• 介護保険
  • 【公開日】2021-01-12
  • 【更新日】2023-01-26

介護保険制度の改正内容|平成30年度の改正内容をわかりやすく解説

介護保険制度の改正内容|平成30年度の改正内容をわかりやすく解説

介護に関するサービスを受けるなら、介護保険制度についての理解を深めておくことが大切です。介護保険を利用することで、介護サービスにかかった費用を軽減でき、金銭的な負担は少なくなります。

また、介護保険の制度は定期的に改正されており、令和2年現在では直近だと平成30年度に改正が実施されています。制度の基本的な概要や平成30年度の改正内容を把握して、現行の介護保険制度がどのようなものなのかを知っていきましょう。

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介護保険制度について

まずは介護保険制度がどのようなものなのかを知っておきましょう。介護保険制度は介護が必要な高齢者をサポートするための制度であり、市区町村が保険者となって、被保険者が利用する介護サービスの費用を一部負担するというものです。

つまり、被保険者である高齢者は保険料を支払い、それによって健康保険のように一定額の負担で介護サービスが利用できていると考えましょう。本来なら高額な費用がかかる介護サービスも、介護保険を利用することで自己負担分は少なくなります。

介護保険制度に関わる被保険者

介護保険制度に関係している被保険者は第1号被保険者と第2号被保険者の2つの分類があり、それぞれで該当する人が異なります。第1号被保険者は65歳以上の人であり、第2号被保険者は40~64歳までの人です。

ただし、実際に介護サービスを利用するには、年齢の条件だけではなく、他にも身体的な要件を満たす必要があることは覚えておきましょう。

介護保険のサービスを利用できる対象

第1号被保険者に該当する人のうち、要支援や要介護の認定を受けている人は、介護保険のサービスを利用できます。第2号被保険者は特定の疾病と診断されている人であり、次のものが該当します。

  • 末期がん
  • 筋萎縮性側索硬化症
  • 後縦じん帯骨化症
  • 骨折を伴う骨粗しょう症
  • 多系統萎縮症
  • アルツハイマー病
  • 脳血管性認知症
  • 脊髄小脳変性症
  • 脊柱管狭さく症
  • ウェルナー症候群など
  • 糖尿病性神経障害
  • 糖尿病性腎症
  • 糖尿病性網膜症
  • 脳出血
  • 脳梗塞
  • 進行性核上性麻ひ
  • 大脳皮質基底核変性症
  • パーキンソン病
  • 閉塞性動脈硬化症
  • 関節リウマチ
  • 肺気腫
  • 慢性気管支炎
  • 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

第1号と2号では年齢だけではなく、要支援や要介護の認定、疾病の条件などが異なることは覚えておきましょう。

 

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平成30年度の介護保険制度改正とは

介護保険制度の基本的な概要を押さえたうえで、平成30年度ではどのような制度改正があったのかを知っておきましょう。平成30年度における介護保険制度の改正は、次の4つの内容が柱となっています。

  • 地域包括ケアシステムの推進
  • 自立支援、重度化防止に向けた保険者機能の強化
  • 介護人材の確保、生産性を向上
  • 介護保険制度の安定性・持続可能性を確保

これら4つの内容に照らしながら制度の改正や変更が行われており、より良い介護サービスを利用できるように、時代の流れに即した変革が行われています。

なぜ介護保険制度は3年ごとに見直しが行われるのか

そもそも介護保険制度は3年ごとに改正が行われており、平成30年で初めて実施されたわけではありません。保険制度の設立は2000年からであり、ここから毎年3年ごとに改正や見直しが行われていることは、覚えておきましょう。

3年ごとに制度の見直しを行うのは、介護保険の制度を問題なく運営するためであり、時代の流れに合わせて制度の細かい内容を変更する必要があるからです。

つまり、3年ごとに制度はブラッシュアップされており、その時代に合わせた保険サービスを提供することで、高齢者のより良い暮らしの実現を目指しているといえます。日本は少子高齢化の進行など、年々社会構造が変化しているため、これに対応するためにも3年ごとの見直しは重要といえるでしょう。

