• 認知症
  • 【公開日】2023-02-16
  • 【更新日】2023-05-10

認知症の親がお金を欲しがる時の対応について解説|お金を欲しがるとき理由なども併せて解説

認知症の親がお金を欲しがる時の対応について解説|お金を欲しがるとき理由なども併せて解説

認知症の親の介護では、いろいろな局面がありますが、その中で、「認知症の親がお金に執着して困る」といった悩みを抱えている方がいます。

認知症でお金の管理に不安があるけど、親が頑として管理を任せてくれない、最近お金の使いかたが荒く、このままお金を持たせておくことはできない、など、内容は違っても対応に苦心している方が多いようです。

お金に執着するという行為は、認知症の症状としてよく見られます。認知症の親がなぜお金を欲しがるのかを解説いたします。

国家公務員共済組合連合会 大手前病院 救急科 医長
所有資格:日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医、日本救急医学会認定ICLSコースディレクターなど
専門分野:心臓血管外科、急患科、 脳神経外科、総合内科,、総合内科、整形外科など

大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部医学科を卒業後、2012年より国立病院機構大阪医療センターで心臓血管外科医員として従事する。 現在は国家公務員共済組合連合会大手前病院で救急科医長を務める。 専門分野は心臓血管外科をはじめ、急患科、 脳神経外科、総合内科,、総合内科、整形外科など多岐にわたる。 主な研究内容・論文として「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」(執筆者)などがある。詳しくはこちら

所有資格:一般社団法人 薬機法医療法規格協会 薬機法医療法遵守広告代理店認証
専門分野:化粧品や健康食品における広告表現
職業: 薬機法管理者

2003年からヘルスケア情報サービス事業・治験支援事業を行っている企業にて、主にDTC広告の企画営業に携わる。 4年ほど企画営業を担当後、自社のヘルスケアサイトの運営、製薬会社・健康食品メーカーの記事広告の制作を行うが、この時に薬機法(薬事法)についての知識を学び、広告記事の精査を経験。 2017年退社。現在は臨床研究の支援を行う企業にて研究事務局支援に携わる。東京在住。 現在は本業の傍ら化粧品や健康食品の企業の広告等の薬機法チェックを行う。詳しくはこちら

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認知症の親がやたらとお金を欲しがる…

認知症では、自分で身の回りのことをおこなっていくのがだんだんと難しくなっていきます。家族の協力や、社会資源を利用しながら生活していくのですが、その中で起こりがちなのがお金のトラブル。

お金を持たせたらあるだけ使ってしまう、お金がない、足りないという訴えが多く、お金を欲しがる……。

家族としては対応に困ってしまいますね。これは、認知症の症状である、「記憶障害」が原因となっています。

参考文献:認知症のBPSD

お金を使ったのを忘れてしまうのですが、本人は「使うはずがない」「忘れるはずがない」という気持ちが根底にあります。

忘れてしまったのに加えて、生活に対する不安感などからさらにお金に執着する思いが強くなる場合もあります。

参考文献:認知症のBPSD

認知症ではよくある症状ですが、周囲からはお金に執着してお金を欲しがっているように見えてしまうのです。

どう対応したらいいのかわからなく、家での介護が不安……。そんなときは、家族だけで解決しようとせず、社会資源を利用してみるのもひとつの手です。

老人ホーム・介護施設をお探しの際には、ケアスル介護に相談してみましょう。無料で相談でき、施設の情報も豊富です。

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親が認知症の場合に注意すべきお金の使い方

認知症はどんどん進行していくので、以前はできていたことができなくなっていきます。お金の管理も同じで、以前と比べてお金の使い方が変わったり、お金がないと言ったりしていませんか?

