総人口における65際以上の割合が30%近くなり、高齢化社会が到来している日本ですが、2025年には団塊の世代が75歳以上となり後期高齢者になります。
やがて3人に1人が65歳以上の高齢者になり、2025年以降は医療や社会保障の問題がさらに大きくなることが予想されています。要介護認定を受ける高齢者の数も増加傾向にあり、このままいくと医療や介護にかかる費用は膨大なものになっていくことでしょう。
介護生活を送る各家庭においても、介護にかかる費用の問題は深刻です。実際に介護にかかる金額はどれくらいなのでしょうか。ここでは、在宅介護時と施設介護の費用の違い、平均的な介護費用とその捻出方法について、詳しく解説していきます。
今後多くの方が介護に関わることが予想され、介護費用に関する問題は高齢者の誰しもが抱える問題になってくるでしょう。この機会に介護費用に関する知識を深めておくことをおすすめします。
介護費用の平均
一言で「介護費用」と言っても、その内訳は様々です。要介護度や介護を受ける環境、利用する介護サービスなどによってかかる費用は異なります。
例えば要介護度が高い人が自宅介護を希望する場合、介護用品の購入はもちろん、自宅のリフォームにも多額の費用がかかるかもしれません。また、集合住宅よりも一軒家に住んでいる方が、面積が広い分リフォーム代は高くなる傾向があります。
介護費用の平均を把握する際には、介護の度合いや被介護者の生活環境を考慮しながら、介護にかかる費用をいくつかの項目に分けて整理することが大切です。ここでは、介護費用として負担しなければならない費用を以下の項目に分けて解説していきます。
- 一時的な費用
- 月々の費用
- 総額費用
一時的な費用
自宅で介護生活を始めるときには、家の中で安全に生活できるように段差解消や手すりの設置などの住宅のリフォームや、車いすやポータブルトイレなどの介護用品購入などに一時的な費用がかかります。
生命保険文化センターによる2021(令和3)年度「生命保険に関する全国実態調査」によれば、一時的費用の平均は約74万円ということです。
初期にかかる金額は決して小さくありません。将来介護生活が訪れることを見越した上で、ある程度のお金を蓄えておくと安心です。
月々の費用
介護生活が始まると、介護に必要な費用が毎月発生します。介護の度合いや介護環境にもよりますが、生命保険文化センターの調査結果では月々の平均は約8万3000円(介護保険の自己負担費用を含む)ということです。
ただ、個人によって差が大きく、15万円以上という人も15%以上いることから、介護に要する費用は個人差が大きいことが分かります。
具体的には、入居型施設の利用料やホームヘルパー利用料、デイサービスやデイケア、ショートステイなどの費用、介護用品のレンタル費などが想定されます。
老人ホームの費用の相場について知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
総額費用
介護生活を始めると、施設入居の初期費用やリフォーム代、介護サービス利用料など多くのお金がかかるようになります。
介護生活にかかる介護費用の総額は各家庭の状況によっても異なりますが、前出、生命保険文化センターの調査結果では、月々の費用が平均8万3000円、一時的な費用が平均74万円、介護期間が平均61.1か月です。
これらから計算される総額は平均約580万円となります。
ただ、介護期間が長くなれば費用の総額も増えますし、施設入居の際に入居金が必要となる場合、遠く離れて暮らす親の介護を自宅から通いながら担う場合など、介護にかかる費用の負担がさらに大きくなるケースも考えられます。
介護生活は10年以上続くこともあります。その間介護費用が足りずに十分な介護を受けられない心配がないように、上記の金額を参考にして準備を進めておくとよいでしょう。
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介護のタイプ別介護費用
介護にかかる費用は、介護の種類によっても大きく変わってきます。介護には様々な種類のサービスがありますが、大きく分けると以下の2つのタイプに分けられます。
- 在宅介護
- 施設介護
