• 在宅介護
  • 【公開日】2022-10-19
  • 【更新日】2022-11-29

「夜間対応型訪問介護」はどんなサービス?訪問介護・定期巡回と比較

「夜間対応型訪問介護」はどんなサービス?訪問介護・定期巡回と比較

「夜間対応型訪問介護とはどんなサービス?」「ほかの在宅介護サービスとの違いは?」「事業所を選ぶポイントは?」このような疑問を抱えていませんか?

夜間対応型訪問介護は、夜間にヘルパーが複数回訪問し、主にトイレ介助などの身体に関わるサービスを受けられます。「体調が急に悪くなった」「転んでしまって動けない」などの緊急時には、専用通報装置での通報により、迅速なヘルパーの派遣・救急車の手配などが可能です。

本記事では、夜間対応型訪問介護の具体的なサービス内容と、そのほかの在宅介護サービスとの違いを中心に解説します。それぞれの在宅介護サービスによって特徴が異なるため、サービス内容を理解して上手に利用しましょう。

訪問介護サービスの種類について知りたい方は、こちらの記事を参考にしてみてください。

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夜間対応型訪問介護とは?

夜間対応型訪問介護は、2006年4月の介護保険制度の改正時に創設された在宅介護サービスです。家で1人暮らしをしている方や介護をする家族の夜間の負担が軽くなり、お互いに安心できるサービスです。

以下の3つのサービスで成り立っています。

  • 夜間にサービスが受けられる定期巡回
  • 利用者からの通報による随時対応
  • 随時対応にともなうオペレーションサービス

サービスごとに詳しく見ていきましょう。

定期巡回サービス

定期巡回サービスでは、ヘルパーが利用者の自宅を18時~翌朝8時の間に複数回訪問し、1回あたり30分程度の身体介助を受けられます。身体介助とは、主にトイレ介助・オムツ交換・寝返り介助・安否確認など、身体に触れてのサポート全般が該当します。

訪問回数や時間は、ケアマネージャーが作成したケアプランをもとに行なわれます。複数回のサービスが受けられるため、自分の生活リズムに合わせて必要な部分のみ手伝ってもらえる点が大きな魅力です。

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例えば、食後にヘルパーに服薬介助をしてもらい、一旦ヘルパーが退室。再度決められた時間に巡回してもらい、トイレ介助を受けるなどのサービスも可能です。

ただし、家族の方の家事手伝いや、来客対応などは受けられません。利用者に関わるサービスであっても、日常生活に支障が出る内容以外の窓拭き・家具の修理・ペットの散歩なども受けられません。

依頼できる内容か迷った場合は、ケアマネージャーに確認してみましょう。

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随時対応・随時訪問サービス

随時対応・随時訪問サービスは、緊急時などに利用者から事業者への通報を受け、ヘルパーなどが自宅へ訪問するサービスです。

例えば「急に体調が悪くなってしまった」「ベッドから落ちてしまって動けない」「トイレで失敗してしまった」など、不測の事態が起きてしまった場合にも、状況に応じて対応してもらえます。

駆けつけたヘルパーによる救急車の手配や適切な介助を受けられ、ときには連携する医療機関へ連絡してもらえます。連絡を受け訪問した看護師の判断により、その場で医療的な処置を受けられる場合もあるでしょう。

随時対応サービスでは、前もって事業者より借り受ける専用の通報装置を使用して通報します。24時間対応している事業所もあり、いざというときも人が来てくれる安心感があります。

しかし、状況により緊急性が低いと判断された場合は、ヘルパーの派遣を断られるケースもあるため、サービス内容への理解も必要です。

オペレーションサービス

オペレーションサービスとは、随時対応サービスにともなうサービスです。利用者からの通報をオペレーターが受け、通報内容によってヘルパーの派遣・救急車の手配が必要かを判断します

判断を行うのは看護師・ケアマネージャー・介護福祉士などの資格があるスタッフであり、利用者の心身の状況や環境をあらかじめ把握しているので安心です。

オペレーションセンターを配置していない事業所もあり、その場合はヘルパーが通報に対応します。配置の有無にかかわらず、利用者が専用の通報装置を借り受けるのが一般的です。

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夜間対応型訪問介護を利用できる対象者は?

夜間対応型訪問介護は、要介護1~5の認定を受けている方が利用でき、要支援1・2の認定を受けている方は対象外となります。

また、利用したい事業所と同じ市区町村に住んでいない場合は利用できません。

併用できない介護サービスもある

夜間対応型訪問介護はあくまで「自宅」で過ごす利用者を対象とした介護サービスであるため、入居系や同じような内容の介護サービスと併用ができません。併用できないサービスの例は以下の通りです。

夜間対応型訪問介護の利用料金はいくら?