「そういえば……」と思い当たるようなら、このまま本人にお金の管理をさせておくのはむずかしいと考えておいたほうがいいでしょう。

 同じものばかり買っている

毎回買い物に行くたび同じものを買ってくる、家にまだあるのに買ってくる。これも、「忘れる」というのが原因となっています買ったのに忘れてしまう。家にあるのを忘れてしまう。

結果的にいらないものを買ってしまうので必要以上にお金を使ってしまいます。

欲しいと思ったら、欲求をがまんできずに買っている場合もあります。判断力がにぶくなってくるため、計画したお金の使い方ができなくなってしまい、衝動買いも多くなります。

欲しいものを買ってしまうような場合、高額のものを購入してしまわないかという心配もあります。

家の中に同じようなものがたくさんありませんか?以前より買い物の量や頻度が増えている、同じものばかり買ってくる……というときは、判断した買い物ができなくなってきているサインです。

 以前に比べてお金の使い方が荒くなった

あるだけお金を使ってしまう、欲しいものをどんどん買ってしまうなど、以前とは違うお金の使い方をするようになった。

お金を使ったのを忘れてしまう、お金の使い方の適正な判断ができなくなるために、持っているお金を使ってしまいます。

ですが、「お金がないと生活ができない」という気持ちがあり、お金を欲しがるようになります。

買い物でお金を使ってしまうほか、他人にお金をあげてしまうというケースもあります。

高齢になってくると、近所の人などになにかと手助けをしてもらう場面もあるでしょう。ちょっとした謝礼を渡すのは、めずらしくはありませんが、金額の判断ができず、高額を渡してた……というようなトラブルも。

必要な支払いはしていないのに、必要のないものを買っているなど、適切なお金の使い方ができなくなってきます。

 「お金がない」「お金を盗られた」と思い込んでしまう

「もの盗られ妄想」と呼ばれ、周囲の人がお金や物を盗っていたと訴えるようになる症状です。自分でどこかにしまい込んでしまい見当たらない物や、使ってしまってなくなったお金を「盗まれた」と言い張ります。

しまったのを忘れる、使ったのを忘れるだけでなく、「自分では失くしたり使ったりしないから、誰かが盗んでいった」という思い込みがあります。

参考文献:認知症のBPSD

認知症の人は、自分でいろいろとできないことが増えていく、物忘れがあるということに不安を感じています。その不安が、周囲の人に対する不信感や、責める言動になり、「お金は自分が管理しないと」と、ますますお金に執着するようになります。

もの盗られ妄想は、人間関係のトラブルの原因となってしまいます。相手が認知症とはわかっていても、盗んだという疑いをかけられていい気持ちのする人はいないでしょう。

失くしたら困るという不安感から、通帳や印鑑を持ち歩くようになるケースもありますが、そうなると、本当に失くしてしまうという心配があります。

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認知症の親の代わりにお金を管理することはできる?

親にお金を持たせておくことが不安になったときに、家族が代わりにお金の管理をしたほうがいいのかもしれない……と、検討している方もいるかもしれません。

認知症で本人だけでは銀行に行かせるのが不安なときに、一緒に行ければいいですが、連れて出掛けるとなるとひと手間かかります。

通帳やキャッシュカードを預かって、出掛けたついでに銀行で下ろせたら楽ですよね。でも子どもとはいえ、親の口座からお金を引き出すのは問題ないのでしょうか。

 家族が管理する場合

結論から言うと、例え子どもであっても、親の口座からお金を引き出せません。本人が同行しないのであれば、委任状が必要となります。

暗証番号がわかれば、ATMで引き出せますが、本人の同意がないと違法となってしまいます。

さらに、認知症であると銀行側が判断すると、口座が凍結され、使えなくなってしまう場合も……。こうなってしまうと、この後解説する「成年後見制度」を利用しないと、口座凍結を解除できません。

では、認知症の親の口座を家族は管理できないのでしょうか?認知症の本人に口座の管理を任せておくしかない?

