介護施設を探す場合、たくさんありすぎてどこを選べばいいかわからない方もいると思います。介護施設を選ぶ際に重要なポイントの1つは「介護施設の経営が安定しているかどうか」です。
本記事では、介護施設業界の状況や潰れる介護施設の特徴をご紹介し、家族を長期間預けても安心の介護施設の探し方をお伝えします。

現在の介護業界の状況
高齢化率の上昇に伴い、日本の介護サービス事業の需要は拡大しているといえます。一方で、経営難などの理由から、潰れる介護施設も増加してきています。その背景を確認しましょう。
2020年は潰れる介護事業者の数が過去最多に
2020年には、倒産した介護事業者数が過去最多を記録しています。
「株式会社東京商工リサーチ」によると、2020年に倒産した老人福祉・介護事業者数は118件に上り、前年比で6.3%上昇しました。それまでの最多数である111件を上回り、最多記録を塗り替えています。(出典:東京商工リサーチ「2020年「老人福祉・介護事業」の倒産状況」)
一方で、2020年に倒産した老人福祉・介護事業者のうち新型コロナウイルス関連の倒産は7件と報告されています。全体の倒産数118件を考慮すると、介護事業所が潰れる原因が、必ずしも新型コロナウイルスの影響のみではないとわかります。
同時に、倒産ではなく休業する老人福祉・介護事業者も多く存在します。入居中に休業となれば施設での生活が中断されるため、倒産してしまうケースと同様に注意が必要です。
事業者が増えたことで淘汰されている
潰れる介護施設が増えている理由の一つに、市場の競争激化が挙げられます。例えば大手の医療事務や教育事業、警備会社、飲食事業など、これまでに介護事業を展開していなかった企業からも参入が相次いでいます。
もともと資本の大きい企業による介護業界への参画により、規模の小さい介護事業者が淘汰されているといえるのです。経営難を引き起こしている施設にとって、上記のような企業の参入は、新型コロナウイルスの影響と同様に大きな痛手になり、潰れてしまう原因となります。
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介護施設が潰れる原因とは
潰れる介護施設が増えている理由は外部要因だけではありません。介護事業者そのものの問題に起因した倒産も多く見受けられます。
実際に潰れる介護施設にはどのような内部要因があるのか、特徴的なものをご紹介します。
介護職員の人材不足や人件費の高騰
介護施設が倒産する最大の理由の一つは、介護職員をはじめとした人材の不足です。
「公益財団法人 介護労働安定センター」が2019年に発表した「介護実態調査」には、介護施設における人員不足の現状が示されています。本調査によると、人材について不足感を感じている施設は、全体の65.3%に上りました。
また、労働者が抱える労働条件・仕事の負担に対しての悩み、不安、不満等について調査したところ、「人手が足りない」の回答数が最も多く、55.7%となりました。介護施設を運営する企業側も、働く労働者も、現場の人手不足を実感しているのです。
介護保険法では施設の人員配置基準が定められているため、一定の労働者数を確保できなければ運営ができなくなってしまいます。結果として、介護施設が潰れる要因となってしまうのです。
介護報酬によって利益が安定せず利益率も低い
介護施設の収入が介護保険報酬へ依存している業態も、介護施設が潰れる原因の一つになっています。
介護サービス事業は、介護保険制度のもとで運用されています。介護保険制度では介護サービスごとに報酬が定められているため、施設側による売価の設定はできません。さらに、介護報酬は3年に1回改正されるため、その度に売上が変動し、経営が安定しない要因になり得るのです。
また、2020年の介護サービスにおける収支差率は全サービス平均で2.4%となり、前回調査時よりも低下しました。安定しない収益と低減する収支差率が、潰れる介護施設の要因となっているといえます。
新型コロナウイルス感染拡大で備品代が増加
新型コロナウイルスの感染拡大による副次的な影響も、介護施設が潰れる原因として考えられます。
特に高齢者施設では徹底した感染対策が必須となります。そのため、マスクや手袋等の備品をこれまで以上に購入する必要があり、経費を圧迫しているのです。
介護給付費分科会が発表した「新型コロナウイルス感染症の介護サービス事業所の経営への影響に関する調査研究事業」には、備品購入に関する調査結果がまとめられています。この調査によるとマスクや手袋等の購入にかかる保健衛生費は、全介護サービスを通じてコロナ前より増加してます。
