グループホームの費用は年金で入れる?高齢者住宅の支出内訳に迫る

グループホームの費用は年金で入れる?高齢者住宅の支出内訳に迫る

老人ホームなどの高齢者施設は、お金がとてもかかるイメージがありませんか?

「国民年金で入れる老人ホームってないの?」「低所得者が入れるお金がかからない老人ホームがあるって本当?」といった疑問を抱える方は、きっと少なくないはずです。

認知症のご家族にはグループホームがよさそうだけど、そんなに金銭的にゆとりがないからと諦めておられる方。実はイメージよりも負担は重くないかもしれません。

この記事では、グループホーム利用にかかる費用を詳しく解説します。

グループホームの費用を年金で賄いたい方向けの助成制度も紹介するので、ご家族にグループホームに入所してほしいと考える方は必見です。

認知症対応型共同生活介護ミニケアホームきみさんち 認知症対応型共同生活介護ミニケアホームきみさんち 管理者
所有資格:介護福祉士,介護支援専門員
専門分野:認知症介護
職業: 認知症対応型共同生活介護ミニケアホームきみさんち 管理者

10年以上認知症介護に携わる。全ての人が認知症とともに歩み、支えあう「おたがいさまの社会」を目指して活動している。詳しくはこちら

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グループホーム費用は年金でまかないやすい

グループホームの費用は年金でまかなえる利点があるものの、居宅サービスの地域密着型であるために、「特別養護老人ホーム」などの施設で利用できる「軽減制度」が適用されません。

その代わり、どの高齢者施設でも利用できる制度が用意されています。

グループホームは、年金でまかなえる地域密着型の施設サービスです。自治体が管理している施設で、一般的には5人から9人のグループを組んで介護を受けながら共同生活をします。

それでは、「なぜ、グループホームは年金でまかなえやすい」のか解説します。

年金の受給額をまずは確認

まずは、国民年金及び厚生年金の受給額を確認しましょう。年金額の受給額によって、入居・利用を検討できる施設などが異なってきます。

一般的な年金受給額については、以下の通りです。

平均受給額

  • 厚生年金:約8万1,000円
  • 国民年金:約5万1,000円

年金の受給額が実際どれだけ振り込まれていたのかは、以下の方法で確認できます。

確認方法

  • 振込口座の明細や通帳で確認
  • 毎年6月に送付される「年金振込通知書」を確認(※年金振込額や振込先に変更が生じた場合、6月以外に届く場合があります。)

年金振込通知書などを保管しておくと、いつでも確認ができるので管理が楽になるでしょう。

受給額の把握をした後、利用できる施設やサービスの検討を行います。

参考:令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況

参考:日本年金機構|通知書の見方を調べる

グループホームにかかる月々の生活費

グループホームの利用にかかる月々の基本費用は平均12万円前後です。

認知症の方が利用できるグループホーム以外の施設と並べると、以下のような費用相場となっています。

【費用相場】

施設 平均額
特別養護老人ホーム 約4万~12万円
グループホーム 12万円前後
介護付き有料老人ホーム 約30万1,000円
サービス付き高齢者向け住宅 約25万4,000円

一覧で見ると、グループホームが安い傾向なのがわかります。

次に、グループホームで、月々かかる費用の内訳は以下の通りです。

  • 入居施設にかかる家賃
  • 施設の管理費
  • 水道・光熱費
  • 食費
  • 各種加算による増額介護保険自己負担分

それぞれに解説します。

①入居施設にかかる家賃

グループホームの家賃は、施設の立地環境や施設の広さによって価格差が生じます。グループホームの家賃相場は、およそ5万〜6万5,000円です。

一般住宅の家賃と同じく、土地の価格などに応じて変動しているため、都市部の方が比較的高い傾向があります。

家賃をできるだけ安く抑えたいのであれば、同じ地区町村内で地価がお手頃な地域のグループホームを検討しましょう。アクセスが多少悪くなる分、土地が広く価格が安い場所であれば安い価格で利用できます。

②施設の管理費

グループホーム内の共用部分や共用設備などの管理に必要なお金が「管理費」です。管理費の相場は、およそ1万〜2万1,000円です。設備が充実している施設であれば、さらに追加でかかる可能性があります。

