特別養護老人ホームは公的な介護施設なので費用が安いのが魅力ですが、費用負担を軽くする公的な制度があります。
- 減免制度って何種類あるの?
- 減免制度でどれくらい負担が軽くなるの?
- 減免制度ってどこで申し込めばいいの?
など費用の減免制度一つとってもいろいろな躓きやすいポイントがあります。
本記事では特別養護老人ホームの費用の減免制度の内容から適用条件、どの程度負担が軽くなるのかまで徹底解説していきます。

特別養護老人ホーム(特養)の6つの費用減免制度とは
まず最初に特別養護老人ホームの費用を減免する制度一覧を紹介していきます。それぞれの減免制度で減免の対象となる費用項目から制度概要、申し込み方法について確認しましょう。
上記のように特別養護老人ホームの費用減免制度は6つあります。それぞれ対象となる費用項目や条件が異なるので、次章以降で詳しく解説していきます。
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【判定】特別養護老人ホーム(特養)の費用で最も減免効果が高い制度は?
ここまで6つの制度を紹介しましたが「一体自分はどれを使うべきか」とで迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
実は各制度について、誰にとっても一番効果が高い制度はありません。適用条件が制度ごとに違うためです。
世帯の課税状況・本人の年金収入・預貯金額・要介護度・居室タイプの組み合わせで、効く制度が入れ替わります。
そこで、いくつかの質問に答えると、あなたの場合に月額いくら下がるのかを計算し、減免制度を効果の大きい順に3つ表示してくれる判定ツールをご用意しました、制度の知識は必要ありません。
生活保護を受けている方なら3問、住民税が非課税の世帯なら9問で終わります。
特養の費用を安くする制度は6つありますが、条件が人によって違うため、誰にとっても一番効く制度というものはありません。いくつかの質問に答えると、あなたの場合に月額いくら下がるかを計算して、効果の大きい順に3つお伝えします。
- 本判定は、公表されている基準額をもとにした簡易的な概算です。実際の金額は施設・自治体・加算の有無によって異なります。
- 介護サービス費は基本報酬のみを1単位10円で計算しており、地域区分(10.00〜11.40円)や各種加算は含んでいません。1か月は30日として計算しています。
- 制度の適用可否は最終的に市区町村が審査して決定します。申請の前に、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口か、担当のケアマネジャーに必ずご確認ください。
- 金額の根拠:厚生労働省「介護保険最新情報 Vol.1506」(令和8年8月からの負担限度額・基準費用額)/「介護報酬の算定構造」(令和8年6月施行)/国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき」。
・表示される金額は概算です。1か月30日・1単位10円で計算しており、地域区分や施設ごとの加算は含みません。
・適用できるかどうかを最終的に決めるのは、お住まいの市区町村です。申請が通ることを保証するものではありません。
・毎月の請求額が下がる制度と、あとからお金が戻る制度が混ざっています。医療費控除は確定申告で税金が軽くなる制度です。
※本ツールと本記事の金額は、介護保険最新情報 Vol.1506(令和8年8月1日からの負担限度額・基準費用額)と、介護報酬の算定構造(令和8年6月改定)にもとづいて計算しています。
※改定されたばかりのため、他のサイトでは食費が1日1,445円など、旧年度の金額のまま解説されている場合があります。
※負担限度額・基準費用額および介護報酬は執筆時点(2026年9月)の情報です。
①医療費控除
まず初めに紹介する特別養護老人ホームで利用できる減免制度は、「医療費控除」です。概要と申請方法について解説します。
制度の概要
医療費控除とは、支払った医療費が一定額を超えた場合に申請をすれば翌年の税金を抑えられる制度です。
以下3つの支払った費用のうち半分に相当する額が、特別養護老人ホーム医療費控除の対象です。
- 介護サービス費
- 食費
- 居住費
適用条件
