- 「医療法人の介護施設とは?」
- 「医療法人ならではの特徴はある?」
- 「社会福祉法人や株式会社との違いがわからない」
そろそろ親の介護について考えようと介護施設を探していると、医療法人や福祉法人などの名前を目にして、どのような違いがあるのか疑問に思う方が多いようです。
実は、施設の種類だけでなく、運営母体がどこかによっても異なります。
そこで本記事は、医療法人が開設する介護施設の特徴や、どのような方が医療法人の介護施設に向いているのかをまとめました。
医療法人の介護施設の特徴
医療法人の介護施設は「医療法」に基づいて設立されており、医療ケアを中心とした支援が特徴です。
医療法第39条には「病院、医師若しくは歯科医師が常時勤務する診療所、介護老人保健施設又は介護医療院を開設しようとする社団又は財団は、この法律の規定により、これを法人とすることができる。」と定めています。
そのため多くの医療法人設立の介護施設は、病院の敷地内に設置されていたり、近隣に提携病院があったりする場合がほとんどです。引用:『医療法第39条』
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医療法人が開設する介護施設のメリット3つ
医療法人が開設する介護施設は、ほかの運営母体にはないメリットが3つあります。
- 病院やクリニックとの連携が強い
- 医療が充実している
- 「理学療法士」「作業療法士」が多く配置されている
医療機関が運営しているため、医療ケアが必要な方にとってはメリットが大きいでしょう。
1.病院やクリニックとの連携が強い
医療法人が開設する介護施設は、病院やクリニックとの連携が強い点がメリットです。系列の医療機関と連携して運営されており、施設によっては、敷地内に医療機関が併設されている場合もあります。
そのため体調が悪い場合や持病をお持ちの方など、すぐに診察が必要な場合でもスムーズな対応で安心です。また入院が必要になった場合は、ベッドの確保を優先的に手配してもらえることもあります。
2.医療が充実している
医療法人以外の運営母体よりも、対応できる医療行為が多い点も大きなメリットです。特に看護師の配置が義務付けられていない施設の場合は、簡単なバイタルチェック程度しか施設内で対応できません。体調が悪い場合は、主治医に連絡して相談する必要があり、時間がかかってしまうでしょう。
医療法人であれば、さまざまな医療行為ができるケースがあります。例えばいくつかの疾患がある方は、複数の病院を一つにまとめられる可能性もあります。施設内での医療ケアが困難なレベルであれば、系列の医療機関と連携して、スムーズな対応が期待できるでしょう。
3.「理学療法士」「作業療法士」が多く配置されている
医療法人が開設している介護施設には理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などが配置されていて、手厚いリハビリのサービスを受けられることもあります。例えば医療法人が開設している場合が多い介護老人保健施設では、以下のように人員配置が定められています。
人員 | 人数 |
医師 | 常勤1以上、100対1以上 |
薬剤師 | 実情に応じた適当数(300対1が標準) |
看護・介護職員 | 3対1以上、そのうち看護は2/7程度 |
支援相談員 | 1上、100対1以上 |
理学療法士、作業療法士または言語聴覚士 | 100対1以上 |
栄養士 | 入所定員100以上の場合は1以上 |
介護支援専門員 | 1以上(100対1が標準) |
医療環境が充実しているからこそ、人員配置の条件に医療従事者が多く含まれる介護老人保健施設において、医療法人が多いのでしょう。
参照:『介護老人保健施設』
医療法人が開設する介護施設のデメリット3つ
医療法人が開設している介護施設には、医療の面以外でデメリットが3つあります。
- 要支援だと利用できない施設もある
- 最期のときまで利用できるとは限らない
- レクリエーションの時間が少ない
医療ケアが必要な方にとって、医療法人が開設する介護施設は魅力的でしょう。ただしデメリットもあるため、自分の希望条件と照らし合わせてチェックしてください。
1.要支援だと利用できない施設もある
施設の種類によっては、要支援だと利用できない介護施設があります。医療法人が開設している主な施設の種類は、以下のとおりです。
- 介護老人保健施設
- 介護療養型医療施設
- 介護医療院
上記の施設は、どれも要介護1〜5の方を対象としているため、要支援1.2の方は利用できません。ただし医療法人が開設する老人ホームで、要支援1または2でも利用できるところがあります。
近年、医療法人が「住宅型有料老人ホーム」や「サービス付き高齢者向け住宅」を開設するようになってきました。どちらも介護が目的の施設ではないため、要支援1または2でも利用できます。老人ホームの種類について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
