• 在宅介護
  • 【公開日】2021-01-12
  • 【更新日】2023-03-06

お泊りデイとは?利用基準やサービスのメリットとデメリットを解説

お泊りデイとは?利用基準やサービスのメリットとデメリットを解説

自宅で生活する人を対象とした介護保険サービスのことを「居宅サービス」といい、「訪問型サービス」「通所型サービス」「短期入所型サービス」「その他のサービス」があります。

その中の通所型サービスに「通所介護」があり、通称「デイサービス」と呼ばれています。

デイサービスは、自宅から施設に日帰りで通い、食事・排泄・入浴などの介護サービス、レクリエーションや機能訓練などを受けるものです。

合わせて、利用者の孤独感や社会的孤立の解消、介護者の負担軽減を目的に運営されています。

このデイサービス事業所の中に宿泊サービスを行っているところがあり、通称「お泊まりデイサービス」(略して「お泊まりデイ」)と呼ばれています。

お泊まりデイサービスとは、「デイサービス(通所介護)の施設で利用者が日中のサービスを受けた後、そのまま施設に宿泊することができる」というものです。日中のデイサービスは介護保険適用になりますが、お泊まりデイサービスは適用外なので、全額自己負担となります。

お泊まりデイサービスは、特別養護老人ホームへの入居が困難であったり、居宅サービスの「短期入所生活介護」(通称「ショートステイ」)の予約が取りにくいなどの理由から、非常に需要の高いサービスになっていて、お泊まりデイサービスを行っている事業所も多くなっています。

一方で、2015年に厚生労働省が「お泊まりデイサービス」に関するガイドラインを策定し、各自治体でも独自のガイドラインを示しているところもありますが、事業所側のモラル次第でサービスの質に差があるというのも実情です。

そこで、お泊まりデイサービスを行っているデイサービス事業所を選択する際には、安心して託すまたは利用できるところなのか、十分に確認することをおすすめします。

生活とリハビリ研究所 研究員
専門分野:介護技術

民間デイサービスの草分けである「生活リハビリクラブ(神奈川県川崎市)」の創始者。オールラウンドワーカーと名乗っての老いを支えるケアは、各界から注目を浴びている。特に「入浴介護」の講義と実技指導は評価が高く、人間学に基づく精度の高い理論と方法は「介護シーン」を大きく変えている。詳しくはこちら

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お泊まりデイサービスの運営基準について

1) 職員配置基準

宿泊時間帯の職員として、介護職員または看護師の1人以上の常駐が必要です。

2) 利用定員基準

利用定員は、日中のデイサービス利用定員の半分以下、最大でも9人までです。

3) 設備基準

・宿泊する個室は1人での利用が基本ですが、利用者が希望すれば2人まで利用可能です。

・相部屋の場合は、最大4人までで、1室あたりの床面積は最低7.43平方メートル、約4畳以上の広さが必要です。また、個室ではない場合は、パーテーションなどによって区切る必要があります。

4) 安全基準

・消防法に定められているスプリンクラー、自動火災報知器、消化器などの防火設備の設置が義務付けられています。

・防災時に対応できるようペットボトルの水や保存食、懐中電灯などの備品の備蓄も推奨されています。

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お泊まりデイサービスで受けられるサービス内容

お泊りでサービスで受けられるサービスは、主に以下の4つです。

  • 食事
  • 就寝準備、起床時の援助
  • 排泄援助
  • 入浴

それぞれのサービスについて、順に解説していきます。

食事

お泊まりデイサービスを利用した場合、当日の夕食と翌日の朝食(1泊2食)が提供されることが一般的です。

栄養バランスのとれた食事内容であることはもちろん、“噛む力”や“飲み込む力”に合わせた「介護食」や、「塩分や糖分などを制限した食事」を提供するところや、ビュッフェ形式やコース料理などを提供するなど、食事の楽しさを大事にした工夫をしているところもあります。

