幼老複合施設とは?高齢者が利用するメリット・注意点や利用条件を解説

幼老複合施設とは?高齢者が利用するメリット・注意点や利用条件を解説

「幼老複合施設ってなんだろう?」と疑問に思っている方もいるでしょう。

幼老複合施設は、保育園とグループホームなど児童向け施設と高齢者向け施設が一体となりサービスを提供する施設です。高齢者の利用には、一般的な介護施設では得られない数多くのメリットがあるとされています。しかし、利用時には注意すべき点もいくつか存在します。

この記事では、幼老複合施設の概要からメリット・デメリットを徹底解説します。利用できる施設の主な種類や利用条件なども併せて紹介するので、利用を検討している方は参考にしてくださいね。

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株式会社スターコンサルティンググループ 代表取締役
専門分野:介護事業経営

株式会社JTBで企業、自治体の海外視察を担当後、大手コンサルティング会社の株式会社船井総合研究所に入社。介護保険施行当初、自ら介護事業に特化したグループを立ち上げ、マネージャーとして勤務。その後、介護サービスに特化したコンサルティング会社「株式会社スターコンサルティンググループ」を立ち上げ、専門家集団として活動している。サポート領域としては、介護施設の開設から集客(稼働率アップ)、採用、教育研修システム・評価制度の導入、DX化などを幅広く支援。「日本一」と呼ばれる事例を、数々生み出してきた。コンサルティング実績500法人以上、講演実績700回以上。また「ガイアの夜明け(テレビ東京)」など、テレビ、新聞、雑誌の取材も多い。詳しくはこちら

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幼老複合施設とは

幼老複合施設とは、保育園などの児童向け施設とグループホームなどの高齢者向け施設を併設した施設です。施設によって「グループホームと保育園」や「デイサービスと学童保育」など、さまざまな組み合わせがあります。

幼老複合施設は、国が推進する「地域共生社会」の実現に向けた取り組みの一つとして設立が進んでいる施設です。地域共生社会とは、子どもや高齢者・障がい者を含めたすべての方が支え合いながら活躍できる社会を指した言葉。これまでは、子ども・高齢者・障がい者それぞれに対し、必要な施設を作りサービスを提供してきました。しかし、高齢化社会が急速に進行している日本では、日を追うごとに福祉ニーズが複雑化しています。

さらに介護の担い手不足や親族・地域とのつながりが弱まっているといった現状もあり、すべての方が安心して過ごせる社会にするためには現状の公的な福祉サービスだけでは対応が困難になってきているといわれています。そのため、人と人とのつながりを強化し支え合える環境づくりの構築を目的に「地域共生社会」の取り組みが推進され始めているのです。

幼老複合施設の大きな特徴は、合同イベントの開催やレクリエーションを通じて日常的に高齢者と子どもが交流できる点です。高齢者は子どもとの関わりの中で生きがいを見い出し、子どもは学校では身に付かないマナーなどを学べるといった魅力があるといわれています。

宅幼老所の違い

幼老複合施設と似たものに「宅幼老所」があります。「宅幼老所」はデイサービスや小規模多機能型居宅介護といった高齢者向け施設と一時預かりや保育所などが一体となった施設です。

幼老複合施設と同様、地域共生社会の実現に向けて推進されている施設でもあります。両者の大きな違いは、規模の大きさです。幼老複合施設は規模の小さなものから大きいものまでさまざまですが、宅幼老所は小規模な施設の中でサービスの提供が行われています。

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幼老複合施設を高齢者が利用する3つのメリット

幼老複合施設を高齢者が利用し、乳幼児、児童と交流するメリットには、主に以下の3つが挙げられます。

  1. 生きがいを見いだしていきいきと生活できる
  2. 脳の活性化が期待できる
  3. 活動量が増える

上記について、詳しく見ていきましょう。

生きがいを見いだしていきいきと生活できる

高齢者は加齢にともない身体機能の低下、配偶者や友人との死別、子どもの独立や定年退職による社会的役割の喪失など、さまざまな喪失体験をします。これにより、高齢者には精神機能の低下がみられやすいといわれています。

高齢者が喪失体験を経たあとも精神を健康に保ち元気に過ごすためには、社会参加の機会を持ち生きがいや役割の見い出しが必要です。

幼老複合施設では、普段は中々交われない無邪気な子どもとの関わりを持てます。これにより、高齢者の心の中に「子どもを守り育てなければ」といった役割意識が芽生えやすく生きがいにもつながるとされています。

そのため、幼老複合施設にいるだけで自然と笑顔が増えいきいきと過ごせるようになるでしょう。

脳の活性化が期待できる

幼老複合施設では、子どもたちが元気に動き回っている姿を身近で確認できる機会が増えます

これにより、高齢者も周囲への気配りや目配りをする必要が出てきます。また、レクリエーションなどさまざまな活動を通じて、普段の生活ではあまり使われない身体機能の活性化も期待できるといわれているのです。