もちろんそんなことはなく、きちんとした手続きをすれば、家族が口座を管理できるようになります。

「家族信託」という制度で、不動産や預金などの資産管理の権限を家族に与えておくというものです。権限がどこまでかというのは、信託契約で決まります。

しかし、子どもが複数いるときには、権限を与えられる受託者を誰にするかきょうだい間でトラブルになる場合や、受託者が資産を使いこんでしまうというデメリットがあります。

家族信託を利用するのは、本人に意志決定能力が必要とされるため、認知症が重度に進行してしまうと、利用できません。

成年後見制度を利用する場合

後見人となった人が認知症で判断力が低下した本人の代わりに、資産を管理します。成年後見人には、法定後見人と、任意後見人があります。

参考文献:成年被後見人に対する後見人等の 支援に関する文献研究

  • 法定後見人

家族が家庭裁判所に申し立てし、裁判所が後見人を選任します。誰が後見人になるかを自分たちで決められません。親族以外の第三者が後見人となる場合もあります。

  • 任意後見人

本人が後見人となる人を選任しますが、選定する際には判断能力が必要です。認知症が進んでいて判断力がないとされると、任意での後見人の選定はできません。

家族信託と同じように思うかもしれませんが、違う点がいくつかあります。家族信託では、契約の範囲内での資産管理しかできませんが、後見人ではすべての財産に対して権限があります。

認知症と判断され、口座が凍結された場合でも、家庭裁判所から選定された法定後見人なら資産の管理ができます。

身寄りがいない、家族が遠方で家族信託では対応しきれない、誰が資産を管理するかで、家族間でもめている……このようなときは、成年後見人を活用したほうがトラブルにならないでしょう。

認知症の親が「お金が欲しい」と言ったらどうしたらいい?

認知症の親がお金を欲しがるときには、どう対応したらいいのでしょうか。無理にお金を取り上げてしまう、使ってしまうからといって渡さないでいると、よけいにお金に執着する可能性があります。

本人がまだ通帳を持っているような場合には、どこかに隠してしまい、引き出せなくなった……というのも考えられます。

少額ずつ渡す

あるだけ使ってしまうようなときは、使ってしまっても問題のないような少額を渡しておくといいでしょう。

本人にとっては、自分でお金を管理しているという満足感が得られます。認知症では、よほど重度でなければ、「自分でできる」という気持ちが残っています。

そこで無理に「もうお金を持っていてもしかたない」と取り上げてしまうと、よけいにお金を欲しがるようになります。

この方法は、ある程度頻繁に行き来している必要がありますが、「お金がないと生活に困る」という不安感からお金を欲しがる場合もあるので、いくらかもっていると安心して納得するでしょう。

どれくらいのサイクルで渡すか、いくら渡すかは、それぞれの家庭環境によって異なります。問題のない範囲で考えましょう。

本人に渡してもいい口座を用意する

お金だけでは納得せず、どうしても通帳や印鑑を持ちたがるときは、ダミーの通帳や印鑑を持たせておくのも手です。ダミーとはいっても、もちろんきちんと使える本人名義の口座です。

口座を複数持っているなら、メインの口座は家族で保管し、少額入っている口座を本人に持たせておくと、安心するのではないでしょうか。

認知症では、目の前にあるはずのものがない、持っていたはずのものがないということに不安を感じます。

預かっているからと説明しても、忘れてしまい、もの盗られ妄想に繋がってしまいかねません。心配だから預かっているだけといったところで、自分でできると思っている本人にとっては「盗られた」と思い込んでしまいます。

認知症では不安から怒りにつながるので、できるだけ刺激しないような環境作りも大切です。

「通帳はここにある」という安心感を持たせてあげましょう。

お金がないという不安を解消する

認知症の人がお金に執着するのは、不安の現れでもあります。自分自身の物忘れやつじつまの合わない行動を漠然と感じているなかで、「せめてお金だけはしっかり管理しよう」という気持ちだったり、「お金がなかったら生活に困る」という気持ちだったりします。

