難病を抱えていると、介護施設へ入居させたい・したいと思っても介護施設側に難病を抱えている方を受け入れる体制がなく断られる場合があります。
しかし、介護施設への入居をあきらめる必要はありません。難病の方でも入居できる介護施設はあります。
本記事では、難病でも入居できる介護施設はどんなところなのか、費用面の不安の解消法などをご紹介していきます。
難病を患っていても介護施設への入居を検討している方、難病介護施設について知りたい方必見です。

難病でも入居できる介護施設とは
難病でも入居可能な介護施設は大きく分けて5つほどあります。特に難病の方であれば、医療体制がしっかりと整っている介護施設が理想でしょう。今回は以下の5つの介護施設をご紹介します。
- 介護付き有料老人ホーム
- 住宅型有料老人ホーム
- サービス付き高齢者向け住宅
- 介護療養型医療施設
- 介護医療院
ただし、仮に同じ有料老人ホームでも施設によって、設けている入居条件などが異なります。入居を考えている介護施設の入居条件に関しては、事前に問い合わせを行うようにしてください。
施設によって受け入れ幅の広い介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームは24時間介護スタッフが常駐しておりサービスや費用、入居条件などは施設によって大きく異なるのが特徴です。
介護付き有料老人ホームのなかでも、難病指定を受けても入居できる施設もあれば、要介護度の低い方が対象となる施設もあります。
介護付き有料老人ホームに入居する最低限の条件は介護保険の被保険者であることです。介護付き有料老人ホームには大きく分けて3つの型があります。
それぞれ受け入れている介護度が違うので詳しくは下の表をご覧ください。
介護専用型 | 混合型
(介護専用+自立) |
自立型 | |
自立 | ✖ | 〇 | 〇 |
要支援1~2 | ✖ | 〇 | ✖ |
要介護1~5 | 〇 | 〇 | ✖ |
難病の方が入居を検討しているのであれば、介護専用型か混合型の施設を選ぶことがおすすめです。入居などを検討する際には必ず、希望施設の入居条件は調べておきましょう。
介護付き有料老人ホームへ入居するために必要な費用は、入居する際に支払う入居一時金と間月々支払う月額利用料の2つがあります。詳細な金額は施設によって違います。
それぞれの中央値は、入居一時金で約30万円、月額利用料で約19.4万円程度です。24時間の介護スタッフが常駐しているなど手厚いサービスが受けられるため、ほかの老人ホームよりも若干高くなっています。

外部からの介護サービスを利用する住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームは、介護スタッフを常駐させる義務がありません。入浴介助など必要であれば外部の介護サービスを利用します。ただし、同じ建物内に訪問介護などの事業所を併設している場合がほとんどですので、実態としてスタッフが常駐している形で運営している施設が多いです。
住宅型有料老人ホームを利用する注意点としては、看護師の配置義務が法律的にはありません。
そのため、看護師の配置などは施設ごとの任意になります。医療体制が整っているのか、どのレベルの医療措置ができる環境が整っているのかは施設によって大きく変わります。
看護師がいない施設でも、医療機関と提携していれば難病患者でも、内科の受診などが可能です。
住宅型有料老人ホームの基本的な入居条件は60歳以上の方です。しかし、家庭環境や入居者の状態によって、60歳未満での入居が認められる場合もあります。
ほかの詳細な入居条件は施設ごとに大きく異なります。入居したい施設が決まれば必ず入居条件などを確認してください。

生活の自由度が高いサービス付き高齢者向け住宅
サービス付き高齢者向け住宅は「サ高住」と言われる場合もあり、バリアフリーなどが施された住宅です。
サービス付き高齢者向け住宅に入居すれば、安否確認や生活相談サービスが受けられます。生活の自由度が高いといった特徴もあります。
しかし施設によっては、夜間は通報システムなどを活用して、職員が常駐していない場合もあるため、注意が必要です。
ある程度自立した生活ができていても難病指定を受けていたり、見守りが必要だったりする方は安心できる施設でしょう。
サービス付き高齢者向け住宅のなかには、自治体の認可を受け、介護付き有料老人ホームと同様のサービスが受けられる施設(介護型)もあります。一般的なサービス付き高齢者向け住宅では、将来的に要介護度が高くなると、退去をお願いされるかもしれません。一方で介護型は、要介護度が高くなっても入居を続けられるケースが多くなっています。
サービス付き高齢者向け住宅の入居条件は法律で定められており、60歳以上または60歳未満の要介護認定を受けた方です。併せて一般型であれば、自立していることなどの条件が加わります。

