「公益財団法人 生命保険文化センター」の調査では、介護期間の平均は4年7カ月となっています。その期間ずっと自宅介護をするのは、想像以上に大変なことです。
また、自宅介護をする人は要介護者の夫や妻といったケースが多く、高齢者が高齢者を介護するという老々介護により、共倒れのリスクがある状況がそこら中で起きているのです。
今回は、自宅介護の実態について詳しく説明します。
自宅介護のメリット
自宅介護をすることで、良いことも多くあります。はじめに、自宅介護のメリットについて見ていきましょう。
住み慣れた家で生活できる
自宅介護の一番のメリットとして、やはり住み慣れた家や地域で生活できることが挙げられるでしょう。介護を受ける人のストレスが少ないため、1人暮らしでも生活に支障がなければ、自宅介護を選ぶ人が多いのが事実です。
介護の状態に合わせたサービスを利用できる
自宅介護では、訪問介護やデイサービスなど、要介護度に合ったサービスを、自由に選んで利用することができます。
老人ホームなどへ一旦入居すると、簡単に移ったりできませんが、訪問介護やデイサービスなどであれば、万が一合わなかった場合に変更することができます。
介護したい人をそばで見守れる
親を自分で介護したい、これまでの恩を返したいと思っている人は、すぐそばで見守ることができます。
特に、何かあったときに駆けつけるのが遅れるといった不安がなくなります。
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自宅介護にかかる費用
それでは、実際に自宅介護をするにあたって、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。ここでは、自宅介護の費用について見ていきましょう。
自宅介護に適した環境を整えるための一時的な費用
介護しやすいように自宅をリフォームしたり、介護用のベッドや車いすを購入すると、一時的な費用がかかります。このような自宅介護の準備には、介護保険から一定金額の給付を受けることができます。
平成30年度の生命保険に関する全国実態調査では、自宅介護を始めるための一時的な費用は、平均で69万円となっています。
介護のために自宅をリフォームすることについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
- 関連記事介護リフォームってどうしたらいい?気になるお金や具体案まで解説!カテゴリ:介護保険更新日:2023-12-20
介護サービスの利用で毎月かかる費用
日々の介護のため、訪問介護やヘルパーの利用、デイサービスなどに通う費用が毎月かかります。
この月額費用の平均は、7.8万円となっています。しかし、この費用は要介護度やサービス内容の違いによって幅があります。
介護サービスの自己負担額は基本的に1割
介護保険の介護サービスを利用した場合、自己負担額は基本的にかかった介護サービス費の1割となっています。ただし、所得が一定以上の場合は、2割や3割負担となる場合があります。
また、介護サービスの範囲外のサービスは、全額自己負担となります。
自宅介護と施設介護の違い
自宅介護は施設介護に比べると、どのような点が異なっているのでしょうか。ここでは、その違いについて見ていきましょう。
介護に携わる人の違い
自宅介護では、基本的に家族が介護をするのに対し、施設介護ではプロのスタッフが介護をします。やはり、自宅介護だと家族に負担がかかってしまい、心身が疲弊してしまうこともあります。
介護にかかる費用の違い
自宅介護は、施設介護と比べるとお金がかかりません。そのため、要介護度が低く予算が足りない人は、費用面で自宅介護を選ぶ場合が多いようです。
下記は、要介護3の場合の在宅介護と、特別養護老人ホームまたは有料老人ホームの費用目安です。()内は、低所得などの負担軽減を適用した場合です。
在宅介護 | 特別養護老人ホーム
(ユニット型個室の場合) |
有料老人ホーム | |
---|---|---|---|
介護サービス費 | 27,048円 | 23,340円 | 20,130円 |
家賃 | 0円 | 60,180円 (24,600円) |
115,000円 |
管理費 | 0円 | 0円 | 98,000円 |
食費 | 0円 | 41,760円 (9,000円) |
54,000円 |
その他 | 35,000円 | 10,000円 | 10,000円 |