その年の1月1日から12月31日までの間に本人と家族のために支払った医療費が一定額を超えた場合に受けることができます。
特別養護老人ホームの場合は、介護サービス費、居住費および食費の自己負担額の1/2に相当する額とおむつ代が医療費控除の対象になります。
出典:国税庁「医療費控除の対象となる介護保険制度下での施設サービスの対価」
一定額は10万円です(その年の所得が200万円未満の方は、所得の5%)。
申告するのは、特養の費用を実際に払った人です。
別々に暮らしていても、仕送りで親の生活費を出していれば「生計を一にする」にあたります。
子が払った特養の費用は、子の医療費控除に含められます。
所得税が源泉徴収されていない親が申告しても、戻る税金はありません。
たとえば第2段階・要介護3・従来型多床室で1年間入所した場合、対象額は約24万円です。
高額介護サービス費の払い戻し分を差し引いた額で、10万円を超えます。
出典:国税庁 No.1120・No.1180・No.2030
申請方法
医療費控除は、特養の費用を払った人が、翌年に確定申告をして受ける制度です。
毎月の支払いは変わらず、確定申告をすると所得税が戻るか、納める額が減ります。
STEP①:必要なものをそろえる
申告には、医療費控除の明細書と本人確認書類が必要です。
出典:国税庁「医療費を支払ったとき(医療費控除)」、国税庁「医療費控除の対象となる介護保険制度下での施設サービスの対価」

出典:国税庁ホームページ(PDFを画像にして掲載)
高額介護サービス費の払い戻しを受けた場合は、払い戻し額の2分の1を差し引いて計算します。
STEP②:翌年に税務署へ確定申告する
申告の期間は、翌年2月16日〜3月15日です。
税金が戻るだけの申告(還付申告)は、翌年1月1日から5年間出せます。
申告書は、住んでいる地域の税務署に出すか、自宅からe-Taxで送ります。
e-Taxでマイナポータル連携を使うと、病院の医療費(保険診療分)を自動で取り込めます。
②特定入所者介護サービス費
2つ目に紹介する減免制度は特定入所者介護サービス費です。概要や対象者について詳しく解説していきます。
制度の概要
特定入所者介護サービス費とは、特別養護老人ホームなどの介護保険施設における居住費と食費の負担限度額が、所得や預貯金等の資産に応じて4段階で定められており、これを超えた分が介護保険から給付される制度です。
つまり、所得が低い方から順に多くの介護保険の給付がされていくので、自己負担額も所得の低いから方順に少なくなっていきます。言い換えれば、所得や預貯金による4段階ごとに居住費と食費が定められている制度ともいえます。
適用条件
所得の要件は、本人を含む世帯全員が市町村民税非課税であることです。市町村民税が課税される世帯は特定入所者介護サービス費支給の対象となりません。なお、世帯を分離している配偶者も同じ世帯として扱われるため、夫婦間で世帯を分けても要件は変わりません。さらに、サービスを受ける本人の公的年金収入額とその他の合計所得金額が、82万6,500円以下、82万6,500円超~120万円以下、120万円越の3つの段階に分かれます。
この基準額は毎年度の年金額改定に合わせて見直されており、令和8年8月に80万9,000円から82万6,500円に引き上げられました。
預貯金等の要件は、配偶者がいる場合は合計2,000万円以下、単身の場合は1,000万円以下の方が対象となります。段階によって金額が異なることに注意しましょう。
所得および預貯金等の要件ごとの段階は以下のとおりです。
預貯金等に含まれる資産は?
預貯金等に含まれる資産は、預貯金、有価証券(株式、債券等)、金銀、投資信託、タンス預金(現金)の合計金額となります。また、ローンなどの負債がある場合はそれらを差し引きます。それぞれの確認方法は、通帳の写しや証券会社や銀行口座の残高の写し、タンス預金など現金の場合は自己申告で行います。
減免額
段階および居室タイプごとの負担限度額、食費の負担限度額は以下のとおりです。令和8年8月1日から、第3段階①・②に該当する方の食費が日額30〜60円、居住費が日額100円引き上げられました。
※第4段階の額は「基準費用額」で、減免を受けない場合に負担する標準的な金額です。