オペレーションセンターの有無によって、夜間対応型訪問介護は料金に差があります。設置している事業所の場合、料金は以下の表の通りです。

サービス費用の設定 利用者負担(1割)
基本夜間対応型訪問介護

(1月につき)1,009円

定期巡回サービス

(1回につき)378円

随時訪問サービス(1名による訪問の場合)

(1回につき)576円

随時訪問サービス(複数名による訪問の場合)

(1回につき)775円

参考:厚生労働省|夜間対応型訪問介護

基本料金に1回ごとの料金が追加される

夜間対応型訪問介護の料金は、月額1,009円です。

加えて定期巡回サービス・随時訪問サービスをそれぞれ利用すると、1回ごとに加算されていくため、利用した分だけ料金が高くなります。

なお、通報装置のレンタル料・設置料などは月額料金に含まれています。

オペレーションセンターを日中も利用したい場合

夜間帯しかオペレーションサービスに対応していない事業所もあるため、日中も利用したい場合はあらかじめ確認をする必要があります。

日中も利用する場合は、24時間通報対応加算が月額で必要となります。

ほかの在宅介護サービスとの違いは?

夜間対応型訪問介護以外にも在宅介護サービスとして、訪問介護と定期巡回・随時対応型訪問介護看護があります。ほかのサービスと夜間対応型訪問介護との違いについて、それぞれ解説します。

訪問介護

夜間対応型訪問介護との大きな違いは、サービスの提供時間・内容です。夜間対応型訪問介護は夜間にサービスが受けられますが、訪問介護は日中もサポートを受けられます

また、夜間対応型訪問介護のサービス内容は、夜間の定期巡回で受ける身体介助が中心ですが、訪問介護は生活援助も受けられます

生活援助とは、以下のようなサービスをいいます。

  • 利用者本人分のみの調理
  • 利用者本人が使用している部屋やトイレなどの掃除
  • 利用者本人の衣類の洗濯や収納
  • 衣類の整理やボタン付けなどの補修
  • 日常品などの買い物 など

なお、訪問介護では、随時対応・随時訪問サービスやオペレーションサービスはなく、通報装置は借りられません。

夜間対応型訪問介護と併用が可能なため、日中もサービスを受けたいけれど夜間もいざというときに不安がある方は、併用も検討してみましょう。

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定期巡回・随時対応型訪問介護看護

夜間対応型訪問介護との大きな違いは、サービスの提供時間・料金です。定期巡回・随時対応型訪問介護看護は24時間365日・緊急時も必要に応じてサービスが受けられます

夜間対応型訪問介護の利用料金は、月額の料金に加えて定期巡回サービスなどを利用するごとに1回ずつ加算されていきますが、定期巡回・随時対応型訪問介護看護は月額定額制のみとなります。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護の利用例は以下の通りです。

  • 定期的なインスリン注射や服薬管理が必要な方に対して、注射・服薬の確認、見守りなどをするための利用
  • 日中は1人で過ごされている方の安否確認のための利用
  • 食事量が足りずに低栄養となっている方の管理のための利用

看護サービスについてはあり・なしが選択可能です。看護サービスも受ける場合、状況によっては看護師が随時訪問が受けられるため、利用者自身はもちろん、同居する家族も身体的・精神的負担を軽減できます。

看護サービスを受けない場合も、定期的に看護師のアセスメントが受けられます。

なお、夜間対応型訪問介護との併用はできません。

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夜間対応型訪問介護の利用が向いている4つのケース

在宅介護サービスの中でも夜間対応型訪問介護の利用に向いているケースはいくつかあります。

  • 1人暮らしでもしものときに不安があるケース
  • 同居家族の負担が大きいケース
  • 老々介護で緊急時に人の手を借りたいケース
  • 必要な介護サービスだけを利用したいケース

それぞれのケースについて具体的に解説します。

1人暮らしでもしものときに不安があるケース

1人で暮らしていると、体調の変化などが急に起きてしまったらと不安がある方も多いでしょう。

夜間対応型訪問介護は、通報装置による通報によりヘルパーが駆けつけてくれたり、定期的な安否確認のために自宅まで訪問してもらえたりするため、夜間も安心して休めます。家族が離れて暮らしている場合でも、緊急時には近親者へ連絡をしてもらうことも可能です。

同居家族の負担が大きいケース

夜間の介護は同居家族にとって精神的・身体的な負担が大きく、利用者本人が気を遣ってしまったり、家族の睡眠不足につながってしまったりする場合もあります。

夜間対応型訪問介護は、定期的な訪問によりトイレ介助やオムツ交換などもヘルパーに任せられるため、同居家族の夜間の介護負担を軽減できるでしょう。利用者自身も我慢や気遣いをする必要がないため、お互いにストレス無く生活を送れます。

