両親の介護にともなって住民票の異動が必要となるケースは多いです。しかし、住民票の異動には介護サービスや保険料の変更など、さまざまな問題が関わってきます。
安易に移してしまうと、後々の手続きが面倒になるといった事態になりかねません。
そこで、本記事では親の介護により住民票を異動させる際の注意点や、保険料に関するメリット・デメリットを解説していきます。
知識のないまま住民票を異動してしまうと、あとから後悔してしまうケースも少なくありません。本記事で住民票の異動と介護サービスの関係について把握していきましょう。
親の介護で住民票を移す必要があるケース3つ
親の介護が必要になった際、施設入所や同居を考える方もいらっしゃるでしょう。そこで必要になってくるのが住民票の異動です。特に以下3つのケースにおいては住民票の異動が必要になります。
- 入居にともなって住民票を移すケース
- 介護を理由として同居するため親の住民票を移すケース
- 介護を理由として親の自宅へ同居家族の住民票を移すケース
住民票は移すタイミングや手続きが大切です。わからないまま手続きしてしまうと「介護サービスがすぐ利用できない!」といった事態も起こりかねません。また、それぞれのケースで、チェックするべきポイントも異なります。
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1.入居にともなって住民票を移すケース
入居する施設へ住民票を移す方は一定数いらっしゃいます。郵便物などの兼ね合いを考えると移した方がよい場合も多いです。
施設の種類によっては、地域の住民しか入居できないルールもあるため、入居先によって対応は異なります。
2.親の介護を理由として同居するため本人の住民票を移すケース
親の介護が必要な状態となり自宅へ親を呼ぶとなった際には住民票の異動が必須です。介護保険は地域のサービスとして括られているため、その地域に住んでいることがサービス利用の絶対条件となっています。
現住所で要介護認定を受けており、在宅サービスを利用している場合は必ずケアマネージャーへ相談しましょう。引っ越し先でのサービス利用に関する手続きを手伝ってくれます。
住民票を移した時に必要となる、介護認定に関わる書類を提出するタイミングを間違えると「利用していた在宅サービスを引っ越しまでの期間利用できなくなった」「引っ越し先で介護サービスを利用するまでに数カ月かかる」といった事態が発生しかねません。
引っ越してから認定調査を受ける予定の方は、引っ越し先の地域包括支援センターか役所・役場に相談しておくと確実です。
また、同居にあたっては世帯分離について覚えておくと経済的な負担が軽減されます。世帯分離については別途解説していますので、そちらをご覧ください。
3.親の介護を理由として本人宅へ同居家族の住民票を移すケース
親の介護が必要になり、家族が本人宅へ引っ越す際は家族の住民票を異動させなければなりません。異動させない場合、ご家族が異動先の市町村の公共サービスが利用できなくなります。身近なところでは、がん検診やワクチン接種などが該当します。
ただし、同居ではなく通いで介護する場合は住民票を移さなくても問題はありません。難しいのが「実家に同居するが、配偶者は自宅に残る」といったケースです。
この場合、夫婦で世帯分離を希望するケースもあるでしょう。しかし夫婦間での世帯分離は難しく、「夫婦なのに、なぜ住所と生計を別にするのか?」「保険料などの負担軽減のためではないか?」を疑われ、断られることもあります。
もしも配偶者の扶養に入っている場合は、扶養の継続ができるかファイナンシャルプランナーなどに相談しておくとよいでしょう。

親の介護で住民票を移すメリット3つ
介護のため親の住民票を移した場合、以下3つのメリットが発生します。
- 介護保険料が安くなる可能性がある
- 移動先の市区町村が提供する公共のサービスが利用できる
- 郵便物が本人のもとに届く
各メリットについてみていきましょう。
1.介護保険料が安くなる可能性がある
介護保険制度は市町村が管轄する制度です。金額は各市町村が3年ごとに調整しているため、引っ越し先の市町村によっては支払う介護保険料が安くなる可能性があります。住民税や国民健康保険料に関しても同様です。
2.世帯単位で市区町村のサービスが利用できる
引っ越し先の市町村が独自で提供しているサービスが利用できるのも大きなメリットです。
具体的な例をあげると、北海道札幌市では高齢者世帯の世帯収入に応じて無料〜10,000円で除雪サービスを提供しています。
ただし、こうした高齢者世帯向けのサービスは、世帯分離している場合は対象になりませんので確認しましょう。
一方、隣の小樽市では世帯年収にかかわらず無料で除雪の依頼が可能です。この場合、札幌市から小樽市に引っ越すと無料で除雪サービスが利用できるようになります。
ほかにも「福祉用具の支給」「外出支援」などが各市町村で用意されており、対応範囲や料金が異なります。
3.郵便物が親のもとに届く
住民票を移すと、親のもとに郵便物が届きます。入居した施設に住民票を移した場合、直接施設に郵便物が届くのでとても便利です。反対に移さなかった場合は転送手続きや本人宅に届いた郵便物を本人のもとまで届けるといった手間が発生してしまいます。
公的機関からの郵便物には、手続きまでの期間が定められている書類もあります。住民票を変更していない場合、本人に届けたときには期間が切れているといった事態も少なくありません。
その点、住所を変更しておけば、本人がすぐ確認できるため、対応に遅れるといったリスクは避けられます。
親の介護で住民票を移すデメリット3つ
介護で親の住民票を移す際は、以下のデメリットも発生します。
- 介護保険料が高くなる可能性がある
- 以前住んでいた地域のサービスが受けられなくなる
- 施設側に交友関係が知られてしまう
それぞれのデメリットについてみていきましょう。
1.介護保険料が高くなる可能性がある
