「認知症の親にグループホームはどうかしら?」「どんな特徴があるのかな」「費用はどのくらい?」などとお考えの方もいらっしゃるでしょう。
「グループホームの暮らしにメリットやデメリットはあるのかな」入居を検討されている方は、このような疑問をお持ちの方もいるのでは?
この記事では、グループホームのメリット・デメリットからグループホームの費用やよい施設の見分け方まで網羅的に紹介します。
認知症の方が安心して暮らせる施設選びの参考にしてください。
なお、グループホームについて詳しく知りたい方は、以下の記事が参考になります。
グループホームはデメリットだらけ?
グループホームのデメリットは以下の6つです。
- 要支援2以上の方しか入居できない
- 共同生活が難しくなると、退去の可能性がある
- 医療面での対応が難しい
- 事業所と同じ地域に住民票が無いと入所できない
- 定員数が少なく入居待ちとなることがある
- プライバシーを確保するのが難しいことがある
それぞれのデメリットについて紹介していきます。
認知症と診断されている要支援2以上の方しか入居できない
グループホームのデメリットの一つ目は認知症と診断されている要支援2以上の方しか入居することが出来ない点です。
というのも、グループホームの入居条件は介護保険法によって要介護認定で要支援2以上の方しか入居することが出来ません。また、医師から認知症と診断されている必要があり、診断書をもらう必要があることも特徴の一つです。
具体的には、以下の診療科での診察が可能となっています。
- 脳神経内科
- 脳神経外科
- 精神科
- 老年科
したがって、グループホームの特徴でありデメリットともいえるのが認知症の診断を受けている要支援2以上の方しか入居することが出来ない点と言えるでしょう。
共同生活が難しくなると、退去の可能性がある
グループホームのデメリットの2点目は、共同生活が難しくなると、退去を余儀なくされる可能性があることです。
その要因は二つあります。
ひとつは、身体機能の低下です。身体機能が低下すると、入居者同士の支え合いながらの共同生活という、グループホームの持つ強みが活かせなくなります。例えば、立ち上がることが難しくなってくれば、リビングに出ての談話や、家事をすることが難しくなりますし、嚥下障害になれば皆と同じものが食べられません。そうした場合は、ご本人の生活の質を保つために、他の施設への転居を検討されることがあります。
ただし、施設によっては身体機能が低下しても退去とはならず、お看取りまで対応している場合もありますので、その施設の運営方針をたずねるとよいでしょう。
もうひとつは、暴言や暴力行為により、自分や他人を傷つけてしまう場合です。もちろん、それらは認知症の行動心理症状でもありますので、施設は可能な限り対応すべきですが、他の入居者を傷つけてしまうような状態が一時的ではなく、継続してしまうようなら、退去や精神科への一時的な入院を相談されるかもしれません。
医療面での対応が難しい
グループホームのデメリットの3点目は、医療面での対応が難しい点です。
医療的なケアができるグループホームが増加傾向であるとはいえ、医療スタッフと介護スタッフの人員配置は必須ではありません。退院後や看取りの時期などの一時的な状態ならば、訪問看護などと連携して対応することもできますが、糖尿病によるインシュリン注射や、経管栄養や点滴、人工呼吸器の管理など継続的に高度な医療行為が必要になってしまうと、グループホームでは対応が困難になります。その際にはご本人の安全のためにも、介護医療院などの医療行為に対応できる施設への転居が必要になる可能性が高くなります。
グループホームのみならず、有料老人ホームやサ高住などの施設も、施設により医療対応の可否が異なります。確実に医療行為が受けられる施設は、介護医療院と老健の2つになります。
監修者:志寒 浩二(しかん こうじ)
事業所と同じ地域に住民票が無いと入所できない
グループホームのデメリットの4点目は、事業所と同じ地域に住民票が無いと入所することが出来ない点です。
というのも、そもそもグループホームは地域密着型サービスと呼ばれる市区町村の指定や監督を受けた介護サービスとなっています。地域密着型サービスは、認知症高齢者や要介護高齢者が住み慣れた地域で暮らすことを支援することを目的とした事業となります。
したがって、グループホームの入居者も事業者が住民票を置いている自治体と同じところに住民票がある方しか入居できないこととなっているのです。
定員数が少なく入居待ちとなることがある
グループホームのデメリットの5点目は、定員数が少なく入居待ちとなる可能性があることです。
というのも、グループホームは、ユニットと呼ばれる少人数グループを結成し、共同生活を送りながら介護サービスが受けられる施設です。認知症高齢者に適した形態として、高齢者福祉の先進国であるスウェーデンで生まれた考えです。
少人数で共同生活を送る施設となっているので、その分定員数も少なくエリアによっては入居待ちとなっていることもあります。
特別養護老人ホーム程ではありませんが、入居待ちが発生することはデメリットの一つと言えるでしょう。
プライバシーを確保するのが難しいことがある
グループホームのデメリットの6つ目は、プライバシーを確保するのが難しいことがある点です。
上述したようにグループホームは少人数で共同生活を送る施設となっているので、知らない方と一緒に住むこととなります。
もちろんグループホームの居室タイプは、原則として個室です。居室の最小建築面積は7.43㎡です。目安としては4.5畳ほどになります。また1部屋で2名利用するのは、容認されていません。トイレや浴室と洗面台などはユニットごとに共用であるケースが大半です。
したがって、完全にプライベートが無いわけではありませんが共同生活を送るうえで他の入居者とのかかわりがあるため、プライベートを重視したいという方には向かない可能性があるのです。
