グループホームのおむつ代は自己負担!月額相場や費用軽減方法を解説

グループホームのおむつ代は自己負担!月額相場や費用軽減方法を解説

認知症の方のご家族の中には、グループホームを検討または利用されている方も多いでしょう。グループホームは、認知症の高齢者向け施設です。入居を検討している介護者の方にとって、初期費用や毎月の費用はどのくらいかかるものなのか気になるところでしょう。

また、入居中必ず必要となるおむつについて、費用は施設の料金に含まれるのか、自己負担なのかなども気になる点です。

本記事では、グループホームで必要となる「おむつ代」について解説します。

使える助成金控除についてもご紹介しますので、ぜひご覧ください。

在宅介護エキスパート協会 代表
所有資格:AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士,社会福祉士,宅地建物取引士
専門分野:在宅介護,老後資金,介護施設全般
職業: 社会福祉士,宅地建物取引士,ファイナンシャルプランナー

NEC 関連会社(現職)でフルタイム勤務の中、10 年以上に渡り遠距離・在宅介護を担う。両親の介護をきっかけに社会福祉士、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーなど福祉に直接的・間接的に関係する資格を取得。その経験や知識を多くの方に役立てていただけるよう「在宅介護エキスパート協会」を設立、代表を務める。詳しくはこちら

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グループホームのおむつ代は自己負担

グループホーム入居中にかかるおむつ代は「日常生活費」にあたり、基本的に自己負担です。施設によって、おむつは家族が持参するのか施設で購入するのかなどは異なります。おむつの準備や管理方法については、入居前に施設に確認しておくとよいでしょう。

また、おむつ代は自己負担ですが、どの程度の出費が必要になるのか目安が分からない方も多いかと思います。イメージがつきやすいよう、施設での基本的なおむつの使用方法や月額使用相場についてご説明します。

おむつ代の月額使用相場

高齢者の排泄量は、1回で約100〜150mlとされています。一般的なおむつの場合は、2回分にあたるおおよそ300mlが吸収できるように作られている製品が主流です。1日に排泄する回数を約8〜10回とすると、1日のおむつ交換回数は4〜5回程度と大体の予測ができます。

高齢者向けおむつメーカーは多数あります。そのため機能や値段は製品によって異なりますが、おむつ1枚当たりの値段はおおよそ60〜70円程度です。

つまり、1日のおむつ代使用相場は下記のとおりです。

おむつ1枚【60~70円】×1日のおむつ交換【4~5回】=1日のおむつ代【240~350円】

また、そこから1か月分を計算した金額がこちらです。

1日のおむつ代【240~350円】×30日間=1か月のおむつ代【7,200~10,500円】

排泄状況などによって使用枚数が上記に当てはまらない場合もあるため、イメージをする上での参考程度に考えておくとよいでしょう。

おむつは尿取りパッド使用で負担額が減る

おむつをメインで使用している場合、おむつだけを使用している方は少ないのではないでしょうか。グループホームでは、おむつは尿取りパッドとセットにして使用することがほとんどです

毎回排泄の度におむつを交換すると、費用が高額になります。そこで大変便利なのが、おむつの中にセットして使用する「尿取りパッド」です。排尿のみの場合は、中に着けた尿取りパッドを交換すれば、おむつ自体はキレイに保たれているため交換する必要がなくなります。

基本的には、排便などでおむつ自体が汚れればもちろん交換しますが、そうでなければ尿取りパッドのみ交換でよいので節約になります。おむつが汚れなかった場合は、1日1回お風呂や清潔ケアのタイミングで交換することになります。

排泄のための必要物品は、おむつや尿取りパッドだけでなく、おしりふきやおむつ替えシートなどを依頼される場合もあります。利用者の自立度や排泄状況によって、おむつの使い方や準備物品は異なるため、何を用意したらよいかは施設スタッフに相談するとよいでしょう。

おむつ代は条件に当てはまれば助成や控除の対象

おむつや尿取りパッドなどは、毎日必ず使用する消耗品です。たとえ1枚が少額であっても、1ヶ月で考えると経済的な負担となることもめずらしくありません。

介護には必要な出費も多く、介護費用や介護による労働時間の制限から生活の困窮に陥ることもあります。このような事態を避けるため、自治体によっては少しでも負担軽減しようと介護費用に対して助成制度を設けているところもあります。おむつ代もその一つです

また、条件に当てはまれば医療費控除の対象となる場合もあるため、一度確認するとよいでしょう。

助成制度の場合

自治体によって、助成制度の内容や金額、受給者条件はさまざまです。まずは一度、自治体の窓口に確認をとってみましょう。

助成金が出る場合、おむつの使用金額に対して5,000~9,000円程度を上限に助成金が出る場合が多いようです。自治体によっては、現物支給を行うこともあります。実際の助成制度の例を紹介します。参考にしてください。