メリットでも解説したとおり、介護保険の保険料は各市町村が定めています。そのため、住民票を移したことによって介護保険料が高くなる可能性があります。住民税や国民健康保険料においても同様です。
ただし、介護保険料においては住所変更後も以前の市町村で定められていた金額を継続できる制度があります。
2.以前住んでいた地域のサービスが受けられなくなる
親の介護で住民票を移した場合、以前住んでいた地域の公共サービスは利用できなくなります。異動先の市町村に似たようなサービスがあればよいですが、ない場合は有料のサービスを探さなければなりません。
3.施設側に交友関係が知られてしまう
メリットにおいて「入居した施設に住民票を移した場合は直接施設に郵便物が届くのでとても便利」と紹介しました。裏を返せば、施設側に交友関係や利用しているサービスなどがすべて知られてしまうともいえます。
ある程度自立している方であれば、プライベートな情報が知られてしまうのによい感情を持たない方もいらっしゃるでしょう。施設を探す際は郵便物の取り扱いをどのようにしているかも確認すると安心です。
介護保険料が変わらない住所地特例制度とは?
介護保険制度には、住所変更のしたあとも以前の市町村で定められていた保険料を継続できる制度があります。「住所特例地制度」と呼ばれており、住民票の変更により支払う保険料が上がってしまうなどのデメリットを防げます。
制度の対象者は以下のとおりです。
- 65歳以上の方
- 40歳以上65歳未満で医療保険に加入している方
- 住所地特例対象施設に入所した方
引っ越し予定の市町村と現住の保険料を比較して高くなりそうであれば検討してみる価値はあります。以降で制度の詳細を紹介していきます。
参照:厚生労働省「住所地特例」
住所地特例制度を利用したい方は、ケアスル介護を利用してみてはいかがでしょうか。ケアスル介護では、施設の種類・地域・相場・雰囲気など、さまざまな角度から施設探しが可能です。
また、入居した際には最大10万円のお祝い金も用意しています。1人で探すのが不安な場合は専門の相談員が全力でサポートします。ケアスル介護を利用して最適な施設を見つけましょう。
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住所地特例制度の対象となる施設
住所地特例制度の対象と定められている施設は以下の7つです。
- 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
- 介護老人保健施設(老健)
- 介護療養型医療施設
- 軽費老人ホーム(ケアハウス)
- 養護老人ホーム
- 有料老人ホーム(介護付・住宅型)
- サービス付き高齢者住宅(サ高住)
サービス付き高齢者住宅で特定施設入居者生活介護の指定を受けている場合は、有料老人ホームにあたるサービスを利用権方式で契約している施設が該当します。
住所地特例制度の対象とならない施設
住所地特例制度の対象とならない施設は以下の9つです。
- 小規模多機能型居宅介護(小多機)
- 夜間対応型訪問介護
- 認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)
- 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
- 地域密着型特定施設入居者生活介護
- 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
- 地域密着型通所介護(地域密着型デイサービス)
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護(定巡・訪看)
- 看護小規模多機能型居宅介護(旧複合型サービス)
基本的に「地域密着型」は、地域の利用者しか入居できません。そのため、入居にあたっては住民票の異動と異動先の市町村が設定している介護保険料を支払う必要があります。
参照:厚生労働省「住所地特例」
住所地特例制度の手続き方法
住所特例制度の手続きは、施設に入所または退所したときのいずれの場合も必要です。
<施設に入所したとき>
- 以前住んでいた市町村に「住所地特例適用届」を提出する
- 施設側に依頼し、以前住んでいた市町村へ「施設入所連絡票」「住所地特例連絡票」を送付してもらう。
- 完了
<施設を退所したとき>
- 以前住んでいた市町村へ「住所特例終了届」を提出
- 施設側に依頼し、以前住んでいた市町村へ「施設退所連絡票」「住所地特例連絡票」を送付してもらう。
- 完了
住所地特例制適用届は市町村の公式ホームページからダウンロードできます。住所変更する際は事前に印刷しておきましょう。
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親の介護で住民票を移す際の手順
介護で親の住民票を移す際の手順は以下のとおりです。
- 現住の市町村に転出届を提出
- 引っ越し先の市町村に転入届を提出
- 受給者資格証明書を提出
各手順について詳しくみていきましょう。
1.現住の市町村に転出届を提出
現在住んでいる市町村に転出届を提出します。すでに要支援または要介護の認定を受けている場合は「受給資格証明書」の取得も必要です。
受給資格証明書とは、要支援・要介護認定を受けている証明書の役割を持っているので、必ず取得しましょう。
2.引っ越し先の市町村に転入届を提出
引っ越し先の市町村に転入届を提出します。住所地特例制度を利用する場合は、もともと住んでいた市町村へ住所地特例適用届を提出するのも忘れないようにしましょう。
3.受給者資格証明書を提出
住民異動日の翌日から14日以内に受給資格証明書を提出します。期日を過ぎた場合は再度要介護認定を受けなければなりません。認定がおりるまでには数カ月かかる可能性もあるため、忘れないよう注意が必要です。
住民票の異動手続きは代理人でも可能?
