長く続く介護生活は、どれだけ社会福祉資源を使うかがポイントです。在宅介護だけではなく、施設に入所したり通ったりすることも可能です。
とはいえ、施設にもさまざまな種類があって違いがよく分からない方も少なくありません。今回は、介護施設の中でも病院併設老人ホームについて解説します。本記事で仕組みを知って、無理なく介護が続けられる環境を整えてください。

病院併設老人ホームとは
病院併設老人ホームとは、名前の通り病院と老人ホームが併設されている施設のことです。
その名の通り、病院と老人ホームが同一の敷地内にあるため簡単に診察や必要な医療処置を受けられることが大きなメリットとして挙げられます。
もちろん病院が併設されている分、通常の老人ホームよりも医療サポートが充実していると言えるでしょう。
そのほか、医療法人が運営する介護施設では特に医療連携が整備されており、近隣にもグループ病院があったり、入院時にベッドを確保してもらいやすかったりするケースもあります。
病院と老人ホームが廊下でつながっていることが多い
病院併設老人ホームは「併設」とある通り、病院と介護施設が廊下でつながっているケースが多いです。
急な体調不良や緊急事態にも迅速な搬送を行うことができ、すぐに専門医による対応が受けられたりと、安心感の高さが魅力です。
また、ベッドで寝たきりの状態でも移動が可能なため、日常的な医療が必要な方も行き来が楽である点も特徴です。
上述のとおり24時間安心の医療体制が整っていることから、医療依存度が高い方・要介護度が高い方の入居にも対応している傾向にあります。
病院のワンフロアなどが老人ホームの場合も
一部の施設には、病院の一部に老人ホームが設けられているパターンの施設も存在します。
老人ホームが設けられている場所は、病院によって最上階や一階などさまざまです。
この場合、廊下でつながっている施設よりもさらにスピーディーな医療サービスを受けられるため、より医療依存度が高い方や突発的な事態が発生した際でも時間ロスが少なく安心できます。

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病院併設老人ホームの費用
病院併設老人ホームの利用を検討する際に気になることの一つが、費用についてではないでしょうか。
利用するにあたっていくらほど必要になるのか、ここでは費用について解説していきます。
入居一時金の金額は施設で異なる
まず、病院併設老人ホームへ入居する際に、入居一時金としてある程度まとまった金額を支払う必要があります。入居一時金の金額は利用する地域や施設によってさまざまですが、月額利用料の数ヶ月分が目安です。
中には、入居一時金を0円(なし)で設定しているところもあります。この場合、入居一時金がない代わりに月額利用料で入居一時金分を上乗せしている形になります。
月額利用料は毎月発生する
入居一時金以外に発生するのが月額利用料です。月額利用料は、決まった金額を毎月病院併設老人ホームに支払う費用を指します。月額利用料も入居一時金と同じく、利用する地域や施設によって金額はさまざまです。
月額利用料の内訳は主に、ホームで利用する居室の家賃・食費・光熱水費・ホームの管理費などです。
毎月支払う固定費用のため、無理のない範囲で支払えるかをしっかり検討する必要があります。
病院併設老人ホームのメリット
病院併設老人ホームのメリットをより詳しく挙げると次の6つがあります。
- 急変時は迅速に対応してもらえる
- 健診を受ける手間がかからない
- 医師が近くにいるので安心できる
- 交通費がかからない
- 医療依存度が高くても入居できる
- 入院時の手続きが簡単
それぞれについて見ていきましょう。
急変時は迅速に対応してもらえる
病院併設老人ホームの大きなメリットともいえるのが、急変時は迅速に対応してもらえる点です。
病院・クリニックが老人ホームに併設されていると、万が一のときにもすぐ医師に駆けつけてもらえるので安心できます。
体調が急変してもすぐに受診ができ、迅速な対応・処置が施されます。一般的な老人ホームよりも手厚い医療サポートを求める方に適した施設です。
健診を受ける手間がかからない
病院併設の老人ホームに入居すると、定期的に健診を実施してくれるのも利点の一つです。家族が健診の予約をとったり、連れていったりする手間がかからないため、入居者だけでなく家族の負担が軽減できます。
また、普段の診察の手間が省けます。定期的に健診を受けることで、病変を初期段階で発見できるため、より健康で長生きできることにもなるでしょう。
医師が近くにいるので安心できる
急変時に限らず、定期受診や少しの体調不良でも病院併設の老人ホームであれば医師が近くにいるので精神的にも安心できます。
