親の介護と自身の生活の両立に、頭を抱えている方は多いのではないでしょうか。
2025年問題といわれる超高齢化社会が近づき、不安が大きくなる方は少なくないでしょう。
少しでも介護の負担を減らしたい方は、地域密着型通所介護を検討してみるとよいですね。この記事では、地域密着型通所介護の特徴やサービス内容、メリットについて解説します。
この記事を参考に、地域密着型通所介護の施設選びに役立ててくださいね。
地域密着型通所介護とは|住み慣れた地域での自立した生活をサポート
地域密着型通所介護とは、地域密着型サービスの一つで住み慣れた地域でのサポートする介護サービスです。当該施設がある地域の住民票を持っている65歳以上の方で、要介護認定を受けている方が利用対象者です。
残念ながら、要支援の方はサービスを受けられません。例外として、65歳未満であっても特定疾病によって要介護認定を受けている40歳~64歳の方は利用ができます。
地域密着型通所介護は、利用者が自宅において可能な限り自立した日常生活を送れるのが目的です。利用者は、施設に通うので自宅にこもりきりにならずに、孤立感を解消できます。
また、利用者の心身機能の維持にも繋がり、介護する家族の負担軽減が期待できるでしょう。 施設では、食事・入浴・排泄など日常生活上の支援や生活機能向上のための機能訓練、口腔機能向上サービスなどを日帰りで受けられます。
地域密着型通所介護では、看護師が常駐している場合が多く、もし看護師が常駐していなくても地域の訪問介護との連携がされているので安心です。自宅から施設までの送迎も、施設側が行なってくれます。
別途、食事やおむつなどの日常生活費を負担する必要がありますので注意してください。
地域密着型通所介護の施設への入居をお考えの場合は、ケアスル介護への相談がおすすめです。
ケアスル介護では全国で約5万もの施設から、入居相談員がご本人様にぴったりの介護施設を紹介しています。
「幅広い選択肢から納得のいく施設を探したい」という方は、まずは無料相談をご利用ください。
ピッタリの施設を提案します
地域密着通所介護の特徴は?
地域密着型通所介護は、利用者の住居に近い施設に通ってサービスを受けられます。 利用者の住まいがある地域でサービスを受けられるので、同居する家族が仕事の間に利用するケースは少なくありません。
ここでは、地域密着通所介護の特徴と、デイサービスとの違い、人員・整備の基準について解説します。
市町村が指定・監督を行う
地域密着型通所介護の施設は、原則としてその市町村に住んでいる被保険者のみが利用できます。申請した地域密着型サービス事業者を審査し、決定するのは市町村長です。
しかし 、公平・公正の観点から地域密着型サービス運営委員会が設置されるので、市町村長が一人で決めるわけではありません。委員会には、被保険者・利用者・事業者・学識経験者などが参加しています。
市町村長に、以下のようなときに意見を述べたり、質の確保や運営評価等の必要事項を協議したりします。
- 事業者の指定を行うとき
- 独自の介護報酬を設定するとき
- 独自の指定基準を設定するとき
地域ごとに柔軟な指定基準や報酬設定ができるのが特徴です。
デイサービスとの定員・介護報酬などの違いは?
