「親の医療依存度が高くなってきたけれど、費用が安い特養に入れたい」「でも、どこまで医療行為に対応してもらえるのか不安…」と悩まれる方は少なくありません。?
結論からお伝えすると、特別養護老人ホーム(特養)では、胃ろうやインスリン注射、日常的な喀痰(かくたん)吸引などの医療ケアであれば対応可能な施設が多くあります。
一方で、特養には医師が24時間常駐していないため、24時間の点滴や人工呼吸器の管理など、高度な医療処置が必要な場合は入所を断られてしまうケースがあるのも事実です。
本記事では、特養で「対応できる・できない医療行為のボーダーライン」や、入所を断られた場合の対処法やおすすめの別の施設種別まで解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
特養(特別養護老人ホーム)で対応できる・できない医療行為一覧
特養(特別養護老人ホーム)で対応できる医療行為とできない医療行為の一覧は以下の通りです。
施設によって受け入れ体制は異なりますが、一般的な基準として参考にしてください。

特養で対応しやすい医療行為
特養では、胃ろうやインスリン注射、在宅酸素など、日中に看護師や研修を受けた介護職員が対応できる医療行為は受け入れられやすい傾向にあります。
これらの医療行為は、日中の限られた時間帯に処置を行えば済むものや、ご本人の状態が安定している場合に対応が可能です。
とくに経管栄養(胃ろう)などは、喀痰吸引等研修を修了した介護職員であれば、看護師の指導のもとで対応できるため、多くの特養で受け入れられています。


・形式:オンラインインタビュー
・お名前:小川さん
・性別:男性
・年齢:34歳
・職業:会社員(正社員)
・居住地:福岡県
当時の状況を開く
小川さん:特養に入居させることを当初、「本当に父親が望んでいるのか」という葛藤がありました。最終的には「胃ろう」を造設したことで、入居させたのですが、その後から素人目にもわかるくらい肌艶が良くなっていったんですよね。やっぱり施設で適切なケアを受けたことで、しっかりとカロリーが摂取できるようになったのかなと思いますし、このあたりはなかなか在宅介護では難しい部分ではあるので、施設に入居させて良かったなと思うところです。
施設によって受け入れが分かれる医療行為
夜間のたん吸引や日常的な点滴などは、施設ごとの「看護師の配置状況」によって受け入れの可否が大きく分かれます。
特養における看護師の配置は日中のみが義務付けられているため、夜間は「オンコール(電話対応)」のみの施設が多いです。
そのため、夜間にも定期的なたん吸引や点滴の管理が必要な場合、夜勤の看護師がいない施設では安全上の理由から受け入れが難しくなります。
こうした医療行為が必要な場合は、事前に施設はもちろんのこと病院の先生やケアマネジャーと相談して対応できる施設に絞って探すことが大切です。
特養では対応できない・困難な医療行為
人工呼吸器の装着や中心静脈栄養(IVH)、頻繁な透析など、24時間の高度な医療管理が必要なケースは特養での対応は原則困難です。
特養は生活の場としての「介護」が中心の施設であり、医師の24時間常駐は義務付けられていません。配置医(嘱託医)も週に数回の回診を行う程度です。
そのため、急変のリスクが高く、常に医師や看護師による医療的な判断と処置が求められるような高度な医療行為には対応できません。

また、ALSなどの進行性の難病の方の場合、今は状態が安定していても、将来的に人工呼吸器が必要になる可能性が高いため、特養に入居してもいずれ退去せざるを得なくなります。そのため、最初から医療スタッフが手厚い「ホスピス系」の住宅型有料老人ホームを検討されることをお勧めします。
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特養で対応できない医療行為がある理由
特養で特定の医療行為ができない、あるいは入所を断られてしまうのには明確な理由があります。
施設側は「人員体制」と「法律」という2つの大きな壁があるため、安全性を考慮して受け入れをお断りせざるを得ないのです。
理由1:看護師の「24時間常駐」が義務付けられていないから
特養では、看護師の24時間常駐が法律で義務付けられていないため、夜間に高度な医療的ケアが必要な方の受け入れが難しくなります。
特養はあくまで「生活の場」としての役割が強く、日中の健康管理がメインです。
夜間は介護スタッフのみで対応する施設が大半であるため、急変リスクが高い方や、夜間も継続して医療処置(たん吸引や点滴など)が必要な方は、安全が担保できないという理由から入所を断られてしまいます。

