注意が必要です。
主治医の名前・医療機関名・所在地・電話番号
主治医については、申請書に記入して提出という形になります。
申請書に、主治医の名前・医療機関名・所在地・電話番号等の情報を記入する欄があるため、記入して提出するようにしましょう。なお、主治医の欄には、概ね3か月以内に受診しており、現在の心身の状況を把握している医師を記入するようにしましょう。介護保険の申請前に改めて受診するのも1つです。
主治医がいないという場合には、自治体の窓口に相談してみましょう。
個人番号(マイナンバー)の確認ができるもの
個人番号(マイナンバー)の確認ができるものも用意する必要があります。
個人番号(マイナンバー)の確認ができるものの例として、以下のものが挙げられます。
- 個人番号(マイナンバー)カード
- 通知カード
- 個人番号(マイナンバー)の記載がある住民票の写し
申請を行う際には、どれかひとつを用意するようにしましょう。
身元確認ができるもの
申請を行う際には、本人または代理人(家族や居宅介護支援事業者等)の身元確認ができるものが必要になります。
身元確認ができるものとして、以下のものが挙げられます。
- 運転免許証
- パスポート
- 個人番号(マイナンバー)カード
- 障害者手帳
なお、原則として本人の顔写真がついているものに限られるため、注意が必要です。
代理権の確認ができるもの
介護保険の申請を本人ではなく、家族や居宅支援事業者等の代理人が行う場合、代理権の確認ができるものが必要になります。
代理権の確認ができるものとして、「委任状」がこれに当たります。委任状は申請書と同様に各自治体の窓口で受け取るか、ホームページから印刷することで入手することができます。
代理人が申請を行う場合には、本人に委任状を記入してもらい、その他必要書類と併せて提出するようにしましょう。
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介護保険申請の流れ
介護保険申請の流れは、以下の通りです。
「申請に必要なものは理解できたけど申請後の流れが分からない」という方も少なくないのではないでしょうか。
そのような悩みを解決すべく、申請からその後の流れについて詳しく紹介していきます。
- 必要書類の提出
- 訪問調査
- 主治医意見書の作成
- 一次判定
- 二次判定
- 認定結果の通知
それでは、1つずつ詳しく見ていきましょう。
1. 必要書類の提出
まずは、前述の申請に必要なものを準備し提出しましょう。
お住いの地域にある自治体の担当窓口が提出場所に当たります。
なお、必要書類は各自治体によってわずかに異なる可能性があるため、事前に確認するのが望ましいと言えます。
2. 訪問調査
必要書類の提出を行い申請が受理された場合、訪問調査が行われることになります。
訪問調査とは、自治体の職員や委託されたケアマネージャーなどが申請者本人の自宅を訪問し、心身の状態や介護状況、日常生活、家族や住まいの環境などについて調査するというものです。
調査項目については、以下の通りです。
1. 身体機能・起居動作
- 麻痺の有無、関節の動きの制限
- 寝返りや起き上がりの可否
- 立位や座位の保持の可否
- 視力や聴力
2. 生活機能
- 移乗や移動の可否
- 食事の状況
- 排せつや排便の可否
- 歯磨きや洗顔、整髪の状況
- 衣類の着脱
3. 認知機能
- 意思の伝達の可否
- 生年月日や年齢を言えるかどうか
- 居場所を理解しているか
- 徘徊の有無
4. 精神行動障害
- 被害妄想や作り話
- ひどいもの忘れ
- 情緒不安定
- ものを破壊する
5. 社会生活への適応
- 薬の内服
- 金銭の管理
- 買い物
- 調理
- 集団行動の可否
訪問調査では、普段よりも張り切ってしまう高齢者の方も多く、調査員の方に実態が伝わらないこともあります。そのようなケースを避けるためにも、必ずご家族の方も立ち会い、調査終了後に普段の様子を伝えるなどして、適切な認定を受けることができるよう注力しましょう。
3. 主治医意見書の作成
訪問調査後は、自治体の依頼により主治医意見書の作成が行われます。
訪問調査で確認した、本人の心身状態について、主治医に医学的な意見を求めるために行うものです。自治体が主治医に直接作成を依頼するため、本人やご家族が主治医に依頼する必要はありません。
なお、主治医がいない場合には、自治体が決めた医師の診断を受ける必要があるため、把握しておきましょう。
一次判定
主治医意見の作成が済んだ後、一次判定が行われます。
一次判定とは、訪問調査時の調査結果と主治医意見書を基に、必要事項をコンピューターに入力し要介護度を決めるというものです。
二次判定
