「はじめて老人ホームに引っ越すけれども、手続きとか必要なものがよくわからない…」
老人ホームの引越しは普通の引越しと異なり、戸惑う方も多いと思われます。
本記事では、老人ホームへ引越しするときの流れを解説します。また、引越しに関してよくある質問にも回答しますので、スムーズな引越しのためにぜひ参考にしてください。
老人ホームへ引越しをする流れ
自宅から老人ホームへ引越しをする際には、以下の流れに沿ってスムーズに行いましょう。
- 入居手続きと入居日の決定
- 引越しの準備
- 引越し当日
上記の引越しの流れについて、順に詳しく解説していきます。
入居手続きと入居日の決定
老人ホームの入居日は、施設側と入居契約を締結するときに決めます。引越しの準備などを考慮して、無理のないスケジュールで決めましょう。
もし施設を決めていないようであるならば、まずは施設見学や体験入居を行い、居室や生活イメージをつけておきましょう。居室内に家具が付いていることもあるため、施設職員に許可を取った上で居室を写真などに収めておくと良いでしょう。
入居申し込み後は施設側と面談を行い、入居審査に問題がなければ入居契約を結びます。契約締結は施設側が作成した契約書と重要事項説明書に沿って行われます。重要事項説明書には住み替えや入退去に関わる条件などが記されているため、あらかじめしっかり確認しておきましょう。
なお、入居手続きに関しては特別養護老人ホームや有料老人ホームであっても基本的には同じです。病院から引っ越すなどの特殊なケースであれば、施設側に確認しましょう。
引越しの準備
契約締結時に決めた入居日に向けて、引越しの準備を行いましょう。
荷物の整理については、極力少ない方がいいですが、入居する本人の思いを尊重して決めましょう。「思い入れのあるもの」や「愛着のあるもの」など、本人の意思に沿って整理を行いましょう。
ただし、あまりにも持て行きたいものが多すぎて、本人だけでは荷物の整理が進まないこともあります。荷物が多すぎると引越しの手間になるのみならず、居室内に入りきらないことになりかねません。折り合いをつけて荷物の整理を行いましょう。
施設によって必要となるものが異なりますが、施設内で買うよりも出費を抑えられるようであるならば、前もって用意しておくと良いでしょう。また、テレビや冷蔵庫などが既に居室内に備わっている場合は、施設側から持ち込みを断られることもあります。
また自宅に残った不用品や家(不動産)をどうするかについては、本人や親族と検討した上で決めましょう。家具は処分するのか、トランクルームなどに預けるのか。また不動産は売却するのかなど、本人としっかり話し合うことが大切です。
引越し当日
引越し当日は前もって施設側に連絡を入れ、荷物の運搬を行います。
クローゼットや机などが備え付けてある居室であれば、衣服や日用品などそこまで大荷物にはならないため、自家用車やレンタカーで運ぶこともできるでしょう。
もし大きな家具やベッドがあり、家族だけでは運びきれないならば、引越し業者に頼むことでスムーズに行えます。企業によっては介護施設への引越しプランを用意している業者もあります。
また、引越しの際には他の入居者にご迷惑をかけないよう、静かに行いましょう。運搬時に施設内の壁や床を傷つけてしまうと、補償問題になることがあります。
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老人ホームへ引っ越すときによくある質問
本章では、老人ホームへ引越しをするときによくある質問をまとめています。
老人ホームに何を持っていけばいいですか?
老人ホームに最低限持っていくものは、下記の通りです。
- 衣服(普段着・外着)
- 下着・おむつ
- 靴(外履き・内履き)
- タオル・シーツ類
- 洗面用具(歯ブラシなど)
- 衛生用品(爪切りなど)
- 日用品(ティッシュやトイレットペーパー)
- 眼鏡(老眼鏡)
- 衣装ケース
- 保険証・診察券
- 車椅子・杖
入居時に必要な荷物は、施設からもらう書類に記されています。まずは書類に沿って荷物を用意しましょう。歯磨き粉や日用品については施設側が提供してくれることもあるため、無駄な出費にならないよう気を付けましょう。
また、必ずしも必要ではないですが、下記のものを持っておくと便利です。
- 娯楽用品
- 本・雑誌
- 保湿ケア用品(化粧品など)
- 手鏡
- 加湿器
- 電気ケトル
- 食器類(プラスチック製)
人によっては新品のものよりも使い慣れたものの方が良いと希望することもあるため、本人の思いを尊重して荷物を決めると良いでしょう。
老人ホームに家具を持ち込めますか?