管理費についての注意点

  • 水道光熱費が含まれている場合がある
  • 設備維持費も含まれている場合がある
  • 「その他」の区分となっている場合がある

グループホームを検討するときや契約する前などに、管理費についての内訳を詳しく確認すると不透明さがなくなるため安心できます。

③水道・光熱費

グループホームで利用する水道や光熱費の料金で、およそ1万5、000〜2万5,000円が相場です。施設によっては、「管理費」として一括請求される場合があります。

また、施設の広さや環境、設備などによって価格が変動します。

水道・光熱費についても、契約前などに内訳の詳細を確認すると不透明さがなくなり安心です。

④食費

1日分の食費も月々の支払いに含まれます。グループホームによって異なりますが、およそ平均は37,000円です。

グループホームによっては、入居者が作るため、材料費として徴収されます。

そのほかの費用

  • 個人で召し上がるおやつ
  • 特別対応食

上記の費用については、別途徴収・加算される施設もあります。

医療的な理由で食事制限があったり、特別なサプリや栄養補助食品を希望していたり、嚥下障害で通常の食事が難しかったりすると、特別な費用が発生する場合もあります。

一例として、スマイルケア食があげられます。スマイルケア食とは、介護用食品の一つです。健康維持に必要な栄養を補給できたり、咀嚼や飲み込みが難しかったりする方に応じた食品です。

グループホームによって対応等が異なるため、食費の詳細を確認するとよいでしょう。

参考:農林水産省|スマイルケア食(介護食品)

各種加算による介護報酬の増額分

グループホームでは、職員の人員配置や専門性の度合い、医療との連携状況によって費用が異なります。相場は、およそ4,000〜5,000円です。

介護報酬の変動理由

  • より充実したサービスを提供するため
  • 能力の高い人材を確保するため
  • 医療との手厚い連携体制のため

上記の理由によって、グループホームでの価格が変動します。職員数が多く、充実したサービスを提供しているグループホームだった場合、平均よりも高い可能性もあるため、事前に確認するとよいでしょう。

⑥介護保険自己負担分

グループホームでは、介護保険の利用による「介護サービス費」もかかります。認知症の高齢者をユニットと呼ばれる5~9人のグループごとに分けて、共同生活を送っていますが、

そのユニットの数によって費用が異なります。

介護費用の金額目安(自己負担額が1割の場合)

要支援・要介護度 1ユニット制(5~9人) 2ユニット制(10~18人)
要支援2 22,800円 22,440円
要介護1 22,920円 22,560円
要介護2 24,000円 23,610円
要介護3 24,690円 24,330円
要介護4 25,200円 24,810円
要介護5 25,740円 25,320円

介護サービスについては、介護保険が適用されるため、自己負担額は、1割〜3割です。要介護度やユニットの数によって、サービスを受ける回数が増える点から自己負担額が高くなる傾向があります。

また、前述の加算も費用として請求されます。

施設によって内容が異なるため、グループホームを利用する際に確認しましょう。

参考:厚生労働省|7. 認知症高齢者グループホーム(認知症対応型共同生活介護)

また年金だけで入れるグループホームをお探しの場合は、ケアスル介護で相談してみることがおすすめです。

ケアスル介護では認知症対応型の施設を含め全国5万を超える施設から、入居相談員がご本人にぴったりの施設をご紹介しています。

「本人のために安心して老人ホームを選んであげたい」という方は、まずは無料相談からご利用ください。

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グループホーム費用を年金でまかなう際に利用したい2つの制度

グループホームを利用するときに、活用できる軽減制度が2つあります。年金でグループホームを利用するときに、より負担が軽くなるので、ぜひ検討してください。

2つの制度

  • 自治体助成金:基本料金・介護サービス料を軽減する
  • 高額介護サービス費:限度額を超えた負担金が戻ってくる

それぞれ具体的にどのような制度か解説します。

自治体助成金|基本料金・介護サービス料を軽減する

全国共通ではなく、自治体独自で助成金制度を展開している場合もあります。高齢者が暮らしやすい町づくりの一環です。

住民税非課税世帯のグループホーム入居者に対して、以下の助成を行っています。

助成内容

  • 介護サービス費の自己負担割合が軽減
  • 賃料・食費・光熱水道費が一定額まで助成

神奈川県や新潟県では次のような取り組みが行われています。

  • 神奈川県横浜市:介護サービス自己負担助成事業→居住費等(家賃・食費・光熱水費)の利用者負担分への助成
  • 新潟県上越市:認知症対応型グループホーム利用者負担金助成事業→家賃等の一部を助成