出典:厚生労働省「介護保険最新情報 Vol.1506(令和8年8月からの特定入所者介護(予防)サービス費の見直し等に係る周知への協力依頼について)」
多床室と呼ばれる相部屋タイプの費用が最も安く、第1段階では居住費と食費の合計が1か月を30日とした場合9,000円の負担であることがわかります。また、以下の図は要介護3で多床室に入所した場合の居住費と食費を含めた段階別の総額です。
※介護保険サービスの利用者負担割合を1割として計算しています。
上記のように段階によって特別養護老人ホームの費用は大きく変わるため、自身の所得段階を確認し第1~第3段階に該当している場合は申請を行いましょう。
申請方法
特定入所者介護サービス費は、市区町村で「負担限度額認定」を受け、認定証を特養に見せると受けられます。
認定を受けた後の更新は、⑥負担限度額認定制度の申請方法をご覧ください。
STEP①:必要なものをそろえる
申請には、申請書・同意書と、本人と配偶者の預貯金がわかる書類が必要です。
※必要な書類は市区町村によって異なります。

出典:厚生労働省ホームページ「介護保険最新情報 Vol.1532」別添様式1(該当ページを画像にして掲載)
偽りの申告で減額を受けた場合は、減額分に加えて最大2倍の加算金の返還を求められることがあります。
STEP②:市区町村の介護保険の窓口に申請する
申請先は、被保険者証に書かれた市区町村の介護保険の窓口です。
窓口のほか、郵送や電子申請で受け付ける市区町村もあります。
入所が決まった段階で、入所前でも申請できます。
本人のほか、家族も申請書を出せます。
施設が申請書を取りまとめて出す市区町村もあります。
認定は、申請した月の1日にさかのぼって有効になります。
入所した翌月に申請すると、入所した月の分は減額されません。
入所が決まったら、入所する月のうちに申請しましょう。
審査で認められると「負担限度額認定証」が届きます。
③高額介護サービス費
特別養護老人ホームの費用減免制度の3つ目は高額介護サービス費です。制度の概要や適用条件について解説していきます。
制度の概要
高額介護サービス費とは、1か月に支払った介護サービス費の自己負担額の合計が、所得によって定められた負担限度額を超えた場合は超えた分が払い戻される制度です。
参考:厚生労働省「令和3年8月利用分から高額介護サービス費の負担限度額が見直されます」
適用条件
高額介護サービス費は、すべての所得に応じた6つの区分で利用者負担の上限額を設定しています。
例えば、生活保護を受給している方は負担限度額が15,000円と定められているので、特別養護老人ホームの介護サービス費の利用者負担額が1か月25,000円だった場合は10,000円が払い戻されます。
なお、上限額そのものは令和3年8月から変わっていませんが、非課税世帯の所得区分を分ける基準額は令和8年8月に80万9,000円から82万6,500円へ引き上げられました(介護保険最新情報 Vol.1516)。
具体的な区分については以下の表のとおりです。
特養の居住費・食費は含めず、介護サービス費の自己負担だけで上限を超えるかを判定します。
上限1万5,000円の方は、要介護1・従来型の基本料金(1万7,670円)でも上限を超えます。
上限2万4,600円の方は、従来型の要介護5と、ユニット型の要介護4・5で上限を超えます。
加算がつくと自己負担が増えるため、ほかの要介護度でも上限を超えることがあります。
※要介護度・居室タイプ別の介護サービス費は、次の「減免額」の表のとおりです。
減免額
払い戻しによって支給される額は毎月の介護サービス費の負担限度額を超えた分となります。居室タイプ・介護度別の介護サービス費の自己負担額は以下の一覧表のとおりです。
※特別養護老人ホームは要介護3以上が入所の対象ですが、特例入所の場合もあるため要介護1・2も記入しています
※自己負担割合1割の場合。令和8年6月施行の基本報酬(1単位10円・30日)で計算しており、地域区分による割増や各種加算は含みません
出典:厚生労働省「介護報酬の算定構造(令和8年6月改定)」
上記の表で入居する居室タイプと要介護度から介護保険サービスの自己負担額を確認、その後区分別の負担限度額を差し引いた分が高額介護サービス費の支給額となります。
申請方法
高額介護サービス費は、市区町村から届く申請書を返送すると、上限を超えた分が口座に振り込まれます。
