「軽費老人ホームに生活保護受給者は入居できるの?」「生活保護受給者が軽費老人ホームに入居するための条件はあるのかな?」など、疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、軽費老人ホームに生活保護の方が入居するための条件を詳しく解説します。生活保護を受け取りつつ年金をもらう方法や扶助の上手な活用方法も紹介するので、生活保護を受けて暮らしている家族がいる方はぜひご覧ください。
軽費老人ホームとは?
軽費老人ホームとは、家族の援助が難しく日常生活に不安のある60歳以上の方が無料もしくは定額にて入居できる施設です。軽費老人ホームには、一般型・介護型・都市型の3つのタイプがあります。
一般型と都市型のサービス内容は、主に食事の提供や生活支援となっています。介護型は別名「ケアハウス」とも呼ばれるもので、一般型や都市型にある食事提供・生活支援サービスに加え、介護サービスまで提供しているのが特徴です。
なお、ご参考までに都市型とは、都市部の軽費老人ホームのことで、主に要介護度が低い低所得高齢者を対象とする小規模な施設をさします。
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軽費老人ホームは生活保護受給者も入れる?必要な3つの条件
軽費老人ホームは、生活保護法の指定介護機関に指定されています。そのため、生活保護の認定を受けている高齢の方も入居できるのです。
しかし、生活保護を受給しているからといってすべての方が軽費老人ホームへの入居を認められるわけではありません。生活保護受給者の入居を認めていない施設も存在しているのが事実です。
また、入居には以下3つの条件を満たす必要があります。
- 受給額明細書が必要
- 自治体をまたぐ時は移管手続きを行う
- 生活保護の入居を認めている施設である
上記に挙げた3つの項目について、順に詳しく解説していきます。
1.受給額明細が必要
軽費老人ホームへの入居を申し込む際には、生活保護費の受給額明細を施設側へ提示する必要があります。これは、入居にかかる費用を問題なく負担できるのかどうかの判断材料に用いるためです。
万が一、生活保護費だけではかかる費用を賄えない場合には、不足分について親戚などに補填してもらうなどの対応を考える必要があります。そのため、受給額明細の提示は大切な条件の一つなのです。
2.自治体をまたぐ転居時には移管手続きが必須
原則、生活保護の認定を受けられるのは住民票のある自治体に限られています。軽費老人ホームに入居する場合、その施設が居住地となるため、希望の施設が現在住んでいる自治体に存在しない時は転居を考えましょう。
このとき移転後の自治体でもスムーズに生活保護を受けられるよう、移管手続きを行うことが必要です。ただ、移管手続きは福祉事務所間で行う形になっています。そのため、まずは福祉事務所に施設へ入居するために転居する旨を相談するとよいでしょう。
3.生活保護の費用プランがある施設から選択する
軽費老人ホームでも、生活保護の方を受け入れしていない施設もあります。そのため、入居希望の施設に直接問い合わせをし生活保護受給中でも入居が可能かを確認しましょう。
また、生活保護で支給されている額より施設の利用額の方が多い場合も入居は難しいとされています。そのため、利用額や介護サービスを利用した場合の費用など詳細の確認が必要です。
軽費老人ホームに生活保護受給者が入りやすくなる2つのコツ
生活保護を受給していても軽費老人ホームの利用は可能だと説明しましたが、すべての施設が受け入れてくれるわけではありません。生活保護受給者であるがために、入居を断られるケースもあります。
しかし、生活保護を受給していてもやり方次第で施設への入居のしやすさは上げることが可能です。ここからは、生活保護受給者が軽費老人ホームに入居しやすくなるための2つのコツを紹介します。
- ケースワーカーの質問に正直に答える
- 地域移動や移管を検討する
では、順に説明していきます。
1.ケースワーカーの質問には正直に答える
ケースワーカーは、軽費老人ホームに入居可能か判断するための情報収集として複数の質問を用意しています。家族での介護は難しいために施設入所を検討している段階であるため「どうにか施設を利用できないか」と考えている人も多いでしょう。しかしだからといって、ケースワーカ―からの質問事項に事実とは異なる状態である旨を伝えるのはよくありません。
