「高齢の親が年金だけで生活しているけど、これから医療や介護が必要になっても暮らしていけるのだろうか」と心配な方も多いのではないでしょうか。
近年は退職金や年金の減額に加え低金利が続き、さらに追い打ちをかけるように物価も上昇するなど、高齢者のお金を取り巻く環境は厳しさを増しているようです。
この記事では高齢者の家計の実態や、生活費が足りない場合に頼れる公的制度、具体的な家計の立て直し法について解説します。さらにお金の増やし方についても解説していますので、親御さんの経済生活に的確なアドバイスができるよう、ぜひ参考にしてください。
高齢者のお金の実態
高齢者の家計収支を左右する要因はいくつかあります。
多くの方は年金が主な収入源ではないでしょうか。その中でも生活費が足りている世帯と足りていない世帯とがあるようです。さらに高齢者の間でも年金の種類や額、貯蓄や資産の有無などによって、家計収支に差が生じているのが実情です。
これらの要素ごとに、高齢者の家計の実態について詳しく見ていきましょう。
ピッタリの施設を提案します

ピッタリの施設を提案します

ピッタリの施設を提案します
高齢者の年金月額と生活費の実態
高齢者世帯の年金額と生活費について、統計から見て解説します。
2021年の総務省調査によると、夫婦ともに65歳以上の無職世帯の場合、年金から税・社会保険等を差し引いた可処分所得が205,911円です。それに対し消費支出は224,436円で、月に18,525円が不足していることがわかります。
これが単身世帯になると可処分所得が123,074円、消費支出は132,476円。つまり9,402円の不足となります。
統計からは、高齢者の生活に余裕はなく、むしろひっ迫傾向にあると見てとれます。
高齢者間での格差
高齢者世帯の経済収支状況は高齢者の間でも違いがあり、二つの要因が考えられます。
一つ目の要因は年金の種類で、国民年金のみの場合と、厚生年金が上乗せされている場合との違いです。年金の種類の違いは、世帯主が会社に勤めていたのか自営業・家業あるいは専業主婦だったかの違いによります。
厚生労働省の令和2年度統計によれば、厚生年金受給者の平均年金月額は146,145円に対し、国民年金のみの場合は56,529円と、9万円ほど受給額に開きがあります。
経済格差のもう一つの要因は、貯蓄や資産の有無です。受け取る年金額が同じでも、切り崩す貯金があるのとないのとでは生活水準に差が出てしまいます。貯蓄や資産の形成は過去の住宅ローンや子どもの教育費などにも影響されています。
参照:厚生労働省厚生労働省「令和2年度構成人金保険・国民年金事業の概況」
今後の見通し
高齢者の家計の今後については、現在のところ楽観できないようです。
年金が急に減らされることはありませんが増える見込みはなく、一方で医療費や介護費用の自己負担が少しずつ上昇しています。
2022年10月から医療費の自己負担割合の一部変更があり、住民税課税所得が28万円以上かつ年金などの収入の合計額が1人世帯で200万円以上・2人世帯で320万円以上の場合に、現行の1割負担から2割負担になります。
また介護保険も自己負担割合を段階的に引き上げており、所得の低い方には直接影響しないとはいえ、不安材料にはなりそうです。
高齢者がお金に困ったときに頼れる制度
生活費を節約してもなお、生活に困ってしまった場合には、公的制度を利用するのも生活を立て直す一つの方法です。
多くの方は、生活困窮者のための制度自体は知っているものの、具体的な内容や手続きの方法までは知らないかもしれません。なぜなら、住民税が非課税だとしても、行政から制度利用の案内が来ないからです。
ここからは、生活に困ったときに役に立つ制度を紹介します。もし親御さんが生活に困っている様子が見られたら、なるべく早めに自治体の窓口に相談・申請してください。
生活困窮者自立支援制度
生活困窮者自立支援制度とは、生活に困り最低限度の生活ができない可能性がある方に、行政が役職を越え支援してくれる制度です。
高齢者に関わる支援事業としては次のものがあります。
- 自立相談支援事業:支援員が一緒に支援プランを考え、自立に向けて寄り添う
- 住居確保給付金:家賃相当額の支給を行う
- 家計改善支援事業:家計の根本的な課題を把握し、解決に向けて相談支援や関係機関との連携・貸し付けのあっせんを行う
