もし家族が末期がんになってしまったら、どんな場所を最期に選べばいいのでしょうか?
「最期くらいは自宅に帰りたい」と願う方は多く、最近は適切な処置が施せない末期患者や治療を望まない患者は、退院を求められる認める病院も多くあります。
しかし、末期がん患者の在宅介護は難しく、施設への入居を検討する方も多いでしょう。
では、末期がん患者の介護を行う施設にはどのような場所があるのでしょうか。本記事では末期がん患者の介護を行ってくれる施設をはじめ、末期がん患者の緩和ケアを受けるための4つの選択肢について紹介します。

末期がん患者が療養できる施設とは?
治療ができないほどの末期がんになると、治すための治療ではなく、痛みや辛さを和らげ、穏やかに最期の瞬間を迎えることに重点が絞られます。末期がん患者の療養施設は主に以下3つです。
- 緩和ケア病棟
- ホスピス
- ホスピス型有料老人ホーム
老人ホームは数多くあるものの、末期がん患者の痛みや苦痛を和らげる施設はそれ程多くありません。末期がん患者でも入居できる施設を探すなら「末期がん患者である点」を踏まえ、事前に申し出るとよいでしょう。
体や心の辛さのケアをしてくれる緩和ケア病棟
緩和ケア病棟は、末期がんなどの病気からくる「心身の苦痛を和らげる治療などを行う病棟」です。
- 痛み
- 息苦しさ
- 食欲の低下
- 吐き気
- 睡眠不足
- 不安
- 悲しみなど
全身の痛みや辛さを和らげる治療のみに留まり、治すための手術や治療は行われません。
なお、緩和ケアそのものは入院ではなく通院のみでも受けられます。
最期を穏やかに過ごすためのホスピス
ホスピスは病気を治すためではなく、心身的な苦痛を和らげ最期を穏やかに過ごすための治療を行う施設です。日本では「緩和ケア病棟=ホスピス」として活用する場合もあります。
緩和ケア病棟は、ホスピスと比べて医者や看護師といった医療専門職が多く配置されていることが多く、苦痛をともなう症状の緩和を目指します。
一方、ホスピスは看護師が常駐するほか、基本は介護士が多く配置されています。医師の常駐はなく、かかりつけ医が往診を行いながら緩和医療を実施することもあるほか、入院の期間に明確な決まりはありません。
ホスピスへの入居希望者には特に条件はありません。病気による苦痛をやわらげ、穏やかに最期を過ごしたい方が対象です。年齢や病気の種類、医療行為の有無で断られるケースはないものの、施設の空室状況や対応可能なスタッフの人数によっては充実した対応が困難と判断され、入居を断られる可能性があります。
第3の居場所であるホスピス型有料老人ホーム
病院でも自宅でもなく、末期がん患者にとっては「第3の居場所」として選択肢に加わった「ホスピス型有料老人ホーム」。ホスピス型有料老人ホームとは、患者や家族に寄り添いながら、看護や介護を24時間対応する施設です。
入居対象者は「要介護認定を受けた方」で、主に以下の病気に該当する方です。
- がん
- 厚生労働大臣が定めている特定疾病
- 障がい者総合支援法対象の難病
通常の有料型老人ホームでは緩和ケアが不十分な可能性があります。老人ホームの入居を検討する場合はホスピス型有料老人ホームについて調べてみるとよいでしょう。
どの施設に入ればよいかわからないという方はケアスル介護で相談するのもおすすめです。
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末期がん患者が緩和ケアを受ける4つの選択肢
末期がん患者やその家族が「緩和ケアを受けたい(受けさせたい)」と考える場合、主に4つの選択肢があります。
- 通院や外来
- 入院
- 老人ホームへの入居
- 在宅
それぞれの選択肢に目を通しながら、患者自身や家族にとって、どの選択肢が最適かを考えてみましょう。
自宅で生活しながら通院・外来