なぜならケースワーカ―の質問に正直に答えないと、本人に最適な施設探しができないからです。施設が見つかったとしても最終的に施設側に断られてしまう可能性が高いので、ケースワーカーには本人の身体状況・予算・家族が抱える問題などについて正確に伝えるようにしましょう。
ケースワーカーは、施設の情報も豊富に持ち合わせています。そのため「正直に話したら施設が見つからないかも」と思っても、ケースワーカーなら情報をもとに本人の状態・希望条件に沿って適切な施設を見つけ出してくれる可能性が高いです。そのため、ケースワーカーの方の質問には正確に答えるようにしましょう。
2.地域移動や移管も検討する
前項にて、軽費老人ホームには生活保護を受けている方が入れる施設と入れない施設があると説明しました。例えば生活保護の方を受け入れている施設で、月々の利用額が扶助額よりも高い場合は支払いが困難になる可能性が高くなります。そのため、施設側から断られる可能性があるのです。
生活保護受給者には、介護施設入所者加算という加算がありますが、それでも足りない場合は、地域移動を検討してもよいでしょう。
扶助額・施設費用ともに地域によっても変動するため、地域移動して入居できる施設を探すのもよい手といえます。生活保護受給者は、各地方自治体が保護する実施機関となっています。そのため、現在とは異なる自治体にある施設へ移る場合には福祉事務所へ相談し「移管手続き」をしてもらえるようにしましょう。
生活保護者が軽費老人ホーム入居時に役立てたい扶助4つ
生活保護受給者には、生活を営むのに最低限必要な費用を補助する扶助制度が存在します。
種類 | 概要 |
---|---|
生活扶助 | 食料品や光熱費など生活にかかる費用を補助 |
医療扶助 | 通院や投薬など医療に関わる内容を含む医療費の補助 |
住宅扶助 | 家賃や地代など住宅に関わる費用の補助 |
介護扶助 | 介護サービス費など介護にかかる費用の補助 |
生業扶助 | 自立した生活を送るために必要な資格などを習得するのにかかる費用の補助 |
教育扶助 | 義務教育を受けるために必要な学級費、給食費などの教育に関わる費用の補助 |
葬祭扶助 | 葬儀に関わる費用の補助 |
出産扶助 | 定期健診、出産などに必要な費用の補助 |
上記8つのうち、生活保護受給者が軽費老人ホームの入居時に役立てられる扶助は以下4つです。
- 介護扶助
- 医療扶助
- 住宅扶助
- 生活扶助
では、さっそくみていきましょう。
1.介護扶助
介護扶助とは、生活保護を受給されている方が介護保険の対象となる介護サービスを利用した時にかかる費用を補助してもらえるものです。
対象者は、困窮のために最低限度の生活を維持できない要支援、要介護者の方々です。具体的には、各地方自治体の福祉事務所長が介護扶助の必要性を判断した方もしくは福祉事務所が保護の必要性を認めた方となります。
区分 | 費用負担の割合と給付内容 |
---|---|
介護保険の第1号・2号被保険者の方 | 9割を介護保険給付として現物給付 1割を介護扶助として公費負担 |
被保険者以外の方 | 全額を介護扶助として公費負担 |
しかし、自立支援給付(更生医療)の受給が可能な場合には、「自立支援給付」が優先して支給されます。介護扶助は、住まいの管轄の福祉事務所に介護扶助申請を行うことで使用できるようになります。
現物給付を担当する指定介護機関は、厚生労働大臣・政令指定都市または中核市の市長の認定により介護事業所として認定されている事業者です。指定介護機関は、福祉事務所に生活保護を受給されている方への介護券の交付を請求し費用を回収します。
そのため、介護サービスを利用した本人が直接費用の支払いに関与することはありません。
2.医療扶助
生活保護受給者は、国民健康保険の被保険者から除外されています。そのため、ほとんどの生活保護受給者の医療費はその全額を医療扶助で負担できるようになっています。
具体的には、以下のような費用が扶助の対象です。
- 診察
- 薬剤
- 治療材料
- 医学的処置、手術
- その他の治療並びに施術
- 居宅における療養上の管理及びその療養にともなう世話その他の看護
- 病院又は診療所への入院及びその療養にともなう世話その他の看護
- 移送
上記の扶助は、生活保護法の指定を受けた医療機関でのみ受けられます。ただし、保険外併用療養費にかかわるものは適用されないので注意してください。
3.住宅扶助
住宅扶助は最低限度の生活を維持できない者に対し、住まいの確保に必要な以下の費用を支給してくれるものです。
- 家賃
- 間代
- 地代や修繕費等の住宅維持費
具体的な給付は、以下の通りです。
