在宅介護で大変なことランキングTOP10|体験者の声付きで解説

在宅介護で大変なことランキングTOP10|体験者の声付きで解説

在宅介護が始まる前は、何がどれほど大変なのかを想像しにくいものです。

この記事では、ケアスル 介護の独自調査から在宅介護で大変なことTOP10を1位から順に、体験者の声とあわせて紹介します。

大変さが生まれる理由と、負担を減らすためにできることもまとめています。

在宅介護経験者1,048人への調査をもとに、在宅介護で「大変だ」と感じる場面をランキングにまとめました。

在宅介護大変なことランキングTOP10

各項目が指す介護の中身は、以下のとおりです。

在宅介護で大変なことTOP10の中身
順位項目具体的には
1位通院・外出の付き添い病院への送迎、車椅子での移動、待ち時間
2位排泄の介助日中・夜間のトイレ誘導やおむつ替え
3位食事の介助食事の準備、食べさせ、片付け
4位終わりの見えない不安いつまで続くかわからないという精神的プレッシャー
5位入浴・身だしなみの介助洗身、着替え、歯磨き、洗顔など
6位自分の時間が持てない趣味や休息の時間が削られるフラストレーション
7位移乗・移動の介助ベッドから車椅子への移動、歩行補助
8位認知症症状への対応徘徊、妄想、不潔行為、暴言など
9位事務的な手続き・金銭管理介護保険の手続き、ケアマネとの連絡、家計管理
10位意思疎通の難しさ会話が成立しない、感情的なぶつかり合い

出典:ケアスル 介護 独自調査(在宅介護経験者1,048人)

ケアスル 介護 ケアアドバイザー部門マネージャー
専門分野:介護施設紹介
職業: 介護施設紹介業
出身組織: 株式会社Speee

私自身母親が介護で苦労していた様子を間近で見ていたため、ご家族の心情に寄り添うことを心がけています。母も祖母を介護施設に入れることに非常に葛藤を抱えていましたが、結果入居した後は母も祖母も穏やかに過ごしていました。こうした自分の経験から介護施設への入居がポジティブに伝わるといいなと思い日々ご家族とお話ししています。詳しくはこちら。

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在宅介護で大変なことランキング第1位:通院・外出の付き添い

在宅介護で大変なことの第1位は「通院・外出の付き添い」で、39.7%が大変だと答えました。大変なのは次の3つの場面です。

  • 移動のたびに体ごと支える
  • 待ち時間だけで半日が消える
  • 医師の説明を代わりに聞いて覚える

移動のたびに体ごと支える

足腰が弱った親の通院では、車への乗り降りや院内の移動のたびに、親の体重を支える介助が必要です。

体の大きい親だと一人では支えきれず、通院のたびに人手を集めることになります。

体験者の声|伊藤さん(40代以上/父親を介護)
「父の体はやっぱり重いので、高齢の母1人にさせるのは大変で、兄弟で分担していました。病院にしょっちゅう連れて行かないといけないときは、私が車を運転できないので、妹に頼まないといけませんでした。」
福祉車両の導入や、送迎付きのデイサービスを組み合わせることで負担を分散しましょう。

待ち時間だけで半日が消える

通院の付き添いは、受付から診察、会計、薬の受け取りまでで半日がかりになることが珍しくありません。

いつ呼ばれるか分からないため、待合室を離れることもできません。仕事をしている方は、そのたびに休みを取る必要があります。

体験者の声|吉田さん(40代・女性/認知症の父親と同居)
「働いているので、役所に行く時間や、介護認定の調査員が家に来る時間、意見書を書いてもらう担当医の受診など、かなりの時間と手間がかかりました。有給を駆使して行きました。」

医師の説明を代わりに聞いて覚える

付き添う家族は、医師の説明を親の代わりに聞き、薬の飲み方まで覚えて管理する役も担います。

親が持病や飲んでいる薬を家族に伝えていないと、介護が始まってから一から把握し直すことになります。

体験者の声|鈴木さん(50代・女性/父親を在宅介護)
「父は「大丈夫、大丈夫」と言うので、その言葉をうのみにしていました。実は通院していて持病があり、飲んでいる薬もありました。知らないと準備ができないので、情報は持っていたほうがいいと思います。」
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在宅介護で大変なことランキング第2位:排泄の介助

