人生の最期は、どのように迎えたいですか?高齢化が進む日本では、看取りケアに注目が集まり始めています。
「人生の最期はできるなら住み慣れた自宅で…」と願う方が多いのではないでしょうか?しかしながら、その願いを叶えられるのは極少数の方です。
それでも、医療的なケアを望まず有意義に最期の時を迎えたいと希望する方に、介護付き有料老人ホームでの看取りケアがあります。
この記事では、介護付き有料老人ホームの看取りに注目して、看取りケアの内容や流れを紹介します。悔いの残らない最期を迎えるためには何が必要なのか、ぜひ参考にしてください。

介護付き有料老人ホームで看取りはできる?
介護付き有料老人ホームでは、看取りケアを受けることが可能です。
ただし、すべての介護付き有料老人ホームが看取りに対応しているわけではなく、対応している施設もあるという認識が正しいと言えます。
老人保健健康増進等事業によって行われた調査(2020年)では、「ホームで亡くなりたい」という希望があれば看取りを受け入れると答えた介護付き有料老人ホームの割合は、約55%以上となっており、半数以上の介護付き有料老人ホームが看取りケアに対応していることが分かっています。(出典:老人保健健康増進等事業「介護老人福祉施設における看取りのあり方に関する調査研究事業報告書」)
とは言え、約半数の介護付き有料老人ホームは看取りに対応していない可能性があるため、看取りに対応している介護付き有料老人ホームへの入所を検討している方は、事前に看取りに対応しているか確認しておくと安心です。
また、看取りに対応している介護付き有料老人ホームを探しているという方はケアスル介護で探すのがおすすめです。
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介護付き有料老人ホームで行われる看取りとは
看取りケアとは、医師の指示に従って苦痛を和らげながら自分らしく穏やかな最期を迎えることを支援するケアで、食事や排泄の介助など「日常生活のケア」が中心となります。
介護付き有料老人ホームで行われる看取りケアは、以下の4つです。
- 身体に関するケア
- 精神面に関するケア
- 医療ケア
- ご家族に対するケア
以下では、それぞれについて詳しく解説します。
身体面に関するケア
介護付き有料老人ホームで行われる身体面に関するケア内容は、以下の通りです。
- 体温や血圧などのバイタルチェック
- 排泄介助
- 口腔ケア
- 清拭や入浴介助
- 床ずれ(褥瘡)のケア
- 体位変換
- 栄養・水分補給のケア
- 居室の環境整備
- 定期的な居室巡回
終末期の方の身体はとても繊細です。栄養も十分に摂取・吸収できないため、些細なきっかけで傷ができてしまい、回復も非常に遅くなっています。そんな中で介護を行うのは至難の業です。
ですが、介護施設職員は、看取りのための研修によって本人への負担を減らすケア方法を身につけているため、安心感があります。
また、ご本人の些細な変化にも気づけるよう、日々のバイタル確認やコミュニケーションを徹底しています。日常的に関わりを多く持つからこそ、小さな変化にも気付き、迅速に対応できるのです。
精神面に関するケア
介護付き有料老人ホームで行われる精神面に関するケア内容は、以下の通りです。
- 円滑なコミュニケーション
- 入居者のプライバシーの尊重
- スキンシップをとる
- 入居者が安心できる環境整備
慣れない環境での生活や介護は、不安や孤独感を感じやすいものです。そのため、入居者が安心して生活を送れるように、できるだけ近くで見守るケアが大切になります。
コミュニケーションやスキンシップは、精神面において安定を図るのに適した方法で、精神的苦痛の緩和につながります。
医療ケア
介護付き有料老人ホームで行われる医療ケアに関するケア内容は、以下の通りです。
- 酸素吸入などの看護処置
- 必要時の鎮痛剤や抗不安剤の投与
※医師の指示に基づいた医療ケアを行う
看取りに対応する介護付き有料老人ホームでは、24時間体制で看護職員と連絡が取れる体制を取っているため、医師の指示がある場合には、必要に応じて看護師による医療ケアが行えます。
病状によっては、強い痛みをともなう場合も考えられるため、看護師による医療ケアを行ってもらえるのは、安心できるメリットといえるでしょう。
ご家族に対するケア
介護付き有料老人ホームで行われるご家族に対するケア内容は、以下の通りです。