自治体により助成状況は異なるため、グループホームがある地域ではどうなのか知りたい場合は、自治体窓口に問い合わせましょう。

参考:平成30年8月からグループホーム居住費等の助成制度を拡充します

参考:上越市|認知症対応型グループホーム利用者負担金助成事業

高額介護サービス費|限度額を超えた負担金が戻ってくる

高額介護サービス費は、グループホームのほか、すべての施設で利用できる制度です。

具体的には、自己負担割合を1〜3割で支払う介護サービス費について、所得に応じ設定された限度額を超えた場合に、超えた分の金額が戻ってきます。

この制度では、直接施設に払う費用が安くなるわけではないものの、超過分のお金が返金されるため、実質的に費用が安くなる仕組みです。

対象者

区分 条件 上限額
市町村民税課税世帯 課税所得690万円(年収約1,160万円) 140,100円(世帯)
課税所得380万円(年収約770万円)~課税所得690万円(年収約1,160万円)未満 93,000円(世帯)
市町村民税課税~課税所得380万円(年収約770万円)未満 44,400円(世帯)
市町村民税非課税世帯 合計所得金額と課税年金収入額の合計が80万円を超える方 24,600円(世帯)
合計所得金額と課税年金収入額の合計が80万円以下の方

もしくは、老齢福祉年金を受給している方

24,600円(世帯)

15,000円(個人)

生活保護を受給している方 15,000円(世帯)

上記については、介護保険サービス費の自己負担分が対象です。食費・家賃などは、対象外なので注意しましょう。

申請時に必要な書類方法

  • 高額介護サービス費支給申請書
  • 振込先の口座情報(通帳など)
  • マイナンバーが確認できるもの
  • 本人確認書類

振込先が本人のものではない場合には、次の書類が必要です。

  • 委任状
  • 誓約書(被保険者が死亡している場合)
  • 代理人の本人確認書類

申請時に必要な「高額介護サービス費支給申請書」は、各自治体の介護担当課などでもらえます。

参考:厚生労働省|令和3年8月利用分から高額介護サービス費の負担限度額が見直されます

また「難しくて実際に払う金額がよく分からない…」という方は、ケアスル介護での相談がおすすめです。

ケアスル介護ではご本人様の身体状況や必要となる介護サービスをお伺いしたうえで、入居にどれくらいの費用が掛かるのかもご案内します。

「分からないことを相談して安心して施設を選びたい」という方は、まずは無料相談からご利用ください。

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年金で入れるグループホームの探し方

年金でも利用できるグループホームを探す方法はどのようなものがあるのでしょうか。

主な探し方は以下3点です。

探し方

  • 地価の安い地域のグループホームを探す
  • 開設して長いグループホームを探す医療法人や社会福祉法人が運営しているグループホームを探す

上記について、詳しく解説します。

地価の安い地域のグループホームを探す

グループホームの立地条件によって、月額の料金などが変わります

特に、立地がよいところやアクセスがよい場所は地価が高く、賃料が高くなる傾向があるため、郊外など地価の安い地域のグループホームを探すようにしましょう。

メリット

  • 空室が多い可能性がある
  • 土地代が安いと必然的に賃料が安くなる

たとえ多少交通の便が悪い場所でも、土地代が安い分、広くてゆったりと生活ができる施設などもあるかもしれません。立地にこだわるよりも、快適に過ごせる可能性があります。

開設して長いグループホームを探す

開設してから長いグループホームも、費用を安く抑えられる傾向があります。築年数が新しい施設は、浴室など最新の設備が整っているため、その分費用が高いです。設備に強くこだわりがなければ、開設して長いグループホームを検討しましょう。

メリット

  • 地域との密着度が高い可能性がある
  • 空室が多い可能性がある

開設してから長く経過している施設は、長くその土地で経営し続けているためか、スタッフの対応がよかったり、地域との関わりが高かったりと創意工夫がされている施設が多いでしょう。例えば地域で活動しているボランティア団体の方々が慰問に訪れるなど、ほかにはない交流が深められるので楽しく過ごせます。

医療法人や社会福祉法人が運営しているグループホームを探す

グループホームには医療法人や社会福祉法人が運営している場合があります

医療法人と社会福祉法人の違い

  • 医療法人:医療法人とは、病院、医師もしくは歯科医師が常時勤務する診療所又は介護老人保健施設を開設を目的として、医療法の規定に基づき設立される法人
  • 社会福祉法人:社会福祉事業を目的として、社会福祉法の規定に基づき、所轄庁(法人の所在地等に応じ都道府県知事又は市長等)の認可を受けて設立される法人

それぞれの法人で運営しているグループホームは、自治体・国からの援助を受けている可能性が高いため、費用を抑えて運営できます。そのため、グループホームを探す時に、どこが運営をしているのか確認をするようにしましょう。

引用:厚生労働省|第1章 医療法人の基礎知識

引用:厚生労働省|社会福祉法人制度

グループホーム以外に費用を年金で払える施設はある?