地域密着型通所介護とデイサービスは、もともと単一の通所介護の枠を二分したものでサービス内容に大差はありません。どちらも目的は利用者の日常生活での自立であり、日常生活の支援や生活機能向上のためのサービスを日帰りで受けられます。
二つの大きな違いは、定員数・地域・費用です。 またデイサービスでは、生活機能向上グループ活動など、大人数ならではの高齢者同士の交流があります。
以下の表二つは、地域密着型通所介護とデイサービスの違いをあらわしたものです。
対象地域と定員数の違い
地域密着型通所介護 | 通所介護 | |
管轄 | 市町村 | 都道府県 |
定員数 | 18人以下 | 19人以上 |
費用の違い(7時間~8時間未満の場合・1回につき)
地域密着型通所介護 | 通所介護 | |
要介護1 | 735円 | 645円 |
要介護2 | 868円 | 761円 |
要介護3 | 1,006円 | 883円 |
要介護4 | 1,144円 | 1,003円 |
要介護5 | 1,281円 | 1,124円 |
地域密着型通所介護の方が、少人数で手厚いサポートを受けられる分、費用が割高になるのが分かります。
参照元:厚生労働省「公表されている介護サービスについて」
必要な人員基準が決められている
通所介護サービスでは、必要な人員基準が定められています。既定の職員数は以下のとおりです。
通所介護サービスの人員基準
生活相談員 | 事業所ごとにサービスに応じて専従で1人以上 |
看護職員 | 単位ごとに専従で1人以上
(1日を通して専従する必要はなく、訪問看護ステーションなどとの連携も可能) |
介護職員 | 1~2人(利用者が15人以下なら1人) |
機能訓練指導員 | 1人以上 |
生活相談員もしくは介護職員のうち1人以上は常勤 |
なお、定員が10人以下の地域密着型通所介護事業所であれば、看護職員もしくは介護職員のどちらか一人の配置があればよい決まりになっています。
参照元:通所介護・地域密着型通所介護 ・認知症対応型通所介護
必要な整備基準もある
通所介護サービスは、必要な設備基準が決まっています。設備の基準については以下のとおりです 。
通所介護サービスの設備基準
食堂 | それぞれ必要な面積を備え、その合計した面積が利用定員✕3.0㎡以上 |
機能訓練室 | |
相談室 | 相談の内容が漏洩しないよう配慮されている |
なお、指定通所介護事業所と指定居宅サービス事業所等が併設している場合、利用者へのサービス提供に支障がなければ、次の物は共用が可能です。
- 基準上両方のサービスに規定があるもの
- 規定はないが設置されるもの
基準をしっかり満たしている施設であれば、安心して利用できるでしょう。
参照元:厚生労働省「通所介護・地域密着型通所介護 ・認知症対応型通所介護」
基準よりも設備・人員基準が充実した施設をお探しの場合は、ケアスル介護で相談してみることがおすすめです。
ケアスル介護では入居相談員が予算感や施設ごとに実施するサービス、立地情報などをしっかりと把握した上で、ご本人様に最適な施設をご紹介しています。
「幅広い選択肢から後悔しない施設選びがしたい」という方は、まずは無料相談をご利用ください。
ピッタリの施設を提案します
地域密着型通所介護のサービス内容とは?|要介護1以上ならば利用可能
地域密着型通所介護のサービスを利用できるのは、要介護認定1以上の方だけです。 要支援の方は、受けられないので注意しましょう 。
地域密着型通所介護におけるサービスの内容について、具体的に解説していきます 。
日常生活を助けてくれる
地域密着型通所介護では、利用者が自力でできる範囲で取り組んでもらいつつサポートをします。高齢になると、食事内容に偏りが生じてしまいやすくなるでしょう。
そのため、地域密着型通所介護を利用すれば、バランスのよい美味しい食事を摂れます。また、入浴は介護員による介助を受け入浴ができるので安心です。
介護度が重度の方であっても、 介護専用の入浴マシーンを使用しての入浴が可能でしょう。入浴は、体を清潔に保ち精神衛生上もよい影響を与えます。
在宅では入浴に対する不安があっても、 施設では専門のスタッフが入浴介助をしてくれるため、安心して入浴できるでしょう 。
機能訓練をしてくれる