2回目以降は、原則として初回に指定した口座へ自動で振り込まれます。
STEP①:必要なものをそろえる
申請には、届いた申請書と、振込先の口座がわかるものが必要です。
※必要な書類は市区町村によって異なります。
STEP②:届いた申請書を市区町村に返送する
申請書は、利用した月のおおむね3〜4か月後に届きます(市区町村による)。
記入して、市区町村の介護保険の窓口に返送します。
申請の期限は2年です。
電子申請や、公金受取口座の指定ができる市区町村もあります。
毎月の支払いが減る制度ではなく、いったん全額を払ったあとに戻る制度です。
④高額医療・高額介護合算療養費制度
続いては、特別養護老人ホームで利用できる4つ目の軽減制度である高額医療・高額介護合算療養費制度について解説していきます。
制度の概要
高額医療・高額介護合算療養費制度とは、医療保険と介護保険の両方のサービスを利用している世帯に対して1年間に支払った各保険制度の自己負担額の合計額が、各所得区分ごとの負担限度額を超えた場合は超えた額が支給される制度です。
基本的な考え方としては高額介護サービス費と似ていますが、高額医療・高額介護合算療養費制度のポイントは1年間で限度額が決められている点と、同じ医療保険制度に加入している家族は合算できる点です。また、高額介護サービス費として支給された分は合算の対象外です。
適用条件
高額医療・高額介護合算療養費制度は医療保険と介護保険の両方における利用者負担が発生している世帯が対象となっており、70歳未満の人がいる世帯、70歳以上の人がいる世帯でそれぞれ所得区分が定められています。
出典:厚生労働省「介護サービス情報公表システム」
高額医療・高額介護合算療養費制度の各区分の負担限度額は上記のとおりです(平成30年8月から据え置き)。特別養護老人ホームで支払った介護保険の自己負担額以外にも医療保険で支払いをした場合は、自己負担額の合計が上記の表を上回った分は申請して超えた額を支給してもらうことができます。
なお、特別養護老人ホームの居住費・食費は合算の対象外です。合算できるのは介護保険と医療保険の自己負担額に限られる点に注意しましょう。計算期間は毎年8月1日から翌年7月31日までの1年間です。
支給されるのは、自己負担の合計が限度額を500円より多く超えた場合です。
たとえば、後期高齢者医療に入っている住民税非課税で年金収入80万円以下の方(本人のみ)の限度額は、年19万円です。
毎月の介護サービス費の負担が上限の1万5,000円なら、介護分だけで1年に18万円になります。
通院や入院の自己負担が1年で1万500円を超えると、支給の対象になります。
出典:全国健康保険協会(協会けんぽ)、東京都後期高齢者医療広域連合
申請方法
高額医療・高額介護合算療養費は、翌年に届くお知らせと申請書を医療保険の窓口に出すと、限度額を超えた分が振り込まれます。
STEP①:必要なものをそろえる
申請には、申請書と医療・介護の保険証、振込先の口座がわかるものが必要です。
出典:東京都後期高齢者医療広域連合、横浜市、大阪市
※必要な書類は、加入している医療保険や地域によって異なります。
STEP②:7月31日時点で加入している医療保険の窓口に申請する
お知らせと申請書は、翌年3月ごろ以降に届きます(地域によって異なる)。
申請の期限は2年で、数え始める日は加入先の案内で確認します。
加入している医療保険ごとの申請先は、次のとおりです。
- 後期高齢者医療・国民健康保険:市区町村の担当窓口。医療分と介護分を1回でまとめて申請できる
- 健康保険組合・協会けんぽなど:加入している健康保険。介護分の自己負担額証明書が必要な場合は市区町村で発行
支給は、医療分と介護分が別々に振り込まれます。
別の市区町村の特養に入所した方や、期間中に75歳になった方には、お知らせが届かないことがあります。
お知らせが届かなくても、加入している医療保険の窓口で申請できます。
⑤社会福祉法人などの利用者負担減免制度
特別養護老人ホームで利用できる5つ目の減免制度は社会福祉法人などの利用者負担軽減制度です。制度の概要や適用条件について詳しく解説していきます。
制度の概要
社会福祉法人などの利用者負担減免制度とは、低所得で生計が困難な方に対して介護保険サービスの利用促進を図るために、特別養護老人ホームなどの介護サービスの提供者に対して自治体が補助金を出すことによって利用者負担を減免する制度です。
