「老健の費用を調べてみたけど、何にどのくらい支払う必要があるか分からない」「月額費用の内訳が知りたい」というお悩みを持っている方はいませんか?
この記事では、老健の費用内訳や、月額費用以外に発生する準備金などの目安も詳しく解説していきます!

老健の費用内訳は?
老健の1か月あたりの費用目安は8~15万円ほどです。
老健は社会福祉法人や行政が運営する施設であり、民間企業が運営する施設と異なり初期費用がかかりません。
- 居住費
- 食費
- 介護サービスの自己負担額
- 介護サービス加算費用
毎月の費用については、上記の4点を合算したものです。
それぞれの費用は施設ごとではなく①本人の介護度②入居する居室③世帯所得および預貯金がいくらかによって異なります。
ここでは、費用の内訳と各項目の細かい解説をしていきます。
老健費用の内訳①:居住費
まず、支払いの大半を占めるのが「居住費(部屋代)」です。
居住費は、以下の条件などで自己負担額が異なります。
- 介護度
- 利用者負担割合
- 入所する介護老人保健施設が「従来型」「ユニット型」か
- 「多床室」か「個室」か
- 「基本型」か「在宅強化型」か
いくつか表にまとめましたので、家族の介護度と確認しながらご覧ください。(※あくまで基本的な施設サービス費の一例です。)
【「ユニット型」「個室」「在宅強化型」の1ヶ月(30日)の施設サービス費】
介護度 | 1割負担の場合 | 2割負担の場合 | 3割負担の場合 |
---|---|---|---|
要介護1 | 24,660円 | 49,320円 | 73,980円 |
要介護2 | 26,880円 | 53,760円 | 80,640円 |
要介護3 | 28,740円 | 57,480円 | 86,220円 |
要介護4 | 30,420円 | 60,840円 | 91,260円 |
要介護5 | 32,070円 | 64,140円 | 96,210円 |
【「従来型」「多床室」「基本型」の1ヶ月(30日)の介護サービス費】
介護度 | 1割負担の場合 | 2割負担の場合 | 3割負担の場合 |
---|---|---|---|
要介護1 | 23,130円 | 46,260円 | 69,390円 |
要介護2 | 24,570円 | 49,140円 | 73,710円 |
要介護3 | 26,400円 | 52,800円 | 79,200円 |
要介護4 | 27,930円 | 55,860円 | 83,790円 |
要介護5 | 29,520円 | 59,040円 | 88,560円 |
上記は基本的な施設サービス費のみ計算した例で、施設の状況に応じて変わります。基本的に「介護度が高い=寝たきりに近く介助量は増える」ので利用料は高くなるでしょう。
また、入所している介護老人保健施設が「従来型」「ユニット型」「在宅強化型」かにより、利用する料金は異なります。利用者負担額は、所得に応じて1割〜3割となっています。
所得条件については話がそれてしまうので割愛します。自分の負担額については、お手元の「介護保険負担割合証」をご覧ください。
世帯全員が住民税非課税で収入や預貯金等が以下の条件を満たしている方を対象に、居住費と食費の負担額が軽減される制度です。特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)では、所得状況に応じ1〜4段階の減免が受けられます。
対象者:
- 生活保護受給者、老齢福祉年金受給者で預貯金等の金額が1,000万円(夫婦併せて2,000万円)以下
- 年金収入(非課税年金額含む)額とその他の合計所得金額の合計が年間80万円以下で預貯金等の金額が650万円(夫婦併せて1,650万円)以下
- 年金収入(非課税年金額含む)額とその他の合計所得金額の合計が年間80万円を超え120万円以下で預貯金等の金額が550万円(夫婦併せて1,550万円)以下
- 年金収入(非課税年金額含む)額とその他の合計所得金額の合計が年間120万円を超で預貯金等の金額が500万円(夫婦併せて1,500万円)以下
それぞれの負担限度額は以下の通りです。
部屋タイプ | 本来の利用料 | 負担限度額: 対象「1」 |
負担限度額: 対象「2」 |
負担限度額: 対象「3、4」 |
---|---|---|---|---|
多床室 | 11,310円 | 0円 | 11,100円 | 11,100円 |
従来型個室 | 50,040円 | 14,700円 | 14,700円 | 39,300円 |
ユニット型個室的多床室 | 50,040円 | 14,700円 | 14,700円 | 39,300円 |
ユニット型個室 | 60,180円 | 24,600円 | 24,600円 | 39,300円 |
※30日で計算
なお、申請は、市区町村の窓口で行います。担当のケアマネジャーに相談するのが良いでしょう。
老健費用の内訳②:食費
次に負担となるのが食費です。介護老人保健施設では食材費や調理費として食費が掛かります。
令和3年8月の介護報酬改定により、介護老人保健施設(老健)の食事提供に要する費用については、「基準費用額を1,380円とする」としており、大半の施設は基準費用額と同額に設定しています。
多くの場合は、1日3食のうち欠食があれば、その費用を差し引いて請求していますが、施設によっては厨房の維持費・人件費として請求するところもありますので、事前に確認しておきましょう。
なお、老人保健施設の食費は、前述した「医療費控除」の対象となります。また、「特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)」も適応になっています。
食費の負担限度額は以下の通りです。
種別 | 本来の利用料 | 負担限度額:対象「1」 | 負担限度額 対象「2」 |
負担限度額 対象「3」 |
食費 | 43,350円 | 9,000円 | 11,700円 | 19,500円 |
参考:厚生労働省「居住費・食費基準額の改定について」
老健費用の内訳③:日常生活費
老健では洗濯代や理美容代、電話・新聞雑誌代などが「その他の日常生活費用」として必要となります。その他費用の単位項目は施設によっても異なりますが、利用した分だけ実費を負担することとなっています。
おむつ代やおむつカバー代、おむつ洗濯代などのおむつ関連費用はサービス料に含まれているので、別途請求されることはありません。また、薬代は老健の負担となりますが、高額な薬を服用している場合は自己負担となる可能性があることに注意しましょう。