自宅から通院できる体力や手段があり、自宅に住みたいなどの本人の希望がある場合は、自宅で生活しながら通院・外来も可能な「緩和ケア外来」があります。
対象となる方は「がん治療を希望しない方」や「将来的に緩和ケア外来を受けたいと考える方」です。緩和ケア外来を受けるには、かかりつけ医から紹介状をもらって受診しましょう。
緩和ケア外来は身体的な辛さや家族の精神的苦痛を和らげながら、療養について相談できる場所です。
- 医師
- 看護師
- 薬剤師
- がん看護専門看護師
- 認定看護師
- 入退院支援看護師
- 臨床心理士
- 医療ソーシャルワーカー
- 理学療法士
- 栄養士
病院によってやや異なる点があるものの、上記のような職種が1つのチームとなってサポートします。
緩和ケアを目的とした入院
緩和ケア病棟では医師や看護師が苦痛をやわらげるための治療を行います。
主な治療方法は以下の通りです。
- 薬物療法
- 放射線治療
必要と判断された場合は緩和ケア以外の専門家からも支援が受けられ、検査やリハビリなどを行えることもあります。入院する病院によって規則などに違いあるものの、個室に入院すれば家族の宿泊が可能な場合もあります。
緩和ケアを目的とした病院と一般病院では内容が大きく異なるため、できる限り日常生活に近い生活を送れるように、共用キッチンを設置する病院もあります。また、季節ごとのイベントを企画する施設も多く、「家族と一緒に穏やかに過ごしたい」と考える方には理想的な施設といえるでしょう。
ただし、限られた病床を多くの患者さんが利用できるように、入院期間をある程度区切っている病院もあります。その場合、症状が落ち着いたら在宅や通院・外来に切り替えることを促される場合もあります。
緩和ケア病棟に入院する場合は、退院後の生活や家族側のサポートについて熟考する必要があります。健康状態などによって入院期間に変動がありますが、1ヶ月程度で退院を促されることもあるので注意が必要です。
末期がん患者も受け入れてくれる老人ホームへの入居
現在、日本には「ホスピス型有料老人ホーム」と呼ばれる施設もあります。
ホスピス型有料老人ホームは、以下7つの点から入院や在宅に並ぶ選択肢となっています。
- 医療処置などの個別に合わせたサービス提供
- 24時間の看護対応
- 比較的安価な価格設定
- 病院よりも自由度が高い
- 家族が宿泊できるなど家族も緩和ケアに参加できる
- 受け入れ可能な幅も広い
- がん以外の病気を患っていても対応してもらえる場合がある
緩和ケアを受けつつも自由度の高い生活を送りたい方は、選択肢として前向きに検討してもよいでしょう。
自宅に居たい願いを叶える在宅療養
「最期の時間は住み慣れた自宅で過ごしたい」「家族とゆっくり過ごしたい」と希望する末期がん患者は多いです。しかし、体力や病気の進行状態、症状によっては通院・外来が難しく、適切な治療を受けられない場合もあります。それでも在宅を希望する場合には、医師や看護師が定期的に自宅を訪問する「在宅緩和ケア」を選ぶとよいでしょう。
なお、在宅緩和ケアを検討する場合は、主に以下のような条件をクリアする必要があります。
- 緩和ケアを行える医師や看護師による訪問看護が可能である
- 在宅療養ができるような症状である
- 在宅療養できるような家庭環境である
- 家族などに介護力が十分にある
在宅緩和ケアを取り入れるには、患者本人の症状が安定しているか、医師や看護師によるサポートが得られるか、家族のサポートがしっかりできるかといった点に注意しなければなりません。
24時間の医療的サポートを受けるのは困難な在宅緩和ケア。だからこそ利用を検討する場合は、患者本人の症状や家族のサポートが徹底できるかについて話し合う必要があるといえるでしょう。
末期がん患者のための緩和ケアとは?