そのため、そういった方には病院や24時間看護体制のある民間施設への転居をお勧めすることが多くなります。
理由2:介護職員ができる医療行為には法律上の制限があるから
介護職員が現場で行える医療行為は、法律によって厳格に制限されているためです。
原則として、医療行為を行えるのは医師法や保健師助産師看護師法により、医師と看護師のみと定められています。
「喀痰吸引等研修」を修了した介護福祉士などの一部の職員に限り、たん吸引や経管栄養といった特定の処置が許可されていますが、それ以外の処置は行えません。
そのため、夜間に看護師が不在となる特養において、介護スタッフがどれほど献身的にサポートしたくても、法律で許可されていない医療行為は行えないという限界が存在します。
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医療行為に対応できる特養の探し方
必要な医療行為に対応してくれる特養を探すには、ご自身の状況に合わせた適切な相談先を見つけることや、ツールを活用することが重要です。
インターネットの介護施設ポータルサイトを活用し、必要な医療行為の条件にチェックを入れて絞り込み検索を行うのと条件にあわせて効率的に探すことが可能です。
たとえば「ケアスル 介護」では、詳細な検索機能が用意されています。

希望するエリアを選択した上で、ご家族に必要な医療行為(胃ろう、在宅酸素など)の項目にチェックを入れるだけで、受け入れ実績のある特養をサクッと一覧で確認できます。
ケアスル 介護ではほかにも「相談員の無料サポート」も提供していますので、「検索してみたけど、どの施設が自分にあっているのかわからない…」というような悩みなどがあれば、相談してみてください。
また、特養は待機期間が長くなることが一般的です。自宅での介護が限界に近い場合は、特養の空きが出るまで「ショートステイ(短期入所生活介護)」などを活用して入居までの期間などをつないでみてください。
実際に待期期間を「ショートステイ」で過ごした方の体験談を紹介します。
・形式:オンラインインタビュー
・お名前:鈴木さん(仮名)
・性別:女性
・居住地:関東地方
当時の状況を開く
鈴木さん:
特養は順番待ちに時間がかかると聞いていたので、待機期間中にお父さんが2回目の骨折をして自宅退院が困難になった際には、ショートステイを利用して期間を繋ぎました。最終的に、ショートステイを利用していた施設でたまたま空きが出たため、そのまま特養への入所契約を結ぶことができました。
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医療行為が理由で特養での受け入れが難しい場合におすすめの施設
特養で必要な医療行為の受け入れが難しいと言われてしまっても、決して諦める必要はありません。
なぜなら特養を検討していた方の多くが、ご本人の状態に合わせて別の施設種別も同時に検討し、入居を決めているからです。
本章では、特養での受け入れが難しい医療依存度が高い方におすすめの3つの施設種別を解説します。
24時間看護師常駐の介護付き有料老人ホーム
夜間のたん吸引や持続的な点滴などが必要な場合は、「24時間看護師常駐」の介護付き有料老人ホームがおすすめです。
介護付き有料老人ホームのなかには、看護師が24時間体制で常駐している施設があります。
このような介護付き有料老人ホームを選べば、特養では断られやすい夜間のたん吸引や、持続的な点滴、インスリン注射などにも安全に対応してもらうことが可能です。
特養と比べると費用は高くなりますが、充実した介護と医療ケアを一体的に受けられる安心感があります。
ホスピス型の住宅型有料老人ホーム
進行性の難病や末期ガンなど、とくに医療依存度が非常に高い方には、ホスピス型(医療保険対応型)の住宅型有料老人ホームが最適です。
ホスピス型の住宅型有料老人ホームは、特定疾患や末期ガンの方の受け入れに特化しています。
訪問看護や訪問診療を手厚く利用できるため、人工呼吸器の管理やIVH(中心静脈栄養)など、特養では対応できない高度な医療ケアを受けながら生活できるのが最大の特徴です。
将来的に重度な医療処置が必要になる可能性が高い場合は、こちらの施設を検討するのがおすすめです。
介護医療院
長期的な医療ケアと介護の両方が必要な方には、特養と同等の安さで利用できる公的施設の「介護医療院」がおすすめです。
介護医療院は、医療ニーズが高い要介護者のための「公的な医療施設」です。
医師の配置が義務付けられているため、特養では対応が難しい日常的な医療処置や急変時の対応も可能でありながら、費用は月額9〜17万円程度と特養と同等の安さに抑えられるのが大きな魅力です。
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特養(特別養護老人ホーム)の医療行為についてのまとめ
本記事では、特養(特別養護老人ホーム)で対応できる医療行為のボーダーラインや、受け入れを断られてしまう理由、そして特養以外の選択肢について解説しました。
【本記事の重要なポイント】
- 特養は「胃ろう」や「インスリン注射」など日中対応可能なケアは受け入れやすい
- 「夜間のたん吸引」や「人工呼吸器」など24時間体制が必要な医療行為は原則困難
- 特養で断られた場合は、ショートステイでつないだり、他施設を検討するのが王道
- 医療依存度が高い場合は、介護付き有料老人ホームや介護医療院への方針転換も検討する
特養は費用が安く魅力的な施設ですが、医療に特化した施設ではないため、ご本人の状態によってはどうしても入所が難しいケースがあります。
「絶対に特養に入れたい」と固執しすぎず、必要に応じて有料老人ホームや介護医療院などの最適な施設へ柔軟に方針転換することが大切です。
ぜひ本記事を参考にご本人の状態に合ったぴったりの施設を見つけてみてください。