必要経費の増大といった側面からも、介護施設が潰れる原因の1つとして新型コロナウイルスの影響が生じているのです。
潰れる介護施設の特徴
背景や要因を踏まえたうえで、潰れる介護施設の特徴を見ていきましょう。
大切な家族を預ける介護施設が、経営が安定せずに倒産してしまうような施設では安心できませんよね。
だからこそ、介護施設を見学する際にぜひチェックしてほしい特徴をご紹介します。
職員の数が少ない
介護施設を見学する際に確認すべきポイントは職員数です。介護保険法では人材配置要件を設けており、基準を下回る人数で運営すると違反になります。
しかし、一般の見学者が人員基準の判断をすることは困難です。そこで、複数の介護施設見学をしましょう。利用者に対して手厚く接遇できているところもあれば、少ない職員がバタバタと動き回っている施設もあります。見比べてみると両者の違いは一目瞭然ですので、職員数を判断する材料にしてください。
明らかに人員数が少ない施設は、介護保険法違反として運営停止になる危険性もあります。また、職場環境が悪いと、職員がさらに離職するリスクも考えられます。人員不足を感じる施設は「潰れる介護施設」と認識するヒントとして理解しておきましょう。
設備が古い・必要な設備が十分にない
潰れる介護施設の見極めとして、施設の設備面への注目も大切です。介護施設内の設備が壊れたまま使用されていたり、不足していたりする場合は注意が必要です。設備投資に予算をかけられないほど、経営が悪化している可能性があるからです。
設備の安全性は見た目の美しさだけでなく、利用する入居者の安全にも直結します。もし大切な設備にお金を充てられなくなっているのであれば、注意する必要があると言えるでしょう。
ただし、綺麗でよい設備が整っている場合でも、経済状況に余裕があるとは限りません。施設を見学する際、施設設備に加えてスタッフの対応や人数などと総合的に考慮するようにしましょう。
設立して10年に満たない若い会社
介護施設に限らず、創業間もない企業は倒産リスクを抱えています。
中小企業庁の「中小企業のライフサイクル」には、創業年数別の企業生存率が示されています。企業生存率とは、創業された会社が潰れずに生き残って経営している状態の確率値を表します。この調査によると、創業1年での企業生存率は95.3%、5年だと81.7%です。つまり、5年後には創業した会社の内約2割が倒産しているのです。
もちろん、長く続いている会社に潰れるリスクがないわけではありません。ほかの潰れる介護施設の特徴と合わせて、創業年数の浅い介護施設の倒産リスクを考えるようにしましょう。
介護職員処遇改善加算の届出をしていない
「介護職員処遇改善加算」の届出の有無についても、チェックポイントのひとつとしてご紹介します。介護職員処遇改善加算とは、介護職員等のベースアップを目的に支給される報酬です。
加算を得るためには事前の届出が必要です。届出を行うためには職場環境の改善が必要であり、職員のキャリアアップややりがい助成のための施策を計画・実施する必要があります。つまり、介護職員処遇改善加算の届出をするには一定の労力がかかるのです。
この労力を惜しみ、処遇への配慮を行っていない介護施設は、職場環境が良くないと想像できます。介護職員処遇改善加算の届出有無は、潰れる介護施設を見極める手段の一つといえます。
ただし、届出の有無を施設見学だけで知るのは困難です。見学時に職員に質問するようにしましょう。介護職員処遇改善加算の一部は利用者の負担になるため、開示要求をするのもひとつの方法です。
制度を活用していない
最後に、潰れるリスクを見据えた制度活用の有無について見ていきましょう。
サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームで前払い金を受領する場合、その保全措置を講じることが老人福祉法によって求められています。この保全措置として、公益社団法人 有料老人ホーム協会では「入居者生活保障制度」を設けています。
この制度に加入していれば、介護施設の倒産により入居者が退去せざるを得なくなった場合、登録された入居者に対して、協会から500万円の保証金が支払われます。これまでは、一部の有料老人ホームのみで500万円の保証金の支払いが行われていました。しかし、2021年4月1日以降はすべて有料老人ホームで義務付けられています。
もちろん潰れないことが大切ですが、潰れるリスクに対策を打てているかどうかは安心材料の一つとなります。きちんとしたリスク管理ができている介護施設かどうかを判断基準として、入居者生活保障制度等の制度を導入しているかを確認してみましょう。

入居している介護施設が潰れるとどうなる?