緩和ケアは治療による苦痛を和らげることが目的であるため、病気そのものを治療する目的ではない点に注意してください。
ここでは、緩和ケアを始める時期や相談できる内容について紹介します。
緩和ケアを受け始める時期
緩和ケアを始める時期は、患者や家族の意思も重要になります。緩和ケアはがん患者に対して必ず行われる治療ではなく、患者とその家族の意思で必要性を感じた場合に行うものです。
早い段階で緩和ケアを始める場合は「がん」と診断された時にスタートを検討しましょう。がんだと診断を受けた時の気の落ち込みや、がん治療を進めていくうえで心身共に感じる辛さに対して緩和ケアは有効です。
診断されればすぐに始められるため、本人や家族にとっても心強いケアといえるでしょう。
緩和ケアで相談できる内容
緩和ケアはさまざまな職種の方が1つのチームとなって、患者やその家族を支えます。
緩和ケアの特徴は以下の通りです。
- ケアマネージャー:在宅生活を整えてくれる
- ソーシャルワーカー:経済的な問題や退院などの不安への対応
- 管理栄養士:食事に対する工夫や提案
- 医師:心身の辛さを緩和する治療を行う
- 看護師:心身の辛さを和らげ生活を支える
- 薬剤師:薬への不安を和らげ飲み方などを提案
- 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士:無理がない動きや生活を提案
- 心理士:心の苦痛や不安感を和らげる
このように各専門職の方がチームとなり対応します。
相談内容はがん以外でも可能です。
- がんなどの病気と診断された不安感
- 治療による身体・精神・経済的苦痛
- 疼痛のコントロール(術後の痛みや転移した痛みなど)
- 身体症状(息苦しさや倦怠感など)
- 精神症状(不眠や気持ちの落ち込みなど)
- 金銭に関する問題
- 転院や在宅療養
- 人生・生死・価値観などの尊重
上記以外の項目を相談したい場合でも、どこに相談すればいいのか、誰に聞けばいいのか提案してくれるので、積極的に相談しましょう。
末期がん患者のための緩和ケアの問題点
穏やかな最期を迎えるために利用を検討したい緩和ケア。しかし問題点もいくつかあり、特に在宅で利用する場合は問題点が大きいとされています。ここでは緩和ケアにおける2つの問題点について解説します。
緩和ケアに対応する医師が少ない
緩和ケアを受けたいと思ったら、利用できる範囲に緩和ケアを行っている医師や病院があることが必要です。しかし、緩和ケアを行う医師や病院は多くはなく、細かなサポートや治療が受けられないのが現状です。
身近に緩和ケアを受けられる病院などが見つからない場合、緩和ケアに踏み出せない家族も多いと考えられます。
なお、現在は厚生労働省などが緩和ケアに関する研修会を開催するなど、緩和ケアチームの育成に力を入れているため、今後は緩和ケアを行う医師や緩和ケアチームなども増えると予想されます。
在宅緩和ケアは家族の介護負担が大きい
在宅緩和ケアを行う場合、日中は定期的に医師や看護師が訪問します。しかし、基本的な介護については家族が担わなければならないといった問題点があるのも事実です。
家族全員が働く場合は対応が難しくなりがちで、家族のうち誰か一人は患者のそばで介護に取り組める環境が必要となります。そのような理由から、末期がん患者の家族としては、在宅緩和ケアを避けたがる場合が多いです。
ただ、一時入院や介護サービスが利用できる可能性もあるため、どうすれば家族の介護負担を減らしつつ、末期がん患者の希望を叶えられるかを模索するケースが多いです。
末期がん患者は療養施設など過ごし方はさまざま
末期がん患者になったとしても、ずっと入院できるわけではありません。そのため「退院後はどうするのか」「療養施設、または在宅介護にするのか」などの検討が必要です。
末期の患者のみが受けると思われがちな緩和ケアは、がんと診断された時点で始めることもできます。
もし家族ががんだと診断された場合は、できるだけ早く緩和ケアを始め、不安などを取り除ける環境を整えるとよいでしょう。
医療・看護体制が充実している老人ホームを探しているという方はケアスル介護がおすすめです。
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後悔しない老人ホーム探しがしたいという方はぜひ利用してみてください。
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「緩和ケア病棟」「ホスピス」「ホスピス型有料老人ホーム」は末期がん患者でも入居できます。末期がん患者が入居できる施設を探す際には、「末期がん患者である」点を必ず伝えましょう。詳しくはこちらをご覧ください。
可能であれば、がんだと診断されたら始めてください。ただし、緩和ケアは末期がん患者や家族で決めるもので、必ずしも必須な治療ではありません。医者から「がんです」と言われるとその時点でかなり落ち込んでしまったり、がん診断を受けた時には痛みや苦しさなどの症状が出ていたりします。がんだと診断を受けた際の落ち込みや治療を進めていくうえでの、辛さなどに対しても有効です。詳しくはこちらをご覧ください。