- ご家族の身体的・精神的な苦痛への配慮
- ご家族が希望する内容への対応
- 専門職種ならびに専門機関に相談できる環境の整備
- 入居者が亡くなったあとの支援(グリーフケア)
大切なご家族が亡くなる状況は、理解していても身体的・精神的に非常に大きなストレスがかかります。
また、入居者の方の状態が悪化していく姿を見守る中で、ご家族の方が不安定な状態になるケースも考えられます。
看取りケアでは、入居者であるご本人だけでなく、支えるご家族に目を向けたケアはとても重要です。
介護付き有料老人ホームの入居から看取りまでの流れ
それでは、介護付き有料老人ホームでは入居してから看取りまで、どのような流れでケアが行われるのでしょうか。
具体的な流れを事前に把握すると、入居のあとのイメージがしやすくなりますので確認してみましょう。
時期 | 入居者の状態や状況 |
---|---|
適応期 |
|
安定期 |
|
不安定期 |
|
終末期 |
|
看取り期 |
|
介護付き有料老人ホームにおける看取りの流れは、適応期〜看取り期まで大まかに5つの期間に分けられています。
看取りケアを行うにはご本人またはご家族の同意が必要です。早い段階から入居者であるご本人の意向を確認し、ご家族と共有しながらケアを行う必要があります。
以下では、適応期から看取り期までの流れを紹介します。
介護付き有料老人ホームへ入所
施設に入所してから1ヶ月ほどの時期を適応期と呼びます。施設での過ごし方を決め、施設での生活に慣れていく時期です。介護施設での看取りを検討している場合は、看取りできる施設か、事前に確認しておきましょう。
また、ご本人の状態にもよりますが、終末期であると医師の診断が必要なため、この時点で看取りを希望しても対応できない可能性が高いです。入所契約書や重要事項説明書に看取り指針が記載されている場合が多いため、一度目を通しておきましょう。
安定期から終末期への移行
適応期のあとは安定期と呼ばれ、施設内でご本人の心身の状態が安定する時期に移行します。しばらく安定期が続くと、病気や怪我、老化によってご本人の状態が不安定もしくは悪化していく時期がきます。
悪化の速度は個人差が大きく、期間は定まっていません。進行状態を踏まえ、主治医により「終末期」との診断が下ります。
具体的には、食事を食べられない、体重の減少が著しいなどの状態で診断が下りやすいです。その際は医師や施設から改めてご本人の状態を説明し、今後の方針をご本人やご家族に伺います。
ご家族の気持ちの整理や意思の統一を図る時間を設けるため、早めに診断する医師もいますが、食事を食べられなくなってから診断する場合もあります。急な判断を求められる可能性があるため、ご本人の状態の悪化が見られたら、看取りについて一度検討しておくとよいでしょう。
看取り契約
施設での看取り対応の説明があり、終末期をどこでどう過ごしたいか、ご家族の中で意思の統一はできているか確認が行われます。ご家族でまだ話し合いがなければ一度話し合いを求められるでしょう。
施設で看取る意向があれば、書面にて署名を行います。これを「看取り契約」と呼びます。施設での看取りについて、ご本人及びご家族に説明と同意を行いましたとの証明です。意思さえはっきりしていれば気負う必要はありません。親族内で意思の統一が行えていないとトラブルになるため、事前のしっかりとした話し合いが大切です。
看取り
契約後、看取るまでの期間を看取り期と呼びます。契約後は、救急搬送などの積極的な治療は行いませんが、ご本人とご家族の意向を尊重した対応を行い、最期の瞬間まで見守ります。
この時期は、いつ亡くなってもおかしくはないため、心の準備をしておきましょう。ご本人と関わる時間を多く持つと、双方の気持ちの整理ができ、後悔も少なくなります。なかなか気持ちの整理がつかない場合は、施設の相談員やケアマネージャーに相談してみましょう。
介護付き有料老人ホームの看取りに必要な費用とは
介護付き有料老人ホームでは、看取りケアに対して「看取り介護加算」の算定が認められているため、介護付き有料老人ホームで看取りケアを受ける場合には、通常の費用に加えて追加の費用が必要になります。
看取り介護加算は、2006年の介護報酬改定の際に創設されたもので、内容としては、回復の見込みがないと判断された入居者の方に対して、ご本人が思い描く最期を迎えられるように、より手厚いサポートを行う目的で支援する場合に算定される加算です。