特別養護老人ホーム以外にも訪問介護や通所介護など社会福祉法人が運営している介護保険サービスを利用している利用者が制度の対象となります。
適用条件
社会福祉法人などの利用者負担減免制度の適用条件は以下の5つの要件をすべて満たす方のうち、収入や世帯の状況、利用者負担などを総合的に勘案して生計が困難と自治体が認めた方となります。
- 年間収入が単身世帯で150万円、世帯員が1人増えるごとに50万円を加算した額以下であること。
- 預貯金等の額が単身世帯で350万円、世帯員が1人増えるごとに100万円を加算した額以下であること。
- 日常生活に供する資産以外に活用できる資産がないこと。
- 負担能力のある親族等に扶養されていないこと。
- 介護保険料を滞納していないこと。
出典:厚生労働省「社会福祉法人等による利用者負担減免制度について 」
この制度を利用するうえで、とくに見落としやすい注意点が2つあります。
- この軽減を実施すると申し出ている社会福祉法人の施設に限られます。制度自体を実施していない自治体や、実施を申し出ていない法人もあるため、入居を検討している施設が対象かどうかを事前に確認しましょう。
- 4つ目の要件にあるとおり、住民税を払っている方の扶養に入っている場合は対象外です。お子さんが税金の申告で入居する方を扶養親族にしている場合、この制度は使えません。①医療費控除をお子さんが受ける場合とどちらが得かを比べて判断しましょう。
食費・居住費の減免を受けるには、負担限度額認定も受けている必要があります。
実施している施設の一覧を、ホームページで公開している市区町村もあります(大阪市・世田谷区など)。
一覧がない場合は、入所する特養に直接確認しましょう。
出典:厚生労働省の実施要綱、大阪市、世田谷区
減免額
特別養護老人ホームの場合は介護保険サービスの自己負担額、居住費および食費が減免の対象となり、利用者負担の1/4(老齢福祉年金の受給者は1/2)を原則とします。
なお、老齢福祉年金の受給者の場合は1/2が減免されるので、非常に安い費用で特別養護老人ホームに入居することが出来るのが特徴です。
申請方法
社会福祉法人などの利用者負担減免制度は、市区町村から「確認証」を受け取り、特養に見せると受けられます。
STEP①:必要なものをそろえる
申請には、確認申請書と収入などの申告書、通帳の写しなどが必要です。
出典:厚生労働省の実施要綱、横浜市、大阪市
※書類の名前と添付する書類は、市区町村によって異なります。
STEP②:市区町村の担当窓口に申請する
確認証は、原則として申請した月の1日から有効です。
提出の方法(窓口・郵送・電子申請)は、市区町村によって異なります。
本人のほか、家族や施設が申請書を出せる市区町村もあります。
対象と認められると「確認証」が届くので、特養に見せて減免を受けます。
有効期限は7月31日で、毎年更新の申請が必要です。
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⑥負担限度額認定制度
特別養護老人ホームで利用できる6つ目の減免制度は負担限度額認定制度です。以下に制度の詳細をわかりやすくまとめます。
制度の概要
「負担限度額認定制度」とは、介護保険施設(特養・老健・介護医療院など)を利用する方のうち、住民税が非課税で、資産も一定以下の方に対して、
施設サービスにかかる食費と居住費の自己負担額を、国が定めた「限度額」まで軽減する制度です。
この制度は、施設に支払う日額が段階ごとの上限に設定されるため、通常よりも数万円単位で費用を抑えることが可能です。
適用条件
負担限度額認定制度の適用対象となるには、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。
- 本人を含む世帯全員が住民税非課税であること(世帯を分離している配偶者も同じ世帯として扱われます)
- 預貯金等の保有額が以下の基準を下回っていること
– 単身世帯:1,000万円以下
– 夫婦世帯:2,000万円以下 - 市区町村へ申請を行い、「負担限度額認定証」を取得していること