第2位は「排泄の介助」で、38.9%が大変だと答えました。大変なのは次の3つの場面です。

  • 夜中に何度も起こされる
  • 失敗したときの後始末が重い
  • 親の下の世話への気まずさが消えない

夜中に何度も起こされる

排泄の介助は昼も夜もあるため、夜中に何度も起こされ、介護する側がまとまって眠れなくなります。

夜の介助が毎日続くと、翌日の仕事や家事にも響きます。

体験者の声|渡辺さん(40代以上/父親を8年介護)
「父はパーキンソン病で、夜寝てから2時間おきに起きます。2時間おきに30分ほどトイレで手助けをしないといけなくて、毎日続くのが大変でした。」

失敗したときの後始末が重い

おむつから漏れたときは、おむつ替えに加えて体を洗い、シーツを替え、洗濯まですることになります。

1回の後始末に時間がかかり、夜中に起きれば朝まで眠れないこともあります。

体験者の声|山本さん(40代以上/母親を介護)
「夜中の2時や3時に父から電話があって実家に行き、おむつを替えて母の体を洗い、ベッドも替えて洗濯もすると2時間ぐらいかかりました。帰って1時間ほど寝たらすぐ仕事という生活が2、3か月続いたのが一番辛かったです。」

親の下の世話への気まずさが消えない

親のおむつを替えることには、介護する側にも、される親の側にも気まずさが残ります。

親が恥ずかしがって一人で処理しようとすると、手を出すべきか迷う場面も出てきます。

体験者の声|田中さん(40代・女性/父親を在宅介護)
「父がトイレの中で、漏らしたものを一生懸命自分で拭いていました。私が拭いている間も申し訳なさそうに、恥ずかしそうにしていて、かわいそうになりました。」
排泄トラブルは紙おむつや防水シーツなどの介護用品の活用や、トイレの声かけで対応していきましょう。

在宅介護で大変なことランキング第3位:食事の介助

第3位は「食事の介助」で、37.1%が大変だと答えました。大変なのは次の3つの場面です。

  • 1日3回、生活が親の食事時間に縛られる
  • 刻む・とろみをつける手間が毎食かかる
  • むせないか一口ごとに目が離せない

1日3回、生活が親の食事時間に縛られる

食事は1日3回あるため、介護する側の1日の予定が親の食事時間を中心に組まれます。

仕事から帰ってすぐに食事の支度と介助に入る生活では、休む時間が取れません。

体験者の声|佐藤さん(30代・女性/母親を在宅介護)
「週4回ぐらいは出社で残業もあり、帰ってからもずっと母の介護でした。食事のことや、寝たきりのような状態だった母の世話をしていて、帰ってきても休めなかったので疲労がたまってしまいました。」

刻む・とろみをつける手間が毎食かかる

飲み込む力が落ちた親には、具材を細かく刻んだり、とろみをつけたりした食事を別に用意します。

手間をかけて作っても食べてもらえず、食べられるものを探し続けることもあります。

体験者の声|伊藤さん(40代以上/父親を介護)
「食べなくなってくるので、食べられるものを探して買うけれど、結局食べなくてどんどん弱っていくのを身近で見ていて、体力的にも精神的にも大変でした。」

むせないか一口ごとに目が離せない

食事中は、食べ物が気管に入る「誤嚥(ごえん)」が起きないよう、一口ごとに様子を見る必要があります。

誤嚥は肺炎につながり、食事そのものがとれなくなるきっかけにもなります。

体験者の声|小川さん(30代・男性/父親を介護)
「誤嚥性肺炎で物が食べられなくなって、すごく痩せていました。誤嚥性肺炎をきっかけに胃ろうをつくりました。」
市販の介護食を活用したり、ヘルパーに調理や介助を頼んだりすることで介助の負担を軽減しましょう。

在宅介護で大変なことランキング第4位:終わりの見えない不安

第4位は、介助の作業ではなく「終わりの見えない不安」で、29.0%が挙げました。不安の中身は次の2つです。

  • いつまで続くか分からない
  • がんばっても報われる実感がない

いつまで続くか分からない

在宅介護は、始めた時点で「いつまで続くか」を見通せません。

終わりが分からないまま、仕事やお金、通う距離などの生活の組み立てを決める必要があります。

体験者の声|小林さん(40代以上/両親と義母の介護を抱える)
「1年前から突然介護が降りかかってきて、母は特養、父は実家で一人暮らし、90歳の義母は施設で暮らしていて、3人の親を抱えています。これから何年この状態が続くのかなという不安を抱えています。」
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がんばっても報われる実感がない