また、家族が仕事をしていて夜間に利用者が1人の場合、安否確認などにより定期的に様子を見てもらうことも可能です。

老々介護で緊急時に人の手を借りたいケース

普段の生活ではサポートが必要ない場合でも、緊急時には人の手を借りたいケースもあります。

夜間対応型訪問介護は、急に手助けが欲しい場面に直面した場合でもヘルパーが駆けつけてくれます。いざというときも適切なケアが受けられるため、安心して自分たちのペースで生活が送れるでしょう。

必要な介護サービスだけを利用したいケース

必要な介護サービスだけを利用し、なるべく自立した生活を送りたいケースも当該サービスの利用がおすすめです。夜間対応型訪問介護は、ケアプランをもとに必要なサービスのみを行なうため、自分のペースで生活が送れます。

生活援助も受けたい場合は、訪問介護サービスとの組み合わせによって、自立した生活をサポートしてもらえます。

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事業所選びの3つのポイント

夜間対応型訪問介護は夜間や緊急時に利用するケースが多いため、いざというときに安心して利用できるような事業所選びも大切です。

事業所選びには、以下の3つのポイントがあります。

  • オペレーションセンターは設置されているか
  • 同性介助は受けられるか
  • ヘルパーと相性が合うか

それぞれのポイントについて具体的に解説します。

オペレーションセンターは設置されているか

オペレーションセンターの設置の有無によって、料金に差があります。

設置されている場合は手厚いサポートが受けられる分、月額の基本夜間対応型訪問介護に加え、定期巡回サービス・随時訪問サービスをそれぞれ利用するごとに1回ずつ加算されていくため、頻回利用では高額になりやすいといえるでしょう。

設置されていない場合、料金は月額で固定されており、利用回数によって料金が変わることはありません。設置されていなくても、通報装置による通報により随時対応をしてもらえます。

しかし、定期巡回を行なっているスタッフが利用者からの通報にも対応するため、オペレーションセンターが設置されている事業所と比較すると、手厚いサービスが受けにくい可能性があります。

同性介助は受けられるか

夜間対応型訪問介護で受けるサービスは身体介助が中心であるため、利用者側が同性介助を希望するかどうかも事前に決めておくべきポイントです。

女性スタッフのみが在籍している事業所も少なくないため、事業所と契約後に男性スタッフに来てほしいと希望しても通らない可能性があります。

同性介助や男性・女性スタッフに来てほしいなどの希望がある場合は、事業所選びの時点で対応してくれるかどうかを確認しておくといいでしょう。

ヘルパーと相性が合うか

夜間対応型訪問介護は夜間にサービスを受ける場合が多く、緊急時にも安心して助けを求められるようヘルパーとの相性が大切なポイントとなります。

周囲に在宅介護サービスを利用している方がいる場合は、それぞれの事業所の評判を聞いたり、ケアマネージャーに相談したりと、情報を集めておくといいでしょう。

事業所との契約後に「ヘルパーと相性が合わない」と感じる場合もあります。

その場合はいざというときに通報をためらってしまわないように、契約している事業所やケアマネージャーに早めに相談してみましょう。

サービスを利用するまでの流れ

夜間対応型訪問介護のサービスを利用したい場合は、どのような手順を踏むのでしょうか?

サービス開始までの流れを解説します。

担当ケアマネジャーへ相談する

担当のケアマネージャーに夜間対応型訪問介護の利用を検討していると伝えます。

担当のケアマネージャーがいない場合は、地域包括支援センターなどに相談し、担当ケアマネージャーを決めましょう。

ケアプランの作成

ケアマネージャーへ相談したのち、希望する事業所を選び、ケアマネージャーとともにケアプランを作成します。

事業所と契約後からサービス利用開始

ケアマネージャーが利用者の希望に沿ってケアプランを作成し、サービス内容や注意事項を確認したうえで事業所と契約します。

契約後、利用者が通報装置を借り受けることで利用開始となります。

夜間対応型訪問介護の特徴を理解して自分に適切なサービスを利用しよう

生活環境や身体状況によって、不安な部分や必要なサービスは異なります。

夜間対応型訪問介護ではいざというときの不安が軽減できる点が大きな特徴であり、そのほかの在宅介護サービスにもそれぞれ強みやメリットがあります。

家族みんなが安心して過ごせるよう、状況に合わせて適切なサービスを利用しましょう。

夜間対応型訪問介護に関するQ&A

Q1.家に鍵をかけている場合はどうすればいいですか?

A1.鍵の管理方法は事業所によって異なりますが、例としてキーボックスを自宅の敷地内に設置して随時訪問時にキーボックス内の鍵を使用して入室する方法もあります。

Q2.本人以外からの連絡でも対応してもらえますか?

A2.ご家族様からのご連絡でも対応可能です。また、ご家族様と同居されている場合でも「助けを求められないが通報装置は押すことができる」といった緊急時にも、簡単に通報できます。

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