グループホームでの薬の管理は誰がする?服薬介助のやり方も解説!

グループホームでの薬の管理は誰がする?服薬介助のやり方も解説!

「グループホームに入所したら、薬の管理は誰がやるの?」と不安に思っているのではないでしょうか。

認知症の人の生活の困りごとで多いのが、服薬の管理です。ただでさえ高齢になり持病があると、たくさんの薬が処方されることが多いものです。認知症になると飲み忘れや過剰摂取の可能性が高くなるので、不安に思う方も少なくありません。

しかしグループホームに入所すれば職員がきちんと把握してくれるため、安全に服用ができます。

この記事では、グループホームでの薬の管理方法や服薬介助について紹介します。入所後の服薬について不安がある方はぜひ参考にしてください。

認知症対応型共同生活介護ミニケアホームきみさんち 認知症対応型共同生活介護ミニケアホームきみさんち 管理者
所有資格:介護福祉士,介護支援専門員
専門分野:認知症介護
職業: 認知症対応型共同生活介護ミニケアホームきみさんち 管理者

10年以上認知症介護に携わる。全ての人が認知症とともに歩み、支えあう「おたがいさまの社会」を目指して活動している。詳しくはこちら

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グループホームでの薬の管理は誰が行う?

高齢者になると1日に多くの薬を使用するため、グループホームに入所した際に誰が薬の管理を行うのか気になるのではないでしょうか。

薬の管理方法は、主に以下の2つです。

  • 施設の職員
  • ご本人

入所前にご本人やご家族と施設側が相談をして、どのように管理するかを決めます。現在はご自身で服薬管理ができていても、認知症が進行すればそれも難しくなります。その際の対応も含め相談することが望ましいでしょう。なるべく本人の要望に沿った管理方法を実施しながら、飲み忘れや飲みすぎなどの事故が起きないように、介護職員がサポートしてくれるため安心して任せられます。

それぞれの管理方法について解説するので、参考にしてください。

施設が管理する

多くの場合、薬の管理は施設側が行うことがほとんどです。現状、ご本人で自己管理ができていたとしても、今後はどうなるかはわかりません。

そうした想定に基づいて施設が薬を預かり、服薬のお手伝いを行うことが多いでしょう。

服薬のタイミングで職員が声かけをしてくれるため、飲み間違いがほとんどありません。薬の種類によっては、食後ではなく「食前」や「食間」に飲む薬があります。

飲み方が異なる薬であれば管理方法が複雑になるため、例え自己管理ができても、施設に管理を任せる方も少なくありません。

施設に任せていれば、飲むタイミングを気にしながら過ごさなくてもいいので、利用者の負担も減らせるでしょう。

また、糖尿病のお薬や血圧の薬など、ある程度決められた時間に規則正しく飲むことが、いっそう重要な薬もあります。

自己管理に自信がない方は、施設で完全に管理してもらってください。飲み忘れや過剰摂取が防げます。

ご本人が管理する

延べたように、薬の管理を施設側に任せることがほとんどとなりますが、一方で、ご本人が管理する方法もあります。

薬の管理は自分でできると自信を持っておられる方の場合、それを施設側に任せることに強い拒否感を持つ方も少なくありません。

その場合、薬の管理の“権利”を無理に取り上げてしまうと、自尊心が傷つけられて、施設への不信感や家族や周囲への怒りが生じることがほとんどです。

中には抑うつ状態になったり、毒を盛られているという被毒妄想という妄想につながったりすることもあります。

そうした状況を総合的に判断して、ご本人に薬の管理を任せる場合もあります。

ただし、生命へのリスクが高い薬の場合はやはり施設側に任せるという決断も必要ですし、服薬ミスが生じた場合の責任の所在も考えなければなりません。

そうしたことも踏まえ、自己管理にこだわりがある場合には施設側だけではなく、かかりつけ医や薬剤師に相談することも必要になるでしょう。

その上で、薬の種類や数を減らす、一包化するなどで、自己管理しやすくし、施設側にご本人の薬の管理を手伝ってもらうという手段があります。

利用者が薬を管理する場合でも、服薬時に介護スタッフが見守っているため、正確に服用できます。

飲み忘れがあった場合は、きちんと薬を飲んでもらうように声かけをしてくれるため、自己管理をしていても安心です。

施設側も薬の袋に日付や飲む時間帯を記入してくれたり、前から順番に取り出していけば間違えずに飲めるようにしたりと、利用者が間違えて飲まないような工夫を施してくれます。