急性疾患から回復期の方を対象とした介護療養型医療施設
介護療養型医療施設は「介護療養病床」とも呼ばれており、急性疾患から回復期の方を対象とした施設です。
食事や排せつなどの生活支援は行っていますが、あくまでも医療的ケアが中心です。
有料老人ホームなどのような介護施設ではなく、医療機関といった立ち位置になります。そのため基本的に、終身制ではありません。
病状や体調がある程度回復すれば退去する必要があるため、退去後の住まいをある程度決めておく必要があります。
ただ、病状が回復しない方も多く、介護療養型医療施設の退所先は死亡が約5割、医療機関が約3割、介護施設が約1.5割となっています。
基本的な入居条件は、65歳以上の要介護1〜5に該当する方です。入居申請には、申込書と面談以外に、主治医の意見書や診断書も必要です。これらをもとに入居判断が行われます。
ただし、2023年度末に介護療養型医療施設は完全廃止されることが決まっています。介護療養型医療施設の代わりを担う施設が、2018年に法定化された介護医療院です。次はその介護医療院についてご紹介します。
2018年に新しく法定化された介護医療院
介護療養型医療施設の代わりを担うためと、2018年に新しく法定化された介護医療院はまだ数がそれほど多くありません。
介護療養型医療施設は医療行為が必要な高齢者に対して長期療養を提供する施設だったのに対し、介護医療院は長期療養と生活の支援を行う施設です。
介護医療院には2つ(Ⅰ型とⅡ型)あり、それぞれ人員配置に違いがあります。Ⅰ型とⅡ型の違いが分かりやすい人員配置を一部抜粋してご紹介します。
人員 | Ⅰ型 | Ⅱ型 |
医師 | 入居者48人に対して1人 | 入居者100人に対して1人 |
薬剤師 | 入居者150人に対して1人 | 入居者300人に対して1人 |
医師の当直 | あり | なし |
入居者に対しての、医師や薬剤師の配置人数は約2倍の差があり、医師の当直の有無にも差があります。
このような違いから、Ⅱ型よりもⅠ型の方がより重度の方でも受け入れられると分かってもらえるでしょう。
基本的な入居条件は、65歳以上の要介護認定1〜5を受けた方や、65歳未満でも特定疾患で要介護認定を受けた方です。
また、入居には担当医の協力などが必要です。入居を希望する場合は診療所やケアマネージャーなどが介護医療院へ連絡します。かかりつけ医の紹介状やケアマネージャーの情報提供書が必要になる場合が多いです。
このように介護医療院への入居は、年齢などの条件をクリアする以外にもかかりつけ医やケアマネージャーの協力が必須です。まずは相談から始めましょう。