さらに子どもたちがいるため、コミュニケーションの機会も増えやすいとされています。これにより、脳の活性化も期待できるといわれています。

活動量が増える

一般的な高齢者向け施設でも、活動量を増やすためにレクリエーションなどは設けられています

しかし、精神機能の低下による意欲・集中力の低下などにより活動に中々参加したがらない方もいるようです。

その点、幼老複合施設では高齢者だけでなく子どもたちと関わりながら活動が進められます。

子どもたちに昔の遊びを教えたり、時には子どもたちから教わったりして過ごす時間は高齢者にとって新鮮かつ楽しいものであり、活動量の増加が期待できます。

幼老複合施設を高齢者が利用する2つの注意点

幼老複合施設にはさまざまなメリットがありますが、利用の際には注意が必要な点が2つあります。

  1. 子どもとの交流によりトラブルが発生しやすい
  2. 感染症にかかりやすい

上記について、順を追って詳しく解説します。

子どもとの交流によりトラブルが発生しやすい

判断力の低い子どもが一緒の空間にいると、さまざまなトラブルの可能性があります

まず、動き回る子どもによって高齢者が転倒しケガをする可能性が挙げられます。また、高齢者の薬を子どもが誤って飲んでしまう危険性もあるでしょう。

さらに高齢者の認知機能低下により、子どもとのコミュニケーションでトラブルを抱える可能性もあります。高齢者と子どもの交流には、細やかな目配りや気配りが大切です。

感染リスクが高齢者限定施設より高い

高齢者や子どもは、免疫機能が低いとされています。そのため、どちらかが風邪などにかかっていた場合、交流する機会を持てば簡単に感染が拡大する可能性があります

一般的な施設には子どもがいないので、幼老複合施設の方が感染症にかかるリスクは高いといえるでしょう。

高齢者はストレスを生じたときの対応能力低下により、少しのストレスでも病気や機能低下を及ぼすといわれています。弱った状態から元に戻すための回復機能も低下しており、感染すると重篤化する恐れもあります。そのため、徹底した感染症対策が重要です。

幼老複合施設以外の高齢者向けの施設には主に3種類ある

幼老複合施設の高齢者向け施設には、主に以下のような種類があります。

  • 認知症グループホーム
  • 特別養護老人ホーム
  • デイサービス
  • 小規模多機能施設
  • 高齢者福祉センター など

ここからは、上記の中から「認知症グループホーム」「特別養護老人ホーム」「デイサービス」の3つをピックアップしてそれぞれの特徴を解説します。

認知症の方が共同生活を送る「グループホーム」

認知症の診断を受けた高齢者が、少人数での共同生活を送る施設です。

一般的に5~9人といった少人数で1つのグループを形成し、共同生活を行います。家庭のような落ち着いた雰囲気なので、認知症の方も穏やかに安定した生活を送れるようになります。

ただ、グループホームには看護師の配置が義務付けられていません。そのため、施設によっては看護師が在籍しておらず、医療的なケアを行ってもらえないケースもあるようです。医療処置などが必要な方は、特に注意が必要です。

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自宅での生活が困難になった方が入所する「特別養護老人ホーム」

特別養護老人ホームは、公的な介護施設の一つです

自宅での生活が難しくなった要介護3以上の高齢者を対象に、介護を提供しています。在宅復帰ができるよう、入浴や食事などの日常生活支援・機能訓練などを提供しています。

看取りにも対応しているため、終の棲家としての利用も可能です。ただし有料老人ホームよりも安い費用で入所できるため、申し込みをしてから入所までに数年かかるといった待機者問題も発生しているようです。利用の際には、いつ頃から入所できるのか確認するとよいでしょう。

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日帰りで介護を受けられる「デイサービス」

通所介護ともよばれる、日帰りで介護を提供する施設です。要介護状態となった方が、できる限り自宅で自立した生活を続けられるよう入浴・排泄・食事の介護・機能訓練などを提供しています。

特に自宅での入浴が困難な方にとっては、よい気分転換になるでしょう

また、デイサービスによっては利用者が楽しく過ごせるよう、書道や生け花などさまざまなプログラムも用意されています。

普段は自宅に引きこもりがちな方でも、プログラムを通じてほかの方と自然に交流できるので、孤立感の軽減につながるとされています。

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幼老複合施設を高齢者が利用する際に必要な条件

高齢者向け施設と児童向け施設が一体となった「幼老複合施設」ですが、高齢者であればどなたでも利用できるわけではありません。利用には、一定条件のクリアが必要です。

また、必要な条件は利用する施設の種類によっても異なります。ここでは前項で紹介した、グループホーム・特別養護老人ホーム・デイサービスの3つに焦点をあて利用条件を紹介します。

グループホームの入所条件

入所には以下の条件を満たす必要があります。

  • 65歳以上の方
  • 要支援2もしくは要介護1以上の方
  • 認知症の診断を受けた方
  • 集団での生活が問題なく送れる方
  • 施設と同じ自治体内に住民票がある方