合計 | 62,048円 | 135,280円 (66,940円) |
297,130円 |
行動の自由度の違い
自宅介護では自分の好きなように過ごせるのに対し、施設介護では規則があるため行動の自由度が低くなります。また、施設には様々な人が入居しているため、施設内での人間関係のトラブルも起きやすいという問題があります。
また老人ホーム・介護施設をお探しの際には、ケアスル介護での相談がおすすめです。
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自宅介護で受けられるサービス
基本的に自宅介護を続けながらでも、様々な介護サービスを受けることができます。ここでは、自宅介護で受けられるサービスについて見ていきましょう。
専門職の人が家を訪れる訪問介護
訪問介護は、看護師や介護士が自宅を訪れて介護をしてくれるサービスです。身体介護や生活支援だけでなく、入浴介助、医療的な処置など様々な種類があります。
訪問介護
介護福祉士や訪問介護員といった専門の介護スタッフが、利用者の家を訪問し、食事や入浴、トイレの介助などの身体介護や、買い物や料理、掃除などの生活支援を行う基本的な訪問介護サービスです。
訪問入浴介護
自宅の浴槽を使って自分で入浴するのが難しくなった場合に、浴槽と湯沸かし器を搭載した移動式の入浴車で利用者の方の自宅を訪問し、介護スタッフが入浴の介護を行うサービスです。
訪問看護
看護師などの医療スタッフが利用者の自宅を訪問し、医師の指示に基づいた医療処置や健康チェックなど、療養中の人に必要な医療ケアを行うサービスです。
訪問リハビリテーション
理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が利用者の自宅を訪問し、医師の指示に基づいて、身体機能の維持や回復、また自立の支援などを目的に、利用者に必要なリハビリテーションを行うサービスです。
夜間対応型訪問介護
夜間に利用者の自宅を介護スタッフが定期的に巡回、または利用者の要請に応じて訪問し、食事や入浴、トイレの介助などの身体介護や、買い物や料理、掃除などの生活支援を行うサービスです。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護
介護スタッフと看護スタッフが密に連携しながら、利用者の自宅を定期的に巡回、または利用者の要請に応じて訪問し、介護と看護の双方を提供するサービスです。
居宅療養管理指導
医師、看護師、薬剤師、管理栄養士などが利用者の自宅を訪問し、療養における指導やケアマネジャーとの情報共有といった、医療管理をするサービスです。
自宅から施設に通うデイサービス
利用者が自宅から施設に日帰りで通い、サービスを受ける対応があります。
通所介護(デイサービス)
有料老人ホームやデイサービスセンターなどの介護施設で、介護スタッフが入浴や食事の提供などの生活支援や、リハビリテーションなどの生活機能訓練を行うサービスです。
地域密着型通所介護
地域にある定員が18人以下の小規模な介護施設で、介護スタッフが入浴や食事の提供などの生活支援や、リハビリテーションなどの生活機能訓練などを行うサービスです。
認知症対応型通所介護
特別養護老人ホームやデイサービスセンターなどの介護施設で、介護スタッフが入浴やトイレの介助などを含めた介護、またリハビリテーションなどの機能訓練を行うサービスです。
通所リハビリテーション(デイケア)
介護老人保健施設や病院で、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士によって、理学療法や作業療法など、利用者が必要なリハビリテーションを行うサービスです。
施設に短期間入所するショートステイ
ショートステイは、介護をする家族などが、冠婚葬祭のときや介護の息抜きをするときに受けられる短期間利用の介護サービスです。
特別養護老人ホームなどの施設に短期間入所する短期入所生活介護や、介護老人保健施設や病院などに短期間入所する短期入所療養介護などが、これに該当します。
訪問介護・デイサービス・ショートステイを組み合わせたサービスも
上記に述べた3種類を組み合わせたサービスもあります。
小規模多機能型居宅介護という、1つの施設で利用者の状況に応じてサービスを組み合わせるものや、看護小規模多機能型居宅介護という、上記の小規模多機能型居宅介護に、さらに訪問看護などの医療ケアを組み合わせたサービスなどです。