さらに住居を失った方へのセーフガードとして「一時生活支援事業」があり、一定期間の宿泊場所と衣食を提供するとともに、自立支援を行います。
これらは生活困窮時の最後の砦ともいえる制度ですが、家計改善支援事業と一時生活支援事業については「一定の資産収入に関する要件を満たしている」方のみ対象です。基準の詳細は各相談窓口にてご確認ください。
相談窓口は自治体により名称はさまざまで、多くは社会福祉協議会に窓口を設置しています。
生活福祉資金貸与制度
生活福祉資金貸与制度とは、低所得者世帯や障害者世帯・高齢者世帯が無利子もしくは低利子で生活資金の貸与を受けられる制度です。
制度上、高齢者に関わる資金貸与は以下の3つです。
- 総合支援資金:生活の立て直しや債務整理への貸与
- 福祉資金:住宅改修や療養・介護サービス経費への貸与
- 不動産担保型生活資金:自宅を担保に生活資金を貸与
生活福祉資金貸与制度で貸し付けを受ける際、連帯保証人を立てた場合は無利子で、 立てない場合は年1.5%の低利で貸し付けを受けられます。
なお制度利用の相談・申請窓口は居住の自治体内にある社会福祉協議会内にあります。
生活保護制度
生活保護制度とは、生活に困窮した方に住居や生活・医療・介護などを含めた必要最低限の費用を支給する制度です。生活保護制度の利用要件は次のとおりです。
- 世帯収入が最低生活費よりも少ない
- 貯金、家などを活用しても生活できない
- 稼働能力を活用している
生活保護制度の扶助には8項目ありますが、そのうち高齢者に関わる扶助は以下のとおりです。
扶助の種類 | 対応する費用 |
---|---|
生活扶助 | 食費、被服費、光熱費など日常生活に必要な費用 |
住宅扶助 | 家賃 |
医療扶助 | 医療サービスの費用 |
介護扶助 | 介護サービスの費用 |
生業扶助 | 就労に必要な技能の習得等に掛かる費用 |
葬祭扶助 | 葬祭費用 |
参考:厚生労働省「生活保護制度」)
生活保護制度の申請窓口は自治体の福祉事務所で、申請をすると以下の調査を受けます。
- 生活状況等を把握するための実地調査(家庭訪問等)
- 預貯金、保険、不動産等の資産調査
- 扶養義務者による扶養(仕送り等の援助)の可否の調査
- 年金等の社会保障給付、就労収入等の調査
- 就労の可能性の調査
なお、生活保護はしばしば「親族による扶養が優先されるため受給できない」と言われますが、必ずしもそうではありません。
例えば、高齢の親が生活保護の申請をしていて、子も自身の生活で精いっぱいになっているケースです。その場合は子に扶養の義務はなく、親はほかの要件を満たしていれば生活保護を受けられることがあります。
実際に生活保護を受給できるかどうかは調査を経ないとわかりません。生活に困っているならまず申請をしましょう。
高齢者のお金の多くは医療と介護
高齢者の普段の生活費はあまりかかりませんが、医療や介護が生じたとたんに跳ね上がる家庭が多いようです。
ここでは医療や介護が必要になったときの補助について紹介します。いずれも役所から通知や案内はありませんので、もし該当する可能性があるならば、まずは還付の申請を行いましょう。
さまざまな助成制度があると知れば、医療や介護の費用を心配しなくて済みます。
高額療養費制度
高額医療費制度とは、病院や薬局で支払った額が1ケ月の上限を超過した場合に超過分を支給する制度です。
限度額は所得や年齢によって決まっています。例えば70歳以上の年収156万~約370万円の方の場合、1ケ月の限度額が57,600円となり、世帯医療費合計から限度額を超えた額が還付されます。70歳以上の場合、上限額は収入により以下のように決まっています。
高額療養費 70歳以上の上限額 | |||
---|---|---|---|
適用区分 | ひと月の上限額(世帯ごと) | ||
現役並み | 年収約1,160万円~
標報83万円以上/課税所得690万円以上 |
252,600円+(医療費ー842,000)×1% | |
年収約770万円~約1,160万円
標報53万円以上/課税所得380万円以上 |
167,400円+(医療費ー558,000)×1% | ||
年収約370万円~約770万円
標報28万円以上/課税所得145万円以上 |
80,100円+(医療費ー267,000)×1% | ||
一般 | 年収156万円~約370万円