級地別 | 家賃、間代、地代等の額 (月額) |
修繕費等住宅維持費の額 (年額) |
---|---|---|
1級地及び2級地 | 13,000円以内 | 117,000円以内 |
3級地 | 8,000円以内 | 117,000円以内 |
家賃・間代・地代等が上記の額を超える場合は、都道府県・指定都市・中核市ごとに厚生労働大臣が別に定める額(限度額)の範囲内の額となります。ただし世帯員数、世帯員の状況、該当地域も住宅事情によりやむを得ない場合には、特別基準額が適用となります。基準額は以下の通りです。
複数人世帯等 | 限度額×1.3 |
---|---|
7人以上世帯 | 限度額×1.3×1.2 |
上記を参考にどの程度の金額を支給してもらえるのか、確認してみるとよいでしょう。
4.生活扶助
生活扶助とは、以下のように日常生活を営むうえで基本的な需要を満たすものに対する扶助です。
- 食費(飲食物)
- 被服費
- 光熱費
日常的な生活費に対する扶助以外に、妊産婦・障害を抱える方などの特別な需要を満たす加算が用意されています。子どもが学校へ入学する際に必要な資金、新生活を始めるために不可欠な冷蔵庫・電子レンジの購入費用などは一時扶助が支給となります。
軽費老人ホームを生活保護者が探す時の注意点3つ
生活保護受給者と一言でいっても、世帯扶助として受給できる金額にも大きな違いがあります。そのため本人の状態や希望に合った軽費老人ホームを探す際には、以下3つの注意点を押さえておくことが大切です。
- 自治体の生活保護支給額を確認する
- 施設の人数制限を確認する
- 要介護認定は必ず事前に受けておく
上記に挙げた項目について、順に詳しく解説していきます。
1.自治体の生活保護支給額を確認する
地域の生活様式や物価で生活水準には差がみられるため、最低生活保障の観点から生活保護基準には地域差があります。そのため生活保護を受給しながら老人ホームに入る際には、地域ごとの支給額の確認が大切です。
一般的に都市部の方が高く、地方になるにつれて入居一時金・月額利用料ともに安くなる傾向にあります。本人の生活保護支給額に見合った施設を探すようにしましょう。特に移管手続きを行う際には、現在の支給額であれば入れる施設でも移管先の支給額では入るのが難しいケースもあるので注意してください。
2.施設の人数制限を確認する
生活保護を受給されている方となると、入居条件や費用面などの問題が発生します。そのため、本人の状態だけでは入居可能であっても実際に施設で生活できるようになるまでには時間がかかる可能性が高いです。
施設により、入所できる人数は制限されています。生活保護を受給されている方が軽費老人ホームへ入居希望する場合は、早めに手続きを開始する方がよいでしょう。
3.要介護認定は必ず事前に受けておく
介護施設へ入居するには、要介護認定を受ける必要があります。まずは、現在居住している市区町村に申請を行いましょう。
自治体によって違いはありますが、要介護認定を行っている施設は以下の通りです。
- 自治体の役所にある窓口
- 居宅介護支援事業所(自治体から委託をされた事業所)
- 地域包括支援センター
申請時には主治医が記載する項目がある申請書、介護保険の被保険者証、印鑑が必要です。また、申請後には自治体の訪問調査があり本人や家族にヒアリングが行われます。
その後、役所の方から要介護認定の通知が届き、要支援1〜2、要介護1〜5のいずれかの認定を受けた方が介護サービスの利用対象者となります。
生活保護受給者でも扶助を活かせば軽費老人ホームに入居できる
今回は、生活保護を受給中の方が軽費老人ホームに入居するコツについて詳しく解説しました。軽費老人ホームには、生活保護受給者を受け入れ可能としている施設も多く存在しています。現在居住中の地域では入居が難しい状態であってもほかの地域に移動すれば入居可能なケースも少なくないので、ほかの地域への転居を検討するのもよいかもしれません。
また、施設探しの際には担当のケースワーカーに本人の状態や予算などを正確に伝えるのも大切です。今回紹介したコツを生かして、本人に合った軽費老人ホームを探しましょう。
生活保護の受給額明細書の提示、施設入居のために自治体をまたぐ転居をする場合には移管手続きが必要になります。軽費老人ホームといっても生活保護の受け入れをしているところとしていないところがあるので、生活保護受給者でも入りやすいプランを用意している施設を探すとよいでしょう。詳しくはこちらをご覧ください。
条件がそろえば同時受給も可能となっています。詳しくはこちらをご覧ください。