ご家族としても、大切な人のそばに頼れる医師がいるのは、安定材料の一つになるはずです。
また、医師が近くにいれば分からないことをすぐに確認できるのもメリットです。医師と患者の距離が物理的に近いため状態を把握しやすく、何かあった際も連携がスムーズです。
交通費がかからない
老人ホームや自宅と医療施設との距離によっては、ガソリン代やバス代・タクシー代など交通費が発生します。
大きな病院にいくために、少なくない交通費を支払っているご家庭も少なくないでしょう。その点、病院併設老人ホームであれば交通費がかからずに済みます。また、家族が病院に連れていくこともなくなるので、連れ添い人の確保も不要です。
医療依存度が高くても入居できる
先述したように、病院併設老人ホームでは医療依存度が高くても入居できる場合があります。施設によって、医療依存度や介護度で入居できるかできないかを決めています。
入居可能な場合、人工透析やストーマ、酸素が必要といった方でも老人ホームで過ごせることも、メリットの一つです。
ここまで説明したように、容体が急変した場合でも自宅や通常の老人ホームよりも早く処置を受けられるため、入居者・家族にとって病院併設老人ホームはより安心できる場所と言えます。
入院時の手続きが簡単
病院併設老人ホームに入居中にもし入院が必要になっても、施設が併設されているため入院手続きが簡単に済みます。具体的には、自宅や別施設から入院するよりも記入する書類が少なくなります。
また、入院に必要なものは用意されてあるため家族が入院のための準備をする必要がありません、加えて、手続きのために病院に通う手間も省けます。
病院併設老人ホームのデメリット
病院併設老人ホームのメリットを紹介しましたが、一方でデメリットも存在します。
ここでは、デメリットとして次の4つを紹介します。
- 施設の数が少ない
- 入居費用や月額料金が高くなることもある
- 病院と老人ホームの職員は同じ
- 診察日やフォロー体制はさまざま
順番に説明します。
施設の数が少ない
病院併設老人ホームは、通常の老人ホームと比較すると全国的に施設数が少ないです。そのため、入居したいと思っても自宅近くになく入居できない可能性があります。自宅から離れてしまっても問題ない場合は、選択肢が増えるかもしれません。
また、病院と併設しており、医療サービスが充実しているため人気が高く、入居を希望する施設が見つかっても待ち状態となってしまうことが想定されます。「入居させたい」と思っても、思うように入居が決まらないのはデメリットと言えます。
入居費用や月額料金が高くなることもある
手厚いサービス・医療体制を整えている施設の場合は、入居費用や月額料金が高くなる傾向にあります。そのため、費用をできるだけ抑えたいと考える場合には、入居費用や月額料金が高くなるのはデメリットになるでしょう。
費用に関しては施設や地域によって異なりますので、サービス内容と費用を比較検討したうえで決めていく形になります。比較検討に時間を費やす必要がある点も、人によっては欠点だと感じるかもしれません。
病院と老人ホームの職員は同じ
病院併設老人ホームの施設によっては、病院の職員が老人ホームの職員を兼務するケースもあります。
兼務すること自体に問題はありませんが、職員数の多い施設と比較するとサービス体制が手薄になる可能性も考えられます。
そのため、家族を病院併設老人ホームに入居させたいと思った際には、職員数や兼務しているのかどうか事前に確認しておくとよいでしょう。確認したうえで、サービス体制に問題がないと思った施設への入居を検討するのを推奨します。
診察日やフォロー体制はさまざま
老人ホームと病院は併設していますが、病院自体に休診日を設けている場合もあります。
24時間体制でサポートしてほしいと思っている方には。デメリットに感じる要因になるでしょう。もちろん、24時間体制でフォローしてくれる施設もあります。病院の診察日・休診日やフォロー体制は、入居の検討段階でしっかり確認しておきましょう。
病院併設老人ホームの費用を抑える方法
ここでは、病院併設老人ホームへ入居する際に、できるだけ出費を抑えられる方法として、以下5つの項目について解説します。
- 月額利用料が対象の医療費控除
- 公的介護保険で使える高額介護サービス費
- 公的医療保険で使える高額療養費制度
- 長期の支払い負担を軽減できる特別減額措置
- 社会福祉法人による利用者負担軽減
一つずつ見ていきましょう。
月額利用料が対象の医療費控除
病院併設老人ホームに入居後に利用した施設サービスのうち、介護サービス費・食費・居住費などの月額利用料が医療費控除の対象になります。