あまりに大きなものでなければ、老人ホームに家具を持ち込むことができます。ただし、テレビや冷蔵庫などが既に備わっていることがあるため、あらかじめ持っていく必要があるか確認しておきましょう。
基本的にはクローゼットが備えてある居室は多いです。衣服は概ね1週間分必要になるため、下着類を入れる衣装ケースやタンスを別途用意すると良いでしょう。
ベッドが備え付けられてなければ、持ち込む必要があります。起き上がりやすさや使いやすさを考慮して、介護ベッドを検討してみましょう。また、介護ベッドはレンタルも行っているため、本人の状況に合わせて考えておくと良いでしょう。
電気ケトルなどの電化製品を持ち込むときには、レイアウトやコンセントの位置を把握しておきましょう。
なお、大きな家具を持ち込む際には、安全性の高いものを選びましょう。高齢になると転倒の不安から家具を支えにすることがあり、家具が軽いと一緒に転倒してしまう可能性があります。
老人ホームに持っていけないものはありますか?
老人ホームに持っていけないものは、主に下記のようなものが挙げられます。
- 刃物類
- 火気器具
- 貴重品(貴金属や宝飾品)
- 車や自転車
包丁やナイフなどの刃物類、電子レンジやライターといった発火の恐れがあるものは基本的に持ち込み禁止としています。
また、施設内でのトラブル防止や管理の観点から、アクセサリーなどの貴重品の持ち込みを遠慮することがあります。結婚指輪など本人がこだわるようであれば、一度施設に確認してみましょう。
いらない家具はどうすればいいでしょうか?
老人ホームに持っていけない家具については、本人としっかり話し合って、処分するか残しておくのか検討しましょう。
入居する本人が家族と一緒に住んでいる場合は、家具を家族が使い続けられますが、一人暮らしをしている場合は処分するのか、親族で利用するのか決める必要があります。
まだ使えそうなものや、捨てるのが躊躇われるようであるならば、一旦トランクルームに預けるという手もあります。料金は地域や大きさによって異なりますが、屋外型であれば数千円から2万円程度で利用することができます。
また、処分以外にもリサイクルや売却するという手もあります。ただし、あくまでも本人の意見を聞いてから決めることが大切です。
引越しは業者に任せた方がいいでしょうか?
引越し業者に任せるメリットは、運搬時のリスクを大幅に削減できることです。企業によっては高齢者向けのプランを用意している業者もあります。
老人ホームに持っていく荷物は、日用品や衣服類が大半であるため、荷物の量によっては自家用車やレンタカーで運ぶことも難しくありません。
しかし、運搬時に施設内の床や壁を傷つけてしまった場合、補償問題につながってしまいます。居室内であっても、退去時には原状回復費用が掛かるため、引越しによる破損は避けたいものです。
引越し業者に任せれば、運搬のプロに荷物を任せることができるため、スムーズに引越しを行うことができます。追加料金を支払えば、不用品回収や退去時の清掃も行ってもらえる業者もあります。
ベッドなどの大きな荷物がある、家族だけで運搬は大変であれば、引越し業者に任せることも検討しましょう。
元々住んでいた家はどうすればいいだろうか?
入居する本人が一人暮らしであった場合、残った不動産をどうするか、あらかじめ親族とともに話し合うことが大切です。
不動産を売却して老人ホームの支払いに充てるなどの目的があれば、早めに不動産査定会社等に相談しましょう。
場合によっては、正月やお盆などは自宅に帰りたいと本人が希望することもあるかもしれません。すぐに手放さないようであれば、相続などについても早めに確認しておくと良いでしょう。
老人ホームに住民票を移すべきでしょうか?
