生活保護受給者は特養(特別養護老人ホーム)に入居できる?費用と条件を解説

生活保護受給者は特養(特別養護老人ホーム)に入居できる?費用と条件を解説

日本では高齢化、核家族化が著しく進み、独居のお年寄りが増えています。老人ホームは欠かせない存在となっています。皆さんのご両親も要介護状態になると、在宅での生活は難しくなるはずです。

一方で親に生活保護が支給されていた場合、施設に預けられるかを疑問に感じる方もいるでしょう。

この記事では、特養に生活保護受給者が入居できるかを解説します。費用や入居条件についても理解できるため、親族を入居させたい方は今後の決断に生かしましょう。

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株式会社スターコンサルティンググループ 代表取締役
専門分野:介護事業経営

株式会社JTBで企業、自治体の海外視察を担当後、大手コンサルティング会社の株式会社船井総合研究所に入社。介護保険施行当初、自ら介護事業に特化したグループを立ち上げ、マネージャーとして勤務。その後、介護サービスに特化したコンサルティング会社「株式会社スターコンサルティンググループ」を立ち上げ、専門家集団として活動している。サポート領域としては、介護施設の開設から集客(稼働率アップ)、採用、教育研修システム・評価制度の導入、DX化などを幅広く支援。「日本一」と呼ばれる事例を、数々生み出してきた。コンサルティング実績500法人以上、講演実績700回以上。また「ガイアの夜明け(テレビ東京)」など、テレビ、新聞、雑誌の取材も多い。詳しくはこちら

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生活保護受給者は特養(特別養護老人ホーム)に入居できる?

結論から述べると、生活保護を受けている方でも入居は可能です制度面では、これらの方々を制限する規定は存在しません。したがって、ルール上では問題なく特養の利用が認められています。

しかし、必ずしもすべての施設が受け入れるわけではありません。優先入所指針というものがあり、必要度の高い方を優先的に受け入れることになっています。また、細かい運営方針は各施設が定めており、タイミングよく入所できないケースもあるでしょう。入居の申し込みをする際に、生活保護の件を担当者(ケースワーカー)に必ず相談してください。

生活保護受給者が特養(特別養護老人ホーム)を利用する際の費用

特養を利用するうえで、どの程度の費用が発生するかはあらかじめチェックしなければなりません。

生活保護受給者の場合は、通常と比べて利用費の算出方法が異なるため、本来かかるはずの費用と比較してみましょう。

下記の表は生活保護受給者に相当する所得の方が本来支払う1日当たりの費用です(千葉県野田市『ふれあいの里』を参照)。

サービス費 居住費 食費
要介護3 約790円 約820円 約300円
要介護4 約860円 約820円 約300円
要介護5 約930円 約820円 約300円

他にも、サービスによって金額が加算されます。所得に応じて第1〜4段階などと料金が設定されており、生活保護受給者は第1段階にあたります。

1カ月の合計は、10万円を下回る程度と認識してください。ただし、当然ながら地域や施設によって細かく費用は異なります。ケースワーカーにも調べてもらった方が賢明です。

生活保護により原則自己負担額はゼロ

特養の費用を簡単に説明しましたが、生活保護受給者の自己負担は原則0円です

経済的に困窮している方は、「生活保護法」で生活扶助が支給されます。こちらの制度は、特養を利用したところで対象からは外れません。

生活扶助からの支払いが発生する部分は、原則として以下の3点です。

  • 家賃…住宅扶助
  • 雑費(光熱費など)や食費…生活扶助
  • 介護や医療に関する費用…介護扶助

基本的には、上述した表の費用に該当すると押さえましょう。一方で、特養では生活扶助の項目には該当しない出費もあります。これらの部分に関する金額を負担するのは行政の役割です。

そのため、生活保護受給者は基本的には費用を負担せずにサービスを利用できます。ケースワーカーや施設の職員と相談するうえで、費用面についてもチェックしましょう。

生活保護費を上回る金額は支払い義務がある

生活保護受給者であれば、先述のとおり基本的に自己負担はありません。しかし、利用状況によっては費用が発生する可能性もあります。ケースワーカーと生活保護のルールを再確認しましょう。

特養で提供しているサービスは、介護保険サービスの一種です。生活保護の介護扶助から費用を負担します。しかし、中には介護保険サービスに含まれない支援を受けるケースもあります(送迎や外出の付き添いなど)。この部分は介護扶助からの支払いが認められません。

加えて、特養の利用費に含まれている家賃や食事代も生活扶助からの負担です。出費が支給される金額を上回れば、その部分は自己負担となります。そこまで見られるケースではありませんが、念のため注意点として把握しましょう。

特養への入居をお考えの場合は、ケアスル介護で相談してみることがおすすめです。

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生活保護受給者が特養(特別養護老人ホーム)に入居するには?手続きの流れを解説

特養の入居手続きのステップは、大きく分けて次の3つです。

  1. 自治体の生活保護担当者への相談
  2. 申請書の提出
  3. 審査後の準備も進める

特に利用者が生活保護を受給している場合は、入念な準備が求められます。ここで紹介する内容を押さえ、スムーズに手続きが進むよう取り組みましょう。

ステップ1:自治体の生活保護担当者とも話し合おう

まずは、生活保護受給者でも利用できる特養がないかをケースワーカーやケースマネージャーと相談します。ちなみに、両者は名前が似ているものの役割は異なるため分けて覚えましょう。