「お金が欲しい」という訴えのなかに、どんな不安があるのかを考えてあげるといいでしょう。

「買い物に行くのにお金がない」と思っているようなら、一緒に買い物に行く、買ってあるものを見せてまだあるから大丈夫と安心させるなど、気持ちに寄り添うことで不安を解消してあげます。

また、自分でお金を管理して生活をしているというのは、本人の自尊心につながる部分でもあります。なんでも周囲がやるのではなく、まだできる部分は任せるなど、本人を尊重した対応をすると気持ちが落ち着きます。

参考文献:認知症のBPSD

認知症の親にお金を管理させるのは危険

対応が大変だからなど、認知症の親にお金を任せておくと、どのような危険性があるのでしょうか。

管理できずに使ってしまうというほかにも、高齢者を狙った詐欺や悪徳商法に巻き込まれる心配もあります。こういった高齢者の金銭トラブルは増加しており、他人事ではなく、いつ降りかかるかわからないのです。

口座も本人任せにしているうちに認知症が進み、銀行側で判断能力がないとされると口座が凍結されてしまいます。凍結されると、成年後見人を選定するしか手段がなくなってしまいます。

まだ本人に判断能力があるうちに手続きを進めておけば、家族信託や任意後見人という選択肢もあります。

口座が凍結してしまうと、口座のお金が使えるようになるまでの間、他の家族で生活費や支払い等をまかなう必要が出てきます。

そうならないためにも、早めに今後のことを検討しておく方がいいでしょう。

認知症の親はお金だけでなく生活面の心配も

認知症の親にお金の管理を任せておけないと感じるようになったら、親の生活全般はどうなっているのかを見直してみましょう。

お金がなくなるという不安から、お金を使わないようにと食事など生活に必要不可欠なことをひかえている場合もあります。

もの忘れはお金に関してだけ現れるわけではありません。お金に関して忘れている内容が増えているようなら、生活のほかの部分にも影響が出ていると考えられます。

衣食住に関して不自由が出ていないか、暮らしは維持できているのかを見ていく必要があります。

認知症が進んでいくと、少しずつできないことが増えていくなかで、家族はどこまでサポートできるのかを考えていかなければいけません。少しでも安心して暮らせるように環境を整えてあげましょう。

親が認知症と診断されたときには、早めに今後を考えておいたほうが親も子も安心ですね。

老後をどこで過ごすのかは、とても大切です。自宅で過ごせるのが一番ですが、生活面での満足度を考えると、必ずしも自宅がいいわけではないケースも。

今後について迷ったときには、自分たちだけでは決められず誰かに相談したいときもありますね。

老人ホーム・介護施設をお探しの際には、ケアスル介護なら後悔のない選択を後押ししてくれます。老人ホームへの入居をご検討の場合は、お気軽に無料相談からご利用ください。

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まとめ|認知症の親がお金を欲しがるようになったら

認知症の親がお金を欲しがるようになったら、今後の生活について考えていく時期ともいえるでしょう。お金の管理や生活の維持がむずかしくなってきたのだというサインともいえます。

親が認知症であるというのは、受け入れがたい面もありますが、周囲が受け入れてしっかりサポートしていくことが本人の安定につながります。

お金は本人だけでなく、親族間や周囲の人とトラブルになりやすいもの。放っておいて手遅れに……なんていうことにならないためにも、本人にとっても家族にとっても適切な金銭管理をしていきましょう。

できれば本人にお金を持たせたくないので、いい方法はないですか

本人にとっては、お金の管理は自尊心を尊重するもの。場合によっては、よけい執着するケースもあるので、少額を持たせるなど、本人の意志も尊重して対応しましょう。詳しくはこちらをご覧ください。

成年後見制度のデメリットを知りたい

一度後見人が決まると変更できない、後見人は裁判所が選定するため家族自身が後見人になる人を選べない、家族でも後見人の決めたお金の使い方に口出しできないという面があります。

 

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