なお、食費はお泊まりデイサービスの利用料に含まれていないので、別途自己負担になります。

就寝準備、起床時の援助

就寝前の洗面、歯磨き(口腔ケア)、着替えなどの援助が受けられます。特に、歯磨きや入れ歯の洗浄など、口腔ケアは噛む力や飲み込む力など、食事に関わる機能を維持するための重要なものであり、また誤嚥性肺炎を予防するためにも、口腔内の健康を守ることは、健康的な生活の基本です。

翌朝の起床時にも、洗面、整容、歯磨き、着替えなどの援助が受けられます。

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排泄援助

利用される方の状態や必要に応じて、適時、トイレ誘導、排泄のサポート、パッド・オムツなどの交換が行われます。

入浴

入浴は日中の利用時間帯に済ませることが一般的ですが、施設のスタッフ体制によっては、夜間の入浴が可能なところもあります。希望される場合には、施設やケアマネジャーに相談してはいかがでしょうか。

なお、施設によって提供するサービスの詳細は異なりますので、利用する前に一度施設に確認するのが良いでしょう。

お泊まりデイサービスの利用料金

1) 基本料金

お泊まりデイサービスは介護保険適用外のため全額自己負担となります。要介護度、個室か相部屋か、また事業所によっても設定料金に違いがあります。

概ね1泊3,000~5,000円程度ですが、詳細は各事業所へ確認してください。

2) 別途費用

夕食と翌日の朝食代、パッド・オムツを使用した場合のオムツ代、連泊した場合には洗濯代などがかかります。

お泊まりデイサービスのメリット

お泊りデイサービスのメリットとして、主に2つが挙げられます。

  • 通いなれた施設に宿泊できる
  • 予約が取りやすい

それぞれについて、詳しく解説していきます。

通い慣れた施設に宿泊できる

お泊りデイサービスは日中利用しているデイサービスの施設に宿泊するため、慣れた場所に泊まれることが大きなメリットです。

まったく新しい施設に宿泊、あるいは入居する場合は、環境の変化が利用者に大きなストレスを与えてしまうことも少なくありません。このストレスが精神的な混乱や体調不良の原因となることもあります。お泊りデイなら利用者の負担が少ない点はメリットです。

慣れた施設に加えて、普段から接しているスタッフが対応するので、利用者に負担が少なく安心して宿泊することができます。

予約が取りやすい

お泊りデイサービスは、日中のデイサービスの利用とセットで宿泊の予約を受け付けており、お泊りデイサービスのみ利用することはできません。つまり、申し込みができる人が限定されているため、予約が取りやすいこともメリットです。

ショートステイ(短期入所生活介護)などのサービスは空きが少ないので、希望通りの日程で予約が取りにくかったり、急場の対応は難しかったりします。

その点、お泊まりデイサービスは、介護者の急な外出など諸事情に柔軟に対応してもらえるので、介護者にとっても心強いサービスです。

また、介護施設を探している方は、ケアスル介護での相談がおすすめです。

ケアスル介護なら、施設の紹介だけではなく、見学予約から日程調整も無料で実施しています。

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お泊まりデイサービスのデメリット・注意点

お泊まりデイサービスのデメリットとしては、次の3つがあげられます。

  • 介護保険が適用されない
  • プライバシーの確保が不十分
  • 短期間での利用が原則

さまざまなメリットがあるお泊まりデイサービスですが、反面デメリットもあるため注意が必要です。順に解説していきます。

介護保険が適用されない

お泊りデイサービスは日中のデイサービスの延長として提供されているものですが、宿泊利用については、介護保険の適用はありません。そのため、お泊りデイサービス分の料金はすべて自己負担となります。

施設によって宿泊利用料は異なりますが、連続で数十日利用すると高額な費用がかかってしまうこともあります。ショートステイ(短期入所生活介護)などのサービスは介護保険が適用できるため、自己負担分は1~3割ですが、お泊りデイサービスには適用されないことは知っておく必要があります。

長期間被介護者を預けられるため、家族の負担は減らせるものの、その分金銭的なデメリットが発生しやすい点には注意しなければなりません。コスト面での負担を考えると、お泊りデイはショートステイなど介護保険が適用できるサービスを利用開始するまでの、つなぎとして使うことをおすすめしま

