老健(介護老人保健施設)は医療保険が使えない?老健の特徴と医療体制について徹底解説

老健(介護老人保健施設)は医療保険が使えない?老健の特徴と医療体制について徹底解説

老健とは、公的な介護保険施設のひとつで、病状が安定している要介護の高齢者に、医師による医学的管理のもと、看護・介護・リハビリ等の自立支援サービスを提供している施設です。入所後は在宅復帰を目指して理学療法士や作業療法士による本格的なリハビリが受けられます。

介護老人保健施設は本来の目的に沿って最適な医療ケアを提供できるように、入所の条件や入所後の医療サービスに関して独自のルールがいくつかあります。ここでは、介護老人保健施設の特徴や医療保険が使えない理由についてご説明します。

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シニアライフ・コンサルタント
所有資格:福祉住環境コーディネーター、宅地建物取引士
専門分野:介護全般
職業: 介護全般をテーマに、フリーでセミナー講師、ライター、コメンテーター等

これまで、高齢者住宅の入居相談アドバイザーとして約20,000件以上の高齢者の住まい選びについての相談を受け、日経BP社より共著にて「これで失敗しない!有料老人ホーム賢い選び方」を出版。 また、医療・介護・福祉業界に特化した人材紹介会社にて、介護士や看護師、リハビリ職などの転職支援キャリアアドバイザーにも従事。 利用者・家族・介護従事者の視点を持ち合わせ、「高齢者住宅の選び方」「介護と仕事の両立」など介護全般をテーマとしたセミナーの講師をする傍ら、テレビ・新聞・雑誌などでコメンテーターとして活躍。詳しくはこちら

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老健(介護老人保健施設)で医療保険が使えないのはなぜ?

介護老人保健施設を利用する方は、なんらかの疾患やケガが原因で要介護認定を受けている方がほとんどです。そのため、介護保険と医療保険を併用してすこしでも費用を抑えたいと考えている方が多いと思いますが、日本の法律では介護保険制度と医療保険制度は併用できません

入所される方が介護サービスと医療行為のどちらも必要な場合であっても、介護保険制度が優先されるので医療保険は併用できません。これだけを聞くとなんだか損をしている気分になるかもしれませんが、医療保険が適用できないからといって損をしている訳ではないのです。

介護保険制度の自己負担額が1割なのに対して、医療保険制度は2~3割です。つまり、実際にはきちんと自己負担額が減っているのでご安心ください。

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老健(介護老人保健施設)に入所中の医療費は?

介護老人保健施設に入所している間は、原則として医療サービスは介護保険が適用されるため、適用範囲を超えないかぎりは原則として医療費を自己負担する義務はありません。ただし、介護老人保健施設が負担しない費用や自費扱いになるケースもありますので、確認しておきましょう。

ここでは、老健で医療ケアを受けた際の費用や、医療保険が適用される例についてご紹介します。

医療費は原則として老健が負担する

原則として、介護老人保健施設に入所している間に発生する診察や薬の処方などの医療費は、全額施設側が負担することになっています

外出・外泊していた場合においても同様です。勝手に別の医療機関を受診してしまうと全額自己負担になることがありますので、必ず事前に老健の医師に相談して許可を得てからにしましょう。

老健が負担しないケース(医療保険が使えるケース)

原則として医療費は老健が負担しますが、レントゲンやCTスキャンなど医療ケアに必要な検査や歯科診療などを外部や併設された医療機関で受ける場合は、医療保険が適用されます

もしも入所している方が外部の医療機関を受診し受信しなければいけない状況になった場合、入所している施設に許可を取らずに無断で検査や診察を受けてはいけません。その際は必ず介護老人保健施設の医師に許可を得てから診察を受けましょう。

これらのルールを守らずに受診してしまうと、超過した分の費用を全額請求されたり、最悪の場合は強制的に退所を求められたり、なんらかの不利益が生じてしまいます。本来は払う必要のない無駄な出費が発生してしまうのでご注意ください。

自費扱いになるケース

介護老人保健施設には、「不必要に入所者のために往診を求め、または入所者を病院もしくは診療所に通院させてはならない」というルールがあり、例え外出や外泊中であっても入所期間中に医療機関で検査や治療を受けてしまうと、全額自己負担になることがありますのでご注意ください。