一次判定の後、二次判定が行われます。
二次判定とは、一次判定の結果や訪問調査時の調査結果、主治医意見書を基に、保険・医療・福祉の専門家が介護や支援が必要か、またどの程度必要なのかを判定するものであり、要介護度や要支援度を決める最終判断となります。
主に訪問調査時や主事意見書に記載されている特記事項を判断材料とし、コンピューターで判断することができない、より複雑で専門性の高い判定がなされます。
認定結果の通知
二次判定を行った後、結果について通知が行われます。
結果というのは、本人の要介護度についてであり、介護や支援が必要かどうか、またどの程度必要かを判断し認定したものになります。
要介護度は7段階あり、介護度の低い方から順に要支援1・要支援2・要介護1・要介護2・要介護3・要介護4・要介護5となっています。
また、判定の結果、非該当(自立)と認定されることもあり、その場合は介護保険のサービスを受けることはできません。ですが、介護予防事業等や高齢者保健福祉サービスであれば利用できる可能性があるため、まずは自治体の窓口に相談してみましょう。
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介護保険申請のする際のポイント
介護保険申請をする際のポイントとして、以下の3つが挙げられます。
- 要介護者に該当するか事前に確認する
- 訪問調査には必ずご家族も立ち会う
- 要介護認定の結果に不満がある場合は問い合わせが可能
介護保険申請は、必要書類の提出から認定結果の通知までおよそ1か月程度かかります。決して短い時間ではないため、認定結果が不適切であった場合は、かけた時間や手間が無駄になってしまいます。
そのようなケースを避けるためにも、以下のポイントを把握しておくといいでしょう。
要介護者に該当するか事前に確認する
まずは、申請前に要介護者に該当するか確認することを推奨します。
前述のように、介護保険申請は、必要書類の提出から認定通知を受けるまでおよそ1か月という、決して短くない時間がかかります。それに加え、要介護者だと判断されず非該当(自立)と認定された場合には、そもそも介護保険サービスを受けることができないという事態になってしまいます。
時間や手間の浪費を避けるため、まずは要介護者に該当するか確認するようにしましょう。
訪問調査には必ずご家族も立ち会う
訪問調査にはご家族の方も必ず立ち会うようにしましょう。
前述のように、訪問調査では、いつもより張り切ってしまう高齢者の方も少なくありません。それに加え、ご本人が認知症を患っている場合は、できないことをできると言ってしまう場合もあります。このようなケースでは、調査員の方に実態が伝わらず、適切な認定を受けることが難しくなってしまいます。
そのため、訪問調査の際にはご家族の方が必ず立ち会い、普段の様子を伝えるなどして実情を伝えられるよう注力しましょう。
「日常生活での本人の様子をメモする」「具体的なエピソードを用意する」等の方法で伝えてみると、調査員の方も普段の様子をイメージしやすくなるかもしれません。
要介護認定の結果に不満がある場合は問い合わせが可能
要介護認定の結果に不満がある場合は、自治体の担当窓口へ問い合わせすることが可能です。
自治体の担当窓口へ問い合わせることで、訪問調査結果や主治医意見書等の認定結果の元となった資料を閲覧することができます。特に主治医意見書は認定結果に大きな影響を持つため、よく読んで確認しましょう。
資料を確認し、それでも認定結果に納得がいかない場合は、介護保険審査会という機関に不服申し立てを行うことができます。
要介護認定の結果に不当な点がないかを審査したうえで、申し立てが妥当なものだと判断された場合は、要介護認定の結果を取り消し、改めて審査をやり直すことになります。
ただ、認定結果の取り消しの審査に加え、もう一度要介護認定の審査を行うため、時間がかかることを覚悟する必要があります。
まとめ
介護保険申請に必要なものをはじめ、申請後の流れや申請する際のポイントについて紹介しました。
要介護度によって、使用できるサービスや制度、また自己負担額なども変化するため、介護保険の申請は、これからの介護状況を左右する大事な出来事です。
申請を行う前から入念に準備をし、納得のいく認定結果になるよう注力しましょう。
65歳以上の方と40歳~64歳の方で必要なものは変わりますが、「介護保険要介護認定・要支援認定申請書」「介護保険被保険者証」「主治医について」「個人番号の確認ができるもの」「本人の身元を確認できるもの」が必要になります。詳しくはこちらをご覧ください。
お住いの地域にある自治体の担当窓口に提出しましょう。詳しくはこちらをご覧ください。