引越しした本人が役所に行けないのなら、代理人に転出・転入・転居の各手続きをしてもらうことが可能です。
代理人が手続きする際には、引越し当事者の署名捺印がある委任状が必要になります。
委任状は、各市区町村のホームページでダウンロードできるので確認してみてください。
参考:セレクトラ・ジャパン より引用
親の介護で住民票を移す際の注意点
親の介護で住民票を移す際は、以下の点に注意しましょう。
- 市町村独自のサービスを調べておく
- 受給者資格証明書は引っ越し後14日以内に提出する
それぞれの注意点について解説していきます。
1.市町村独自のサービスを調べておく
保険者である市町村が変われば、受給できる在宅手当や見守りサービス、紙オムツの支給などのサービスも変わります。現在住んでいる地域で利用しているサービスがある場合は、引っ越し先の市町村でも同じサービスがあるか確認しておきましょう。
あるとしたら、いくらで利用できるのかを確認しておくと安心です。場合によっては元の市町村では無料で利用できたサービスが有料サービスとなっている可能性もあります。
2.受給者資格証明書は引っ越し後14日以内に提出する
『住民票を移す際の手順』でも伝えましたが、受給資格者証明書は住民異動日の翌日から14日以内に転出先へ提出しなければなりません。14日をすぎた場合は要介護認定がなくなるため、再度認定調査を受ける必要がでてきます。
また、14日以内の認定申請に間に合わない場合は、新規申請で認定がされるまで空白期間ができ、被保険者として介護サービスが利用できません(介護保険対象外)ので注意しましょう。
親の介護で使える世帯分離とは?
世帯分離とは、同じ住所に住んでいる家族が生計を別にする手続きです。介護が目的で親と同居した場合、世帯を同じくしなければならないと思う方もいらっしゃるでしょう。
しかし、介護保険サービスを利用するにあたっては世帯分離した方が介護サービス料が安くなるケースが多いです。なぜなら、介護サービス料は世帯の年収に応じて負担割合が増加するためです。ほかにも、以下のようなメリットがあります。
- 国民健康保険料が安くなる
- 後期高齢者医療保険料が安くなる
- 入居施設の食費や滞在費の自己負担額が減る
- 低所得者向けの給付が受けられる
対して、世帯分離しなかった場合はサービスの自己負担額が最高額になってしまう可能性もあります。同居した先で介護保険サービスを利用する場合は、家計を別にすること、つまり世帯分離も検討しましょう。
世帯分離が可能なケース
世帯分離は、基本的に「生計を分けても自立して生活できている」といった条件にあてはまっていれば手続きが可能です。収入に関する条件がないため、子どもがフリーターや無職であっても自立して生活できている場合は世帯分離できます。
世帯分離が不可能なケース
夫婦間の世帯分離は原則行えません。また「親の介護費用を軽減するため」といった理由での親子間の世帯分離も不可能です。親子間で生計が分かれているか、各世帯が自立できているかどうかが世帯分離の基準になります。
世帯分離する際の注意点
世帯分離する際には、以下の点に注意しましょう。
- 自営業の場合は国保の支払い金額が上がる可能性がある
- 会社の扶養手当がもらえなくなる
自営業で現状の国民健康保険料が負担上限であった場合は注意が必要です。世帯分離すると各々で国民健康保険料を支払うため、上限額でなくなる可能性があります。
結果的に家族全体の支払い総額が高くなる危険性があるため、世帯分離する際はある程度計算してから手続きをしましょう。
また、会社から扶養手当をもらっている場合は扶養家族がいなくなることで扶養手当がストップする可能性があります。扶養手当が充実している会社であれば、世帯分離する際に検討しておくとよいでしょう。
親の介護で住民票を移す際は世帯の形態にも注意が必要
親の介護で住民票を移す際は、異動先の市町村でどのような公的サービスが用意されているか、介護保険料はいくらなのかをしっかりと把握しておきましょう。
また、引っ越しにともなって同居する場合は世帯分離についても検討しておく必要があります。住民票の異動は、その後に支払う介護保険料や利用する公的サービスに大きく関わってきます。引越しによる手続きの遅延などで損をすることがないよう、本記事を参考に適切なタイミングで住民票を異動させましょう。
完全に引き取るのであれば、住民票を異動しなければなりません。また、すでに介護認定を受けている場合は「受給者資格証明書」の取得も必要です。詳しくはこちらをご覧ください。
入居先の施設が「地域密着型」であった場合は住民票の異動が必要です。それ以外の施設であれば、義務ではありません。詳しくはこちらをご覧ください。