介護は回復というゴールに向かうものではないため、がんばるほど自分がすり減る感覚が残りがちです。

親の状態が少しずつ変わっていく中で、自分の努力の手応えを感じにくくなります。

体験者の声|中村さん(40代以上/母親を介護)
「母の介護をやっている時に、もう自分が長生きしたくないなと思いました。」
「いつまで続くか」を考えるのは不謹慎ではありません。期限を想定せず走り続けるのは無理があります。施設入居という「ゴール」を視野に入れることも一つの方法です。

在宅介護で大変なことランキング第5位:入浴・身だしなみの介助

第5位は「入浴・身だしなみの介助」で、28.1%が大変だと答えました。大変なのは次の3つの場面です。

  • 浴室で転ばせないかが怖い
  • 歯磨き・着替え・爪切りが毎日積み重なる
  • 嫌がられると進まない

浴室で転ばせないかが怖い

浴室は床が濡れて滑りやすく、家の中でも転倒の危険が大きい場所です。

親が「自分で入る」と言っても、足腰が弱っていれば入浴中の様子から目を離せません。

体験者の声|加藤さん(40代・男性/父親を介護)
「父はお風呂には一応自分で入っていたんですけど、足が悪くなって、たまに転んでしまう心配がありました。実際に転んで起き上がれなかったこともあります。」

歯磨き・着替え・爪切りが毎日積み重なる

身だしなみの介助は1つ1つは小さな作業ですが、毎日すべてをくり返すと大きな負担になります。

仕事をしている家族は、平日と休日で担当を分けて回すこともあります。

体験者の声|山田さん(60代・女性/母親を介護)
「病院に連れて行く、散歩に連れて行く、お風呂に入るのを見るといったことを、平日は私が、土日は姉が見ていました。」

嫌がられると進まない

親が入浴や着替えを嫌がると、説得するだけで時間と気力を使います。

家族だけでなく、訪問サービスの人の手まで拒むこともあります。

体験者の声|古川さん(30代・女性/母親を介護)
「お風呂にも入らないので、なんとかして押し込むという感じでした。訪問看護に入ってもらったけれど、訪問看護も拒否でした。」
訪問入浴サービスやデイサービスの入浴介助も利用し、自宅での入浴頻度を週2~3回程度に減らすことで負担を軽減しましょう。
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在宅介護で大変なことランキング第6位:自分の時間が持てない

第6位は「自分の時間が持てない」で、26.9%が挙げました。困る場面は次の2つです。

  • 趣味や休みの時間がなくなる
  • 少し出かけるにも段取りが要る

趣味や休みの時間がなくなる

在宅介護では、仕事以外の時間の多くが介護に回ります。

親を置いて家を空けられないため、遠出や泊まりがけの予定から先に消えていきます。

体験者の声|井上さん(30代・男性/父親を介護)
「父が倒れたことがあったので、外泊して家を空けることは極力しませんでした。仕事と家との往復ぐらいになり、どこかに遊びに行くことは犠牲になりました。」

少し出かけるにも段取りが要る

親を一人にできない場合は、外出のたびに留守番を頼む段取りが必要です。

家族やヘルパーが来る時間に合わせて、自分の用事を詰め込むことになります。

体験者の声|高橋さん(20代・女性/祖母を介護)
「祖母が寝てから勉強したり、見守りに来てくださる方がいらっしゃる時に外に出て、気分転換したり勉強したりする工夫をしていました。」
ショートステイやデイサービスを使い、介護から離れる日をあらかじめ予定に組み込みましょう。