標報26万円以下 課税所得145万円未満等 |
外来(個人ごと)
18,000円 〔年14万4千円〕 |
57,600円 |
住民税
非課税等 |
Ⅱ 住民税非課税世帯 | 外来(個人ごと)
8,000円 |
24,600円 |
Ⅰ 住民税非課税世帯
(年金収入80万円以下など) |
15,000円 |
70歳以上の方は外来だけの上限額も設けられています。
申請方法は、ご自身が加入している医療保険に支給申請書を提出します。その際、医療機関の領収書が必要な場合もあるため、領収書は保管しましょう。
入院・手術など、大がかりな治療を受けた際には還付金額も大きくなるため、療養後には忘れずに申請を行いましょう。
参考:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
ピッタリの施設を提案します

ピッタリの施設を提案します

ピッタリの施設を提案します
高額介護サービス費
高額介護サービス費とは、1ヵ月に払った介護保険の自己負担分の合計が限度額を超えた場合に、超過分が還付される制度です。
限度額は所得に応じて以下のように決められています。
高額介護サービス費の区分と負担上限額 | ||
---|---|---|
区分 | 負担の上限額(月額) | |
課税所得690万円(年収約1,160万円)以上 | 140,100円(世帯) | |
課税所得380万円(年収約770万円)~
課税所得690万円(年収約1,160万円)未満 |
93,000円(世帯) | |
市町村民税課税~課税所得380万円(年収約770万円)未満 | 44,400円(世帯) | |
世帯の全員が市町村民税非課税 | 24,600円(世帯) | |
前年の公的年金等収入金額+その他の合計所得金額
の合計が80万円以下の方等 |
24,600円(世帯)
15,000円(個人) |
|
生活保護を受給している方等 | 15,000円(世帯) |
なお令和3年8月1日から、課税所得380万円以上の高所得者に関しては負担限度額を引き上げています。ただし課税所得380万円未満の世帯についてはこれまでと変わりません。
なお、医療費・介護サービス費の両方に高額な支払いがある世帯は「高額介護合算療養制度」で年間の医療費・介護サービス費を合算して基準額を超えた場合に、年単位で超過分の還付が受けられます。
高額介護サービス費の申請窓口は自治体の介護保険課です。支給の対象となった場合は自治体から支給申請書が届き、郵送でも手続きが行えます。
参考:厚生労働省「令和3年8月利用分から高額介護サービス費の負担限度額が見直されます」
介護休業給付金
介護休業給付金とは、介護のために仕事を休業した場合に、給料の最大67%が支給される制度です。
介護対象者1人につき、通算93日を限度に3回まで支給されます。
支給の条件は介護対象者が「常時介護が必要な状態が2週間以上」※であること、休業後に職場復帰することです。
※「2週間以上」とは介護休業の日数ではなく、介護される方の程度・状態を表わすものです。例えば介護対象者が休業開始から10日で入院し被雇用者が職場復帰したら、10日分の休業・給付が可能な場合もあります。
受給資格は、休業開始前の2年間、同じ職場に12ヵ月以上雇用されていることです。なお有期雇用の場合は、休業開始から支給期間93日の6ヵ月先まで、更新も含めた雇用期間が条件です。
申請先はハローワークで、申請書と賃金月額証明書のほか,、要件該当の証明ができる書類が必要です。
住宅改修費
要介護者がいる家庭で手すりの取り付け・段差の解消などの住宅改修を行う際に、改修費用の一定割合を介護保険から受け取れる「介護保険住宅改修費」の制度があります。
利用要件は要支援1以上の介護認定を受けており、改修した家に住むと確定している場合です。
介護保険の自己負担割合に応じて、実際の工事費用の1割から3割を自己負担し、残りを介護保険で最大20万円まで賄う仕組みです。
ただし短期間で要介護度が上がってしまった場合には、再改修でトータル20万円を超えても支給されるケースもあるため、ケアマネージャーや福祉窓口に再度相談するとよいでしょう。
制度の申請手続きは、改修費用の見積もりと改修が必要な理由を添えて、市区町村の介護保険窓口で行います。原則的に事前申請のため、見積もりを先に取る必要が点にご注意ください。
高齢者のお金の問題を解決する方法