どうしても外部の医療機関への受診が必要になった場合は、必ず老健の医師に相談し、許可を得てからにしましょう。

老健(介護老人保健施設)に入所する際の留意点

老健は、在宅復帰を目指している方にとって理想的なサービスを提供しています。ですが、医療ケアの仕組みについては特養などの施設と異なる部分があるので、入所してから困らないように事前に把握しておきましょう。

これから解説する2つのポイントは、入所を検討するうえでとても重要な内容となっています。これから老健への入所を検討している方はぜひ参考にしてください。

かかりつけ医の診療が受けられなくなる

介護老人保健施設に入所すると、これまでお世話になっていたかかりつけ医の診療が受けられなくなります。老健入所中は衣料保険サービスが利用できないため、入所者の診療は施設に常駐している医師が行わなければいけないと決められています。

そのため、長い間お世話になっていたかかりつけ医がいたとしても、入所後には老健に常駐している医師からの診療しか受けられないことを知っておきましょう。担当医師が変わることに不安を感じる方も多いと思いますが、医師同士でこれまでの診察状況や症状の情報を共有しているので問題はありません。

それでも気になる点があれば、入所相談の際に施設側にお問い合わせください。

希望している薬が処方されない場合がある

介護老人保健施設では医療費は施設側が負担するため、入所前に高い薬を服用していた場合などは、入所後は安価なジュネリック医薬品への変更や薬の処方を制限されるケースがあります。認知症の方に処方されるアリセプトなどは高価で、処方を条件とすると場合によっては入所拒否の理由となることがあります。

今まで服用していた薬は継続して処方してもらえるのか、処方してもらえない場合はどんな代替方法があるのかなど、入所の際にきちんと確認することが大切です。

老健(介護老人保健施設)の医療体制のポイント

老健は在宅復帰を目的として、期間限定のリハビリを中心とした医療・介護サービスを提供しています。

医師を管理者として看護師やリハビリの専門職が常駐していたり、老健内で診察や薬の処方を行ったり、ほかの介護施設とは異なる特徴があります。ここでは、老健ならではの特徴について解説します。

常勤医師がいる

老健入所中は他の医療機関で医療保険サービスが受けられないため、医療・リハビリサービスの提供を目的として医師や看護師、理学療法士、作業療法士、薬剤師などの医療従事者の人員配置に関する決まりがあります。

医師については法律で「入居者100人に対して医師を一人配置しなければならない」と定められています。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のリハビリ専門職も、入所者100人に対して1人以上の配置が義務付けられています。また、薬剤師の配置基準は入所者300人につき1人となっており、薬の処方も施設内でワンストップサービスとなっています。

老健入所中の他科受診は許可が必要

老健は、医療・介護サービスが包括されていることから、入所中は歯科診療やCTなどの検査以外で別の医療機関を受診すること(他科受診)ができません。勝手に受診してしまうと、その分の医療費は全額自己負担になることがあります。

どうしても外部の医療機関への受診が必要な場合は、必ず老健の医師に相談し、許可を得ましょう。

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老健(介護老人保健施設)では原則として医療保険が使えない点に注意しよう

介護老人保健施設では、原則として常勤の医師が入居者の診察や治療を担当し、医療費は施設側が負担すると定められています。したがって、今までお世話になっていたかかりつけ医からの診察を受けられないことや、他の医療機関で医療保険サービスは受けられないなど、いくつかの特徴があります。

入所後は施設側の医師に相談しながら、在宅復帰に向けて本格的なリハビリを受けます。もし服用したい薬や受けたい医療があれば、事前に相談・報告して最適な方法を検討しましょう。勝手に他の医療機関で受診するなどの行為はやめましょう。その後の施設での生活にも影響を与えます。

老健ではどのようなサービスを受けられますか?

老健では、在宅復帰のためのリハビリや日常生活の介助、充実した医療ケアを受けられます。詳しくはこちらをご覧ください。

老健以外のほかの病院で診察を受けても良いですか?

老健入所中、ほかの病院を受診した場合の医療費は老健の負担となります。そのため、老健に相談した上で受診する必要があります。詳しくはこちらをご覧ください。

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