また、どうしても自宅での介護が難しい場合などで、一定期間だけ利用するといった使い方が向いているでしょう。

プライバシーの確保が不十分

そもそもお泊りデイサービスは日中のデイサービスの延長として提供されているサービスであり、宿泊に重きを置いたサービスではありません。そのため、個室が用意されていないことも多く、プライバシーの確保が他の介護サービスよりも不十分になりやすいことは理解しておきましょう。

宿泊や居住に特化した介護サービスでは、個人のプライバシーを尊重した施設づくりがなされていますが、お泊りデイサービスでは日中利用している施設にそのまま宿泊することになるからです。

プライバシーの確保のための配慮は行われているとはいえ、それらの多くは簡易的なものなので、これが利用者のストレスになることがあるかもしれません。

そのため、実際にお泊りデイサービスを利用するなら、その施設でのプライバシーの確保のために行っている対策や工夫、就寝場所の様子、利用者の意思などを確認しておくことが大切です。

短期間での利用が原則

お泊まりデイサービスは、原則「短期間の利用」を想定しているため、利用日数に制限を設けている自治体もあります。

介護者が病気などで在宅介護の継続が困難になったという方、特別養護老人ホームへの入居申請をしたものの順番待ちという方が利用されることもあり、入居施設化しているという指摘もあります。

お泊まりデイサービスを利用したい場合

まず、デイサービスを利用するために要介護認定を受ける

要介護認定を受けていない場合は、まず申請しましょう

次に、ケアマネジャーを決め、ケアマネジャーと共にケアプラン(介護サービス計画書)を作成し、事業所(施設)を選んで契約し、利用となります。

お泊まりデイサービスを行っている事業所(施設)を探す

事業所(施設)を選ぶには、事前の情報収集が大切です。日中のデイサービスを楽しみ、安心して宿泊できる事業所(施設)を探す際に、次の方法をおすすめします。

① ケアマネジャーに紹介してもらう

お泊まりデイサービスを行っている事業所(施設)を、介護の専門知識を豊富に持つケアマネジャーに紹介してもらうことをおすすめします。ケアマネジャーはサービス事業者の紹介や仲介役なども担っており、利用者の状態や希望、家族の要望などを説明しておくことで、その人に合った事業所(施設)を見つけてくれるでしょう

② インターネットなどから情報を収集する

自分で情報を検索して、事業所(施設)を見つけることも方法の1つです。インターネットでお泊りデイサービスが利用可能な施設を検索したり、ホームページでサービス内容や費用を確認したりして、要望に合う事業所(施設)を探しましょう

また、実際に利用したことがある人から紹介してもらったりすることもおすすめです。

その他、地域包括支援センターなどの公的な相談窓口を利用することでも、お泊りデイサービスの利用先は探せます。さまざまなところから情報を収集し、複数の事業所(施設)を比較検討し、選択することをおすすめします。

できる限り、見学や体験利用をしよう

契約する前にできる限り見学をし、ではれば体験利用を通して、実際の雰囲気を確認しましょう。他の利用者やスタッフとの相性もデイサービス選びの大切なポイントです。

お泊まりデイサービスの利用先は念入りに検討しよう

お泊まりデイサービスは、普段利用しているデイサービスの施設やスタッフが対応してくれるため、利用する本人はもちろん依頼する家族としても安心できるでしょう。

お泊りデイにはメリットとデメリットの両方があるため、これらを比較して利用すべきかを考えることが大切です。利用先の選定は念入りに行い、ケアマネジャーなどのプロに相談しながら、より良い事業所(施設)を見つけましょう。

「お泊りデイ」とは何ですか?

お泊りデイとは、日中にデイサービスを利用し、そのまま夜間も宿泊してサービスを受けることができる、介護保険外サービスです。詳しくはこちらをご覧ください。

「お泊りデイ」のメリットは何ですか?

通い慣れた施設に宿泊することができるので、環境の変化が少なく、利用者の負担が軽減できます。また、日中デイサービスを使用した方のみが申し込みできるため、予約が取りやすいことが多いです。詳しくはこちらをご覧ください。

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