在宅介護で大変なことランキング第7位:移乗・移動の介助

第7位は「移乗・移動の介助」で、24.5%が大変だと答えました。大変なのは次の2つの場面です。

  • 体ごと持ち上げる介助で腰を痛めやすい
  • 転ばないよう付きっきりになる

体ごと持ち上げる介助で腰を痛めやすい

ベッドから車椅子、車椅子からトイレへと乗り移るたびに、親の体重を支えて持ち上げる力仕事が発生します。

中腰で人の体を支える動作は腰に負担がかかり、介護する側が高齢だと一人では支えきれません。

体験者の声|高橋さん(20代・女性/祖母を介護)
「祖母が転んだりして持ち上げるところは、私はまだ若さがあったからなんとかできました。母はやっぱりきついと言っています。」

転ばないよう付きっきりになる

足腰が弱った親は家の中でも転びやすく、一人で動かせないため付き添いが欠かせません。

本人が「大丈夫」と言って杖や手助けを嫌がると、目を離した隙に転ぶことがあります。

体験者の声|鈴木さん(50代・女性/父親を在宅介護)
「本人は「大丈夫、大丈夫」と言って、杖をついてくれればいいのに「いらない」と普通に歩いて行ってしまいます。転倒して骨折して運ばれて、ということが一回ではありませんでした。」
移乗の負担は、介護用ベッドや手すりなどの福祉用具で軽くできます。借りられる用具はケアマネジャーに相談しましょう。

在宅介護で大変なことランキング第8位:認知症症状への対応

第8位は「認知症症状への対応」で、24.3%が大変だと答えました。大変なのは次の3つの場面です。

  • いつ出ていってしまうか分からず気が休まらない(徘徊)
  • 暴言や妄想を受け止め続ける
  • 不潔行為の後始末

いつ出ていってしまうか分からず気が休まらない(徘徊)

認知症の親が一人で外に出て帰れなくなる「徘徊」があると、家にいても外出先でも気が休まりません。

いなくなったと分かれば、予定を投げ出してでも探しに行くことになります。

体験者の声|古川さん(30代・女性/母親を介護)
「本当に徘徊してしまうので、そういう時はもう急遽でも探しに出ていました。近所の人が「あそこにいるよ」と教えてくれて、行ったら座り込んでいるという感じでした。」

暴言や妄想を受け止め続ける

認知症の症状として出る暴言や夜の騒ぎを、家族が毎日受け止め続けることで心がすり減ります。

症状だと分かっていても、身近な家族ほど言葉が胸に刺さります。

体験者の声|高橋さん(20代・女性/祖母を介護)
「認知症の精神的な症状が出てきて、夜騒いだり、まだ元気な頃は暴言を吐いたりしていました。私自身も精神的にやられそうになりました。」

不潔行為の後始末

認知症が進むと、おむつを外してしまうなどの行動が起き、そのたびに片付けと着替えが必要になります。

本人に悪気がないため、注意してもくり返されます。

体験者の声|田中さん(40代・女性/父親を在宅介護)
「おむつを取ったら前も後ろも出しっ放しで、うろうろしているので、トイレに行ったんだなと分かって新しいのを履かせていました。」
徘徊や暴言への対応に迷ったら、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談しましょう。
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在宅介護で大変なことランキング第9位:事務的な手続き・金銭管理

第9位は「事務的な手続き・金銭管理」で、23.9%が大変だと答えました。大変なのは次の2つです。

  • 介護保険の手続きや連絡が次々に来る
  • 親のお金と自分のお金の線引きが難しい

介護保険の手続きや連絡が次々に来る

在宅介護では、介護保険の申請やケアマネジャーとの連絡、補助の申請などが次々に発生します。

役所の手続きは平日にしかできないものも多く、書類やレシートの管理も必要です。

体験者の声|吉田さん(40代・女性/認知症の父親と同居)
「おむつ代が年10万円を超えたら補助が出るとかは知っているんですけれど、手続きが煩雑で、レシートを残しておくといったところをすっ飛ばしてしまって、結局できていません。」

親のお金と自分のお金の線引きが難しい

介護にかかる費用を親の年金や貯金でまかなう場合、どこまでを親のお金から出すかを家族で決めて記録する必要があります。

きょうだいで費用を分ける場合は、使った額を全員が確認できる形にしておくと揉めにくくなります。

体験者の声|山田さん(60代・女性/母親を介護)
「普通の大学ノートに「何月何日、紙おむつ24枚980円」と書いて、レシートを貼っていく家計簿のような形でした。年金から引いていって足りない分は、姉と折半していました。」
手続きに迷ったら、ケアマネジャーに相談すると必要な申請を一つずつ整理してもらえます。