【板橋区の場合】(※1)

  • 対象者・板橋区に住民登録のある方・要介護1以上で、常時失禁状態の方次のいずれかに当てはまる場合は対象外・支給対象者の世帯のうち、区で定める所得基準額を超える方・生活保護世帯または中国残留邦人等支援給付世帯である方・介護保険施設に入所している方・板橋区心身障がい者紙おむつ助成事業の給付を受けている方
  • 助成内容おむつは現物支給が基本区が指定する紙おむつ支給品から1つを選択し無料で配送※支給限度内を超えた分は自己負担※東京23区外は送料自己負担おむつの持ち込みを禁止している病院や施設に入院・入所している場合は、月額5,000円を上限におむつ代を支給

(※1)参照:板橋区|高齢者紙おむつ等の支給 総合案内

どのような助成方法の場合でも、申し込みをしなければ始まりません。以下の対応を、できるだけ早めにやっておきましょう。

  • 助成制度の有無と詳細確認
  • 助成制度の申請
  • 助成金支給の場合は購入時のレシート保管

医療費控除の場合

条件に当てはまれば、おむつ代が医療費控除の対象になる場合もあります。そのためには、おむつ代が対象者の治療に必要な費用であると証明することが必要です。詳細は以下のとおりです。

【おむつ代の医療費控除について】(※2)

  • 対象者・傷病によりおおむね6か月以上にわたり寝たきり・医師の治療を受けている者

上記2つに当てはまる場合に対象者となるため、「おむつ使用証明書」を医師から記載してもらいましょう。控除を受けるために、必ず必要となる書類です。

  • 医療費控除を受けるために確定申告書に医療費控除の明細書と「おむつ使用証明書」を確定申告書に添付、または提出時に提示します。おむつ代について医療費控除を受けるのが2年目以降の場合は、「おむつ使用証明書」の代わりに、介護保険法の規定に基づく主治医意見書の内容を市町村が確認した書類又はその主治医意見書の写しでも代用可能です。

(※2)参照:国税庁|寝たきりの者のおむつ代

グループホームのおむつ代以外にかかる月額費用

グループホームでかかる月額費用の主な内訳は、以下の3つです。

  • 施設で生活を送るうえでかかる「日常生活費」
  • 毎月必ずかかる介護保険適用サービス「介護サービス費」
  • 施設の特徴により異なる介護保険適用サービス「サービス加算」

それぞれ、どのような費用なのか詳細をご紹介します。

日常生活費

居住費(管理費・共益費)・食費・光熱費・雑費(理美容・医療費・日用品代)などの生活するうえで必要なお金は、日常生活費に分類されます。おむつ代も、この日常生活費です。特に、居住費と雑費に関しては、施設によって差が出やすい費用となります。

居住費は、地域や施設設備の充実、部屋の広さなどによって変わります。都市部の方が郊外よりも高い傾向にあります。また、居住費に光熱費がすでに含まれている施設などもあり、施設によって費用に差が出やすいため、事前の確認が重要です。

また、雑費のおむつ代に関しても準備方法や使用物品が異なります。おむつは、施設での購入か持参かなどの違いがあります。持参する方が、自分で値段を比較して安い店舗で購入するため、施設での購入に比べて安く済むことが多いです。おむつ以外にも、おしりふきや交換時のシートなどは必要かによっても費用は変化するため、チェックしておくとよいでしょう。

介護サービス費

グループホームに入居できるのは要支援2以上の方です。そのため、多くの方は生活介助が必要であり、必ず介護サービス費が必要となります。介護保険適用のため、多くの方は1割負担ですが、一定基準以上の所得がある方の場合は2〜3割負担です。

介護サービス費は、地域やユニット数、介護度によって負担額が変わってきます。基本的には、要介護度が高くなると自己負担額は高く、ユニット数が多い方と負担額は低くなると覚えておきましょう。

また、介護サービスは要介護度に応じて利用できる限度額が決まっています。 支給限度額を超えた場合、超過分は全額自己負担となりますので注意しましょう。

サービス加算

サービス加算は、専門的なサービスや充実した体制などに対して支払う費用であり、介護サービスに追加して請求されます。サービス加算の内容は施設によって違いますので、事前に確認しておくと安心です。

サービス加算の例として、以下の加算があります。

  • 初期加算入居から30日を限度に適用され、施設での生活に慣れるための支援に対する加算
  • 認知症専門ケア加算認知症ケアへの知識を持ったスタッフが在籍する施設に対して発生し、認知症への手厚いサービスに対する加算
  • 夜間支援体制加算夜間の安全確保を目的として人員確保し見守り体制の充実に対する加算
  • 医療連携体制加算看護師の常勤や訪問看護との連携などの医療ケアが充実に対する加算
  • 看取り介護加算施設での看取り実施するうえで必要となる加算