また、看取り介護加算には「看取り介護加算Ⅰ」と「看取り介護加算Ⅱ」の2種類があり、入居される介護付き有料老人ホームが看取りケアに対してどちらの加算を算定するかで、看取りケアにかかる費用にも違いが生じます。
費用については以下の通りです。
【看取り介護加算Ⅰ】
算定日数 | 加算金額 |
---|---|
死亡31日前~45日前 | 72円/日 |
死亡4日前~30日前 | 144円/日 |
死亡の前日および前々日 | 680円/日 |
死亡日 | 1,280円 |
【看取り介護加算Ⅱ】
算定日数 | 加算金額 |
---|---|
死亡31日前~45日前 | 72円/日 |
死亡4日前~30日前 | 144円/日 |
死亡の前日および前々日 | 780円/日 |
死亡日 | 1,580円 |
※自己負担額が1割の場合を想定した金額になります。
【参考:厚生労働省「介護福祉施設サービスの看取り介護加算の基準の基準」】
【参考:厚生労働省「令和3年度介護報酬改定に向けて」】
看取りケアの利用を検討している場合には、これらの費用について把握しておきましょう。
看取りに対応している介護付き有料老人ホームを選ぶ際のポイント
介護付き有料老人ホームで看取りを希望する場合、安心できる対応をしてくれる施設を選びたいと思う方は多いでしょう。
看取りケアに対して、どのような点に注意して施設を選んだらよいのか、選ぶ際のポイントを紹介します。
実績
看取りケアの実績が多い介護付き有料老人ホームであれば、人生最期の時を安らかに迎えられるはずです。
病状によっては痛みを伴ったり強い不安を抱えたりする場合も考えられますので、実績が豊富な施設を探すとよいでしょう。
急変時の対応
終末期は、体調の変化が日々起こりやすく注意が必要です。そのため、急な体調の変化にどのような対応を取り連携を図るのか、事前に確認する必要があります。
特に、早朝や日中、夜間などの医療従事者や職員の有無を確認しましょう。
ほかの業種との連携方法
看取り介護は、介護士だけでなく看護師や管理栄養士など他職種による連携が不可欠です。
職種の違う職員同士が入居者の情報をどのように共有するか、病状の変化に応じた対応がどのような連携でなされるのかなどを確認するとよいでしょう。
方針
介護付き有料老人ホームの施設選びでは、施設とのコミュニケーションが円滑に行えるかが大切です。
信頼できる職員であるか、日々のケアに対する想いなどご本人やご家族の希望を叶えてくれるケアを行ってくれるか、事前に確認しておくと良いでしょう。
希望/要望への対応方法
看取り介護において、介護付き有料老人ホームとご家族との間では連絡が頻繁に行われます。
「ご本人が食べたいものを食べさせてあげたい」「終末期には傍で寝泊りしたい」など最期に向けた要望を汲み取ってもらえるか事前に確認すると、悔いを残さずにすむでしょう。
亡くなったあとのケア
介護付き有料老人ホームでのエンゼルケアについて確認するのも大切です。
エンゼルケアとは、死の直後に行うケアで外注の納棺師が行うケースもあります。そのため、亡くなった後のケア内容や葬儀までの流れを確認し、最後の最後で行き違いがないよう把握しておくとよいでしょう。
悔いのない看取りケアで送り出すために…
介護付き有料老人ホームの看取りは、ご本人やご家族の気持ちに寄り添い最期の時を悔いなく迎えられる準備を共に行えます。
誰にでも訪れる「死」に対して、看取りを選択するか医療的ケアを選択するかは自由です。
正解がない答えのため、当事者であるご本人が想い描く最期をご家族と共有できているかが重要になります。
共有の具体案として、人生会議やエンディングノートを活用し、「どのように最期を迎えたいか」「最期の時までどのように過ごしたいか」などを話し合うとよいでしょう。
大切な人たちと人生の終わり方について、ぜひ一度じっくり考えてみてはいかがでしょうか。
どちらの施設も看取りケアを行える施設が増えていますが、入居条件や料金などに違いがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
医療的処置の関係から必ずしも看取りが施設で叶うとは限りませんが、自立〜要介護の方の看取りを対応してくれているのは有料老人ホーム+介護付有料老人ホームです。詳しくはこちらをご覧ください。