地域包括ケアシステムの推進

高齢者が住みやすい環境を作るためにも、地域包括で行う介護ケアシステムの推進が、制度改正によってさらに図られています。

その地域に住む高齢者、およびその家族が介護や医療についての相談をしやすい仕組みづくりを考えたり、介護などのサービス事業者とのマッチングを促したりすることが、地域包括ケアの役割です。

現状地域包括支援センターのように、幅広い問題に対応している機関は存在し、これをさらに推進して、業務改善やサービスの質の向上を目指すことが、平成30年度の制度改正では目指されています。

介護保険制度の持続可能性の確保

介護保険制度を持続していくには、適切に保険料を受け取り、かつ財源が破綻しないように運用しなければなりません。少子高齢化が進行している日本においては、高齢者の数が増加しているため、介護保険を利用する人は増えています。

つまり、保険を利用する人が増えると、その分介護サービスの費用を一部負担する自治体に金銭的な負荷がかかり、場合によっては財源不足となってしまうこともあります。

そのため、保険サービスを提供し続けるには、安定して財源を確保する必要があり、制度改正ではこのための取り組みも検討されているでしょう。また、介護サービスの利用者に負担が増えないように、適正なサービスの提供を目指す動きもあります。

現役並みの所得利用者は3割負担

介護保険を利用した場合は、介護サービスの利用にかかった費用のうち、1~3割程度が自己負担となります。平成30年度の改正によって、年金を合わせた所得が340万円以上の人は、自己負担が3割となりました。

また、これは単身世帯の場合であり、2人以上の世帯の場合は、年金を合わせた所得が463万円以上の場合に、3割負担となります。所得の金額によって介護サービスで支払う自己負担は変動し、金銭的な余裕が少ない人ほど、1割などの安い自己負担金額で介護サービスが利用可能です。

高額介護サービス費もチェックしておこう

一定額以上の介護サービス費を支払っている場合は、高額介護サービス費として、払い戻しを受けられます。これは平成30年度ではなく平成29年度に改正が行われており、世帯の誰かが市区町村民税を課税されている場合は、介護サービス費の負担上限が4万4,400円となりました。

以前は3万7,2000円であり、平成29年度の改正によって、高額介護サービス費と認められるための自己負担上限が引き上げられ、金銭的な負担はやや大きくなっているでしょう。

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総報酬割の導入

平成30年度からは総報酬割の制度が導入されており、これによって高所得者ほど保険料の負担は大きくなっています。所得によって保険料は異なり、特に第2号被保険者に関係する問題であるため、この点も理解しておきましょう。

簡単にいえば高所得者ほど保険料を多く支払い、低所得者は少ない保険料負担で介護保険を適用できるというものです。所得に応じて保険料を変更することで、低所得者は金銭的な余裕を持ちやすく、かつ少ない保険料で介護保険のサービスを利用できるようになっています。

要支援・要介護認定の有効期限が延長

第1号被保険者に関係する要支援や要介護の認定の有効期間が、24ヶ月から36ヶ月に変更となった点も、平成30年度の改正の大きなポイントです。従来よりも長期間要支援や要介護の認定を受けられるため、更新の手間が少なくなっています。

認定の更新の際には対象者本人はもちろん、その家族に負担がかかることもあり、時間的なコストが削減される点では、大きなメリットといえます。

要支援・要介護認定とは

そもそも要支援や要介護の認定とは、その人がどの程度の行動や生活を自立して行えるかを判断するための基準であり、受けるべき介護サービスを見極めるための指標でもあります。

要支援は1~2、要介護は1~5で設定されており、数字が大きいほどより多くの手助けを必要とします。また、要支援よりも要介護のほうがサポートの必要性は高く、要介護5がもっとも周囲からの助けが必要な状態です。

この認定を受けることで、利用すべき介護サービスを判断しやすくなり、適切なサービスを受けてより良い環境で暮らしやすくなります。

介護サービスは、要支援や要介護のレベルに応じて受けられるもの、受けられないものが分けられているため、どの段階に認定されるかによって、利用できるサービスが違ってくることも覚えておきましょう。

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新たな介護保険施設の「介護医療院」が設立

平成30年度の改正では、介護医療院と呼ばれる、新たな介護保険施設の設立が取り決められました。これは、既存の介護療養病床に代替するものであり、医療的なケアが行えることが特徴です。医療的なケアを必要とし、かつ長期間の療養が必要な高齢者に向けた施設であると考えましょう。