機能訓練とは、日常生活の中で行う動作の改善や運動機能を維持するために行う訓練です。体だけではなく脳のトレーニングが含まれる場合もあります。
機能訓練の具体的な内容は、以下のとおりです 。
- ラジオ体操
- 歩行訓練
- 脳のトレーニング
- マッサージ
- 口腔体操
- 関節可動域訓練
有資格者が行わなければならないリハビリとは違い、介護職員が行えるサービスです 。機能訓練では、利用者ごとに具体的な目標を設定したうえで、実践的な訓練を反復し機能向上や維持につとめます。
レクリエーションで楽しませてくれる
レクリエーションは、機能訓練の一環として利用者が楽しめるイベントです。レクリエーションを楽しみながら、ほかの利用者とコミュニケーションをとれるので、お互いの介護度が違っても交流を深められます。
また、手先や指先を使ったり、物事を考えたりするような内容であれば脳の刺激にもなり、認知症予防や進行を遅くする効果が期待できるでしょう。レクリエーションの例としては以下のようなものがあります。
- 道具を使ったり体操をしたり体を動かすもの
- 手芸や工作など手先や指先を使うもの
- クイズやカードゲームなど脳をトレーニングするもの
レクリエーションの内容や役割分担などを工夫すれば、自然とチームワークも生まれます。さまざまな要介護度の方が一緒に楽しめるのも、レクリエーションの魅力の一つです。
仲間と交流する楽しみや喜びを感じられるので、生活の質の向上も見込めるでしょう 。
送迎中も細やかな気配りをしてくれる
送迎を担うドライバーは、運転のほかに利用者に対し細やかな配慮をする姿勢が求められ、送迎中も細やかな気配りをしてくれます。利用者の中には車椅子の方もおり、車の乗降の際のしっかりしたサポートも提供されます。
また利用者以外にも、ご家族とのコミュニケーションの必要もあります。送迎だけではなく、福祉車両を清潔に保つために清掃したり、管理したりするのも大事な仕事です。
もちろん、利用者の方の命を預かって運転するようになるので、 怪我や事故がないようにするのは基本でしょう 。ドライバーの気遣いによって、利用者も気持ちよく通えます。
健康管理や服薬のサポートが受けられる
地域密着型通所介護の施設では、看護師が常駐しており健康管理や服薬のサポートをしてくれます。看護師がいない時間であっても、地域の訪問看護ステーションなどと連携をとり対応してくれるので安心です。
病院などの看護師と違い、主に介護士のサポートとして利用者の健康管理業務にあたります。 地域密着型通所介護における看護師の仕事内容は、以下のとおりです。
- 塗り薬や貼り薬、包帯での保護
- インシュリン注射や胃ろうなどの補助・医療的ケア
- 介助や機能訓練・レクリエーション
地域密着型通所介護では、看護師の仕事は多岐にわたるのが特徴です。病院で行うような点滴や採血などの治療行為は行いませんが、急変時の対応などをしてくれます 。
地域密着型通所介護の3つのメリット
地域密着型通所介護の特徴については、前述のとおりです。地域密着型通所介護に通うメリットは、以下の3つが挙げられます。
- 柔軟な時間対応をしてくれるので利用しやすい
- 少人数なので細やかなサービスが受けられる
- アットホームな雰囲気で楽しく過ごせる
それぞれ解説していきます。
柔軟な時間対応をしてくれるので利用しやすい
地域密着型通所介護には、緊急での利用や利用時間の延長など少人数だからこそ柔軟に対応してくれる施設もあります。地域密着型通所介護の、基本的な利用時間は以下のとおりです。
- 3時間以上4時間未満
- 4時間以上5時間未満
- 5時間以上6時間未満
- 6時間以上7時間未満
- 7時間以上8時間未満
- 8時間以上9時間未満
ただし心身の状況や、ほかの利用者のやむを得ない事情で、長時間の利用が困難な場合のみ2時間以上3時間未満での利用も可能となります。
利用者の人数が少ないので、個人の状況に応じて利用時間の変更をしてくれるなど対応しやすいのも魅力の一つです。 柔軟に時間対応をしてもらえれば、同居で介護している家族が仕事や所用などで帰りが遅くなってしまう時に助かるでしょう。
少人数なので細やかなサービスが受けられる