グループホーム以外で、認知症の方を受け入れてくれる施設はあります。しかしながら、年金で入れるのか不安に感じるかもしれません。

年金でも利用できるグループホーム以外の施設は以下の通りです。

  • 特養(特別養護老人ホーム)
  • 介護型ケアハウス

上記について、それぞれ紹介します。

特養(特別養護老人ホーム)

特養は、認知症の方の受け入れもしている老人ホームです。

主に次の様な特徴があります。

特徴

  • 公的な介護施設
  • 65歳以上、要介護3以上の方が入居可能
  • 24時間体制で介護を受けられる

認知症により、夜中の徘徊をする可能性が高い方の対応もしてもらえるので、安心して利用できます。ただし、共同生活を送る観点から、暴言や暴力などの傾向が見られる方の入居は断られる可能性があります。

費用の相場は次の通りです。

特別養護老人ホームの費用相場

  • 多床室(相部屋):44,000円~12万円/月
  • ユニット型(少人数):68,000円~15万円/月

費用については、入所するタイプによって異なるほか、所得段階によっても異なります。また、社会福祉法人の軽減制度も適用範囲です。

介護型ケアハウス

介護型ケアハウスは、自宅で生活を送るのが難しい低所得の方が対象の施設です。夫婦での入居では、どちらか一方が60歳以上であれば利用できます。

ケアハウスの特徴は次のものがあります。

特徴

  • 60歳以上の方が利用できる
  • 一般型と介護型の2種類がある
  • 初期費用が必要だが、基本的に料金が安い
  • 食事と生活支援サービスを受けられる

介護サービスが必要な場合、介護事業者と個別に契約しなくてはならないので注意してください。

一般型と介護型の2種類の違いは次の通りです。

種類 年齢 要介護度 認知症への対応
一般型 60歳以上 自立から軽度の要介護度 非対応
介護型 65歳以上 要介護1~5 一部対応

共通している点は、共同生活が必要である点や入居時の収入が少ない方が優先である点です。細かな基準については施設によって異なります。

利用を検討しているケアハウスがあれば、事前に問い合わせしましょう。

監修者コメント

ケアハウスは、一般型と介護型の2つに分類されますが、認知症の方の受け入れに対応しているのは、介護型のケアハウスのみとなります。
一般型のケアハウスでは認知症の方の受け入れは対応していないため、注意が必要です。

監修者:志寒 浩二(しかん こうじ)

「たくさん施設があってどれが良いか分からない」という方は、ケアスル介護で相談してみることがおすすめです。

ケアスル介護では、入居相談員が施設ごとに実施するサービスや立地情報などをしっかりと把握した上で、ご本人様に最適な施設をご紹介しています。

「身状況に最適なサービスを受けながら、安心して暮らせる施設を選びたい」という方は、まずは無料相談からご利用ください。

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まとめ|グループホームを利用し年金で快適に暮らしを

グループホームは、年金で入居できる可能性のある施設です。また、グループホームでかかる費用の負担を軽減利用できる制度もあるため、想像よりも負担がかからない可能性があります。

グループホームは、場所や築年数でも費用が大きく異なります。選ぶ際には、利用者の声を聞いたり、実際に見学したりするのも、雰囲気を掴める有効な手段です。

一度、ご家族を含め専門家に相談したり、実際に入居を検討したりするのはいかがでしょうか。

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Q.老人ホームとグループホームの違いは?

A.老人ホームとグループホームの違いは以下の通りです。

【老人ホーム】

  • すべての高齢者が入居可能
  • 施設数は多くすぐ入居可能
  • 介護設備やサービスの質が高い

【グループホーム】

  • 中度までの認知症の高齢者が対象
  • 入居者同士で家事分担し共同生活をする
  • 5~9人程度のキャパのため入居待ちが発生しやすい

Q.グループホームに入居条件はある?

A.以下5つの入居条件があります。

  1. 65歳以上の方
  2. 要支援2または要介護1以上の認定を受けた方
  3. 医師に認知症の診断を受けた方
  4. 集団生活を営むのに支障のない方
  5. 施設と同一の市区町村に住民票がある方
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