ここからは、高齢者のお金の問題を解決する具体的な方法を2つ紹介します。
高齢の親を持つ子どもが、みな親の生活の援助ができれば問題ありませんが、子ども自身も経済的に余裕があるとは限らないでしょう。
そのため無理に親御さんを援助しようと考えず、ご自身でお金の問題を解決できるようサポートしてはいかがでしょうか。
家計の見直し
高齢者の収入は年金が主であるため、現役時代と比べて収入が大幅に下がっている場合がほとんどです。
そのため現役時代と同じ金銭感覚・お金の使い方をしていたのでは、あっという間に資金が枯渇してしまいます。
旅行の回数を減らす・外食を減らす・お金のかからない趣味に変えるなど、本人に生活のダウンサイジングを勧めましょう。
もしこれまでの家計管理がどんぶり勘定だったなら、まずお金の出入りをきちんと把握させましょう。
家計の無駄を省くには固定費の削減も有効です。昔登録したままの月額サービスも、数ヵ月以上使っていなければ解約しても支障はないでしょう。また電気などのエネルギー代や携帯料金を見直せば、月々の支出低減に有効です。
さらに、複数回にわたっての医療機関を受診すると出費がかさみます。節約と健康の両面を意識するようアドバイスしましょう。
お金を増やせないか考える
もし家計の見直しをしても赤字が続くようなら、年金だけに頼るのではなく、親御さん自身がお金を増やせないか検討した方がよいかもしれません。
なぜなら、収支のバランスを現状のまま改善させるのは難しいからです。
お金を増やす具体的な方法については次の章で解説します。
高齢者がお金を増やす方法
ここからは、高齢者がお金を増やすためにできる具体的な方法を4つ紹介します。
- 就労を検討
- 資産運用
- 自宅を売却するもしくは担保にする
- 在宅ワークをする
どれか1つあるいはいくつか組み合わせて行えば、家計収支をプラスにできるかもしれません。
何かできることはないか、本人と一緒に検討の時間を設けるとよいのではないでしょうか。
それでは、1つずつ内容を解説していきます。
就労を検討
お金を増やす方法と言って最初に思い浮かぶのは、就労ではないでしょうか。実際、最近では定年以降も仕事をする方が増えてきました。
とはいえ、65歳以上になると求人数が少なく、実際の求人も体力の必要な仕事が多いといわれています。
そのかわり、それらの職種は交代制勤務が多く、就業時間の融通が利きやすい特徴があり、無理なく働きやすい職種だともいえます。
65歳以上の主な就業職種は、警備員・清掃員・マンション管理人・調理師・軽作業員・介護士・講師・家事代行人などが一般的です。
ただ警備員に「警備業法上の欠格事項」があるなど、必ずしも誰でも就業できるとは限らないため、事前に就業条件の確認は必要かもしれません。
なお、高齢の方は病気や怪我をすると回復が遅いため、無理のない働き方が可能な環境を勧めましょう。
資産運用
お金を銀行に預けるだけではなく、資産運用を始めることも、お金を増やす一つの方法といえます。
かつては資産運用・投資と聞くと、1日中相場とにらめっこのイメージがありました。しかし現在では、運用手法も増え、小額から始められる商品や、運用をプロにお任せできる初心者向け商品も登場しています。
例えば、最近話題の積立NISAなら小額から行え、積立金と運用益が一定額まで非課税のため始めやすいのではないでしょうか。また、債券中心の運用であればリスクを抑えられる可能性もあります。
ただし、どんなにローリスクな運用方法でも投資である以上、元本割れのリスクはあります。また、銀行預金以外の運用法は資金の流動性が低いため、生活費などですぐに引き出す必要のない余剰資金だけで行うことが望ましいでしょう。
もし資産運用をするのなら、短期間で利潤を追求せず、長期で手堅い運用をするよう勧めましょう。
自宅を売却もしくは担保にする
自分の家以外に資産がない高齢者も多いかもしれません。その場合には自宅を売却もしくは担保にして資金を得る方法もあります。
例えば最近では、自宅に住みながら家を元手に資金を得る仕組みができ、注目されています。
- リバースモーゲージ
- リースバック
「リバースモーゲージ」は自宅を担保に貸し付けを受け、月々の支払いは利息のみで済む仕組みです。契約者死亡時に不動産を処分して、借入金を一括返済するのが一般的です。