老健費用の内訳④:介護サービス費
老健でかかる介護サービス費とは、毎月定額でかかる費用で介護・医療サービスを受ける際にかかる介護保険の自己負担額です。要介護度が高くなるほど費用も高くなることに注意しましょう。
居室と同じように介護サービス費も入所する部屋のタイプによって異なることに注意しましょう。
また老健では、介護保険で賄えない範囲のサービスを全額自己負担で受けることができます。このようなサービスを介護保険適用外サービスと呼び、以下のようなサービスがあげられます。
サービス | 内容 |
---|---|
買い物代行サービス | インターネットを利用した日用品などのネットショッピングや、趣味や娯楽のための買い物を職員などに代行して頼むことができるサービス |
リハビリサービス | 入居者1人1人の身体の状態に合わせた外部委託型の個別リハビリケアができるサービス |
運動・介護予防サービス | ヨガや専門的な運動プロがグラムを受けることができる介護保険外サービスで、介護予防につながるサービス |
働き手・就労機会の提供サービス | 希望すればボランティアで働けたり、給与をもらいながら働くことができる介護保険外サービス |
旅行・外出支援サービス | 要介護でも障害があっても、旅行や外出の支援をしてくれるサービス |
美容・理容・整容サービス | 訪問型の美容・理容・整容サービスで、要介護・要支援でも自立の状態と同様の理美容サービスを受けることができる |
認知症ケアサービス | 認知症予防を目的とした認知機能改善プログラムなどを提供するサービス |
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月額費用以外でかかる費用はある?
介護施設へ入居する場合、初期費用や月額費用だけではなく、様々な費用がかかります。
ここでは、月額費用以外にかかる費用について解説していきます。
引越し・転居費用
自宅から介護施設へ引越しをする場合や、介護施設から介護施設へ転居をする場合、荷物の運搬が必要です。
介護施設への引越しや転居は、シニアパックや不用品回収サービス・退去時の清掃を追加で用意している引越し業者の利用がおすすめです。
シニア世代の引越し平均相場は36,082円ですが、荷物を減らしたり引越し時期をずらすことで費用を抑えることが可能です。
生活用品の購入
施設へ入居するにあたり、パジャマや洗面用具などの衛生用品や、必要であれば電気ケトルや食器類などの生活用品を購入する必要があります。
1章の費用内訳で解説した日用品以外に、入居時に必要な生活用品を一式そろえる際にもお金がかかります。
施設への転居や入居時に必要な持ち物については、こちらの記事をご覧ください。
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よくある質問
医療費は月額費用に含まれる?
老健に入所している際に行う医療ケアや薬代は基本的には施設の持ち出しとなるため、基本的に医療費ははかかりません。
ただし、法律によって「不必要に入所者のために往診を求め、または入所者を病院もしくは診療所に通院させてはならない」と定められている※ので、入所中に施設に相談せずに外部の医療機関を受診した場合は全額自己負担となります。
レントゲンやCTなど併設や外部の医療機関でしか受診できないと認められた場合は医療保険を適用することが出来ますが、基本的には老健に入所中は医療保険と介護保険の併用はできないと考えてよいでしょう。(※参考:厚生労働省「介護老人保健施設入所者に係る往診及び通院(対診)について」)
薬代が高額だと入所できないことがある?
老健に入所中にかかる医療費や薬代は施設側が負担することは前に述べた通りですが、逆に薬代が高額な場合は老健への入所を拒否されることもあります。入所前にかかりつけ医に相談して薬を変更してもらったり、ジェネリック医薬品に変更できないか事前に相談しておきましょう。



老健の費用内訳まとめ
老健の月額費用内訳は、以下の4つを合算したもので、月額費用の目安は8~15万円ほどです。
- 居住費
- 食費
- 介護サービスの自己負担額
- 介護サービス加算費用
介護保険範囲外のサービスを利用した場合は、全て自己負担になりますので注意しましょう。