  • ケースワーカー…福祉に関連する相談員
  • ケースマネージャー…要介護者と施設をつなぐ行政職員

市役所のみならず、包括支援センターや高齢者総合相談センターも相談窓口となっています。親の今後の生活を決める重要な手続きとなるため、多くの方の意見を参考に検討してください。

特養を利用するには、要介護認定を受けなければなりません。原則は要介護3以上が該当するため、ケースワーカーやケースマネージャーから制度の内容を教えてもらいましょう。

ステップ2:特養(特別養護老人ホーム)へ申請書提出

ケースワーカーに相談したら、申請書を入居したい特養に提出しましょう。書類は、各市町村役場にも用意されています。ケースワーカーと話をすれば、すぐに準備をしてもらえるでしょう。

申請する際には、次の添付書類も必要です。

  • 住民票
  • 介護認定調査票の写し
  • 健康診断証

特養の入居先を選んでいる間にも、これらの書類は準備できます。余裕を持って申請するためにも、あらかじめ用意を済ませてください。添付書類の件で何か不明な点があれば、ケースワーカーに随時確認しましょう。

いくつかの施設に申し込みをする場合は、申請書も複数枚にわたって準備しなければなりません。添付書類の用意もあるため、早めの行動が重要です。

ステップ3:審査後の準備も同時に進めよう

無事に審査を通過したら、特養で暮らす準備をしましょう。ただし、審査には時間がかかるためしばらくは待つ必要があります。

入居が認められたら身元引受人や保証人を決めなければなりません。費用面でトラブルが起こったり、入居人が死亡したりする場合に備えるためです。親を特養に入れる場合は、基本的には子どもがこれらの役割を担います。

また、入居したら住民票を施設へ異動させましょう。これから暮らす場所は、特養となるからです。介護用品などの郵便物を施設へ送るよう設定すれば、住民票の異動手続きも必須ではありません。

また「入居前の手続きが大変そう…」という方は、ケアスル介護で相談してみることがおすすめです。

ケアスル介護では施設の紹介だけでなく、見学や体験入居の申し込みや日程調整の代行も実施しています。

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特養(特別養護老人ホーム)以外に生活保護受給者が入れる施設

特養の利用を検討していたものの、条件に該当せず入居できない方もいるはずです。このような悩みを抱えている方のために、ほかにも利用できそうな施設を紹介します。これらも候補の一つに入れてみましょう。

養護中心の「養護老人ホーム」

特養(特別養護老人ホーム)と名前が似ていますが、養護老人ホームも検討したい施設のひとつです。両者には、以下の違いがあります。

  • 養護老人ホーム…「養護」を中心に行う
  • 特養…「介護」を中心に行う

養護とは、身体的に自立している方を社会に復帰させる取り組みです。一方で、介護は1人で生活を送れない方への支援を指します。

つまり、要介護認定を受けていない高齢者も支援可能な施設が養護老人ホームです。経済的な支援も目的であるため、生活保護受給者も問題なく入居できます。

「有料老人ホーム」や「サービス付き高齢者向け住宅」

特養、老健以外の老人ホームは、立地や設備、部屋の広さも様々です。また、受け入れる要介護度の幅もまちまちですし、生活保護受給者を積極的に受け入れる施設もあれば、まったく受け入れていない施設もあります。

ケアマネジャーや施設スタッフもしっかりと確認し、入居できそうな場所を絞りましょう。

認知症の緩和が目的の「グループホーム」

グループホームは、認知症の緩和を目的とする介護施設です。一般的に9人の方々を1つのグループとして一緒に生活し、食事や洗濯などを職員とともに行います。こうした家事を自ら行い、日常生活に必要な能力を引き出す狙いです。

特養は大規模であるため、どうしても施設っぽさはぬぐえません。より小規模で、一般的な住宅に近い環境で生活をしてほしい場合は、グループホームも検討しましょう。生活保護受給者の入居も一部で認められているため、ケアマネジャーとの話し合いが欠かせません。

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焦らず施設選びに臨もう

この記事では、生活保護を受けている方も特養を利用できるかについて紹介しました。利用条件を再度確認しつつ、生活扶助と費用の関係をしっかりと押さえましょう。専門的な内容は、ケースワーカー、ケアマネジャーとの相談のうえで確認しなければなりません。

一度施設に入居すると、長期間そこで暮らす生活が基本です。高齢社会の今日では、そう簡単に他のところには移れません。入居者本人の意見に耳を傾け、環境や設備も考慮しつつ入居先を決めましょう。

生活保護受給者でも特養(特別養護老人ホーム)は利用できますか?

生活保護を受給されている方も特養の利用は認められています。ただし、全ての施設で受け入れているわけではありません。ケースワーカーさんともご相談いただき、入居できる特養をお探しください。詳しくはこちらをご覧ください。

生活保護を受けている場合の費用はどうなりますか?

原則として生活保護を受けている方は費用の負担がありません。ただし、住宅費・雑費(光熱費など)・医療費は生活扶助費で支払いがあります。これらの費用が支給上限額を超えた場合は、自己負担額が発生します。ご入居される際、またはご入居された後で費用に変わりないかを確認してみてください。詳しくはこちらをご覧ください。

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