自分の状況に合ったサービスを組み合わせることで、適切な介護を受けることができます。
自宅介護の注意点
平成28年厚生労働省の「国民生活基礎調査 介護の状況」によると、「在宅介護を続けるうえで不安を感じるもの」という質問に対して、介護者からもっと多かった回答が「認知症への対応」でした。
自宅介護では、どうしても家族に専門的な知識がないため注意が必要です。ここでは、自宅介護の注意点について見ていきましょう。
家族の1人に負担を集中させない
介護には終わりが見えないため、期間が長くなるほど家族の負担も増えていきます。介護の負担が1人に集中してしまうと、共倒れになる可能性があります。
介護では肉体労働が強いられるため、腰痛になったり倒れてしまったりということが起こる可能性があります。そのほか、時間的負担により仕事を辞めなければならなくなったり、精神的負担により心を病んでしまったりすることがあります。
最後まで住み慣れた自宅で過ごさせてあげたいという想いは大切ですが、上手くサービスを利用したり、状況によっては施設へ入居することも検討しましょう。
介護費用は要介護者の貯金から捻出する
寿命から健康寿命を引いた差を介護する期間の目安とすると、男性は約9年、女性は約13年となります。自宅介護は、施設介護に入るより費用を抑えることができるとはいえ、毎月平均5万円であれば、10年間で600万円以上かかってきます。
そのため、無理のない介護を続けるために、家族の経済面の負担を大きくすることは避けるべきです。
もしかすると、要介護者の口座に手を付けることに罪悪感を覚える人がいるかと思いますが、介護費用はできるだけ要介護者の年金や貯金から捻出するようにしましょう。
介護離職にならないよう勤務先の支援制度を確認する
要介護度が重くなったり、認知症が進行したりすると、昼夜目を離せない状況になり、介護離職をせざるを得ない状況になってしまう可能性があります。
近年、この介護離職を防ぐため、介護と仕事が両立できるよう介護休暇などの制度を設ける企業も増加しています。厚生労働省では、介護休業給付などの制度が推進されるよう後押ししています。
まずは、勤務先に介護の支援制度がないか確認してみましょう。
訪問や通所などのサービスを上手く利用する
自宅介護の場合は、介護者だけで無理をせず、訪問介護や訪問看護、通所介護、デイサービスなど、基本は自宅介護を続けながら合間に受けることができる介護サービスを上手く利用しましょう。
介護をする人が、24時間365日介護をしなければならないという圧迫から解放される時間を作ることで、リフレッシュすることができます。
自宅介護が難しい場合は施設介護を検討する
要介護者にとって、住み慣れた自宅を離れることは不安を伴いますし、家族としても施設へ入居させることは後ろめたい気持ちがあるかもしれません。
しかし、介護のために仕事を辞めたり、認知症による徘徊(はいかい)行動で近所に迷惑がかかったりなど、様々な問題が出てきた場合、一緒に共倒れになってしまっては、要介護者にとっても不幸になってしまいかねません。そうなる前に、施設へ入居することを検討しましょう。
また「介護施設に入居したいけど、どこまで介護サービスや医療ケアが必要になるか分からない」という方は、ケアスル介護で相談してみることがおすすめです。
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自宅介護では無理をせず周りに頼ることが大切
これからの時代には、介護は切って離せない社会問題ですが、その選択肢は様々です。自宅介護にはメリットがたくさんあり、何より要介護者が住み慣れた自宅で、家族に見守られて生活することができるというのが最大の魅力ではないでしょうか。
一方で、自宅介護は、肉体的・時間的・精神的に継続するのは大変なことでもあります。もし難しいと感じた場合は、施設へ入居するのも1つの手です。その場合は、介護施設への入居が要介護者と家族の双方にとっての最善策となるために、介護施設はしっかり選んだ上で決めましょう。
自宅介護のメリットは、「住み慣れた家で生活できる」「介護の状態に合わせたサービスを利用できる」「介護したい人をそばで見守れる」等が挙げられます。詳しくはこちらをご覧ください。
介護をしやすい環境を整えるための住宅改修や福祉用具の購入にかかる費用が約70万円、介護サービスの利用にかかる月額費用の平均が約8万円となっています。詳しくはこちらをご覧ください。