在宅介護で大変なことランキング第10位:意思疎通の難しさ

第10位は「意思疎通の難しさ」で、21.3%が挙げました。困る場面は次の2つです。

  • 話が通じない
  • 感情的にぶつかってしまう

話が通じない

親の気持ちが不安定になると、よかれと思った提案も受け入れてもらえなくなります。

会話がかみ合わないまま、伝えたいことが伝わらない状態が続きます。

体験者の声|佐藤さん(30代・女性/母親を在宅介護)
「母が「あの時病院で死ねばよかった」と自分で言うので、心療内科に行けば吐き出せて楽になるかと思い、一緒に行こうと勧めました。でも「頭がおかしい扱いしないで」と抵抗感がすごくて、最後まで1回も行きませんでした。」

感情的にぶつかってしまう

親子だからこそ遠慮がなく、話し合うつもりが言い合いになりやすい関係です。

距離を置く時間をつくることも、関係を続けるための手段になります。

体験者の声|古川さん(30代・女性/母親を介護)
「話したくもないし、声も聞きたくない時が絶対あるので、そういう時は無理に近づかないことです。お互いのために。話さなきゃいけないとやると、余計喧嘩になるだけなので。」
話がかみ合わず感情的になりそうなときは、一度その場を離れて時間を置きましょう。

在宅介護が大変な理由

在宅介護が大変な理由は、介助の作業そのものより、介護の「続き方」と「担い方」にあります。主な理由は以下の4つです。

  • 終わりが見えず長期戦になる
  • 24時間365日、休みがない
  • 親子だからこそ割り切れず、感情的に消耗する
  • 同居している家族に負担が集中しやすい

終わりが見えず長期戦だから

在宅介護は、平均で4年7カ月続く長期戦です。

介護にかかる期間
平均期間55.0カ月(4年7カ月)
4年を超えた人約4割

出典:生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」(2024年度)

介護の期間は、親の病気や体の状態によって大きく変わります。

始める時点で「何年で終わる」と見通せる人はほとんどいません。

ランキングで第4位に入った「終わりの見えない不安」は、介護が長期戦になりやすいことの表れです。

短期間なら耐えられる負担でも、4年以上続くと介護者の体力と気力が少しずつ削られていきます。

24時間365日休みがないから

要介護度が上がるほど、介護者が「ほとんど終日」介護にかかりきりになる割合が高くなります。

介護時間が「ほとんど終日」の割合(同居の主な介護者)
要介護217.0%
要介護331.9%
要介護441.2%
要介護563.1%

出典:厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」

要介護5では、同居の主な介護者の6割以上が1日のほとんどを介護に費やしています。

要介護3以上になると、「ほとんど終日」が介護時間の区分の中で最も多くなります。

日中の食事や排泄の介助に加え、夜間のトイレ誘導や見守りも続きます。

介護者は仕事中や睡眠中も「呼ばれるかもしれない」状態に置かれ、心身を休める時間を確保できなくなります。

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親子だからこそ割り切れず、感情的に消耗するから

親の介護は、親子の感情が絡むため、仕事のように割り切れません。

ケアスル 介護の独自アンケートでは、「意思疎通の難しさ」を大変なことに挙げた人が男性19.5%、女性14.5%でした。

厚生労働省の調査では、家族による高齢者虐待の虐待者の続柄は、息子が38.7%、娘が18.9%です。

出典:ケアスル 介護 独自調査レポート2026/厚生労働省「令和5年度 高齢者虐待防止法に基づく対応状況等に関する調査結果」

元気だった頃の親を知っている子どもほど、物忘れや同じ話の繰り返しに強い戸惑いを感じます。

介護職員なら受け流せる言動も、親子の間では怒りや悲しみにつながりやすくなります。

親に強い言葉をぶつけた後に自分を責める、という繰り返しで、介護者の心は消耗していきます。

同居している人に負担が集中しやすいから

在宅介護の負担は、親と同居している家族1人に集中しやすい傾向があります。

主な介護者の状況
同居している家族45.9%
別居の家族等11.8%
事業者15.7%

出典:厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」(「不詳」等を除く主な項目)