なお、医療費控除を受けられるのは、公的施設である「介護保険施設」です。特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院、指定介護療養型医療施設が該当します。
また、介護保険サービスではいくつかの減額制度・助成制度があり、申請を行うことで月額利用料の減額・助成が適用されます。上記以外にも、市町村独自のサポートを行っている地域もあるため、一度問い合わせてみるとよいでしょう。
公的介護保険で使える高額介護サービス費
高額介護サービス費は、介護保険サービスの自己負担額が1ヶ月の限度額を超過した際に、超えた分の金額が支給される制度です。
支給対象の場合、自治体によって「高額介護サービス費支給申請書」が送付されるので、申請書を記入したうえで申請を行います。
上限額は所得に応じて決められており、2021年8月からは以下で設定されています。
区分 | 上限額 |
課税所得690万円以上(年収約1,160万円以上) | 140,100円(世帯) |
課税所得380万円以上690万円未満(年収約770万円以上約1,160万円未満) | 93,000円(世帯) |
住民税課税~課税所得380万円未満(年収約770万円未満) | 44,400円(世帯) |
世帯の全員が住民税を課税されていない世帯 | 24,600円(世帯) |
上記のうち前年の課税年金収入額+そのほかの合計所得金額が80万円以下 | 15,000円(個人) |
生活保護受給者 | 15,000円(個人) |
公的医療保険で使える高額療養費制度
高額療養費制度は、1ヶ月のうち医療機関で支払う医療費が上限額を超えた場合、その超えた額が支給される制度です。
ただし、入院時の食費負担や差額ベッド代などは含みません。
また、上限額は、年齢・所得に応じて決定されるため、条件次第では、負担を大きく軽減できる可能性があります。
例えば、以下の条件の場合、212,570円が高額療養費として支給されるため、実際の自己負担額は87,430円で済みます。
- 70歳以上で年収約370万円~770万円(3割負担)
- 100万円の医療費
- 窓口の負担(3割)が30万円
長期の支払い負担を軽減できる特別減額措置
特別減額措置とは何らかの事情で長期的な支払いが難しい場合に、入居中の食費・居住費を減額できる制度です。
特別減額措置は、所得や貯金額が基準値より低い場合に適用され、認定された場合は「介護保険負担限度額認定証」が交付されます。基準値はお住まいの地域によって異なります。施設に入居している方であっても、施設から申請が可能です。
社会福祉法人による利用者負担軽減
社会福祉法人による利用者負担軽減は、所得が低く生計が困難な方に向けて、施設を運営している社会福祉法人が申告する場合に介護費用が25%軽減される制度です。
低所得者の方で以下の要件をすべて満たしている方、または生活保護受給者の方が対象になります。
- 年間収入が単身世帯で150万円、世帯員が1人増えるごとに50万円を加算した額以下
- 預貯金等の額が単身世帯で350万円、世帯員が1人増えるごとに100万円を加算した額以下
- 日常生活に供する資産以外に活用できる資産がない
- 負担能力のある親族等に扶養されていない
- 介護保険料を滞納していない
対象者は市区町村に申請のうえ、「確認証」の交付により利用者負担軽減を受けられます。
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病院併設老人ホームの特徴を理解したうえで利用を検討しよう
今回は病院併設老人ホームについて、特徴やメリット・デメリットなどを紹介しました。
病院併設老人ホームは、病院と老人ホームが併設されているため、医療サポート体制が整っているのが魅力の施設です。改めてメリット・デメリットをまとめると以下の通りです。
メリット | デメリット |
急変時は迅速に対応してもらえる
健診を受ける手間がかからない 医師が近くにいるので安心できる 交通費がかからない 医療依存度が高くても入居できる 入院時の手続きが簡単 |
施設の数が少ない
入居費用や月額料金が高くなることもある 病院と老人ホームの職員は同じ 診察日やフォロー体制はさまざま |
本記事を通して病院併設老人ホームについての理解を深め、利用を検討して行きましょう。
医療法人が運営している病院併設老人ホームのほうが、さまざまな医療サービスをすぐに受けられるため、安心感は違います。より高い安心感を求めるのであれば、医療法人が運営している病院併設老人ホームがよいでしょう。詳しくはこちらをご覧ください。
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