自宅で介護生活を送る在宅介護と、施設に入居して介護生活を送る施設介護とでは、毎月負担する介護費用は大きく変わってきます。また、その時々の介護の度合いや利用する介護サービス、入居する施設によっても負担するお金の額は変わってくることから、自分たちの状況を考慮しながら把握する必要があるでしょう。
ここでは、在宅介護と施設介護のそれぞれの場合にかかる費用について解説します。
在宅介護の場合
自宅で介護生活を送る在宅介護の場合には、介護の度合いに応じて様々な介護サービスを利用することになります。さらに日々の介護生活にかかる費用も発生するため、在宅介護の場合には、介護サービス利用料と介護サービス以外の費用の両者がかかります。
介護にかかる費用=介護サービス利用料+介護サービス以外の費用
家計経済研究所が2016年に行った調査では、在宅介護にかかる費用は平均で月5万円ほどということです。しかし、要支援・要介護度が上がるにつれて介護サービスの利用金額も上がり、要介護度が4や5になると、介護用品や医療費などの支出も多くなる傾向があるので注意が必要です。
家族など周囲の人は、介護を受ける人の様子を普段から観察する必要があるでしょう。
老人ホーム介護の場合
民間の介護サービス付き老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅など、介護施設に入居する場合には、入居一時金に加えて月額の利用料金が発生します。
かかる金額は施設によって差があり、入居一時金が0円から数千万万円、月額料金は10~30万円程度であることが多いようです。
特に入居一時金は入居する施設によって大きく異なります。公的施設である特別養護老人ホームなどの入居金は0円であるのに対し、介護付き有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の中には数百万〜数千万円の入居金が必要となるケースもあります。
おトクなのはどっち?
在宅介護を行う場合でも、施設介護を行う場合でも、いずれも一定の介護費用は発生します。一見、在宅介護の方が介護費用を安く抑えられるように見えますが、そうとは言い切れません。
介護生活の期間は平均5〜10年と言われており、時間の経過とともに介護の負担は大きくなる傾向があります。遠く離れて住む親を介護する場合、介護に通う交通費や仮に介護離職をした際の収入源の問題も出てくるでしょう。
さらに当初は在宅介護をしていたものの、要介護度が高くなり施設での介護に移行するケースも考えられます。これらの様々な状況を考慮すると、必ずしも在宅介護がおトクとは言えないのです。
介護費用の捻出方法
介護は人それぞれ違い、どのくらいの期間のかになるかも予想できないので、費用の捻出に不安を感じる人も多いでしょう。毎月発生する介護費用はどのようにして捻出していけばよいのでしょうか。
ここでは、介護費用の負担や介護費用の具体的な捻出方法について解説していきます。介護費用に対して不安を抱いている方はぜひ今後の参考にしてください。
負担するのは誰か
介護費用は、基本的に要介護者本人が負担することになります。多くの人は要介護者の年金や貯蓄から介護にかかるお金を捻出しています。
介護を行う家族が介護費用を負担するケースもありますが、自らの生活費や貯蓄を削って介護費用に充てることはあまりおすすめできません。
一般的に介護生活は何年続くか予想できないため、介護費用を介護する側が負担し続けると、やがて大きなストレスになる可能性があります。月々の費用を介護を受ける人の年金で負担できるプランを、ケアマネジャーに相談するとよいでしょう。
鍵を握るのは貯蓄と不動産
介護期間が長くなり要介護度合いも高くなると、介護にかかる費用はますます大きくなります。介護期間が長くなれば、このまま介護費用を払い続けることができるのかどうか不安に感じることも少なくないでしょう。
介護費用を捻出するためのポイントとしては、貯蓄と不動産があげられます。
貯蓄額の目安
将来十分な介護費用を確保するためには、老後生活における日々の生活費に加えて介護費用も貯蓄しておくとよいでしょう。
貯蓄は、前出の総額費用の平均金額580万円が目安となります。介護費用は、まずは終身受け取れる年金から支払い、足りない分を貯蓄から賄います。介護度が軽ければ年金で賄える場合があります。
一方、年金が少ない場合は、介護度が重くなるにつれ貯蓄の取り崩しが多くなります。
不動産の活用