介護医療院の利用対象者

介護医療院が利用できるのは、介護保険の第1号被保険者と第2号被保険者です。ただし、第1号被保険者は要介護度が1~5の人が対象であり、要支援の人は利用できない点には注意しなければなりません。

介護療養病床との違いとは

既存の介護療養病床との違いは、生活施設であるかどうかという点です。介護医療院は高齢者に向けて医療的なケアを行う場所であると同時に、生活施設でもあります。

対して、介護療養病床は医療的なケアを専門的に行うための施設であり、生活施設ではありません。この点が、介護医療院との大きな違いです。なお、介護療養病床は2023年度末に廃止される予定であり、その受け皿として介護医療院が設立されています。

 

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福祉用具貸与の見直し

福祉にかかわる用具の貸与、つまりレンタル料金についての取り決めも、平成30年度の制度改正でなされています。これまでは福祉用具のレンタル料金は業者によって異なり、どこを利用するかによってかかる費用は違っていました。

しかし、この状態では利用者はどの程度の費用が適切なのかがわからず、場合によっては損をしてしまうこともあります。つまり、レンタル料金で利用者が損失を被らないように取り決めをしたことが、平成30年度の改正であり、用具のレンタル料金の平均価格を公表することで、利用者の利益を守っています。

平均価格を公表することで、どれくらいが相場なのかを利用者が判断しやすくなり、これによって適切なコスト負担でサービスが利用できるでしょう。また、平均価格をもとに業者がつけられる金額の上限も設定することになり、これによって法外な金額でレンタル利用するといった被害が防げます。

平均価格は1年ごとに見直しが行われる予定であり、そのときどきの相場を知れることで、より適切な費用負担で福祉用具を利用できるでしょう。

共生型サービスの導入

高齢者と障がい者がサービスを受けやすくなる、共生型サービスの導入が決定した点も、平成30年度の改正の大きなポイントです。以前までは高齢者に該当する65歳以上になると、障がい者はこれまで利用していた障がい福祉制度ではなく、介護保険制度が適用されていました。

これによって、従来から利用してきた障がい者福祉事業所を利用できなくなるといった問題が発生していました。しかし、制度改正によって「共生サービスを提供する事業所」の指定を受けることで、この垣根がなくなり、問題が解決できています。

つまり、指定を受けた事業所なら、介護サービス事業所でも障がい者へのサービスが提供できます。また、障がい者福祉事業所でも、指定を受けることで高齢者へのサービスの提供が可能です。

 

訪問介護のサービスの組み方や回数を見直し

訪問介護におけるサービス内容の組み方や、月間で利用できる回数も、制度改正によって見直されています。これまでは訪問介護の利用時間が20分以上45分未満のものは、183単位として介護報酬が計算されていました。

しかし、平成30年度からは181単位に変更となっており、介護サービスにかかるコスト自体がやや軽減されています。また、要介護度によって月間で利用できる訪問介護のサービス回数は異なり、それは次の通りです。

  • 要介護1:27回
  • 要介護2:34回
  • 要介護3:43回
  • 要介護4:38回
  • 要介護5:31回

この回数を超えてサービスを利用する場合は、自治体への申請が必要となっています。

 

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人材の確保と生産性の向上

介護や福祉の現場では重大な人手不足が続いており、これを解消するためにも、介護ロボットの導入が考えられています。介護ロボットを導入することで人手不足の解消を目指すことはもちろん、介護報酬の加算なども規定し、生産性を高める狙いもあります。

また、制度改正によって生活を援助するサービスの資格要件を引き下げ、これによって多くの人がサービスに参入できるようにしている点もポイントです。

他にも、テレビ電話やネットなどの情報通信技術の活用や導入も検討されており、技術導入で生産性を高めることによって、人手不足の問題解決を図ることが取り決められました。

介護保険制度の改定は今後も見逃せない

介護保険制度はその時代に合うように3年ごとに改正されています。この改正によって利用できるサービスが変わったり、費用負担が変動したりすることも少なくありません。

そのため、適切に介護のサービスを受けるためには、介護保険の制度改正については、こまめにチェックしておくことが大切です。今後も制度改正は実施されるため、変更内容は必ず確認して、従来のものとどのように違うのかは正しく理解しておきましょう。

 

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