2.最期のときまで利用できるとは限らない
医療法人だからといって、最期のときまで利用できるとは限りません。医療法人に限らず、介護施設の種類によって利用目的は異なります。
医療法人が開設する場合が多い介護老人保健施設・介護療養型医療施設では、終身ではなく「回復」が目的です。例えば介護老人保健施設の場合は、3ヵ月〜6ヵ月ごとに対処判断が協議されます。
ただし、多くが医療法人である介護医療院では、長期利用できます。医療法人が開設している施設は少ないですが、介護付き有料老人ホーム・介護型ケアハウス・軽費老人ホームも可能です。
3.レクリエーションの時間が少ない
医療法人が介護施設は、レクリエーションの時間が少ない傾向にあります。レクリエーションよりもリハビリや医療ケアに費やす時間が多く、目的の違いが理由でしょう。施設の種類によって異なりますが、特に下記の施設はレクリエーションの時間が少ないと考えられます。
- 介護老人保健施設
- 介護療養型医療施設
- 介護医療院
医療ケアを受けたくて、入居者同士の交流やイベントを楽しみたい方は、有料老人ホームのほうがおすすめです。ただし、医療法人が開設している有料老人ホームはまだ多くありません。
医療法人が開設する介護施設の割合
医療ケアを必要とする施設は、医療法人が開設しているケースが多くなっています。下記の表は、厚生労働省のデータをもとに医療法人が開設する介護施設の割合をまとめたものです。
介護施設の種類 | 医療法人が占める割合 |
介護老人福祉施設 | 0% |
介護老人保健施設 | 75.1% |
介護医療院 | 90.4% |
介護療養型医療施設 | 81.9% |
地域密着型特定施設入居者生活介護 | 17.2% |
介護老人福祉施設は社会福祉法人が95.4%を占めており、医療法人は開設していません。介護老人保健施設はリハビリを提供し、機能維持・改善を行う介護サービスとして位置づけられています。
医療ケアが必要な方で要支援1または2の場合は、地域密着型特定施設入居者生活介護を検討するとよいでしょう。ただし、2020年(令和2年)時点で、医療法人が開設しているのは17.2%です。自宅近くで見つけるのは難しいと考えられます。
医療法人の開設する介護施設の利用が向いているケース
医療法人が開設している介護施設について、施設ごとに利用が向いているケースを紹介します。とりあげる介護施設の種類は、以下のとおりです。
- 医療法人×介護老人保健施設
- 医療法人×介護医療院
- 医療法人×住宅型有料老人ホーム
- 医療法人×サービス付き高齢者向け住宅
介護療養型医療施設は2023年度末で完全廃止になり、介護医療院がその役割を担うため、省略します。
医療法人×介護老人保健施設
医療法人が開設する介護老人保健施設が向いているケースは、以下のとおりです。
- 65歳で要介護1以上の方
- 要介護認定を受けた40〜64歳の方(認知症や関節リウマチなど)
- 医療ケアが必要な方
- 医師や看護師による夜間対応が必要な方
- 在宅復帰を目指したい方
介護老人保健施設は在宅復帰のための拠点としてリハビリを提供し、機能維持・改善を目的としています。多くの方は長期入院が終わったあと、在宅復帰を目指して介護老人保健施設へ入所します。
医療法人×介護医療院
医療法人が開設する介護医療院が向いているケースは、以下のとおりです。
- 65歳で要介護1以上の方
- 要介護認定を受けた40〜64歳の方(認知症や関節リウマチなど)
- 専門的な医療ケアが必要な方
- 医師や看護師による夜間対応が必要な方
- 長期利用したい方
介護医療院は、要介護者の長期的な療養と生活支援を目的としている施設です。ほかの介護施設では難しい、痰の吸引や経管栄養なども対応できます。
医療法人×住宅型有料老人ホーム
医療法人が開設する住宅型有料老人ホームが向いているケースは、以下のとおりです。
- 自立~要介護5の方
- 医療ケアが必要な方
- 夜間の体調不良が心配な方
- レクリエーションを楽しみたい方
住宅型有料老人ホームは、自立〜要支援2の利用者が多い傾向です。介護が必要な場合は外部のサービスを利用します。
ほかの運営母体では、食事や掃除などの支援が中心になりますが、医療法人が開設している場合は医療ケアも充実しています。またレクリエーションも充実している施設が多いのも特徴です。
医療法人×サービス付き高齢者向け住宅
医療法人が開設するサービス付き高齢者向け住宅が向いているケースは、以下のとおりです。
- 自立~要介護2くらいまでの方
- 万が一のときにスムーズな医療ケアを望む方
- 1人暮らしに不安はあるが、自由度の高い生活をしたい方
サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者の方が安心して暮らせるように、生活相談や安否確認のサービスも提供しています。1人暮らしが心配な方は、選択肢に入れるとよいでしょう。
介護施設の運営母体は大きく分けて8種類
介護施設の運営母体は、大きく分けて8種類あります。