また、判定においては資産の内訳(現金・預金・株式など)や、世帯構成も考慮されるため、世帯分離を行って単身世帯にしておくと制度の対象になりやすくなるケースもあります。
前回は対象外でも、世帯分離や収入・預貯金の変化で条件を満たせば、あらためて申請できます。
減免額
施設サービスの食費・居住費が、所得状況に応じた「負担限度額」まで軽減されます。負担区分は第1〜第4段階に分かれており、例えば次のように減額されます:
※令和8年8月1日からの金額です。減免後の金額の幅は、第1段階から第3段階②までの負担限度額の範囲を示しています。段階ごとの正確な金額は②特定入所者介護サービス費の表をご覧ください。
申請方法
負担限度額認定は、認定証を特養に見せて使い始め、毎年7月31日の期限前に更新します。
初めて申請するときの手順と書類は、②特定入所者介護サービス費の申請方法をご覧ください。
STEP①:認定証を特養に見せる
認定証を見せないと、居住費と食費は減額されません。
認定証が届いたら、介護保険被保険者証と一緒に特養に見せます。
STEP②:毎年7月31日までに更新する
認定証の有効期間は8月1日〜翌年7月31日で、8月以降も減額を受けるには毎年更新の申請が必要です。
更新の申請先は、被保険者証に書かれた市区町村の介護保険の窓口です。
更新用の申請書を郵送する市区町村もあります(横浜市は5月上旬に送付)。
出典:介護保険法施行規則、横浜市「介護保険の負担限度額認定証の更新手続き」
更新しないまま8月を迎えると、居住費と食費は減額のない金額に戻ります。
更新の申請書が届かなくても、更新の申請はできます。
横浜市のように、ホームページで申請書の様式を配っている市区町村もあります。
施設が更新の申請書を取りまとめて出す市区町村もあります。
6つの減免制度以外で費用を安くする方法
前章までで紹介した6つの減免制度以外に、特養の費用を安くする方法をご紹介します。方法としては以下の方法が挙げられます。
- 多床室を利用する
- 生活保護を受ける
- 世帯分離する
それぞれについて詳しく解説しましょう。
①多床室を利用する
特別養護老人ホーム(特養)の居室は、主に下記の4タイプに分かれています。
- 従来型多床室
- 従来型個室
- ユニット型個室
- ユニット型個室的多床室
介護サービス費は介護保険が適用され、介護度で決まっています。また、収入によって自己負担割合が1〜3割となります。
また、従来型かユニット型かで料金が違い、ここでは個室と多床室での違いはありません。
居室ごとの費用一覧
※特別養護老人ホームは要介護3以上の人が入所できる施設ですが、特例として要介護1.2の人が認められる場合があるため掲載しています。
※令和8年6月施行の基本報酬(1単位10円・30日)で計算しており、地域区分による割増や各種加算は含みません。
居住費は4つの居室タイプで料金が変わり、食費は全国一律料金(1,545円/1日)となります。こちらは介護度による違いはありません。まとめると下記の表になります。
※令和8年8月1日からの基準費用額です。
「介護サービス費」「居住費」「食費」すべてをまとめると下記の表になり、結論として従来型多床室が一番安いことがわかります。
これにより、一番安い従来型多床室と一番高いユニット型個室では月3万7,000円ほどの差があることがわかります。
ユニット型は、10部屋ほどの居室がリビングを囲むように配置され、少人数のユニットケアを実施しています。一人ひとりに寄り添った個別ケアを実現する新しいタイプで、現在新築で建てられている特養はユニット型となります。
ユニット型個室は、建物が新しく、プライバシーが守られ、個別ケアを実施するためスタッフの数も多くなります。
一方、従来型多床室とは、1つの部屋をカーテンなどで仕切り通常4人で利用する居室で、病院などに近いイメージです。古くからあるタイプのもので建物も古いところが多いです。
また、従来型は、建物の造りがユニット型と違い細かい空間に分かれていないため、声かけや夜間の見守りなどがしやすく、部屋の移動が少なくてすむなど、介護士はケアの効率化を図ることができます。
建物が古くプライバシーの確保が難しいという入居者が不都合に感じる理由だけでなく、介護サービスの提供に必要な人件費を抑えることができることから、従来型多床室は低価格な費用での利用が可能となっています。
実際にはどれくらい安くなる?