主な介護者のうち、同居している家族は45.9%で、別居の家族等の約4倍です。

同居の主な介護者の68.9%は女性で、性別にも偏りがあります。

同じ家に住んでいると、急な呼び出しや夜間の対応はどうしても同居の家族が担うことになります。

ほかのきょうだいとの間に「自分ばかりが介護している」という不満が生まれ、家族関係がこじれる原因にもなるのです。

在宅介護でかかる4つの負担

在宅介護の大変さは、精神的・身体的・経済的・時間的の4つの負担に分けられます。ランキングの項目との対応は以下のとおりです。

在宅介護の4つの負担とランキングの項目
負担当てはまるランキングの項目具体的には
精神的負担4位 終わりの見えない不安/8位 認知症症状への対応/10位 意思疎通の難しさ先の見えなさ、暴言・徘徊への気疲れ
身体的負担2位 排泄の介助/5位 入浴・身だしなみの介助/7位 移乗・移動の介助夜間の介助による睡眠不足、体を支える力仕事
経済的負担9位 事務的な手続き・金銭管理介護費用の支払い、仕事を減らすことによる収入減
時間的負担1位 通院・外出の付き添い/3位 食事の介助/6位 自分の時間が持てない通院の待ち時間、1日3回の食事、休みの減少

出典:ケアスル 介護 独自調査(在宅介護経験者1,048人)

精神的負担

精神的負担は、親の生活に関わる判断を家族が引き受けることから生まれます。

受診させるか、サービスを使うか、施設を考えるかといった判断の多くを、介護の知識がないまま家族が下すことになります。

ランキングの4位・8位・10位は、正解の分からない判断と、親の変化を受け止め続けることの重さを表しています。

身体的負担

身体的負担は、介護の訓練を受けていない家族が、介護向けに作られていない自宅で介助することから生まれます。

施設のような手すりや介護用の浴室、交代できる人手がないため、体を支える動作を一人で担うことになります。

ランキングの2位・5位・7位が、体を使う介助にあたります。

経済的負担

在宅介護でも、月々平均5.3万円の介護費用がかかります(生命保険文化センター・2024年度)。

住宅の改修や介護用ベッドの購入など、一時的な費用も平均47.2万円かかります。

介護保険のサービス代に加えて、おむつ代のように保険の対象外の出費が続き、働く時間を減らせば収入も減ります。

時間的負担

時間的負担は、介助の時間が親の生活リズムで決まり、家族の都合で動かせないことから生まれます。

食事は1日3回、通院は病院の予約時間に合わせる必要があり、仕事や家族との予定を後から調整する生活になります。

ランキングの1位・3位・6位が、時間を取られる項目にあたります。

在宅介護で大変なことを減らすためにできること

在宅介護の負担を減らすには、要介護度の変化に応じた対処を取ることが不可欠です。

要介護度によって生じる課題が異なるため、適切なタイミングで準備・対策を実施できるかどうかが、介護継続の可否を左右します。

介護開始前にできる負担軽減対策

介護が始まる前は、家族内での役割分担、相談窓口の確認を行うことで、開始後の負担の集中と混乱を防ぐことができます。

介護負担を減らす対策|介護開始前
家族間の役割分担誰が主介護者になるか、遠方の親族はどの支援(費用負担・事務手続き)を担うかを明文化して共有する。
相談窓口の把握最寄りの地域包括支援センターへ事前相談に行き、介護サービスの種類・費用の目安・申請の流れを把握しておく。

介護が始まると、同居する家族や近くに住む家族に負担が集中します。遠方に住む親族であっても、費用の負担・役所への書類提出・情報の整理など、担える役割は必ずあります。

家族全員が当事者として役割を持つという認識を開始前に共有しておかないと、介護開始後に「自分だけが担っている」という不満が蓄積し、家族関係の修復が困難になります。

また、実際に地域包括センターに足を運ぶことで保健師や社会福祉士などのプロが無料でアドバイスや情報提供をしてくれます

。

【介護開始前のチェックポイント】
・地域包括支援センターへの相談は無料。「まだ介護は始まっていないが準備したい」という相談にも対応している。
・役割分担は口頭だけでなく、書面や共有メモとして残しておく。
・親の意向確認は、本人の認知機能が低下する前の早い時期に行う。