もし、実際に介護施設が潰れてしまった場合、どうなるのでしょうか?結論から述べると、次のような変化が起こります。
- サービスの料金体系が変化する場合がある
- 顔ぶれの変化で入居者のストレスになる
入居している介護施設が潰れると、入居者やその家族に大きな影響を与えてしまいます。通い慣れた施設から移らざるを得なくなった場合、それぞれどのような変化なのかを詳しく見ていきましょう。
サービスの料金体系が変化する場合がある
一つ目の変化として、サービスの料金体系が変わる可能性があります。
前述したとおり、介護サービスの報酬は報酬単価が決められています。潰れた施設と移転先の施設の種類が異なる場合、料金変更になる可能性があるでしょう。例えば施設の人員配置等によって提供できるサービス内容が異なるため、料金が変更になる場合もあるのです。
このように、潰れる施設からほかの施設に移った場合、料金変更が起こり得ます。

顔ぶれの変化で入居者のストレスに
施設が変わると、関係する人間関係も変化します。見知らぬ人のいる施設に移る変化から、大きなストレスを感じる方もいるはずです。
特に、認知症の患者さんには注意が必要です。認知症の方にとって、生活の変化そのものが認知症を進行させる要因になりかねません。慣れ親しんだ施設から新しい施設へ移動せざるを得なくなる場合、ご本人の心理的なストレスについての配慮が必要といえるでしょう。
施設の場所が遠くなると家族の負担が増える
最後に、移転後の施設が遠方になってしまう可能性について考えてみましょう。
現在の施設や家族の居住地から近い場所で、新たな施設が見つかるとは限りません。
移転先が遠方になってしまった場合、ご家族の負担が増える可能性もあります。自宅から施設までの距離が遠くなると、送迎やお見舞いにかかる時間的・金銭的負荷が増加。さらに入居系の施設をご利用の場合、入居者に顔見せに行く頻度そのものが減ってしまう状況も考えられます。
施設を利用する本人だけでなく、支える家族の生活にも大きな変化をもたらす可能性があるのです。
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入居前に介護施設の経営状況や特徴をチェックしよう
今回は、潰れる介護施設の特徴と、実際に潰れてしまった際に起こり得る変化についてご紹介をしました。
介護施設が潰れてしまった場合、利用する本人や家族にとって大きな負担が発生する可能性があります。入居申請を行う前に、倒産などで潰れるリスクが高い介護施設でないか、慎重にチェックするようにしましょう。
Q1入居している介護施設が倒産したら、退去しないといけませんか?
入居している介護施設が潰れてしまった場合、退去しなくてもよいパターンがあります。
それは、介護施設の運営が別の企業に移される場合です。運営していた会社自体は倒産したとしても、同業他社等が事業譲渡を受け、そのまま運営し続ける場合があります。介護施設自体は存続するため、退去せず居住し続けられるのです。
ただし、運営会社の変更による変化も考えられます。利用料金やサービス内容が変わったり、管理者等のスタッフが入れ替わったりするかもしれません。退去せずに居住し続けられたとしても、何らかの変化があると理解しておきましょう。
Q2介護施設の情報が知れるWebサイトを教えてください
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また介護サービス情報公開システムのサイト内には、介護保険の解説や、介護サービスの概算料金を試算できる機能があります。施設検索以外の便利な使い方が可能なwebサイトですので、ぜひチェックしてください。
介護施設が潰れる原因としては、「介護職員の人材不足や人件費の高騰」「利益率が低い」新型コロナの影響」などが考えられます。詳しくはこちらをご覧ください。
潰れる施設の特徴としては、「職員が少ない」「設備が古い」説r津市手間もない会社が運営している」などが挙げられます。詳しくは、こちらをご覧ください。