特別養護老人ホーム(特養)で必要となる月額費用は、居室タイプと介護度で変わることがわかりました。さらに、次に説明する特定入所者介護サービス費の減免制度により、市町村民税非課税世帯は費用が安くなります。
具体的には下記の表になります。市町村印税非課税世帯の段階分けの具体的な要件については、次の章の「特定入所者介護サービス費」で説明していますので、参考になさってください。
以上より、特別養護老人ホーム(特養)の費用を安くしたい場合は、従来型多床室を利用することがおすすめです。
またそのほかの居室タイプを利用する場合も、本人の介護度や、世帯の所得状況など把握し、必要となる費用をしっかりと確認しておきましょう。
②生活保護を受ける
あらゆる制度を検討したうえで、それでも介護にかかる費用が払えない場合、生活保護を受けるという手段があります。
特別養護老人ホーム(特養)は、生活保護を受けている方も入所が可能となっており、必要となる費用は支給される保護費のなかでまかなうことができます。
しかし、生活保護を受けたら、すべてのサービスが制限なく利用できるというわけではありません。
あくまで健康で文化的な最低限度の生活を保障するため、利用できるのは指定の介護支援事業者が作成する計画書に基づく介護サービスとなるので、理解しておきましょう。
生活保護の受給対象となる方は、以下の条件を満たした方です。
- 世帯収入が厚生労働省の定める最低生活費に満たない方
- 高齢や障害などのやむを得ない事情で、働いて収入を得ることができない方
- 生活の援助をしてくれる三親等以内の親族がいない方
- 持ち家や車など、資産を所有していない方
- 公的融資制度や公的扶助の対象外になること
「生活保護受給者は特養に入居できるのか知りたい」「生活保護受給者が特養に入居する際の流れが知りたい」という方は、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

③世帯分離する
世帯分離とは、同じ住所に住んでいる親族を住民票上で別世帯に分ける手続きのことです。世帯分離は、制度上の正式な減免制度ではなく、結果的に費用を下げる「裏ワザ」的な手段として有効な場合があります。
なぜ有効なのか
通常、親が子と同じ世帯だと、子の所得によって「世帯全体」が課税世帯扱いになり、親本人の所得が低くても制度の対象外となってしまうことがあります。
世帯分離を行うことで、親のみの収入・資産で審査されるようになるため、非課税世帯扱いになりやすく、制度適用の可能性が高まるのです。
注意点
世帯分離の注意点に関しては以下の4つが挙げられます。
- 意図的な不正扱い
- 他制度への影響
- 認定されない可能性
- 配偶者には効果がない
とくに4つ目は見落としやすいポイントです。負担限度額認定制度では、世帯を分離している配偶者も同じ世帯として扱われます。そのため、夫婦間で世帯分離をしても段階は下がりません。効果があるのは、子など配偶者以外のご家族と同じ世帯になっている場合です。
虚偽の申告や形式上のみの分離が問題視される場合があるため、意図的な不正扱いには注意が必要です。また、他の国保・介護保険料・医療費助成・税金などに影響が出る場合があるため、その影響に関しては事前に確認が必要です。さらに、あくまで収入・資産要件を満たしていることが前提となるため、世帯分離しても認定されないケースもあることを覚えておきましょう。
手続きの流れ
手続きの流れとしては以下のような流れになっているので、確認したうえで世帯分離を検討しましょう。
- 市区町村窓口で住民票の「世帯分離」の手続き
- 分離後、改めて負担限度額認定の申請を行う
- 認定されれば、施設に提出することで費用が軽減される
ピッタリの施設を提案します
ピッタリの施設を提案します
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特別養護老人ホーム(特養)の費用減免制度のまとめ
特別養護老人ホームの費用の減免制度は以下の6つあります。
- 特定入所者介護サービス費
- 高額介護サービス費
- 高額医療・高額介護合算療養費制度
- 社会福祉法人などの利用者負担減免制度
- 医療費控除
- 負担限度額認定制度
それぞれ居住費および食費を減免できる制度から、介護サービス費を含めたすべての費用を減免できるものまで様々な制度があります。
これらの制度の利用には申請期限が設けられているものもあるので、すでに特別養護老人ホームに入所している場合は忘れずに申請するようにしましょう。
参考リンク
- 厚生労働省「介護保険最新情報 Vol.1506(令和8年8月からの特定入所者介護(予防)サービス費の見直し等)」https://www.mhlw.go.jp/content/001706483.pdf
- 厚生労働省「介護報酬の算定構造(令和8年6月改定)」https://www.mhlw.go.jp/content/001675193.pdf
- 厚生労働省「令和3年8月利用分から高額介護サービス費の負担限度額が見直されます」https://www.mhlw.go.jp/content/000334526.pdf
- 厚生労働省「サービスにかかる利用料(介護サービス情報公表システム)」https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html
- 厚生労働省「社会福祉法人等による利用者負担減免制度について」https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/kaigi/050907/dl/02.pdf
- 国税庁「No.1125 医療費控除の対象となる介護保険制度下での施設サービスの対価」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1125.htm
- 国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm
※本記事の費用は、令和8年8月1日時点の負担限度額・基準費用額と、令和8年6月施行の介護報酬(1単位10円・30日)にもとづく金額です。
「特定入所者介護サービス費」や「高額介護サービス費」などの費用減免制度が6つあります。それぞれ対象となる費用項目や条件が異なり、どれが最も効果的かは世帯の課税状況・年金収入・預貯金額によって変わりますので、判定ツールでお確かめください。
制度により申請窓口や提出期限が異なります。申請条件等も異なりますので、詳しくはこちらをご覧ください。