地域密着型通所介護は、定員が18人以下と少人数なので一人ひとりに目が届きやすいでしょう。 人数が少ないからこそ、個人に合わせた機能訓練やレクリエーションができます。
高齢者の中には、 環境の変化により強いストレスを感じてしまう方もいるでしょう。住み慣れた地域での通所介護は、顔見知りになりコミュニティを構築しやすい利点があります 。
そのため、 精神的な負担を減らし安心感につながるでしょう。また大型施設と違い、サービスをゆっくりと受けられる点もメリットといえます 。
地域密着型通所介護は、少人数だからこそ行き届いた細やかなサービスを受けられます。
アットホームな雰囲気で楽しく過ごせる
地域密着型通所介護は、少人数なので介護職員との距離が近くなりアットホームな雰囲気で安心して過ごせます。人見知りな方や団体行動が苦手な方は、気軽に利用ができるでしょう。
通っているうちに利用者同士も顔馴染みになるので、コミュニティができやすいです。仲のよい方が増えれば、通うのが楽しくなるでしょう。
家にこもらず人と会話をするだけでもストレス発散になるので、精神衛生上でもメリットとなります。
地域密着型通所介護の3つのデメリット
地域密着型通所介護を利用するデメリットとして、以下の3つが挙げられるでしょう。
- 住んでいる市町村でしか利用できない
- 居宅サービスの一部が利用できなくなる
- 担当のケアマネジャーが変わる
一つずつ解説していきます。
住んでいる市町村でしか利用できない
地域密着型通所介護は、住んでいる市町村でないと原則利用はできません。事業所が所在する市町村の同意があれば利用できる例外もありますが、判断は該当する市町村に よって異なります。
口コミで評判のよい施設を見つけても、入所は困難でしょう。ただし市境に住んでいる場合や、市町村の財政の偏りを防ぐための住所地特例制度を利用すれば、ほかの市町村から同意を得たうえで利用できるケースもあります。
参照元:厚生労働省「住所地特例」
居宅サービスの一部が利用できなくなる
地域密着型サービスの利用においては、居宅介護サービスの一部が受けられなくなる可能性があります。例えば訪問介護・デイサービス・ショートステイなどです。
そのため、ほかに利用したいサービスがあれば、地域密着型サービスの利用を開始する前に確認をするようにしましょう。申し込んでから困らないように、地域包括支援センターや自治体の窓口などで相談して決めてください。
担当のケアマネジャーが変更になる
地域密着型サービスの内容によっては、小規模多機能居宅介護を使う場合があります。その場合に、今まで担当していたケアマネジャーが変更になってしまう可能性があるのがデメリットでしょう。
人見知りの方だと、また一から関係を構築するのを負担に感じるかも知れません。今までのケアマネジャーと信頼関係が出来ていれば、担当の変更により利用者に不安を与えてしまうケースもあります。
また「入居前の手続きが大変そう…」という方は、ケアスル介護で相談してみることがおすすめです。
ケアスル介護では施設の紹介だけでなく、見学や体験入居の申し込みや日程調整の代行も実施しています。
「暮らしの雰囲気を知った上で、納得して施設を探したい」という方は、まずは無料相談からご利用ください。
ピッタリの施設を提案します
地域密着型通所介護は細やかなサービスが魅力
地域密着型通所介護は、要支援では受けられませんが要介護認定1以上で受けられます。少人数制なので、細やかなサービスが期待でき、利用者が喜ぶポイントがたくさんあるでしょう。
家族の笑顔を守るため、地域密着型通所介護の利用を検討してはいかがでしょうか。
地域密着型通所介護にまつわるよくある質問
Q1 地域密着型通所介護は、ほかの市町村でも利用できますか?
A1 原則として、その市町村に住んでいる被保険者のみが利用できます。ただし、やむを得ない事情があるときは、ほかの市町村の地域密着型サービスを受けるのが可能です。その場合、市町村間で協議したうえで、事業所所在の市町村長の同意を得る必要があります。
Q2 地域密着型通所介護と通所介護、どちらがよいのでしょうか?
A2 利用者様に合わせて選んでもらえればよいですね。例えば大人数がよいのか、少人数がよいのかなどでも変わります。費用についても、地域密着型通所介護のほうが1割ほど費用が高くなりますので、よく話し合って検討されてみてください。