このようなサービスの充実は、安心感や生活の質の向上にもつながりますが、同時に費用も高くなってしまいます。必要なケアを意識して選択するようにしましょう。

グループホームで活用できる助成制度3つ

認知症家族の生活をサポートしてくれるグループホームはありがたい存在ではありますが、毎月の支払いは大きな金額となるため、悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。少しでも負担を減らすためには、国や自治体による助成制度を知っておくことは大変重要です。

グループホームでかかる費用に対して適用される、3つの助成制度についてご紹介します。活用できる制度がないか、チェックしましょう。

高額介護サービス費制度

医療費の場合、自己負担が高額になった際に高額療養費として自己負担限度額を超えた分の金額が戻ってきます。これと同じように、介護保険の自己負担額が一定以上となった場合に上限額超過分の金額が戻ってきます。これが高額介護サービス費制度です。

1ヶ月の自己負担の合計が上限額を超えた場合、その超過額について払い戻しを受けられますが、この金額の対象は一人分だけではありません。世帯全体の負担額も考慮されるため、夫婦などで合わせて上限額を超えた場合にも適用できるのがうれしいポイントです。介護費用が高額で悩んだ場合は、まず自己負担の上限額を超えていないか確認してみるとよいでしょう。

一度申請をすると、2回目以降は該当する度に支給されます。ただし、支給申請には2年の時効があるため、更新を忘れないよう注意が必要です。

自治体の助成制度

各自治体が、独自でグループホーム入居者に対する助成制度を設けている場合があります。ほとんどの場合は、住民税非課税世帯や収入、資産に関する条件があります。まずは自分に当てはまる助成制度はないか、自治体に相談してみるのがよいでしょう。

また、自治体の助成制度の例は以下のとおりです。

【神戸市】(※3)

  • 以下のすべてを満たす利用者が対象者・障害者総合支援法第19条第1項の支給決定障害者のうち、共同生活援助の支給決定を受けている・現にグループホームに入居している・援護の実施者が神戸市である・非課税世帯である・利用者が支払う家賃月額が「10,000円超」である
  • 助成金額助成金(月額)=(当該利用者が支払う家賃月額-10,000円)×2分の1(1円未満切捨て)ただし、15,000円が助成金額の上限

参照:神戸市|グループホーム利用者家賃負担軽減事業について

家賃助成制度

家賃助成制度は、低所得世帯または生活保護受給者の方を対象とした制度で、家賃の一部が補助されます

給付は、実際に支払った家賃の額と1万円のいずれか低い方の額を上限とした家賃が補助され、利用するためには必ず申請が必要となります。詳しい内容や申請方法について知りたい方は、窓口に相談するとよいでしょう。

助成金は、施設利用者ではなくグループホームの運営者へ支払われることになっています。直接給付されるわけではないため、「いつまでたっても振り込まれない」と焦る必要はありません。居住費が差し引かれて10,000円安くなっていますので、ご安心ください。

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グループホームのおむつ代は条件によって助成や控除の対象

グループホーム入居中にかかるおむつ代は、1枚の値段は高額でなくても毎日何回も使用するため、毎月まとまった出費が必要になります。そのため、おむつ代に活用できる助成制度や医療費控除など、負担を軽減できる対策を知っていると知らないとでは大違いです。

また、おむつ代だけでなく、グループホームの入居費用に対しても利用できる助成制度があります。高齢者の増加により、国や自治体もさまざまな対策を行っています。介護費用で苦しい思いをしないためにも、国や自治体の制度を積極的に活用しましょう。

どんな制度があるか詳しく知りたい方は、お住いの自治体の「介護保険窓口」または「医療保険窓口」などに相談するとよいでしょう。

グループホーム・おむつ代に関するよくある質問

Q1.グループホームではおむつ代は月にいくらぐらいかかりますか?

A1.持参するか施設で購入するかによっても異なりますが、一般的には1日あたり240~350円、1ヵ月だと7,200~10,500円程度とされています。排泄行動がどの程度自立しているか、排泄コントロールの状況などによっても変化するため、参考にしてください。

Q2.毎月のおむつ代などの雑費が高く困っています。

A2.おむつは毎日使用するため、月額で計算するとまとまった金額になります。自治体によっては、介護費の負担を減らすためにおむつ代に対して助成制度を設けている自治体もあります。

また、寝たきりで医師から治療のためにおむつを使用する必要があると判断されれば、医療費控除を受けることが可能です。一度、助成制度や控除が可能か確認するとよいでしょう。

グループホームのおむつ代は誰が払うの?

グループホームに入居中にかかるおむつ代は、日常生活費にあたるため、基本的に自己負担となります。詳しくは、こちらをご覧ください。

グループホームでのおむつ代を安くする方法はないの?

各自治体で用意されている助成金制度や医療費控除を利用することで、おむつ代を安くすることが可能です。詳しくは、こちらをご覧ください。

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