グループホームにはメリットもある
実際に認知症の方が入居することで得られるメリットは何があるのでしょうか。ここでは、グループホームのメリットを具体的に4つ挙げます。
認知症の症状を緩和しながら、自分らしく生活が送ることができる
グループホームの一つ目のメリットは、認知症の症状を緩和しながら、自分らしく生活できる点です。
グループホームでは、洗濯や調理などの家事は可能な限り、介護スタッフのサポートを受けながら自分たちで行います。自身の力を活かして生活できる誇りと、自分らしい自立した生活は、認知症の症状を緩和し、進行を遅らせる可能性もあります。
グループホームでの生活は、認知症の進行の緩和に効果的であるとされていますが、必ずしも効果的であるという確証はありません。
グループホームのケアは、認知症や不適切な環境によって奪われた力を引き出し、「自分らしい生活」を送ってもらうことを大切にしています。
監修者:志寒 浩二(しかん こうじ)
認知症ケアを専門とする介護職員が24時間在駐している
認知症ケアを専門とする介護職員が24時間在駐している点は、グループホームの大きな魅力です。
グループホームのスタッフは、認知症ケアに関する知識と経験を持っています。
認知症をお持ちの入居者の日常生活から心のケアまで、スタッフが全面的にサポートしてくれるのは大変心強いといえるでしょう。
少人数の顔なじみの共同生活である
少人数の顔なじみの共同生活である点は、グループホームの大きなメリットです。
認知症の方には、環境や人の変化に対応しづらいといった特徴があります。利用者数が多い施設では、利用者や介護スタッフの入れ替わりが多く、混乱を起こしている方も中にはいます。認知症の方が混乱し続けると、症状の悪化につながる場合も考えられるでしょう。
一方で、グループホームは5人から9人を一つのグループとして共同生活を行っており、人の入れ替わりが少ないため、顔なじみの関係の中でコミュニケーションが取りやすく、落ち着いた環境で日常生活を過ごせます。
また、コミュニケーションだけではなく、入居者同士の支え合うような関係性が、生きがいや心の安定に結び付くこともあります。
さらに、入居者が少ないということは、施設にとって対応するご家族が少数ということであり、その分、ご家族と施設の関係性も深くなり、意見や要望が伝わりやすいという利点があります。
地域とのつながりが強い
グループホームは地域密着型サービスというカテゴリーのサービスであり、入居者と地域のつながりを大切にすることを目指しています。
その一環として、グループホームはおよそ2か月に1回、運営推進会議を開催することが義務づけられています。運営推進会議では地域や関係者に向けて、ホームの運営状況や地域とのかかわりを公開することになっています。もちろん、利用者ご家族としてこの会議に参加して話し合うこともできます。
この会議により入居者や施設がどのように地域とつながっているか知ることもできますし、ともすれば密室化しやすい入居型の介護施設ですが、施設が地域に開かれ、見守られることになります。
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グループホームに向いている人・向いていない人
次にグループホームに向いている人・向いていない人について紹介していきます。
向いている人
グループホームに入居するのに向いている方は以下の特徴を満たした人です。
- 重度の医療ケアが必要ない人
- 共同生活を送るのに大きな抵抗感が無い人
- 住み慣れた地域での生活を続けたい人
まず、グループホームでは重度の医療ケアに対応することが出来ないので胃ろうや経管栄養、寝たきりの方などは入居することがそもそもできません。
グループホームでは共同生活を送るため、共同生活を送ることに対してそこまで大きな抵抗感がないという方は向いているといえるでしょう。
最後に、グループホームは地域密着型サービスの一種となるため事業所と同じ地域に住民票がある方のみ入居することが出来ます。したがって、住み慣れた地域で暮らしていきたいという方に向いていると言えるでしょう。
向いていない人
グループホームに向いていない人は以下の特徴が当てはまる人です。
- すぐに施設に入居しなくてはならない人
- プライベートの空間を重視したい人
グループホームは少人数で共同生活を送る施設のため、入居の定員数が少ないのが特徴となっています。したがって、施設によっては入居待ちをしなくてはならないことも少なくなく、今すぐに入居しなくてはならないという方には向いていない可能性があります。
次に、グループホームは共同生活を送る施設のため、居室は個室となっているもののやはりプライベート空間を大事にしたいという人には向いていない可能性が高いでしょう。
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グループホームのメリット・デメリットのまとめ
グループホームのメリット・デメリットやよいグループホームの見分け方などを中心に解説してきました。今回ご紹介した、メリット・デメリットを以下にまとめます。
グループホームのメリット4つ
- 認知症の症状を緩和しながら、自分らしく生活が送ることができる
- 認知症ケアを専門とする介護職員が24時間在駐している
- 少人数の顔なじみの共同生活である
- 地域とのつながりが強い
グループホームのデメリット2つ
- 共同生活が難しくなると、退去の可能性がある
- 医療面での対応が難しい
生活環境の変化によるストレスは、認知症の進度をより進める可能性があります。
グループホームのメリット・デメリットを知ったうえで、家族も認知症患者も安心して暮らせる施設を選べるとよいですね。
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