不動産を所有している場合には、不動産も介護費用の財源に充てることが可能です。不動産を売却すればまとまった資金を、賃貸に出せば定期的な収入を確保することができるでしょう。
不動産は大きさや場所、周辺環境などによってその価値が決まります。仮に売却したらどの程の金額になるのか、事前に査定に出して具体的な金額を把握しておくと安心です。
家の査定については、「はじめての家査定!査定するまでの進め方と依頼のポイント・注意点」を参考にしてください。
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貯蓄と不動産以外の介護費用捻出方法
ここまで介護費用の捻出方法として、貯蓄と不動産について解説しました。ここからは、それ以外の介護費用捻出方法として、以下の4つの方法を紹介します。
- リバースモーゲージの利用
- 世帯分離
- 融資制度
- 生活保護
それぞれの内容について紹介していきます。
リバースモーゲージの利用
リバースモーゲージとは、自宅に継続して住み続けながら自宅を担保にして資金を借入れできる金融商品です。
借入れ利息のみの支払いとなり、借りた人が死亡した際に相続人が担保となっていた不動産を処分するなどして借入元本を返済します。
市区町村の社会福祉協議会が行っている不動産担保貸付制度は福祉的な意味合いが強く借入れが少額です。金融機関が取扱いを行っていますが、借入れの条件などは異なりますので注意が必要です
世帯分離
一般に収入が多ければ、介護保険や後期高齢者医療保険の負担割合が大きくなります。
介護費用を節約したいとき、世帯を分離して所得を減らすことにより保険料や介護保険の自己負担割合などを少なくできることがあります。
世帯分離の手続きは、居住している市区町村の窓口で行います。ただし、夫婦間の世帯分離など、申請しても認められないケースもありますので、注意が必要です。
世帯分離は夫婦間でも出来るのかについて詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
融資制度
あくまで返済能力があることが前提になりますが、金融機関などが用意している融資制度を活用する方法があります。また、市区町村の社会福祉協議会などの自治体などが実施している「生活福祉金貸付制度」などは、高齢者向けの融資制度としておすすめです。有価証券、保険などすぐに現金化できない資金の現金化までのつなぎとして融資制度を活用するとよいでしょう。
生活保護
年金が少なく、取り崩してきた預貯金も底をついたときは、生活保護を利用することになります。生活に使えるお金は少なくなりますが、在宅での介護が受けられ、老人ホームに入ることも可能です。
施設入所は、介護保険施設である特別養護老人ホームへの入居が候補となりますが、民間の老人ホームでも入居することは可能です。
民間の老人ホームはどこでも生活保護受給者を受け入れるとは限りません。担当のケースワーカーやケアマネジャーと相談して入居施設を決めていくことになります。
介護生活を迎える前に貯蓄を十分に用意しておこう
今回は、介護にかかる費用について幅広く解説してきました。介護にかかる費用の金額は、要介護度や介護の期間、利用するサービスの内容によってもかなり幅があります。まとまったお金が必要になる場合もあることから、可能であれば介護生活を迎える前に十分な貯蓄を準備しておくと安心です。
さらに具体的にどのように介護生活を続けていくのかを検討した上で、ケアマネジャーや家族と介護資金について話し合っておくとよいでしょう。介護資金が足りない場合に備えて、預貯金の額や保有している不動産の価値を把握しておくことも必要です。
誰でも年齢を重ねれば、何らかの介護サービスを受けることになり、介護費用に関する問題に直面することが考えられます。できるだけ早い段階から介護費用の準備を始めることをおすすめします。
生命保険文化センターの調査結果では、総額は平均約580万円が必要になるとされています。しかし「介護費用」と言っても、その内訳は様々です。要介護度や介護を受ける環境、利用する介護サービスなどによってかかる費用は異なります。詳しくはこちらをご覧ください。
在宅介護の方が費用的には安く抑えられるとされています。しかし、在宅介護では家族の負担が増えたり介護離職につながってしまう可能性があるため、必ずしもお得な選択であるとは言えません。詳しくはこちらをご覧ください。