また「たくさん施設があってどれが良いか分からない…」という方は、ケアスル介護で相談してみることがおすすめです。
ケアスル介護では、入居相談員が施設の設備や実施するサービス、アクセス情報などをしっかりと把握した上で、ご本人様に最適な施設をご紹介しています。
「身体状況に最適なサービスを受けながら、安心して暮らせる施設を選びたい」という方は、まずは無料相談からご利用ください。
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難病の方が介護施設に入居する際の注意点
難病を抱えている方が介護施設へ入居する際には、普通に介護施設へ入居する方よりもより細かい確認事項や注意点があります。
- 今後の病状変化を伝える
- 尿器に対する知識や経験が施設側にあるか
最低でも上記の2点は確認しておくようにしましょう。
今後の病状変化を正しく伝える
今後の予想できる病状を伝えておかなかった場合、入居してから、「その症状になると対応できない」と言われてしまう可能性があります。
難病を抱えている方は今後どのように病状が変化するのかを担当医と話し合い、正しく介護施設にもできるだけ正確に伝えましょう。
それでも受け入れてくれるのか、受け入れ体制は整っているのかなどを確認すると、病状が悪化した場合でも退去をお願いされる可能性が減り安心です。
「介護施設に入居したいから」と、不利になりそうな病状を隠してしまう方がいますが、のちにトラブルにつながってしまうため、避けてください。
また、医療ケアの内容によっては、今後月々の入居費がかさんでいく可能性もあります。入居費がどれくらい上がりそうなのか、その金額を支払えるのかも事前に確認しておきましょう。
病気に対する知識や経験が施設側にあるか
難病受け入れを行っていても、その難病に対しての正しい知識が無ければ正しい処置などをしてもらえない可能性があります。
そのため、過去に同じ難病の方が入居していたのかを確認しておきましょう。
過去に対応した経験のあるスタッフなどが在中してくれていると対応などにも慣れており安心です。ただし、同じ病状の方が入居していたのが数年前の場合、当時対応していたスタッフがすでにいない可能性もあります。
それでは、経験があるとは言えないため、いつ頃入居していたのか、当時担当したスタッフは在籍しているのかは確認が必要です。
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難病の方の介護施設費用面の不安を解消してくれる制度
必要な介護や医療ケアが増えてくると、当然月々に必要な介護費用も増えてしまいます。介護費用が払えずに、サービスを受けるのをあきらめる前に費用負担を援助したり減額してくれたりする制度があるので知っておきましょう。
高額介護(予防)サービス費制度
高額介護(予防)サービス費制度とは、対象になる1か月分の介護保険サービス費用の限度額が定められ、超えた分を払い戻してもらえる制度です。自己負担となる一定金額は所得に応じて変動します。
この制度は自分から申請する必要はありません。対象となった場合は市区町村から申請書が送られてきます。送られていた申請書に必要事項を書き込み、提出をすれば、上限金額を超えた月は自動で登録した口座に還付されます。
こちらは一度申請すれば、上限を超えた月は自動で還付されるため、申請を更新する必要などはありません。
高額医療・高額介護合算療養費制度
医療保険と介護保険における1年間の自己負担額の合計が高額の場合、自己負担額を軽減してくれる制度です。
高額医療・高額介護合算療養費制度における1年とは、8月1日〜7月31日で計算されるため注意してください。
高額医療・高額介護合算療養費制度の対象者は以下の条件に該当する世帯です。
- 国民健康保険などの各医療保険における世帯内である
- 1年間の医療保険と介護保険の自己負担額の合計が限度額を超えている
申請方法は、高額医療・高額介護合算療養費制度の対象となれば、市区町村から申請書が送られてきます。必要事項を記入し提出しましょう。医療保険と介護保険の自己負担額は対象になりますが、食費や居住費、保険診療外費用は対象外です。
何が対象で、何が対象外なのかしっかりと知っておきましょう。
介護保険料などの軽減
介護保険は40歳になってから毎月納付を行っているものです。要介護認定を受ければ介護サービス費が1割負担になります。ただし、一定の条件を満たせば、介護保険料や介護サービス費の軽減が受けられます。
くわしい条件は市区町村によって異なり、条件をすべて満たしている方が市区町村へ申請を行ってください。大まかな条件は以下の通りです。
- 世帯年収が1人世帯150万以下である(世帯が1人増えるごとに+50万円)
- 世帯の貯蓄額が1人世帯350万以下である(世帯が1人増えるごとに+100万円)
- 居住用以外の土地や建物を所有していない
- 親族などに扶養されていない(証明書が必要になる場合もある)
- 介護保険料を滞納していない
減免の内容や申請に必要な書類は市区町村や個々のケースによって変わります。まずは市区町村へ問い合わせましょう。
特定入所者介護サービス費制度
所得や資産が一定以下であれば、住居費と食費の負担限度額が設けられる制度です。
負担限度額を超えた分に関しては、特定入所者介護サービス費制度で負担してもらえます。
特定入所者介護サービス費制度の負担限度額は所得や施設の種類によって変動します。該当する施設は以下の通りです。
- 介護老人福祉施設
- 介護老人保健施設
- 介護療養型医療施設
- 介護医療院
- 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
- 短期入所療養介護
対象になるための条件は入居施設だけではなく、以下の条件もすべて満たす必要があります。
- 介護認定を受けている
- 別世帯の配偶者を含む世帯全員が住民税非課税
- 預貯金などが一定金額以下
住んでいる市区町村に介護保険負担限度額認定申請書などを記入すれば、申請を行います。
難病を抱えている方でも介護施設への入居は可能
難病を抱えていると、一部の介護施設では医療体制の不足などから入居を断られる場合があります。しかし、医療体制の整っている介護施設を選べば、難病であっても入居は可能です。
入居する際には、今後の予想される病状の変化などを正直に説明してください。それでも受け入れてくれるのか、受け入れた経験はあるのかなどに注意して選ぶようにしましょう。
さまざまな医療ケアや介護サービスを組み合わせると介護費用が高額になる場合も多いです。そんな時は介護費用面の不安を解消してくれる制度もあるので頼ってみましょう。
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また「実際に施設を見てみないと生活のイメージができない…」という方は、ケアスル介護で相談してみることがおすすめです。
ケアスル介護では施設の紹介だけでなく、見学や体験入居の申し込みや日程調整の代行も実施しています。
「暮らしの雰囲気を知った上で、納得して施設を探したい」という方は、まずは無料相談からご利用ください。
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「有料老人ホーム」や「介護療養型医療施設」「介護医療院」が挙げられます。同じ老人ホームなどでも施設によって詳細な入居条件などは変動します。入居したい施設があれば、まずは入居条件について確認しておきましょう。詳しくはこちらをご覧ください。
難病の方の介護施設費用面の不安を解消してくれる制度はたくさんあります。国の制度以外にも、自治体が独自で行っているものなどもあります。施設の方やケアマネージャーさんに一度相談してみましょう。詳しくはこちらをご覧ください。