上記に挙げた条件をすべて満たしていれば、生活保護受給者でも問題なく入所できます。現時点で施設と異なる自治体に住所がある場合には、住民票を移して生活保護の再申請が必要になるので注意しましょう。

グループホームによっては、医療機関での常時治療が必要ない、感染症を持っていないといった別の条件が加わっているケースもあります。入所の際は、条件について施設へ問い合わせるとよいでしょう。

特別養護老人ホームの入所条件

続いて、特別養護老人ホームへの入所条件を紹介します。入所には、以下3点のいずれかに該当する必要があります。

  • 65歳以上で要介護3以上の認定を受けている方
  • 40~64歳で特定疾病が認められた要介護3以上の方
  • 一定の条件を満たした要介護1~2の方

介護度の重い方のサポートや保護が優先されるため、入居条件は厳しくなっています。

特定疾病は「要介護状態の原因となる心身の障害を生じさせる」と厚生労働省が示している16種類の疾患を指します。該当する病気には、末期がん・関節リウマチ・筋萎縮性側索硬化症(ALS)などがあります。

また、本来入所には要介護3以上が必須ですが、以下に該当するケースでは要介護1~2でも入所可能です

  • 認知症であり生活の中で支障をきたす行動や症状がある
  • 認知症であり頻繁に意思疎通できない状況である
  • 家族などによる深刻な虐待の疑いがあり、心身の安全確保が難しい
  • ひとり暮らしもしくは同居家族による支援が厳しい
  • 精神障害や知的障害などで生活に支障のある症状や行動が頻繁にみられる

ただし、認知症が進行し他者へ危害を加える可能性がある場合には、上記に該当していても入所を断られる可能性があります。感染症を持っている方も、受け入れを拒否される可能性が高いです。

また、看護師の24時間配置が義務付けられていないため、1日中なんらかの医療ケアが必要な方の入所も困難とされています。利用したい方は、まず施設へ問い合わせてみましょう。

デイサービスの利用条件

デイサービスは、以下の条件を満たさなければ利用できません。

  • 65歳以上で要支援・要介護認定を受けている方
  • 40~64歳で特定疾病に該当する方

まずは、市区町村の役所にて介護保険の申請手続きを行いましょう。また、40~64歳でも特定疾病(末期がん・関節リウマチ・筋萎縮性側索硬化症・骨折をともなう骨粗鬆症・初老期における認知症など)に該当する方は利用できます。

デイサービスは、特養や介護付き有料老人ホームのような施設サービスに介護サービスが付随していない住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、ケアハウスなどの入居者でも 利用することができます。

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幼老複合施設の交流事例

幼老複合施設にて、子どもと高齢者がどのように関わるのか気になる方も多いでしょう。ここからは、幼老人複合施設での実際の交流事例を紹介します。

幼老複合施設と呼ばれていますが、一日中子どもと一緒に過ごすわけではありません。施設によって違いはありますが、主に以下のような形で交流が図られています。

  • 季節に関するイベント(子どもの日・たなばた会・納涼会・クリスマス会・運動会など)の合同開催
  • 誕生日会の開催
  • レクリエーション活動と称して共同作業を行う

子どもの日や敬老の日を合同で祝えるのは幼老複合施設ならではです。

イベント以外でも一緒に体操をする・絵を描く・料理を作るなど、レクリエーション活動と称してさまざまな共同作業が行われています。さらに、寝かしつけや着替えなど子どもたちの世話をするといった形での交流も図られているようです。

幼老複合施設にて子どもとの関わりを持とう

今回は幼老複合施設について概要からメリット・デメリット、入所条件まで解説しました。幼老複合施設は、保育園などの児童向け施設と高齢者向け施設を一体化させた施設です。

一般的な高齢者向け施設とは違い、子どもと交流できる点が大きな魅力です。子どもとの関わりを通じて、生きがいを見いだせたり活動量が増えたりといった効果も期待できます。ただその一方で、トラブルや感染症が発生しやすいといったデメリットもあるようです。また、高齢者であれば誰でも利用できるわけではありません。利用する高齢者向け施設によって、利用条件は大きく異なります。

幼老複合施設へは、利用前に問い合わせを行うとよいでしょう。在宅での介護が難しくなってきた方は、一般的な介護施設だけではなく幼老複合施設への入所も視野に入れてみてはいかがでしょうか。

幼老複合施設とはなんですか?

保育園や学童保育などの児童向け施設とグループホームや特別養護老人ホームなどの高齢者向け施設を併設した建築物です。一般的な介護施設と異なり、保育園にいる子どもと一緒に遊んだり、季節の行事を行ったりなど交流できる点が魅力となっています。詳しくはこちらをご覧ください。

幼老複合施設と宅幼老所の違いはなんですか?

宅幼老所は、幼老複合施設の一種です。小規模かつ家庭的な雰囲気の中で高齢者・障がい者・子どもそれぞれの生活リズムに合わせてサービスを提供する施設となっています。デイサービス・小規模多機能型居宅介護と一時預かりや保育所などが一体となっているのが特徴です。詳しくはこちらをご覧ください。

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