- 地方公共団体
- 日本赤十字社・社会保険関係団体・独立行政法人
- 社会福祉法人(社会福祉協議会を含む)
- 医療法人
- 社団・財団法人
- 協同組合
- 営利法人(会社)
- 特定非営利活動法人(NPO)
非営利・営利団体問わず、さまざまな団体が介護施設を運営しています。ただし、医療法人・社会福祉法人・株式会社(営利法人)以外の運営母体は、各介護施設において0%〜数%に満たない割合です。
少数派の運営母体について|それぞれの特徴
運営している割合が少ない5種類の運営母体について、それぞれの特徴を表にまとめました。
種類 | 特徴 |
地方公共団体 | 都道府県や市区町村を統括している団体 |
日本赤十字社・社会保険関係団体・独立行政法人 | 日本赤十字社:世界中の戦争犠牲者の支援をはじめ、人道的支援を行っている団体 |
社会保険関係団体:健康保険や厚生年金保険の保険料を財源に、病院や福祉施設を運営している団体 | |
独立行政法人:各府省の行政活動から事務・事業を分離し、独立の法人格を与えられた団体 | |
社団・財団法人 | 社団法人:共通の目的を持って集まった非営利法人 |
財団法人:財産の運用を目的とした法人(財産のあつまり) | |
協同組合 | 共通の目的をもった個人や事業者が集まり、お互いに助け合う組織 |
特定非営利活動法人(NPO) | 20種類に及ぶ非営利活動を行う法人 |
上記の法人は、活動の一つとして介護施設を運営しているイメージです。
「医療法人」「社会福祉法人」「株式会社」の違い
医療法人・社会福祉法人・株式会社の特徴や違いについて、表にまとめました。
運営母体の種類 | 特徴 |
医療法人 | 医療法に基づき設立される非営利法人
病院やクリニックと連携した介護施設を運営している |
社会福祉法人 | 社会福祉事業を行う非営利法人
公益性が高い |
株式会社 | さまざまな事業目的で介護施設を運営する営利法人
各会社の強みを活かした多様なサービスが特徴 |
わかりやすく表現すると、社会福祉法人は医療ケア、社会福祉法人は介護、株式会社はサービスに力を入れているイメージです。
【社会福祉法人】各介護施設に占める割合を見て特徴を知ろう
介護を目的とした施設は、社会福祉法人の運営が多く占めています。下記の表は、厚生労働省のデータをもとに社会福祉法人が開設する介護施設の割合をまとめたものです。
介護施設の種類 | 社会福祉法人が占める割合 |
介護老人福祉施設 | 95.4% |
短期入所生活介護(ショートステイ) | 84.7% |
地域密着型介護老人福祉施設 | 99.1% |
介護老人保健施設 | 15.7% |
介護医療院 | 1.4% |
介護福祉施設(特別養護老人ホーム)は、社会福祉法人(社会福祉協議会を含む)によって95.4%運営されています。反対に専門的な医療ケアやリハビリが必要になる、介護老人保健施設や介護医療院において、社会福祉法人はあまり運営していません。
【株式会社】各介護施設に占める割合を見て特徴を知ろう
株式会社は有料老人ホームやグループホームなど、独自のサービスが提供しやすい施設を運営している傾向にあります。下記の表は、厚生労働省のデータをもとに株式会社が開設する介護施設の割合をまとめたものです。
介護施設の種類 | 株式会社が占める割合 |
介護老人福祉施設 | 0% |
特定施設入居者生活介護 | 69% |
認知症対応型共同介護 | 54.3% |
地域密着型特定施設入居者生活介護 | 48.5% |
株式会社が運営する施設は、住まいを提供する施設よりも訪問介護や通所介護に占める割合が多いです。
どの施設に入所すればよいかわからないという方はケアスル介護がおすすめです。
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リハビリや医療の充実を求めるなら医療法人の介護施設
医療法人が開設する介護施設は、医療ケアが充実しています。リハビリや医療ケアを必要とする方は、医療法人が開設する介護施設を検討するとよいでしょう。医療法人による介護施設は要介護者が対象の場合が多いですが、要支援者を受け入れている施設もあります。
例えば医療法人の開設するサービス付き高齢者向け住宅なら、医療体制が整っており、万が一のときの医療対応に期待できます。リハビリや医療ケアが必要な場合は、まず医療法人が開設する施設からしぼっていくのも一つの探し方です。
医療法人が開設する介護施設は、病院やクリニックとの連携が強く、医療ケアが充実している点が特徴です。また「理学療法士」「作業療法士」が多く配置されているため、リハビリに力を入れている施設が多い傾向にあります。詳しくはこちらをご覧ください。
施設によって異なりますが、24時間体制の医療ケアを必要とする方や自宅復帰を目指したリハビリが必要な方に向いているでしょう。ただし、介護老人保健施設・介護療養型医療施設・介護医療院は、要介護1以上の方しか利用できません。詳しくはこちらをご覧ください。