職員と相談して、最適な薬の管理方法を考えましょう。

監修者コメント

たいていの場合、湿布や軟膏などはご本人にお任せしても、ご本人に全ての服薬の管理を任せることはまずありません。

上記のように現在はできていても、今後はできなくなる可能性も高くなるからです。

ご家族としても施設側に任せて安心したいのは実情でしょう。ですので、ご本人に薬の管理をまかせるのは、例外であると考えます。

監修者:志寒 浩二(しかん こうじ)

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グループホームでの薬の管理方法

グループホームで利用者が薬を管理する方法は、おもに以下の3つです。

  • 複数の薬を一包にまとめる
  • お薬カレンダーや服薬ボックスを利用する
  • 一言メモを添えておく

介護スタッフがどの方法で管理すれば飲み忘れや飲み間違いを防げるのか、本人と話し合いながら決めていきます。

それぞれの管理方法を詳しく解説していくので、利用者に最適な管理方法はどれなのか考えてみてください。

複数の薬を一包にまとめる

まずは、複数の薬を一包にまとめる方法です。

高齢者のほとんどが複数種類の薬を服用しており、服薬の際に1つずつ取り出して薬を飲まなければいけません。

何袋もあると「どれを飲んだのか」「忘れずに飲めているのか」が分からなくなるため、過剰摂取や飲み忘れの原因になります。

複数の薬を一包にまとめてもらえれば、1袋を取り出すだけで服薬ができます。飲み忘れる心配がなくなるうえ、利用者自身も管理がしやすくなるでしょう。

薬をまとめる場合は、ご家族または薬剤師、看護師に依頼しましょう。

お薬カレンダーや服薬ボックスを利用する

お薬カレンダーとは、壁掛けできるカレンダーにポケットがついているカレンダーのこと。ポケットに薬を入れておけば、飲み忘れや飲みすぎが防げるグッズです。

ただし1つのポケットに朝、昼、晩の3回分を入れておかなければいけません。

1日2回の薬や毎食後に飲む薬が混ざっていると、飲み忘れに繋がります。間違いがないように、「昼の服薬はなし」といったカードを1枚挟んでおくと安心です。

また、服薬ボックスは1日分の薬を専用の箱に入れて、毎食後に取り出して飲む方法です。

箱の中に入っている分しか飲まないため、過剰摂取が防げるでしょう。

お薬カレンダーや服薬ボックスは利用者が管理しやすいだけでなく、介護スタッフも一目見ただけで服薬ができているかが確認できるため便利です。

一言メモを添えておく

比較的自立している方に限りますが、飲み忘れ防止に一言メモを添えていくのも1つの手段です。

食後に服薬が必要な方であれば、食事の配膳の際に「薬は飲みましたか?」と一言メモを添えておきます。

軽度の認知症で、文章に関心がある方のみに効果がある方法ですが、自分でできることはなるべく継続させたい意向があれば、検討してみてください。

グループホームが行える薬の管理は「服薬介助」

グループホームで介護職員が行える薬の管理は、服薬介助です。

グループホームには医師や看護師など医療職はほぼ常駐していません。

ですので、服薬の支援のなかには、介護職が行えない行為もあります。

グループホームに入所した際に、服薬についての要望がある場合は、介護職でも対応できるのかを把握しておきましょう。

服薬介助でできることやできないことを理解したうえで、グループホーム内で服薬管理や服薬方法をどのように行うかを相談すると、スムーズに決められるでしょう。

ここからは服薬介助についてや、介護職ができない服薬介助について紹介します。ぜひ、参考にしてください。

服薬介助とは

服薬介助とは、その人が必要な種類と量の薬を、適切なタイミングで使用することをお手伝いすることです。

そのためには、単に薬の声かけや薬包をお渡しすることだけではなく、介護職は、その人が「どんな疾患を持っているのか」や「どのような症状の改善のために服薬しているのか」などを理解していなければいけません。

薬1つで体調を左右される方もいるため、薬についての理解は必須です。

具体的な服薬介助の第一歩は薬の種類個数服薬の時間などの把握です。

自分で飲める方に対しては、飲み間違えや飲み忘れがないように見守りや声かけを行います。

利用者のなかには飲んでいるフリをしたり、薬を落として気づかない方もいるため、介護職は見逃さないように徹底なければなりません。

介護職ができない服薬介助がある

服薬介助には、介護スタッフが行えないものがあります。

  • 容態が安定していない方
  • 副作用の危険性や投薬量の調整などにより、医師や看護師による容態の経過観察が必要な方
  • 服薬する際に専門的な配慮が必要な方

患者さんが入院または入所して治療をしている方や、服薬によって容態が急変する可能性がある方への服薬はできません。

すべて医療行為にあたります。

介護職が誤ってこれらの行為をしてしまうと、命に関わる可能性があるため危険です。

ご家族側も介護職ができる服薬介助の線引きを理解しておきましょう。

グループホームが薬の管理以外に行える医療的ケアとは?