リバースモーゲージの取扱機関は社会福祉協議会と金融機関で、公的制度の項で紹介した「不動産担保型生活資金」は社会福祉協議会が取り扱うリバースモーゲージです。取扱機関により要件が異なるため、詳細は各機関にお問い合わせください。
「リースバック」はリバースモーゲージと名前が似ているためよく混同されますが、自宅を先に売却している点が異なります。
住宅を売却して資金を得た後に家賃を支払うことで、同じ家に住み続けられる仕組みです。主に不動産会社が取り扱い、利用に制限はほとんどありませんが、家賃は周辺相場よりもやや高めです。
リバースモーゲージは高齢者ホームの入居資金に充てたり、生活にゆとりを持たせたりする利用法があります。一方でリースバックでは名義が売却先のため家のメンテナンス負担が軽減され、相続の心配が要らなくなります。
それぞれ一長一短があるため、本人とご家庭の事情に合わせて検討するとよいでしょう。
在宅ワークを始める
高齢者の仕事は必ずしも外で働くばかりではありません。業務委託などで在宅ワークを行えば、体に負担が少なく続けやすいのではないでしょうか。
最近では、インターネットのクラウドソーシングサービスに登録し、自分にできそうな仕事を探す方も増えています。クラウドソーシングなら登録から受注・報酬支払いまですべてインターネットで完結するため、手軽です。
また高齢者の中には趣味と実益を兼ねて、得意なことや好きなことを仕事にする方もいます。例えばインターネット上でハンドメイド品を販売するなどです。事務所や店舗を構える必要がないため、開業資金も要りません。
中には好きなことの延長上で、高齢者ブロガーやYouTuberとして活躍する方もいます。
いずれの方法もパソコン一台あれば気軽に始められるものです。プラスアルファの収入があれば、本人も生活に張り合いが持てるのではないでしょうか。
ピッタリの施設を提案します

ピッタリの施設を提案します

ピッタリの施設を提案します
高齢者のお金の管理が心配なとき
高齢の親のお金の管理が心配な方も多いでしょう。実際、高齢者が詐欺に遭うケースが後を絶たず、金融機関での手続きが分からなくなる方も増えています。
年齢を重ねると判断力が鈍り、認知症の疑いがあると感じられたら「成年後見人」を依頼する必要も出てくるかもしれません。
「成年後見制度」は認知症や障害など、本人では判断が充分にできない方が、契約などで不利益を被らないための制度です。
成年後見人は次の二つの方法で選出されます。
- 法定後見制度:本人が必要な契約や手続きが執行できない場合や財産管理に不安がある場合に、親族の「申立」により家庭裁判所が法定後見人を選出
- 任意後見制度:自身の判断能力が落ちた場合に備えて、本人があらかじめ任意後見人を選出
「成年後見人」は本人に代わって法的行為を行える者として、家庭裁判所に認められた人物が務めます。
成年後見人がいれば、例えば認知症の親の自宅を売却して高齢者ホームに入居させる際に、本人の代行で不動産の売買・ホームの入居手続きも可能です。
ただし制度利用には相応の費用がかかる点だけ留意しましょう。
まとめ:高齢者がお金に困らない生活を送るために利用できる手段はたくさんある
これまで高齢者は、年金しか頼れるお金がないと言われていました。
しかし、本人がお金に困ったときには頼れる公的制度がありますし、もう一度本人の資産を見直して、上手く活用できないか検討してもよいでしょう。
さらに本人が一歩踏み出して、収入の道を探るのも一つの方法です。
高齢者がお金を子どもに頼らず自活することも、アイデア次第では可能でしょう。この記事を参考に、親御さんのお金について一緒に話し合い、よいアドバイスを差し上げてください。
「3親等以内の親族は扶養義務者」とされていますが、子だからといって法的に生活を援助する義務はありません。「扶養調査」で申請者を援助できるかと意思を問われますが、実際には近親者が本人の生活だけで余裕がなければ援助を断るケースも多いです。その場合には本人は生活保護を受給できるかもしれません。詳しくはこちらをご覧ください。
日頃あまり散財していないのに赤字になるとしたら、固定費を見直した方がいいでしょう。例えば、保険料や家賃、携帯の料金プランなどです。保険は若い時のまま死亡保障が大きければ減額してよいでしょう。また交通が不便でなければ、車を手放してもらうのも大きな経費節減になります。詳しくはこちらをご覧ください。