介護開始直後にできる負担軽減対策

介護が始まると、通院・外出の付き添い(全体1位)や事務的な手続きへの対応が一気に増加します。介護保険サービスの活用やケアマネージャーとの連携で負担を軽減できます。

介護負担を減らす対策|介護開始直後
ケアマネジャーとの連携ケアプランの作成・介護サービスの調整を任せられるパートナー。

「今の悩み」だけでなく「将来は施設も考えている」という本音も早期から伝えておく。

介護保険サービスの早期活用デイサービス・訪問介護ヘルパーを早い段階から利用し、家族が「介護から離れる時間」を意識的に確保する。
職場の介護支援制度の確認介護休暇・介護休業・時差出勤制度を確認し、通院付き添いが必要な日に活用できる体制を事前に整える。

介護者の多くは、介護が始まった直後に「まだ自分たちでなんとかできる」と感じ、外部サービスの利用をためらいます。

しかし、この段階から積極的にサービスを活用することが、数ヶ月後の共倒れを防ぐことにつながります。

通院の付き添いについても、通院同行サービスを活用すれば、仕事を休まずに済むケースも増えています。

ケアマネジャーに家族の働き方を伝えた上で、最適なサービスの組み合わせを相談してください。

【介護開始直後のチェックポイント】
・要介護2は、在宅介護を続けるか施設入居を検討し始めるかの分岐点。
・ケアマネジャーには「将来は施設も考えている」という本音を最初から伝えておく。
・デイサービスは「家族が介護から離れる時間」を確保するためのサービスとして積極的に活用する。

介護が本格化したときにできる負担軽減対策

要介護3以上になると、排泄・食事・移動という生命維持に直結する介助が生活の中心となります。

入浴や食事などを外部サービスに頼ることで負担を軽減できます。

介護負担を減らす対策|介護が本格化したとき
夜間の介護用品を活用する夜間帯は吸収力の高い介護用オムツや防水シーツを活用し、夜中の呼び出し回数を戦略的に減らす。
入浴・食事を外部委託する訪問入浴サービスやデイサービスの入浴介助を利用し、自宅での入浴頻度を週2〜3回に抑える。食事は配食サービスや市販の介護食を活用して調理の負担を切り離す。
介護者自身の身体を守る移乗・移動介助による腰痛を防ぐため、介護用スライディングボードや移乗リフトの導入を検討する。
施設見学・資料請求を始める要介護3は特別養護老人ホームへの入所申し込みが可能になる節目。施設の費用と空き状況を、親の状態が安定しているうちに把握しておく。

介護者自身の体と睡眠を守ることは、介護を継続するために欠かせない行動です。体力を使う介助はサービスへ切り出し、介護者の体力は「判断と管理」に使うという発想への転換が必要です。

施設見学は、親の状態が落ち着いているときに行きましょう。緊急時に慌てて探すと、納得のいかない施設選びになり後悔につながります。

特養は申し込みから入居まで数年かかることも珍しくないため、早めに情報収集を始めてください。

【介護が本格化したときのチェックポイント】
・要介護3は特別養護老人ホームへの入所申し込みが可能になる節目。
・施設見学は「緊急時の備え」ではなく「余裕があるうちの情報収集」として行う。
・介護ベッド・手すり・スライディングボード等の福祉用具は、介護保険の貸与サービスを活用できる。

まとめ

在宅介護で大変なことの第1位は「通院・外出の付き添い」で、第2位「排泄の介助」、第3位「食事の介助」と続きます。

【この記事のポイント】
・上位3つは、通院・排泄・食事という毎日・毎週くり返す介助
・第4位「終わりの見えない不安」のように、気持ちの負担も上位に入る
・大変さは精神的・身体的・経済的・時間的の4つの負担に分けられる
・介護保険サービスや家族の分担で、負担は減らせる

在宅介護において、最も避けるべきは「介護者が自分自身の生活や心を壊してしまうこと」です。

あなたが倒れてしまえば、被介護者である親の生活も立ち行かなくなります。

限界を感じる前に、家族で役割を分担し、外部サービスや施設という選択肢を「前向きな解決策」として取り入れてください。

大変だと感じるのは、それだけ真剣に親と向き合っている証拠です。

これ以上無理を重ねる前に、まずはケアマネジャーや地域包括支援センターへ、今の素直な気持ちを打ち明けてみてください。

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