グループホームの介護スタッフが、薬の管理以外に行える医療的ケアについて紹介します。

医療行為にならない場合は、グループホーム内で処置が可能ですが、医療行為になると看護師または医師による処置が必要です。

グループホームには看護師の配置義務がなく、ほとんどの施設は看護師がいません。

医療ケアを行ってほしい場合は、訪問看護の併用か、看護師が在籍しているグループホームへの入所がおすすめです。

介護職がやってもいい医療的ケア

介護職が行ってもいい医療的ケアは以下のとおりです。

医療行為にあたらない行為 内容
体温測定 水銀体温計、電子体温計、耳式電子体温計による脇の下や外耳道での測定
血圧測定 自動血圧計による測定
パルスオキシメーターの装着 新生児以外で入院治療が必要ない方の動脈血酸素緩和度の測定を目的にする
軽微な切り傷や擦り傷、火傷などの処置 専門的な判断や技術を必要としない処置
医薬品の使用の介助 皮膚への軟膏の塗布や湿布の貼付、点眼薬の点眼など
爪切りややすりがけ 爪そのものに異常がないことや、爪周辺の皮膚に炎症や可能がないこと
日常的な口腔ケア 歯ブラシや綿棒などを用いて、口腔ケアをすること
耳垢の除去 耳垢塞栓の除去以外
ストマ装具のパウチに入った排泄物を捨てること 肌に装着したパウチは除く
自己導尿の補助 カテーテルの準備や体位保持など
市販の使い捨て浣腸器による浣腸 条件を満たした浣腸器のみ使用可能

これらの行為であれば、介護スタッフが行えます。

このなかに利用者に行ってほしい医療的ケアがある方は、遠慮せずに依頼してください。

介護福祉士のみができる医療的ケアは2つ

次に介護福祉士のみができる医療的ケアは、以下の2つです。

  • 喀痰(かくたん)吸引
  • 経管栄養

喀痰吸引とは、定期的に痰を取り除く行為のこと。一方で経管栄養は、体外から管を通して栄養や水分を投与する行為です。

この2つの医療的ケアを行うには、以下2つの研修を修了していなければいけません。

  • 基本研修(都道府県に登録された学校に通う)
  • 実地研修(利用者がいる現場で行う)

ただしこの2つを修了しただけでは、医療的ケアができないので注意してください。

研修が修了後に、都道府県に登録の手続きをします。手続きが完了すれば、介護現場で医療的ケアができるようになります。

実際に医療的ケアを行う場合は、利用者の同意が必要です。

グループホームで医療的ケアを行ってほしい場合は、本人の同意を得てから依頼しましょう。

介護職がやってはいけない医療的ケアがある

介護職がやってはいけない医療的ケアがあります。

  • インスリン注射
  • 摘便
  • 床ずれの処置
  • 血糖測定
  • 点滴の管理 など

インスリンの注射は利用者が自分で行えるため、依頼される方がいますが医療行為なので介護職はできません。

また摘便は自力で排泄が難しい方の直腸に指を差し入れて、排便させる行為です。腸壁を傷つける可能性があるため、行えません。

監修者コメント

やるとしても必ず医師に相談の上、医師の指示のもとで行います。

監修者:志寒 浩二(しかん こうじ)

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グループホームに入所しても安心して薬の服用ができる

お薬を正しく、安全に飲めているか。ほとんどの認知症の人にとってはたいへんな難題です。お薬の管理ができないことが、他の疾患を悪化させ、結果的に生活が困難になることが多くあります。

グループホームに入所後は、薬の管理を介護職が行ってくれます。飲み忘れや過剰摂取にならないように介護職が見守りをします。

お薬の管理という難題が解消されることは、心身ともに健やかな生活を送ることにつながるでしょう。

一方で、容態が安定していない方や服薬に専門的な知識が必要な場合は、看護師や医師が行う必要があります。介護職ができない医療行為が必要ならば、その旨を入所時に話し合う必要があるでしょう。

また、介護スタッフでも服薬介助以外の医療行為が一部できるものもあります。

介護施設で行ってほしい医療行為があれば、相談してみてください。

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