老人ホームに入居する際には、基本的には住民票を移します。施設によっては住民票の移動を義務付けているところもあります。
住民票を移動することで郵便物が直接利用者に届くのみならず、自治体からの郵便物も老人ホームに届くため、介護保険関係の手続きを代理で行ってくれるところもあります。
なお、住民票の移動により介護保険料が高くなってしまうことがあります。その場合には、住民票を移しても移す前の市町村が引き続き保険者となる仕組みとして、住所地特例制度があります。気になる方は一度調べてみると良いでしょう。
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施設から施設へ引っ越すことはできるの?
結論から言うと、施設から施設へ引っ越すことはできます。ただし、自宅から引っ越すのと異なり、以下に3つに注意することが大切です。
- 退去理由を明確にする
- 契約書を確認する
- 金銭に関することを確認する
老人ホームから特養へ移るなど、他の施設へ転居を希望する方は多いです。上記について詳しく解説していきます。
退去理由を明確にする
他の施設に引っ越す前に、今の施設では何が納得できず、また転居先の施設ならば何を解決したいのか明確にしましょう。
今の老人ホームでは介護サービスが不十分である、毎月の料金が負担になっている、人間関係でトラブルがあったなど、まずは不満足な点を明確にすることが大切です。また、次の入居先ではどんな生活を送りたいのか、優先順位をつけておきましょう。
引越しは入居している本人はもちろん、家族にとっても負担がかかります。もし不満点が解消されて、今の施設に住み続けられるのであれば、転居の負担はありません。
引越し先の生活も考慮しつつ、なぜ今の施設から転居したいのか、施設職員やケアマネジャーと相談して決断しましょう。
契約書を確認する
施設を退居するにあたり、施設側が作成した契約書と重要事項説明書を改めて確認しておきましょう。
前述の通り、重要事項説明書には事業主体概要やサービス内容の他、退居に関する取り決めや退居に伴う実費精算などの規定が明記されています。
退居するには、退去予定日の1~3ケ月前に解約手続きをすることが一般的です。退去手続きを行ってしまうと、具体的な退居の日取りが決まってしまうため、施設から施設へ引越しを希望するならば、先に入居できる施設を探しておくと良いでしょう。
金銭に関することを確認する
施設を退居するにあたり、入居一時金の返還や原状回復の費用負担など、金銭に関することを確認する必要があります。
老人ホームに入居一時金をを支払った場合、入居一時金が返還されることがあります。金額は施設が定めた「初期償却金」と「償却期間」によって金額が変ります。返還金の計算方法は重要事項説明書の「前払金の取扱い」等で明記しています。
なお、入居一時金は契約後90日以内であれば、クーリングオフが適用されるため全額返還されます。
原状回復の費用負担とは、入居者が故意につけた傷や過失がある場合、退居する前の状態に戻す費用を負担することです。経年劣化や元々ついていた傷などは負担する必要はないですが、原状回復の範囲でトラブルが起きることは多いです。
施設側と金銭面でトラブルにならないためにも、前もって契約書やガイドラインを確認しておきましょう。
もし「新しく施設を探したい」という方は、ケアスル介護で相談してみることがおすすめです。
ケアスル介護では施設の紹介だけでなく、見学や体験入居の申し込みや日程調整の代行も実施しています。
「本人のために安心して老人ホームを選んであげたい」という方も、まずは無料相談からご利用ください。
ピッタリの施設を提案します
老人ホームへの引越しはスムーズに行いましょう!
本記事では、老人ホームへ引越しするときの流れを解説しました。普通の引越しと異なり、いくつか留意点があるため、本人や親族でしっかりと話し合って引越しの準備を進めていきましょう。
企業によっては介護施設への引越しをサポートするプランを用意している業者もあります。家族だけで引越しをするには大変であれば、引越し業者に依頼することも検討しましょう。
また、施設から施設へ引越しを希望している場合には、施設側とトラブルにならないよう契約書や重要事項説明書を確認しておくことが大切です。
老人ホームへの引越しはスムーズに行い、快適なシニアライフを送りましょう!
荷物の量などを考慮して検討しましょう。企業によってはシニアパックを用意しており、不用品回収サービスや退去時の清掃を追加でしてくれる業者もあります。詳しくはこちらをご覧ください。
可能です。退去の際に今の施設とトラブルにならないためにも、契約関係をあらかじめ確認しておきましょう。詳しくはこちらをご覧ください。